Publish or Perish / 1974
- 犯人役ゲストスター「ジャック・キャシディ」特集記事。
- 女優「マリエット・ハートレイ」の出演作品。
- ライリー・グリーンリーフ「キャデラック・ドゥビル・コンバーチブル」
2022年の加筆
出版社社長のライリー・グリーンリーフが、契約がもつれたことを恨み、お抱えの売れっ子小説家マロリーを殺害します。この殺害計画に「殺し屋」を雇ったというのはシリーズ中、唯一で、ぼろんこの好みではなく、推薦作から漏れています(*)。ただし、本作を推すファンも多いようで、奥が深そうです。
ガッチリしたアリバイを主張しなかったグリーンリーフ
実行犯はエディ・ケーンなので、もともとアリバイは完璧なはず。しかしグリーンリーフはその夜泥酔していたため、アリバイを主張できない。鍵が殺人現場に落ちていたり、凶器の拳銃もビル内で見つかり、彼のものであったり。あたかもグリーンリーフが犯人であるかのように、証拠がぼろぼろ出てきます。
見逃しがちな些細なシーンに、凄さが隠されている…
殺人現場の初期捜査で、コロンボ警部がコーヒーやベティ・デイヴィスの映画の話をしながら「カギが合わない」ことを発見する場面。殺人とは無関係の話に気をとられるとポイントを逃します。この時コロンボ警部の話相手になる警備員は、テッド・ゲーリング。
犯人を捕らえる罠工作
ここを見逃すな!という場面はその後、先述した通りグリーンリーフへの疑惑を抱くコロンボが、「ブラックさんのカギ屋に立ち寄っているシーン」数秒のカットで、ウインドウ看板の文字を見なければ、単に「道を尋ねている」くらいにしか気に止めないのですが、このとき既に「グリーンリーフがカギに対する疑惑を解消するために、動く可能性がある」と睨み、細工(カギの交換を発注)をしているのです!
濡れ衣作戦が命取り
エディ・ケーンに全ての罪をなすり付けて、グリーンリーフの作戦は成功するはずだった。マロリーの新作のアイデアが、エディ・ケーンによる持ち込みであったとか、その件で揉め事に発展したとか。凶暴性も含め、彼の犯行動機まで結びつけている。しかし結末は、エディ・ケーンが持っているはずのないマロリーの鍵、そして彼には書けないはずの梗概(あらすじ)が決め手となりました。
原題は「出版か死か(Publish or Perish)」
「第三の終章」という邦題が少し損しているでしょうか?この第三は何を表しているのでしょう。「終章」という言葉も本編には出てこないし。「梗概(こうがい)」を邦題に含めて欲しかった願望があります。例えば‥「盗まれた梗概」とか、笑っちゃいます?殺し屋を雇った(*)ことがマイナスポイントとしなければ、格好良い作品だと言えるかも知れませんんね。
グリーンリーフの悪態が炸裂!
コロンボ作品の中でもスピルバーグ監督が手がけたとして有名な3話「構想の死角」に続き、ジャック・キャシディが犯人役ライリー・グリーンリーフとして再登板。前作以上とも言える圧倒的な存在感です。特に第一殺人のアリバイ工作のために、バーで管を巻くシーンでの台詞「臭せ~店だ。お前もこの店もドブの臭いがする」は、絶好調でした!でも、泥酔し車をぶつけた相手のご婦人に「そんな顔じゃ、整形手術をした方が良いよ」は、言い過ぎ!ドラマの中の台詞としては節度を欠いています。
ジョン・デイビス・チャンドラーのパワー
第二殺人で被害者となる共犯のエディ・ケーン(ジョン・デイビス・チャンドラー)のキャラは強烈。数々の映画作品に出演されている俳優さんのようです。この「第三の終章」では、ジャック・キャシディ以外のすべての出演俳優を吹き飛ばすパワーを感じました。
エディ・ケーンは橋爪功さん
そのエディ・ケーンの日本語吹き替えは橋爪功さん。日本のミステリードラマなどで数多く刑事役を演じています。(本作とは関係ないけど)
人間コロンボを垣間見るシーン
本筋とは関係がありませんが、高級レストラン「チェイソンズ」でのシーン。おんぼろカーでレストランに到着した時、駐車係(ロッキー・フレール)に「あのクルマは盗まれないから大丈夫」と移動サービスを拒否されていました。
高額なチリを注文してしまう
大好物のチリを注文する場面ではウエイター(モーリス・マルサック)に、メニューに無いチリを無理矢理注文し、さらにケチャップや塩を要求(自分の味にこだわる姿勢?)したりして笑えます。支払い時に高額な請求をされ笑いを誘います。乱暴に計算しますと、チリが6ドルで1800円、追加請求のアイスティが75セントで225円となり、アイスティの方は高級レストランにしては、極端に安い?のかもね(笑)
気になる女優「マリエット・ハートレイ」
ニール出版の秘書アイリーン役のマリエット・ハートレイは41話「死者のメッセージ」でも犯人アビゲイル・ミッチェルの秘書ベロニカを演じています。見た瞬間に目が止まるような不思議な魅力のある女優さんです。
同じマンションに住んでいる?
ところでアイリーンと11話「悪の温室」のグロリア・ウエストのマンションは同じ外観です。二人がご近所さんであることは間違い無し。
大草原の小さな家「父さんの秘密」
大草原の小さな家のシーズン2・19話「父さんの秘密」(1976年)。魅力的な未亡人「エリザベス・サーモンド」役でマリエット・ハートレイを見ることができます。美しく優しい女性として描かれています。
宇宙大作戦(スタートレック)
またマリエット・ハートレイは、宇宙大作戦(スタートレック)の「タイムマシンの危機」の回のザラベス役で出演しています。あのスポックが彼女に恋愛感情を抱くエピソードです。1969年放送で、彼女が29歳の時です。
アラン・マロリー役は本物の小説家
アラン・マロリーを演じたミッキー・スピレインは、ハードボイルド探偵小説「マイク・ハマー」シリーズで知られる有名な小説家です。
ジェフリン・ニール
ニール出版の社長ジェフリン・ニールは俳優:ジャックス・オーブション。そして日本語吹き替えは、アニメ「ルパン三世」の次元大介や、俳優ジェームズ・コバーンの吹き替えとして知られる「小林清志」さん。58話影なき殺人者のヒュー・クライトン(ダブニー・コールマン)も担当されました。
スイーニー刑事
第一殺人の現場検証で登場するスイーニー刑事は俳優:ルー・パルター。「スイーニー、そっちなんかあった?」「ないっすね、出るのは埃ばっかり。」こういうマリオ風のキャラクターはぼろんこ好みです、名前も可愛いし(笑)
弁護士のチェイス
弁護士のデイビッド・チェイスを演じたのは、俳優アラン・ファッジ。気付きにくいのですが、この人は46話「汚れた超能力」に登場するCIAのハロー氏と同一人物。さらには56話「殺人講義」の犯人クーパー・レッドマンの父親。
コロンボ警部持参の魔法瓶
前半のマロリーさんの殺害現場で、冷めたコーヒーをもらう魔法瓶は、カップが赤くて、本体がアルミ色です。これはマロリーさんのために毎晩用意された魔法瓶なのに、12話「アリバイのダイヤル」でコロンボ警部が持参した魔法瓶と同じ!!
それなのに少し後のシーン、ロス市警の取調室でグリーンリーフにコーヒーをすすめる時の魔法瓶は、コロンボ警部の私物っぽいのに「赤くて黒のダイヤ模様の魔法瓶」、これは24話「白鳥の歌」でトミー・ブラウンがセスナに持ち込むバルビタール入りコーヒーの魔法瓶と「同じ!。
監督:ロバート・バトラー
脚本:ピーター・S・フィッシャー
ライリー・グリーンリーフ::ジャック・キャシディ(声:田口計)
エディ・ケーン:ジョン・デイビス・チャンドラー(声:橋爪功)
アイリーン・マクリー:マリエット・ハートレイ(声:公卿敬子)
ジェフリン・ニール(出版社社長):ジャックス・オーブション(声:小林清志)
アラン・マロリー:ミッキー・スピレイン
デビッド・チェイス(弁護士):アラン・ファッジ
スイーニー刑事:ルー・パルター
ヤング刑事:ポール・シェーナー
警備員:テッド・ゲーリング
ウォルパート:ジャック・ベンダー
鍵屋のブラック:ジョージ・ブレンリン
駐車係:ロッキー・フレール
ウエイター:モーリス・マルサック
バーテンダー:マイク・ラリー
加筆:2023年1月4日
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