ジャック・キャシディ

Jack Cassidy[1927年3月5日 – 1976年12月12日]
3話「構想の死角」ミステリー作家:ケン・フランクリン
22話「第三の終章」出版社社長:ライリー・グリーンリーフ
36話「魔術師の幻想」大魔術師:サンティーニ

どの役柄も自信家で傲慢

3話「構想の死角」と22話「第三の終章」では、それぞれ作家と出版社社長という似通った職業で登場します。いずれも自らの才能ではなく、他人(両者とも殺害される被害者)の力に頼って生きていながら、自信満々という人柄でした。それに対し、36話「魔術師の幻想」では、特異稀なる奇術の才能を持ちながら、過去を暴かれたことにより犯行に至るというものでした。

憎たらしいダンディぶり

他の多くのゲストスターとも共通しますが、このジャック・キャシディとジョージ・ハミルトン、そしてロバート・ヴォーンの3人は、別格にダンディでした。他の二人が、少し柔らかいトーンなのに対し、ジャック・キャシディは憎らしい雰囲気も併せ持っていました。

早くして亡くなった名優

1976年に36話「魔術師の幻想」に出演後、自宅の火災により亡くなったそうです。そのためテレビや映画の出演作品も決して多くはなく、「刑事コロンボファンに最も愛された」俳優さんだったと言っても良いでしょう。

映画「アイガー・サンクション」

マイルズ・メロー1975年公開の映画「アイガー・サンクション」(監督・主演:クリント・イーストウッド)に出演しています。かつて戦場でヘムロック(イーストウッド)を裏切った「マイルズ・メロー」という男の役で、未見の方はぜひ見てほしいお薦めの映画です。

TVドラマ「奥様は魔女」

ディンスデールほぼ同時代のTVドラマ「奥様は魔女」シーズン6-26話「いとしのセリーナ」には、プレイボーイな紳士「ディンスデール」の役で登場しています。このエピソードではラリー役の「デヴィッド・ホワイト」とのツーショットも見られ、コロンボファンにとっては必見とも言えます。その他シーズン5-2話「百年前にもどっちゃった」にも出演しているようです。(未見)

 
加筆:2023年12月17日

3話「構想の死角」

Murder by the Book / 1971

カメラワークやライティングがスピルバーグ的?

演出が若き日のスピルバーグ監督というのは有名ですね。絵作りという着眼点で見ると、他の作品と大きな違いを感じます。まずは、構図の大胆さです。俳優同士の顔がくっつきそうになる程、近くで会話していたり、女優の横顔のシルエットでその場面を深く印象づけたりしています。全体的に画面が暗めなのも特長だと思います。特に夜のシーンでは、不気味な程に室内を暗くし、手前の人物の影が話し相手に重なって不気味な効果を出しています。

やはりこのカメラワークやライティング(照明)は、この1回きりで良かった…とも感じます。そこばっかり気になってしまい、本筋がおろそかになっているように見えてきます。

書けない作家ケン・フランクリン

マーティン・ミルナー犯人の作家ケン・フランクリン(ジャック・キャシディ)が共著の相棒作家、ジム・フェリス(マーティン・ミルナー)を殺害。動機は、ジムがケンとのコンビ解消を言い出したことにあります。実はケンは小説が全く書けないのです。

人気小説「メルビル夫人」シリーズ

メルビル夫人これまでに発表した人気小説「メルビル夫人」シリーズは、すべてが相棒のジムによる作品だというのです。私はものを創る立場なので、このような生き方は理解し難いですね。小説が書けない作家を演じ続けるより、1作でも優れた小説を書く努力をすべきだった。

ウソが本当に思えてくる

リネット・メッティこの事件の背景には「ウソをつき続けていると、そのうち本当になってしまう」という教訓が見えてきました。ケンは主に、インタビューやPRを引き受け、賞賛を浴びているうちに、いつしか「自分が本物の作家である」と思い込むようになったのかも。(写真は美人インタビュアー:リネット・メッティ)

ジャック・キャシディ

ジャック・キャシディ本作「構想の死角」のゲスト俳優ジャック・キャシディは、22話「第三の終章」36話「魔術師の幻想」でも犯人役を演じていて、刑事コロンボシリーズでロバート・カルプと並ぶ最重要人物の一人です。

バーバラ・コルビーは迫真の演技

バーバラ・コルビー第二殺人の被害者ラサンカ夫人(バーバラ・コルビー)は迫真の演技でした。この後のコロンボ作品にも、犯行を見破る→恐喝→殺される という人が多く出て来ます。やはり金は人生を豊かにするものと考えてしまうのでしょうね。15000ドルとは当時の日本円でたったの540万円相当(2021年では約1,700万円弱)‥。それで命を落としたわけです。

ここ一番でセクシーなラサンカ夫人

バーバラ・コルビーケン・フランクリンを店に招いた夜(命を落とした夜)、彼女は昼はレモンイエローの服だったのですが、夜はセクシーな赤のドレスに着替えています。やっぱり相当舞い上がっていたと思われます。

劇場でケンと一緒にいた美女

アニトラ・フォード劇場で連れていたスーパーモデル並みの美女はアニトラ・フォード。この後お食事もご一緒のはずだったのに、ラサンカ夫人に阻まれてしまいました。ケンはプレイボーイですが、自宅の家政婦さんは地味なおばさんだという賢明さも持っています。(笑)

ジムの奥様ジョアンナ

ローズマリー・フォーサイス被害者ジムの妻ジョアンナはローズマリー・フォーサイス。派手な感じの女性ではなく、真面目で堅実な男性に惹かれるタイプなのでしょう。ジムとの馴れ初めを回想するシーンなど、良い感じですね。

バーニー・クビー

バーニー・クビー気のいい感じの生命保険屋のマイク・タッカーは、俳優バーニー・クビー。この人は25話「権力の墓穴」のジャニス・コールドウェルの葬儀屋「明朝8時半までは、閉めさせていただきます」の人と同一人物です。

ホット・ドッグの屋台

バーニー・クビーそれは良いのですけれど、生命保険屋がこのコロンボ警部とホット・ドッグの屋台で会うシーンで、「屋台がけっこうリアルなホットッ・ドッグの形をしている」のが面白いです。

邦題の「構想の死角」について

仕事柄(笑)毎晩のようにネットでコロンボ情報を調べているわけですが、「高層の死角」という森村誠一さんの推理小説が存在します。1969年に出版されました。この「構想の死角」の2年前です。第15回江戸川乱歩賞も受賞している有名な小説です。何か関連性があるのかな…。

**これより数行は妄想的加筆:2021年2月

深く考えてみると、とても面白い。

決着の付け方に「スカっとした切れ味」がなかったというご意見が多いです。コロンボから第二殺人のお粗末さを指摘されたケンは、第一殺人の優れたアイデアも自分によるものであると主張し引き換えに罪を認めました。これは見ての通り。

ジムの「見逃し」と「うろ覚え」。

ジムは作家としての推理力に非常に長けています。冒頭シーンで銃を構えたケンを見て「手袋」「引金」「空のシリンダー」などを一目で見極めました。なのに殺された時は「手袋をしている」「ソファの上に不自然なビニール」などを見逃しています。しかも車中で「なんだか嫌な気分だな、昔ここらに来たような‥」とも言っていて、どうやら以前ケンから聞かされた殺害方法のヒントを思い出した様子でした。

さて、ジョアンナも初動捜査で警察が来た時に「主人が書いた小説でこのようなトリックがあった」と言っていますが、実際には小説には採用されていません。でもジョアンナやジムの頭にはケンのアイデアの記憶が薄っすら残っていました。

印刷物はコロンボが捏造した証拠?

コロンボは解決シーンで、裏面に第一殺人のトリックがズバリ書かれた印刷物を取り出し、「メルビル夫人用完全犯罪のトリック」として文面を読み上げます。でもこれは今日、オフィスでコロンボが発見したとは考えにくいです。警察が初動捜査で見逃すとは思えません。これはコロンボが書いた偽の証拠かのかも‥。

この殺人劇こそ、ケンが書き上げた傑作。

そしてもしも、これがジム本人が書いたのなら、彼は殺される直前に気づくはず。ケンが5年前に考えた本当のアイデアとは「ジャックとジルは山へ行き、一人は死体で戻る。さてそのトリックは‥」程度の、そう、割と稚拙なアイデア書きで、肝心のトリックは思いつかなかったのかも。それに対し今回の第一殺人のアイデアやトリックは、紛れもなくケンが書き上げた最高傑作だったかもしれません。

掟破りの‥セリフ添削。

ぼろんこがケン・フランクリンのセリフを少し書き換えてみます。コロンボが印刷物のメモを読み上げ、それを止めたケン「そりゃデタラメだよ。それはジムが書いたものじゃない。初めの殺人トリックは、確かに僕がジムを殺すために考えたものだ。どうだね?傑作だろ。僕にだってメルビル夫人は書けるのさ。」THE END.

**2021年の加筆ここまで

ケン・フランクリン邸はエリック・ワーグナー邸

ケン・フランクリン邸は12話「アリバイのダイヤル」のエリック・ワーグナー邸としても登場します。(スタール邸だと勘違いしていましたが別の家でした)
エアオールウェイの豪邸

エリック・ワーグナー邸

監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:スティーブン・ボチコ

ケン・フランクリン:ジャック・キャシディ(声:田口計
リリー・ラ・サンカ:バーバラ・コルビー(声:林洋子)
ジム・フェリス:マーティン・ミルナー(声:堀勝之祐)
ジョアンナ:ローズマリー・フォーサイス(声:野口ふみえ)

加筆:2022年3月6日

刑事コロンボマップ

22話「第三の終章」

Publish or Perish / 1974

2022年の加筆

出版社社長のライリー・グリーンリーフが、契約がもつれたことを恨み、お抱えの売れっ子小説家マロリーを殺害します。この殺害計画に「殺し屋」を雇ったというのはシリーズ中、唯一で、ぼろんこの好みではなく、推薦作から漏れています(*)。ただし、本作を推すファンも多いようで、奥が深そうです。

ガッチリしたアリバイを主張しなかったグリーンリーフ

実行犯はエディ・ケーンなので、もともとアリバイは完璧なはず。しかしグリーンリーフはその夜泥酔していたため、アリバイを主張できない。鍵が殺人現場に落ちていたり、凶器の拳銃もビル内で見つかり、彼のものであったり。あたかもグリーンリーフが犯人であるかのように、証拠がぼろぼろ出てきます。

見逃しがちな些細なシーンに、凄さが隠されている…

テッド・ゲーリング殺人現場の初期捜査で、コロンボ警部がコーヒーやベティ・デイヴィスの映画の話をしながら「カギが合わない」ことを発見する場面。殺人とは無関係の話に気をとられるとポイントを逃します。この時コロンボ警部の話相手になる警備員は、テッド・ゲーリング。

犯人を捕らえる罠工作

カギ屋に立ち寄っているシーンここを見逃すな!という場面はその後、先述した通りグリーンリーフへの疑惑を抱くコロンボが、「ブラックさんのカギ屋に立ち寄っているシーン」数秒のカットで、ウインドウ看板の文字を見なければ、単に「道を尋ねている」くらいにしか気に止めないのですが、このとき既に「グリーンリーフがカギに対する疑惑を解消するために、動く可能性がある」と睨み、細工(カギの交換を発注)をしているのです!

濡れ衣作戦が命取り

エディ・ケーンに全ての罪をなすり付けて、グリーンリーフの作戦は成功するはずだった。マロリーの新作のアイデアが、エディ・ケーンによる持ち込みであったとか、その件で揉め事に発展したとか。凶暴性も含め、彼の犯行動機まで結びつけている。しかし結末は、エディ・ケーンが持っているはずのないマロリーの鍵、そして彼には書けないはずの梗概(あらすじ)が決め手となりました。

原題は「出版か死か(Publish or Perish)」

「第三の終章」という邦題が少し損しているでしょうか?この第三は何を表しているのでしょう。「終章」という言葉も本編には出てこないし。「梗概(こうがい)」を邦題に含めて欲しかった願望があります。例えば‥「盗まれた梗概」とか、笑っちゃいます?殺し屋を雇った(*)ことがマイナスポイントとしなければ、格好良い作品だと言えるかも知れませんんね。

グリーンリーフの悪態が炸裂!

ジャック・キャシディコロンボ作品の中でもスピルバーグ監督が手がけたとして有名な3話「構想の死角」に続き、ジャック・キャシディが犯人役ライリー・グリーンリーフとして再登板。前作以上とも言える圧倒的な存在感です。特に第一殺人のアリバイ工作のために、バーで管を巻くシーンでの台詞「臭せ~店だ。お前もこの店もドブの臭いがする」は、絶好調でした!でも、泥酔し車をぶつけた相手のご婦人に「そんな顔じゃ、整形手術をした方が良いよ」は、言い過ぎ!ドラマの中の台詞としては節度を欠いています。

ジョン・デイビス・チャンドラーのパワー

ジョン・デイビス・チャンドラー第二殺人で被害者となる共犯のエディ・ケーン(ジョン・デイビス・チャンドラー)のキャラは強烈。数々の映画作品に出演されている俳優さんのようです。この「第三の終章」では、ジャック・キャシディ以外のすべての出演俳優を吹き飛ばすパワーを感じました。

エディ・ケーンは橋爪功さん

そのエディ・ケーンの日本語吹き替えは橋爪功さん。日本のミステリードラマなどで数多く刑事役を演じています。(本作とは関係ないけど)

人間コロンボを垣間見るシーン

ロッキー・フレール本筋とは関係がありませんが、高級レストラン「チェイソンズ」でのシーン。おんぼろカーでレストランに到着した時、駐車係(ロッキー・フレール)に「あのクルマは盗まれないから大丈夫」と移動サービスを拒否されていました。

高額なチリを注文してしまう

モーリス・マルサック大好物のチリを注文する場面ではウエイター(モーリス・マルサック)に、メニューに無いチリを無理矢理注文し、さらにケチャップや塩を要求(自分の味にこだわる姿勢?)したりして笑えます。支払い時に高額な請求をされ笑いを誘います。乱暴に計算しますと、チリが6ドルで1800円、追加請求のアイスティが75セントで225円となり、アイスティの方は高級レストランにしては、極端に安い?のかもね(笑)

気になる女優「マリエット・ハートレイ」

マリエット・ハートレイニール出版の秘書アイリーン役のマリエット・ハートレイは41話「死者のメッセージ」でも犯人アビゲイル・ミッチェルの秘書ベロニカを演じています。見た瞬間に目が止まるような不思議な魅力のある女優さんです。

同じマンションに住んでいる?

刑事コロンボのマンションところでアイリーンと11話「悪の温室」のグロリア・ウエストのマンションは同じ外観です。二人がご近所さんであることは間違い無し。

大草原の小さな家「父さんの秘密」

マリエット・ハートレイ大草原の小さな家のシーズン2・19話「父さんの秘密」(1976年)。魅力的な未亡人「エリザベス・サーモンド」役でマリエット・ハートレイを見ることができます。美しく優しい女性として描かれています。

宇宙大作戦(スタートレック)

マリエット・ハートレイまたマリエット・ハートレイは、宇宙大作戦(スタートレック)の「タイムマシンの危機」の回のザラベス役で出演しています。あのスポックが彼女に恋愛感情を抱くエピソードです。1969年放送で、彼女が29歳の時です。

アラン・マロリー役は本物の小説家

ミッキー・スピレインアラン・マロリーを演じたミッキー・スピレインは、ハードボイルド探偵小説「マイク・ハマー」シリーズで知られる有名な小説家です。

ジェフリン・ニール

:ジャックス・オーブションニール出版の社長ジェフリン・ニールは俳優:ジャックス・オーブション。そして日本語吹き替えは、アニメ「ルパン三世」の次元大介や、俳優ジェームズ・コバーンの吹き替えとして知られる「小林清志」さん。58話影なき殺人者のヒュー・クライトン(ダブニー・コールマン)も担当されました。

スイーニー刑事

ルー・パルター第一殺人の現場検証で登場するスイーニー刑事は俳優:ルー・パルター。「スイーニー、そっちなんかあった?」「ないっすね、出るのは埃ばっかり。」こういうマリオ風のキャラクターはぼろんこ好みです、名前も可愛いし(笑)

弁護士のチェイス

アラン・ファッジ弁護士のデイビッド・チェイスを演じたのは、俳優アラン・ファッジ。気付きにくいのですが、この人は46話「汚れた超能力」に登場するCIAのハロー氏と同一人物。さらには56話「殺人講義」の犯人クーパー・レッドマンの父親。

コロンボ警部持参の魔法瓶

コロンボ警部の魔法瓶前半のマロリーさんの殺害現場で、冷めたコーヒーをもらう魔法瓶は、カップが赤くて、本体がアルミ色です。これはマロリーさんのために毎晩用意された魔法瓶なのに、12話「アリバイのダイヤル」でコロンボ警部が持参した魔法瓶と同じ!!
コロンボ警部の魔法瓶それなのに少し後のシーン、ロス市警の取調室でグリーンリーフにコーヒーをすすめる時の魔法瓶は、コロンボ警部の私物っぽいのに「赤くて黒のダイヤ模様の魔法瓶」、これは24話「白鳥の歌」でトミー・ブラウンがセスナに持ち込むバルビタール入りコーヒーの魔法瓶と「同じ!。

→刑事コロンボと魔法瓶

監督:ロバート・バトラー
脚本:ピーター・S・フィッシャー

ライリー・グリーンリーフ::ジャック・キャシディ(声:田口計
エディ・ケーン:ジョン・デイビス・チャンドラー(声:橋爪功)
アイリーン・マクリー:マリエット・ハートレイ(声:公卿敬子)
ジェフリン・ニール(出版社社長):ジャックス・オーブション(声:小林清志
アラン・マロリー:ミッキー・スピレイン
デビッド・チェイス(弁護士):アラン・ファッジ
スイーニー刑事:ルー・パルター
ヤング刑事:ポール・シェーナー
警備員:テッド・ゲーリング
ウォルパート:ジャック・ベンダー
鍵屋のブラック:ジョージ・ブレンリン
駐車係:ロッキー・フレール
ウエイター:モーリス・マルサック
バーテンダー:マイク・ラリー
加筆:2023年1月4日

36話「魔術師の幻想」

Now You See Him / 1976

ジャック・キャシディ

ジャック・キャシディ大魔術師のサンティーニは、自分の隠された過去をネタに恐喝する魔術クラブのオーナーを殺害。サンティーニ役は、刑事コロンボの犯人役の巨匠「ジャック・キャシディ」が三度目の登場です。過去の作品、3話「構想の死角」、22話「第三の終章」と比べても、今回はもっとも良い味を出していたように思えました。

魔術王サンティーニ

ジャック・キャシディの手品の腕前がなかなかのモノです。場面がつなげてある箇所もありますし、仕掛けが見えそうになっているシーンも確かにありますが、それにしてもお見事。スターとしての風格が漂うサンティーニ。ユーモアもたっぷりで、ジャック・キャシディのハマり役だたっと言えます。

娘のデラはシンシア・サイクス

シンシア・サイクスサンティーニの魔術のアシスアントで娘のデラは女優「シンシア・サイクス」。パッと目をひくような美女で、コロンボファンの男性陣に人気のようです。

ボブ・ディシー

ボブ・ディシー強力な脇役として、ウイルソン刑事「ボブ・ディシー」も再登場しました。11話「悪の温室」とほぼ同じテイストで、抜群の存在感でした。刑事役としてこのように、印象深く配置されることは稀で、やはり別格ということでしょう。

文明の利器が決め手になるパターン。

リボン式タイプライターが証拠になりました。これは犯人の大きな見落としですが、最新式なので気づかなかったか‥。また、小さなスピーカーから聴こえる声を実際の人間の声と間違えるだろうか?とか、いくつかの疑問が残りましたが、とても楽しめる作品に仕上がっています。

裏方のジョージ

レドモンド・グリーソンジェロームの店でアナウンスなど裏方で活躍するジョージは俳優:レドモンド・グリーソン。サンティーニに「ジェロームさんを消しちゃってください」とジョークを言う男性です。彼は31話「5時30分の目撃者」でマーク・コリアーの友人(ホームパーティの一人)です。

ロバート・ロジア

ロバート・ロジアブランドフォード役のロバート・ロジアも、素敵でした。大忙しの厨房で「おふくろが来てキスしても気付きませんぜ」は金言。ラストシーンの直前ではサンティーニが殺人犯人だと知らされていたのでしょう、少し冷ややかな態度でした。

悪人オーナーのジェローム

ネヘミア・パーソフ暖炉で薪を炊き、顔にびっしょり汗をかきながら、食事をしながら、サンティーニを恐喝するジェローム。なかなかのど悪人のようで、店の従業員たちからも嫌われています。演じるネヘミア・パーソフはイスラエル出身の俳優というのも隠し味か。

気のいいやつ、サッカリー

ジョージ・スパーダコスお店の従業員、サッカリー役はジョージ・スパーダコス。魔術王サンティーニとも仲の良い彼は、この後の40話「殺しの序曲」でシグマクラブ員のワグナー役でも出演しています。

手品ショップの店主

セイヤー・デヴィッドその他、意外と効いていた役者さんが、手品ショップの店主「セイヤー・デヴィッド:Thayer David」。吹き替えの声優さんの良さもありますが、良い味でした。

警察署の研究員

ロバート・ギボンズロス市警の署内で鍵や凶器の拳銃などについて分析して語るおじさんは、俳優:ロバート・ギボンズ。どっかで見たことある?そうそう、9話「パイルD-3の壁」で長蛇の列ができた役所のオヤジさんです!

大草原の小さな家

ロバート・ギボンズこのロバート・ギボンズは、テレビドラマ「大草原の小さな家」のシーズン3の7話「春の別れ(後編)*」で、駅員役を演じています。ちょっとした端役なのですが、良い味を出しています。*他の回でも駅員役を演じています。

ビクター・イゼイ

ビクター・イゼイ「若い人はせっかちだ」とかコロンボに説教する鍵屋の主人は、ビクター・イゼイ。この人は26話「自縛の紐」でスタッフォードの死因について語る検死官と同一人物なんです!両者とも、なかなか良い味を出してくれていますよ。それと38話「ルーサン警部の犯罪」では、ややこしいですが劇中劇の犯人役で出ています。

伝説のちょい役俳優「マイク・ラリー」

マイク・ラリー刑事コロンボシリーズに何十回もちょい役で出演している「マイク・ラリー」。今回は「マイケル・ラリー」として出演しています。サンティーニの友人で、元ヨーロッパ随一の綱渡りの名人の老人の役です。

レストランでサンティーニに誘われる女性

キャサラン・スキレンレストランでサンティーニに巡業の新しい助手に誘われる女性は、女優キャサラン・スキレン。プロフィールを調べますと、この人は女優だけでなく近年はドラマ「AVA」のプロデューサーなどでも活躍しているようです。

ハッ、ホッ という奇妙な台詞

サンティーニのショウを見に来たコロンボ警部は、こっそり控え室に忍び込み水槽の幻想の仕掛けを見破ります。その場面で「あの手錠外しはお見事でした、流石、名人ですな~ハッ」という、妙な台詞がありますが、これは英語バージョンも同じでした。
ブログのゲストさんのお話:「英語の表現としては、さほど奇妙なものではありません」とのことでした。参考にさせて頂きます。

新調されたコートが、何とも…

新調されたコロンボのコート新調されたコロンボのコートが滑稽。まるで銀河鉄道999に出てくる、車掌さんのようにも見えました。この1回きりで、またもとのヨレヨレのコートに戻りますが、素晴らしい味付けだと感心します。

マジックショーのライト夫妻

ゲーリー・ライト1回目のマジックショーの舞台に登場するお客さんの男性は俳優「ゲーリー・ライト」です。サンティーニから「ライト夫妻に拍手をどうぞ」と本名で紹介されていますね。ゲーリー・ライトは今計7回目の刑事コロンボ出演で、有終の美を飾りました。

ジェロームの秘書

ドロシー・デルスこのショーが始まる前に、>ジェロームに金庫を渡しながら「今夜も大入りですか?」と話しかける秘書は、ドロシー・デルス。この金髪女性は38話「ルーサン警部の犯罪」で、コロンボ警部が映り込んじゃうシーンのスタッフです。

ほんの些細な発見ですが‥

ベンジー・バンクロフトラストでサンティーニを連行する際に、肩に手をかけ睨まれる警察官は、俳優ベンジー・バンクロフト。この人‥印象薄いのですが、17話「断たれた音」のチェスの試合の立会人の一人です。向かって左に座っている男性。また13話「ロンドンの傘」の芝居の打ち上げパーティにも居ます(笑)

どうでも良いような発見ですが‥

ボブ・ホークスさらにどうでも良い発見ですが、ジェロームの店のウエイターの一人は俳優ボブ・ホークスで、名作19話「別れのワイン」のバーで「先週の火曜に雨が降らなかったか?」と尋ねられ「さぁ覚えていないね」と答える男性のお客さんです。

これは、すごい発見ですが!

今回出てくるジェロームの店(少なくともその外観)は、24話「白鳥の歌」で、エドナとメアリーアンの葬儀が行われた教会と同じです!これはブログのゲストさんがコメントで教えてくれました。すごい発見です。
教会ジェロームの店2436
コロンボマップ
コロンボマップ

監督:ハーヴェイ・ハート
脚本:マイケル・スローン

グレート・サンティーニ:ジャック・キャシディ(声:田口計
デラ(サンティーニの娘):シンシア・サイクス
フレデリック・ウィルソン刑事:ボブ・ディシー(声:野本礼三
ブランドフォード:ロバート・ロジア(声:草薙幸二郎)
ジェシー・ジェローム:ネヘミア・パーソフ(声:立川勇三)
ラシター:ビクター・イゼイ
マイケル・ラリー:マイク・ラリー
ゲーリー・ライト:ゲーリー・ライト
ウエイター:ボブ・ホークス

加筆:2022年8月13日