泣けるコロンボ作品…
「忘れられたスター」は私が最も好きな刑事コロンボ作品のひとつ。解決編では、この作品ならではの結末を迎えます。それはコロンボ作品中、最も涙を誘うものです。
永遠のスター「ジャネット・リー」

殺しの序曲のウエイトレス
また40話「殺しの序曲」に登場するウエイトレスは「ジェイミー・リー・カーティス」で、ジャネット・リーの娘です。
コロンボシリーズで最も重要な「犯人ではない登場人物」

コロンボはネッドに何を託したか
コロンボ警部がネッド・ダイヤモンドに事件の全てを説明するのは、意味深いです。グレースが執拗な捜査にいらだちつつも、好意的な態度に変わっていくことから、「通常の殺人犯人とは違う」ことには気付いていたでしょう。そのようなグレースに対し「自白に導く」というコロンボ特有の手法が不可能となりました。ネッドの前でグレースを追いつめることで、身代わり犯人を持ちかけたとも想像できます。
忘れられたスターの魅力
原題と邦題はほぼ同意味で、この作品を端的に表すグッドなネーミングです。「ファンは自分を決して忘れていない」女優復帰に並々ならぬ意欲をみせる主人公:グレースですが、当人は記憶を失う病気で、余命幾ばく。それを知っている夫ヘンリーは復帰に反対するが、愛情とは理解されず妻に殺されてしまう…。グレースを心から愛する元パートナーの俳優ネッドは、身代わりとなり逮捕される。
憎しみを感じさせない、悲しい殺人事件
もはやコロンボの名前すら覚えられないグレース。財産をはたいてまで復帰を目指しますが、プロデュースを買って出たネッドでさえ、復帰の難しさを感じていたでしょう。生きているうちに…と世界旅行を提案する夫の優しさも虚しい。幸せとは何であるか?を考えさせられました。
覚えていないという主題
グレースは記憶を失う病気で、シーン各所にその伏線が見えています。ブログゲストさんのコメントにもありますが、何を覚えていて…何を忘れてしまったのか…その焦点もこの作品に不思議な魅力を加味しています。
夫ヘンリーはこの時84歳!

人気ランキングで常に上位を獲得
コロンボ作品の「人気ランキング」では、確実に「5位以内の座を獲得する作品」だと断言しておきましょう。(笑)1位は、やはり「別れのワイン」の指定席。32話ということで、決して傑作ぞろいの初期作品‥ではないのですが、まだこのような斬新なストーリーがあったのだと、びっくりします。
これもひとつのスタイル
私は刑事コロンボの王道的なスタイルとして「成功者の転落劇」にこだわっています。もちろん、そこに刑事コロンボの醍醐味が存在するのですが、この「忘れられたスター」のような「決して悪人とは思えない」犯人によるストーリーも感慨深いですね。19話「別れのワイン」、41話「死者のメッセージ」などに同じ雰囲気を感じます。
執事レイモンドはザイアス博士

猿の惑星や奥さまは魔女などで活躍
執事レイモンド役はモーリス・エヴァンスで、映画「猿の惑星」の「ザイアス博士」でもお馴染みの俳優。またテレビドラマ「奥さまは魔女」では、主人公サマンサのお父さま「モリース」を演じています。
バーク刑事Bではない!

ランズバーグ先生とコリアー先生は同僚だ!

この病院で登場する女性警察官

本屋の店員

アンダーソン検死官

階段の吹き抜けと壁紙が印象的な豪邸
このウィリス邸は、玄関脇から2階に上る階段がとても印象的で、見上げたり、見下ろしたり、いろいろなアングルから撮影されています。また、花柄を基調とした壁紙も素敵です。グレースのお部屋などは白地にに明るい配色の花柄。それに対しご主人のお部屋などはブルーの花柄になっていて、シックな印象を受けます。邸宅が高台にあることから、窓越しの景色にハイウェイが見えたりして、とても素敵です。

監督:ハーヴェイ・ハート
脚本:ウィリアム・ドリスキル
グレース・ウィラー:ジャネット・リー
ネッド・ダイヤモンド:ジョン・ペイン
執事レイモンド:モーリス・エヴァンス
アンダーソン検死官:ハーヴェイ・ゴールド(野本礼三)
加筆:2020年11月10日