20話「野望の果て」

Candidate for Crime
1973[第3シーズン 20話]

動機は不十分?

上院議員候補ヘイワード氏が自分の選挙参謀を殺害します。殺害動機は被害者ストーンがヘイワードに「愛人と別れるように」命令したことが直接要因となっているが、それだけでは弱いですかね。それよりも脇役であるはずの選挙参謀が主人公である上院議員候補に対し「自分の操り人形になれ」とばかりな態度を見せたことにあるのではないかと思います。

脅迫に屈しない候補者

ヘイワード氏はたとえ脅迫されようとも屈せず、犯罪撲滅を訴える勇気ある候補者を演じようとしていた。脅迫犯がストーンを殺害することで「同情票と邪魔者抹殺」の一石二鳥を狙ったのでしょう。*2018年3月に追記

犯人役をジャッキー・クーパーが好演。

それにしても選挙前の最も大切な時期に、身近な人物を殺害してしまうというリスキーな行動に出るだろうか?しかし、それを納得させちゃうようなキャラクターが犯人のネルソン・ヘイワード(ジャッキー・クーパー)。全編に彼の人間臭さ、幼稚さが描かれていますね。
日本語版吹き替え:中谷一郎(なかたにいちろう)さんはテレビ時代劇「水戸黄門」の初代「風車の弥七」でも有名な方です。

ヘイワード候補の説明は、ことごとく却下。

まずコロンボの執拗な捜査に腹を立て、嫌悪感を露にします。愛人と本妻との板挟みにあい、徐々に選挙どころではなくなってゆく様。コロンボの疑問を解決すべく口にした「アドバイス」を、ことごとく跳ね返され追いつめられて行きます。終いには、自作自演の狙撃シーンを演出し、妻や愛人の前で殺人を暴かれてしまう。本当に恥ずかしい場面です。上院議員候補ヘイワード氏を通じて描かれた「野望の果ての転落劇」でしょうね。

行動がいちいちわざとらしい、ヘイワード氏。

妻の秘書に「脅迫状が届いたことを告げる」シーンは面白いです。すごくわざとらしいヘイワードの表情と口調を楽しめます。また、テレビ演説の収録場面はコロンボと奥さんの会話で気が散ってしまうヘイワードさんも可愛いです。

自作自演のベランダの爆竹

ラストの自作自演の場面では、ベランダの爆竹(燃えカス)の後始末はどうするつもりだったのでしょうね、ヘイワードさん(笑)本来であればこれは決定的な「減点対象」となりますが、それまでの経緯が素晴らしいため、目をつぶりたくなります。

「野望の果て」は出演者のキャラクターが光ります。

ジャッキー・クーパーのラストの表情は切ない

演技が軽いという評もあるようですが、刑事コロンボの犯人役で最も印象に残る人のひとりです。また彼が逮捕されるシーンではコロンボ警部の「はい。はい。はい。はい。いいえ。」という名台詞が登場します。そして「あなたを逮捕します」と言われた直後のジャッキー・クーパーの表情「目を閉じる演技」は哀愁が漂います。

 
 

初期コロンボの美人秘書の典型?

この作品「野望の果て」の脇役ヘイワード夫人の秘書のリンダ(ティシャ・スターリング Tisha Sterling)は、コロンボ作品に登場する若い美女像の典型のように感じます。その後に登場する26話「自縛の紐」の犯人マイロ・ジャナスの秘書ジェシカ・コンロイにも共通点を感じました。

コロンボの執拗な聞き込みに対して「何も知りません、失礼します。」と、一刻も早く立ち去ろうとしますが、ヘイワードの人格性について聞かれると力説してしまい、益々疑われてしまうのです。

刑事コロンボで最も素敵な「犯人の奥様」の一人

ヘイワード夫人はジョアンヌ・リンヴィル(Joanne Linville)で、シリーズ中で最も素敵な「犯人の奥様」だったと思えます。夫の選挙活動の手伝いから、不倫疑惑の浮上、殺人犯人へと転落するまでの心の動きをよく表現していました。

テレビ演説でのカメラ撮りでの彼女とコロンボ警部とのやりとりは楽しく描かれていましたね。コロンボから「ハリー・ストーンが頑丈な腕時計を所有していた」と…テントの柱でコツンと音を立てられ、ビクッとする仕草が可愛かったです。その他のシーンでも、夫の行動に疑惑を感じつつも、愛は失っていない妻の心情がよく出ていました。

ヘイワード夫人の親友はミシンのおばちゃん

コロンボファンの方より教えていただいた情報ですが、ヘイワード夫人の親友「ルーシー」は24話「白鳥の歌」で「ミシンのおばちゃん(写真)」と同一人物「ルシール・メレディス(Lucille Meredith)」さんです。

なんで名前が違うの…?

ヘイワード氏の警備を担当したバーノン刑事は、11話「悪の温室」でグローバー刑事として登場していましたね。両役とも良い味を出していたと思います。参照:「ロス警察の気になる同僚たち」

チャドウィック紳士服店

チャドウィック紳士服店のマネージャーは名優ヴィトー・スコッティ。犯人のネルソン・ヘイワード氏の行き付けの紳士服店で、コロンボ警部が自分もボウリング祭り用のジャケットを作って欲しいと依頼し、軽くあしらわれるシーン。仕上がりの期日を告げられて態度を一転するのがこっけい。

冒頭シーンのBGM

このどこか不気味な雰囲気のする音楽は、24話「白鳥の歌」や25話「権力の墓穴」にも使われています。印象的な曲で大好きです。

ジュード・フェアズ

コロンボ警部が運転中に検問される際に登場する若い方の警官役のジュード・フェアズは26話「自縛の紐」で健康クラブの清掃員:マーフィとして再登場しています。

監督:ボリス・セイガル
脚本:アービング・パールバーグ 他
原案:ラリー・コーエン
ネルソン・ヘイワード:ジャッキー・クーパー
ヘイワード夫人:ジョアンヌ・リンヴィル
リンダ・ジョンソン:ティシャ・スターリング
ハリー・ストーン:ケン・スウォフォード
加筆:2017年12月23日
 

“20話「野望の果て」” への37件の返信

  1. ぶっそうな発砲事件で、住民がテレビインタビューに答えるとき「パンパーン」と音が聞こえたと、必ず言います。誰も「ズキューン」とか「ババーン」とは言いません。
    がやがやと楽しくお酒を飲んでいる時に、意識ぜずに急に聞く銃声は、おそらく「バーン」つまり、爆竹と変わらない音に聞こえるのではないでしょうか。・・と製作者に味方してみました。

  2. このブログ中にも「コロンボの家族・親戚」という書きかけの記事があります。「短パン」のエピソードも追記しますね。

  3. やはり…納得できない。短パンでも納得できません。38歳の弟が子供の頃の短パンを穿くて…。ぼろんこさんのおっしゃるように、コロンボの身内情報は、あやしいですね(笑)

  4. いつも楽しく拝見させていただいております。
    この作品、私は何故か何度も観てしまいます。そうなんです!みのさんが(笑)殺人犯ながら、なんともチャーミングでつい笑ってしまうんです。なぜ、あの美しいリンダさんに愛されたのか?上院議員になろうって人だからデキル人物なのかな、やはり…。
    コロンボ警部の家族は節約家で、38歳の弟さんが今も子供の頃の半ズボンを穿いてるって⁉えっ?まさか、嘘でしょ。と思ったら、字幕では「短パン」となっていて納得です(笑)

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