A1明朝体と戯れる。

A1明朝体とは。

モリサワの明朝体フォントです。ファクトのブログの投稿記事は、すべてこのA1明朝体で文字組みされています。本文以外のナビゲーション等はリュウミンR-KLを使用しています。A1明朝体の最大の特徴は、フォントフェイス(一文字の形)が美しいことです。文学や古い広告の味わいを感じます。もっと癖のあるオールド書体もあるでしょうが、私はこのモリサワのA1明朝体が大好きです。

ひらがなが特に美しい。

線が交わる部分が微妙に丸くボケているのも大きな特徴です。仮名は小ぶりで少し太めでボリューム感が出ます。ですので本文に使用する場合は、少し抵抗を感じることもあるでしょう。字間・行間は言うまでもなく、大きなタイトルに使用する場合には、その文言までを吟味したいフォントです。

欧文はCentury Old。

20代後半の東京での修行時代に、事務所の先輩たちからいろいろ教えてもらったことが、今でも自分のデザインの基礎として息づいています。

The Century Old has very beautiful font faces. センチュリー・オールド・スタイルは、タイムズ・ニュー・ロマンやガラモンドと肩を並べる、代表的なローマンフォントだと思います。

タイポグラフィ

 
タイポグラフィという言葉が初耳のグラフィックデザイナーはヤバい(と思います)。別にタイポグラフィという言葉自体は知る必要がないのかも知れませんが、グラフィックデザインの基本は、このタイポグラフィにあると思います。
 
グラフィックデザインにおけるタイポグラフィは、文字のレイアウトと考えると簡単です。昔はカリグラフィと呼ばれる手書きの文字組も多かったのですが、今では、活字や写植を経てデジタルフォントによる文字組が主になってきています。
 
写植の時代にさかのぼると、フィニッシュ的に文字を組むということは、写植屋さんに写植を発注することであり、書体を吟味し、頭の中で出来上がりを想像しながら指定原稿を作って発注していました。それでも指定に失敗し思い通りの文字組が組めなかったことも多く、再指定するかカッターナイフで切り貼りするなど、気に入るまで頑張ったものです。
 
マックでデザインするようになってから、手軽にタイポグラフィを楽しめるようになりました。何回もレイアウトし直したり、フォントを変えてみたり、色まで自由自在。自分のように昔の苦労を知っている者からすれば、タイポグラフィ天国と言っても言い過ぎではないですね。
では、若手のデザイナーが昔のデザイナーよりもタイポグラフィに強くなったかと言うと、頭をかしげます。欧文フォントも数千のように出回っているし、和文フォントも写植時代に負けないくらいバリエーションが豊富(実際には写植時代を大きく上回っているが、質が低いものが多すぎる)。でも、ほれぼれするタイポグラフィを見かけなくなりました。
 
昔のタイポグラフィ年鑑やデザイン年鑑などを改めて見てみると、現在と比較し、圧倒的に「文字間」が詰まった文字組が多いですね。特に明朝体の詰め具合は異常なものがあり、少し痛さも感じます。それでも、コピー(文章)のパワーを視覚化するものとして、とても迫力を感じます。コピーライターとタイポグラファーの共同作業。その結果、初めて説得力のあるキャッチコピーとなるのでしょう。今の流行は「字詰めがゆるい」ことですね。もちろん、僕の修行時代にも「ゆる詰め」という言葉が存在し、実際にゆるめに文字組をすることを心がけていました。でも、現在では「詰めない」という文字組も立派に存在します。
 
話は変わって「ウェブデザイン」ではどうかなると、タイポグラフィ的には絶望感さえ感じます。72dpiでの小さな画像文字の再現力、フラッシュでアンチエイリアスがかかった場合の滲み。テキストに関しては、ウインドウズのブラウズ環境の悪さ。タイポグラフィなど気にしていたらバカバカしいほどです。しかも、制作環境ではアプリケーションソフトの進化により、自動詰めが出来るため、ほとんどのウェブデザイナーは独自の文字組にこだわるという感覚を持っていません。
 
イラストレータ(デザインソフト)を開き、デザイン作業を始める一歩は、まず、真っ白な画面に大きな文字を打ち込むこと。それは仮のフォントに代用されていて、二歩目の作業として、その文章のサイズを大きくし、好きなフォントを選択します。数えきれないほど、この作業を繰り返してきましたが、何度やっても新鮮なものです。和文も欧文も、自分が持っているフォントの中から好きなものをえらび、自由にタイポグラフィを楽しめます。デザイナーは、これを楽しいと思えることが幸せなことです。自分のスタイルを持ちつつ、新しいタイポグラフィにも挑戦したいですね。