17話「二つの顔」

Double Shock / 1973

まさに二つの顔!

ポール・スチュアート原題「Double Shock」に対し邦題「二つの顔」の示す通り、双子の兄弟デクスター・パリス(料理研究家)と兄ノーマン・パリス(銀行員)ともに「マーティン・ランドー」が、莫大な財産を持つおじクリフォード(ポール・スチュアート)を殺害します。

マーティン・ランドーと二つの大作戦

マーティン・ランドー双子のパリスを演じたマーティン・ランドーはテレビアクションドラマ「スパイ大作戦」第1〜3シーズンのローラン・ハンド役で有名な俳優さんです。同時期に「宇宙大作戦」のミスター・スポック役のオファーも来ていて、それを断わってスパイ大作戦を請けたそうです。そのミスター・スポック役を引き受けたのは15話「溶ける糸」のメイフィールド医師「レナード・ニモイ」。しかもレナード・ニモイは、スパイ大作戦の第4・5シーズンで「アメージング・パリス」役で出演しています。かなりややこしいですね。

コロンボ的倒叙作品ではない

犯人が双子という設定を用いたお話で、殺害シーンを見せているにも関わらず、純粋な倒叙作品には仕上がっていません。見る側は「あらかじめ犯人を知っている」はずなのですが、二人が同じ顔なので真犯人が「弟デクスター」であるか「兄ノーマン」であるか、断定できないのです。

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では、クリフォード殺害の実行犯は兄弟どちらか?

2021年これの検証を試みました。

この「二つの顔」は「実行犯がどちらか?」分かりにくくしてあるのも、一つの特徴だと言えるでしょう。
ラストシーンでコロンボ警部が「デクスターは邸内に潜み(クリフォードを殺害)、車で出て行ったのはデクスターと同じ服を着たノーマンだった。」と解説するとデクスターは「冗談じゃない」ノーマンは「それは承服しかねますな」と二人が揃って否定しています。これは意味深ですね。
 
また双子を区別する方法として、ノーマンは渋目のグレー系+ネクタイ、デクスターは派手目の暖色系のファッションが多いですね。

仮説(2021年8月15日)

・感電の実験をしていたのはノーマン(黒)
・(警報装置OFF時)二人で来て、ノーマン(黒)は邸内に潜む。
・クリフォードに会ったのはデクスター(赤)
・車で出て行ったのもデクスター(赤)
・邸内に残ったノーマンは警報装置をOFFにし待機(黒)
・【黒に着替えた】デクスターは靴を持って再び侵入し地下に向かう(黒)
・ノーマン(実行犯)がクリフォードを殺害(黒)
 
です。 
他にも仮説は立てられますが、私はこう思います。
・デクスターが黒衣装で感電の実験をする必要はないので、これはノーマンだとします。
・再び侵入した方は鞄(ミキサー)を持っていないのでおそらく「実行犯」ではありません。
・ポイントとなるのは「犯行時は二人とも黒」です。それは派手な赤い服では目立つからです。

☆デクスター=クリフォードに会う、車で帰る、黒に着替え再侵入し、地下室でヒューズを戻すなど
★ノーマン=感電の実験、邸内に潜み、警報装置OFF、クリフォードを殺害、警報装置ONに戻し立ち去る
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婚約者のリサの不可解?

ジュリー・ニューマー殺されたおじクリフォード(ポール・スチュワート)のお相手リサ(ジュリー・ニューマー)は、結婚を金銭目的ではないと断言しています。本当にクリフォードおじさんに惚れていたのでしょうね。愛のカタチも様々です。でも結果的には、この婚約が殺人事件の引金となりました、悲しいことです。リサは予め財産相続を放棄しておくべきでした。

宇宙大作戦(スタートレック)

ジュリー・ニューマーこの「ジュリー・ニューマー」は、宇宙大作戦(スタートレック)では「宿敵クリンゴンの出現」でカペラ4号星の皇帝の妻のエリン役で出演しています。

双子犯人の不可解?

仲の悪い兄弟が手を結んで殺害を計画します。が、コロンボ警部の登場後、お互いに相棒が真犯人であるように見せかけることから「共犯」の疑いを持たれるリスクも増大しました。最終的に婚約者のリサが死亡しないと遺産が手に入らない状況になったことも致命的でした。ちょっと計画が甘かったかな~。

ペックさんが大暴れ

ジャネット・ノーランクリフォード家のお手伝いさん「ペック夫人」は奇麗好きで、だらしないコロンボ警部と真っ向勝負。犯人から嫌われることには慣れている(それが手法の一部)警部ですが、お手伝いさんから嫌われることには抵抗があったらしく、不本意さを露にしている演出が面白いです。このペック夫人(ジャネット・ノーラン)は、45話「策謀の結末」にも「オコンネル財閥の女王役」で出演しています。

ティム・オコナー

ティム・オコナー第二殺人の現場に居合わせる弁護士マイケル・ハサウェイは、後の作品である39話「黄金のバックル」で殺害されたエドワード・リットンと同一人物。「うさん臭い」キャラクターが似合います。動きがサンダーバードの「操り人形」的で、ぼろんこが大好きな俳優さんの一人。

これは知っておきたい!

ダブニー・コールマンクリフォード・パリス邸での現場検証を仕切るマレー刑事。このお顔をよ〜く見てください。この俳優さんは「ダブニー・コールマン」で、ぐーんと後の58話「影なき殺人者」の犯人「ヒュー・クライトン」の若い頃(18年前)なのです!

超重要な豪邸なのです!

クリフォード・パリス邸17話「二つの顔」のクリフォード・パリス邸、34話「仮面の男」のネルソン・ブレナー邸、38話「ルーサン警部の犯罪」のウォード・ファウラー邸は同じ家です。車の入り口〜ロータリー型の車寄せ、アーチ型の白い装飾の門扉、大きな暖炉が特徴です。
アンジェロドライブの豪邸
刑事コロンボマップ

刑事コロンボマップ

監督:ロバート・バトラー
脚本:スティーブン・ボチコ、ピーター・アラン・フィールズ
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

デクスター・パリス、ノーマン・パリス:マーティン・ランドー(声:滝田裕介)
ペック夫人:ジャネット・ノーラン(声:文野朋子)
マイケル・ハサウェイ:ティム・オコナー(声:保科三良)
リサ・チェンバース:ジュリー・ニューマー(声:清水良英)
クリフォード・パリス:ポール・スチュワート(声:杉田俊也
銀行員:マイク・ラリー

加筆:2022年2月14日

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