- 「ぼろんこの傑作選」に選ばれています。
- マーク・ハルプリン「キャデラック・フリートウッド・エルドラド・コンバーチブル」
ギャンブル好きが命取り…ロス警察ハルプリン次長
財産目当てに妻を殺害するロス警察の上司マーク・ハルプリン次長のキャラクターが素晴らしい。殺人動機が弱いとも感じるが、夫婦仲は良くない状況が続いていたと思われます。しかしながら隣の2軒で連続殺人が起きれば、相当厳しく捜査されるのが予想される中で、よく夫人殺害という犯行に及んだと感心します。自分の現在の地位・名誉を全て失うだけの価値がある殺人だったということです。ズバリ財産目当てですね。
隣人のヒュー・コールドウェル

見どころが満載の作品

邦題は「けんりょくのぼけつ」?
読みの問題。「はかあな」ではなく「ぼけつ」が正解だと思われます。NHKのアナウンサーが番組紹介でそのように読んでいました。この作品はWikipedia「刑事コロンボ」の代表的な画像としても登場しています。
シロとクロを嗅ぎ分ける嗅覚
他の作品でも感じますが、コロンボ警部の嗅覚は凄いです。このお話の場合、まず疑うべきは夫のコールドウェル。次に連続窃盗犯も有力に思えます。しかし、コールドウェルは証言の些細な部分からシロと判定。連続窃盗犯も「窃盗」の容疑者を狭めつつ、殺人ではシロと判定し、本題の事件解決の協力者へと導きます。このような鋭い嗅覚が身に付けば、我々の仕事にも役立つと思うのですが…。
「チャンスを得た」は、大きな勘違い
ハルプリン次長が署内でコロンボから前科者のリストを見せてもらうシーン。思いがけず決定的に有利な情報を得て、濡れ衣工作を思いつくのですが、それもコロンボ警部の仕組んだ罠だという展開は素晴らしいですね。あくまでも次長の命令に従っているだけの行動に見せています。まかれた餌にまんまと食いつかせたわけです。
シリーズ中、最も爽快なラストシーンの一つ
前科者アーティに殺人の罪をなすりつけ、その仕上げ工作の最中に自分が真犯人だということを「自らの行動で証明」してしまう場面。罪を被せられそうになるアーティの自宅(実はコロンボの部屋)で、「あなたが奥さんを殺したんです」とコロンボ警部に告げられるまで、一所懸命に証拠品を探しているハルプリン次長の必死の形相は傑作です。警察権力に対して、一石を投じたと言わんばかりの爽快なラストシーンでした。
リチャード・カイリーのハルプリン次長

おそらくキャリア・エリートの設定で、現場バリバリのコロンボ警部の評判を良く知らなかったのでしょう。経験不足から、指紋の指摘に始まる失言を連発し、墓穴を掘ってしまいます。報告書を提出しろ!と、何度も催促するのも役人根性の表れで、笑えました。コロンボの「突っ込み」に、たじたじの様子が可愛く描かれています。
日本語版は北村和夫さん
北村和夫さんは俳優としてのお仕事がメインで、吹き替えは多くないようです。その中でも刑事コロンボではこの「権力の墓穴:リチャード・カイリー:ハルプリン次長」と「迷子の兵隊:ステファン・エリオット:パジェット将軍」を担当されました。
ヴァル・アヴェリー

妻のテルマ

ダフィ警部
高級住宅地「ベル・エア」地区
ベル・エア地区はハルプリン次長と友人ヒュー・コールドウェルらの家がある閑静な高級住宅街。コロンボ警部が「プジョー403」でバック運転していましたね。それに対しアーティの偽造アパートは、下町にあります。ロス市警からほど近く捜査しやすい‥という狙いもあったでしょうか。
野望の果てとの共通点
この「権力の墓穴」は20話の「野望の果て」と何か共通するテイストを感じます。その最大の理由は「音楽」でしょう。エピソードのテーマ曲とも呼べる「 不気味な雰囲気のホルンのメロディー」はとても印象的な音楽です。その他にもう1曲、隠し味の曲があります。ハルプリンとコードウェルが会うクラブのバーで流れるピアノ曲。これは「野望の果て」で夫人の誕生パーティで女性がピアノの生演奏をしている曲と同じ曲なんです。
クラブのマネージャー

クラブのバーテンダー
宝石商ウェクスラー

ウェクスラー宝石店の女性

ジャニスのボーイフレンド

ランドール刑事

ドイル刑事

マクマレイ検視官

アルマ・ベルトラン

バーニー・クビー

監督:ベン・ギャザラ
脚本:ピーター・S・フィッシャー
音楽:ディック・デ・ベネディクティス
マーク・ハルプリン:リチャード・カイリー(声:北村和夫)
ヒュー・コールドウェル:マイケル・マクガイア(声:山本勝)
アーティ・ジェサップ:ヴァル・アヴェリー(声:金井大)
ダフィ警部:ジョン・フィネガン
テルマ・ジェサップ:エレノア・ズィー
マーガレット・ハルプリン:ローズマリー・マーフィー(声:白坂道子)
ランドール刑事:ベン・モリノ(声:岡部政明)
ドイル刑事:ビクター・カンポス
マクマレイ検視官:ジョシュア・ブライアント
刑事:ロバート・バッキンガム
ウェクスラー:エリック・クリスマス(声:杉田俊也)
宝石店の女性:アーリーン・マーテル
チャーリー・ショープ:ジョン・カルビン
クラブのバーテンダー:ベン・フロマー
クラブの客:ダイアン・ターレイ・トラヴィス
クラブの客:コスモ・サルド
コールドウェル家のメイド:アルマ・ベルトラン
葬儀屋:バーニー・クビー
下町のバーテンダー:マイク・ラリー
加筆:2024年9月3日
30年近く前にビデオで見たという記録はあるものの、記憶にはほとんどなく、ほぼ初見でしたが、意外な犯人といい、コロンボのトリックといい噂通りの傑作ですね。
ダフィ警部が、お互い信頼している同僚という感じがしていていいです。やり取りからすると同格だと思うのですが、コロンボはあんな個室持ってなさそう(似合わなさそう)。小うるさい上司(次長ではない)、信頼できる同僚、個性的な部下が定番的に出てきても良かったのではないかと。そうでないのがコロンボの特徴の一つなので難しいところ。ダフィ警部は強盗課なので出番はあまり作れませんが。
ところで、不明だったのが、偽造ダイヤの指輪の意味。コロンボは「なんで盗られなかったんだろう」と疑問に思ったようですが、ダフィ警部も宝石商も泥棒もほぼ一目でガラスと見破っており、専門外のコロンボが分からなかったのは仕方ないとして終盤まで引っ張るネタでもないような。
あと、クライマックスで「108号の鍵を持ってこい」とあるのですが、ドアには「13」とあるし、英語字幕だと「 Bring the keys up, please」で「鍵束」とでも訳せて特に部屋番号は言ってない。翻訳ミス?
初めて投稿します。
今回はダフィ警部がコロンボとたくさん絡みがあって、楽しい回でした。
ハルプリン次長宅での事件現場の浴槽を調べている時、
コロンボ「やつらは 腹ぺこの野良猫と同じだよ。」
ダフィ警部「世の中 常識は通らなくなってるんだとさ。
野良猫も変わるさ。」
このやりとりがなんか刑事らしいものに聞こえてきます。
その後、コロンボがアーティと下町のバーでのやりとりで
アーティ「おれは シャムネコが無性に おっかねえ。
だが あの犯人は おれには そのシャムネコよか
おっかねえなあ。」
と、野良猫から見た裕福な家で飼われているシャムネコにかけてるんでしょうね。
元の英語が私のレベルでは、実際に野良猫、シャムネコと言っているのか
よくわからないので、もしこれが日本語訳の演出だったら当時の吹き替えは
とてもセンスがあるなと思いました。
あと、NHK BS4Kでの字幕ではダフィ警部の部屋にコロンボが来る直然のシーンで
(ドレイ)「フランキー・ベールの足取りを追ってみろ。」
(ランド)「はい。」
となっていて、これはNHKのミスかなあと思うのですが‥
直後、コロンボとダフィ警部が入っていく部屋の上にあるネームプレートには
(LT. PAUL DUFFY)とあるので、「ポール ダフィ」が氏名だと思われます。
時代も進み、ハイビジョンで尚且つ録画で一時停止までできる世の中。
こんなアラを探さなくてもとも思うのですが(笑)
おそらく幼稚園くらいの時から親と一緒に見てから40数年。
それでも刑事コロンボは今見ても、最高の海外ドラマだと思います。