63話「4時02分の銃声」

Butterfly In Shades Of Grey
1993[第13シーズン 63話]

ラジオ有名コメンテーターで政治評論家の「フィールディング・チェイス」が養女の友人で元スタッフのジェリーを殺害。

ウィリアム・シャトナー+矢島正明さんが実現

犯人はかのカーク船長ことウィリアム・シャトナー。今回はこの主人公の圧倒的なキャラクター描写に尽きます。しかも吹き替えの矢島正明さんは絶品。短気で怒鳴り散らしたかとおもったら、猫なで声で電話をかけるなど、ばっちり楽しませてくれました。

カーク船長 vs 刑事コロンボ

カーク船長と刑事コロンボの競演というだけでも、他に何も必要ないほど「濃い」状況。冒頭のラジオ番組放送シーンで「カーク船長がチャーリーからの電話を受ける」というシーンにも少し「ニヤリ」でした。

怪物「フィールディング・チェイス」

犯行はかなりリスキーですし、わざと残した証拠のハンカチなど幼稚な面も見逃せません。それにしても、このフィールディング・チェイスという人物像、強烈です!コロンボ警部の「そうそう、もう一つだけ…」の展開に「そんなに物忘れがひどいなら、病院へ行きたまえ」とリアクションした人物は初ではないでしょうか。

少し大袈裟なトーンの吹き替えと評される石田太郎さんですが、今回のトーンは矢島正明さんとの絡みもあり、けっこう良い雰囲気だったと感じました。その中でもエンディング近くのフィールディングの自宅で、ビクトリアの母の肖像画に対し「温かい人柄が偲ばれますなー」と、小馬鹿にしたような台詞まわしは絶妙でした。

久々の「こうなったらコロンボを殺してしまえ」

さらには解決シーンでは、コロンボのウソにおびき出されたあげく犯行を暴かれ、この際「コロンボを殺してしまえ」と銃に手をかけるフィールディング・チェイス。可愛すぎます!このシーンで、クラクションを鳴らすピーター・フォークの演技は絶品だと感じました。
原題は「Butterfly In Shades Of Grey」で直訳は「灰色のシェードの蝶」で意味不明。邦題の「4時02分の銃声」もイマイチな気がしますが、どうでしょうか。

モリー・ヘーガンが再登場

養女のビクトリア(ビッキー):モリー・ヘーガンは、47話「狂ったシナリオ」のアレックスの元恋人で女優の役でも出演していました。二度とも重要な役柄でしたね。

傲慢な独裁者が守りたかったもの…恐れたもの…

フィールディング・チェイスは政治アナリストとして成功をおさめていますが、その背景には「独裁者的」「手段を選ばない」ことで、多くの敵をつくります。そして相手から意に沿わない行動を示されると「お前を破滅させる」と恫喝するのです。非常に寂しい立場の成功者と言えます。しかも、溺愛する養女ビクトリアからも「パパに必要なのはパパだけ」と、愛情を拒絶されてしまいます。
自ら多くの敵を作り、敵対意識を糧に成功して来たフィールディングが最も恐れたもの…それは敵対者から及ぶ、愛するものへの復讐…だったんでしょうね。恨まれる人生を生きることは避けたいものです。
 

ブログ訪問者さんからの情報

監督の「デニス・デューガン」は、37話「さらば提督」で、シオドア・アルビンスキー刑事を演じました。さらには(1973年 – 1987年の間)「ジョイス・ヴァン・パタン」の夫だったそうです。彼女は27話「逆転の構図」、39話「黄金のバックル」に出演している重鎮女優ですね。
監督:デニス・デューガン
脚本:ピーター・S・フィッシャー
フィールディング・チェイス:ウィリアム・シャトナー
ビクトリア・チェイス:モリー・ヘイガン
 
加筆:2011年1月29日

“63話「4時02分の銃声」” への16件の返信

  1. 話がおかしな方向に進んでいるわけでもなく倒叙ものとしても面白い。
    犯人の憎たらしさったらないですね。いつもなら嫌になるコロンボの追及も今回ばかりは応援w

  2. これも、通話履歴一つで最短逮捕できました。
    携帯電話をかけた時点で、その電波をどこの基地局で拾っているかの
    記録が残ります。フィールディングが、その時どのあたりにいたのかを
    特定できたのです。
    「影なき殺人者」においては、車から携帯電話をかけたら、その場所など
    電話会社に記録が残るとされています。ドラマとして重要な証拠となる
    部分に一貫性を欠いている。とても残念ですね。

  3.  BS-TBSで放送完了しました。
     コロンボは流行りの音楽を解せずラジオを聴かないとか。トルーマンなどとゆー半世紀前の大統領を語りたがるリスナーをバッサリやるチェイスも、ケータイの電波が来ない事が反抗の決め手になるという新しい技術への馴染めなさを露呈。自分達が背負うべき負担を子供達に負わせる政治を心配するリスナーも居ました。将来の無い、時代遅れになりつつある人々というテーマも当話の材料の一つのようですね。「我々は時代遅れなのかも?」という台詞が『スター・トレックⅥ』(1991…当話の3年前!)に出て来た事を思い出します。
     額田やえ子さんは副題に含まれた相反するイメージを邪魔しない様注意深く訳しており、陰日向、シロとクロがせめぎ合う台詞群を追い掛けようとしたら一度の視聴では足りないようです。格調高い台詞を生み出せる翻訳家が引退してしまって現在本当に居ない。史劇に現代劇みたいな台詞をアテて来て、それらに平成生まれの声優さんがイマ風のお芝居を合わせるような悪循環。新進の方がどれだけ古典を勉強しているか、古典の良さをどのように紹介するかといった問題にも繋がります。
     矢島正明さんは上品な台詞がよく合うだけでなく、仰々しい史劇やアニメっぽい言葉も浮いた感じがしない。ヴィクトリアが父の陰謀の片棒を担がされる辺り実に「闇に覆われる蝶」ですね。チェイスとコロンボの会食シーンでコロンボが紅茶を頼むでしょ?ハチミツを入れるもんだから綺麗なティーがどす黒い色に変わって行く。次第に黒く染まる様子を作り手は出そうとしたのかしら。
     被害者の男色と”Grey”の単語でオスカー・ワイルド関連ネタが有るかと掘って…いや、調べてみましたが、ジェリー宅、チェイス宅に飾られた絵なんて「ドリアン・グレイ」絡みと深読み出来そうです。現実世界で父の言いなりであるヴィクトリアは偽者で、本来のヴィクトリアは枠の中に閉じ込められているんだという表現かも知れません。
     ワイルドだろぉ?ネタをもう一つだけ。昨今“BL”と称される“やおい”趣味のハシリだったのが、揃ってコロンボに捕まった『宇宙大作戦』のカークとスポックだったそうで…矢島さんが関わるから「矢追」なのではありません。念のため。
     被害者ジェリー役は番組ナレーション(最近は予告のみですが)も担当している堀内賢雄さんです。佐々木優子さんとの共演はNHKのコメディドラマ『フルハウス』や『超能力ファミリー サンダーマン』の夫婦役が絶好調ですが、DVDレンタル利用出来るものだけでも『トゥルーマン・ショー』や『英国王のスピーチ』で息の合った夫婦役共演が聴かれる。オススメです。

  4. 怪物「フィールディング・チェイス」と、甘ちゃんの「ルーサン警部」が同じ
    だったなんて俳優ってすごいな。
    「ルーサン警部」と同じなのは、情けない終わり方でした。
    殺害はエゴのためなので、動機に同情の余地はありません。
    よって、コロンボも動機に切り込んでいくという事はありませんでした。
    コロンボとしては、旧来からあるオーソドックスな流れで良かったと思います。
    当時のコロンボファンからも、新シリーズについてのクレームが多かったの
    でしょうか。徐々に軌道修正というか、旧シリーズへの軌道回帰がなされた
    ようにも受け取れます。ただ次の「死を呼ぶジグソー」において、また大幅に
    逸脱してしまうのですが。「初夜に消えた花嫁」でもコメントしましたが、
    「刑事コロンボ」から逸脱してもらうと、そういった違う立ち位置から
    「刑事コロンボ」を見つめる事が出来るので、そういう意味では価値があります。

  5. この作品について多くの方からコメントを頂いて、たいへん嬉しく思います。不作揃いの新シリーズですが、この作品は好きです。フィールディング・チェイスはまるで「独裁者」のようで、シャトナーがその存在感を見せつけてくれました。この作品に「3票」加えます。

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