メルセデス・ベンツ

Mercedes Benz

メルセデス・ベンツはドイツを代表する高級車ブランドです。刑事コロンボでも多くの犯人たちが所有しています。

6話「二枚のドガの絵」のデイル・キングストンが乗るのはメルセデス・ベンツ・300B・アデナウアーです。1955年式だということで私がイメージする70年代風のメルセデス・ベンツとは異なる風貌です。

デイル・キングストンのメルセデス・ベンツデイル・キングストンのメルセデス・ベンツ6a6b
3話「構想の死角」のケン・フランクリン、9話「パイルD-3の壁」のエリオット・マーカム。この2台のそっくりなメルセデス・ベンツ(シルバー、2ドア、コンバーチブル)、(3)は1968年式、(10)は1969年式で同車ではないそうです。(真偽は調査中です)
ケンフランクリンのメルセデス・ベンツエリオット・マーカムのメルセデス・ベンツ310

15話「溶ける糸」のバリー・メイフィールド医師もメルセデス・ベンツを所有しています。これも1968年式らしいのですが別モデルで4ドアの硬い屋根となっています。60年代後半のメルセデス・ベンツはこうした「縦並び」のヘッドライトです。

メイフィールド医師のメルセデス・ベンツ15

30話「ビデオテープの証言」ハロルド・ヴァンウィック、31話「5時30分の目撃者」のマーク・コリアーは共に1972年式の450SL。ですが(30)はコンバーチブル、(31手前)はクーペ(硬い屋根)です。450SLは二人乗りのスポーティなモデルで、ボーデン博士のシボレー・モンテカルロ(31奥)と比較するとその小ささがわかります。
ハロルド・ヴァンウィックのメルセデス・ベンツマーク・コリアーのメルセデス・ベンツ3031
37話「さらば提督」チャーリー・クレイのメルセデス・ベンツ、43話「秒読みの殺人」のケイ・フリーストンにプレゼントされたメルセデス・ベンツは共に1975年式の450SLで2ドアです。
チャーリー・クレイのメルセデス・ベンツケイ・フリーストンのメルセデス・ベンツ3743

40話「殺しの序曲」のオリバー・ブラントのメルセデス・ベンツは1974年式350SEで4ドアです。70年代のメルセデス・ベンツに乗った犯人は大金持ちという雰囲気ではありません。

オリバー・ブラントのメルセデス・ベンツ40

53話「かみさんよ、安らかに」のビビアン・ドミートリーは1988年式の真っ赤なメルセデス・ベンツ560SL。57話「犯罪警報」のウェイド・アンダースのメルセデス・ベンツは1986年式560SECでクーペでヘッドタイトは角目、塗装は特注のスモークド・シルバー(本人談)です。
ビビアン・ドミートリーのメルセデス・ベンツウェイド・アンダースのメルセデス・ベンツ5357
58話「影なき殺人者」ヒュー・クライトンのメルセデス・ベンツ、63話「4時02分の銃声」のフィールディング・チェイスのメルセデス・ベンツ、共に1990年式の500SLでコンバーチブルです。
ヒュー・クライトンのメルセデス・ベンツフィールディング・チェイスのメルセデス・ベンツ5863

*記事は書きかけ・研究中です。誤りや気付き等はコメント欄にお書きください。
投稿:2024年4月9日

3話「構想の死角」

Murder by the Book / 1971

カメラワークやライティングがスピルバーグ的?

演出が若き日のスピルバーグ監督というのは有名ですね。絵作りという着眼点で見ると、他の作品と大きな違いを感じます。まずは、構図の大胆さです。俳優同士の顔がくっつきそうになる程、近くで会話していたり、女優の横顔のシルエットでその場面を深く印象づけたりしています。全体的に画面が暗めなのも特長だと思います。特に夜のシーンでは、不気味な程に室内を暗くし、手前の人物の影が話し相手に重なって不気味な効果を出しています。

やはりこのカメラワークやライティング(照明)は、この1回きりで良かった…とも感じます。そこばっかり気になってしまい、本筋がおろそかになっているように見えてきます。

書けない作家ケン・フランクリン

マーティン・ミルナー犯人の作家ケン・フランクリン(ジャック・キャシディ)が共著の相棒作家、ジム・フェリス(マーティン・ミルナー)を殺害。動機は、ジムがケンとのコンビ解消を言い出したことにあります。実はケンは小説が全く書けないのです。

人気小説「メルビル夫人」シリーズ

メルビル夫人これまでに発表した人気小説「メルビル夫人」シリーズは、すべてが相棒のジムによる作品だというのです。私はものを創る立場なので、このような生き方は理解し難いですね。小説が書けない作家を演じ続けるより、1作でも優れた小説を書く努力をすべきだった。

ウソが本当に思えてくる

リネット・メッティこの事件の背景には「ウソをつき続けていると、そのうち本当になってしまう」という教訓が見えてきました。ケンは主に、インタビューやPRを引き受け、賞賛を浴びているうちに、いつしか「自分が本物の作家である」と思い込むようになったのかも。(写真は美人インタビュアー:リネット・メッティ)

ジャック・キャシディ

ジャック・キャシディ本作「構想の死角」のゲスト俳優ジャック・キャシディは、22話「第三の終章」36話「魔術師の幻想」でも犯人役を演じていて、刑事コロンボシリーズでロバート・カルプと並ぶ最重要人物の一人です。

バーバラ・コルビーは迫真の演技

バーバラ・コルビー第二殺人の被害者ラサンカ夫人(バーバラ・コルビー)は迫真の演技でした。この後のコロンボ作品にも、犯行を見破る→恐喝→殺される という人が多く出て来ます。やはり金は人生を豊かにするものと考えてしまうのでしょうね。15000ドルとは当時の日本円でたったの540万円相当(2021年では約1,700万円弱)‥。それで命を落としたわけです。

ここ一番でセクシーなラサンカ夫人

バーバラ・コルビーケン・フランクリンを店に招いた夜(命を落とした夜)、彼女は昼はレモンイエローの服だったのですが、夜はセクシーな赤のドレスに着替えています。やっぱり相当舞い上がっていたと思われます。

ジムの奥様ジョアンナ

ローズマリー・フォーサイス被害者ジムの妻ジョアンナはローズマリー・フォーサイス。派手な感じの女性ではなく、真面目で堅実な男性に惹かれるタイプなのでしょう。ジムとの馴れ初めを回想するシーンなど、良い感じですね。

劇場でケンと一緒にいた美女

アニトラ・フォード劇場で連れていたスーパーモデル並みの美女はアニトラ・フォード。この後お食事もご一緒のはずだったのに、ラサンカ夫人に阻まれてしまいました。ところで彼女が着ていたドレスは、2話「死者の身代金」のレスリーが自宅で着ていたナイトドレスと同じです!(2024年ブログゲストさん情報)

ケンの家の家政婦

エリザベス・ハロワーケンはプレイボーイですが、自宅の家政婦さんは地味なおばさんだという賢明さも持っています。(笑)この女優さんは「エリザベス・ハロワー」で後の10話「黒のエチュード」の南カリフォルニア楽団の理事の役で再登場します。

バーニー・クビー

バーニー・クビー気のいい感じの生命保険屋のマイク・タッカーは、俳優バーニー・クビー。この人は25話「権力の墓穴」のジャニス・コールドウェルの葬儀屋「明朝8時半までは、閉めさせていただきます」の人と同一人物です。

ホット・ドッグの屋台

バーニー・クビーそれは良いのですけれど、生命保険屋がこのコロンボ警部とホット・ドッグの屋台で会うシーンで、「屋台がけっこうリアルなホットッ・ドッグの形をしている」のが面白いです。

取調室の警官

マーク・ラッセルラストシーンのケンのオフィスで彼を連行する警官警官はエキストラ俳優の「マーク・ラッセル」で1話「殺人処方箋」でトミーの取調室の警官、4話「指輪の爪あと」ではブリマーの部下の探偵役で登場しています。目立った仕事は一度もないのに、名前がクレジットされている俳優さんです。

邦題の「構想の死角」について

仕事柄(笑)毎晩のようにネットでコロンボ情報を調べているわけですが、「高層の死角」という森村誠一さんの推理小説が存在します。1969年に出版されました。この「構想の死角」の2年前です。第15回江戸川乱歩賞も受賞している有名な小説です。何か関連性があるのかな…。

**これより数行は妄想的加筆:2021年2月

深く考えてみると、とても面白い。

決着の付け方に「スカっとした切れ味」がなかったというご意見が多いです。コロンボから第二殺人のお粗末さを指摘されたケンは、第一殺人の優れたアイデアも自分によるものであると主張し引き換えに罪を認めました。これは見ての通り。

ジムの「見逃し」と「うろ覚え」。

ジムは作家としての推理力に非常に長けています。冒頭シーンで銃を構えたケンを見て「手袋」「引金」「空のシリンダー」などを一目で見極めました。なのに殺された時は「手袋をしている」「ソファの上に不自然なビニール」などを見逃しています。しかも車中で「なんだか嫌な気分だな、昔ここらに来たような‥」とも言っていて、どうやら以前ケンから聞かされた殺害方法のヒントを思い出した様子でした。

さて、ジョアンナも初動捜査で警察が来た時に「主人が書いた小説でこのようなトリックがあった」と言っていますが、実際には小説には採用されていません。でもジョアンナやジムの頭にはケンのアイデアの記憶が薄っすら残っていました。

印刷物はコロンボが捏造した証拠?

コロンボは解決シーンで、裏面に第一殺人のトリックがズバリ書かれた印刷物を取り出し、「メルビル夫人用完全犯罪のトリック」として文面を読み上げます。でもこれは今日、オフィスでコロンボが発見したとは考えにくいです。警察が初動捜査で見逃すとは思えません。これはコロンボが書いた偽の証拠かのかも‥。

この殺人劇こそ、ケンが書き上げた傑作。

そしてもしも、これがジム本人が書いたのなら、彼は殺される直前に気づくはず。ケンが5年前に考えた本当のアイデアとは「ジャックとジルは山へ行き、一人は死体で戻る。さてそのトリックは‥」程度の、そう、割と稚拙なアイデア書きで、肝心のトリックは思いつかなかったのかも。それに対し今回の第一殺人のアイデアやトリックは、紛れもなくケンが書き上げた最高傑作だったかもしれません。

掟破りの‥セリフ添削。

ぼろんこがケン・フランクリンのセリフを少し書き換えてみます。コロンボが印刷物のメモを読み上げ、それを止めたケン「そりゃデタラメだよ。それはジムが書いたものじゃない。初めの殺人トリックは、確かに僕がジムを殺すために考えたものだ。どうだね?傑作だろ。僕にだってメルビル夫人は書けるのさ。」THE END.

**2021年の加筆ここまで

ケン・フランクリン邸はエリック・ワーグナー邸

ケン・フランクリン邸は12話「アリバイのダイヤル」のエリック・ワーグナー邸としても登場します。(スタール邸だと勘違いしていましたが別の家でした)
エアオールウェイの豪邸

エリック・ワーグナー邸

監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:スティーブン・ボチコ

ケン・フランクリン:ジャック・キャシディ(声:田口計
リリー・ラ・サンカ:バーバラ・コルビー(声:林洋子)
ジム・フェリス:マーティン・ミルナー(声:堀勝之祐)
ジョアンナ:ローズマリー・フォーサイス(声:野口ふみえ)
生命保険屋:バーニー・クビー
劇場の女性:アニトラ・フォード
劇場の婦人:エセルレッド・レオポルド
劇場の老婦人:レオダ・リチャーズ
レポーター:リネット・メティ
運送屋:ジャック・グリフィン
家政婦:エリザベス・ハロワー
警察官:マーク・ラッセル

加筆:2024年11月4日

刑事コロンボマップ

57話「犯罪警報」

Caution: Murder Can Be Hazardous to Your Health / 1991

千両役者:帰ってきたジョージ・ハミルトン

ジョージ・ハミルトン
人気司会者のウェイド・アンダースが同業者のバド・クラークを殺害。犯人がテレビ業界の有名人、被害者が犯人の過去を知って脅迫、追いつめられた犯人が殺害といった王道のど真ん中をゆく作品。しかも、犯人役には「ジョージ・ハミルトン」を起用。ということで、背景は文句なしです。

原題と邦題

原題の「Caution: Murder Can Be Hazardous to Your Health」は、タバコのパッケージ側面に書かれた(一般的な)注意書き「Caution: Cigarette Smoking May Be Hazardous to Your Health」を文字っています。この「警告:喫煙は健康に害を及ぼす可能性があります」の「Cigarette Smoking May」を「Murder Can」に置き換えているのです。要するに「警告:殺人は健康に害を及ぼす可能性があります」MayをCanにしたのは、少し語気を強めたのか?何か意味がありそうですね。ですので番組名(邦題)の「犯罪警報」にもつながるニュアンスんですね。私は呼びやすい「犯罪警報」の邦題が気に入っています。

大文字と小文字

刑事コロンボの原題はすべて「大文字」なのはご存知の通り。ですので「CAUTION: MURDER CAN BE HAZARDOUS TO YOUR HEALTH」となります。バド・クラークはこの「オールキャップス」スタイルでタイトルを打っていました。それに対し、ウェイド・アンダースは(ほぼ)全ての単語の頭を大文字にする「タイトルケース」を好みました。これは「タバコの注意書き」と同じ手法だという皮肉もあるのでしょうか?

犯行トリックに関しては、全然駄目でした~

自分が刑事でも「吸い殻の不自然さ」は見逃しませんね。犯人のアンダースは、死に至った被害者クラークに対し「だからタバコはやめろと言ったんだ」的な台詞を吐きますが、実は「タバコの知識に疎いくせにタバコを殺人に利用した」ことが命取りだったというオチですね。
特に印象的なのがコロンボ警部から「ニコチンのシミがフィルターについていない(つまり煙草を吸わない人による工作)の怪」を指摘されるシーンでの顔。半開きの眼で自らのミスを後悔する表情はとても良いです。

ダンディな犯人とヨレヨレ刑事の対比

ウェイド・アンダースの紳士ぶりとコロンボ警部の身なりの対比も面白いです。これは旧作20話「野望の果て」で、上院議員候補ヘイワード氏とのシーンを思い出させます。

バド・クラークの逆襲

ピーター・ハスケル殺害されるバド・クラーク役のピーター・ハスケルは好きでした。「まだタバコを吸っているのか?」とアンダースから忠告され「スハ~~~~」って彼の顔に煙を吐きかけて返事をするあたり、なかなかの態度。そのくせ、死ぬ間際に「く苦しい、たすけて~」とアンダースに頼むあたりも憎い。

恥ずかしい過去は、いつかバレたような気も…

ポルノ映画に出ていたことで脅迫される犯人ですが、ビデオ屋の主人もその事実を知っているので、クラークの口を封じでも、やがて明るみになったでしょうね。もう少し頑張ってくれたら、初期作品に匹敵するほど好きになれたと思います。

ジョージ・ハミルトンジョージ・ハミルトンは1974年の31話「5時30分の目撃者」に続く2度目の犯人役。旧作・新作で何れも犯人役を演じたのは、「パトリック・マクグーハン」「ウィリアム・シャトナー」と、この「ジョージ・ハミルトン」の3人のみ。

初期作品風の見所が多い作品

冒頭の劇中劇シーンは、コロンボの物語の一部だと錯覚させる仕掛け。14話の「偶像のレクイエム」を思い出しました。パソコンの出力用紙の指紋に対する発見は、10話「黒のエチュード」のタイプ用紙の一件を思い出しました。監視録画は30話「ビデオテープの証言」。そういう意味では、初期作品を思わせるような見所が多いです。

テレビ局はKRVA 3

Ocean Side East Cafe56

Ocean Side East Cafe57

犯罪警報のテレビ局は「KRVA 3」です。これは56話の「殺人講義」でラスク教授の殺害シーンを放送したテレビ局と同じです。また、59話「大当たりの死」で「ロト番組」が始まる直前にチラッと映る、3チャンネルのニュース番組もこの「KRVA 3」です。

ディレクター「マキシーン」

ペニー・ジョンソン・ジェラルド犯罪警報の女性誌レクター「マキシーン・ジャレット」は、女優ペニー・ジョンソン・ジェラルド。かなり多数のテレビドラマ等に出演しているようで、今後の調査対象です。

KRVA 3の女性社員

マリー・チャンバースKRVA 3の女性社員リサは女優マリー・チャンバース。スラっとした感じの女性で、ちょっと49話「迷子の兵隊」の「ジャネット・エイルバー」に似た雰囲気でした。

インタビュアの東洋系女性

エミリー・クロダアンダース氏にインタビューする東洋系女性リンダは、エミリー・クロダ。その名の通り日系の女優さんのようです。この方も数々のドラマ作品等に出演されています。

検死医のジョージ

スティーヴン・ギルボーン検死医のジョージ・ジョンソン先生(俳優:スティーヴン・ギルボーン)も再登場。鼻メガネの表情がとても印象的で大好きな俳優さんです。

監督:ダリル・デューク
脚本:ソニア・ウルフ・パトリシア・フォード・エイプリル・レイネル
音楽:ジョン・カカヴァス

ウェイド・アンダース:ジョージ・ハミルトン(声:小林勝彦)
バド・クラーク:ピーター・ハスケル(声:麦人)
マキシーン:ペニー・ジョンソン・ジェラルド(声:高乃麗)
検死医ジョージ:スティーヴン・ギルボーン
リサ:マリー・チャンバース
リンダ:エミリー・クロダ
 
加筆:2023年12月17日