30話「ビデオテープの証言」

Playback / 1975

ある意味、すごい豪邸

電子工業の社長ハロルド・ヴァンウィックが義母を殺害。手を叩いたら「ドアが開く家」なども含め、数十年前に見た当時を懐かしく思い出しました。今であれば簡単なことかもしれませんが、当時の個人宅でビデオ監視システムを使って家を警備しているなど、恐ろしいほど生活経費をかけていたものです。

オスカー・ウェルナー

オスカー・ウェルナーまずは何と言っても犯人役のハロルド(オスカー・ウェルナー:山田吾一)はGOODです。新しモノ好きで、子供のような性格に描かれています。それでいて、少し女好きでもありますね。私だけが感じるのかも知れませんが、顔がちょっとロック歌手のロッド・スチュアートとダブりました。

今回の再放送で彼の顔を見たとたん、「そうそう、この人、この顔!」って感じで、大はしゃぎしました。それくらい深いインパクトを与える俳優さんだと思います。

ジーナ・ローランズ

ジーナ・ローランズ犯人の妻エリザベス役ジーナ・ローランズも流石の存在感で、とても美しく見えました。哀愁の漂う素敵な奥様を演じていたと思います。彼女は10話「黒のエチュード」で犯人の指揮者アレックス・ベネディクトを演じた大物「ジョン・カサヴェテス」の奥様。「愛犬ドッグ」を可愛がってくれるシーンも良いですね。

映画「きみに読む物語」

きみに読む物語のジーナ・ローランズ「きみに読む物語」はAmazonプライムで見ました。とても良い映画です。監督はニック・カサヴェテスであの「ジョン・カサヴェテス」の息子。そして助演女優として74歳の「ジーナ・ローランズ」に会うことができます。とても素敵な役です。よろしかったらご覧ください。

マーサ・スコット

マーサ・スコット被害者となるマーガレット夫人は女優マーサ・スコット。日本語吹き替えは、このちょっと意地悪そうな夫人役のイメージにぴったりの女優「佐々木すみ江」さん。

凄い解決編、本当に文字まで読めるの?

解決編で、ビデオの映像を拡大して、そこに画廊の招待状が映っていた。というのは、どうも…。当時の解像度でそこまで読み取れますかね?オープンリールのようなかなり大きな記録メディアなので、そうなのかもしれませんが…ちょっと疑問です。(これについては後日、業界の方から「識別可能だ」とのご指摘を頂きました)

開けゴマ?

それに対し、銃声でドアが開いてしまったことを発見する着眼点は素晴らしかったですね。実際にピストルを発射して実験していますが、よく考えたら家中のドアが全部開くはずで、もっと大げさな状況になっていたのでは?とも…。ドアごとに感知のON/OFFをしていたのでしょうか? いずれにせよ、これらは足の不自由な奥様への愛情の証として考えられた装置であると思われます。

画廊の美人受付嬢に興味

トリシャ・ノーブルハロルドは知り合いのブラント画廊に採用された新人受付嬢「マーシー」に興味を抱いていました(笑)この女優さんはトリシャ・ノーブル(Trisha Noble)さんです。

画廊を訪問するコロンボ

パトリシア・バリー計算された「笑えるシーン」もありました。それはコロンボ警部がブラント画廊を訪問する場面。店主のフランシーヌ(パトリシア・バリー:曽我町子)とアート作品の価格について問答します。換気口をアート作品と勘違いするコロンボ警部の表情は「思わずにんやり」してますよね。日本語吹き替えの曽我町子さんは、オバケのQ太郎の声や主題歌を担当した方です。

はじめっから、顔が笑ってます

この時警部は自分でも、ちょっと笑っちゃっているでしょう、きっと。帰り際に照れながら「誰にも言わないでくれ」と、受付嬢マーシーに自分から失敗談を語ってしまうのも、コロンボ警部の人柄を上手に表現しています。

日本語吹き替え版のラストは少し残念…

母親殺害の犯人が実の夫だったとわかり、妻のエリザベスが泣き叫ぶシーンでエンディングを迎えますが…少し残念。美しいコロンボ作品を好む私としては、声は不要だった…です。

ブロンソン巡査への疑惑

フランク・エメット・バクスターこれもどうでも良い話なのですが、解決編で登場するブロンソン巡査。誰かに似ているな~と思ったら、気になってしまって。6話「もう一つの鍵」で新社長に就任したベス・チャドウィックが「自分の方針に逆らうなら再就職を考えなさい」と脅される役員の俳優さんと似ています。

この俳優さんは38話「ルーサン警部の犯罪」でウォードのギャラをさらに上げることに反対するテレビ局の役員でも出演しています。
これがもし同一人物だとすると…「フランク・エメット・バクスター」という俳優です。2011年の12月に名前が判明いたしました。

監督:バーナード・L・コワルスキー
脚本:デビッド・P・ルイス、ブッカー・T・ブラッドショー

ハロルド・バン・ウィック:オスカー・ウェルナー(声:山田吾一)
妻エリザベス:ジーナ・ローランズ(声:二階堂有希子)
マーガレット・ミダスマーサ・スコット(声:佐々木すみ江)
アーサー・ミダス:ロバート・ブラウン(声:佐々木功)
バクスター:ハーバート・ジェファーソンJr.(声:伊武雅之
フランシーヌ:パトリシア・バリー(声:曽我町子)
受付嬢マーシー:トリシャ・ノーブル(声:沢田敏子
レストランの客:マイク・ラリー

加筆:2014年2月28日

31話「5時30分の目撃者」

A Deadly State of Mind / 1975

精神科医のマーク・コリアーが愛人ナディアの夫カール・ドナーを殺害。計画殺人ではなく、妻との愛人関係に気付いたカールが二人の密会現場に居合わせてしまったためです。このような展開上、私の好きな刑事コロンボのストーリー(計画殺人)は望めませんでした。

ジョージ・ハミルトン

ジョージ・ハミルトン犯人役のゲストスター「ジョージ・ハミルトン」は日本でも有名な俳優さんですね。後の57話「犯罪警報」にも犯人役として出演しています。独特な色気を持った俳優さんです。「女たらし」がごく自然に見えますね(笑)

愛人のナディアは決壊寸前

犯行を愛人のナディア(レスリー・アン・ウォーレン)に目撃されているので、コリアーにとってはかなり不利な状況でした。強盗による犯行に見せようと努力しますが、状況証拠やナディアの曖昧な供述による矛盾をコロンボ警部に見抜かれて、どんどん追いつめられてゆきます。女優レスリー・アン・ウォーレンは「スパイ大作戦」にも出演しています。

また出た、コロンボ警部の大芝居

状況証拠は十分でも、決め手が無い。コロンボ警部は「偽の目撃者」を仕立てます。コリアーは「自分は5時30分にドナー邸に居なかった」と跳ね返せば、良かったのでしょうが、人の心理を読むコロンボ作戦はまんまと成功します。不利な状況にある人間は「正当な部分は主張したがる」ということです。これは27話「逆転の構図」でポール・ガレスコが犯したミスと似ていますね。

おぉ、マーチソン博士!

フレッド・ドレイパー「偽の目撃者」であるデビッド・モリス(兄)は、18話「毒のある花」でマーチソン博士を演じたフレッド・ドレイパー。兄弟が並んだ場面で、眼鏡を外した瞬間に「おぉ、マーチソン博士」と叫んでしまいました。日本語版は「永井一郎さん(サザエさんの磯野波平役で有名)」

おぉ、パジェット将軍!

スティーブン・エリオットまた被害者のカール・ドナーはスティーブン・エリオットで、この作品より14年後、49話「迷子の兵隊」でパジェット将軍(ほぼ別人!)を演じています。カール・ドナーの日本語版は「大平透さん(ハクション大魔王)」

犯罪警報のウェイド・アンダースで復帰

ゲストスターのジョージ・ハミルトンはこの16年後(1991年)の57話「犯罪警報」に再登場します。エリオット(パジェット将軍)の変貌ぶりを考えると、「犯罪警報」のハミルトンは「流石、若作り!」と拍手を贈りたくなります。

ボーデン博士のカレン・マッコーン

カレン・マッコーン脇役としてはアニタ・ボーデン博士のカレン・マッコーンも素敵でした。コリアーから「勤勉に働け」と叱咤された場面では不機嫌そうでした。コロンボ警部から「殺人事件について質問しているんですよ!」と叱られた場面など印象的です。

コロンボ警部、またまた大ショック

クレーマー刑事クレーマー刑事「ブルース・カービー」も光っていました。愛人ナディアの飛び降り自殺(実際には殺害された)の現場でカール・ドナーの所持品を発見した際の「コロンボ警部、またまた大ショック」は最高です。しかも、別の着眼点に夢中のコロンボ警部に無視されていました。

コリアーの友人アーノルド

マーク・コリアーの友人アーノルド(ホームパーティの一人)はレドモンド・グリーソン。彼は36話「魔術師の幻想」のジェロームの店でアナウンスなど裏方で活躍するジョージ。サンティーニに「ジェロームさんを消しちゃってください」とジョークを言う男性です。

ランズバーグ先生とコリアー先生は同僚だ!

キャシー・スピアーズ31話「5時30分の目撃者」の精神科医コリアー先生と、32話「忘れられたスター」の外科医ランズバーグ先生の病院は同じでした!詳しくは「廊下に色ラインが描いてある病院」をご覧ください。それとは関係ないですが、病院の受付の女性(キャシー・スピアーズ)が必要以上に色気ムンムンでした。そしてここは、殺人講義の大学のロケ地でもあります。
刑事コロンボマップ
刑事コロンボマップマーク・コリアーのヨットハーバーは、悪の温室のキャッシーのそれと同じ場所「 マリーナ・デル・レイ
」です。海岸沿いに南下しますと、ナディア・ドナーのマンションがあります。かなり眺望が良いと思われます。

犯行直後に車を門にぶつけた件

ブログゲストさんからのご指摘があり、加筆します。コリアーは犯行現場にブルーのベンツのクーペで来ていました。そして犯行後に逃げる際、目が不自由なダニエル・モリスさんが飛び出したため、避けるために白い門に激しく車をぶつけています。その衝撃で門の角度が変わったほどです。

そしてその夜、コリアーが呼び出されて現場に駆けつける時は、ボーデン先生のシルバーの大きな車で来ていました。ブルーのベンツはバンパーに傷がついたはずなので、自分の車で来れなかったのか?日が変わり、コロンボがコリアーの病院を訪れた時、駐車場のコリアーの車を調べています。この時には、コリアーはすでにベンツを修理に出した後なのでしょう。コロンボはタイヤのトレッド(模様)に着目していますが、バンパーの傷は無さそうでした。
本編では兄のデビッド・モリスは「急ブレーキを踏んで止まった」と証言していて、衝突したことには触れていません。そうでなく、「5時30分に出て来た車は、自分を避けるために何かに激しく衝突した」と証言し、コリアーが直後にフロントバンパーを修理したことも証拠にすれば良かったが…。

しかしここはやはり目撃者に「ブルーのクーペに乗っていた」と証言させ、「目撃者は目が見えないはずだ」とコリアーに反論させたことで、十分面白いのでしょう。
 
監督:ハーヴェイ・ハート
脚本:ピーター・S・フィッシャー
マーク・コリアー:ジョージ・ハミルトン(声:小林勝彦)
ナディア・ドナー:レスリー・アン・ウォーレン(声:渋沢詩子)
アニタ・ボーデン:カレン・マッコーン(声:村昌子)
カール・ドナー:スティーブン・エリオット(声:大平透)
クレイマー刑事:ブルース・カービー(声:杉田俊也)
デヴィッド・モリス:フレッド・ドレイパー(声:永井一郎)

加筆:2022年8月14日