3話「構想の死角」

Murder by the Book
1971[第1シーズン 3話]

カメラワークやライティングがスピルバーグ的?

演出が若き日のスピルバーグ監督というのは有名ですね。絵作りという着眼点で見ると、他の作品と大きな違いを感じます。まずは、構図の大胆さです。俳優同士の顔がくっつきそうになる程、近くで会話していたり、女優の横顔のシルエットでその場面を深く印象づけたりしています。全体的に画面が暗めなのも特長だと思います。特に夜のシーンでは、不気味な程に室内を暗くし、手前の人物の影が話し相手に重なって不気味な効果を出しています。

作家ケン・フランクリンの怪

犯人の作家ケン・フランクリン(ジャック・キャシディ)が共著の相棒作家、ジム・フェリスを殺害。動機は、ジムがケンとのコンビ解消を言い出したことにあります。実はケンは小説が全く書けないのです。

これまでに発表した人気小説「メルビル夫人」シリーズは、すべてがジムによる作品だというのです。私はものを創る立場なので、このような生き方は理解し難いですね。それにしてもよく今までコンビが継続したものだと。ケンは、コンビを解消すると、収入源を失うとともに「小説が書けないこと」が世間にばれます。どちらかが死んだ場合に、多額の生命保険が受け取れるようにしていたことも殺害の大きな動機です。

ウソが本当に思えてくる

この事件の背景には「ウソをつき続けていると、そのうち本当になってしまう」という教訓が見えてきました。ケンは主に、インタビューやPRを引き受け、賞賛を浴びているうちに、いつしか「自分が本物の作家である」と思ってしまうようになったのではないでしょうか。
決着の付け方としては「スカっとした切れ味」ではなかった気がします。それでも印象に残る作品のひとつです。コロンボから第二殺人のお粗末さを指摘されたケンは、第一殺人の優れたアイデアも自分によるものであると主張し、ひきかえに罪を認めまました。小説が書けない作家を演じ続けるより、1作でも優れた小説を書く努力をすべきだった。
ちなみに次作の4話「指輪の爪あと」では、明瞭な「コロンボの罠」によりスッキリ解決しています。構想の死角のゲスト俳優ジャック・キャシディは、22話「第三の終章」36話「魔術師の幻想」でも犯人役を演じていて、刑事コロンボシリーズでロバート・カルプと並ぶ最重要人物の一人です。

バーバラ・コルビーは迫真の演技

第二殺人の被害者ラサンカ夫人(バーバラ・コルビー)は迫真の演技でした。この後のコロンボ作品にも、犯行を見破る→恐喝→殺される という人が多く出て来ます。やはり金は人生を豊かにするものと考えてしまうのでしょうね。それが命取りでした。

ケン・フランクリン邸は「スタール邸」

ケン・フランクリン邸は、有名な「スタール邸」で、この他にも「殺人処方箋」ジョーン・ハドソン邸「アリバイのダイヤル」のエリック・ワーグナー邸としても登場します。
→刑事コロンボマップ:スタール邸

刑事コロンボマップ

その他にもネットで調べましたら「構想の死角」のロケ現場らしき場所のヒントがありました。英語のサイトを参照していますので、真偽ははかりかねますが…。
→刑事コロンボマップ:ケン・フランクリンの湖の別荘
→刑事コロンボマップ:ケンとジムの事務所
 
 
監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:スティーブン・ボチコ
ケン・フランクリン:ジャック・キャシディ
リリー・ラ・サンカ:バーバラ・コルビー
ジム・フェリス:マーティン・ミルナー
妻ジョアンナ:ローズマリー・フォーサイス
加筆:2013年10月08日

“3話「構想の死角」” への25件の返信

  1. 初めまして。再放送を録画して何度も見ているファンです。
    ジムの家でコロンボがオムレツを作るシーンでキッチンの
    下の戸棚からチーズをすりおろすものとボールを取り出しますが
    ボールの中にすでにチーズが入っているのがチラチラ写っています。
    それを誰かに言いたくて。ご存知だったらすみません。

  2. 二度目のコメント失礼します。
    『構想の死角』を何回か鑑賞するたびに思うんですが、殺された相棒のジムはかなりのお人好しですね。ケンに別荘に行こうと誘われた時も「(奥さんに)嘘をつくのは気が引けるよ」と渋っていますし、そもそもシリーズを打ち切ると言い出すまで長年書いてもいないケンが作者を気取るのを黙認していたのも寛容すぎます。発言の節々から、素朴で商売ごとが得意でない人なんだなあ、と。そんなところをケンに付け込まれていたのかもしれません。
    もうひとつ気になるのは、ケンは推理作家としては無能でも、これだけ口が達者なのだから別のビジネスでも成功できたのでは?マネジャーだと公表して仕事をしても良かっただろうし。お金以上にベストセラー作家としての名声に執着があった、ということでしょうか。

  3. 妻ジョアンナとコロンボの会話。
    ジョアンナ:おなかが空かないの。
    コロンボ :まあ、つついてみて下さい。
         :美味しくなかったら捨ててもいいから。
    遠慮されているのも拘わらず、人さまの家の食材で勝手にオムレツを作って、
    あまつさえ、美味しくなかったら捨ててもいいからとは、何たる言い草か!!

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