コロンボ警部の愛車プジョー・403

ボロボロの愛車は1959年式のプジョー・403コンバーチブル

セレブな犯人たちは、こぞってこの車を「ボロ車」と見下しますが、コロンボ警部はこれを「外車」だと自慢気に話すことが多く、その反面カミさんの車は「どーってことない車」と過小評価します。

3話「構想の死角」でのプジョー・403コンバーチブル、まだポンコツの印象はありません。しかし4話「指輪の爪あと」では早くも不審車と見なされ、白バイに止められました。警部だとわかると事件現場まで先導してもらっています。初期作品のプジョー・403のキャンバスは濃いグレーだとはっきり分かります。

指輪指輪の爪あとのプジョー・403指輪指輪の爪あとのプジョー・40334

7話「もう一つの鍵」ではキャンバストップを開け、ピーター(レスリー・ニールセン)とハンバーガーを食べました。10話「黒のエチュード」では修理工に「うちは外車専門(プジョーも外車なのに)なんでね‥」と修理を渋られています。

もう一つの鍵の爪あとのプジョー・403黒のエチュードのプジョー・403710

12話「アリバイのダイヤル」で空港に駆けつけたプジョー・403。14話「偶像のレクイエム」では、大女優:ノーラ・チャンドラーがこの車に同乗したのことは奇跡かもしれません。この頃のボディの汚れ具合は尋常ではありません。演出上わざと汚しているのだと思います。(笑)

アリバイのダイヤルのプジョー・403偶像のレクイエムのプジョー・4031214

16話「絶たれた音」ではクレイトン氏を誘って、そよ風を浴びながら市内をドライブしました。レストランに到着した場面では、車の左後方の様子を見ることができます。18話「毒のある花」では、美容体操の女性に囲まれました。かなり高い位置からの車の様子です。

絶たれた音のプジョー・403毒のある花のプジョー・4031618

19話「別れのワイン」で、レストランのドアボーイに「ここまで走り込んだ車は珍しいですよね」と話しかけられ「15万キロ走っているからね。汝の車を愛せ、されば車も良く走る」と答えた直後に、全くエンジンがかかりません。22話「第三の終章」でも、レストランのドアボーイから「この車は盗まれない」として駐車場への移動を拒否されました。

別れのワインのプジョー・403第三の終章のプジョー・4031922

20話「野望の果て」では検問に引っかかり、ワイパーなどの整備不良を指摘されました。修理に出したガソリンスタンドでは「これだけイカれてちゃね」と高額な修理代:約25,000円を請求されました。写真の2台を比較しますと、キャンバスの色がベージュに見えたり濃いグレーに見えたりしますが、ボディの凹みで同車だと確認できます。

別れのワインのプジョー・403第三の終章のプジョー・4032020

25話「権力の墓穴」で、コールドウェルの妻の交際相手から、何と約28,000円で下取りに出さないか?と誘われました。そう言えば、この回のプジョー・403は絶不調でしたね。

権力の墓穴のプジョー・403権力の墓穴のプジョー・4032525

27話「逆転の構図」の殺人現場の廃車場で「車を捨てにきた人」だと勘違いされました。砂煙を立てた直後だということもあり、より一層ポンコツに見えますね。

逆転の構図のプジョー・403逆転の構図のプジョー・4032727

「逆転の構図」後半で試験官ウイークリーがこの車に乗りますが、ドアがなかなか開きません。また、この頃までのプジョー・403のダッシュボードには、クリップ金具のような装飾が付いています。「これは一体何なのか?」いつか結論を出したいです。→プジョー・403コンバーチブルのダッシュボード

プジョー・403のダッシュボードプジョー・403のダッシュボード2027

28話「祝砲の挽歌」ではフロント側を、30話「ビデオテープの証言」では右サイドのプジョー・403の勇姿をはっきり確認できます。

祝砲の挽歌のプジョー・403ビデオテープの証のプジョー・4032830

32話「忘れられたスター」では左側のピラー(フロントガラスの支柱)や、左ドアの凹み・傷を見て取れます。

忘れられたスターのプジョー・403忘れられたスターのプジョー・4033232

34話「仮面の男」ではガゾリンスタンドでの給油シーンも登場します。この時リアバンパーがかなり凹んでいることがわかります。

仮面の男のプジョー・403仮面の男のプジョー・4033434

下の写真を見てください。4話「指輪の爪あと」、23話「愛情の計算」当時と比較しますと、リアバンパーの牙のようなパーツは欠落し、いかに損傷が進んだかが分かります。

指輪の爪あとのプジョー・403愛情の計算のプジョー・403423

35話「闘牛士の栄光」のメキシコではガッチャンこ、交通事故を起こしました。傷の位置を検証しますと、これはメキシコロケ用の車ではなく、これまでのプジョー・403と同車です。その後の36話「ルーサン警部の犯罪」では、大破していないフロントグリルを確認できます。

闘牛士の栄光のプジョー・403ルーサン警部の犯罪のプジョー・4033536

37話「さらば提督」でも、キャンバスをオープンした状態を見ることができます。その後、39話「黄金のバックル」では、パトカーに追突してしまいました。これが原因でナンバープレートが破損したのだと思われます。

さらば提督のプジョー・403黄金のバックルのプジョー・4033739

40話「殺しの序曲」シグマクラブ前の場面、左側のキャンバスに黒いテープで補強しています。この直後、他の車に激突しそうになりました。41話「死者のメッセージ」ではまだ2灯のヘッドライトが健在です。この車は39話のプジョー・403と異なる可能性があります。左ドアのへこみ方が違います。左前のホイールキャップもありません。

殺しの序曲のプジョー・403死者のメッセージのプジョー・4034041

43話「秒読みの殺人」の冒頭でまたまた、楽しく鼻歌を歌いながら運転中に事故を起こしました。そしてこのプジョー・403のダッシュボードには、クリップ金具のような装飾は無くなっています。

秒読みの殺人のプジョー・403秒読みの殺人のプジョー・4034343

44話「攻撃命令」や45話「策謀の結滅」にかけて、左側のヘッドライトとフロントバンパーの「牙」のようなパーツ「が無くなっています。ナンバープレートもさらに傾き、何とかぶら下がっている状態です。これはもう公道を走行は許されないでしょう(笑)

攻撃命令のプジョー・403策謀の結滅のプジョー・4034445

*この記事は書きかけです。

52話「完全犯罪の誤算」のオスカー・フィンチから「鉄クズ」だと呼ばれました。

57話「犯罪警報」のウェイド・アンダースから「昨日や今日の痛みじゃない」と言われました。また彼のベンツと接触事故を起こしています。

63話「4時02分の銃声」のフィールディング・チェイス邸でバックファイアーを連発しました。

など、逸話は数えきれません。(気付くたびに加筆します)

加筆:2021年2月18日

4話「指輪の爪あと」

Death Lends a Hand / 1971

刑事コロンボらしさが確立した初期の傑作「指輪の爪あと」

作品として素晴らしいです。成功を収めた探偵社の社長ブリマー「ロバート・カルプ」のキャラクターも印象的。成功者が調子に乗りすぎて足を踏み外して一気に転落するというシナリオも、コロンボ作品らしくて好きです。「計画殺人ではない」という点ではイレギュラー的な展開を見せます。

コロンボ警部も負けていませんでした。

同業者(事件捜査)による犯罪のエピソードは他にも例がありますが、今回は成功をおさめた探偵です。一見してコロンボ警部を見下し、小馬鹿にするブリマーに対し「この手相は成功しそうでいて、失敗しそうな性格」と、言い返す場面は見逃せません。

運命論者と手相見。

2021年の再放送でこの「運命論者と手相見」のつながりが腑に落ちました。コロンボ警部は死体発見現場で、ケニカット夫人の頬に傷を発見します。翌日ケニカット邸で初めてブリマーに会った時、彼の大きな指輪を発見し、傷が「指輪の爪あと」の可能性がある‥とピンと来ています。それで少し意味深に、「目の前にぱっと灯りがついた気分」「幸先がいい」「ついている」と言っています。そしてそれを「手相見」につなげ、さりげなくブリマーの指輪を観察しているのです。シーンを見直しますとケニカット氏は「右手」、ブリマー氏は「左手」の手相を見ています。すでに‥左利きで左指に指輪を大きな指輪をしている者がバックハンドで殴った可能性が高いと睨んでいる!(加筆:202110月)

ラストシーンでコロンボ警部は「運命なんて信じない」とも言っています。これは手相見が「小芝居」であることも告白しているのです。だから「ケニカット夫人はコンタクトレンズを落としていない」「運良く車が故障したのではない」‥ただし、あの時ブリマーが「のこのこ」自分の前に現れたこと、これは実に運が良かった‥というオチですね。(加筆:202110月)

二つのレンズで別の場面を描写

ロバート・カルプ殺人シーンから隠蔽作業の表現で、犯人役ロバート・カルプのサングラスのレンズに映り込みを利用したのは、とても面白いです。左右のレンズで別々の場面を映し出し、スリリングに仕上げています。ちなみに6話「二枚のドガの絵」では犯行シーンで「ガ~ン、ガ~ン」みたいな音楽とともに画面が揺れていました。(笑)

ロバート・カルプの憎まれ役は最高

ロバート・カルプ俳優ロバート・カルプは他のコロンボ作品でも見ることができますが、この「指輪の爪あと」のブリマー氏の「傲慢」「短気」「高圧的」「インテリ肌」は格別です。特に短気な性格は、ストーリーのいろいろな場所で効果的に描写されています。

ロバート・カルプが毎回同じファッションをしている件

アリバイのダイヤルのロバート・カルプこれはかなり味の良いトリビアです。ゲストコメンテーターさんが発見してくれました。ロバート・カルプが犯人役を演じた3作品ですが、何といずれも「同じ服を着ているのです」。詳しくは→「ロバート・カルプが毎回同じファッションをしている件」をお読みください。

相手の弱みにつけ込んだことが、自分の命取りになる…。

パトリシア・クローリー選挙に有力な情報を教えろとブリマーに脅迫されたケニカット(パトリシア・クローリー)夫人が、開き直ってブリマーを脅迫仕返すのはグッドな設定です。「それだけはいけません、奥さん」「探偵事務所をここまでに築き上げるのにどれほど苦労をしたか…」というブリマーの本音が出ていました。

殺人ではなく傷害致死?

3話の「構想の死角」では「脅迫された相手を殺してしまう」のですが、この作品では、その逆展開をやっています。夫婦関係は一つや二つの失敗で壊れないもの、自分は正直にすべてを主人に話す…と開き直られて逆上して殺害に及ぶのです。しかしよく考えてみると、これは「殺人」ではなく「傷害致死」でしょうか?「殺す気はなかった…」と言っていますしね。
相手の破滅と引き換えに利益を得ようとする発想は、自分にも最大のリスクを発生させるという教訓を感じます。今回ケニカット夫人は利益ではなく復讐の意図でブリマーに逆襲しますが、相手に逃げ道を示すことを考えつけば、命は落とさなかったことでしょう。

ブリマーはコロンボの思い通りに動かされている…

最後は犯人に罠をしかけるパターンで解決を迎えますが、その過程で徐々に犯人を精神的に追いつめて行く手法も見逃せないですね。その中でも、コロンボに示唆され「自宅でコンタクトレンズを探している」シーンはこっけいです。台詞にはありませんが「そうか、クルマの中だ!」と気付いて、修理工場に忍び込むのですが、全てコロンボ警部の「シナリオ通りに動かされている」というわけでした。

原題の「death lends a hand」は乱暴な直訳で「死は手伝います」。最初はピンと来ない気がしましたが、ブリマーが事件捜査に手を貸す振りをしてコロンボに接近したことや、決め手となった「コンタクトレンズ(Lens)」をひっかけたものと思われ、興味深いものだと思えます。

レイ・ミランド

レイ・ミランド殺害されたレノア・ケニカットのご主人アーサー・ケニカットはレイ・ミランド[Ray Milland]で後の11話「悪の温室」で犯人のジャービス・グッドウィン(今回とは風貌が異なる:笑)を好演する名優です。どちらも流石の演技でしてコロンボファンの心を掴んでいます。

オスカー俳優レイ・ミランド

1945年の映画「失われた週末」ではアカデミー主演男優賞を受賞しています。まだ38歳の若々しいレイ・ミランドに会えますよ。Amazon Prime VideoなどのVODで見られる場合もありますので、ぜひチャレンジしみてください。

ギル・メレの音楽

ブリマーがケニカット夫人を死なせてしまってから死体を捨てに行くシーンのBGMに軽快なジャズ音楽が流れます。これはジャズ音楽家「ギル・メレ(Gil Mellé)」によるものです。それに自動車工場のエンディングシーンのBGMもギル・メレ。この曲は、なんと9話「パイルD-3の壁」のエンディングシーンでも同じように使われているの、気づいてました?

ギル・メレの音楽はこの他、5話「ホリスター将軍のコレクション」 、8話「死の方程式」などにも使われています。

刑事コロンボマップ
刑事コロンボマップブリマー邸は「潮風が当たる」マリブビーチにあります。その一方ケニカット邸はもう少しロサンゼルス中心に近い場所で、近くにはハルプリン次長が住むベルエア地区もあります。
マリブ周辺(ブリマー邸)
ベルエア周辺(ケニカット邸)

ケニカット邸は映画「ゴッドファーザー」等にも登場

アーサー・ケニカット邸は、LAでも有名な豪邸「通称ビバリー・ハウス」で、皆さんご存知の映画「ゴッドファーザー」や「ボディーガード」にも登場していることが判明しました。ぜひご覧ください。加筆:2023年12月30日
「指輪の爪あと」のケニカット邸

3年ぶりに本作品を見て、印象が多少変わりました

2009年にNHK BS2(当時)で再放送されたシリーズで、本作品と再会しました。その頃は、1話より順に放送されていなかった記憶があります。
加筆:2012年6月4日にAXNミステリーで再放送されました。それを見ながら書いています。

まず第一に、ブリマー氏は当時感じたほど「高圧的」ではありませんでした。その後の作品「権力の墓穴:ハルプリン次長」「4時02分の銃声:フィールディング・チェイス」などの豪傑を見ましたので(笑)。ブリマー氏は「威張り腐っている」感じより、むしろ「自分をやや謙遜しつつ」「猫なで声ですり寄ってきて」「相手の隙を狙っている」ように映りました。
またブリマーは、ケニカット氏への体面上ではコロンボ警部を小馬鹿にしていますが、実は会う前から警部を「切れ者」だと気付いています。警察署長にコロンボについて下調べをしているのです。初対面の時も「ゴルフバッグ」を発見され先制パンチを喰らいました。

本当に隙・無駄の無い作品

○白バイに停められるシーンでの会話→免許の書き換え
○出口を間違える→ゴルフバッグの発見
○客の秘密を喋りそうな部下を激怒→関係した部下を外す・短気な性格を引き出す
○犯人の逮捕をほのめかす→自動車修理工場へ出向かせる
など、すべてのシーン・台詞がストーリー展開に重要な役割を果たしていて、展開も速く非常にスリリングです。またメガネの映り込みのシーンは、思ったよりも長めで、証拠を隠滅する作業の時間経過と、人を殺してしまったという後悔の気持ちや不安な感情を、台詞無しで表現しているものです。指紋を拭き取る動作など、かなりテキパキしていますし、その反面表情は複雑です。

クライマックスも見事

ピアノで「ガーン」「ガーン」「ガーン」と打ち鳴らし緊張感をあおる。そしてパッと真っ白に照らすヘッドライト。証拠を捨てようとする瞬間を捕らえる。観念したブリマーが犯行を認めて謝る。ケニカットとの会話で仕掛けた罠を明かす。ユーモアたっぷりのエンディング。素晴らしかったです。

受領書をもらう際に筆記用具を忘れている

ブリマーが左利きであることに気づくシーンで、得意技である「筆記用具を忘れる」が出ていました。
→ コロンボはよく「筆記用具を忘れる」件

怒鳴られるジェニング

ジェニングブリマー探偵社の社員でコロンボ警部の案内役を仰せつかったジェニングは俳優:エリックジェームス。社長に怒鳴られたシーンが印象に残ります。彼はこの1〜2年で数作品にしか出ておらず、ひょっとして早死にしたかな…。

ゴルフプロのアーチャー

ゴルフプロのアーチャー一方ケニカット夫人の浮気相手、ゴルフは素人とちょぼちょぼの腕前のゴルフレッスンプロ「ケン・アーチャー」は俳優ブルット・ホールジー。この人は70年代から2010年代まで俳優として活躍しているようです。ゴッドファーザーIIIにも出ているそう。肉眼で見つけたら加筆します。それにしても、コロンボ警部のゴルフの腕前は凄かった!

殺人現場の検証でマッチを借りる

検死官などにマッチを貸してくれるよう頼むが、ことごとく断られ、数人後にやっとこさ持っている人に出会う。
  
監督:バーナード・L・コワルスキー
脚本:リチャード・レビンソン/ウィリアム・リンク
音楽:ギル・メレ

ブリマー所長:ロバート・カルプ(声:梅野泰靖
アーサー・ケニカット:レイ・ミランド(声:横森久)
レノア・ケニカット:パトリシア・クローリー(声:池田昌子)
ケン・アーチャー:ブルット・ホールジー(声:阪脩
 
*本編を見る限り犯人のブリマーはファーストネームは不明です。(ノベライズ:小説版では、マイケルだそう。)これは全69作中、36話「魔術師の幻想」の「グレート(偉大なる)・サンティーニ」と二人のみ。
 
加筆:2023年12月30日

20話「野望の果て」

Candidate for Crime / 1973

動機は十分と言えそう。

ケン・スウォフォード上院議員候補ヘイワード氏が自分の選挙参謀ハリー・ストーン(ケン・スウォフォード)を殺害します。被害者ストーンはヘイワードの不倫の秘密を知っており「愛人と別れるように」命令したことが直接要因となっています。動機はそれだけではないのでしょう。脇役であるはずの選挙参謀が主人公である上院議員候補に対し「自分の操り人形になれ」とばかりの横柄な態度を見せています。

冒頭シーンのBGM

このどこか不気味な雰囲気のする音楽は、24話「白鳥の歌」や25話「権力の墓穴」にもアレンジを変えて使われています。印象的な曲で大好きです。

YouTube「野望の果ての冒頭シーンをパソコン演奏で再現」しました。音楽もお好きな方は、こちらもご覧ください。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

脅迫に屈しない候補者をジャッキー・クーパーが好演。

ヘイワード氏はたとえ脅迫されようとも屈せず、犯罪撲滅を訴える勇気ある候補者を演じようとしていました。脅迫犯がストーンを殺害することで「同情票と邪魔者抹殺」の一石二鳥を狙ったのでしょう。それにしても選挙前の最も大切な時期に、身近な人物を殺害してしまうというリスキーな行動に出るでしょうか?

しかし、それを納得させちゃうようなキャラクターが犯人のネルソン・ヘイワード(ジャッキー・クーパー)です。全編に彼の人間臭さ、幼稚さが描かれています。ヘイワードはコロンボの執拗な捜査に腹を立て、嫌悪感を露にします。そして愛人と本妻との板挟みで、徐々に選挙どころではなくなっていきました。

日本語版吹き替えは初代風車の弥七。

日本語版吹き替え:中谷一郎(なかたにいちろう)さんはテレビ時代劇「水戸黄門」の初代「風車の弥七」としてもお馴染みの俳優さんです。

待たされた選挙事務所での観察眼

夫人と仲睦まじい演技を見せるヘイワード。それを不愉快そうに眺めるリンダ。新調した上着を届けに来る男性。「妻の秘書であるはず」のリンダと執務室で二人きりで打ち合わせをしているヘイワード。コロンボは待たされている間、そんなことを観察しています。

ヘイワード候補の説明は、ことごとく却下。

執務室では、コロンボの疑問を解決すべく答えた「アドバイス」が、ことごとく跳ね返され次第に追いつめられていきます。

行動がいちいちわざとらしい、ヘイワード氏。

後半で妻の秘書リンダに「脅迫状が届いたことを告げる」シーンは面白いです。すごくわざとらしいヘイワードの表情と口調を楽しめます。また、テレビ演説の収録場面はコロンボと奥さんの会話で気が散ってしまうヘイワードさんも可愛いです。

選挙対策室ベランダの爆竹は大減点!

ラストの自作自演の場面では、ベランダに爆竹の燃えカスが残ったはずで、これが「減点対象」となりこの作品の支持者を大幅に減らしています。たった今銃撃されたことを周囲に認めさせる工作ですが、かなり無理があります。この爆竹問題ですが何度見ても納得できず、「傑作選」からワンランク降格し「名作選」に移動しました。

「野望の果て」は出演者のキャラクターが光ります。

犯人役のヘイワード氏を筆頭に、憎まれ役の参謀ハリー・ストーン、美人秘書のリンダ、夫人のビクトリアなどなど。とても魅力的な脇役が揃っています。

ジャッキー・クーパーのラストの表情は切ない

ジャッキー・クーパー演技が軽いという評もあるようですが、刑事コロンボの犯人役で最も印象に残る人のひとりです。また彼が逮捕されるシーンではコロンボ警部の「はい。はい。はい。はい。いいえ。」という名台詞が登場します。そして「あなたを逮捕します」と言われた直後のジャッキー・クーパーの表情「目を閉じる演技」は哀愁が漂います。

初期コロンボの美人秘書の典型?

ティシャ・スターリングこの作品「野望の果て」の脇役ヘイワード夫人の秘書のリンダ(ティシャ・スターリング Tisha Sterling)は、コロンボ作品に登場する若い美女像の典型のように感じます。その後に登場する26話「自縛の紐」の犯人マイロ・ジャナスの秘書ジェシカ・コンロイにも共通点を感じました。

リンダは真面目で正直者だから…

リンダはコロンボの執拗な聞き込みに対して「何も知りません、失礼します。」と、一刻も早く立ち去ろうとします。しかしヘイワードの人格性について聞かれると、好意を抱いていることを見透かされ、ハリー・ストーンをよく思っていないことを力説してしまうなど、正直すぎて益々疑われてしまうのです。

刑事コロンボで最も素敵な「犯人の奥様」の一人

ジョアンヌ・リンヴィルヘイワード夫人はジョアンヌ・リンヴィル(Joanne Linville)で、シリーズ中で最も素敵な「犯人の奥様」だったと思えます。夫の選挙活動の手伝いから、不倫疑惑の浮上、殺人犯人へと転落するまでの心の動きをよく表現していました。

テレビ演説でのカメラ撮りのシーン

テレビ演説でのカメラ撮りでの彼女とコロンボ警部とのやりとりは楽しく描かれていましたね。コロンボから「ハリー・ストーンが頑丈な腕時計を所有していた」と…テントの柱でコツンと音を立てられ、ビクッとする仕草が可愛かったです。その他のシーンでも、夫の行動に疑惑を感じつつも、愛は失っていない妻の心情がよく出ていました。

宇宙大作戦

ジョアンヌ・リンヴィルこのジョアンヌ・リンヴィルは、同時代の人気SFドラマ宇宙大作戦の「透明宇宙船」で、ロミュラン人の司令官役で出演しています。さすがの美しさで本作のゲストスターで主役級です。ロミュラン人とバルカン人の先祖は同じだと言うことで、このような眉と耳です。

ヘイワード夫人の親友はミシンのおばちゃん

ルシール・メレディスコロンボファンの方より教えていただいた情報ですが、ヘイワード夫人の親友「ルーシー」は24話「白鳥の歌」で「ミシンのおばちゃん」と同一人物「ルシール・メレディス(Lucille Meredith)」さんです。

まさか奥様まで殺害?

自宅の(びっくり)バースデイパーティの冒頭シーン。まさか奥様までついでに殺してしまうのか?と思わせる効果的なシーンでした。その後、明るくなった部屋で「奥様に会うためにそんなに手数をかける‥」のセリフがルシール・メレディスさんです。

なんで名前が違うの…?

ロバート・カーンズヘイワード氏の警備を担当したバーノン刑事は、11話「悪の温室」でグローバー刑事として登場していましたね。両役とも良い味を出していたと思います。演じるのは「ロバート・カーンズ」という俳優さん、この人は大好きです。
参照:「ロス警察の気になる同僚たち」

ヘイワード候補の護衛の責任者

リジス・コーディックヘイワード候補の護衛の責任者で、殺害されたのがストーンだと分かると、その捜査をコロンボに任せる上司は俳優「リジス・コーディック」。この人は前作の19話「別れのワイン」でエイドリアンの友人ルイスを演じています。

ロハス刑事

ジェイ・バレラ前半で選挙対策室の駐車場から立ち去るヘーワード(本当はストーン)の車を追いかけ、跳ねられそうになるのがロハス刑事:ジェイ・バレラです。その後は2度と失敗しないよう、ギラギラした目つきでヘイワードに張り付いて護衛する姿がとても印象的。この人は33話「ハッサン・サラーの反逆」でオルテガ警部として再登場しています。

チャドウィック紳士服店

ヴィトー・スコッティチャドウィック紳士服店のマネージャーは名優ヴィトー・スコッティ。犯人のネルソン・ヘイワード氏の行き付けの紳士服店で、コロンボ警部が自分もボウリング祭り用のジャケットを作って欲しいと依頼し、軽くあしらわれるシーン。仕上がりの期日を告げられて態度を一転するのがこっけい。

ジュード・フェアズ

ジュード・フェアズコロンボ警部が「プジョー403」を運転中に検問される際に登場する若い方の警官役のジュード・フェアズは26話「自縛の紐」で健康クラブの清掃員:マーフィとして再登場しています。愛嬌のある表情が素敵です。ワイパーのぎこちない動きに唖然としてました(笑)

同行の警察官も可愛いおじさん

サンディー・ケニオンジュード・フェアズと共にコロンボ警部の「プジョー403」を検問する警察官は「サンディー・ケニオン」。必ず車を修理するように警告します。時間稼ぎのようなシーンですが、この後「車を整備に出しヒントを得る」ことにつながっています。

ガゾリンスタンドの整備士

ジェームス・G・リチャードソンコロンボの「プジョー403」を修理した整備士シェリーは、ジェームス・G・リチャードソン。修理費が高いだの、変装して捜査か?だの、楽しい会話のシーンです。事件当夜にはガソリンが売り切れて、店を早仕舞いしたという重要な証言を得て、高い修理代が帳消しになりました。

テレビのアナウンサー

クリート・ロバーツ選挙速報のテレビ番組のアンサウンサーは、「クリート・ロバーツ」で俳優というより実際にアナリスト的に活躍されていた方のようです。5話「ホリスター将軍のコレクション」でもアナウンサーとしてテレビに写っています。

同じ風景画が、最低でも3回出現。
ブログゲストさんから情報をいただき検証しました。レイ・フレミングのマンション、ネルソン・ヘイワードのホテルの風景は同じでした!さらに調査した結果、ケイ・フリーストンのオフィスの窓にも出現しています。

レイ・フレミングのマンションの風景1

ネルソン・ヘイワードのホテルの風景20

ケイ・フリーストンのオフィスの風景43

ヘイワードの別荘はマリブ

ヘイワードの別荘
ヘイワードの別荘はLA西部のマリブの海岸沿いです。コロンボが車を修理したガソリンスタンドとの距離感も参考にするとさらに楽しめます。

監督:ボリス・セイガル
脚本:アービング・パールバーグ 他
原案:ラリー・コーエン
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

ネルソン・ヘイワード:ジャッキー・クーパー(声:中谷一郎)
ビクトリア・ヘイワード:ジョアンヌ・リンヴィル(声:稲野和子)
リンダ・ジョンソン:ティシャ・スターリング(声:津田京子)
ハリー・ストーン:ケン・スウォフォード(声:鎗田順吉)
紳士服店主チャドウィック:ヴィトー・スコッティ(声:石井敏郎)
バーノン刑事:ロバート・カーンズ(声:藤本譲)
ビクトリアの友人ルーシー:ルシール・メレディス
ビクトリアの友人:ダイアン・ ターレイ・トラヴィス
検問の警察官1:ジュード・フェアズ
検問の警察官2:サンディー・ケニオン
整備士シェリー:ジェームス・G・リチャード
テレビのアナウンサー:クリート・ロバーツ
歯医者メレンチョ:マリオ・ガロ
ロハス刑事:ジェイ・バレラ
選挙スタッフ:マイク・ラリー

加筆:2023年1月4日

刑事コロンボマップ 刑事ぼろんこチャンネル

27話「逆転の構図」

Negative Reaction / 1974

傑作の一つ「逆転の構図」

ディック・ヴァン・ダイク著名な写真家ポール・ガレスコ(ディック・ヴァン・ダイク)が口うるさい妻を殺害し、誘拐殺人に見せかけるというお話です。この作品、「ポール・ガレスコ」という犯人の名前が非常に印象的で、小学生時代に見た頃から、コロンボシリーズ中、最も好きな作品として心に残っていました。そしてNHK BSの再放送で数十年ぶりに再会しました。色褪せていません、傑作のひとつだと思います。

殺意を抱き続ける夫、ポール・ガレスコ

まず、被害者にも非があること。計画的な殺害でありほぼ計画通りに実行できている。動機が十分である(と、思われる…。本当は殺してはいけません。)。状況証拠の揃え方も見事。コロンボ警部がしつこく犯人がいらだつ。結末が意外性を持っていて爽快。などなどです。

妻のフランシス

アントワネット・バウアー犯人のポール・ガレスコは「この世からお前が消えてくれれば良いのに‥と何度も願った」ほど、妻のフランシス(アントワネット・バウアー)を憎んでいました。会話の中で「15年間」と言っていますが、離婚できなかったのでしょうか?おそらく計画通りに事(殺人)が運べば離婚より幸せな将来が待っていると想像したのでしょう。

計画はほぼ思い通りに進みます。1点のみ、廃車置き場でトマス・ドーラン(ヴィトー・スコッティ)(浮浪者風の男)に殺害の様子を「聞かれた」こと以外でしょうか。それも決定的な証拠とはなりません。むしろ、計画通りに運んだのだが、数カ所の「落ち度」をコロンボ警部に見抜かれてしまうことが、命取りになります。

ガレスコ氏の緻密な殺害計画

ドン・ゴードンガレスコ氏の計画は、なかなかのものです。ガソリンスタンドでのアリバイ工作。メイドに誘拐をほのめかすこと。そして前科者のアルビン・ダシュラー(ドン・ゴードン)を誘拐殺人の犯人に見立てて、銃撃戦で殺して口封じをする。おそらく担当刑事がコロンボでなければ、完全犯罪として成立したと思われます。担当のホフマン刑事(マイケル・ストロング)はまんまと騙されていますね。まあ、よく考えてみれば「タクシーを使って誘拐の準備をする」ってことはあり得ないんですが。まるで自分の行動を運転手に教えているようなものです。

コロンボ警部の捜査のポイントは見どころ満載です。まず容疑者のダシュラーが相当の「お馬鹿さん」で無い限り、真犯人ではないことに気付く点です。それにガレスコ夫人を誘拐したダシュラーが脅迫状に添えた写真になぜ「時計」が必要であったか?普通に考えれば必要の無いアイテムです。日めくりやテレビ番組など、日付を特定したいものであれば別ですが、時間を特定する必要は無いと思われます。この2点で、単なる誘拐殺人ではないことは明白となります。

徐々に表情が曇るガレスコ氏

その他は、芋づる式に状況証拠が揃います。要するに、初期捜査の着眼点が他の手がかりを引き出してゆくのです。メイドに誘拐をほのめかす際に「脅迫電話のメモ」を書いた矛盾は最大の失敗のひとつです。さらには誘拐犯からの呼び出し時間のズレを、後になって解説したこと。ダシュラーのモーテルの部屋で、彼が犯人であることを分かりやすく演出しすぎたこと。これらの「甘さ」がコロンボ警部を「逆転の構図」作戦の実行に駆り立てたと感じます。つまり犯人は100%の確率でガレスコ氏と断定でき、あとはガレスコ氏自身に「私がやりました」と言わせれば良いのです。

そのために、状況証拠をちびちびとガレスコ氏に見せ、彼を追い込んでゆきます。その手法が凄いです。自分が撮影した下手な写真を見せガレスコ氏のプロカメラマンとしての誇りを引き出し「犯人像とダブる」ことを伝える。助手のローナ(ジョアンナ・キャメロン)を「奇麗な方ですね~」と、二人の男女関係を疑う。ホテルの部屋の件は「メイドが掃除をさぼったことで嘘をついた」という、苦し紛れのガレスコの証言を「復唱しながらメモ」しています。さらには、刑務所の写真集からガレスコ氏と前科者のダシュラーの関係を突き止める。そして最後に「脅迫状作成を実演」です。

コロンボ警部の得意技「大芝居」

エンディングは圧巻。注目すべき点は、コロンボ警部が「ここが重要です。あたし自身が采配をとり、全て落ち度なくやった」と自慢気に喋る場面。「頭脳明晰で手強い刑事」から「お間抜けデカ」に印象が変わるように演じています。そこで生まれた一瞬のスキが「崖っぷちまで追い込まれた」状況から「大逆転」のチャンスと錯覚させ、証拠品のカメラにを手に出させるのです。

よ~く考えてください。「証拠写真を複写して引き延ばした。その際にミスで裏焼きした。オリジナル写真は紛失した。」のですが「複写したネガ」は存在するわけで、そのネガを調べれば「裏焼き」は明白。それに気付かれれば、全てがフイになる「賭け」のような作戦だったと思います。まんまと自分の罠にハマるガレスコ氏。コロンボ警部は、彼の捨て台詞に対し一言も解答せず、無言のラストを向かえます。

ホフマン刑事もびっくり

マイケル・ストロング「残念でした」という印象的な台詞。ホフマン刑事(マイケル・ストロング)の表情もとても印象的です。現場タタキ上げのような刑事ですが、「あんた、自分で罪を認めたんだよ」って、コロンボ警部の補佐について「どえらい体験しちゃった」台詞でした。このマイケル・ストロングは、宇宙大作戦(スタートレック)「コンピューター人間」のコービー博士役で出演しています。

誰が見ても怪しい関係?

ジョアンナ・キャメロン助手のローナ(ジョアンナ・キャメロン)の美脚がカメラワークにより魅力的に表現されていました。またコロンボの「奇麗な方ですね~」に対し、仕事での有能ぶりを評価していると逃げたガレスコ氏の台詞に「うしろめたさ」を見ることができました。

成功者に美人秘書あり

英雄は色を好む…ですか、コロンボシリーズで頻繁に見られるシチュエーション「成功者に美人秘書(今回は助手)あり」。もしも、ガレスコ氏がローナとフィリピンに逃避行しなければ、もっとスッキリ逮捕したかったのでしょうね、コロンボ警部~。

家政婦さんも良い感じ

アリス・バックスガレスコ邸の家政婦さんは女優:アリス・バックス。口うるさい夫人は彼女の仕事ぶりが不満なようでした。確かに冴えない‥ような雰囲気もありますが、脅迫電話に聞き耳をたてたり、メモを見たりなど印象に残ります。

可愛い!ジョイス・ヴァン・パタン

ジョイス・ヴァン・パタンシスター役の女優「ジョイス・ヴァン・パタン」とのやりとりは何度見ても傑作です。ジョイス・ヴァン・パタンはこの後の作品39話「黄金のバックル」で美術館の館長ルース・リットンで犯人役を好演します。やはり素敵な女優さんは、脇役でも光るものです。

笑える場面が盛りだくさん、楽しい作品です

しかしこの作品は本題の完成度に加え楽しめる箇所も多いです。人間コロンボの魅力もいたる場面に盛り込まれています。警部がガレスコ宅で灰皿を見つけられず、ポケットにタバコの灰を捨てる仕草もかなり笑えました。一部始終を見ているガレスコ氏もあえて突っ込まないのがGOODでした。

名優「ヴィトー・スコッティ」

ヴィトー・スコッティ名優「ヴィトー・スコッティ」との知的な会話も面白いです。トマス・ドーランは酔っぱらいの浮浪者風の男ですが、供述の証言や食堂での会話からも知的なキャラクターに描かれていて、とても面白いです。供述書で自分を「余(よ)」と呼んでいました。コロンボ警部はこのドーランに対し優しく接していて、社会的弱者の味方であることが伺い知れます。

ハリー・ルイスにも注目!

ハーヴェイ・ゴールドカメラ店のハリー・ルイスを演じた「ハーヴェイ・ゴールド」も良かったです。ハーヴェイ・ゴールドは32話「忘れられたスター」と33話「ハッサン・サラーの反逆」「アンダーソン検死官」を演じます。日本語吹き替えは「ウイルソン刑事」「ドカベンで徳川監督役」の野本礼三さん。

 

解決編については疑問も残る

解決編があっさりしている(突然のクライマックスを向かえる)という解釈は少々違う気がしています。カメラ店でヒントを得た後、運転免許の試験官ウイークリー氏と会う場面で、すでに「逆転の構図」作戦を着々と実行していたわけです。ほぼ全ての場面で無駄の無い作り、それでいてユーモアもたっぷりです。

また、ポラロイドカメラの特性や裏焼きなどについて、不自然に感じたというご意見も多いのですが、私的には「証拠品を自分で選んでしまう」ことを狙ったことを評価しようと思います。

ラリー・ストーチ

ラリー・ストーチストーリー後半の短い出番でしたがウイークリー役のラリー・ストーチの演技も良かったです。神経質な性格で、仕事に嫌気がさしていて、かなりマイってました。公務員の気質丸出しで可愛かったです(笑)ウイークリー氏が「教習所の教官」と思っている人は間違いで正しくは運転免許試験場の試験官。ダシュラーは運転を習う必要はありません。

サンプソン警部

ビル・ザッカート警察署内でダシュラーの話で盛り上がっている場面です。この人は俳優ビル・ザッカートで、後の33話「ハッサン・サラーの反逆」のオーガスタ部長として再登場します。またこの俳優さんはぐぐ〜と年を経て55話「マリブビーチ殺人事件」にも登場します。

不動産屋マグルーダー

ジョン・アシュトン不動産屋マグルーダーは俳優ジョン・アシュトン。何となく19話「別れのワイン」のワインツアーのガイドに似ていると目をつけましたが‥別人でした。髪型が違うかあ~。でも印象に残る俳優さんでした。

モーテルのオヤジ

トーム・カーニーダシュラーが滞在していたモーテルのオヤジ「チャールズ・ビクター」は俳優:トーム・カーニー。ダシュラーとは折り合いが悪かったらしく、彼の文句ばっか言ってました。このモーテルでダシュラーはガレスコに電話をかけているが、「555」から始まる電話番号は架空のものとして多用されます。

証拠写真を撮るカメラマン

フレッド・ドレイパーガレスコ夫人の誘拐殺人現場で証拠写真を撮るカメラマンは、ご存知「フレッド・ドレイパー」。ですが今回は何か不自然さを感じます。まるで変装しているかのようですね。

解決シーンにも立ち会う署員

マイケル・エドワード・ラリーまぁ本当に執念のようなねちっこさで発見しました。警察署内で証拠品を保管している係の署員は「マイケル・エドワード・ラリー」で24話「白鳥の歌」で、セスナの墜落現場を撮影していたカメラマンと同じ俳優さんです。しかも有名エキストラ俳優「マイク・ラリー」の息子さんです!

刑事コロンボと魔法瓶

やはり前作「自縛の紐」で新しい魔法瓶を買ったようで、今回27話「逆転の構図」のロス市警のシーンでは新しい魔法瓶が大写しになっています。辻褄が合いますよね!
→刑事コロンボと魔法瓶

映画「タワーリング・インフェルノ」

ドン・ゴードン日本公開1975年の映画「タワーリング・インフェルノ」に前科者のアルビン・ダシュラーが出演しています。消防士のオハラハン(スティーブ・マックイーン)の部下の消防士(カピー)の役です。結構映ってますし、マックイーンとの2ショットなど、かなりカッコ良くて感激します。

監督:アルフ・ケリン
脚本:ピーター・S・フィッシャー

ポール・ガレスコ:ディック・ヴァン・ダイク(声:新田昌玄)
ホフマン刑事:マイケル・ストロング(声:緑川稔)
アルビン・ダシュラー:ドン・ゴードン(声:)
フランシス・ガレスコ:アントワネット・バウアー(声:阿部寿美子)
ローナ・マクグラス:ジョアンナ・キャメロン
トマス・ドーラン:ヴィトー・スコッティ(声:近石真介)
シスター・マーシー:ジョイス・ヴァン・パタン(声:加藤道子)
ハリー・ルイス:ハーヴェイ・ゴールド(声:野本礼三)
ウイークリー:ラリー・ストーチ(声:筈見純)
写真展の客:ダイアン・ ターレイ・トラヴィス

加筆:2023年9月17日

34話「仮面の男」

Identity Crisis / 1975

パトリック・マクグーハン

パトリック・マクグーハン28話「祝砲の挽歌」に続き、パトリック・マクグーハンが犯人:ネルソン・ブレナー役で再登場しました。この後の新シリーズでも登場しますが、この作品「仮面の男」での顔が最もマクグーハン本人らしいかもしれません。

壮大なスケールの作品が続く

壮大なスケールで描かれた二作品、33話「ハッサン・サラーの反逆」と35話「闘牛士の栄光」に挟まれたこのお話も、犯人がCIAの情報部員であるという意味で、凄く大げさな背景でした。

「もう一つの鍵」のレスリー・ニールセン

レスリー・ニールセン殺されるジェロニモ(A.J.ヘンダーソン)は、7話「もう一つの鍵」で、ベス・チャドウィック(スーザン・クラーク)の婚約者ピーター・ハミルトンを演じたレスリー・ニールセンです。宿泊先(ビルトモアホテル)は後の52話「完全犯罪の誤算」のマッキー上院議員が滞在場所と同じかもしれません。(要検証)

裸の銃を持つ男

レスリー・ニールセンレスリー・ニールセンはコメディ映画「裸の銃を持つ男」(三部作・1988-1994年)の主役を演じていることは有名です。2023年にこの映画がテレビで放送され、私も観ることができました。レスリー・ニールセンが演じるのは、間抜けな警部補フランク・ドレビン。「警部補でフランク」ってコロンボへのオマージュでしょうね。

ヴァル・アヴェリー

ヴァル・アヴェリー海岸のバー「シンドバッド」のバーテンは、12話「アリバイのダイヤル」25話「権力の墓穴」などに出演している、ピーター・フォークの「盟友」で「名優」のヴァル・アヴェリーです。

ヴィトー・スコッティ

ヴィトー・スコッティ演説している男性:サルヴァトーレ・デフォンテは、19話「別れのワイン」20話「野望の果て」など、たびたび刑事コロンボシリーズに出演している名脇役のヴィトー・スコッティです。

アンダーソン検死官

追いはぎ天国で、初動捜査にあたる検死官の一人:アンダーソンは、バーク刑事Bの「ジェローム・グアルディノ」と良く似ていますが、おそらく別人で「カーメン・アルジェンツィアノ」という俳優さんです。

CIAのコリガン部長

デヴィッド・ホワイトCIAのコリガン部長役は、デヴィッド・ホワイト。大柄で白い髪が何とも目立ち、印象に残ったことでしょう。

「奥様は魔女」のラリー

デヴィッド・ホワイトこのデヴィッド・ホワイトはテレビドラマ「奥様は魔女」のダーリンが勤める広告代理店の社長「ラリー」でお馴染みです。仮面の男では、シリアスな役でしたが「奥様は魔女」のコミカルなラリーの印象が強く、見ていて笑ってしまいました。。

エキストラ俳優ゲーリー・ライト

ゲーリー・ライト交通公園でコロンボ警部をつけ回すCIAの一員はエキストラ俳優ゲーリー・ライト。この人は刑事コロンボに6回も出演している常連さんです。

バーバラ・ローデス

バーバラ・ローデス遊園地の女性カメラマン:ジョイス役のバーバラ・ローデスは、7話「もう一つの鍵」にも出演しています。(加筆2010年7月27日)調べてみました。また、この遊園地のロケ先はロサンゼルス動物園ではないかと思われます。→バーバラ・ローデス

クリフ・カーネル

クリフ・カーネル同じく遊園地の写真屋のオヤジ:ドン役の「クリフ・カーネル」は、9話「パイルD-3の壁」でウイルソン巡査、12話「アリバイのダイヤル」でクレメンス刑事役で出演しています。

遊園地での二人の行動は不可解

コロンボ警部の捜査上で大きな手がかりとなる遊園地での写真。犯人のブレナーと被害者のジェロニモが再会し、秘密の打ち合わせをする場所が遊園地なのですが、ここでのブレナーの行動が大疑問。射的ではしゃいで店主に印象づけたり、ジョイスに記念写真を撮られたり、少女にぬいぐるみをプレゼントしたり、やりたい放題でしたね。

クレーマー刑事

クレーマー刑事補佐役の刑事は、コロンボシリーズ中で最もなじみ深いクレーマー刑事「ブルース・カービー」。今回も可愛い演技を見せてくれました。

広告会社の人の証言で身元がバレる

コロンボ警部とクレーマー刑事は、ヘンダーソンの成りすましを暴き、パイクのロングビーチ遊園地を手がかりに、写真に写っているサングラスの男を見つけた。そこからブレナーの身元がなぜ分かったか?
遊園地から広告会社にとんぼ返りし、社員に写真を見せたのでしょう。コロンボは「広告会社の人が、サングラスの男はブレナーだと教えてくれた」と説明しています。ブレナーは広告会社と面識があったのです。
(加筆:2013年1月16日)

CIAの情報部員が超大金持ち

戦歴も誉れ高く、経営コンサルタントとしても有名。それにしても、半端でなく家が豪華!もの凄いプールで十人近いゲストが泳いでいるし。こりゃ、悪いことして蓄財してますって、自分で言っているようなもので、「二重スパイで荒稼ぎ」って、CIAは見抜けなかったんでしょうかね?

変装した老人の顔がエリック・プリンスに似てるか?

スタインメッツメルビルを事故に遭わせる「スタインメッツ」はブレナーが変装したものですが、その顔が後にマクグーハンが演じる67話「復讐を抱いて眠れ」のエリック・プリンスに雰囲気が凄く似ています。これは実際に、マクグーハンが老けたということもあるのでしょうが、比較してみると面白いです。

ブレナー邸で人生を語る二人。

後半のシーンで、ブレナーはコロンボを自宅に誘います。署に戻る必要があると一旦は断わりますが、日を改めて邸に出向くことになります。ここでブレナーはお酒を振る舞いますが「百薬の長としては、何が望みか?」とコロンボに尋ねます。シンドバッドのオーナーが「毒は何にします?」と言い回したのと対照的で面白いです。
中国の麻雀セットを見せてもらったコロンボから「ギャンブルがお好きなんですね?」と尋ねられ「それ以外、何がある?」と答えるブレナー。コロンボ作品の中には、ギャンブル好きの登場人物が多く出てきます。
ブレナーは数々の成功を収め名誉も富も手に入れたのに、退屈な人生だと評しシラけた口調です。コロンボ警部がブレナーの部屋で珍しいものを見てハシャイでいるので、何とも不思議な会話になっています。

超重要な豪邸なのです!

ブレナー邸17話「二つの顔」のクリフォード・パリス邸、34話「仮面の男」のネルソン・ブレナー邸、38話「ルーサン警部の犯罪」のウォード・ファウラー邸は同じ家です。車の入り口〜ロータリー型の車寄せ、アーチ型の白い装飾の門扉、大きな暖炉が特徴です。
アンジェロドライブの豪邸
刑事コロンボマップ
遊園地は前半でジェロニモとブレナーが待ちあわせをする場所で、交通公園は後半にCIAに尾行される舞台になります。以外にもこの2箇所は同じロサンゼルス動物園の敷地内にあります。

シンドバッドはどこにあるか?

刑事コロンボのシンドバッド
「シンドバッド(追いはぎ天国)」は西海岸の「サンタモニカ埠頭」という設定ですが、実際には南の外れ「ロングビーチ」がロケ現場だということです。

タクシーの運転手

マイク・ラリー前半、殺されたジェロニモを乗せたと話すタクシーの運転手として、伝説的エキストラ俳優マイク・ラリーが登場します。今回は貴重な「セリフ付きの役」です。

ホットドッグ屋のオヤジ

ベン・フロマーコロンボがCIAに後をつけられている交通公園のホットドッグ屋のオヤジ:太っちょの俳優さんはベン・フロマー。は25話「権力の墓穴」の前半のシーン、高級クラブのバーでバーテンダー、33話「ハッサン・サラーの反逆」で総領事館の料理人の役でもお目にかかれます。印象的な俳優さんです。12話「アリバイのダイヤル」でもカメラマン役で出ています。

ラストシーンのジョークについて

ラストシーンのジョークの意味が不明であるというコメントを頂くことがあります。これはぼろんこの私的解釈ですが、ポーカーは「ポーカーフェイスなブレナー」を比喩しています。マージャンは中国発祥のゲーム。「ポーカー(ブレナー)がマージャン(中国)と賭けをして、はじめはポーカーが優勢、ところが後半…逆転。」これはブレナーの完全犯罪は、中国のオリンピック不参加報道によって阻まれた…という感じでしょうか。

コメンテーターさんの調べで原文は

Columbo “Would you like to hear something funny?”
Brenner “I’d love to.”
Columbo “Today, Chinese…they changed their minds.”
Brenner “Did they, again?”
Columbo “They’re back in the games…”
Brenner “in the games….Mah-Jong.”

だそうです。

監督:パトリック・マクグーハン
脚本:ウィリアム・ドリスキル

出演:ネルソン・ブレナー:パトリック・マクグーハン(声:佐野浅夫
ジェロニモ:レスリー・ニールセン(声:家弓家正
クレーマー刑事:ブルース・カービー(声:杉田俊也
コリガン部長:デヴィット・ホワイト(声:早野寿郎)
サルヴァトーレ・デフォンテ:ヴィトー・スコッティ(声:相模太郎)
シンドバッドのバーテン:ヴァル・アヴェリー(声:金井大)
ジョイス:バーバラ・ローデス
ホットドッグ屋:ベン・フロマー
タクシーの運転手:マイク・ラリー

加筆:2023年12月17日

37話「さらば提督」

Last Salute to the Commodore / 1976

完全に倒叙でない刑事コロンボ作品です。私のような保守的な刑事コロンボファンの場合、受け入れ難いのですが、普通に考えれば面白い作品なのだと思えます。

提督はジョン・デナー

ジョン・デナー提督(オーティス・スワンソン)役の俳優さんはジョン・デナーで、24話「白鳥の歌」のパング・ボーンも演じています。今回は帽子をかぶっているので、パング・ボーンとはまた別の印象が強いですね。このように作品をまたいで出演している俳優さんの発見は、とても楽しいです。

ロバート・ヴォーン

ロバート・ヴォーン死体遺棄の犯人(チャーリー・クレイ)として、29話「歌声の消えた海」のロバート・ヴォーンが再登板。今回は、いつもに増して馴れ馴れしく接近してくるコロンボ警部にタジタジな感じでした。私としては‥ロバート・ヴォーン=ダンジガーさんがお気に入りですが。

フレッド・ドレイパー

フレッド・ドレイパー18話「毒のある花」31話「5時30分の目撃者」等、数々のコロンボ作品に出演のフレッド・ドレイパーがスワニー・スワンソン役で登場。また、お馴染みの「クレーマー刑事:ブルース・カービー」が重要な役を務めるなど、華やかでした。

シオドア・アルビンスキー刑事

デニス・デューガンでも、事件解決編で新米エリート刑事のシオドア・アルビンスキー:デニス・デューガン(なぜか通称マック)と一緒に、声高に説明をし出すシーンは、日本のサスペンス劇場顔負けの演出で楽しめました(笑)。

ブログ訪問者さんからの情報(1)

この「デニス・デューガン」は、その後の作品63話「4時02分の銃声」で監督をつとめています。さらには(1973年 – 1987年の間)「ジョイス・ヴァン・パタン」の夫だったそうです。彼女は27話「逆転の構図」、39話「黄金のバックル」に出演している重鎮女優ですね。

執事のタナーを発見!

ウィルフリッド・ハイド=ホワイト弁護士の老紳士ケタリングは。13話「ロンドンの傘」でサー・ロジャーの執事タナーを演じた俳優「ウィルフリッド・ハイド=ホワイト」でした。アリバイの証言内容など、ちょっと一癖ある人物を好演しています。

金太郎あめのような俳優

ジョン・フィネガンそれは「ジョン・フィネガン」。今回はガードマンの役で出てました。調べてみたら合計12回出演しているようです。おそらくコロンボシリーズ最多出演(セリフあり&クレジット)の俳優と考えて間違いないでしょう。

最終回的な匂いの漂う作品

ジョン・フィネガンラストシーンのクレーマー刑事との会話「やめたんじゃないですか?」「まだまだ。まだやめられませんよ。もうちょい、やらせてもらうよ」。と煙草の話に引っ掛けた台詞があります。これは本作品が最終回になる予定であったと伝えられるが「ピーターフォークはやる気満々」という意思表示に映ります。「カミさんも乗せてやろうと思って…せめてこのボートに」と海に去って行くコロンボ警部でした。しかし…残念なことに、BGMの「THIS OLD MAN」のメロディが間違っているんです!

ジョシュア・ブライアント

ジョシュア・ブライアントスワンソン造船所の所長ウェイン・テイラー(黄色いジャンパーの人)は俳優ジョシュア・ブライアント。この人は25話「権力の墓穴」でマクマレイ検視官を演じていました。

特に第7シーズンに秀作が続く!

しかし本作が意外に好評だったのか? 第6シーズン以降の8作品が制作されることになりました。その中には41話「死者のメッセージ」43話「秒読みの殺人」など私の好きな作品も含まれています。

ブログ訪問者さんから情報(2)

37話「さらば提督」のチャーリー・クレイ邸と、55話「マリブビーチ殺人事件」のテレサ・ゴーレン邸は同じでした。

クレイ邸テレサ邸

左:チャーリー・クレイ邸 右:テレサ・ゴーレン邸

周囲が車寄せの道に囲まれた円形の花壇が印象的な豪邸です。マリブビーチというロサンゼルス中心から北西に位置します。おそらく近くには「マイロ・ジャナス」「ブリマー」「マックス・バーシーニ」「フィールディング・チェイス」などの有名人が住んでいました。実在の「ピーター・フォーク」の家も近かったようです。
それに対しヨットハーバー「 バルボア・ベイ・リゾート」は、ロス中心からずっと南の方で、家とはぜんぜん近くないのです。

監督:パトリック・マクグーハン
脚本:ジャクソン・ギリス

オーティス・スワンソン提督:ジョンデナー(声:小林修
チャーリー・クレイ:ロバート・ヴォーン(声:西沢利明
ジョアンナ・クレイ:ダイアン・ベイカー(声:水野久美)
スワニー・スワンソン:フレッド・ドレイパー(声:佐藤英夫)
リザ・キング:スーザン・フォスター(声:松金よね子)
ケタリング:ウィルフリッド・ハイド=ホワイト(声:松村彦次郎)
クレーマー刑事:ブルース・カービー(声:杉田俊也
シオドア・アルビンスキー刑事:デニス・デューガン(声:玄田哲章)
ガードマン:ジョン・フィネガン
ウェイン・テイラー:ジョシュア・ブライアント(声:鈴木泰明)
オコーナー少尉:ロッド・マッケリー(声:納谷六朗

加筆:2022年8月14日 

39話「黄金のバックル」

Old Fashioned Murder / 1976

美術館の館長ルース・リットンが、大切にしている博物館の売却を企む理事(弟)のエドワード・リットンを、警備員ミルトン・シェイファーとの同時発射の相撃ちに見せかけて殺害します。

ジョイス・ヴァン・パタンが可愛い

ジョイス・ヴァン・パタン女系ファミリーを楽しく描いた作品です。女性らしさを捨てた犯人ルース・リットン[ジョイス・ヴァン・パタン]が、かえって美しく感じられる作品でした。ジョイス・ヴァン・パタンは27話「逆転の構図」にもシスター役として出演しています。

ブログ訪問者さんからの情報

37話「さらば提督」で、シオドア・アルビンスキー刑事を演じた「デニス・デューガン」は、(1973年 – 1987年の間)「ジョイス・ヴァン・パタン」の夫だったそうです。彼は63話「4時02分の銃声」で監督をつとめています!

トリックには疑問が続出

犯行の仕掛けとしては、疑問点が多く残ります。男性二人、弟エドワード(ティム・オコナー) vs 警備員シェイファーで、ほぼ同時に拳銃を発射して相撃ちとなり両者が死にました。シェイファーはその時、兄に電話していて留守電には銃撃音が一発録音されています。現場の電話は、シェイファーが撃たれたので受話器がぶら下がったまま。どう考えても不自然。コンマ数秒発射がずれれば、どちらか生き残るはずだし、2丁の拳銃の音が1音に聴こえるはずがない。

誰が灯を消したんでしょう?

そこを大目に見たとして、「二人が同時に死んだ後、誰が灯を消したんでしょう?」という、コロンボ警部の大疑問は、他の作品と比較しても「かなり明瞭ですっきりした着眼点」です!これは、エドワードの書斎で、誤って灯を消してしまうルースの「倹約癖」のシーンとも連動しています。犯行現場で電話のトリックを忘れずに実行した後に、これで完璧…とばかりに灯を消してしまうのです。

邦題は「黄金のバックル」

ややもすると、全体のストーリーとはあまり深く関係しない証拠品にスポットが当たった邦題。「黄金のバックル」は後半で殺人容疑がかかる姪のジェニーが、このお宝を「灰皿」として扱ったことから容疑が晴れること。そしてこの証拠品は、自分を最も愛してくれたはずの叔母ルースが「自分に罪を着せる」ための小道具であった…というかなり悲しい事実が背景にあり、まぁ納得できる邦題とも思えました。

原題の「Old Fashioned Murder」は「古風な殺人」とでも直訳できそうです。ルースは今回の二重殺人のずっと以前にもう一人殺していたようにほのめかされますが、もしそれが明るみになれば、家族を守ってきた気丈な叔母さまから「父親殺し」へと転落してしまう…。その駆け引きがラストシーンの数分間にありました。

ジェニーは誰が産んだ子であったか…

ジーニー・バーリン壁にかかった絵を見て、ルースが「姉にピーターブラント夫人の座を奪われた」と過去を振り返るシーン。姪のジェニー(ジーニー・バーリン)について…「私が産んだかもしれない娘です」「そう、それで我が子ののように可愛いのでしょう」と語っています。

この「そう」という言い方で、私はジェニーがルースの子ではない…と想像しています。その他には決定的なシーンがありませんので、見る人の想像にお任せします…ということで良いのかな(笑)

過去を暴いて、犯人を落とす作戦

それにしてもコロンボ警部の凄さはこのように「今担当している事件の解決」はもちろん、犯人の過去の秘密をも暴いてしまうことです。そして犯人にほのめかし、犯行を自供させる。これは多くの作品で見られますね。14話「偶像のレクイエム」は過去の秘密そのものがテーマになった作品です。

悲しい物語に、滑稽なキャラクター

セレステ・ホルム逆に姉のフィリス(セレステ・ホルム)は自分を「美しい」と讃えますが、画面には美しさよりむしろ「滑稽さ(気絶・裾踏まれ)」が漂っています。この「裾踏まれ」のギャグは33話「ハッサン・サラーの反逆」でも炸裂しています。

アン・バクスターとセレステ・ホルム

セレステ・ホルムこのセレステ・ホルムは、映画「イヴの総て」で14話「偶像のレクイエム」のアン・バクスターと共演しています。これから約26年前、セレステは33歳です。若き日のアン・バクスターは、輝いています。セレステも気高く描かれています。往年の大女優「ベティ・デイヴィス」にも会えます。ベティは22話「第三の終章」でコロンボ警部が、カミさんと一緒に夜中までテレビ見て寝不足になった人です。

ピーター・S・フェイブルマン

ピーター・S・フェイブルマン警備員のミルトン・シェイファーを演じたのはピーター・S・フェイブルマン。この人は俳優だけでなく、本作の脚本家でもあります。珍しいケースですね。また38話「ルーサン警部の犯罪」でも脚本を手がけています。

ティム・オコナー

ティム・オコナー被害者の一人エドワード・リットンの俳優はティム・オコナーで、17話「二つの顔」では弁護士マイケル・ハザウェイを演じていました。どちらも、なかなか印象に残る演技でした。ただしルースとの会話「ヴィクトル・ユーゴー」「オスカー・ワイルド」のくだりは、劇文学に精通していないと笑えないかも。ちなみに、オスカー・ワイルドは「幸福な王子」、ヴィクトル・ユーゴーは「レ・ミゼラブル」などの著者。

ミラー刑事

ジョン・ミラー一匹狼で捜査を進めることが多かったコロンボだが、エピソードによっては特別な相棒が登場することもあります。今回は「ミラー刑事(ジョン・ミラー)」がその人です。ちょっとクールなイメージが漂うミラー刑事。でも仕事が出来そうなタイプの部下です。

髪をカットしてもらうハメに

髪型が整ったコロンボ警部美容院のオーナーがヘソを曲げそうなったので、髪をカットしてもらうことに。こういった細かいシチュエーションが凄く楽しいですね。髪型が整ったコロンボ警部は初回から数えて38作ぶり。しかしその髪型は徐々に崩れ、後半ジェニーの留置場の場面では、普段以上にボッサボサになっています。

美容院のオーナー「ダリル」

アンソニー・ホランドブログゲストさんからもコメントをいただきました。美容院のダリルは俳優:アンソニー・ホランドで、とてもコミカルなキャラクターですね。そして気になるのが日本語吹き替えの声優「八奈見乗児」さん。アニメを中心に数々の仕事をされています。ざっと挙げますと、巨人の星の伴宙太、もーれつア太郎のココロの親分、タイムボカンのグロッキー などなど。

時計屋の店員も面白い

ゲイリー・クローフォードコロンボが美容院の後に訪れた時計店の店員は、俳優:ゲイリー・クローフォード。この時、ショーケースカウンターの上に置いてある、鏡に映った自分の髪型を確認するコロンボ警部が可愛いです。だから店員はコロンボの髪型を褒めてくれたのです。こういうちょっとしたユーモアが素敵ですね。

リットン博物館

リットン博物館(39a)はL.A.市内の「ドヒニー・マンション(Doheny Mansion)」の一部です。ネットで写真検索すると、黄金のバックルのタイトルバックと同じ建物(39b)だと確認できます。テレビや映画のロケ地として有名なようです。*正式名称:グレース・トーン・マンション(Graystone Mansion)。
リットン博物館ドヒニー・マンション39a39b

リットン博物館のテーマ曲?

YouTube この「リットン博物館のテーマ」と名付けた印象的な曲をパソコン演奏で再現しています。昭和のメロドラマのような主旋律で、親しみが湧きますね。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

リットン博物館

監督:ロバート・ダグラス
脚本:ピーター・S・フェイブルマン

ルース・リットン:ジョイス・ヴァン・パタン(声:加藤道子)
エドワード・リットン:ティム・オコナー(声:加藤和夫)
ミルトン・シェイファー
フィリス・ブランド:セレステ・ホルム(声:堀越節子)
ジェニー・ブランド:ジェーニー・バーリン(声:中島葵)
ミラー刑事:ジョン・ミラー
ダリル美容師:アンソニー・ホランド(声:八奈見乗児
カーター刑事:マイク・ラリー
時計店の店員:ゲイリー・クロフォード(声:伊武雅之

加筆:2021年1月24日

刑事ぼろんこチャンネル

43話「秒読みの殺人」

Make Me a Perfect Murder / 1978
ローレンス・ラッキンビルテレビ局の女性プロデューサー:ケイ・フリーストン(トリッシュ・バン・ディーバー)は、支社長であり恋人でもあるマーク(ローレンス・ラッキンビル)を殺害。果たして殺すほどの憎しみがあったのか?
マークの出世に対する嫉妬はありますね。さらにマーク(あるいは社)からの自分への評価が思いのほか低いことを思い知ったからか。それで殺人‥とは短絡的すぎるかな。

「秒読みの殺人」は名作です

この「秒読みの殺人」という作品、小学生時代にも間違いなく見ていました。しかしながら、27話「逆転の構図」や32話「忘れられたスター」ほど、強烈な印象は残っておらず、少しノーマーク的な作品でした。今回、再放送を拝見し、見事な作品であることを再認識しました、名作と言って間違いないでしょう。

刑事コロンボ的ストーリー展開を感じる

犯人役の女優や、脇役俳優の良さ云々はさておき、正当派「刑事コロンボ的ストーリー展開」が色濃く、ほとんどのシーンで無駄が無く(注)、密度の濃い作品となっています。コロンボ警部の「落としのテクニック」も、期待通り炸裂してくれています。

トリッシュ・バン・ディーバー

トリッシュ・バン・ディーバーもう一つの側面「犯人役ゲストスター」の影響力は、他の傑作と比較し線は細めです。犯人のケイ「トリッシュ・バン・ディーバー」は美しく描かれていますが、突出した存在であったとは感じません。それ以上に、テレビ業界という厳しい環境において、人間が壊れてゆく様を見せてくれたと思います。

出世欲の強い女性の立場

その反面、心理の描写には鋭いものを感じます。殺意、焦り、意思の強靭さなど、通常の女性では表現しづらい心の揺れを、見事に表現しています。出世欲の強い女性が、組織のトップにのし上がる過程で、仕事を愛する気持ちよりも、成功したい願望が心を支配している様子がうかがえます。周囲の男性たちは、それを好ましく思っていませんでしたね。
それと対比し、同性愛を連想させる描写もありました。女優バレリーとの関係がそれです。初期のコロンボでは扱われなかった題材でしょう。ディレクターの男性が女性的なども、類似した観点です。

終わったら、ほっとすると言うが…

犯行を認める場面で、終わったらほっとすると言うが…その逆だ。と心境を語るケイ。まだ負けたわけじゃない、きっと這い上がってみせる…という意欲をみせました、女は強い。

フィルムチェンジをアリバイに用いたトリック

本作品「秒読みの殺人」では映写時に、フィルムのリールを切り替えるタイミングを画面右隅に表示されるパンチによって、見極める‥というテクニックが焦点となっていて、邦題「秒読みの殺人」に結びつけています。それに対し、21話「意識の下の映像」で映写技師のロジャー・ホワイトは、小銭をリール中心に挟み込んで、それが落ちたら交換のタイミングだと語っています。テレビ局の映写機は最新設備で、小銭を挟めない(カバーで覆われている)タイプでしたね。

映写技師ウォルター:ジェームス・マッキーチン

ジェームス・マッキーチン作品中重要な役割を果たす映写技師ウォルターを演じたのは、ジェームス・マッキーチン。10話「黒のエチュード」で、楽団の関係者ビリー・ジョーンズ役でも登場しています。どちらも良い演技を見せてくれます。

特に印象的なシーン「エレベータの中で…」

エレベータの天井に見えた「凶器の拳銃」を、犯人ケイが何とかしてそれを下に落とそうとするシーンは、秒読みの殺人で最も印象に残る場面です。身長が低い彼女が必死になっている様子がスリル満点に描かれています。しかも、その行為そのものが、コロンボ警部が仕掛けた罠だと気付かされ、完敗を認めるのも素晴らしかったです。

パトリック・オニール

パトリック・オニールテレビ局のお偉方の役で、パトリック・オニールが登場。彼は名作と呼ばれる9話「パイルD-3の壁」で犯人のエリオット・マーカムを演じています。今回もさすがの演技でした。

テレビを修理するクレイマー刑事

ブルース・カービーなぜかテレビを修理する人の役で、すっかり顔なじみのはずの「ブルース・カービー」が登場。う、どう考えても不自然な起用だと思えますが、これはブルース・カービーが「ジョン・フィネガン」同様、特別な俳優扱いだったことを伺い知れます。ここシーンでは「愛犬ドッグ」も一緒にテレビを見ていますね。

バーク刑事

ジェローム・グアルディノ41話「死者のメッセージ」に続いて今回も捜査に起用されたバーク刑事Bは「ジェローム・グアルディノ」。あまり役に立ちませんが、憎めないキャラクターですね。32話「忘れられたスター」で射撃テストの身代わりになる俳優です。

テレビ局のプロデューサー

ジョージ・スカフ女上司に不満げな「しがないテレビ局のプロデューサー」を演じたのは「ジョージ・スカフ」。気づきにくいのですが、この人はなんと33話「ハッサン・サラーの反逆」の領事館でアラブ人「クラ」を演じた人です!

撮影所(ロケ地)のモニター室では…

ケイはコロンボ警部に追い回され、ヒステリックに叫んでしまいます。メリーゴーラウンドの音楽と目まぐるしく切り替わる画面が印象的ですが、録画して何度も見られる時代となっては、このような強烈なシーンより、静かな場面の方がありがたいですね。同じような意味で「黄金のバックル」の、ジェニーが死体を発見して叫びそうになるシーンも、早送りしたくなります。(笑)

注)テレビ局のモニター室でコロンボ警部が、画面に模様(パターンのようなもの)を写して喜んでいるシーンは、不要でしょうかね~。冒頭で「鼻歌を歌いながら交通事故を起こすシーン」は、無駄と言い難い楽しいシーンでした。→プジョー403

同じ風景画が、最低でも3回出現。
ブログゲストさんから情報をいただき検証しました。レイ・フレミングのマンション、ネルソン・ヘイワードのホテルの風景は同じでした!さらに調査した結果、ケイ・フリーストンのオフィスの窓にも出現しています。

レイ・フレミングのマンションの風景1

ネルソン・ヘイワードのホテルの風景20

ケイ・フリーストンのオフィスの風景43

マークとケイのビーチハウス

マークとケイが暮らすビーチハウスは、数々の刑事コロンボの重要人物が居を構えるマリブビーチにありました。二人が務めるテレビ局のロス支局は、市街中心部近くだと思われ、冒頭シーンでコロンボ警部が愛車プジョーで追突事故を起こす道路はそこからほど近い場所です。

マークとケイのビーチハウス
追突事故を起こす道路

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:ロバート・ブリーズ
音楽:パトリック・ウィリアムズ

ケイ・フリーストン:トリッシュ・ヴァン・ディヴァー(声:寺田路恵)
フラナガン:パトリック・オニール(声:黒沢良)
マーク:ローレンス・ラッキンビル(声:森川公也)
バーク刑事B:ジェローム・グアルディノ
ウォルター:ジェームス・マッキーチン(声:加藤修)
ルーサー:ロン・リフキン(声:原田一夫)
バレリー:レイニー・カザン(声:大橋芳枝)
電気屋:ブルース・カービー(声:杉田俊也)
テレビ局の警備員ー:マイク・ラリー
 
加筆:2023年1月11日

49話「迷子の兵隊」

Grand deceptions / 1989

犯人が悪人なだけに、殺害動機は十分!

ロバート・フォックスワースこれは初回放送時に見ています!国防関連財団の幹部ブレイリー大佐(ロバート・フォックスワース)が部下のキーガン曹長を殺害。殺害動機は十分でブレイリー大佐が財団を利用し私腹を肥やしていたり、名誉会長であるパジェット将軍の妻との愛人関係を暴露すると脅迫されたためです。

「祝砲の挽歌」に似ているか?

この作品を最初に見た時は「祝砲の挽歌」とイメージが重りましたが、しかし何回も見てみると、随分違うテイストでした。とにかくブレイリー大佐なる人物がかなりの悪人で、戦争帰りの「タフさ」が悪の方向に向いています。殺されたキーガン曹長は生き様として正当性を感じませんので、ドラマ自体に美しさは全くありません。殺害状況には若干無理を感じますが、全体の流れとして受け止めることはできます。

物語は、結構面白いのです

キーガン曹長が「恐喝」という新たな職を得たこと。愛人関係にあったパジェット将軍の妻ジェニーがコロンボの車を発見し、密会場所に現れなかった場面。笑いを誘う教会のシーン。いろいろ見どころはありましたね。秘密のファイルが「赤と緑」に色分けされている設定も笑えます。パジェット将軍は美しく描かれていると感じました。軍人とはかくあるべき、でしょうね。

ただし、トリックには大疑問です

決め手になる段ボール箱の件は、容認できません。私は何回も引っ越した経験がありますが、宅配業者に問い合わせれば「中身が本であったか否か」は歴然。本が段ボール箱いっぱいに詰まっていれば、重くて容易に持てませんね。パーティ当夜:軍隊ミニチュアと書かれた段ボール箱が届きますが、これをブレイリー大佐ご本人でさえ、持ち抱えられず引きずっています(笑)

その点、中身が人形であれば重量は数分の一です。なので、段ボールの容積を量る以前の問題です。また「人形を並べていた=強力なアリバイがある」というものかなり強引な印象です。共犯者がいた可能性がゼロであれば別ですが。

すでに敗色濃厚だ

日本語版では犯人ブレイリー大佐が「すでに敗色濃厚だ」という台詞で終わります。これは、コロンボ作品らしいエンディングで気持ち良いです。権利の説明とコロンボ人形のアップのシーンは、新シリーズならでは…かな。

邦題「迷子の兵隊」

原題は「Grand deceptions」で直訳「壮大な詐欺」となりました。軍隊と全く無関係のタイトルになってしまいますので、「迷子の兵隊」は大正解でしょうか。この迷子の兵隊とは殺されたキーガン曹長を比喩したものと考えます。刑事コロンボ’90版では「おもちゃの兵隊」というタイトルでしたか、「迷子の兵隊」の方が好きかな~。

スティーブン・エリオット

スティーブン・エリオット出演した俳優陣は好きでした。パジェット将軍のスティーブン・エリオットは声優の北村和夫さんとセットで大満足です。エリオットは初期作品31話「5時30分の目撃者」でジョージ・ハミルトンに殺される被害者「カール・ドナー」として出演。日本語の北村和夫さんは「権力の墓穴」ハルプリン次長も素敵。

ジャネット・エイルバー

ジャネット・エイルバー将軍の若き夫人ジェニーのジャネット・エイルバーも印象に残りました。単にパジェット将軍の地位と名誉に目がくらんだようには描かれていませんでしたね。特に「ダンスタン」のアパートの下で、コロンボの「プジョー403」と出くわすシーン。その後、夫のパジェット将軍にそのことを告白する演技など、良かったです。

アンディ・ロマノ

アンディ・ロマノキーガン特務曹長のアンディ・ロマノも良かったです。軍人アガリのタフさが出ていてリアリティがありました。「ポッポ」「ネンネ」など、下品なスラングを連呼するも、綺麗好きな一面もあり、独特のキャラクターが際立っていました。

マイケル・マクマナス

マイケル・マクマナス教会のシーンで登場するキーガンの戦友「タンザー曹長」を演じたのは、マイケル・マクマナス。表情豊かに演技をしていて、とてもよかったです。たたき上げの軍人っぽさも出ていて印象に残りました。

リン・クラーク

リン・クラーク財団に勤める事務員(秘書)のマーシャは女優リン・クラーク。カラッと陽気で天真爛漫な感じで、すごく可愛かったですね。似た感じの秘書さん、他の作品にも登場します。今度まとめてみます。

日本語版吹き替えは羽佐間道夫さん

ロバート・フォックスワースの吹き替えの羽佐間道夫さんは絶妙です。日本声優界の大御所の一人です。シルヴェスター・スタローンのロッキーなど数々の名作で吹き替えを担当。マイナーな仕事ですが「巨人の星の速水譲次」では、意地悪な声色が強烈で大好きでした。
そして、ロバート・フォックスワースは、日本でも大人気を博したテレビドラマ「奥さまは魔女」のサマンサ役「エリザベス・モンゴメリー」と結婚していました。

監督:サム・ワナメイカー
脚本:シイ・サルコッツ
音楽:ジョン・カカヴァス

フランク・ブレイリー:ロバート・フォックスワース(声:羽佐間道夫)
ジャック・パジェット:スティーブン・エリオット(声:北村和夫
ジェニー・パジェット:ジャネット・エイルバー(声:宗形智子)
レスター・キーガン:アンディ・ロマノ(声:麦人)
 
加筆:2022年8月13日