- ウェズリー・コーマン「ジャガー・XJ-S」
- アダム・エヴァンス「フォード・マスタング・コンバーチブル」
楽しむ意欲を持って見たくなる作品
歯科医ウェズリー・コーマン(ジェームズ・リード)が妻の愛人である俳優アダムを殺害し、自分の妻の犯行に見せるという話。犯行計画はかなり「きわどい」です。妻や愛人がすべて自分の思い通りに行動しないと成立しません。しかしこれは、新・刑事コロンボシリーズの中では私が好きな作品の一つ。刑事コロンボは旧作の45作のみだ、と断言してしまうと楽しめません。
古典的な作品との共通点
コメンテーターさんからの情報で、この作品の脚本は「旧シリーズのために書かれた」ものだということです。犯人の職業に特化した犯行。「転落回避」「報復」「金銭問題」などを一挙に解決できる殺人動機。「アダムが歯医者に通院」「転落した車のギアがニュートラル」「シャツのポケットに不倫相手夫妻の名入マッチ」「残っていた毒の濃度」「リディアの、2〜3分でもう‥発言」など面白い手がかりも満載。「緊急ボタンの解説」を競馬場のラウンジで、勝手に回線をつなぎかえ実演したことは驚きですが(笑)
ギャンブル好きが祟ってしまう
ただしストーリー全体を冷静に見直すと、犯人のウェズリーは今後この華麗なる家族と一緒にどうやって余生をすごそうと思っているのか?大疑問です。相変わらずのギャンブル好き、殺人犯人となった妻、自分に愛想を尽かした義父。馬鹿は死ななきゃ直らない…と言った感想です。犯人が「頭が良い」というコロンボ作品の理想からは外れました。
奥さまは魔女のダーリン!

ジョンソン先生はスティーヴン・ギルボーン

同じく鑑識のおじさん
なんで、バーニーズ・ビーナリーが駄目だったか?

原題「Uneasy Lies the Crown」
2021年に再度調べてみたところ「Uneasy lies the head that wears a crown」はシェイクスピア「ヘンリー四世」のセリフからの引用だと思えます。「冠をいただく頭は安んぜず」で、偉大なる者には心安まる時はないと訳せるそうです。アダムの治療シーンでウェズリーが「今すぐ処置すべきは右のクラウン(かぶせ歯の意味)」と言っていまして、殺人工作につながる原題だと思えます。(2021年4月15日)
邦題「華麗なる罠」
私は「それに対し邦題の『華麗なる罠』は最低レベルのアイデアです。」と酷評を書いていました。しかし日本語ではクラウンと歯科医の関連性が分かりづらい。ヘンリー四世のセリフも馴染みが薄いので。まったく別のアングルから考えられたのでしょう。
コーマンの豪邸とマルホランド
ウェズリーとリディア夫妻の住む海岸の豪邸は、コロンボ作品で犯人の居住地などで度々登場するマリブ地区です。それに対しアダムの事故現場「マルホランド(モルホーランド)」は、マリブの付近から東西に走る峠道で、バイクや自動車事故が良く起きる場所のようです。

監督:アラン・J・レヴィ
脚本:スティーブン・ボチコ
ウェズリー・コーマン:ジェームズ・リード(声:菅生隆之)
ホレス:ポール・バーク(声:大塚周夫)
リディア・コーマン:ジョー・アンダーソン(声:佐々木優子)
アダム・エヴァンス:マーシャル・R・ティーグ
ディック・サージェント:ディック・サージェント
ナンシー・ウォーカー:ナンシー・ウォーカー
ロン・セイ:ロン・セイ
鑑識:モーガン・ジョーンズ
検死医のジョージ・ジョンソン:スティーヴン・ギルボーン
加筆:2024年8月29日
はじめまして。
コロンボ好きでこちらを拝見するようになりましたが、自分の楽しみ方は、一般的ではないのかな?と気になってきました。
例えば、ドラマの評価に、犯人含む登場人物のモラルや共感を求める方々が多い事に驚きました。
自分は、アメリカの上流階級の人々と日本の庶民の価値観が違っても、それは当然であり、むしろそうした違いを味わう事も楽しみの一つだと思っていたので。。
特に、犯人には、共感できなくて普通じゃないですか?旧シリーズの犯人への共感が多いけど、殆どがサイコパスですよ。どんな理由だろうと、普通は殺人しませんから。逮捕時に潔くとも、リアルに考えると裁判では逆転できそうなケースが殆どだし。
そもそも自分は、コロンボ自身もサイコパスかも?と半分疑いつつ楽しんでいます。
ファーストネームや家も秘密、「かみさん」の存在さえ確かではない設定なので。
どなたか、同じ考えるの方、いらっしゃいませんかね〜?
罪悪感も演技で夫を舐め切った尻も頭も軽い浮気妻には同情出来なくして、
ダメ犯人を少し応援したくなるという展開
本日、AXNミステリーで見て、気づきました。
後半に歯医者で「パンツもシャツもハンカチも青くなった」とコロンボが言っていますが、前半にプールハウスでグラスやブレンダーを触る時に使ったハンカチに、確かに青いシミがありました。
はじめまして。コロンボの音楽がとても好きで、以前から記事を拝見しておりました。
この「華麗なる罠」のラスト(漂白剤?の色落ちないの?)音楽が特に好きなのですが、何か情報はありますでしょうか。
このエピソードの音楽担当は James Di Pasqualeです。 YouTubeに Columbo TV Series Music-End Titles として最後の方に紹介されています。各エピソードの挿入音楽だけを聴くのもいいですね。BGMでしたら同じ方が Columbo TV Series-Background Music もあげています。
70年代ラバーさま、ありがとうございます。やっと手がかりが見つかり、とても嬉しいです。
ANXのミステリーチャンネルで先生の作品、拝見ました。
劇中、ポーカー仲間のところに聴き込みに行ったところ、仲間の一人がジャックニコルソンの真似ていました。バットマンのジョーカー役をねぇ。アタシ、気になって作品の前後関係を調べてみたんです。
すると、先生の華麗なる罠が90年の作品で、バットマンが89年だったんですね。アタシャ、驚きました。先生の作品は、もっと、ずーっと昔だと思ってたんです。ほら、出てくる車も、女性のアタマも、レトロな雰囲気でございましょ?
アタシ関心しましてねぇ、さらに踏み込んで、カミさんとよく観たダイハードもチェックしてみました。そしたらなんと、こちらは88年の作品だ!たまげましたよ。
『華麗なる罠』のロスが、ダイハードのロスの2年後に撮られたものだなんて。とてもダイハードのロスより新しいロスには見えませんん。
そこでアタシ気がついたんです。特殊効果をふんだんに使ったハリウッド映画は、テレビドラマよりも若く見られるんだ、ってね。
元ロサンゼルス・ドジャースのロン・セイが本人役で登場したことにも言及しないと。
近日、言及します!
大好きな『奥様は魔女』のダーリンが!!しかもダーリン役の俳優さん役で!この話は DICK SARGENT が登場しているというだけで何杯もおかわりできるくらい好きです。(むしろそこだけなのか?笑)個人的には初代ダーリンの DICK YORK さんの方が癖がなくて好みですが、2代目の方がダーリンのキャラクターとしては合ってたように思います。
義父役の声優は大塚周夫さん。私にとっての大塚さんと言えば何と言ってもあの”ネズミ男”のちょっとつぶれて鼻にかかった嫌らしい話し方という印象が強いのですが、こんな知的で渋い役もやられるのですね。ご子息大塚明夫さんは、よくアテレコ現場に遊びにいらしていたそうで、今ではお父さんより渋い立派なイケボ声優さんです。
うん。これは良かったな。
新作「も」良かった、のではなく、旧作と合わせてもトップ10に入るほど良かった。
トリックや動機も無理がなかった、歯医者なら考え付きそうだし。
旧作のシナリオという情報もありましたけど、いかにもコロンボ的だった。
一点、キズにもならないキズですが、
最後は、義父の実演を犯人が止めて犯行を認める、というストーリー。
だったら犠牲者は、俳優ではなく犯人の実弟とかにすれば、
これ以上の遺体損壊を避けたい、という理由ができるのではないか、と思います。
以前の書き込みにもあるように、ポーカーのシーンの特別ゲストが米国テレビドラマ世代に懐かしいところが一番印象的なのは今回の視聴でも変わらず。登場人物は既に他の方々もご指摘のようにブルジョアのクズばかり(苦笑)で感情移入できない。やはりあまり好きにはなれませんね。
歯科医が犯人、という設定でその技術、特性を利用したトリックというのは、昔から、ミステリー小説には結構ありましたね。前のコメントで「合わない差し歯」というタイトルを提案しましたが今回は「偽りの冠」なんていかがでしょうか。
失礼「偽りの冠」は既に提案されていますね。撤回します。
どんな邦題がいいかな…と考えながら観ました。
「偽りの冠」とか「堕ちた王冠」とかどうでしょう⁉︎
コロンボ作品やポワロ作品を観ているとよく感じるのですが、昔放送されていた古畑任三郎は、明らかにコロンボ作品等からヒントを得ているなって思うことがありますね。この作品に出てくるマッチ、確か、古畑任三郎ではイチローさんがゲスト犯人の回で同じようなのがありました。私は初期の作品の方が圧倒的に好きですが、新シリーズではこの作品は好きな方です。
三谷さんはコロンボとクリスティとビリー・ワイルダーに多大な影響受けてらっしゃいますもんね。
クリスティは「人がどんな風に騙されるか」ということに精通していて、叙述トリックを仕掛ける天才でした。
名探偵モンクにもクリスティトリックはいくつか見受けられるし、コン・ゲーム映画の基礎も 辿れば
クリスティか?と思うことも(笑)。
コロンボ作品で昔のミステリを思い起こさせるのは
「二つの顔」です。
クリスチアナ・ブランドの「血兄弟」が仲の悪い双子の話で。
「招かれざる客たちのビュッフェ」という短編集の一編ですが
イヂワルさ全開の作品集なので、スパイシー好みの方にはオススメします。
ポール・バークの映画出演歴に「華麗なる賭け」があります。原題は「THE THOMAS CROWN AFFAIR」。CROWNつながりもありこの邦題が発想されたのかもしれません。
ウェズリー・コーマン:ジェームズ・リード(声:弥永和子)
→声:菅生隆之
訂正しました。申し訳ありませんでした。
ぼろんこさん、いつもありがとうございます。
皆さんのコメントもとても勉強になります。
細かいことを気にしなければ、おもしろい作品でしたね。
どうでもいいことですが、私が気になったのは…
・マルガリータが上手に作れる以外に取り柄のないリディア。アダムはどこに惹かれたの?
・心臓が弱いのに自宅プールで一人で泳ぐリディア。泳いでいるうちにもし心臓発作が起きたら誰に助けてもらうの?
・ウェズリーとリディアの豪邸。あの2人では維持できないのに、使用人の姿が見えないのはなぜ?
・カンヌに行く前日の映画スターのアダム。歯医者のリスケに簡単に応じるくらいスケジュールががら空きなの?
・カンヌの前に歯の治療をしておこうとしているアダム。痛そうな左の歯ではなく、痛くなさそうな右の歯のほうが深刻だから治療するという説明に、なぜあっさり納得?
・あの時代のアメリカのお金持ちって、自分たちの名前入りのマッチを作ってお客に配っていたの?
・患者に有名人が多いウェズリー。ギャンブル依存症だけど、歯医者としての腕は良かったの?
新シリーズになって9作目。見る側として石田太郎さんの吹替にようやく慣れてきました。石田さんも肩の力が抜けてのびのびと吹き替えているように聞こえました。
ジョー・アンダーソンについて、どこかで観た気がした訳ですが、
この方はジリアン・アンダーソン(X-ファイル:ダナ・スカリー)でしょうか?
似ている方なのかな。
ページを拝見してましたら、
【ウェズリー・コーマン:ジェームズ・リード(声:弥永和子)】
の記述に、一瞬ビックリしたついでに投稿させて頂きました。
修正しました、申し訳ありませんでした。
ぼろんこさんやコメンテーターさんの感想、つっこみや他作品とのトリビアなど、皆さん刑事コロンボの大ファンの心温まるブログで、いつも作品を見終わった後、開いて楽しませて頂いています。さて、コロンボが最後に仕組んでいる青くなる変化は最初に見た子供の頃は「リトマスだ!」と思っていたのですが、今日見てみて、BTB(ブロームチモールブルー)溶液かなとやっと気づきました。
陶器のクラウンや勿論ジギタリスは全く関係なくクラウンの裏に乗せたのは洗濯石鹸で、やや茶色がかったスポイト液がBTB溶液でしょう。法医学のジョンソン先生が「なにが陶とジギタリスだ」と種明かしを少ししてくれています。
最初観てから40年位経ってます。が「華麗なる罠」がストンと腑に落ちました。
いつも記事やコメント楽しく拝見させて頂いております。
今回は犯人よりも妻や父親、弟が死体遺棄や証拠隠滅に手を貸す(妻に至っては不貞を働いていた)のに何事もなく退場していたのが引っかかりました。
またアダムは職業柄でも女性との噂が耐えないので結婚してもギャンブルに耐えられない奥さんが結婚生活に耐えられるのか?と疑問に思いました。
今回の受付の女性が少しの出番でしたがとても可愛いのとピノキオが最後勝ったのかが気になるお話でした。
(犯行については犯人の腕が良すぎて真面目に歯科医として働くべきだったのではないかなと思いました。ギャンブルは怖いですね。)
本当にピノキオの結果が、気になりましたよね~
この作品は
私も好きで五回位見ました。
コロンボの鼻歌も久々でした😃🎵