キム・キャトラル

Kim Cattrall

44話「攻撃命令」でメイスン博士と同居する若い女性:ジョアンナ・ニコルズを演じています。当時は21才という若さだった。キム・キャトラルはその後「ポリス・アカデミー」「セックス・アンド・ザ・シティ」のサマンサ・ジョーンズ役など数々の作品に出演し大成功しています。

44話「攻撃命令」

How to Dial a Murder / 1977

初期シリーズの最後から二番目の作品です。約10年後から再開された新・刑事コロンボシリーズに影響を与えた作品ではないかと感じます。ストーリーの展開や解決編などに、同じテイストを感じます。

ニコル・ウイリアムソン

ニコル・ウイリアムソン犯人役のゲストスター、エリック・メイスン:ニコル・ウイリアムソンは、とても印象に残りました。少し宗教家じみた心理学者ですが、自分のスペースを確保するという自らの教えに反し、感情を剥き出しにする場面もあって笑えます。

 

ちょっと不可解?メイスン博士の性格設定。

このお話、殺害動機がらみの部分で少し釈然としません。犯人のメイスン博士は「普通の人間のような愛情表現」ができないように描かれています。それなのに、自分の妻と被害者チャーリーとの愛人関係を知ると、まず妻を殺害、そしてチャーリーを殺害(本件)。何が彼を復讐劇にかりたてたのでしょう。自尊心からでしょうか?であれば、妻の不貞を知り当事者2人を殺害したことの方が、もっと恥ずかしい気もします。

このエリック・メイスンは映画好き、テニス・ビリヤード好きということですが、キャラクターとは不似合いだったかも。それに対しピーター・フォークのビリヤードの腕前はピカイチでした。

キム・キャトラル

ジョアンナ・ニコルズ同居する若い女性:ジョアンナ・ニコルズ「キム・キャトラル」は美しく登場していましたが、メイスン博士に心を寄せるという設定は、不可解だった気もしますね。

トリシア・オニール

トリシア・オニール犬の訓練士コーコランを演じるトリシア・オニール(Tricia O’Neil)が人気です。このシーンでは「愛犬ドッグ」も可愛く登場していますね。詳細は不明ですが映画「タイタニック(1997)」にも出演しているようです。ぜひ探してみたいです。

「コロッケ」「コロンボ」はでっち上げ

コロンボ警部は「犬が言葉に反応して人に噛み付くか?」を模索するシーンで、「コロッケ」「コロンボ」と言いますが、これは日本語吹き替え版のアレンジのようです。実際にはピーター・フォークは「コロンボ」とは言っていません。メイスン博士が留置された犬に「チョコレート」を与えるシーンでコロンボはそれを阻止しますが、「犬にチョコレートは禁物」という知識にも基づいています。実際には少量のチョコレートの摂取では犬は死なないそうです。

映画「市民ケーン」

この作品を彩るシチュエーションとして重要な、映画オーソン・ウェルズ「市民ケーン」の全編は見ていません。もしも見ていたら、もっと楽しめた作品(攻撃命令)なのかもしれません。しかし2020年のNHK「映像の世紀プレミアム 第8集 アメリカ 自由の国の秘密と嘘」で取り上げられ、「市民ケーン」を断片的に見ることができました。

監督・製作・脚本・主演をオーソン・ウェルズが担っています。主人公のケーンは実在の新聞王ハーストをモデルにしていて、彼の権力により上映を妨害されたという有名なエピソードがあるそう。世界映画史上最高の金字塔とも称される名作とのことです。すごい!

コロンボ警部はビリヤードがお得意

2話「死者の身代金」では、初代バーニーの店(?)で、11話「悪の温室」でも犯人ジャービス・グッドウィン宅でもビリヤードの腕前を披露していますが、今回は解決編の進行にビリヤードを利用していて、演出としては少々やりずぎか…。しかしこれはメイスン博士を追いつめ、この際「コロンボを殺してしまえ」と決意させるための布石だったのでしょうね。

言葉遊びに見るコロンボ警部の刑事哲学

メイスン博士とコロンボ警部の「言葉遊び」の場面は興味深いものでした。ストーリー展開の上では「攻撃命令のキーワード」を引き出す仕掛けですが、コロンボ警部の「刑事哲学」を感じさせました。それは「正義=仕事」「苦痛=失敗」というくだり。自分の仕事はお金を得る手段とは考えておらず、「悪を許さない」こと、成功を収めたいという意味ではなく「失敗を許さない」こと、という2点。これは私(ぼろんこ)の目標ともダブることです。

類似シーンとして、40話「殺しの序曲」の中で犯人オリバー・ブラントとの会話でも見られます。

合言葉を口にした途端襲われるのはメイスン先生のハズだったのでは?

ブログのお客様からのご指摘。「コロンボに犬をけしかけようとするラスト近くのシーン、合言葉を口にした途端襲われるのはメイスン先生のハズだったのでは?」た、確かに!そうですね。シナリオ…全然駄目じゃん(笑)
↑と思いきや…絶対的な存在である飼い主を襲うことはない という原則に基づいたシナリオであればOK!とのことで納得です。

意外にも近場で!

メイスン博士のご自宅と、犬の訓練士コーコラン先生の訓練場所が、目と鼻の先っていう不思議(笑)どちらも「グリフィスパーク」の周辺もしくは公園内です。

犬の訓練士コーコラン先生の訓練場所

メイスン教授の講義の会場

ドクター・ケプルの試写会場エリックメイスン教授の大学の講義の会場エリックメイスン教授の大学の講義の会場は、21話「意識の下の映像」のドクター・ケプルの試写会の会場と同じです!(2022年ブログ・コメンテーターさんの発見)ちなみに9話「パイルD-3の壁」のマーカムの授業の会場は異なります。

音楽はパトリック・ウィリアムズ

音楽は、パトリック・ウィリアムズが担当しています。41話「死者のメッセージは特に音楽が素敵」を皮切りに、43話「秒読みの殺人」、45話「策謀の結末」と立て続けにコロンボ作品の音楽を担当。それらが素晴らしい仕上がりになっています。本作では「不気味」な印象が漂うBGMですね。それがそのまま作品のテイストにもなっています。

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:トム・ラザラス
音楽:パトリック・ウィリアムズ

エリック・メイスン:ニコール・ウィリアムソン(声:平田昭彦)
ジョアンナ・ニコルズ:キム・キャトラル(声:宗形智子)
チャーリー・ハンター:ジョエル・ファビアーニ(声:寺島幹夫)
コーコラン:トリシア・オニール(声:藤夏子)
ガリソン医師:フランク・アレトラー
ステイン巡査:エド・ベグラーJr.

加筆:2024年8月29日