17話「二つの顔」のクリフォード・パリス邸、34話「仮面の男」のネルソン・ブレナー邸、38話「ルーサン警部の犯罪」のウォード・ファウラー邸は同じ家です。
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エアオールウェイの豪邸
3話「構想の死角」のケン・フランクリン邸と12話「アリバイのダイヤル」のエリック・ワグナー邸は同じ家です。大きな窓に囲まれたリビングルーム。窓にかかったカーテン、白いソファも同じものですね。こうして2作品を見直すと、やはり「構想の死角」のカメラアングルが強調されていることがわかります。
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カッシーニ・ワイナリーのロケ地
19話「別れのワイン」の「カッシニー・ワイナリー(ロケ地)」がどこであるか?これに興味を示すコロンボファンも多いことでしょう。2021年秋にゲストさんからご質問をいただき、本格的に調査し、判明しました。
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舞台版「殺人処方箋」を観て
そもそも舞台版「殺人処方箋」とは?
現在テレビやDVDで見ることができるパイロット版「殺人処方箋」より6年前の1962年に、トーマス・ミッチェル主演の舞台版「殺人処方箋」が上演され成功しています。その舞台版「殺人処方箋」を焼き直したのが、私たちに馴染み深い「ジーン・バリー=精神科医フレミング」のテレビ・パイロット版です。(さらに遡る1960年のテレビ番組も存在しますがここでは割愛します。)
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プジョー・403の日本版?日産「フィガロ」。
1991年に日産自動車が発売した「フィガロ(Figaro )」は、コロンボ警部の愛車「プジョー・403コンバーチブル」の可愛さに通じるものです。専門的には「ハードトップ」と「ソフトトップ」の違いなどはあるでしょうが。
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コロンボの愛犬「ドッグ」
10話「黒のエチュード」で初登場したコロンボの愛犬「ドッグ」。「池(pound)でおぼれていた」のが出会いだと訳されているが、本当は「犬の収容所(pound)でもらって来た」のが、正解ではないか?と思います。
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プジョー・403コンバーチブルのダッシュボード
別れのワインで「チチアンの赤」とは?
長年の聞き間違いが、2013年5月1日に解決いたしました。

チチアンはルネサンスのイタリア人画家だ。
ほにゃらら の ほにゃらら
「ほにゃらら の ほにゃらら」はまるで往年のテレビクイズ番組「ぴったしカン・カン」を思い出させますね(笑)ここでは刑事コロンボのエピソードタイトルについてまとめてみました。「別れのワイン」「逆転の構図」「祝砲の挽歌」「美食の報酬」「迷子の兵隊」など、エピソードの内容とタイトルが奇麗に結びついたものは特にカッコ良いな〜と思います。
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「これはお約束します」の罠
「これはお約束します」は少なくとも2回、コロンボ警部が口にしている言葉です。よく似たニュアンスを加えるとかなり数が増えるでしょう。犯人あるいは周囲の人物に「犯人の逮捕が近い」ことを予言し、犯人を追いつめるのです。
最初に登場するのは 1話「殺人処方箋」で共犯のジョーン・ハドソン女子に「あなたの弱さにつけ込んで徹底的に付きまとい自白させる、それで、主犯のフレミングを逮捕する」と、恫喝する際「これは約束します」と念を押しています。一見冴えない中年男風の刑事ですが、このような迫力で押されますと、たいていの人間は平常心で居られなくなるようです。
ズバリ、このような言葉の再登場は42話「美食の報酬」。被害者のビットリオを讃えるパーティのスピーチで、甥のマリオや参席者に対し「犯人を必ず逮捕する、これはお約束します」と予言。犯人のジェラードは「この際、コロンボを殺してしまえ…」と、新たな殺人動機を呼び起こされます。恐ろしいですね…。
コロンボ警部の常套手段として、犯人自らの行動により犯行を認めさせることがあります。それは警部が「自信喪失」を演じれば犯人は油断し、逆に「自信満々」を演じれば犯人は不安になる、どちらにしても決定的な証拠を自分で作り出すことになるのです。
登場人物の名前での気付き
新シリーズで続く、良く似た名前
アレックス・ブレイディ【Bradey】47話「狂ったシナリオ」
フランク・ブレイリー【Brailie】49話「迷子の兵隊」
ショーン・ブラントリー【Brantley】51話「だまされたコロンボ」
フレディ・ブラウアー【Brower】59話「大当たりの死」
新シリーズでは「ブレ」「ブラ」から始まる似通った名前がよく登場します。それに比較し、旧シリーズでは…
マイロ・ジャナス 26話「自縛の紐」
ポール・ガレスコ 27話「逆転の構図」
アビゲイル・ミッチェル 41話「死者のメッセージ」
など、印象に残る役名が多かった気がしますね。
よくある疑問(ひっかかり)
日本語版の吹き替えの声が変わっている箇所
コロンボの日本語版でたまに「おや声が変だぞ、別人のように聞こえる…」という疑問をお感じになった時、それは確かに声優が変わっている箇所です。これは当時の日本のテレビの放送時間の枠に作品が収まりきらなかったので、重要でない場面をカットして、放送する部分のみを吹き替えたためです。その後DVD化やノーカット放送を機会に、声優が亡くなったなどの理由で別の声優さんがその部分のみ新たに吹き替えたのです。
コロンボの日本語版を注意深く見ますとその「重要でないと判断されたシーン」がわかります、これも面白い発見となります。
あなたのこと、褒めてましたよ
「さっき誰々さんにお会いしましたが、あなたのこと、褒めてましたよ」
この台詞は刑事コロンボの作品中、コロンボ警部や口達者な犯人役がよく口にする台詞です。これはおそらく、警戒心を持った相手の心を開かせるための巧妙な褒め言葉と思われます。やはり人間というもの「褒められて気を悪くする人はいない」ということでしょう。
それにひきかえラストシーンなどで犯行を暴かれた犯人の悪態に対し、「あまたの才能は認めます、でもその他はてんでいけません」(参照:美食の報酬)と、人格否定するのも見逃せません。多くの場合、コロンボ警部は殺意の種類により、同情したり、怒ったりすることがあると思われ、犯人が自分の犯行を突き止めたコロンボに対し「いっそ、この刑事を殺してしまえ」と短絡的解決方策に走った場合「人格否定」の発言が見られる気がします。
殺された人々の罪…も。
犯人を脅迫して「返り討ち」
刑事コロンボシリーズでは新旧に関わらず、犯人の弱みにつけ込んで脅迫したことで、殺されてしまう人々が後を絶ちませんでしたね。
24話「白鳥の歌」エドナ夫人
29話「歌声の消えた海」歌手ロザンナ・ウェルズ
34話「仮面の男」諜報部員ジェロニモ
36話「魔術師の幻想」ジェローム社長
38話「ルーサン警部の犯罪」女性プロデューサー クレア・デイリー
47話「狂ったシナリオ」旧友レニー・フィッシャー
49話「迷子の兵隊」キーガン曹長
52話「完全犯罪の誤算」ステイプリン
57話「犯罪警報」テレビ番組司会者クラーク
61話「死者のギャンブル」ギャンブラーのハロルド
67話「復讐を抱いて眠れ」芸能レポーターベリティ
と、ここまでは犯人に金銭を要求したり、犯人の破滅を目論んで返り討ちにあった人々。第1被害者ながら、自分にも非があるケースで「悪人」に分類されるべき被害者。この中で最も悪人なのは「ジェローム社長」と「クレア・デイリー」。犯人をまるで「金づる」のように扱っています。
14話「偶像のレクイエム」秘書ジーン・デービスは、自分では「犯人の殺人を知っている」ことを何かに利用しようとは思いませんでしたが、結婚したい相手が「ゴシップ記事作家ジェリー・パークス」だったことが命取りでした。
共犯者の「裏切り」
5話「ホリスター将軍のコレクション」ダットン大佐
6話「二枚のドガの絵」美術学生トレーシー・オコーナー
11話「悪の温室」トニー・グッドウィン
22話「第三の終章」殺し屋エディ・ケイン
27話「逆転の構図」前科者アルビン・ダシュラー
31話「5時30分の目撃者」ナディア・ドナー
33話「ハッサン・サラーの反逆」総領事館員ハビブ
39話「黄金のバックル」警備員ミルトン・シェイファー
51話「だまされたコロンボ」女社長ダイアン
このうちエディ・ケインのみが純粋な意味での殺人の共犯(あるいは実行犯)で、他の方々は犯人に利用されていたり、殺人計画とは知らずにだまさていたケースが多いです。ダットン大佐は、ビジネス上の不正という意味でホリスター将軍の共犯者。
犯人の悪事を知ったのが「命とり」
4話「指輪の爪あと」ケニカット夫人
15話「溶ける糸」手術助手シャロン
21話「意識の下の映像」ノリス社長
23話「愛情の計算」ニコルソン博士
26話「自縛の紐」ジーン・スタッフォード
40話「殺しの序曲」バーティ・ヘイスティング
42話「美食の報酬」レストラン主人ビットリオ
46話「汚れた超能力」マックス・ダイソン
50話「殺意のキャンバス」前妻ルイーズ
この方たちは、悪人ではありません。むしろ正義感が強い人が多く、それが故に命を落とします。
犯人の殺人を知り脅迫し、口を封じられる…
13話「ロンドンの傘」執事タナー
18話「毒のある花」秘書シャーリー
21話「意識の下の映像」映写技師ロジャー・ホワイト
上記の方々は、第2被害者。みんな悪人とまでは言いきれないけれど、人の弱みに付け込んで罰が当たったのです。
犯人の殺人を知り脅迫するが、命を取られなかった人も
41話「死者のメッセージ」秘書ベロニカ
58話「影なき殺人者」秘書トリッシュ
※11話「悪の温室」のおバカちゃん秘書は、犯人を取り違えているので除外です。
コロンボはよく「筆記用具を忘れる」件
1話「殺人処方箋」では、例のスタール邸で共犯のジョーンの供述をとるラストシーン。
2話「死者の身代金」では、空港で飲み物代金が支払えず、ウエイトレスにサインをするシーン。いずれも最後の場面で「コロンボが筆記用具を忘れて、借りている」のです。これは、コロンボのイメージを「やはり…どこか抜けている」憎めないキャラクターとして印象づけたかったのでしょう。
4話「指輪の爪あと」でブリマーから受領書を受け取るためのサインを書かせる際に、筆記用具を忘れています。
19話「別れのワイン」でエイドリアンのワイン仲間から立派な鉛筆を借りる。そのまま持ち帰りそうになり、返すよう求められました。
23話「愛情の計算」すぐに鉛筆を失くす癖があるので、これからはテープに録音すると宣言しました。
24話「白鳥の歌」でトミーの供述をとる際に鉛筆が見つからず「暗記しとこう」と言うが、直後にポケットから見つかりました。
16話「断たれた音」では、それらとは逆に記憶力抜群のクレイトンがボールペンを忘れ、それをコロンボが本人に届けます。
加筆:2017年12月22日 その他にも印象的な「筆記用具を忘れる」シーンが多数あり今後加筆します。
刑事コロンボの劇中音楽
初期はジャズやフュージョン系の音楽が多い
初期の刑事コロンボの劇中のBGMは「ジャズやフュージョン系」が多用されています。音楽担当にはビッグネームも含まれ、音楽と映像が一体化して刑事コロンボの世界を作り出しています。
デイヴ・グルーシン
1話「殺人処方箋」のタイトルバックのBGMは「デイヴ・グルーシン」です。何かすごい物語が始まる…そんな予感がしますよね。デイヴ・グルーシンはかなり有名な音楽家であり、グラミー賞10回、アカデミー賞も1回受賞しています。
1話「殺人処方箋」
ギル・メレ
「ギル・メレ」は第1シーズンの4作品を担当しています。特に素敵なのが8話「死の方程式」です。ギル・メレの音楽がこの作品のテイストを作っていると言っても良いでしょう。4話「指輪の爪あと」でケニカット夫人の死体を捨てに行くシーンもギル・メレで、印象深いです。9話「パイルD-3の壁」も音楽:ギル・メレのクレジットがありますが、これはエンディングだけ4話「指輪の爪あと」の音楽を流用しているように思えます。
4話「指輪の爪あと」
5話「ホリスター将軍のコレクション」
8話「死の方程式」
9話「パイルD-3の壁」
ビリー・ゴールデンバーグ
ビリー・ゴールデンバーグが音楽を担当した、2話「死者の身代金」のセスナシーンやエンディングと、15話「溶ける糸」のメイフィールド邸でのパーティのBGMは、メロディーが同じです。70年代っぽいポップなサウンドなので、聞いてみてください。
また、6話「二枚のドガの絵」の後半家宅捜索が行われるエドナ・マシューズ邸に車で到着するシーンと、7話「もう一つの鍵」でユージン美容室に向かう車のシーンも同じBGMです。
2話「死者の身代金」
3話「構想の死角」
6話「二枚のドガの絵」
7話「もう一つの鍵」
15話「溶ける糸」
22話「第三の終章」
ディック・デ・ベネディクティス
ディック・デ・ベネティクティス(作曲家)は多くの第2シーズン以降の音楽を担当しています。黒のエチュードでは「Music Score」と、大きくクレジットされています。ぼろんこが気になっていた「不思議なピアノ曲」もおそらく、このディック・デ・ベネティクティスによるものです。
10話「黒のエチュード」
12話「アリバイのダイヤル」
13話「ロンドンの傘」
16話「断たれた音」
17話「二つの顔」
18話「毒のある花」
19話「別れのワイン」
20話「野望の果て」
21話「意識の下の映像」
23話「愛情の計算」
24話「白鳥の歌」
25話「権力の墓穴」
26話「自縛の紐」
29話「歌声の消えた海」
39話「黄金のバックル」
ベルナルド・セガール
第4シーズンからはベルナルド・セガールが多用されました。
27話「逆転の構図」
28話「祝砲の挽歌」
30話「ビデオテープの証言」
31話「5時30分の目撃者」
33話「ハッサン・サラーの反逆」
34話「仮面の男」
35話「闘牛士の栄光」
36話「魔術師の幻想」
37話「さらば提督」
38話「ルーサン警部の犯罪」
パトリック・ウィリアムズ
41話「死者のメッセージ」以降の音楽を担当しているのはパトリック・ウィリアムズです。
→詳しくは、「刑事コロンボと作曲家パトリック・ウィリアムズ」をお読みください。
加筆:2021年9月17日(この記事は書きかけです)
第2~第3シーズンの不思議なピアノ曲
ディック・デ・ベネディクティス
ディック・デ・ベネティクティス(作曲家)は多くの第2シーズン以降の音楽を担当しています。ぼろんこが気になっていたこの「不思議なピアノ曲」もおそらく、このディック・デ・ベネティクティスによるものです。(2021年10月加筆)
10話「黒のエチュードで多用されています。ベネティクトが犯行現場に向かうシーン、自殺した後にジェニファーの家から出るシーンなど。
14話「偶像のレクイエム」でノーラ・チャンドラーとコロンボ警部が警部のプジョーで駐車場に到着するシーンで使用。コロンボの愛車がいつになく汚く「わざと」汚したようにも見える…が。このシーンでの使われ方は重要でない気がします。
18話「毒のある花」でも多用されています。この作品では頻繁にこの「ピアノ曲」が背景に流れて、作品自体に独特の不思議な雰囲気を持たせています。
16話「断たれた音」のラストシーンは印象的。この場合は話が終結して回想シーンと制作スタッフのクレジットが入った後に1回のみこのフレーズが流れ、とってつけたようなエンディング音で締められています。とても効果的です。
不思議なピアノ曲
追記:2020年10月16日
コロンボ警部の鼻歌や口笛「THIS OLD MAN」
コロンボ警部の鼻歌や口笛の音楽は「THIS OLD MAN」という曲でした。マザーグースの数え歌らしいです。ずっと前から気になっていて、今日インターネットで本気で調べたら、分かりました。
刑事コロンボの作品中では、コロンボ警部の意思(または無意識)で、鼻歌や口笛で登場します。もっとも印象的な場面の一つとして29話「歌声の消えた海」のラストシーン、犯人のヘイドン・ダンジガー(ロバート・ヴォーン)に指紋の採取を迫る際に鼻歌で「♪ダンジガーさ~ん」と語りかけます。まんまと自分の策にはまった犯人を目の前にして、嬉しくてついつい悪のりしていますね。
19話「別れのワイン」でカッシーニ・ワイナリーから被害者リックの恋人の家に電話する時にかなり名調子(ビブラートをつけている)で口笛を吹くシーン。イタリア系のくせに「音痴」だと自己分析するコロンボ警部ですが決して音痴ではありませんでした。
26話「自縛の紐」で犯人マイロ・ジャナスの家の近くの海岸を歩くシーンでは、吹き替え版でもピーターフォーク自身の生歌の「THIS OLD MAN」を確認できます。
37話「さらば提督」のラストシーンでこの「THIS OLD MAN」が初めて「印象的に使用された」と思われます。が、メインメロディが間違っています!
41話「死者のメッセージ」で、犯人アビゲイル・ミッチェルの自宅のリビングで「無断で」ピアノ演奏します。その後庭に出た後も口笛を吹いています。かなりご機嫌な様子でした。
42話「美食の報酬」では、レストランで行われた授賞式のシーンで、料理が運び込まれるBGMとしてこの「THIS OLD MAN」が流れます。場面を可愛らしく演出するのに便利だったと考えられます。
52話「完全犯罪の誤算」では、選挙運動の華やかなイメージを演出する「デキシーランド・ジャズ」とともに、この「THIS OLD MAN」もBGMとして多用されています。
67話「復讐を抱いて眠れ」写真からドロテア・ペイジの家をつきとめるまでのシーンで、オーケストラアレンジされたBGMが流れます。
68話「奪われた旋律」(日本語吹き替え版)のラストシーンでは、このメロディーで「おもちゃで遊ぼう」と歌っています。この場面での使われ方は、少しわざとらしさも感じられますが。
刑事コロンボと作曲家パトリック・ウィリアムズ
作曲家パトリック・ウィリアムズ
パトリック・ウィリアムズは刑事コロンボの9作品の音楽を担当されたそうです。特に刑事コロンボ第7シーズンと新・刑事コロンボ第8シーズンに集中しています。
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刑事コロンボの劇中の音楽
エピソードに沿った音楽
「THIS OLD MAN」に限らず、刑事コロンボの作品は新旧を問わず劇中に流れる音楽も聞き逃せません。作品ごとに音楽の種類や質も異なり、その作品の特長をより際立たせています。場面の緊張感を引き立たせる曲や、アクションに合わせた効果音的な音楽も素晴らしいです。また、その作品のシチュエーションにあった曲を繰り返し流すこともあります。新・刑事コロンボの49話「迷子の兵隊」などはその代表でしょうか。52話「完全犯罪の誤算」では「デキシーランドジャズ」を用い、選挙活動の華やかな雰囲気を巧みに表現しています。
新シリーズではオープニングにPOPS音楽を使用
オープニングシーンに使用される音楽も時代によって変化していて、新・刑事コロンボの時代には流行のポップスがドド~ンと流されることが多くなりました。
51話「だまされたコロンボ」、56話「殺人講義」など。
初期作品 はBGMも素敵
それに比べ、音楽を効果的に使った初期作品はやはり素敵です(「別れのワイン」等)。淡々と流れる時間を楽しむことができる作品ですね。場面の切り替えなどに用いられる「メロディの無い効果音」も好きです。また、無音状態(台詞のないシーン)でも、心理描写を補助するような音が巧みに盛り込まれています。
同一シーズン内で同じBGMを多用
例えば第2シーズンの11話「悪の温室」と17話「二つの顔」、第7シーズンの41話「死者のメッセージ」と43話「秒読みの殺人」。これらの作品は、同じBGMを多用していて、それが作品の味となっています。「死者のメッセージ」と「秒読みの殺人」は監督がジェームズ・フローリーです。
最後から二番目の作品、新・コロンボ作品「68話:奪われた旋律」で、犯人の作曲家フィンドレー・クロフォードは弟子のガブリエルに音楽を直されます。題材の劇中「女性が刺されるシーン」での効果音、直される前は刑事コロンボの初期作品に登場しそうな雰囲気です。参照場面として「20話:野望の果て」で、上院議員候補ヘイワード氏が被害者ストーンの時計をわざと壊すシーン。奪われた旋律は、このような過去の作品をパロったものかもしれません。
劇中に使われた印象的なクラシック音楽
10話「黒のエチュード」のコンサートで実際に演奏された曲です。「田園」は第4楽章で激しい雷雨・嵐の場面、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」も第4楽章。
バッハ 平均律第1巻第15番ト長調 BWV860
10話「黒のエチュード」でジェニファー・ウェルズが弾いていたピアノ曲です。タイトルに沿う「エチュード(練習曲)」でなかったのが残念。
ブラームス ピアノ協奏曲第2番
9話「パイルD-3の壁」で、犯人のエリオット・マーカムが事務所で思案中に聴いていた曲は第二楽章の半分あたり。
チャイコフスキー 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
40話「殺しの序曲」で、犯人のオリバー・ブラントが殺害トリックで使用した曲です。
加筆:2021年11月23日