56話「殺人講義」

Columbo Goes to College / 1990

現代に通じる殺人動機…

ジェームス・ストリウス大学生のロウとクーパーが通う大学の担任教授ラスク(ジェームス・ストリウス)を殺害。裕福な家庭に育った不良学生がテスト問題を盗んだことがばれて、口封じに犯行に及びます。これは、21世紀になった今日、日本で起きそうな事件だと思うとゾっとします。

子供のような年齢の犯人と対峙するコロンボ警部

スティーヴン・キャフリー話の進行は、犯人の二人の学生がコロンボを「無能な中年刑事」と見下し、自分たちの都合の良い方向へ捜査を誘導して行きますが、その不自然な行動からすぐさまコロンボに見破られてしまいます。コロンボを尊敬する演技を見せるロウ(スティーヴン・キャフリー:写真)ですが、影で馬鹿にしていることまで、コロンボに見透かされますね。愚かすぎマス。

クーパー・レッドマン

アラン・ファッジもう一人の犯人はゲイリー・ハーシュバーガー演じるクーパー・レッドマン。冒頭近くのシーンで父親に叱られますが、その父親は、俳優アラン・ファッジ‥どっかで見たことある?

アラン・ファッジ

アラン・ファッジこのレッドマンの父親は気付きにくいのですが、22話「第三の終章」に登場する弁護士のデビッド・チェイスと同一人物。さらには46話「汚れた超能力」のCIAのハロー氏とも同一人物。

コロンボ、大学に行く~

犯人が大学生ということで、私の好きな「成功者の転落劇」ではありません。コロンボ警部が大学の臨時講師として招かれ、その時にちょうど事件が起こるというのもちょっと…強引。原題は「Columbo Goes to College」で私流に訳せば「コロンボ、大学に行く~」となり、ダメの3連発。邦題「殺人講義」はそれと比べ良く出来たタイトルと言えます。

フリーモント大学

舞台となる「フリーモント大学」は「ペパーダイン大学」だそうです。だとすると…31話「5時30分の目撃者」で、コリアー先生が勤める大学病院、32話「忘れられたスター」の外科医ランズバーグ先生の病院と同じロケ地だという可能性があります。→廊下に色ラインが描いてある病院

ロバート・カルプ

ロバート・カルプ

ロバート・カルプ物語の後半からは、4話「指輪の爪あと」などで活躍した名優「ロバート・カルプ」が出演しています。犯人の一人ジャスティン・ロウの父親ジョーダン役で、やはりこのような憎たらしいキャラクターが似合います。

テレビのアナウンサー

ラスク教授事件の独占ニュースを報じるテレビ番組のアナウンサーはラリー・マコーミック。実際にLAのテレビ局(KTLA-TV)で活躍したニュースキャスターだそうです。彼は59話「大当たりの死」の「ロト番組」の直前のニュース番組にも出演しています。両方とも「KRVA-TV」というテレビ局の番組です。実在のパロディですね。ちなみに実在のKTLAは5チャンネル、コロンボのKRVAは3チャンネル。

テレビ局「KRVA 3」

Ocean Side East Cafe56

Ocean Side East Cafe57

「KRVA 3」は57話の「犯罪警報」のテレビ局と同じです。架空のテレビ局ですけど、きれいなロゴまで準備していて楽しいです。

ラストの「カミさんの車」は…常套手段化

コロンボ警部が仕組んだ「カミさんの車」は言うまでもなく、25話「権力の墓穴」の再現。53話「かみさんよ、安らかに」でも、同じような手法を用いていて、コロンボシリーズを見続けている人にとっては、またコレか?という印象。

それでも合格点

犯人の二人は、落第点をもらってしまうが、新・刑事コロンボのシリーズの中では、良い仕上がりの作品だと言えます。殺害トリックは40話「殺しの序曲」を彷彿とされるような手の込んだものでした。

監督:E・W・スワックハマー
脚本:ジェフリー・ブルーム

ジャスティン・ロウ:スティーヴン・キャフリー(声:大塚明夫
クーパー・レッドマン:ゲイリー・ハーシュバーガー(声:山寺宏一
ラスク教授:ジェームズ・ストリウス
ジューン・クラーク:キャサリン・キャノン
ラスク夫人:ブリジット・ヘンリー
ジャスティンの父ジョーダン・ロウ:ロバート・カルプ(声:小林修
ロウ夫人:マリー・チータム
クーパーの父レッドマン:アラン・ファッジ
ジョー・ドイル:ジム・アントニオ
ドミニク・ドイル:ウイリアム・ラッキング
検死医ジョージ:スティーヴン・ギルボーン
アナウンサー:ラリー・マコーミック

加筆:2024年9月1日

“56話「殺人講義」” への122件の返信

  1. 初めまして。ほぼ毎晩コロンボを観ながら寝ている昭和ファンです。 殺人講義でひとつ疑問があるのですが、講義室からのリモコンドアロック電波で地下駐車場の車のスイッチを操作は不可能だと思うのですが?見解をお教えくださいませんか?それとも野暮な考えでしょうか❔単なる御都合と考えたら違和感が…よろしくお願いします

    1. けんじんさん、はじめまして。
      >講義室からのリモコンドアロック電波で地下駐車場の車のスイッチを操作は不可能。
      おっしゃるとおりかも‥と思います。他のエピソードでも、不可能っぽいトリックありますので。

    1. 予約したけど来なかったレストラン「カフェ・バラード」の店員は俳優「ロビン・バック(Robin Bach)」さんでしょう。彼は「美食の報酬」には出ていないと思います。

  2. さてさてこの後犯人の二人はどうなってしまうのか?

    クーパー:冒頭で父親に言われたように見捨てられる? それとも親子の情が優る?
    ジャスティン:逮捕時に吐き捨てたように父親が弁護? それとも切り捨てられる?

  3. ロウ:大塚明夫
    クー:山寺宏一
    主演級の声優でレアな組み合わせですね…
    47分ぐらいで明夫のコロンボ声真似
    明夫31歳、山寺29歳

    身勝手で甘やかされまくった不快なボンボンが、
    舐めてかかったよれよれのコロンボに出し抜かれる
    講師としても人気のコロンボ
    矜持もなくコロンボに悪態をついて逮捕される甘ったれ
    学生メガネ君辺りに一言欲しかったかな

  4. 放映の最初のところでコロンボが電話をかけているシーンはこの話の中のものでしたね。

  5. 日本製ピックアップ
    大学生が好んで乗るのは日本製ピックアップ(個人用トラック)の改造車。1980年代から90年代までは日本車のピックアップがアメリカの西海岸の若者に人気でした。バックトゥザフューチャーの主人公も父の成功の結果として日本製ピックアップに乗ることができます。オープンやピックアップが人気なのは米国西海岸の特徴で東部やその他の地域ではそうでもありません。広いアメリカを横断したことがありますが、地域によって流行っている車が全く異なり、日本車がよく見られるのは大都市が多いです。

  6. kiriko 様
     いつも楽しく拝読し、学ばせていただいております。
     想い起こせば、昔はシートベルトだって誰もしていなかった、おおらかな時代でしたよね。
     少し前に、ある居酒屋さんの貼り紙だったか、
     「飲んだら乗るな、乗らないなら飲め!」
     っていう文句が、SNS上で話題になっていましたね。私も思わず笑っちゃいました。
     わかっちゃいるけどやめられないのが酒。
     しかし、大学生とか若い奴が事件を起こしている記事をよく目にしますが、性犯罪に酒を絡めると最も悪質になりますよね。
     人間の、根源的な煩悩と煩悩との相乗効果になってしまいますから・・・。
     たとえそれが宗教上の理由だとしても、中絶禁止だけはどう考えても理不尽な制度ですよね。

  7. ストーリーやキャラクターについては既に皆さまが様々論じていらっしゃるので、今回も本筋から離れた私の関心事から(いつもすみません)。
    漫画アプリの昔の漫画のコメント欄でもよく見られる飲酒運転あり得ないコメント、こちらのブログでも見られるとは~。30年くらい前は未成年の飲酒も飲酒運転も有り体に言えば”おおらか”でしたねぇ。ましてアメリカは車社会で車がないと日常の移動が成り立たない社会だし、法律上もちょっとくらいは飲んでてもOKらしいですし。そもそも欧米人は日本人とは肝臓の作りが違うので、アルコールには強い体質なこともあるでしょう。”あり得ないコメント”が普通になるまで現代日本社会に浸透してきたことは、飲酒運転で命を落とされた方の遺族の皆さんも含めた先人たちの努力に感謝、だと感じています。
    金髪の方の大学生が、下半身に締まりが無いにことかいて、1年半に3度も女の子を中絶に追い込むとは!とそちらの方に怒り。中絶問題は現代アメリカでも侃々諤々の議論になっていますよね。L.A.やN.Y.といった都会ではリベラルも多いでしょうが、アメリカの大部分はある意味広大な”田舎”(失礼)。絶対反対派が圧倒的に多い中、中絶が許されず望まない妊娠で生まれた子の行き先として里親制度が根付いたと思われるのは、皮肉なんだか。
    今回注目の実現不能疑惑のトリック。コロンボにおける犯罪の型の一つとして、その時代最先端の機器や技術を使うというものがあると思うのです。旧作ではそれが留守電や小型録音機やハイテクステレオを使ったトリックだったり、サブリミナル効果なんかは最たるものでしょうか?それが新シリーズではポケベルや自動車電話などハイテク度が高まり、今回はリモコンキーをキュッと鳴らしてロックする車(それが”日本車”なところがまた)がきっと視聴者の憧れをくすぐったのであろうとそんな想像をするのも楽しみです。

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