13話「ロンドンの傘」

Dagger of the Mind / 1972

往年の人気舞台俳優、ニックとリリアン夫妻は業界に君臨するプロデューサーのサー・ロジャーを死なせてしまう。それをロンドン視察旅行中のコロンボが解決するというお話。

意外と人気が高い作品…

海外ロケということもあり「ハメを外した」作品と言えるかも知れません。が、何度も見返すと、作品の持った心地よい雰囲気を理解できるようになります。この「ロンドンの傘」は私の個人的な評価よりもはるかに人気の高い作品で、ぼろんこ独自調査の人気ランク8位に入っています。(2015年4月現在)→人気作品ランキング

犯人の俳優夫妻

リチャード・ベイスハート犯人の舞台俳優夫妻「ニコラス・フレイム:リチャード・ベイスハート」「リリアン・スタンホープ:オナー・ブラックマン」のコンビは、落ちぶれた俳優役ですが、息の合ったお笑いコンビのようにも見え、可愛かったです。劇中の台詞は、題材のマクベスをヒントにしたものが多く、この作品をより一層楽しいものにしています。嫁のリリアンは、有名な女優の割には「劇中の芝居がクサい」ですね、これも面白い演出です。

大草原の小さな家

リチャード・ベイスハートこのリチャード・ベイスハートは、テレビドラマシリーズ:大草原の小さな家の「暗い教室」という作品で、アップルウッド先生役で登場しています。厳しくて陰険な先生役を名演しています。

自白したのはニコラスではなく、リリアン。

オナー・ブラックマンラストシーンでは一見、夫のニコラスが自白したと錯覚するが、実は何もしゃべってはいません。気が変になった彼を見て、妻のリリアンが「事故だった、馬鹿なことをした」と自白してしまいました。しかし…事故では済まされません、口封じに執事タナーを殺害しています。

コロンボ警部は、証拠をねつ造!

ロナルド・ロング刑事コロンボシリーズの中で、よくある解決方法で「証拠を作ってしまう」というのがあります。これは犯人自身に「証拠を作らせる」「決定的な行動を引き出す」ことが美学であると捉えますが、今回は明らかにコロンボ警部が「証拠をねつ造」しました!ダーク刑事部長の「やったな!」という印象的な台詞で幕を閉じます。

さて、この「証拠ねつ造」ですが、実は蝋人形館のジョーンズ(ロナルド・ロング)も一役買っている気がしますが、いかがでしょうか? ラスト直前のシーンでのジョーンズの仕草は、何か不自然でそわそわしています。サー・ロジャーの人形の腕に展示された傘は「綺麗に巻かれて」いませんしね。これはコロンボに頼まれて、そうしたのでは?

サー・ロジャー・ハビシャム:ジョン・ウィリアムズ

ジョン・ウィリアムズ被害者のサー・ロジャー・ハビシャムは俳優ジョン・ウィリアムズ。同名の作曲家も有名ですね(スター・ウォーズetc.)。俳優ジョン・ウィリアムズは映画「ダイヤルMを廻せ!」で、かの「レイ・ミランド」とも共演しています。

ウィルフリッド・ハイド=ホワイトが素敵

ウィルフリッド・ハイド=ホワイトそのサー・ロジャーの執事:タナー(ウィルフリッド・ハイド=ホワイト)は素晴らしかったです。イギリス紳士とはかくあるもの…という品格。しかし従順のようで「したたか」。彼の台詞まわしは見事です。ハイド=ホワイトはこの後37話「さらば提督」にも出演します。

バーナード・フォックス

バーナード・フォックスロンドン警視庁(スコットランドヤード)のダーク刑事部長(バーナード・フォックス)はイギリス出身の俳優さんで、29話「歌声の消えた海」で客船のパーサー:ワトキンス役で出演しています。「ボートではなく汽船で…」が口癖の乗務員ですね。ダーク刑事部長は51話「だまされたコロンボ」で名前だけ再登場しています。

奥様は魔女の「ドクター・ボンベイ」

ドクター・ボンベイこのバーナード・フォックスは、ほぼ同時代のTVドラマ「奥様は魔女」の魔女専門の医者である「ドクター・ボンベイ」を演じています。

小池朝雄さんは、もの凄く声が枯れていた。

本題には関係ないことですが、今回の小池朝雄さんは、すごい声でした。お風邪を召されていたか、また 一説によると舞台のお仕事で喉を痛めたとか‥。ただし後半でコロンボ警部自身も「どうも今日は『のど』がね‥」と、せきばらいをしました。偶然?ピーター・フォークも喉の調子が悪かったのか。小池さんのかすれた声は、これに調子を合わせるための演技だという説もありますが、本当かな(笑)。

岸田今日子さんが素敵。

リリアン・スタンホープの吹き替えはムーミンなどでもお馴染みの女優:岸田今日子さん。岸田さん亡き今、このロンドンの傘を見るたびに、この素晴らしい声色と台詞まわしで、彼女を感じることができます。時にはオナー・ブラックマンが岸田さんに見えてくるのです。

空港でスリと間違われる。

ジョン・フレイザーロンドン空港に到着したコロンボ警部は、自分の旅行カバンを見失います。このカバンがカミさんのもので、おそらく凄い花模様で派手な紫色。その後、迎えに来てくれたロンドン警視庁のオキーフ刑事(ジョン・フレイザー)と無事出会えますが、この時の握手はまるで腕がちぎれんばかりの勢いで、笑えます。

劇団のミス・ダドリー

シャロン・ヨハンセン劇団のスタッフ(稽古中にメモをとる、葬儀で泣いている)の女性「ミス・ダドリー」は女優シャロン・ヨハンセンで、18話「毒のある花」のマーチソン博士の場面で登場するマッサージ師の金髪の女性「オルガ」と同一だと思われます。

楽屋番のフェンウィック

アーサー・マレット楽屋番のフェンウィックは俳優アーサー・マレット。様々な場面で、ニックとリリアン夫妻の犯罪隠蔽の邪魔(わざとではない)をします。自分のことを「あっし」と呼び、たまにはマクベスのセリフを引用して答えたりと、面白いキャラでした。このフェンウィックは割と短気で、つむじ曲がりな感じもしましたね。

ウォーカー・エドミストン

ウォーカー・エドミストンこれまた、どうでも良いほど些細な場面で、サー・ロジャーの車を洗車していた「ウォーカー・エドミストン」なる俳優さんです。タナーの爺さんがうるさいんで、毎日車を洗うと答えている人です。エドミストンはこの後の名作19話「別れのワイン」で、ワインのオークションを仕切る役で再登場します。

LAのジャズの店と、ロンドンの蝋人形館が同一!

10話「黒のエチュード」で容疑をかけられるポールが演奏するLAのジャズの店と、13話「ロンドンの傘」の蝋人形館は同じ場所です。大胆な演出ですよね!(ブログゲストさんの発見でした)

LAのジャズの店ロンドンの蝋人形館1013

リリアンはボンドガール

オナー・ブラックマンご存知だと思いますがリリアンを演じたオナー・ブラックマンは「ボンドガール」です。映画「007 ゴールドフィンガー」のプッシー・ガロア役でショーン・コネリーと共演しています。美しいですね!

監督:リチャード・クワイン
脚本:ジャクソン・ギリス

ニコラス・フレイム:リチャード・ベイスハート(声:高橋昌也)
リリアン・スタンホープ:オナー・ブラックマン(声:岸田今日子)
サー・ロジャー・ハビシャム:ジョン・ウィリアムズ(声:辻村真人)
執事タナー:ウィルフリッド・ハイド=ホワイト(声:松村彦次郎)
ウィリアム・ダーク犯罪捜査局刑事部長:バーナード・フォックス(声:西田昭市)
オキーフ刑事:ジョン・フレイザー(声:納谷六朗
ジョー・フェンウィック:アーサー・マレット(声:矢田稔
ジョーンズ:ロナルド・ロング(声:西尾徳)
ミス・ダドリー:シャロン・ヨハンセン
地元の巡査:ジョン・オーチャード
メイド:ヴェロニカ・アンダーソン
空港の女性:キャスリン・ジャンセン
葬儀参列者:レン・フェルバー
パーティ客:エセルレッド・レオポルド

加筆:2021年12月19日

14話「偶像のレクイエム」

Requiem for a Falling Star / 1973

往年の大女優であるノーラ・チャンドラーが長年パートナーとして秘書を務めたジーン・デービスを車ごと爆破して殺害。

シリーズきっての大スター役

アン・バクスター原題を私風に直訳すると「落ち目スターの葬送曲」となり、邦題よりもストーリーを素直に言い表す言葉になります。偶像のレクイエムは、今ひとつ…絵が浮かばない邦題かもしれません。子役時代から一世を風靡し、映画界に君臨して来た銀幕の女王で、刑事コロンボのゲストスターが演じる犯人役の中でも、格別のスター度だと認識した方が良いかも知れません。コロンボ警部も劇中で何度か家に電話して「自分が今、どこにいるか?わかるか?ノーラ・チャンドラーのバンガローだよ」と、自慢気でした。→偶像のレクイエムのロケ現場(PC)

フランク・ロイド・ライトの孫娘

また、調べているうちにわかったのですが、アン・バクスターの祖父(母の父)は、有名な建築家「フランク・ロイド・ライト」だということで、びっくり仰天ですね。

メル・ファーラーは凄いのだ

メル・ファーラーゴシップ記事作家のジェリー・パークスを演じた俳優「メル・ファーラー」は、何とあの大女優「オードリー・ヘプバーン」と14年間の結結婚生活を送っているのだ!本作の制作時期にはすでに離婚しています。それを知って、もう一度見てください。

過去の共演者の名前に驚くなかれ

十戒のアン・バクスター1956年公開の超有名な映画を2本紹介します。1本目は「十戒」。主演:チャールトン・ヘストン、共演:ユル・ブリンナー。アン・バクスターはラメセス2世(ユル・ブリンナー)の王妃「ネフレテリ」役として出演。やっぱ美しいです。そして、ラメセス2世の叔母「ベシア」は1話「殺人処方箋」のキャロル役「ニナ・フォック」、総督バッカは18話「毒のある花」のラング社長「ヴィンセント・プライス」、奴隷の監督デーサンは「エドワード・G・ロビンソン」!(コロンボが大好きだという俳優)
戦争と平和のメル・ファーラー2本目はトルストイの小説を映画化した「戦争と平和」。主人公ナターシャに「オードリー・ヘプバーン」、ピエールに「ヘンリー・フォンダ」、そしてアンドレイには「メル・ファーラー」という、とてつもないキャスティングですね。筆者はどちらも見ました!

本当は誰を殺したかったのか、分からない…

14話という初期作品なのですが、倒叙法(最初から犯人が分かっている)を原則としながらも「本当は誰を殺したかったのか、分からない…」という興味深いストリー展開となっています。おそらくこの作品を見た人の多くは、ゴシップ記事作家の「ジェリー・パークス」を殺そうとして誤って秘書を殺してしまった…と思ったでしょう。でも、もしそうであれば生き残ったパークスが「ノーラが自分を殺そうとしていた」と告発すれば、一気に容疑が固まるわけです。この二人の「くされ縁的な不利害関係」が前提として、物語は考えられていて、非常に「深い」ものを感じました。

大女優が演じ続けていたもの

その背景には「ノーラが12年前に当時の夫を殺してしまった」ことも隠れているので、話がさらに複雑になり、ちょっとボケちゃってるのかも。ただ単に「往年の大女優が誇りを守るために殺人を犯した」だけでも、充分ストーリー展開できる気がしました。12年前にすでに殺人を犯していて、その後何喰わぬ顔でスターを演じていた…大女優?というオチでしょうか。

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2020年に、久々に再見して‥

ピパ・スコットノーラは盗み聞きにより、今夜がパークスの誕生日で、秘書のジーン(ピパ・スコット)と一緒に過ごす約束を知っていた。「ドロシーを誘って音楽会(8時スタート)」は、ジーンの嘘だったのだ。(午後6時:まだ明るい)

今夜パークスは書店でのサイン会があり、その後ふたりは一緒に過ごすつもりだった。ジーンは約束ようにパーティの準備ができないことを、書店のパークスに伝えに行く。その隙にノーラはジーンの車のタイヤをパンクさせる。(午後8時少し前か:もうけっこう暗い!)

ケビン・マッカーシーパークス邸に着いたパークスの車を爆破(午後9時ちかいはず)事故が起きた後、警察がノーラの居場所をやっと突き止めて、レストランに現れた。エビの注文を変えたいくらいなので、まだ食事は始まって間もない。(午後10時ちかいはず)となると株主(フランク・シモンズ 演:ケビン・マッカーシー)との食事会のスタートが、遅すぎないですか?お店お雰囲気では7時台に感じますよね?

パークスの証言では本屋でジーンに会った点、まだお使いを何も済ませていなかった様子。このシーンがもっと明るかったら、良かったかもね!同じ夜の出来事とは思えない。

パークスの本屋

考えられるシナリオ‥

パークスとジーンの二人とも死んでもらわないと、リスキーな証人が残ってしまいます。先にジーンを殺す。パークスはずる賢いからノーラを犯人としてしまうより、もっと本格的に恐喝してくると踏んだ。(本当にはジーンを愛していないから)そして時期をずらして、パークスを殺す。

車が全部違う‥

ジーンの殺害に使った車が濃いグリーンメタリック(に見える)、ノーラの車が褐色のメタリック、パークスを跳ねた車がブルーメタリック(に見える)。

結局、考え出したら夜も眠れなくなりそうです(笑)

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愛車プジョーの汚れ方が尋常でない

セレブな犯人たちは、こぞってこの車を「ボロ車」と見下しますが、大女優:ノーラ・チャンドラーがこの「愛車プジョー・403コンバーチブル」に同乗したのは奇跡かもしれません。しかもこの時のボディの汚れ具合は尋常ではありません。どう見ても演出上、わざと汚しています(笑)

ジェフリー刑事

ウイリアム・ブライアントこの駐車場で事件当夜や車のことを説明する刑事は、ジェフリー巡査部長(ウイリアム・ブライアント)。この刑事さんは23話「愛情の計算」でフィールズ刑事とて再登場しています。名前は違うのですが同じようなキャラクターです。

ファロン所長

フランク・コンバース若くてかカッコ良い撮影所の所長ファロン氏は俳優:フランク・コンバース。この人なんだか、ロバート・カルプに似た雰囲気がありますよね。コロンボ警部と「お互いに似つかわしくない」と言い合う場面は可愛いです。

イーディス・ヘッドさん

イーディス・ヘッドイーディス・ヘッドは長年にわたり映画衣裳デザイナーの第一人者だった人。コメンテーターさんもご指摘の通り映画「イヴの総て」の衣装を担当したのがイーディス・ヘッドです。あらすじは往年の名女優マーゴ‥、ひょんなことから彼女に拾われた秘書のイヴがマーゴを踏み台にして女優として名声を得るという物語。なんとなく‥「偶像のレクイエム」にも通じる雰囲気ですね。

映画「イヴの総て」

イヴの総てのアン・バクスターマーゴ役の女優は「ベティ・デイヴィス」‥22話「第三の終章」でコロンボ警部が、カミさんと一緒に夜中までテレビ見て寝不足になった人です。そして「イヴ」役にアン・バクスター(写真:当時27歳で美しいですね)。そしてマーゴの友人として、39話「黄金のバックル」の美人姉「セレステ・ホルム」を見ることができます。コロンボファンにとって、大変興味深い映画だと思います。

Tクラブ会員とは?

Tクラブとはフリーメーソンの外郭団体「シュライン」を意味するそうです。

第2~第3シーズンの不思議なピアノ曲

YouTube「不思議なピアノ曲」刑事コロンボの第2~第3シーズン「黒のエチュード」「偶像のレクイエム」「絶たれた音」「毒のある花」などで多用された「不思議な雰囲気を持ったピアノ曲」を再現しています。音楽もお好きな方は、こちらもご覧ください。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

監督:リチャード・クワイン
脚本:ジャクソン・ギリス

ノーラ・チャンドラー:アン・バクスター(声:藤波京子)
ジェリー・パークス:メル・ファーラー(声:小山田宗徳)
ジーン・デービス:ピパ・スコット(声:牧野和子)
フランク・シモンズ:ケビン・マッカーシー(声:家弓家正
ファロン所長:フランク・コンバース(声:西山連)
イーディス・ヘッド:イーディス・ヘッド
ジェフリー刑事:ウイリアム・ブライアント(声:寺島幹夫
聴取される女性:ダイアン・ ターレイ・トラヴィス
撮影所の警備員:マイク・ラリー
撮影所の門番:ジャック・グリフィン
見物人:レン・フェルバー
見物人:トニー・レーガン

加筆:2020年8月2日

21話「意識の下の映像」

Double Exposure / 1973
ロバート・ミドルトン意識研究所所長で心理学者のバート・ケプル博士が、クライアントであるノリス氏(ロバート・ミドルトン)を殺害。この作品「サブリミナル効果」を扱った殺人事件として、当時は名称は知らなかったがかなり感動した記憶があります。写真は美味しそうにキャビアを食べるノリス氏。コロンボが食べ残したキャビアを食べた時の「うまいよ!」という小池朝雄さんの台詞も絶品でした。

大胆な殺害計画

30年前、最初にこの作品を見た当時は主演がロバート・カルプということも知らず、ただただ殺人のトリックに関心したものでした。特に印象的なのは、喉が渇いて廊下に出て来たノリス氏をビデオモニターで確認したケプルが「よし、しめた!」とドアを開けて、「おいノリス」ズドン!と撃つシーン。
でも深く考えてみますと「殺害現場」に第三者が現れる危険性も高く、かなりリスクのある計画でした。もちろん「塩気たっぷりのキャビア」が効いたのでしょうが、他の人も食べるかもしれないし。

ちょっと間抜けなロバート・カルプ

ロバート・カルプロバート・カルプの演技は4話「指輪の爪あと」よりは「憎たらしさ」が抑え気味で、間抜けにも感じました。ただ、どの出演作品よりも「計画性に富んだ殺人」で、その準備段階から緊張感が伝わってくる展開でした。

ロバート・カルプが毎回同じファッションをしている件

アリバイのダイヤルのロバート・カルプこれはかなり味の良いトリビアです。ゲストコメンテーターさんが発見してくれました。ロバート・カルプが犯人役を演じた3作品ですが、何といずれも「同じ服を着ているのです」。詳しくは→「ロバート・カルプが毎回同じファッションをしている件」をお読みください。

サブリミナル効果がテーマということで…

ジョージ・ワイナー決定的な結末「サブリミナル効果を使って、犯人を捕獲」したことは、もちろんこの作品の最大の見せ場です。実際にそこまで首尾よくことが運ぶかは別として、その発想が面白いですものね。写真は技師役の(ジョージ・ワイナー)。

カメラマンのデニス

ダニー・ゴールドマンカメラマンのデニス(ダニー・ゴールドマン)と二人でケプルの部屋に忍び込みます。そして「この1枚が効いた」という「コロンボ警部が電気スタンドを見ている」写真を撮影…。そのまま電気スタンドの中を探せば見つかったのにね‥とも思いますが、これは捜査令状なしで「見てるだけ」だそうです、やりますね!翌日ケプル逮捕の瞬間に「パチっ」とストロボを当てるのもデニス。良い仕事をしました!

電気スタンドを探せば見つかってたか?

初動捜査で、拳銃がたくさん展示してある彼の部屋をしっかり調べていれば、証拠の口径変換機が見つかったかも…と長年思っていました。しかしケプルの行動をよく見直しますと、口径変換機は電気スタンドの金具に(まるでその部品のように)すっぽりハマっていたのでしょう。だから一見「証拠が隠されている」とは気づきにくいかもしれませんね。

正直者を見分ける能力

ルイーズ・ラサム「呼び出されマグノリアの角に居た。一人だったのでアリバイはない…」というノリス夫人(ルイーズ・ラサム)の証言を信じるコロンボ警部。その理由は「犯人ならばもうちょっとマシなアリバイを考える」という。一方では、ノリス氏の浮気話をほのめかすケプル。こっちの方が怪しい…と睨んでいるわけです。

アルマ・ベルトラン

アルマ・ベルトランどうでも良いような発見ですが、ノリス家のメイドで、ノリス夫人と一緒に買い物か何かに出かける際に助手席に同乗している女性は、女優アルマ・ベルトラン。この人は25話「権力の墓穴」のコードウェル家のメイドと同一人物。

チャック・マッキャンはグッドな味

チャック・マッキャンこの「意識の下の映像」の中で、ぼろんこが最も注目した俳優さんは映写技師のロジャー・ホワイト役:チャック・マッキャン。ケプルの犯行だと気付いたホワイト氏は、ケプルを脅迫し逆に「最も良い解決方法」として殺害されます。これまで真面目に働いて来たと思われるエンジニアが、金づるに目がくらみ命を落とすことになります。銃で撃たれる直前のホワイトの「怯(おび)え」の演技は、リアリティあふれるものでした。

大草原の小さな家

チャック・マッキャンこのチャック・マッキャンは、テレビドラマシリーズ:大草原の小さな家の「ジョーンズおじさんの鐘」という作品で、ジョーンズ役で登場しています。このお話の主人公的な役どころで、口のきけない職人さんです。さすが良い俳優さんだと再認識できます。

拳銃弾道担当の研究員

リチャード・スタルロス警察の拳銃弾道担当の研究員・演じるのは「リチャード・スタル」。捜査に行き詰まったコロンボ警部に最初冷たく接しますが、力になろうとすると逃げられてしまいます。この俳優さんは12話「アリバイのダイヤル」の旅行会社の人(フレモント)、18話「毒のある花」でも旅行会社のボス(バートン)と同一人物です。同じ旅行会社かな(笑)

ゴルフ場のキャディさん

ミッキー・ゴールデンゴルフ場では4人パーティで回るのですが、いつの間にか、他の人がいなくなります(笑)。この時のサングラスをかけたキャディさん、気になりますよね(笑)この人は俳優:ミッキー・ゴールデンで、この回を始め、合計11回も刑事コロンボに出演しているエキストラ俳優です。画像に収めることが困難なシーンもありますが研究対象として面白いです。

タニヤ・ベイカーはアーリーン・マーテル?

これはクレジットのみですが、タニヤ・ベイカー役は女優アーリーン・マーテルだという記載もあります。実際にはアーリーン・マーテルは画面には登場しませんが、タニヤ・ベイカーをアーリーン・マーテルだと想像して観るのも一興ですかね(笑)。

ドクター・ケプルの試写会場

ドクター・ケプルの試写会場エリックメイスン教授の大学の講義の会場ドクター・ケプルの試写会の会場は、44話「攻撃命令」のエリック・メイスン教授の大学の講義の会場と同じです!(2022年ブログ・コメンテーターさんの発見)ちなみに9話「パイルD-3の壁」のマーカムの授業の会場は異なります。

脚線美

本筋ではありませんが、ケプルが制作した企業アピールのフィルムで、演壇を離れる直前のシーン「脚線美」を表現した写真には大笑いでした。

意識の下の映像

アイス・ティーが入った魔法瓶

映写技師のロジャー・ホワイトのアイス・ティーが入った魔法瓶は、カップが赤くて、本体がアルミ色です。本体は細かい横波みたいになって見えます。これは12話「アリバイのダイヤル」でコロンボ警部が大きなバッグからテープレコーダーと一緒についでに取り出す魔法瓶と同じです!また、22話「第三の終章」でマロリーさんのために毎晩用意されたコーヒーの魔法瓶と同じもの!!
→刑事コロンボと魔法瓶

監督:リチャード・クワイン
脚本:ステファン・J・キャメル
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

バート・ケプル:ロバート・カルプ(声:梅野泰靖
ロジャー・ホワイト:チャック・マッキャン(声:三宅康夫)
ビック・ノリス:ロバート・ミドルトン(声:小瀬格)
ノリス夫人:ルイーズ・ラサム

拳銃弾道担当:リチャード・スタル
フィルム編集者:ジョージ・ワイナー
カメラマンのデニス:ダニー・ゴールドマン
ノリス家のメイド:アルマ・ベルトラン
ゴルフ場のキャディ:ミッキー・ゴールデン
駐車場係:マイク・ラリー
クライアント:コスモ・サルド
女性クライアント:ダイアン・ ターレイ・トラヴィス

加筆:2024年8月29日
2020年の再放送で気づきがたくさん出まして、大幅に加筆しています。