53話「かみさんよ、安らかに」

Rest in Peace, Mrs. Columbo / 1990

殴られるコロンボ警部でした

この作品は決して私の好きな「刑事コロンボ」ではありません。解決手段で、刑事コロンボシリーズ特有の「ひっかけ技」を持ち出していますが、犯人から「人でなし」と殴られる場面も登場しました。2話「死者の身代金」でも、レスリーの娘マーガレットに殴られたのですが、今回はもっとリアルでした。

賛否両論が激しく分かれる

ストーリー展開は一般的なコロンボ作品ではありません。葬式の出席者の回想シーンが繋がっていて、これまでにない独特の味を醸しています。

意外と支持される作品でもある…

一般的なコロンボ作品とは異なる…という点は、発言を撤回できないのですが、この作品がお好きだという方が割と多いのは事実です。コロンボ警部が「かみさんを愛している」風のラストシーンは、私も好きです。62話「恋に落ちたコロンボ」でも、同様の雰囲気を味わえますね。

初期作品びいきのオールドファンからの評価はなかなか得られない傾向ですが、形式に拘らない視聴者にはウケるようです。むしろ活発にご意見を頂けるようで、興味深いですね。

ラモンが作るチリは最高だった…

コロンボ警部は補佐役の刑事と一緒に入った「行き着けのレストラン」でチリを注文しますが、いつものシェフ「ラモン」がメキシコに帰ってしまったため味が変わってしまい、店にクレームをつけています。果たして、ラモンは「ティモシー・ケリー」なのでしょうか?。(写真は女主人のグラシエ:ラルー・スタンリー)

ロザンナ・ホフマンが再登場

ロザンナ・ホフマン家を買うお客さんの役で「二枚のドガの絵」の美術学校生トレーシー・オコーナー(ロザンナ・ホフマン)が出演しているとの情報を得ました。前作より約20年後の彼女…次回この点にも注目して見たいです。

ベニー刑事

エド・マクレディ26話「自縛の紐」のトライコン工業のエレベーターの警備員を演じた「エド・マクレディ」が後半の葬儀場面で登場する刑事(車に乗ってくる)役で16年ぶりに再登場しています。

ヘレン・シェイヴァー

ヘレン・シェイヴァービビアンを演じる女優ヘレン・シェイヴァーは、本作の5年前に「ビビアンの旅立ち」という映画に主演しています。何かの縁を感じますね。

監督:ヴィンセント・マケヴィティ
脚本:ピーター・S・フィッシャー

ビビアン・ドミートリー:ヘレン・シェイヴァー(声:弥永和子)
チャーリー:エド・ウィンター(声:富田耕生)
リーランド:イアン・マクシェーン(声:柴田秀勝)
ブレイディ:トム・イズベル(声:池田秀一)
ベニー刑事:エド・マクレディ
家を買うお客さん:ロザンナ・ホフマン

加筆:2020年8月1日

61話「死者のギャンブル」

A Bird in the Hand… / 1992

ギャンブル好きのハロルドが大金持ちの叔父のビッグ・フレッド殺害を企てるが、実行の直前に交通事故死。自分の仕掛けたトリックで罪の無い庭師を殺害してしまう。実は真犯人はビッグ・フレッドの妻ドロレスというひねり技。
51話「だまされたコロンボ」に近い感覚で「長い作品だな~」という印象はありますが、悪い意味ではありません。叔母と甥が男女関係にあることには多少の嫌悪感を持ったのは本音です。

良い意味で下品なゲストスター

タイン・デイリー犯人役の「タイン・デイリー」は(良い意味で)下品さを表現しています。タイン・デイリーが嫌いというわけではありません、あくまでコロンボ作品のゲスト俳優としてです。ラストシーンでのファッションコーディネート(緑のやつ)はある意味、絶品でした。

女優タイン・デイリー

彼女は64話「死を呼ぶジグソー」にも娼婦役で出演しています。また有名どころでは映画「ダーティハリー3」でクリント・イーストウッドの相棒「ケイト・ムーア」を演じています。すごく良い役どころです、ぜひご覧ください。
それはそれとして、新シリーズでは、19話「別れのワイン」のエイドリアンとカレンのような品のあるカップルが全く登場しなくなりました。20年という時の流れを感じます。

またしても「馬鹿は死ななきゃ直らない」

グレッグ・エビガン私は成功者の転落劇のようなコロンボ作品が好みですので、こういった「馬鹿は死ななきゃ直らない」風の主人公ハロルド・マッケイン(俳優:グレッグ・エビガン)には魅力を感じませんね。

私が自称「努力家」だからかもしれませんが。しかも、罪のない庭師を殺してしまうこともね~。そんなことを言い出したら、二人が同日にビッグ・フレッドの殺害を企てるってのも、無理がありますしね。ま、いっか。

エド・マクレディ

エド・マクレディ26話「自縛の紐」のトライコン工業のエレベーターの警備員を演じた「エド・マクレディ」がカジノの従業員エドで再登場しています。ハロルドにポーカートーナメントの券の販売した男性です。
ハロルド・マッケインの家

監督:ヴィンセント・マケヴィティ
脚本:ジャクソン・ギリス

ドロレス:タイン・デイリー(声:弥永和子)
ハロルド・マッケイン:グレッグ・エビガン(声:大塚明夫
フレッド:スティーブ・フォレスト(声:藤本譲)
ロバートソン:フランク・マクレー(声:宝亀克寿)
カジノの店員:エド・マクレディ

加筆:2020年8月2日

62話「恋に落ちたコロンボ」

It’s All In The Game / 1993

大金持ちの美女ローレン・ステイトン(フェイ・ダナウェイ)が婚約者ニックを殺害。かつては異色作と評しましたが、美しい作品だと感じます名作。「忘れられたスター」にも通じるような気がしてきます。

やはりフェイ・ダナウェイは魅力的

フェイ・ダナウェイ犯人役のフェイ・ダナウェイは、素晴らしいですね~。美しいです。美女という観点ではなくとも、魅力に満ちあふれています。自分がコロンボになったつもりで彼女に惚れてしまえば、二倍楽しめるでしょう。彼女が初めてコロンボ警部の目に留まるシーン。「水色の部屋とマットレス、そこにすっと座っている。」この構図は、まるで絵画。地味な衣装も似合います。その他あらゆるシーンの彼女のファッションが素敵です。

映画「俺たちに明日はない」

フェイ・ダナウェイフェイ・ダナウェイといえば私はやはり1967年の映画「俺たちに明日はない(Bonnie and Clyde)」が好きです。ウォーレン・ベイティ「クライド・バロウ」のパートナー「ボニー・パーカー」を演じています。この映画を見たことがない方には是非お薦めしたいです。この時彼女は26歳でした(刑事コロンボの出演は52歳)

映画「タワーリング・インフェルノ」

フェイ・ダナウェイ日本公開1975年の映画「タワーリング・インフェルノ」に、スーザン・フランクリン(ニューマンの婚約者)としてフェイ・ダナウェイが出演しています。この映画にはコロンボ縁の俳優さんが四人出ています。

通常のコロンボ作風ではないが‥

刑事コロンボは毎回ゲストスターが犯人役なのですが、これほどの大スターは居なかったと思います。しかしこの回の主題がコロンボのほろ苦い恋物語であるため、本来のコロンボ作品のような楽しみ方は困難。ブロンディな母と、黒髪でラテン系な娘という似ても似つかない母娘関係も楽しんで見て欲しいです。

警部のほのめかしを逸らすローレン

まず頭痛薬の件、ほのめかしが効いています。随所にコロンボ警部の着眼点が光ります。その推理をことごとく肩透かしするローレン。それが女性目線で描かれていて素敵です。

バーニーの店

ジョン・フィネガンバーニーの店のオーナー「ジョン・フィネガン」が登場。かつてダフィー警部としてロス警察で活躍していただけあって、推理もピカイチ(笑)
→バーニーの店「BARNEY’S BEANERY」

恋に落ちた二人の…実年齢。

フェイ・ダナウェイは1941年生まれのハリウッド女優。本作品新・刑事コロンボ「恋に落ちたコロンボ」が1993年の制作ですので、撮影当時で52歳だったと思われます。一方のピーター・フォークは1927年生まれで、66歳。

ニックはゲス野郎か?

ニックの口から出る歯が浮きそうな褒め言葉は、とても本心だとは思えません。その反面独裁者のような威圧感も持っている。時には病的に描かれることもあります。このような男を好きになってしまい…裏切られ殺してしまう。とても愚かなことだと感じます。

コロンボが人間観察される

その愚かさに気づかされ傷つく母娘。そして犯罪捜査に訪れたコロンボ警部に出会います。今回は女性の目線で警部を人間観察するような面白い展開になっています。コロンボの誠実さに触れるローレンは「ニックよりもコロンボを好きになればよかった。」なんて表情に見える時もあります。

想像力を膨らましてみる

ローレン・ステイトンがなぜ大金持ちなのかの背景が描かれていませんが、何となく…彼女自身が築いた富だとは思えません。資産家と結婚したというより、むしろ代々の金持ちだと思われる。目鼻立ちが似ていないから娘のリタはきっと父親(マーチン氏)似なのだろう。ローレンとマーチン氏は随分前に何らかの理由で離婚して(死別ではない)ローレンは現在独身。マーチン氏はイタリアに住んでいるのかも。その関係でリタもイタリア在住。(加筆:2017年12月23日すべて想像です)

ちょいと、雑談。

冒頭のシーンでは噴水が逆流しています。またトイレで口紅を拭う場面で「ピーターフォークも歳をとったな~」って感じたんですけど、良く見ると鏡の上の方が曇っていて、それがより一層彼を「しらが頭」に見せているだけでした。

どうでもよいシーンですが、犯行現場で掃除婦と「ON・OFF」ごっこをする場面は楽しい。お馴染みのバーニーのお店で犯人と食事をする場面も。
原題の「It’s All In The Game」は「それはすべて遊びの中で」とでも訳すのでしょうか。同名の楽曲が存在します。「恋に落ちたコロンボ」と名付けてしまうよりは良かった気がしますが…。いずれにしても、コロンボ風の題名ではないですよね。

エド・マクレディ

エド・マクレディ26話「自縛の紐」のトライコン工業のエレベーターの警備員を演じた「エド・マクレディ」が刑事役で再登場しています。初期捜査の際に「近くの住人が銃声を聞いた」と伝える刑事です。

ローレン・ステイトンの豪邸

ネット検索ではローレン・ステイトン邸は、マリブの山中あたり住んでいたとあります。この辺りは頻繁に山火事が起こるそう。

ローレン・ステイトン邸

監督:ヴィンセント・マケヴィティ
脚本:ピーター・フォーク

ローレン・ステイトン:フェイ・ダナウェイ(声:高畑淳子)
リサ・マーチン:クラウディア・クリスチャン(声:佐々木優子)
ニック・フランコ:マーマンド・プッチ(声:大塚芳忠)
バーニー:ジョン・フィネガン
刑事:エド・マクレディ

加筆:2022年8月14日

65話「奇妙な助っ人」

Strange Bedfellows / 1995

マクベイ役のジョージ・ウェントが可愛い

ジョージ・ウェント牧場経営者マクベイが弟のテディを殺害。マクベイ役のジョージ・ウェントは、なかなかの存在感を見せました。大柄な体格が目につきますが、実は臆病そうでマフィアのボスに暴言を吐き付ける度胸もあったりして、とても可愛く描かれています。

また、レストランのオーナーであるロマーノを犯人に仕立てて殺害した後、「今、殺されそうになった」と警察に通報する時の顔が絶妙ですね。それにしてもマクベイさんは「スコッチ&ソーダでソーダ少なめ」を懲りずに連発するところは可愛いです。

残念な展開…でも、それが主題

「奇妙な助っ人」の邦題のごとく協力者を得て事件を解決しますが、こんな展開はこれが最初で最後。オチが「マフィアに殺されるよりも、殺人犯で刑務所に入った方がマシ」ということですが、33話「ハッサン・サラーの反逆」のイメージがちらつきましたね。さらに残念なのが、多少の暴力シーンがあり、コロンボ警部も殴られました。

捨て難い面も…

カリフォルニア尾長ネズミの話や、犯人を徐々に追い込んで行く駆け引きなど、意外と悪くない要素も多いことに気付きました。

みなさん同じビルでお仕事?

ビルマクベイが種馬の契約をするビルは、66話「殺意の斬れ味」で、キンズレーとキャサリンが挨拶をするビルと同じです!。さらに後日発見しましたが、48話の「幻の娼婦」ですでにこのビルが登場していました。

ブリンドル刑事って?

ブリンドル刑事今回ブルース・カービーは役柄ではほぼクレーマー刑事なのに、なぜか「フィル・ブリンドル刑事」として出演しています。これは「グローバー刑事=バーノン刑事」よりも深い意図を感じます。

エド・マクレディ

エド・マクレディ26話「自縛の紐」のトライコン工業のエレベーターの警備員を演じた「エド・マクレディ」がバーでネズミに驚いた女性を助ける男性客役で再登場しています。
マクベイの牧場

マクベイ牧場

マクベイの牧場は、LA北西部のサウザンド・オークス近くにあります。この辺りは牧場や農場が多くあり、27話「逆転の構図」で「ガレスコ夫人が誘拐された農家」、9話「パイルD-3の壁」のウィリアムソンの牧場もこの付近です。

監督:ヴィンセント・マケヴィティ
脚本:ローレンス・ヴァイル

グラハム・マクベイ:ジョージ・ウェント(声:樋浦勉)
テディ・マクベイ:ジェフ・イエーガー(声:井上倫宏)
ビンチェンンゾ・フォテーリ:ロッド・スタイガー(声:内田稔)
バーニー:ジョン・フィネガン
ブリンドル刑事:ブルース・カービー
婦人を助ける男性:エド・マクレディ

加筆:2021年7月18日