これぞ傑作コロンボだ!

強烈な犯人像と圧巻のラストシーン

見た目の冴えない中年刑事コロンボが、華麗な殺人犯を落とす…という作品コンセプトは、1話「殺人処方箋」よりすでに出来上がっています。ここに挙げるのは犯人の職業やキャラクターなどの特長を活かして、仕上げられた傑作たちです。

6話「二枚のドガの絵」
刑事コロンボを代表する傑作のひとつ。コロンボ初心者のかたは、ぜひここからコロンボワールドに足を踏み入れていただきたい。
「計画殺人」「殺害動機」「犯人のキャラクター」「ラストシーンの気持ちよさ」など、刑事コロンボに欠かせない主要なポイントがきれいに揃った初期の傑作です。ロス・マーティン演じる美術評論家デイル・キングストンは最高。

4話「指輪の爪あと」
計画的な殺人ではないものの、ロバート・カルプ演じる探偵社の社長ブリマーの強烈なキャラクターと、犯人を徐々に追いつめて行くコロンボの捜査手法、圧巻のラストシーンなど、間違いなく「刑事コロンボの傑作」と呼べます。
この作品は意外に人気が高くないようで、少し残念です。だいたい15位くらいをうろうろしています。→人気作品ランキング

27話「逆転の構図」
犯人が写真家であることを作品のテーマとし、些細な疑問から徐々に犯人を追いつめ、自分から「犯人だと認めさせる」エンディングへと導く傑作です。口うるさい妻を殺害し、若くて美しい助手と第二の人生を歩みたいという計画を、コロンボ警部が見事に暴きます。

15話「溶ける糸」
スタートレックのミスター・スポックとしてお馴染みのレナード・ニモイを起用したことで、犯人のキャラクターがさらに際立った作品。自らの野望から、周囲の人間を次々に殺害しようとする外科医メイフィールドに、人間が持つ「究極の自己中心主義」を教えてくれる傑作。割合に、あっさりしている仕上げもコロンボ作品ならでわ。

25話「権力の墓穴」
隣人の過失致死に乗じて、自らも財産目当てに妻を殺害するというテーマが若干のマイナスポイント。犯人役のリチャード・カイリーは素晴らしかったですし、伝説的とも言えるアパートでのラストシーンも圧巻です。

*並びは「おすすめ」順です。
加筆:2022年8月14日

美しい作品群。

刑事コロンボの美学

一話完結のテレビドラマシリーズとして続いた刑事コロンボ。だからこそ、エピソードごとにそのテイストは大きく異なります。その中でも格別と言える美しさを持った作品たちです。

19話「別れのワイン」
シリーズ中での人気No.1は、揺るぎないですが、私の好みとしては第二グループの筆頭。コロンボと犯人エイドリアンの関係が美しすぎることが、その理由かも知れません。しかしながらこの作品は、どのように考えたとしても「美しい刑事コロンボ作品」として傑作。エイドリアン役のドナルド・プレザンスも素晴らしかったです。

28話「祝砲の挽歌」
壮大なスケールで描いたエピソードとしては、最も美しい作品。画面の広さが他の作品とは別格だと感じます。成功者の転落劇とは呼び難いのですが、殺意は納得できるものです。「卑怯者はここにはいない」「全体、止まれ!」で結ぶエンディングは、他の作品にはない独特の世界を作っています。

32話「忘れられたスター」
「忘れられたスター」という邦題が、すべてを表しています。しかもラストシーンまで、その真意が見えてきません。それでいて、作品を見返した時に、それまでの布石がひとつひとつ納得できます。刑事コロンボの王道的作品とは言い難いですが傑作です。

41話「死者のメッセージ」
後期の刑事コロンボ作品としては秀逸。とにかくアビゲイル・ミッチェル役の「ルース・ゴードン」が素晴らしい。ダイイングメッセージが解決のポイントということが少しだけ残念ですが、ほぼ傑作と呼びたい作品です。

*並びは「おすすめ」順です。
加筆:2021年2月27日

▼名作選へ続く