42話「美食の報酬」

Murder Under Glass / 1978

ジェラード はあまり聡明ではない…

料理評論家のポール・ジェラード氏がレストランのオーナー、ヴィットリオ・ロッシ(マイケル・V・ガッツォ)を殺害。テレビ番組やCMでも有名なジェラードが、その名声を利用してレストランの評価を思いのままに操っていることに腹を立てたビットリオの口を封じたのです。

ジェラード はあまり聡明ではない…

ルイ・ジュールダン犯人のジェラードは(ルイ・ジュールダン)「頭脳明晰」というよりむしろ脳天気なキャラクターの人物で、切れ味は感じませんでした。ワインによる毒殺が判明した瞬間、ワインオープナーが怪しまれることも当然の成り行きと思えます。

美食の国、日本とイタリアが大きく扱われた作品

初期のコロンボ作品と、新刑事コロンボの中間のようなテイストです。刑事コロンボ作品中、最も「日本」が大きく扱われた作品。「日本」とともに、イタリアンレストランが舞台いということで、イタリアンな雰囲気も全体に漂います。それと、コロンボ警部は食べているシーンが多いですね。

日本人「小津氏」

マコ岩松登場人物の日本人「小津氏」。映画監督の小津安二郎を連想させるし「OZ」と発音され、アメリカ人にも親しみやすかったのでしょう。襟には「福壽」と書かれています。俳優のマコ岩松氏。この時、ふぐ刺しを食べるコロンボの箸使いは、下手で笑えます。

刑事というと、警視庁の方ですか?

ブログ読者さんのご指摘によると、英語では「警視庁」とは言っておらず「lieutenant」警部補と言っているようです。翻訳家の誤訳ではないか?ということです。面白い発見ですね。

あなたの才能は素晴らしいが、後はてんでイケません

ラストシーンは、なかなか印象的でした。ジェラードはコロンボ警部の「誘い」にのる形で「いっそのこと、コロンボを殺してしまえ」と第二殺人計画を思い立ちます。それが、コロンボの狙いでもあっただけに悔しさもひとしおだったでしょう。この後のコロンボの台詞「証拠ってのは、こういうヤツを言うんです」と、ジェラードの仕掛けた毒入りのワイングラスを指差すあたり、爽快です。一連の会話の中で「お互いの才能を評価する」反面、人間としては好きでない、という言葉の応酬があります。ジェラードの方は腹いせ的ですがコロンボ警部の「あなたの才能は素晴らしいが、後はてんでイケません」の台詞は、殺人という短絡的な解決方法に走った犯人に対し「人間失格」の判決を下す裁判官のように見えました。

後のコロンボの「カミさん」シェラ・デニスが再登場

シェラ・デニスジェラード氏の秘書イブ・プルマー役で、シェラ・デニス(シーラ・ダニーズ)が出演しています。新シリーズと比較するとやはり若いですね~。吹き替えの声優も「若い女性風」の声で、後に新刑事コロンボに数多く登場する際の声とは異なります。ジェラード氏の自宅で小津氏と同席するシーン、松竹梅と書かれた派手なオレンジ色のハッピを着ているのはこっけい。

不思議なキャラクターのバーク刑事

トッド・マーティンコロンボ警部は初対面の2分後に、犯人はジェラード氏であると疑ったと明言していますが、この時居合わせたのが40話「殺しの序曲」にも登場するバーク刑事(トッド・マーティン)。画面にいるだけで存在感を感じる素敵な俳優さん。

ヴィットリオはマイケル・V・ガッツォ

マイケル・V・ガッツォマイケル・V・ガッツォはゴッドファーザーPART IIなどにも出演した俳優さん。「美食の報酬」では、豪快なイタリア人シェフを名演しています。毒に苦しんで絶命するシーンは印象的です。日本語版吹き替えは藤岡重慶さん「あしたのジョー」のおっつぁん「丹下段平」役でも有名ですね〜。

レストラン振興協会の女性会長はロバート・カルプの元カミさん

フランス・ニュイエン葬式のシーンで支払済の小切手を破って、コロンボから目をつけられたメアリー・チョーイはフランス・ニュイエン。彼女は1967年〜3年間ロバート・カルプの奥さんでした。
コロンボマップ
コロンボマップ
ヴィットリオが埋葬された墓地はイングルウッド・パーク墓地で、逆転の構図のロケ地と同じです。

監督:ジョナサン・デミ
脚本:ロバート・バン・スコヤック

ポール・ジェラード:ルイ・ジュールダン(声:金内吉男)
ヴィットリオ:マイケル・V・ガッツォ(声:藤岡重慶)
イブ・プルマー:シェラ・デニス(シーラ・ダニーズ)(声:田島令子)
メアリー・チョーイ:フランス・ニュイエン(声:瀬能礼子)
マリオ:アントニー・アルダ(声:徳丸完)
アルバート:ラリー・D・マン(声:雨森雅司)
バーク刑事:トッド・マーティン
マーケットの主人:マイク・ラリー
 
加筆:2020年7月26日

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