チャレンジャー精神の宿る初期の秀作。

極初期の3作品

これは仕方ないことなのです。刑事コロンボシリーズが確立する前の作品で、「いわゆるコロンボらしさ」がほんの少しだけ足りないですね。単発の作品として見ればかなり凄い作品で、「この作品を超えられない」後の作品が何と多いことか…とも感じます。

1話「殺人処方箋」
記念すべき第一回放送作品。それでも犯人の心理状態につけ込んだ捜査など、その後に受け継がれるコロンボテイストの元になるアイデアが盛りだくさんです。コロンボ警部は若々しく、いわゆる「よれよれ刑事」のキャラクターは確立していません。しかしながらこれをベストに挙げるファンもいるほど評価の高い作品です。

2話「死者の身代金」
殺人動機もなかなか見えて来ないし、誘拐を装い展開してゆくという興味深い作品です。が、コロンボ作品としては、まだ熟成前の作品だという印象です。「死者の身代金」が決め手となるラストは素晴らしいです。

3話「構想の死角」
スピルバーグ監督作品ということで、作品自体は素晴らしいのですが、決め手が弱かったです。犯人のプライドを逆手にとって攻める手法は、アリだと思いますが、やはりスカっとした決着が傑作の条件ではないかと思います。
 
加筆:2015年12月4日

あと一歩かな‥秀作。

10話「黒のエチュード」
もっと評価すべき作品なのかもしれません。が、証拠は「落ちたバラですよ~」と分かり易く見せておいて、他の視点に見るものの興味を移してしまっていることが惜しいです。美しい作品であることには変わりないですが。
 
11話「悪の温室」
これも素晴らしい作品です。犯人役レイ・ミランドが演じたジャービス・グッドウィンのキャラクターも強烈でした。ただ全体に「暗い不気味なイメージ」が漂い、何度も見たくなる作品とは思えません。
 
12話「アリバイのダイヤル」
非常に面白い作品で、スケール感も抜群です。もちろんロバート・カルプの演技も凄いです。が、殺害動機がスッキリしないことが唯一のマイナスポイント。ラストシーンは傑作レベルに匹敵します。
 
18話「毒のある花」
よく練られた作品で、刑事コロンボの醍醐味も十分味わえます。が「しわの消える魔法の薬」の完成という、大き過ぎるテーマが、若干の違和感を感じさせました。また、思ったより人気が低い作品であることも興味深いです。

52話「完全犯罪の誤算」
旧シリーズの秀作、20話「野望の果て」を彷彿とさせる政界もの。結末の決め手が物足りないものの、パトリック・マクグーハン演じるオスカー・フィンチは抜群で、新シリーズ出来の良い作品だと思います。

▼佳作選へ続く