33話「ハッサン・サラーの反逆」

A Case of Immunity
1975[第5シーズン 33話]

とある中近東の国のLA総領事館の総領事代理である「ハッサン・サラー」が権力争いの邪魔者である警備隊長ユセフ・アラファを殺害。その後、部下であり共犯者のハビブ青年も口封じのために殺害。
大きなスケールで描かれる刑事ドラマ・コロンボは、作品としての完成度が低く感じられるものが多いが、この「ハッサン・サラーの反逆」は好きな作品です。邦題が少々残念ですが、印象に残るタイトルと言えます。直訳は「免責の事例」で、最後に外交官特権を放棄するというエンディングをさしています。

ヘクター・エリゾンド

ハッサン・サラー役:ヘクター・エリゾンド(プエルトリコ系らしい)は凛とし存在感たっぷり。歴代の刑事コロンボの犯人でも、特に記憶に残る俳優です。

かなりの悪人…ハッサン・サラーという男

背景の説明で、犯人のハッサン・サラーとライバルのユセフ警備隊長との関係が見えづらい(過激派と通じていたらしいが)ことが少し残念な気がしますが、このハッサン・サラーなる総領事代理、お国のためを第一と考えているように映りますが、実はそれよりも権力を掌握したい野望の方が遥かに上回る悪人と言えます。

ユーモラスなシーン

今回は事件が発覚する前にコロンボ警部が登場。偉い人の集まる重要会議に「コリム部長との人違い」で呼ばれたという面白い設定。サラーの服の裾を踏んで、いきなり「間抜けさ」を披露しているところが絶妙でした。その後もう一回踏んづけてます。

ロッホマン・ハビブはサル・ミネオ

共犯の青年ハビブを演じたのはサル・ミネオ。理由なき反抗を皮切りに、数々の名作に出演した俳優。刑事コロンボでハビブを演じた後、暴漢に襲われ37歳でこの世を去りました。

オーガスト部長が本領発揮!

会議の席でコロンボ警部に「さっさと失せろ」と冷たくあたるのはオーガスト部長(ビル・ザッカート)。27話「逆転の構図」にも登場していますが、あまり重要な場面ではなかったようで、TV版ではカットされました。

優しい女性秘書

赤い洋服が印象に残る優しい女性秘書クセーニャを演じるのはブリオニ・ファレルさん。捜査の過程で被害者の警備隊長ユセフと名前で呼ぶが、深意は分らない。(ノベライズ版では恋人の設定らしい)

 
2015年に放送のBS-TBS版のクレジットには女優名として「秘書(クセーニャ・グラチョス)」とクレジットされたが、これは誤りで「秘書クセーニャ・グラチョス(ブリオニ・ファレル)」が正解です。

検死官はハーヴェイ・ゴールド

検死官はハーヴェイ・ゴールド。前作「忘れられたスター」でアンダーソンと名乗っている。ハーヴェイ・ゴールドは27話「逆転の構図」ではカメラ店の店主ハリー・ルイスを演じています。日本語吹き替えは「ウイルソン刑事」「ドカベンで徳川監督」の野本礼三さん。

 

損と得が逆転して、爽快なラスト

このお話の結末は、かなり大胆な発想によるもので、「損得の逆転」を上手く利用しました。単にスケールの大きな作品であるだけでなく、その壮大さを利用した結末でもあり私は高く評価しました。
エンディングでコロンボ警部にお茶を振る舞うサラー。コロンボが「人間あきらめが肝心だ」と完全敗北を認め、サラーを油断させます。しかも、お互いを尊敬しあえる関係を作ろうとしているようにも見えます。
その直後に大逆転を迎えるわけですが、国王の帰国を引き延ばしていることからも、このサラーのようなスキの無い悪党に対し、「勝ち試合」と見抜いていることが凄いのですね警部。サラーに「外交官特権を放棄する書類にサインするよう」伝える小池朝雄さんの口調は、爽快〜。
監督:テッド・ポスト
脚本:ルー・シャウ
ハッサン・サラー:ヘクター・エリゾンド
ロッホマン・ハビブ:サル・ミネオ
スワリ国王(アームド・カマロ):バリー・ロビンス
秘書(クセーニャ・グラチョス):ブリオニ・ファレル
オーガスト部長:ビル・ザッカート
本部長:ケネス・トビー
検死官(アンダーソン)ハーヴェイ・ゴールド(野本礼三)
 
加筆:2015年12月5日
 

“33話「ハッサン・サラーの反逆」” への30件の返信

  1. 警部、おみごと。
    君のその執念は、まさに驚嘆に値するものがある。
    君は、まことに些細な点を拾い上げながら、ついにまとめてしまった。
    立派だよ。
    ・・・
    君の仕事は殺人事件だ。
    だが、君も言ったとおり、この事件だけは君の失敗に終わったわけだ。
    だが、落胆には及ばない。
    警部、君はよくやった。なぞは解いたのだ。
    それに満足して、引き下がることだ。
    前半は犯人のコロンボ評で、後半はみじめな増長でしたね。
    この犯人もコロンボの本質に近いところまで見抜きながら、
    「見くびっていた連中」へ「いきなりワナをぶつけてモノ」にされた。
    フレミングとレスリーのコロンボ評は、まさに金言に値する。

  2. 前代未聞の解決方法でしたね。初めて観たときはそのスケールの大きさに驚きました。車の走行距離や漆喰の粉の推理は手堅いものの新味に欠けると思って観てたのですが、まさかあんな逮捕の仕方があったとは…。
    コロンボが国王から好意を持たれるというシーンは彼の人間性が窺えていいシーンだと思いました。しかし、それも国王の協力による逮捕という解決への伏線という意味があったのですね。
    本作も「仮面の男」、「闘牛士の栄光」と同じく異色の快作といえると思います。

  3. 最近 DVDでコロンボを見始めています。
    ぼろんこさん ハビブいいですね~。
    【サル・ミネオ】 ジェームスディーンの 相方ですね。
    この作品の公開?当時だと サル・ミネオが 一番のビッグゲストだったんじゃないでしょうか?
    しかも翌年には 亡くなられてますので 彼の遺作になってしましましたね。
    改めて見ると いろいろな発見が あっておもしろいです。

  4. BS TBS放送を録画して週末にまとめて楽しんでおります。
    細かい話で恐縮です。
    ぼろんこさんが上でコーヒーと書かれておられるのですが
    最後のシーンで飲んでいるのは紅茶の様です。
    英文スクリプトにも「ティーをいかが」とありました。
    一見カップがコーヒー用に見えるのですが、紅茶に背の低いカップを
    使うのは日本だけのルールの様です。
    ついでにコロンボがお茶を飲む直前右手でカップを掴もうと
    しているのに画面切替後左手になっているのに気づきました。
    一瞬でソーサーも持ち替えています(笑)。
    トリビアみたいですみません。

  5. デモをする集団の中に若かりし頃のジェフ・ゴールドブラムを見る事が出来ますね!誰しも下積み時代があるのですね。
    ヘクター・エリゾンド、ゲイリー・マーシャル監督の映画の常連ですが、良い味出してますね!

  6. コロンボさんでは、時々、なるほど!と思うセリフを聞くことがあります。
    今回も、サル・ミネオが、ハッサン・サラ―の計画を段取りしている時に、「努力します」と答えます。すると、ハッサン・サラ―は、「努力するのは子供のすることだ。大人はやり遂げるものだ」と言います。
    彼の計画をやり遂げるのは、悪いことですが、なるほどなぁ、と思いました。

  7. 最後の切れ味は最高ですね。
    殺人処方箋と同じで、犯人が語るに落ちた格好です。
    コロンボは、どんな権威、障壁、圧力、治外法権に対しても敢然と
    立ち向かっていきます。それらに対しては全く動じません。
    他のコロンボでは、上司の信頼を得てそういった圧力を逆に材料に
    していきました。今回は、圧力の本体である国務省が出てきました。
    上司も国も敵であれば、最後は国王を味方に付けるというはなれ技。
    なんという大胆不敵な!。

  8. 南部さん、ありがとうございます。
    「秘書のゼニアと警備隊長ユセフは恋仲」で、納得しました。加筆します。
    「これは近所のパン屋さんのですのよ」は私も笑いました。この作品に1票追加します!

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