1話「 殺人処方箋 」

Prescription : Murder / 1968

記念すべき第1作 殺人処方箋

殺人処方箋 は刑事コロンボの第1作目ですが、この1話はTV映画版、2話「死者の身代金」はパイロット版に位置付けられます。刑事コロンボがシリーズ化されるのは3話「構想の死角」からです。アメリカでの放送当時は「殺人処方箋」というテレビ番組であって、「刑事コロンボ」というテレビ番組ではないのだ!と思われます。

オープニングのタイトルバックが凄い!

かつて「舞台劇として演じられた作品」を、TV用に再アレンジして制作されたパイロット版だということです。冒頭の番組名やキャストのクレジットのデザインにはびっくりしました。時代性を物語っていますね~。音楽は有名な作曲家「デイヴ・グルーシン」によるものです。それに比べ、3話「構想の死角」からはお馴染みの「右揃え・黄色のゴシック系書体(注)」という、刑事コロンボシリーズ独特のオープニング画面が定着するようです。

若々しいコロンボ

殺人処方箋 ピーターフォークピーターフォークは当時41歳。その後のコロンボ警部のトレードマークになる、レインコートもヨレヨレとまでは言えず、髪型もボサボサではないです。それでも後期の作品(新・刑事コロンボを含め)よりも、しっかりしたキャラクター性を感じられました。

少々冷酷に映ったか…

嫌気がさすような執拗な捜査、細かい矛盾を逃さない着眼点、さらには犯人を罠にかける「落とし」のテクニック。それらがふんだんに盛込まれています。少し冷酷な印象も残り、後の作品ではドジで人間臭い、愛されるキャラクターに傾いていったのかと思われます。それでも見逃せないのはラストシーン…強烈です。
また、ジョーンの供述をとろうとして、ポケットのペンを探すが見つからず、捜査員に借りている仕草が滑稽です。
→ コロンボはよく「筆記用具を忘れる」件

主犯と共犯の動機の温度差

その後のコロンボ作品にも数回採用されている「共犯モノ」、初回からそうだったのですね。共犯者の「口封じ」は各話とも重要なポイントになり、第二殺人の被害者になるケースも多いのですが、この「殺人処方箋」のコロンボは共犯者の弱さに目をつけ解決の切り札にしました。コロンボ警部の凄さは、「主犯」と「共犯」の「動機の温度差」を共犯者に示唆し、「主犯者に利用された」という背景を引き出していることです。

殺人処方箋 ジーン・バリー主犯の精神科医レイ・フレミングは共犯のジョーンに対し、ヘマしないように細心の注意を払っていますが、これは「二人の未来のための殺害計画」ではなく、実際に利を追求しているのはフレミングのみで、ジョーンは共犯者として選ばれただけだということを、見る側に伝えています。

普通の刑事ドラマではないですよ~宣言

犯行後に、フレミングが電話の上に手袋を忘れそうで、忘れなかった演出。これは視聴者に「おっと、そんなに簡単にヒントは残しませんよ」と、語っています。また、コロンボ警部がジョーンを脅して落とそうとして「じゃ本部で供述をとりましょうね」の後、拒絶されるシーン。普通の刑事ドラマなら、これらが決め手になっちゃうところ「これくらいじゃ落ちませんよ」という、意気込みを感じました。

最初は強烈なほど「豪腕刑事」の素質があった

キャサリン・ジャスティス心が揺らぐ共犯者のジョーン・ハドソン(キャサリン・ジャスティス)に「あんたが殺したも同じだ」から「あんたを落としてあいつを逮捕する、これは約束します」の連続した台詞は、シリーズを通して最も語気を荒げたシーンの一つです。

可哀想なフレミング夫人

ニナ・フォックフレミング夫人のキャロル(ニナ・フォック)は、夫に愛想をつかしていました。夜遅く帰宅するレイを、自室でサングラス(夜なのに・家なのに)をかけて待っています(笑)しかし彼がアカプルコ旅行を計画していると弁明すると一転、機嫌が直ってはしゃいでいました。→映画「十戒」のニナ・フォック

地方検事のバート

ウィリアム・ウィンダムフレミングの友人で地方検事のバートは俳優ウィリアム・ウィンダム。この人は8話「死の方程式」でスタンフォード化学工業の副社長として再登場します。ラストの印象的なロープウェイのシーンにも立ち会った人ですね。

コロンボ警部の刑事哲学が見えてくる

また第1話で既に、コロンボ警部の「刑事哲学」とも思える言葉を聞くことができました。それは「いくら犯人が頭が良かったとしても、殺人については素人である。しかし自分にとってコロシは仕事。たいへんな修練を積んでいるわけです…。」というもの。た、確かに。コロンボ警部の捜査手法はそうした経験に裏付けされた、「匂いを感じて動く」のような部分が大きいのです。
ずっと後の作品40話「殺しの序曲」で、オリバー・ブラントに語る場面や、44話「攻撃命令」での言葉遊びも似たような趣で興味深いです。

計画通りにはことが運ばない

この作品を何度も見返しますと、やはり「予期せぬことが起こる」ということを、細かく描いています。キャロルが死んでいなかった、ジョーンが頻繁に電話や訪問して来ちゃう、警部が約束より早く来るなど。その度に犯行がバレるかも…とハラハラします。

飛行機の機内での夫婦喧嘩

お芝居ですので、かなり声を張り上げてやってましたね。でも声が本物のキャロル奥様とは全然違う気が…。最初から少し無理のある計画だったとも言えますね。夫婦喧嘩なんて恥ずかしいことなので、周囲に聞こえないように‥小声ですべきだった。それでも喧嘩が原因で、キャロルが飛行機を降りたことにできそう。

レイ・フレミングのマンションの風景は「絵」

レイ・フレミングのマンションの窓から見える風景は完璧に「絵」です。古い時代のテレビドラマや映画の笑えるワンシーンですね。フレミングが妻を殺害した後、窓ガラスを割って強盗の仕業に見せかけるシーンで、風景に自分の影が映っています。その他にもアカプルコの釣りのシーンも、もちろん海(背景)とガッツリ合成していますよね。

ジョーン・ハドソン邸は「スタール邸」

ジョーン・ハドソン邸は、有名な「スタール邸」で自称「大部屋女優」のハドソンさんにしては、とてつもない豪邸です。「構想の死角」ケン・フランクリン邸「アリバイのダイヤル」のエリック・ワーグナー邸は、よく確認してみましたら、別の豪邸でした。

容疑者を張り込む刑事

これは2021年の新・気づきです。以前ゲストさんから「容疑者を張り込め(尾行すれ)ば、少なくとも第二殺人は起きない」とのご指摘をいただきました。確かに!その通りなんです。でも第1作では、刑事2人にジョーン・ハドソンを尾行させ、夜は自宅に張り込んでいました。

スペクタクル映画「十戒」

十戒のニナ・フォックスペクタクルとは「壮観」などの意味がありますが「十戒」はコロンボファンにとって正にスペクタクル!主役のモーセを川で拾って育てる王妃ビシア役にこの「ニナ・フォック」、モーセの敵役となるラメセス2世の妃ネフレテリ役に14話「偶像のレクイエム」の「アン・バクスター」、そして悪徳な総督バッカ役に18話「毒のある花」のラング社長「ビンセント・プライス」。少なくともこの3人が共演しているのです。

トミーの自供

アンソニー・ジェームストミー(アンソニー・ジェームス)の自供は決定的なシーンではないが、場面転換としては効果的です。コロンボが本件の捜査から外されるまでの経緯として、気分が入れ替わって気持ちよいですね。

タイトル文字など

注:2話「死者の身代金」は1話と比較し、今後シリーズ化されたデザインかなりに近いものになっていますが、文字は白色でエクステンデッド・ブラック(横長で極太)書体ではありません。なかなか気づきにくいことですが、新シリーズからは、文字が右揃えではなく、センター揃えに統一されています。

舞台版「殺人処方箋」について

本作(パイロット版「殺人処方箋」)より6年前の1962年に、トーマス・ミッチェル主演の舞台版「殺人処方箋」が上演されています。2021年の7月にひょんなことから、このお芝居の日本初上演を実際に見ることができました。詳しくは舞台版「殺人処方箋」をご覧ください。

ジョーン・ハドソン邸

監督:リチャード・アーヴィング
脚本:リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
音楽:デイヴ・グルーシン

レイ・フレミング:ジーン・バリー(声:若山弦蔵)
ジョーン・ハドソン:キャサリン・ジャスティス
キャロル・フレミング:ニナ・フォック
バート:ウィリアム・ウィンダム

加筆:2021年9月18日

刑事コロンボマップ

2話「 死者の身代金 」

Ransom for a Dead Man / 1971

まだ本格的なシリーズ化ではない 死者の身代金

死者の身代金 は女性弁護士レスリー・ウィリアムズが、夫(有名弁護士)のポール・ウィリアムズを殺害し、身代金目当ての誘拐に見せかけるお話。3話の「構想の死角」から本格的にシリーズ化する直前の作品と位置づけられます。タイトルクレジットは細く白色で、いわゆるコロンボ書体ではありません。

リー・グラントは怖(こわ)美しい

死者の身代金 リー・グラント犯人役のゲストスター、レスリー役:リー・グラントは2作目にして初の女性犯人。当時44歳頃で、小柄な女性ですが強く美しく描かれています。特にウィリアムズの葬式での横顔が印象に残ります。リー・グラントという出来すぎた芸名は、南北戦争の敵同士「リー将軍」「グラント将軍」からとられたそうで、納得。

犯人レスリー・ウィリアムズ像

パトリシア・マチック物語が進むにつれ「殺害動機」が分かってくる展開が面白かったですね。その過程で彼女の「強欲」「強権的」な性格も見えてきます。娘マーガレット(パトリシア・マチック)との会話はもちろん、失神の演技、法廷で強気の発言…など。著名な弁護士の夫に頼らなくても十分活躍できそうな女性なのでは?と感じさせます。
ウィリアムズ邸

ウィリアムズ邸

ウイリアムズ邸は、サネット・ブールバード沿いの高級住宅街にあります。一番近いご近所は、会計士のオリバー・プラントさんです。

ロス警察を「この街の警察」と…

FBIの管轄になったことから、コロンボ警部も最初は遠慮がちに捜査に関わっていて、「矛盾に対する困惑」が延々と描かれます。「殺し」の捜査に移行した後は、水を得た魚のようにはしゃぎます。今回はFBIの登場ということで、ロス警察を「この街の警察」と表現していて面白いですね。

後の作品の元アイデアがちらり

ごく初期の作品なのですが、かなり「スッキリ」な仕上がりになっていてびっくりしました。脅迫電話のトリックをレスリーに実演してみせることも興味深いし、娘に一芝居打たせて、犯人を罠にハメるラストは25話「権力の墓穴」、録音テープを使ったトリックは26話「自縛の紐」の原形にも思われ、とても興味深いものです。

確立してゆく捜査スタイル

1話の「殺人処方箋」とこの2話「死者の身代金」で、コロンボの刑事としての捜査スタイルはすでに確立していて「うだつの上がらなそうな風貌を利用して相手を油断させる」「身内の話で手がかりのきっかけを作る」「実はかなりの腕利き刑事」などが見られます。ただ両話とも、コロンボ刑事が事件から外されそうになり、現実の世界でもありそうな展開。

セスナに乗るシーン

レスリーと一緒にセスナに乗るシーンは、大きな場面ですがそれほど重要ではなく、一見無駄に長く感じられます。これは勇敢な女性と頼りない男性を対比させ、コロンボのキャラクターを際立たせているのかな。この飛行場は「バーバンク・グレンデール・パサデナ空港」と呼ばれていたが、現在は俳優の「ボブ・ホープ」に因んで「バーバンク・ボブ・ホープ空港」となっています。

バーバンク・ボブ・ホープ空港

髪が伸びて、ぼさぼさ風に

1話「殺人処方箋」から約3年が経っての2作目です。ですので一気にお馴染みのコロンボの風貌が出来上がっています。髪は伸びでぼさぼさ、レインコートも少しよれよれ度を増します。さらに…スーツは今回からお馴染みの「明るい茶系」に変化し、温かみを感じます。殺人処方箋ではグレー系(ちょっと冷淡)でした。すでに「チリ好き」も楽しめますし、コロンボのキャラクター設定が出来上がってきました。

ティモシー・ケリー

ティモシー・ケリーコロンボ警部が好物のチリを食べる「Barney’s Beanery」の「バート」役のティモシー・ケリーは、その後の作品、5話「ホリスター将軍のコレクション」にも同じ役で登場します。38話「ルーサン警部の犯罪」はトニーで別人の役。

バーニーズ・ビーナリーが初登場

バーニーの店新シリーズに登場する「バーニーの店」の前身として考えて良いのかどうか疑問ですが店名は「バーニーズ・ビーナリー」です。ティモシー・ケリー出演の5話「ホリスター将軍のコレクション」のお店は違うようですね。今回はビリヤード台の置いてある広いお店でした。コロンボのビリヤードシーンは今後もたびたび見られます。→バーニーの店「バーニーズ・ビーナリー」

カールソン捜査官

ハロルド・グールド誘拐事件の捜査の責任者カールソンは俳優ハロルド・グールド。ヒゲがお似合いのジェントルマンでしたね。ハロルド・グールドは長い俳優キャリアを持っており、映画「スティング」、テレビ出演では「0011ナポレオン・ソロ」「逃亡者」「スパイ大作戦」「鬼警部アイアンサイド」など懐かしいタイトルがずらり。

ウィリアムズ弁護士事務所のビル

ウィリアムズ弁護士事務所のビルこのビルは7話「もう一つの鍵」のベス・チャドイック宣伝広告社のビルと同じです。また、裁判の開かれる「LOS ANGELES COUNTY COURTHOUSE」も同じ場所です。

グレープジュースはルートビア

空港のカフェでコロンボ警部が飲む「グレープジュース」は、葡萄色じゃないので変だな~と思って英語で聞き直したら「ルートビア(root beer)」を注文していました。ノンアルコールの炭酸飲料だそうです。

お金を持っているのに払えない…

また同シーンで、3ドル50セントの飲み物代を支払うお金を持っておらず、警察手帳を見せながらサインをします。これは大金の札束(身代金)を手にしながら支払えない…という矛盾に加え、筆記用具も持っておらず、ウエイトレスに借りるという始末。こっけいなBGMも加わり、微笑ましい締めくくりです。

音楽担当はビリー・ゴールデンバーグ

タイトルバックのシーン、中盤でセスナに乗るシーン、それと空港でのエンディングには、「死者の身代金のテーマ」とでも名付けたい印象深いメロディが登場します。これは何と、15話「溶ける糸」のメイフィールド邸でのパーティのBGMにも使われています。作曲家は「ビリー・ゴールデンバーグ」。70年代っぽいポップなサウンドなので、聞いてみてください。

監督:リチャード・アーヴィング
脚本:ディーン・ハーグローブ
音楽:ビリー・ゴールデンバーグ

レスリー・ウィリアムズ:リー・グラント(声:山東昭子
マーガレット:パトリシア・マティック
バート:ティモシー・ケリー

加筆:2021年7月18日

刑事コロンボマップ

3話「構想の死角」

Murder by the Book / 1971

カメラワークやライティングがスピルバーグ的?

演出が若き日のスピルバーグ監督というのは有名ですね。絵作りという着眼点で見ると、他の作品と大きな違いを感じます。まずは、構図の大胆さです。俳優同士の顔がくっつきそうになる程、近くで会話していたり、女優の横顔のシルエットでその場面を深く印象づけたりしています。全体的に画面が暗めなのも特長だと思います。特に夜のシーンでは、不気味な程に室内を暗くし、手前の人物の影が話し相手に重なって不気味な効果を出しています。

やはりこのカメラワークやライティング(照明)は、この1回きりで良かった…とも感じます。そこばっかり気になってしまい、本筋がおろそかになっているように見えてきます。

書けない作家ケン・フランクリン

マーティン・ミルナー犯人の作家ケン・フランクリン(ジャック・キャシディ)が共著の相棒作家、ジム・フェリス(マーティン・ミルナー)を殺害。動機は、ジムがケンとのコンビ解消を言い出したことにあります。実はケンは小説が全く書けないのです。

人気小説「メルビル夫人」シリーズ

メルビル夫人これまでに発表した人気小説「メルビル夫人」シリーズは、すべてが相棒のジムによる作品だというのです。私はものを創る立場なので、このような生き方は理解し難いですね。小説が書けない作家を演じ続けるより、1作でも優れた小説を書く努力をすべきだった。

ウソが本当に思えてくる

リネット・メッティこの事件の背景には「ウソをつき続けていると、そのうち本当になってしまう」という教訓が見えてきました。ケンは主に、インタビューやPRを引き受け、賞賛を浴びているうちに、いつしか「自分が本物の作家である」と思い込むようになったのかも。(写真は美人インタビュアー:リネット・メッティ)

ジャック・キャシディ

ジャック・キャシディ本作「構想の死角」のゲスト俳優ジャック・キャシディは、22話「第三の終章」36話「魔術師の幻想」でも犯人役を演じていて、刑事コロンボシリーズでロバート・カルプと並ぶ最重要人物の一人です。

バーバラ・コルビーは迫真の演技

バーバラ・コルビー第二殺人の被害者ラサンカ夫人(バーバラ・コルビー)は迫真の演技でした。この後のコロンボ作品にも、犯行を見破る→恐喝→殺される という人が多く出て来ます。やはり金は人生を豊かにするものと考えてしまうのでしょうね。15000ドルとは当時の日本円でたったの540万円相当(2021年では約1,700万円弱)‥。それで命を落としたわけです。

ここ一番でセクシーなラサンカ夫人

バーバラ・コルビーケン・フランクリンを店に招いた夜(命を落とした夜)、彼女は昼はレモンイエローの服だったのですが、夜はセクシーな赤のドレスに着替えています。やっぱり相当舞い上がっていたと思われます。

劇場でケンと一緒にいた美女

アニトラ・フォード劇場で連れていたスーパーモデル並みの美女はアニトラ・フォード。この後お食事もご一緒のはずだったのに、ラサンカ夫人に阻まれてしまいました。ケンはプレイボーイですが、自宅の家政婦さんは地味なおばさんだという賢明さも持っています。(笑)

ジムの奥様ジョアンナ

ローズマリー・フォーサイス被害者ジムの妻ジョアンナはローズマリー・フォーサイス。派手な感じの女性ではなく、真面目で堅実な男性に惹かれるタイプなのでしょう。ジムとの馴れ初めを回想するシーンなど、良い感じですね。

ホット・ドッグの屋台

バーニー・クビー気のいい感じの生命保険屋のマイク・タッカーは、俳優バーニー・クビー。それは良いのですけれど、コロンボ警部とホット・ドッグの屋台で会うシーンで、「屋台がけっこうリアルなホットッ・ドッグの形をしている」のが面白いです。

邦題の「構想の死角」について

仕事柄(笑)毎晩のようにネットでコロンボ情報を調べているわけですが、「高層の死角」という森村誠一さんの推理小説が存在します。1969年に出版されました。この「構想の死角」の2年前です。第15回江戸川乱歩賞も受賞している有名な小説です。何か関連性があるのかな…。

**これより数行は妄想的加筆:2021年2月

深く考えてみると、とても面白い。

決着の付け方に「スカっとした切れ味」がなかったというご意見が多いです。コロンボから第二殺人のお粗末さを指摘されたケンは、第一殺人の優れたアイデアも自分によるものであると主張し引き換えに罪を認めました。これは見ての通り。

ジムの「見逃し」と「うろ覚え」。

ジムは作家としての推理力に非常に長けています。冒頭シーンで銃を構えたケンを見て「手袋」「引金」「空のシリンダー」などを一目で見極めました。なのに殺された時は「手袋をしている」「ソファの上に不自然なビニール」などを見逃しています。しかも車中で「なんだか嫌な気分だな、昔ここらに来たような‥」とも言っていて、どうやら以前ケンから聞かされた殺害方法のヒントを思い出した様子でした。

さて、ジョアンナも初動捜査で警察が来た時に「主人が書いた小説でこのようなトリックがあった」と言っていますが、実際には小説には採用されていません。でもジョアンナやジムの頭にはケンのアイデアの記憶が薄っすら残っていました。

印刷物はコロンボが捏造した証拠?

コロンボは解決シーンで、裏面に第一殺人のトリックがズバリ書かれた印刷物を取り出し、「メルビル夫人用完全犯罪のトリック」として文面を読み上げます。でもこれは今日、オフィスでコロンボが発見したとは考えにくいです。警察が初動捜査で見逃すとは思えません。これはコロンボが書いた偽の証拠かのかも‥。

この殺人劇こそ、ケンが書き上げた傑作。

そしてもしも、これがジム本人が書いたのなら、彼は殺される直前に気づくはず。ケンが5年前に考えた本当のアイデアとは「ジャックとジルは山へ行き、一人は死体で戻る。さてそのトリックは‥」程度の、そう、割と稚拙なアイデア書きで、肝心のトリックは思いつかなかったのかも。それに対し今回の第一殺人のアイデアやトリックは、紛れもなくケンが書き上げた最高傑作だったかもしれません。

掟破りの‥セリフ添削。

ぼろんこがケン・フランクリンのセリフを少し書き換えてみます。コロンボが印刷物のメモを読み上げ、それを止めたケン「そりゃデタラメだよ。それはジムが書いたものじゃない。初めの殺人トリックは、確かに僕がジムを殺すために考えたものだ。どうだね?傑作だろ。僕にだってメルビル夫人は書けるのさ。」THE END.

**2021年の加筆ここまで

ケン・フランクリン邸はエリック・ワーグナー邸

ケン・フランクリン邸は12話「アリバイのダイヤル」のエリック・ワーグナー邸としても登場します。(スタール邸だと勘違いしていましたが別の家でした)

エリック・ワーグナー邸

監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:スティーブン・ボチコ

ケン・フランクリン:ジャック・キャシディ(声:田口計
リリー・ラ・サンカ:バーバラ・コルビー
ジム・フェリス:マーティン・ミルナー
妻ジョアンナ:ローズマリー・フォーサイス

加筆:2021年9月9日

刑事コロンボマップ

4話「指輪の爪あと」

Death Lends a Hand / 1971

刑事コロンボらしさが確立した初期の傑作「指輪の爪あと」

作品として素晴らしいです。成功を収めた探偵社の社長ブリマー「ロバート・カルプ」のキャラクターも印象的。成功者が調子に乗りすぎて足を踏み外して一気に転落するというシナリオも、コロンボ作品らしくて好きです。「計画殺人ではない」という点ではイレギュラー的な展開を見せます。

コロンボ警部も負けていませんでした。

同業者(事件捜査)による犯罪のエピソードは他にも例がありますが、今回は成功をおさめた探偵です。一見してコロンボ警部を見下し、小馬鹿にするブリマーに対し「この手相は成功しそうでいて、失敗しそうな性格」と、言い返す場面は見逃せません。

運命論者と手相見。

2021年の再放送でこの「運命論者と手相見」のつながりが腑に落ちました。コロンボ警部は死体発見現場で、ケニカット夫人の頬に傷を発見します。翌日ケニカット邸で初めてブリマーに会った時、彼の大きな指輪を発見し、傷が「指輪の爪あと」の可能性がある‥とピンと来ています。それで少し意味深に、「目の前にぱっと灯りがついた気分」「幸先がいい」「ついている」と言っています。そしてそれを「手相見」につなげ、さりげなくブリマーの指輪を観察しているのです。シーンを見直しますとケニカット氏は「右手」、ブリマー氏は「左手」の手相を見ています。すでに‥左利きで左指に指輪を大きな指輪をしている者がバックハンドで殴った可能性が高いと睨んでいる!(加筆:202110月)

ラストシーンでコロンボ警部は「運命なんて信じない」とも言っています。これは手相見が「小芝居」であることも告白しているのです。だから「ケニカット夫人はコンタクトレンズを落としていない」「運良く車が故障したのではない」‥ただし、あの時ブリマーが「のこのこ」自分の前に現れたこと、これは実に運が良かった‥というオチですね。(加筆:202110月)

二つのレンズで別の場面を描写

ロバート・カルプ殺人シーンから隠蔽作業の表現で、犯人役ロバート・カルプのサングラスのレンズに映り込みを利用したのは、とても面白いです。左右のレンズで別々の場面を映し出し、スリリングに仕上げています。ちなみに6話「二枚のドガの絵」では犯行シーンで「ガ~ン、ガ~ン」みたいな音楽とともに画面が揺れていました。(笑)

ロバート・カルプの憎まれ役は最高

ロバート・カルプ俳優ロバート・カルプは他のコロンボ作品でも見ることができますが、この「指輪の爪あと」のブリマー氏の「傲慢」「短気」「高圧的」「インテリ肌」は格別です。特に短気な性格は、ストーリーのいろいろな場所で効果的に描写されています。

ロバート・カルプが毎回同じファッションをしている件

アリバイのダイヤルのロバート・カルプこれはかなり味の良いトリビアです。ゲストコメンテーターさんが発見してくれました。ロバート・カルプが犯人役を演じた3作品ですが、何といずれも「同じ服を着ているのです」。詳しくは→「ロバート・カルプが毎回同じファッションをしている件」をお読みください。

相手の弱みにつけ込んだことが、自分の命取りになる…。

パトリシア・クローリー選挙に有力な情報を教えろとブリマーに脅迫されたケニカット(パトリシア・クローリー)夫人が、開き直ってブリマーを脅迫仕返すのはグッドな設定です。「それだけはいけません、奥さん」「探偵事務所をここまでに築き上げるのにどれほど苦労をしたか…」というブリマーの本音が出ていました。

殺人ではなく傷害致死?

3話の「構想の死角」では「脅迫された相手を殺してしまう」のですが、この作品では、その逆展開をやっています。夫婦関係は一つや二つの失敗で壊れないもの、自分は正直にすべてを主人に話す…と開き直られて逆上して殺害に及ぶのです。しかしよく考えてみると、これは「殺人」ではなく「傷害致死」でしょうか?「殺す気はなかった…」と言っていますしね。
相手の破滅と引き換えに利益を得ようとする発想は、自分にも最大のリスクを発生させるという教訓を感じます。今回ケニカット夫人は利益ではなく復讐の意図でブリマーに逆襲しますが、相手に逃げ道を示すことを考えつけば、命は落とさなかったことでしょう。

ブリマーはコロンボの思い通りに動かされている…

最後は犯人に罠をしかけるパターンで解決を迎えますが、その過程で徐々に犯人を精神的に追いつめて行く手法も見逃せないですね。その中でも、コロンボに示唆され「自宅でコンタクトレンズを探している」シーンはこっけいです。台詞にはありませんが「そうか、クルマの中だ!」と気付いて、修理工場に忍び込むのですが、全てコロンボ警部の「シナリオ通りに動かされている」というわけでした。

原題の「death lends a hand」は乱暴な直訳で「死は手伝います」。最初はピンと来ない気がしましたが、ブリマーが事件捜査に手を貸す振りをしてコロンボに接近したことや、決め手となった「コンタクトレンズ(Lens)」をひっかけたものと思われ、興味深いものだと思えます。

レイ・ミランド

レイ・ミランド殺害されたレノア・ケニカットのご主人アーサー・ケニカットはレイ・ミランド[Ray Milland]で後の11話「悪の温室」で犯人のジャービス・グッドウィン(今回とは風貌が異なる:笑)を好演する名優です。どちらも流石の演技でしてコロンボファンの心を掴んでいます。

オスカー俳優レイ・ミランド

1945年の映画「失われた週末」ではアカデミー主演男優賞を受賞しています。まだ38歳の若々しいレイ・ミランドに会えますよ。Amazon Prime VideoなどのVODで見られる場合もありますので、ぜひチャレンジしみてください。

ギル・メレの音楽

ブリマーがケニカット夫人を死なせてしまってから死体を捨てに行くシーンのBGMに軽快なジャズ音楽が流れます。これはジャズ音楽家「ギル・メレ(Gil Mellé)」によるものです。それに自動車工場のエンディングシーンのBGMもギル・メレ。この曲は、なんと9話「パイルD-3の壁」のエンディングシーンでも同じように使われているの、気づいてました?

ギル・メレの音楽はこの他、5話「ホリスター将軍のコレクション」 、8話「死の方程式」などにも使われています。

刑事コロンボマップ
刑事コロンボマップブリマー邸は「潮風が当たる」マリブビーチにあります。の一方ケニカット邸はもう少しロサンゼルス中心に近い場所で、近くにはハルプリン次長が住むベルエア地区もあります。
マリブ周辺(ブリマー邸)
ベルエア周辺(ケニカット邸)

2009年にNHK BS2(当時)で再放送されたシリーズで、本作品と再会しました。その頃は、1話より順に放送されていなかった記憶があります。
加筆:2012年6月4日にAXNミステリーで再放送されました。それを見ながら書いています。

3年ぶりに本作品を見て、印象が多少変わりました

まず第一に、ブリマー氏は当時感じたほど「高圧的」ではありませんでした。その後の作品「権力の墓穴:ハルプリン次長」「4時02分の銃声:フィールディング・チェイス」などの豪傑を見ましたので(笑)。ブリマー氏は「威張り腐っている」感じより、むしろ「自分をやや謙遜しつつ」「猫なで声ですり寄ってきて」「相手の隙を狙っている」ように映りました。
またブリマーは、ケニカット氏への体面上ではコロンボ警部を小馬鹿にしていますが、実は会う前から警部を「切れ者」だと気付いています。警察署長にコロンボについて下調べをしているのです。初対面の時も「ゴルフバッグ」を発見され先制パンチを喰らいました。

本当に隙・無駄の無い作品

○白バイに停められるシーンでの会話→免許の書き換え
○出口を間違える→ゴルフバッグの発見
○客の秘密を喋りそうな部下を激怒→関係した部下を外す・短気な性格を引き出す
○犯人の逮捕をほのめかす→自動車修理工場へ出向かせる
など、すべてのシーン・台詞がストーリー展開に重要な役割を果たしていて、展開も速く非常にスリリングです。またメガネの映り込みのシーンは、思ったよりも長めで、証拠を隠滅する作業の時間経過と、人を殺してしまったという後悔の気持ちや不安な感情を、台詞無しで表現しているものです。指紋を拭き取る動作など、かなりテキパキしていますし、その反面表情は複雑です。

クライマックスも見事

ピアノで「ガーン」「ガーン」「ガーン」と打ち鳴らし緊張感をあおる。そしてパッと真っ白に照らすヘッドライト。証拠を捨てようとする瞬間を捕らえる。観念したブリマーが犯行を認めて謝る。ケニカットとの会話で仕掛けた罠を明かす。ユーモアたっぷりのエンディング。素晴らしかったです。

受領書をもらう際に筆記用具を忘れている

ブリマーが左利きであることに気づくシーンで、得意技である「筆記用具を忘れる」が出ていました。
→ コロンボはよく「筆記用具を忘れる」件

怒鳴られるジェニング

ジェニングブリマー探偵社の社員でコロンボ警部の案内役を仰せつかったジェニングは俳優:エリックジェームス。社長に怒鳴られたシーンが印象に残ります。彼はこの1〜2年で数作品にしか出ておらず、ひょっとして早死にしたかな…。

ゴルフプロのアーチャー

ゴルフプロのアーチャー一方ケニカット夫人の浮気相手、ゴルフは素人とちょぼちょぼの腕前のレッスンプロ「ケン・アーチャー」は俳優ブルット・ホールジー。この人は70年代から2010年代まで俳優として活躍しているようです。ゴッドファーザーIIIにも出ているそう。肉眼で見つけたら加筆します。

殺人現場の検証でマッチを借りる

検死官などにマッチを貸してくれるよう頼むが、ことごとく断られ、数人後にやっとこさ持っている人に出会う。
  
監督:バーナード・L・コワルスキー
脚本:リチャード・レビンソン/ウィリアム・リンク
音楽:ギル・メレ

ブリマー所長:ロバート・カルプ(声:梅野泰靖
アーサー・ケニカット:レイ・ミランド
レノア・ケニカット:パトリシア・クローリー
ケン・アーチャー:ブルット・ホールジー
 
*本編を見る限り犯人のブリマーはファーストネームは不明です。(ノベライズ:小説版では、マイケルだそう。)これは全69作中、36話「魔術師の幻想」の「グレート(偉大なる)・サンティーニ」と二人のみ。
 
加筆:2021年10月11日

5話「ホリスター将軍のコレクション」

Dead Weight / 1971

プロローグ

ジョン・カーマーチン・J・ホリスター元将軍(エディ・アルバート)は、不正を働くパートナーである現役軍人ダットン大佐を殺害。私が子供だった頃、この作品を確かに見ました。ヨットハーバー付近が舞台になっている作品で記憶に深く残っていました。

初期の作品としては少し不人気

私が傑作だと推薦する4話「指輪の爪あと」と6話「二枚のドガの絵」に挟まれ、少々不人気な印象の作品です。犯行の目撃者が犯人の味方になってしまうという、凝ったストーリーです。やはりシンプルな展開の方が、かえって優れた作品になるのでしょうか。

英雄は大悪人

エディ・アルバート実はこの「ホリスター元将軍」は「大悪人」でした。現役軍人ダットン大佐(ジョン・カー)と共謀し不正取り引きで私腹を肥やし、悪事を隠すためにはためらうこと無く大佐を射殺。殺人現場の目撃者ヘレンに接近・誘惑し味方に引き入れるという「卑怯・卑劣のオンパレード」です。→エディ・アルバートと映画「ローマの休日」

このように戦争において「英雄になれる人物像」とは、決して潔く誠実なものではない。エンディングでコロンボ警部がヘレンに言い聞かせる「将軍がいかなる人物かよく表している物」…見せるための軍服、弾丸を受け止めた本、とてもよく理解できますね。

事件の目撃者ヘレン

スザンヌ・プレシェットヘレン・スチュワート役のスザンヌ・プレシェットは、とても可愛らしい女性に描かれていました。ホリスター元将軍のことを最後に「カス」呼ばわりしていた場面は、ほのかな笑いを呼ぶシーンでした。

映画「鳥」の小学校の先生

スザンヌ・プレシェットスザンヌ・プレシェットはコロンボから8年前、名匠ヒッチコックの代表作のひとつ「鳥」に小学校の先生「アニー・ヘイワース」役で出ています。主演のティッピ・ヘドレンのブロンド・ヘアと対照的に、黒髪で目鼻立ちがキリッとした印象が魅力的でした。

日本語吹き替えは久松保夫さん

ちなみにホリスター将軍(エディ・アルバート)の日本語吹き替えは「久松保夫」さんで、スタートレック(宇宙大作戦)のMr.スポックの声でもお馴染み。でも、Mr.スポックのレナード・ニモイが刑事コロンボ15話「溶ける糸」に出演の際にメイフィールド医師を天田俊明さんが担当した理由は不明(今後調べてみます)。

真珠を散りばめたコルト拳銃

ブログゲストさんから「将軍愛用の真珠を散りばめたピストルが、いつ陳列されたか?」という疑問が寄せられました。ダットン大佐を殺害する時は確かに、木箱から取り出しました。いつ展示室に持ち込んだかは、場面を見るだけでは断定できないようです。大切な「本」も木箱に無かったので、祝典当日に自分で持ち込んだのかな?凶器なので…捨ててしまうか…迷ったか。

木箱の中に無かったことがヒントになってしまう

コロンボが木箱の中味を確かめた際、確かに真珠の拳銃は入っていませんでした。このことが逆に「凶器がこの拳銃である」というヒントになってしまう。45口径であれば大佐殺害の銃である可能性が高いことに、もっと早い段階で気づくのでは?と疑問は残ります。コロンボは既に展示室に足を運んでいるはずですし。
それにしてもやはり、将軍はこの銃を海にでも捨てるべきだった。誇りたいはずの名誉の品だけど、結局はそれが命取りでした。

軍人を扱ったコロンボ作品

戦争の国アメリカ(と表現すると失礼でしょうか?)ならではの題材だと感じます。刑事コロンボには他にも数作品で、犯人役が軍人または軍事関連の作品がありますね。この作品に関してはその色は薄く「過去の栄光」としての「英雄・将軍」を描いています。後の作品28話「祝砲の挽歌」のラムフォード大佐、49話「迷子の兵隊」のパジェット将軍にもこのイメージは通じます。

ヴァル・アヴェリー

ヴァル・アヴェリー帽子とサングラスを着用していて気付きにくいのですが、犯行を目撃するヨットハーバーで「貸ヨット屋のオヤジ」を演じるのはヴァル・アヴェリー。12話「アリバイのダイヤル」で盗聴器を仕掛けた探偵:ダブス、25話「権力の墓穴」では重要人物:前科者のアーティ、さらには34話「仮面の男」でローウィーを演じています。

ティモシー・ケリー

ティモシー・ケリー窓に貼られた店名文字(逆版)で推測しますと「バートの店」だと分かります。「チリ」を得意料理とするシェフは俳優ティモシー・ケリー。このティモシー・ケリーは刑事コロンボに3回登場する重要な俳優さんです。

テレビ番組のアナウンサー

クリート・ロバーツマーチン・J・ホリスター元将軍を讃えるテレビ番組でアナウンサーをつとめるのは「クリート・ロバーツ」。この人は20話「野望の果て」の選挙番組でもアンサウンサーとして登場します。

エディングシーンでコロンボの替え玉

刑事コロンボの替え玉エンディングシーンの後ろ姿は一部、ピーターフォークではありません。ヘレンさんが「だらしのない服装をしているよりずっと好感が持てる」と言った後、ホリスター将軍が現れる直前まで、少し横顔が見えちゃいます。情報によると監督をするしないで、制作側ともめていたそう。出演者のエディ・アルバートやスザンヌ・プレシェットとの仲もこじれたそうです。(*2021年ブログコメンテーターさんの発見です。)

映画「ローマの休日」

ローマの休日のエディ・アルバート映画「ローマの休日」と言えばその名を知らない人がいないほど有名です。この中で、カメラマンのアーヴィング役でエディ・アルバートが出演していますね。この時彼は47歳、ホリスター将軍は18年後の65歳になります。主演はグレゴリー・ペックとオードリー・ヘプバーン。このオードリー・ヘプバーンは14話「偶像のレクイエム」でゴシップ記事作家のジェリー・パークスを演じた俳優「メル・ファーラー」と結婚していました。

ギル・メレの音楽

冒頭からダットン大佐が登場する前までのBGMにゆったりとしたジャズ音楽が流れます。それに短いですがエンディングシーンのBGM。これらはジャズ音楽家「ギル・メレ(Gil Mellé)」によるものです。ギル・メレの音楽はこの他、4話「指輪の爪あと」 、8話「死の方程式」などにも使われています。

ホリスター将軍のヨットハーバー

将軍の船に「THE IRON HORSEMAN NEW PORT」と書いてあります。おそらくロサンゼルスの南に位置する「バルボア・ベイ・リゾート」がホリスター将軍の家ではないかと思われます。調べによると、このホリスター将軍の家は、実際にはピーターフォークの所有だったらしいです。ここは「さらば提督」のチャーリー・クレイのヨットも停泊しています。間違っているかもしれません、鵜呑みにしないでください。
バルボア・ベイ・リゾート

ホリスター将軍のヨットハーバー

その他のエピソード

将軍の船に乗せてもらった時に船酔いをしまして、将軍から「コロンブスの子孫のくせにだらしない」と言われています。(コロンボ警部の好き嫌い)また、将軍の家で、ライターを借りています。退役記念に幕僚からプレゼントとされた、とても立派なライターでした。

監督:ジャック・スマイト
脚本:ジョン・デュガン

マーチン・J・ホリスター:エディ・アルバート
ヘレン・スチュワート:スザンヌ・プレシェット
ロジャー・ダットン:ジョン・カー
ハリー・バーンズ:ヴァル・アヴェリー
バート:ティモシー・ケリー

加筆:2021年9月4日

6話「二枚のドガの絵」

Suitable for Framing / 1971

ぼろんこの考える「傑作コロンボ作品:二枚のドガの絵」

何の前振りも無く、犯人の美術評論家デイル・キングストンが、ピアノ越しに叔父マシューズ氏をズドンと一発やった時には、やはり初期のコロンボは凄いと感じました。徐々に見えてくる殺害動機や犯人デイル・キングストンの人間像。言動などから卑屈な性格も見え隠れします。最初から「誰に濡れ衣を着せる」つもりで犯行を計画した‥などなど、良く練られた素晴らしいシナリオです。この「二枚のドガの絵」は私の好きな作品のトップランクです。

犯人の誘いに乗って、最大のチャンスをモノにする。

コロンボ警部はデイルから自宅の鍵を渡された時が最大のチャンスだと見切っていました。その時のデイル宅には、全く証拠が無いとデイル自身が教えているようなものです。しかも、コロンボが捜査した直後が、絵を持ち帰るもっとも安全なタイミングであると考えたのでしょう。しかし、コロンボ警部が部屋で寝ていたのは誤算でした。それにしても…デイルはうかつでした…トレーシー殺害後、絵をもう一度「包装紙にくるんで」持ち帰るべきだったですね。

犯人が自分から行動を起こすように誘導。

キム・ハンター真犯人デイルは叔母のエドナを犯人に仕立てます。相続人が被相続人を殺害した場合、相続権が自分に移るためです。そのためエドナが逮捕されないと、犯行が完成しません。それに目を付けたコロンボはデイルに「絵が出てくるまで、積極的に動くのをやめよう。」と、事件解決を長引かせる提案をします。それでは困るデイルは、急いで行動を起こすのです。

ラストシーンは圧巻です。

コロンボ警部はエドナの屋敷に登場する場面から、ずっとポケットに両手を突っ込んでいますね。しかも、犯人をトン死状態に追い込む会話術(指紋の割出しのくだり)も抜群です。そして、手を広げてみせるあの顔とポーズ。ピーターフォーク以外の俳優では決まらない、まさに完璧なラストです。俯瞰(ふかん)気味の静止画もきれいでしたね。

ちょっとした疑問、意味の無い行動?

作品冒頭の殺害現場を演出する場面では、デイル・キングストンは飾られた絵画や家具を荒らしますが、これは全く意味のない行動だと思いませんか?絵画を盗難する行為と結びつきませんし、あんなことをすれば物音がするので誰かに気付かれる危険が非常に高くなります。殺害時間帯に「近辺に誰もいない」ことを確認済みであったとしても、理解に苦しみますね。ましてやエドナを真犯人に想定しているのであれば…言うまでもありませんね。

ロス・マーティンの演技力に乾杯!

ロス・マーティンゲスト俳優ロス・マーティンの演技、台詞、表情が抜群です!特に無名画家のパーティに呼ばれ、ご婦人方に囲まれて「人間万歳!」とはしゃぐ場面や、コロンボ警部の執拗な捜査にいら立ち「おまわり」呼ばわりで激怒する場面は良いですね~。

デイル・キングストンという人物。

デイルは美術評論家として成功をおさめますが、少し屈折した性格に描かれています。あまり幸せな幼少期を過ごしていない設定で、言葉遣いや素行は決して上品ではありません。業界でも煙たがられていました。

犯人の心理をよく表現している

「コロンボを敵視する」「記憶力が良い」「説明が上手」
デイルはこの3点を備え持っていました。自分にやましい部分がなければ必要以上にコロンボを敵視しません。人の記憶は曖昧で時間の経緯などをなかなか覚えていないもの。自分に容疑がかからない方向の状況説明をぺらぺらとしゃべること。これらは全ては、コロンボが容疑を深める行動なのです。

コロンボ警部はそんなデイルに対し、ラストシーンで「キミ」と呼んでいます。おろかな濡れ衣工作に奔走したデイル。すべてお見通しのコロンボ。二人のパワーバランスが完全に逆転している表現です。

特殊メイクなしでも、魅力的な演技。

キム・ハンターところでこの作品に出てくるエドナ夫人、猿の惑星に出演しているチンパンジーのジーラに似ている気がしてました。と思って、インターネットで調べたら、本当にそうでした。顔の輪郭や仕草がそっくりだったので、もしやと思ったらズバリ!このエドナ夫人と「ジーラ」を演じた女優は「キム・ハンター」。この後の作品、8話「死の方程式」にはコーネリアスやシーザーを演じた俳優「ロディ・マクドウォール」やアーサス将軍役の「ジェームズ・グレゴリー」も出演しています。詳しくは研究記事「刑事コロンボと猿の惑星」をお読みください。

ロザンナ・ホフマン

ロザンナ・ホフマン犯行現場に遅れてきて「誰にも見られなかったか」念を押された共犯の美人美術学校生トレーシー・オコーナー(ロザンナ・ホフマン)の返事「モチよ!」は最高、完全に死語ですよね。

ロザンナ・ホフマンには新シリーズでも会える。

新シリーズの53話「かみさんよ、安らかに」で、ロザンナ・ホフマンさんに再会できます。家を買いに来るお客さんご夫妻の奥さま役です。ぜひご確認ください。

場面転換にナイスプレー

殺害計画の中に「自分の口封じ」も含まれているとは気づかないトレーシー・オコーナーは、マリブ山中で殺されてしまいます。その殺害シーンは、岩を持って襲いかかるデイルに恐怖する彼女の表情から、「キャ〜」という絶叫もに聞こえる「(デイルが帰宅する)クルマのタイヤ音」で場面転換しています。見事な手法ですね〜。

画廊の女主人マチルダ

ジョアン・ショーリー画廊の女主人マチルダは女優ジョアン・ショーリー。豪快な感じの女性で、デイルにマシューズ氏の殺人容疑がかかっていると気づくと大笑いします。

画家のサム・フランクリン

画家のサム・フランクリンは俳優ヴィック・テイバック。マチルダのご亭主であります。ちょっと冴えない感じに見えまして、「この絵が1000ドル(約30万円)もするの!」と客から驚かれています。

ヌードモデルのクリス

キャサリン・ダークサム・フランクリンのアトリエでヌードモデルを務めていたのは女優キャサリン・ダーク。この人よく見ると、前半のパーティ(写真)にも出席しています。またこの女優さんは次回作の7話「もう一つの鍵」でベスが派手な服を買うブティックの店員としても出演しています。

ドン・アメチー

ドン・アメチーマシューズ氏の顧問弁護士の紳士シンプソン(ドン・アメチー)も良かったです。18話「毒のある花」のラング社長役の「ビンセント・プライス」と雰囲気が似ていますね。

捜査一課のワイラー課長

バーニー・フィリップスこの事件の責任者でコロンボ警部補の上司ワイラー課長は俳優バーニー・フィリップス。なかなか雰囲気を持ったキャラクターで、良い顔をしています。

原題は「フレーミングにふさわしい」

原題の「Suitable for Framing 」は直訳「フレーミングにふさわしい」ですが、エキサイト翻訳では「二枚のドガの絵」と出ました。凄いですね、コロンボの作品名が辞書登録されているようです。他にもこのような例が多くありました。

ロス・マーティンとピーターフォーク

ロス・マーティンはポーランド出身の舞台俳優で1920年生まれ。ピーター・フォーク(1927年生まれ)よりも7歳年上でかつてはピーターフォークの演技の師匠であったそうです。16話「断たれた音」のローレンス・ハーヴェイが監督・主演の映画「脱走計画」にも出演したそうです。その他、警部マクロードやチャーリーズ・エンジェルにも出ているようです。

ドガについて勉強しよう

エドガー・ドガエドガー・ドガ(Edgar Degas:1834-1917)はフランスの印象派の画家、彫刻家。本作の題材は踊り子のパステル画でドガの得意分野とされます。いわゆる「二枚のドガの絵」は、どこで見ることができるか?現在調査中です(笑)

一枚のドガの絵

ドガの絵そんなに高価なのか!とも思わせちゃうこの「二枚のドガの絵」。この中の一枚(写真右)が何と、32話「忘れられたスター」のネッド・ダイアモンドのスタジオの廊下に展示されています!2021年ブログ・コメンテーターさんの発見です。半世紀を経てなお、楽しめる仕掛け。これ‥絶対、狙って作っていますよね!

リアル二枚のドガの絵

ポーラ美術館のドガの絵ポーラ美術館のドガの絵2020年にポーラ美術館を訪れた際、ドガの絵を肉眼で見ることができました。撮影もOKでした。芸術は肉眼で見るに限りますね。ドガについては、今後もっと研究して記事を書きます。
刑事コロンボマップ

監督:ハイ・アヴァーバック
脚本:ジャクソン・ギリス
音楽:ビリー・ゴールデンバーグ

デイル・キングストン:ロス・マーティン
エドナ夫人:キム・ハンター

トレーシー・オコーナー:ロザンナ・ホフマン
顧問弁護士シンプソン:ドン・アメチー

加筆:2021年8月31日 

7話「もう一つの鍵」

Lady in Waiting / 1971
リチャード・アンダーソン高圧的な兄を殺害する妹。という恐ろしいシナリオ。被害者は広告代理店の社長にして大富豪のブライス・チャドウィック(リチャード・アンダーソン)。犯人はその妹のベス・チャドウィック。前半のシーンでは、このベスが、それほど「悪人」とは感じさせない。質素で美しい女性だと感じ、悪人はむしろ兄のブライスではないかと錯覚します。

ベス・チャドウィックが美しく(実は醜く)変貌してゆく

スーザン・クラークその印象が逆転するのは、事件を知って駆けつけた二人の母親がベスをひっぱたくシーンだと感じました。この時の彼女(スーザン・クラーク)のいでたちが、本編で最高に美しく表現されているように見えました。私が質素な女性を好むというだけなのかも知れませんが…。
スーザン・クラーク独裁者(兄)が不在になった後のベスは、派手な洋服を買いあさったり、スポーツカーを手に入れたり、あげくに会社社長の座について、経営権を我がものにしようと企みます。それに比例するように、彼女は醜くなってゆくように描かれています。

もう一度最初から見返せば、なるほど冒頭近くに庭で朝食を食べるシーンでも、どこか歪んだ心をもった女性の表情が見え隠れしてますね。

時代性を感じる映像処理

意外な展開となったのは「画面が揺れているような描写」のシーンで、最初に見た時には「睡眠薬か麻薬かで、精神が普通でない表現」なのかと、勘違いしました。実際には「こうなる予定」を表現していたのでしょうね。初期の作品(特に第1シーズンまで)には、このような「頑張った映像処理」が多く登場します。テレビドラマの特殊効果に限界のあった時代の産物でしょう。

決め手はピーターの記憶力…ではなくベスの性格?

事件解決シーンでは「婚約者のピーターが、犯行の時の鮮明な記憶を語った」こととなりますが、実際には犯人特定の証拠とは言いきれず、その後のベスの行動「コロンボを銃で撃ってしまえ」というアクションが決め手となりました。これもベスの性格を見抜いたコロンボの切り札だったと言えます。びとつ間違えれば、撃たれて死んでしまうのですが。

これがひっかかるんです、「ピーター」の人間像。

レスリー・ニールセンひとつ腑に落ちないのは、婚約者のピーター・ハミルトンがそれほど「野心家」に描かれていないという点。むしろ正直で不正を好まない人物だった気がします。逆に妹のベスはかなりの野心家で、兄の殺害は婚約を反対されていることが動機ではなく、地位と富を一気に手に入れ、派手に暮らしたいという願望が強かったことがわかります。今となっては遅いのですが、彼女がピーターと結婚していれば、夫が妻を上手く操縦できたような気も…。この婚約者ピーターは後の作品34話「仮面の男」でジェロニモとしても登場する「レスリー・ニールセン」です。

フレッド・ドレイパーを見逃すな

フレッド・ドレイパーチャドウィック家のお母上が到着する場面に出てくるタクシーの運転手は、お馴染みの「フレッド・ドレイパー」です。コロンボを家の召使いと決めつけて代金を請求し、おつりを持っていないと「新米だね」と、さらに見下すのは、笑えました。

チャドウィック宣伝広告社のビル

チャドウィック宣伝広告社のビルチャドウィック宣伝広告社は、2話「死者の身代金」のレスリー・ウィリアムズの弁護士事務所のビルと同じです。また、裁判の開かれる「LOS ANGELES COUNTY COURTHOUSE」も同じ場所です。

ちょい役でお馴染みのフランク・エメット・バクスター

フランク・エメット・バクスター広告代理店の会議室で、ベスに逆らってクビになりそうになる重役は、38話「ルーサン警部の犯罪」でもテレビ局の撮影所所長として出てくる「フランク・エメット・バクスター」です。どちらも同じようなキャラクターで、はまり役です。

美容室の受付係はバーバラ・ローデス

バーバラ・ローデスコロンボの葉巻を預かり汚そうに扱う美容室の受付係は、バーバラ・ローデス。短いシーンですが印象に残ります。このバーバラ・ローデスは後の34話「仮面の男」遊園地の女性カメラマン「ジョイス」を演じます。

ブティックの店員はキャサリン・ダーク

キャサリン・ダークベスが派手な服を買うブティックの店員は女優キャサリン・ダーク。この人は、6話「二枚のドガの絵」で画家サム・フランクリンのヌードモデルを務めていた女優さんです。

監督:ノーマン・ロイド
脚本:スティーブン・ボチコ
ベス・チャドウィック:スーザン・クラーク
ピーター・ハミルトン:レスリー・ニールセン
ブライス・チャドウィックリチャード・アンダーソン
チャドウィック夫人:ジェシー・ロイス・ランディス
美容室の受付係:バーバラ・ローデス
ブティックの店員:キャサリン・ダーク

加筆:2021年8月22日

8話「死の方程式」

Short Fuse / 1972
ロディ・マクドウォールスタンフォード化学工業の御曹司ロジャー・スタンフォードが、叔父であり社長のバックナー氏を殺害。バックナー社長は素行に問題がある甥のロジャーを、会社役員の座から降ろし社外に追放しようと考えていて、それを阻止するために、犯行に及びました。その他にも、バックナーが父親の築いた会社を売却する意思があったことも動機となりますが、それ以前に自分が会社から追い出される危険があるので、第一の動機は前者と考えました。

爆死という壮絶な殺害手段

殺害方法は、自分の得意分野である「自家製爆弾」による爆死。バックナー社長が大雨の中で山道を移動する最中に起きたので、事故による二次的な爆発と思わせる作戦ですが、普通に考えれば路上での爆発と激突後の爆発では、その違いがわかるはずですよね。

犯人は「お馬鹿ちゃんキャラ」

動機や殺害状況など何れもロジャーを容疑者として、話が分かり易く進展しています。犯人が少々「お馬鹿ちゃんキャラ」な設定で、ちょっと騒がし過ぎかな~とも感じますが、時々見せるシリアスな表情が際立ちました。一説によるとお馬鹿な振りをしているだけなのかも…知れません。

その他のコロンボ作品にも出演する俳優を含め、豪華な顔ぶれ!

面白いので出演者を色々調べてみると…。

犯人役のロジャー・スタンフォード

ロディ・マクドウォール俳優:ロディ・マクドウォールは、映画「猿の惑星シリーズ」の猿役:コーネリアスやシーザーを演じている有名な俳優さんです。猿の惑星は私も大好きで、シリーズ全作品を見ています。俳優ロディ・マクドウォールは大好きです。「猿の惑星」研究記事もご覧ください。

被害者のバックナー社長

ジェームズ・グレゴリー俳優:ジェームズ・グレゴリーは12話「アリバイのダイヤル」のコーチ役。しかも、映画「続 猿の惑星」のアーサス将軍役でも活躍したようです。とても好きな俳優さんです。

ロジャー・スタンフォードの秘書ビショップ

アン・フランシス女優:アン・フランシスはこの後、15話「溶ける糸」で犯行に気付いてメイフィールド医師に殺される、手術助手のシャロン役でも出演します。とても印象に残る素敵な女優さんです。

ロジャー・スタンフォードの叔母

アイダ・ルピノ女優:アイダ・ルピノは、24話「白鳥の歌」で犯人ジョニー・キャッシュに殺害される妻エドナ役。ちなみに日本語の吹き替えは「麻生美代子」さんでサザエさんの母さん「フネ」の声でもお馴染みの声優さん。

クビになりかけたローガン副社長

ウィリアム・ウィンダム俳優:ウィリアム・ウィンダムは、1話「殺人処方箋」に出演しています。病院で紹介される犯人レイ・フレミングの友人です。テレビ「スタートレック:宇宙大作戦」の第35話でデッカー准将を演じ、映画「新・猿の惑星」にも出演。→ロープウェイのロケ現場

 
という、ま~なんと奥の深いというか世間が狭いというかの豪華キャストでした~。

キム・ハンター6話「二枚のドガの絵」に映画「猿の惑星」シリーズの猿:ジーラを演じたキム・ハンターが出演していることからも、人気俳優は引っ張りだこだったということなのでしょうね。

短い導火線

ブログへのコメントを頂きました。原題の「Short Fuse」は「短い導火線=短気」のようなニュアンスだとのこと。「死の方程式」も良く出来た邦題ですが、「短い導火線」は、まさに犯人像とぴったりですね!

ロディ・マクドウォールの吹き替え

ロディ・マクドウォールの日本語版の声優は野沢那智さん。アラン・ドロン、アル・パチーノなど数々の有名俳優の声を担当されました。新コロンボ作品の46話「汚れた超能力」でも犯人のエリオット・ブレイクを担当されています。
ちなみに猿の惑星の「コーネリアス」は宇宙戦艦ヤマトの古代進役「富山敬」さん、ルパン三世で有名な「山田康雄」さんなどが担当したようです。

バックナーの屋敷で「お晩です」

バックナーの屋敷の運転手クインシーの部屋の外でこそこそ工作をするロジャーに、コロンボが「お晩です」と声をかけたのが面白い。「お晩です」という言葉!

案内役の巡査

スティーブ・グラバーズバックナー社長の事故現場やロープウェイを案内してくれる警察官は、俳優スティーブ・グラバーズ。名札が少し読めそうで読めない。「T. DAWSON」かな?重要な役割を果たしますが、俳優としてはそれほど知られていません。

一歩間違ったら大事故!

スティーブ・グラバーズこの巡査と転落現場へ向かうシーンで、二人が乗ったジープ風の車両は、左の崖っぷちすれすれ!合成なのかな?線で強調した部分が、崖っぷちです。実写だったら、かなり際どい撮影シーンですよね…みなさんどう思います?実際のシーンを見てみてください。

「ギル・メレ(Gil Mellé)」の音楽が効いている

ギル・メレはサックス奏者で作曲家。画家や彫刻家としてもも知られるマルチな芸術家です。ギル・メレの音楽は場面にスピード感や緊張感を与えてくれます。その他、4話「指輪の爪あと」5話「ホリスター将軍のコレクション」でも彼の音楽を堪能できます。

ロケ地

スタンフォード化学工業:旧ユニオンカーバイドの工場ではないか?

監督:エドワード・エイブラムス
脚本:ジャクソン・ギリス
ロジャー・スタンフォード:ロディ・マクドウォール
秘書ビショップ:アン・フランシス
バックナー夫人:アイダ・ルピノ(声:麻生美代子
バックナー社長:ジェームズ・グレゴリー
ローガン副社長:ウィリアム・ウィンダム
ロープウェイの係員:マイク・ラリー

加筆:2021年7月18日

9話「パイルD-3の壁」

Blueprint for Murder / 1972
フォレスト・タッカー私は小学生の頃に初めて刑事コロンボシリーズを見て、それ以来のコロンボファンなのだが、第1シーズンの中で最も記憶に残っていたのがこのパイルD-3の壁。建築家のエリオット・マーカムが出資者のウィリアムソン氏(フォレスト・タッカー)を殺害し、しかも「死んだように見せない」要するに「生存しているが行方不明」に見せるというお話。

大胆な死体遺棄計画

エリオット・マーカム原題の「Blueprint for Murder」にはパイルという単語が入っておらず、ぼろんこ風に訳すと「殺人の青写真」といった感じ。邦題「パイルD-3の壁」は一見、殺害のトリックを題名にしてしまっている気がするが、むしろそれよりも最後にコロンボ警部が語った「一度捜査された場所に、遺体を隠そうとした」という、犯人エリオット・マーカム(パトリック・オニール)の「恐るべき大胆な死体遺棄計画」が見どころだったのでしょう。

緊張感の漂う掘り起こしシーン

工事現場でパイルを掘り起こすシーンでコロンボ警部が缶コーヒーのようなものを飲み干す場面には、リアルさを感じます。しかし、マーカムの言動から死体遺棄計画を察知したコロンボ警部は、その作戦に乗じた形で一度パイルを掘り起こし、まんまと罠にかかった「演技をしていた」というのです。それを承知でもう一度見てみると面白いです。

わかりやすい手掛かりが…

ベティー・アッカーマン今回は、割と分かりやすい「容疑者特定」のヒントもあります。ウィリアムソンシティの一件で、建築家マーカムと出資者ウィリアムソンの仲が抜き差しならぬ状況だった証人が、マーカムの秘書シャーマンさん(ベティー・アッカーマン)など複数存在します。カーラジオの不思議を発見したことは、コロンボ警部ならではの観察眼ですが、殺人(死体遺棄)行為の最中、被害者の車のカーラジオを自分の好きな音楽にチューニングし直すことは不自然で、視聴者にわかりやすくストーリー展開させるために必要だったと想像できます。

無駄だとは思わせないシーン

クリフ・カーネルまた、遺体移送中の車が高速道路でパンクし、白バイ警官(クリフ・カーネル)にトランクを開けられそうになり困る場面は、ラストの解決シーンに向かう中では無意味にも感じますが、犯人の「あとは遺体を捜査後のパイルに埋め直せばすべて終わる…」という、最後の大仕事を前にした心情を描いているのでしょう。

犯人を捕獲するエンディングは見事

ラストシーンは圧巻です。「指輪の爪あと」「白鳥の歌」でも同じ手法です。暗い中で犯人が決定的な行動を起こす最中に、スポットライト(車のヘッドライト)などが突然照射され、獲物を捕らえるというもの。この効果は絶大で、度肝を抜かれた犯人は、潔く観念します。(指輪の爪あとのブリマーは、それでも抵抗しようと試みましたが…)
このラストシーンのBGMは作曲家「ギル・メレ」によるもので、まさに4話「指輪の爪あと」と同じメロディーなのです!

建築局では待たされたあげく…

ロバート・ギボンズ建築局で待たされるシーンはとてもユニーク。技術課ではさらに長い行列ができていて、その果てに担当者(ロバート・ギボンズ)お昼休み。少ない台詞で淡々と描かれますが、楽しいです。この役人のおじさんは36話「魔術師の幻想」で、ロス市警の署員として再登場します!

ジャニス・ペイジ

ジャニス・ペイジ被害者ウィリアムソン氏(フォレスト・タッカー)の前妻ゴールディ役のジャニス・ペイジはとても印象に残りました。犯人エリオット・マーカム役のパトリック・オニールは、43作「秒読みの殺人」にもフラナガン役で出演しています。

パメラ・オースティン

パメラ・オースティン若い奥様役はパメラ・オースティン(当時31才)で、ジャニス・ペイジ(当時50才)と比べると確かに若い。それでもペイジは50才にしては若く見えますね。

ジョン・フィネガン

ジョン・フィネガン現場監督のカール(赤いヘルメット)はジョン・フィネガンで、ダフィー警部や新シリーズの「バーニーの店」オーナーなども演じる名脇役です。

エリオット・マーカムが聴いていたクラシック音楽

マーカムの事務所で血染めの帽子について思案する場面では、ブラームスのピアノ協奏曲第2番を聴いていました。特に第2楽章が印象的。その他、モーツァルトのピアノ四重奏曲第1番-第1楽章、ベートーベンの弦楽四重奏曲第1番-第1楽章も使用されているらしいです。これらは今後確認します。

ウィリアムソンの牧場

ウィリアムソンの牧場は、LA北西部のサウザンド・オークス近くにあります。この辺りは牧場や農場が多くあり、27話「逆転の構図」で「ガレスコ夫人が誘拐された農家」、65話「奇妙な助っ人」のマクベイ牧場もこの付近です。一方、エリオット・マーカムのオフィス、とパイルを掘り起こしたビルの建設現場は、ともにビバリーヒルズの南よりに位置します。

刑事コロンボマップ
刑事コロンボマップ

監督:ピーター・フォーク
脚本:スティーブン・ボチコ
音楽:ギル・メレ(エンディングだけだと思われるが‥)

エリオット・マーカム:パトリック・オニール
ウィリアムソン:フォレスト・タッカー
前妻ゴールディ:ジャニス・ペイジ
妻ジェニファー:パメラ・オースティン
現場監督カール:ジョン・フィネガン
マーカムの秘書シャーマン:ベティー・アッカーマン
建築局の男性客:マイク・ラリー
白バイ警官:クリフ・カーネル

加筆:2020年11月19日