3話「構想の死角」

Murder by the Book / 1971

カメラワークやライティングがスピルバーグ的?

演出が若き日のスピルバーグ監督というのは有名ですね。絵作りという着眼点で見ると、他の作品と大きな違いを感じます。まずは、構図の大胆さです。俳優同士の顔がくっつきそうになる程、近くで会話していたり、女優の横顔のシルエットでその場面を深く印象づけたりしています。全体的に画面が暗めなのも特長だと思います。特に夜のシーンでは、不気味な程に室内を暗くし、手前の人物の影が話し相手に重なって不気味な効果を出しています。

2020年4月の再放送を見ながら加筆しています。やはりこのカメラワークやライティングは、この1回きりで良かった…とも感じます。そこばっかり気になってしまい、本筋がおろそかになっているように見えてきます。

作家ケン・フランクリンの怪

犯人の作家ケン・フランクリン(ジャック・キャシディ)が共著の相棒作家、ジム・フェリスを殺害。動機は、ジムがケンとのコンビ解消を言い出したことにあります。実はケンは小説が全く書けないのです。

これまでに発表した人気小説「メルビル夫人」シリーズは、すべてがジムによる作品だというのです。私はものを創る立場なので、このような生き方は理解し難いですね。それにしてもよく今までコンビが継続したものだと。ケンは、コンビを解消すると、収入源を失うとともに「小説が書けないこと」が世間にばれます。どちらかが死んだ場合に、多額の生命保険が受け取れるようにしていたことも殺害の大きな動機です。

ウソが本当に思えてくる

この事件の背景には「ウソをつき続けていると、そのうち本当になってしまう」という教訓が見えてきました。ケンは主に、インタビューやPRを引き受け、賞賛を浴びているうちに、いつしか「自分が本物の作家である」と思ってしまうようになったのではないでしょうか。
決着の付け方としては「スカっとした切れ味」ではなかった気がします。それでも印象に残る作品のひとつです。コロンボから第二殺人のお粗末さを指摘されたケンは、第一殺人の優れたアイデアも自分によるものであると主張し、ひきかえに罪を認めまました。小説が書けない作家を演じ続けるより、1作でも優れた小説を書く努力をすべきだった。
ちなみに次作の4話「指輪の爪あと」では、明瞭な「コロンボの罠」によりスッキリ解決しています。構想の死角のゲスト俳優ジャック・キャシディは、22話「第三の終章」36話「魔術師の幻想」でも犯人役を演じていて、刑事コロンボシリーズでロバート・カルプと並ぶ最重要人物の一人です。

バーバラ・コルビーは迫真の演技

第二殺人の被害者ラサンカ夫人(バーバラ・コルビー)は迫真の演技でした。この後のコロンボ作品にも、犯行を見破る→恐喝→殺される という人が多く出て来ます。やはり金は人生を豊かにするものと考えてしまうのでしょうね。それが命取りでした。

ケン・フランクリン邸はエリック・ワーグナー邸

ケン・フランクリン邸は「アリバイのダイヤル」のエリック・ワーグナー邸としても登場します。(スタール邸だと勘違いしていましたが別の家でした)
→刑事コロンボマップ(PC)

刑事コロンボマップ

その他にもネットで調べましたら「構想の死角」のロケ現場らしき場所のヒントがありました。英語のサイトを参照していますので、真偽ははかりかねますが…。
→刑事コロンボマップ:ケン・フランクリンの湖の別荘
→刑事コロンボマップ:ケンとジムの事務所
 
 
監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:スティーブン・ボチコ
ケン・フランクリン:ジャック・キャシディ
リリー・ラ・サンカ:バーバラ・コルビー
ジム・フェリス:マーティン・ミルナー
妻ジョアンナ:ローズマリー・フォーサイス
加筆:2020年7月4日

“3話「構想の死角」” への81件の返信

  1. こんばんわ。
    冒頭のシーンでジムがタイプライターで入力しているのはメルビル夫人の物語ですよね。
    よく考えると、もう書かないはずなのになんでかな? と思いました。
    つまらない話ですみません。

  2. 初めて観たのは87年だったかな?
    当時は日テレの映画枠でした。
    あのETのスピルバーグが監督という事で、とても期待して録画予約をセット。
    翌日、ワクワクしながら再生すると、映し出されたのは「巨人×大洋」!!
    コロンボは20分遅れでスタート。
    とても嫌な予感を抱きながらも、展開に惹き込まれて行きました。
    そして案の定、残り10分を残して、録画終了...
    嫌いな巨人が、増々嫌いになりました(笑) 

  3. 【原題解釈】
    Murder by the Book
    直訳すると、「型通りの殺人」。
    by the Bookは「規則や指示にきっちりと従って」という意味。
    ジムが自分の描いた筋通りに殺人を遂行したことと、ふたりの本が殺人の遠因になったことを引っ掛けているのでしょうね。

  4. 先日の夜どういうわけか眠れなくて、ふとコロンボを観て見よう(数年前 Complete BlueRay BOX を購入しており)と思いました。しばらく悩んで選んだのは「構想の死角」。やはり何度見ても面白い!
    内容とは直接関係ありませんが、観終えた後に皆さんのコメントにも何度か出てくるラサンカ役の女優さん(バーバラ コルビー)がふと気になりました。他にどんな作品に出てるのかな?とか今はどうしてるのか?など。。。調べてびっくり。日本での放送の2年後1975年7月に何者かに銃で撃たれてお亡くなりになっているんですね。驚きと同時になんか切なくなり、改めて彼女の登場するシーン(わざわざ出向いてケンを脅迫するシーン)を観てみました。音声を英語に切り替えてみるとセリフの言い回し、声の調子が吹き替え版とはまた違う味わいでとても良い演技だなぁと感心しました。ケン役のジャック キャシディもまた76年に自宅マンション火災で亡くなってるのは知ってましたが、この二人が立て続けに亡くなっていたことは知りませんでした。

    当たり前のように毎朝目覚めて、また1日生活出来ていることは本当は当たり前ではなく、ありがたいことなのだなと考えさせられたような気がしました。今は新型コロナの影響で普通の生活とは程遠い状況ですが、なんとか無事に生きてることに感謝したい心境です。。。

    1. そうそう、女優バーバラ・コルビーさん、射殺されています。ジャック・キャシディもご存知の通り、早世していますね。

  5. ジャック・キャシディの犯人役、何度見ても良いですねぇ。
    ロスからサンディエゴって120マイル、車で2時間程度ですね。
    やはり、飛行機に乗っても、待ち時間もあるから、さほど時間は短縮
    されないですよね。やはり、皆さんの思いと同様に、作品的にはもう
    一つ感はあります。

    さて、今回、見ていて気付いたこと、
    オンボロカー初登場ですね。しかも、ラサンカ店に入ってくる際に、
    花壇の花を踏みつぶしてます。荒っぽいなぁ(笑)

  6. あらためて見ると「離婚」の記念に持ち込んでふたりで飲んだシャンパンの瓶とグラスを処分した気配がないのが気になります、部屋を出てから駐車場に向かうまでの間(写っていない間)に捨てたのでしょうか。さもないと部屋に瓶とグラスが残ってしまい、最後にふたりが居たことがばれてしまいます。

    1. 僭越ながら、シャンパンとグラスは残っていてもそんなに問題はないと思います。
      犯人のフランクリンは、ラサンカさんの店からジムの奥さんに電話して、「2〜3時間前にオフィスへ行ってジムに会ってきたんだ。戦闘終了さ」と話しています。つまり、2人でいたことを隠してはいません。その後、賊が襲撃した、という筋書きなので。

      とはいえ、後でいろいろ聞かれるのも面倒だし、わたしが犯人ならやはり処分しておきたいところですけどね〜

        1. それにしても、ラサンカがケンの連れをチラ見していたり、暇なはずなのに別荘に電話した時出なかったり、細かい点でも、我々見る側を楽しませる設定がありますよね。

  7. コロンボがオムレツを作るシーンで、「ま、食えるもんはたった一つ、オムレツなんです。女房曰くですがね」と、シリーズ全編において”かみさん”と言ってない唯一のシーンでしょうか。
    聞いた話では、NHKの初期の放映(UHFでの試験放送?)において、最初のほうのエピソードでは、原語の「wife」を「女房」と吹き替えていて、その後の放映でその部分だけを「かみさん」に吹き替え直したらしいですね。でも、1か所だけ(?)漏れていた、ってことですかねぇ。
    あと、コロンボは他にも「炒め焼き」が作れるはず(#42 美食の報酬)だけど、かみさんには作ってあげてないんでしょうか。美味しそうなのに。

    1. 翻訳家が額田さんに代わって、カミさんを使いだしたんですね。カミさんの原語はwifeだったりMrs. Columboだったりしたようです。

  8. はじめまして。
    今、先日放映分「構想の死角」の録画を楽しく見させていただきました。

    内容はすばらしかったのですが、一つ映像的にひっかかるシーンが…。
    ケンがジムを殺したあと、別荘前に止めた車のトランクを開けるシーンで、画面右に多分集音マイクだと思われる影が映り込んでいるように見えました。
    あの当時ならこんなこともあるのかなぁと思っていると、最後にスピルバーグの名前が!
    かのスピルバーグも見落としたのでしょうか。最後に一番驚かされました。

    1. スピルバーグと映り込みといえば、「激突」が有名ですね。
      ガラス面に撮影側が反射して写っているシーンがあります

  9. ラサンカさんが強烈に印象に残ってます。
    今回何か短く感じたのはどこかのシーンをカットされてるからですかね。
    構想の死角が何故人気があるのか?
    ちょっとわからないです。

  10. 最後のシーンが何回見ても何か納得いかないです。
    「自白と受け取って良いですね?」
    何で?
    ケンはコロンボとの会話のやりとりで
    ボロを出しましたか?
    トリックのメモが出てきたからって
    それがどうした!で済ませられないですかね?
    小説の方だとわかりやすいそうですが
    どなたかテレビ版のオチの説明をしていただけませんか?
    構想の死角を見たのは多分4回目か5回目ですね

    1. 私もあなたと全く同じことを思いました。
      オチとしては腑が落ちませんね。
      前見たときはここまで不思議には思わなかったのですが・・・

    2. お話し中失礼します。
      このエピソード、監督がスピルバーグということはひとまず別として、

      あらためて見直してみて、コロンボが犯人に自供させるための誘導尋問のテクニックはさすがだと思いました。

      最初の殺人については、パートナーのアイデアだと持ち上げておいて、
      ラサンカ夫人のそれについては、全くお粗末だと言っています。

      コロンボから、あんたには一行だって書けやしないと言われるに至って、
      フランクリンはつい、コロンボの話術にはまって、自分のアイデアだということをわからせたくなってしまいましたね。
      ———————————————–
      コロンボ「先を続けようか・・・」

      フランクリン「結構・・」
        ※もうそれ以上説明してもらわなくても結構(私のアイデアなのだから)
      ———————————————–
      派手さはありませんが、謎解き以外に相手を追い込むテクニックも見事でした。

      なお、同様の展開は、
      「殺しの序曲」で、シグマクラブ会員のオリバーを追い詰めるシーンでも見られます。

      1. ありがとうございます。
        納得いたしました。
        クライマックスシーンで
        コロンボさんが動から静へ変わるところでのやりとりに注意しなければならなかったのですね。
        でも犯人とのやりとりが淡々としてるようで...
        もっと決定的なボロを出してほしかったです。

      2. オリバーがレコードプレーヤーとマジックで分厚い本を落とすシーンですよね。
        そういうのを期待していたので構想の死角はわかりづらかったのです。

    3. 今まで考えなかったのですが、今回も「お得意の罠」を仕掛けても…良かったかな。例えば第二殺人がケンが考えた稚拙な犯行であるという決定的な証拠を、彼自身に隠蔽させるような…。
      しかし…それだと、コロンボは罠をしかける刑事のキャラで定着してしまいそうかな(笑)

  11. リアタイ視聴。
    この作品、メインの犯罪よりラサンカ夫人登場の場面に毎回ドキドキします。
    雑貨屋で会った時は普通の女主人風だったのが、ジムの事件後劇場でケンに再会した時の自信(?)に満ちた態度に激変。どんどん大胆に。
    ケンを恐喝、しかも$15,000も要求。当時のレートが314円でしたから貨幣価値を考慮してもすごい金額ですね。
    ケンを「信用ならない」と、警戒しながらふと気を許し、油断して背中を見せてしまい撲殺される。
    このあたり、気のいい普通の人の感じが出ていて憎めないですね。
    殺される直前、振り返った時の表情のカットは、恐怖と絶望にあふれ秀逸。
    普通で強欲、滑稽で物悲しい…次にまたこの作品を見てもラサンカ夫人が登場するとドキドキするでしょうね。

    1. 15,000ドルは471万円(1ドル=314円)だということです。何とかささっと現金を作れそうな金額で、現実的なラインですよね。

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