- コロンボ警部は「ビリヤードが得意」の記事。
- ウィリアムズ夫妻「リンカーン・コンチネンタル」
まだ本格的なシリーズ化ではない 死者の身代金
死者の身代金 は女性弁護士レスリー・ウィリアムズが、夫(有名弁護士)のポール・ウィリアムズを殺害し、身代金目当ての誘拐に見せかけるお話。3話の「構想の死角」から本格的にシリーズ化する直前の作品と位置づけられます。タイトルクレジットは細く白色で、いわゆるコロンボ書体ではありません。
犯人レスリー・ウィリアムズ像
リー・グラントは怖(こわ)美しい
娘のマーガレット
ウィリアムズ邸
ウイリアムズ邸は、サネット・ブールバード沿いの高級住宅街にあります。一番近いご近所は、会計士のオリバー・プラントさんです。
ロス警察を「この街の警察」と…
FBIの管轄になったことから、コロンボ警部も最初は遠慮がちに捜査に関わっていて、「矛盾に対する困惑」が延々と描かれます。「殺し」の捜査に移行した後は、水を得た魚のようにはしゃぎます。今回はFBIの登場ということで、ロス警察を「この街の警察」と表現していて面白いですね。
後の作品の元アイデアがちらり
ごく初期の作品なのですが、かなり「スッキリ」な仕上がりになっていてびっくりしました。脅迫電話のトリックをレスリーに実演してみせることも興味深いし、娘に一芝居打たせて、犯人を罠にハメるラストは25話「権力の墓穴」、録音テープを使ったトリックは26話「自縛の紐」の原形にも思われ、とても興味深いものです。
確立してゆく捜査スタイル
1話の「殺人処方箋」とこの2話「死者の身代金」で、コロンボの刑事としての捜査スタイルはすでに確立していて「うだつの上がらなそうな風貌を利用して相手を油断させる」「身内の話で手がかりのきっかけを作る」「実はかなりの腕利き刑事」などが見られます。ただ両話とも、コロンボ刑事が事件から外されそうになり、現実の世界でもありそうな展開。
セスナに乗るシーン
レスリーと一緒にセスナに乗るシーンは、大きな場面ですがそれほど重要ではなく、一見無駄に長く感じられます。これは勇敢な女性と頼りない男性を対比させ、コロンボ警部(高所恐怖症)のキャラクターを際立たせているのかな。この飛行場は「バーバンク・グレンデール・パサデナ空港」と呼ばれていたが、現在は俳優の「ボブ・ホープ」に因んで「バーバンク・ボブ・ホープ空港」となっています。
髪が伸びて、ぼさぼさ風に
1話「殺人処方箋」から約3年が経っての2作目です。ですので一気にお馴染みのコロンボの風貌が出来上がっています。髪は伸びでぼさぼさ、レインコートも少しよれよれ度を増します。さらに…スーツは今回からお馴染みの「明るい茶系」に変化し、温かみを感じます。殺人処方箋ではグレー系(ちょっと冷淡)でした。すでに「チリ好き」も楽しめますし、コロンボのキャラクター設定が出来上がってきました。
ティモシー・ケリー
バーニーズ・ビーナリーが初登場
カールソン捜査官
リチャード捜査官
ハモンド捜査官
ジェリー(フィル)捜査官
マイケル・クラーク
女性社員ナンシー
レスリーのご友人グロリア
この3人の事務所が同じビルに!
LOS ANGELES COUNTY COURTHOUSE
クローウェル原告
裁判長
傍聴人の一人
グレープジュースはルートビア
空港のカフェでコロンボ警部が飲む「グレープジュース」は、葡萄色じゃないので変だな~と思って英語で聞き直したら「ルートビア(root beer)」を注文していました。ノンアルコールの炭酸飲料だそうです。(ウエイトレスの女優はロイス・バトル)
お金を持っているのに払えない…
また同シーンで、3ドル50セントの飲み物代を支払うお金を持っておらず、警察手帳を見せながらサインをします。これは大金の札束(身代金)を手にしながら支払えない…という矛盾に加え、筆記用具も持っておらず、ウエイトレスに借りるという始末。こっけいなBGMも加わり、微笑ましい締めくくりです。
音楽担当はビリー・ゴールデンバーグ
タイトルバックのシーン、中盤でセスナに乗るシーン、それと空港でのエンディングには、「死者の身代金のテーマ」とでも名付けたい印象深いメロディが登場します。これは何と、15話「溶ける糸」のメイフィールド邸でのパーティのBGMにも使われています。作曲家は「ビリー・ゴールデンバーグ」。70年代っぽいポップなサウンドなので、聞いてみてください。
監督:リチャード・アーヴィング
脚本:ディーン・ハーグローブ
音楽:ビリー・ゴールデンバーグ
レスリー・ウィリアムズ:リー・グラント(声:山東昭子)
マーガレット:パトリシア・マティック(声:上田みゆき)
カールソン捜査官:ハロルド・グールド(声:北村弘一)
リチャード捜査官:チャールズ・マコーレイ
ハモンド捜査官:ポール・カー
ジェリー(フィル)捜査官:ジェド・アラン
パーキンス銀行員:リチャード・ロアト
バート:ティモシー・ケリー(声:鈴木泰明)
男性社員マイケル・クラーク:ジョン・フィンク(声:納谷六朗)
女性社員ナンシー:リサ・ムーア
クローウェル原告:ビル・ウォーカー(声:雨森雅司)
裁判長:ジャドソン・モーガン
空港のウエイトレス:ロイス・バトル
セリア(依頼人):ノーマ・コロニー
グロリア(レスリーの友人):セレステ・ヤーノール
パット(電話の女性):ジーン・バイロン
傍聴人:バート・グリーン
加筆:2024年11月21日