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師匠:宮里祐康氏に捧げる日記

ホンダシティ

私がデザイナー人生を歩み出したのは1983年、20歳の頃だ。デザイン専門学校の在学中に、講師にスカウトされたため面接や入社試験なしで、とある街のデザイン会社に就職が決まった。その会社のチーフデザイナーだった宮里祐康氏が私の最初のデザインの師匠だ。

宮里さんのキャラクターは鮮烈だった。いつも仕事に夢中で心が休まる暇もない。一日中鳴りっぱなしの電話に応対しているのに、夜になるとデザインが出来上がっている。昼食に使った箸が、デスクのエンピツ立てに無造作に突っ込まれている。それでも遊びに夢中になる時は、事務所でも仕事そっちのけで一日中遊んでいる。隠し事もせず公然と給料やお金の話もしていた。

仕事関係のみんなが宮里さんが大好きだった。私は25歳までの5年間、彼の下につきデザインや社会人としての基礎を学んだ。教えてもらったことも数多いけど、遊び仲間の兄貴だったような存在だった気もする。そんな宮里さんは2019年の8月に永眠された。

名古屋でのお通夜でかつての同僚たちと話すことができた。その時私の口から出た言葉は、「宮里さんに出会っていなければ、今の自分は存在しない。宮里さんのクリーエーターとしての血が、自分にも流れている。」という、心からの感謝の気持ちが湧いてきた。

遠方につき頻繁にお墓参りが出来るわけではないが、宮里さんのことを思い出してはここに加筆したいと思っています。

最終更新:2020年9月25日 

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