14話「偶像のレクイエム」

Requiem for a Falling Star
1973[第2シーズン 14話]

往年の大女優であるノーラ・チャンドラーが長年パートナーとして秘書を務めたジーン・デービスを車ごと爆破して殺害。

シリーズきっての大スター役

原題を私風に直訳すると「落ち目スターの葬送曲」となり、邦題よりもストーリーを素直に言い表す言葉になります。偶像のレクイエムは、今ひとつ…絵が浮かばない邦題かもしれません。

子役時代から一世を風靡し、映画界に君臨して来た銀幕の女王で、刑事コロンボのゲストスターが演じる犯人役の中でも、格別のスター度だと認識した方が良いかも知れません。コロンボ警部も劇中で何度か家に電話して「自分が今、どこにいるか?わかるか?ノーラ・チャンドラーのバンガローだよ」と、自慢気でした。
→偶像のレクイエムのロケ現場

メル・ファーラーは凄いのだ

ゴシップ記事作家のジェリー・パークスを演じた俳優「メル・ファーラー」は、何とあの大女優「オードリー・ヘプバーン」と14年間の結結婚生活を送っているのだ!本作の制作時期にはすでに離婚しています。それを知って、もう一度見てください。

過去の共演者の名前に驚くなかれ

1956年公開の超有名な映画を2本紹介します。1本目は「十戒」。主演:チャールトン・ヘストン、共演:ユル・ブリンナー、アン・バクスター。アンはラメセスの王妃「ネフレテリ」役。2本目はトルストイの小説を映画化した「戦争と平和」。主演:オードリー・ヘプバーン 、ヘンリー・フォンダ 、メル・ファーラー。とてつもないキャスティングですね。筆者はどちらも見ました!

本当は誰を殺したかったのか、分からない…

14話という初期作品なのですが、倒叙法(最初から犯人が分かっている)を原則としながらも「本当は誰を殺したかったのか、分からない…」という興味深いストリー展開となっています。おそらくこの作品を見た人の多くは、ゴシップ記事作家の「ジェリー・パークス」を殺そうとして誤って秘書を殺してしまった…と思ったでしょう。でも、もしそうであれば生き残ったパークスが「ノーラが自分を殺そうとしていた」と告発すれば、一気に容疑が固まるわけです。この二人の「くされ縁的な不利害関係」が前提として、物語は考えられていて、非常に「深い」ものを感じました。

大女優が演じ続けていたもの

その背景には「ノーラ が12年前に当時の夫を殺してしまった」ことも隠れているので、話がさらに複雑になり、ちょっとボケちゃってるのかも。ただ単に「往年の大女優が誇りを守るために殺人を犯した」だけでも、充分ストーリー展開できる気がしました。12年前にすでに殺人を犯していて、その後何喰わぬ顔でスターを演じていた…大女優?というオチでしょうか。
ストーリー展開の要所にドラマ撮影の場面が登場します。一瞬「本編(刑事コロンボ)の一場面」と錯覚させるようなな使い方をしていて、これは見る側を「はっ」とさせました。
コロンボ警部が「テレビなどを見ていて、事件解決のヒントを得る」ことは数回ありますが、あまりスッキりしないことが多い気がします。もちろん時代背景も考慮すべきですが。類似作品としては10話「黒のエチュード」30話「ビデオテープの証言」など。

愛車プジョーの汚れ方が尋常でない

セレブな犯人たちは、こぞってこの車を「ボロ車」と見下しますが、大女優:ノーラ・チャンドラーがこの「愛車プジョー・403コンバーチブル」に同乗したのは奇跡かもしれません。しかもこの時のボディの汚れ具合は尋常ではありません。どう見ても演出上、わざと汚しています(笑)

Tクラブ会員とは?

Tクラブとはフリーメーソンの外郭団体「シュライン」を意味するそうです。
 
監督:リチャード・クワイン
脚本:ジャクソン・ギリス
ノーラ・チャンドラー:アン・バクスター
ジェリー・パークス:メル・ファーラー
加筆:2017年12月22日

“14話「偶像のレクイエム」” への15件の返信

  1. 従来のコロンボ作品を期待していると明らかに違和感があります。普通の視聴者にとって12年前の秘密を解き明かすことはちょっと無理で、最後のコロンボの罠と推理を待つよりありません。夫の指輪のことは、初めてコロンボがノーラの家に行った時にコロンボが写真を見てやけに詳しく解説していて、そこが伏線になっているのは、コロンボでは細かい描写を見逃せない一例です。ただ泉が流れていないことを不自然とは思いませんでした。違和感とは別に、コロンボの車がスタントカーに間違われたり、ノーラに会う前に爪をきれいにしたり、ノーラにネクタイを締めてもらったり、面白いシーンは満載です。ボストン在住の私としては、ノーラがレストランでボストンのロブスターを絶賛していたのは、楽しい1こまでした。

  2. どうしてノーラは、秘書のジーンがパークスと婚約したことを聞いた時に、初めにあんなに驚いていたか。
    それはノーラが自分の夫を殺害して、自宅の庭に埋めているのをジーンが知っていたからなのですね。セレブの暴露記事を書いているパークスと結婚してしまったら、バレるのは時間の問題で、彼女を殺すしかなかった。
    序盤では、自分の負債を、会社に肩代わりさせていたことが明るみに出るのを恐れているという展開だったのが、実はもっと暗い過去をノーラは持っていたのですね。

    結局ノーラは、自分の夫、自分の秘書を殺害して、パークスも殺害しようとした。コロンボの他の犯人と比べても、かなり罪深いです。それでもあまり極悪人に見えないのは、全盛期を過ぎた大女優の悲哀ゆえでしょうか。例えば、ヴィヴィアン・リーあたりが演じていたら、もっと鬼気迫る感じになっていたかも…(彼女は1967年に亡くなっているので、それは不可能なのですが)

  3. 「白鳥の歌」のトミーの言葉。
    トミー:コロンボくん、君は実に抜群の想像力の持ち主だな、はっはっは。
    これは、この「偶像のレクイエム」でこそ表現され評価されるべき言葉だ。
    特に、ノーラのバンガローでTVを観たことで、ノーラが夫を装った偽装工作を
    したことに勘づくということは、なんというか、普通はあり得ない。
    コロンボが見る世間や人物、もっと言えば自然や世界は、普通の凡人とは違って
    見えているのではなかろうか。
    コロンボの頭の中では、まず容疑者の見当を付けるだろう。それを主軸に、
    色々な矛盾とその解決、状況証拠、仮説、動機、チャンス、方法、容疑者の過去、
    人生や価値観、クセ、対人関係、・・・・色々なものがいっぱい詰まっている。
    バンガローでTVを観たことで、それらの点が、一気に線となり面となった。
    その面となった仮説の証明で最後を飾った。
    過去の殺人が今回の殺人動機へと繋がっているものとして「黄金のバックル」
    がありました。

  4. 以前見たときは気がつきませんでしたが、あの衣装さんはアン・バクスターが出演した「イヴの総て」でアカデミー衣裳デザイン賞を受賞したイーディス・ヘッドご本人なんですね。友情出演といったところでしょうか。
    アン・バクスターは「イヴの総て」で、のし上がっていく大女優の付き人役をやっていました。今回は大女優が付き人を・・・キャスティング時には意識してたんでしょうね。今度イヴの総ても観てみようと思います。

  5. このエピソード、かなり思い出深いです。あくまで個人的にですが、似たテーマの名作「忘れられたスター」に匹敵します。
    憧れの女優に逢って感激するコロンボ(おそらくこの反応は素だと思われます)の様子も楽しいですし、物語が進むにつれて少しずつ見えてくるノーラの悲哀、そして切なすぎるクライマックスは心に沁みます。コロンボが彼女に優しく接する姿を観て、彼のことがさらに好きになりました。

  6. 犯人の強気から観念した時の表情の変化がすばらしい。
    あまり同情されるべき犯行動機ではでないですね。
    第一の犯行が第二の犯行動機になっている。
    これは、仮面の男、黄金のバックルなどでもありました。
    たいがいは「第一の犯行は証明できませんが・・・」ときますが、
    そこまで掘り下げていかないと、第二の犯行の本質を
    掴めないのですね。

  7. ぼろんこさん、こんばんは。
    おっしゃる通り「偶像のレクイエム」は倒叙法でありながら、ノーラが本当は誰を殺したかったのかが途中までわからないという、ちょっと凝ったストーリーになっていますよね。私も最初は、てっきりパークス氏を殺したかったのに、誤ってジーンを殺してしまったものと思っていました。
    それにしても、「忘れられたスター」のときもそうでしたが、コロンボ警部が有名女優に会ったときの喜びようは、半端じゃないですね。
    それと今回のプジョーですが、ずっと洗車していないというよりかは、いたずら書きされたの?って感じです。いくらなんでもちょっと演出のし過ぎ!?

  8. AKIさん>なぜ、一緒にふたりとも殺さなかったか?には、ドキリとしました。それにしても、昔に犯した罪に苛まれる日々…怖いです。

  9. タップおばさん>「私は嫌い!!」からの演技が特に秀逸ですね。劇中の女優役ということで、ひとしおです。

  10. いつも楽しく拝見させていただいております。
    久しぶりに見て思ったのですが、ノーラ・チャンドラーは夫を殺したことを、秘書のジーンに知られていたのではないでしょうか。もしかしたら、それをネタにゆすられていたのかもしれません。そして、ジーンがジェリー・パークスと結婚すると、そのことがノーラを通して知られてしまう(彼のゆすりのネタにされてしまう)ことをおそれて、ジーンを殺したのではないでしょうか。最初のシーンで彼がイタリアでの映画でのことを話してきたので、このままではジーンを通して私もゆすられるかもしれないので、ジェリー・パークスが夫殺しを(いつか)伝えられる前にジーンを殺してしまおうと考えたのではないでしょうか。それでも私の中には、なぜ、一緒にふたりとも殺さなかったという疑問は残りますが・・・。

  11. 終盤の噴水のくだり、
    動揺を隠しきれなくなってからのノーラの眼力が印象的でした。
    「私は嫌い!!」
    からの演技が特に秀逸だと思います。

  12. とっしーーさん、コメントありがとうございます。
    「指輪の件」は…
    ジェリー・パークスが持っていた指輪は、「もしかしたら…噴水の下に埋葬した亡き夫の遺体を発見されたか…」と、ノーラに不安をもたせるため、コロンボが用意した小道具です。要するに罠(わな)ですね。

  13. こんばんわ^^
    壁打ちのおじさんの1票、光栄ですm(__)m
    今回のノーラ、名前が似ているからかor髪型のせいかローラに似ていますね(雰囲気だけですが)笑 
    確かに今回は、目的が不明瞭な気がします。謎なんですが深い・・
    ⑫年前に夫を殺したっていうのは、コロンボにはなかなか無い今風な事件ですよね!
    家を売らない理由、水の出ない噴水・・
    秘密を知られたジーンを口封じにしようとする
    これらの状況証拠が事件解決に至ったかもですが、
    はたしてパークはどこまで事実を知っていたのか?指輪の件は、ちょっと分からなかったのですが、どういう経緯でしょうか??
    それにしても、コロンボのノーラへの熱烈なアプローチ、よっぽどファンで好きだっただけに、
    今回の事件は、残念でしょうね^^;
    関係ないですが、コロンボの身長は170センチくらいでしょうか?ちょうどノーラと同じくらいでしたし、パークもマネージャらしき人もけっこうデカかったですし^^
    後、日本人は膝上が長い人いますけど、外国人は膝下が長いですよね(´ー`*) 
    美容界では、膝下&膝上の割合が「5:3」が黄金比率とか・・僕は後5センチくらい脚が伸びないと
    4:3にならないってのに・・笑

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