42話「美食の報酬」

Murder Under Glass / 1978

ジェラード はあまり聡明ではない…

料理評論家のポール・ジェラード氏がレストランのオーナー、ヴィットリオ・ロッシ(マイケル・V・ガッツォ)を殺害。テレビ番組やCMでも有名なジェラードが、その名声を利用してレストランの評価を思いのままに操っていることに腹を立てたビットリオの口を封じたのです。

ジェラード はあまり聡明ではない…

犯人のジェラードは(ルイ・ジュールダン)「頭脳明晰」というよりむしろ脳天気なキャラクターの人物で、切れ味は感じませんでした。ワインによる毒殺が判明した瞬間、ワインオープナーが怪しまれることも当然の成り行きと思えます。

美食の国、日本とイタリアが大きく扱われた作品

初期のコロンボ作品と、新刑事コロンボの中間のようなテイストです。刑事コロンボ作品中、最も「日本」が大きく扱われた作品。「日本」とともに、イタリアンレストランが舞台いということで、イタリアンな雰囲気も全体に漂います。それと、コロンボ警部は食べているシーンが多いですね。

日本人「小津氏」

登場人物の日本人「小津氏」。映画監督の小津安二郎を連想させるし「OZ」と発音され、アメリカ人にも親しみやすかったのでしょう。襟には「福壽」と書かれています。俳優のマコ岩松氏。この時、ふぐ刺しを食べるコロンボの箸使いは、下手で笑えます。

刑事というと、警視庁の方ですか?

ブログ読者さんのご指摘によると、英語では「警視庁」とは言っておらず「lieutenant」警部補と言っているようです。翻訳家の誤訳ではないか?ということです。面白い発見ですね。

あなたの才能は素晴らしいが、後はてんでイケません

ラストシーンは、なかなか印象的でした。ジェラードはコロンボ警部の「誘い」にのる形で「いっそのこと、コロンボを殺してしまえ」と第二殺人計画を思い立ちます。それが、コロンボの狙いでもあっただけに悔しさもひとしおだったでしょう。この後のコロンボの台詞「証拠ってのは、こういうヤツを言うんです」と、ジェラードの仕掛けた毒入りのワイングラスを指差すあたり、爽快です。一連の会話の中で「お互いの才能を評価する」反面、人間としては好きでない、という言葉の応酬があります。ジェラードの方は腹いせ的ですがコロンボ警部の「あなたの才能は素晴らしいが、後はてんでイケません」の台詞は、殺人という短絡的な解決方法に走った犯人に対し「人間失格」の判決を下す裁判官のように見えました。

後のコロンボの「カミさん」シェラ・デニスが再登場

ジェラード氏の秘書イブ・プルマー役で、シェラ・デニスが出演しています。新シリーズと比較するとやはり若いですね~。吹き替えの声優も「若い女性風」の声で、後に新刑事コロンボに数多く登場する際の声とは異なります。ジェラード氏の自宅で小津氏と同席するシーン、松竹梅と書かれた派手なオレンジ色のハッピを着ているのはこっけい。

不思議なキャラクターのバーク刑事

コロンボ警部は初対面の2分後に、犯人はジェラード氏であると疑ったと名言していますが、この時居合わせたのが40話「殺しの序曲」にも登場するバーク刑事(トッド・マーティン)。画面にいるだけで存在感を感じる素敵な俳優さん。

ヴィットリオはマイケル・V・ガッツォ

マイケル・V・ガッツォはゴッドファーザーPART IIなどにも出演した俳優さん。「美食の報酬」では、豪快なイタリア人シェフを名演しています。毒に苦しんで絶命するシーンは印象的です。日本語版吹き替えは藤岡重慶さん「あしたのジョー」のおっつぁん「丹下段平」役でも有名ですね〜。

レストラン振興協会の女性会長はロバート・カルプの元カミさん

葬式のシーンで支払済の小切手を破って、コロンボから目をつけられたメアリー・チョーイはフランス・ニュイエン。彼女は1967年〜3年間ロバート・カルプの奥さんでした。

ヴィットリオが埋葬された墓地はイングルウッド・パーク墓地で、逆転の構図のロケ地と同じです。

監督:ジョナサン・デミ
脚本:ロバート・バン・スコヤック
ポール・ジェラード:ルイ・ジュールダン
ヴィットリオ:マイケル・V・ガッツォ
イブ・プルマー:シェラ・デニス
メアリー・チョーイ:フランス・ニュイエン
バーク刑事:トッド・マーティン
 
加筆:2020年7月26日

43話「秒読みの殺人」

Make Me a Perfect Murder / 1978
テレビ局の女性プロデューサー:ケイ・フリーストン(トリッシュ・バン・ディーバー)は、支社長であり恋人でもあるマーク(ローレンス・ラッキンビル)を殺害。殺すほどの憎しみがあったのか‥。画面からはそこまで感じませんでした。

「秒読みの殺人」は名作です

この「秒読みの殺人」という作品、小学生時代にも間違いなく見ていました。しかしながら、27話「逆転の構図」や32話「忘れられたスター」ほど、強烈な印象は残っておらず、少しノーマーク的な作品でした。今回、再放送を拝見し、見事な作品であることを再認識しました、名作と言って間違いないでしょう。

刑事コロンボ的ストーリー展開を感じる

犯人役の女優や、脇役俳優の良さ云々はさておき、正当派「刑事コロンボ的ストーリー展開」が色濃く、ほとんどのシーンで無駄が無く(注)、密度の濃い作品となっています。コロンボ警部の「落としのテクニック」も、期待通り炸裂してくれています。

トリッシュ・バン・ディーバー

もう一つの側面「犯人役ゲストスター」の影響力は、他の傑作と比較し線は細めです。犯人のケイ「トリッシュ・バン・ディーバー」は美しく描かれていますが、突出した存在であったとは感じません。それ以上に、テレビ業界という厳しい環境において、人間が壊れてゆく様を見せてくれたと思います。

出世欲の強い女性の立場

その反面、心理の描写には鋭いものを感じます。殺意、焦り、意思の強靭さなど、通常の女性では表現しづらい心の揺れを、見事に表現しています。出世欲の強い女性が、組織のトップにのし上がる過程で、仕事を愛する気持ちよりも、成功したい願望が心を支配している様子がうかがえます。周囲の男性たちは、それを好ましく思っていませんでしたね。
それと対比し、同性愛を連想させる描写もありました。女優バレリーとの関係がそれです。初期のコロンボでは扱われなかった題材でしょう。ディレクターの男性が女性的なども、類似した観点です。

終わったら、ほっとすると言うが…

犯行を認める場面で、終わったらほっとすると言うが…その逆だ。と心境を語るケイ。まだ負けたわけじゃない、きっと這い上がってみせる…という意欲をみせました、女は強い。

フィルムチェンジをアリバイに用いたトリック

本作品「秒読みの殺人」では映写時に、フィルムのリールを切り替えるタイミングを画面右隅に表示されるパンチによって、見極める‥というテクニックが焦点となっていて、邦題「秒読みの殺人」に結びつけています。それに対し、21話「意識の下の映像」で映写技師のロジャー・ホワイトは、小銭をリール中心に挟み込んで、それが落ちたら交換のタイミングだと語っています。テレビ局の映写機は最新設備で、小銭を挟めない(カバーで覆われている)タイプでしたね。

映写技師ウォルター:ジェームス・マッキーチン

作品中重要な役割を果たす映写技師ウォルターを演じたのは、ジェームス・マッキーチン。10話「黒のエチュード」で、楽団の関係者ビリー・ジョーンズ役でも登場しています。どちらも良い演技を見せてくれます。

特に印象的なシーン「エレベータの中で…」

エレベータの天井に見えた「凶器の拳銃」を、犯人ケイが何とかしてそれを下に落とそうとするシーンは、秒読みの殺人で最も印象に残る場面です。身長が低い彼女が必死になっている様子がスリル満点に描かれています。しかも、その行為そのものが、コロンボ警部が仕掛けた罠だと気付かされ、完敗を認めるのも素晴らしかったです。

パトリック・オニール

テレビ局のお偉方の役で、パトリック・オニールが登場。彼は名作と呼ばれる9話「パイルD-3の壁」で犯人のエリオット・マーカムを演じています。今回もさすがの演技でした。

テレビを修理するクレイマー刑事

なぜかテレビを修理する人の役で、すっかり顔なじみのはずの「ブルース・カーヴィ」が登場。う、どう考えても不自然な起用だと思えますが、これはブルース・カーヴィが「ジョン・フィネガン」同様、特別な俳優扱いだったことを伺い知れます。

バーク刑事

41話「死者のメッセージ」に続いて今回も捜査に起用されたバーク刑事Bは「ジェローム・グアルディノ」。あまり役に立ちませんが、憎めないキャラクターですね。32話「忘れられたスター」で射撃テストの身代わりになる俳優です。

テレビ局のプロデューサー

女上司に不満げな「しがないテレビ局のプロデューサー」を演じたのは「ジョージ・スカフ」。気づきにくいのですが、この人はなんと33話「ハッサン・サラーの反逆」の領事館でアラブ人「クラ」を演じた人です!

撮影所(ロケ地)のモニター室では…

ケイはコロンボ警部に追い回され、ヒステリックに叫んでしまいます。メリーゴーラウンドの音楽と目まぐるしく切り替わる画面が印象的ですが、録画して何度も見られる時代となっては、このような強烈なシーンより、静かな場面の方がありがたいですね。同じような意味で「黄金のバックル」の、ジェニーが死体を発見して叫びそうになるシーンも、早送りしたくなります。(笑)

注)テレビ局のモニター室でコロンボ警部が、画面に模様(パターンのようなもの)を写して喜んでいるシーンは、不要でしょうかね~。冒頭で「鼻歌を歌いながら自動車事故を起こすシーン」は、無駄と言い難い楽しいシーンでした。 

マークとケイのビーチハウス

マークとケイが暮らすビーチハウスは、数々の刑事コロンボの重要人物が居を構えるマリブビーチにありました。二人が務めるテレビ局のロス支局は、市街中心部近くだと思われ、冒頭シーンでコロンボ警部が愛車プジョーで追突事故を起こす道路はそこからほど近い場所です。


監督:ジェームズ・フローリー
脚本:ロバート・ブリーズ

ケイ・フリーストン:トリッシュ・ヴァン・ディヴァー
フラナガン:パトリック・オニール
マーク:ローレンス・ラッキンビル
ウォルター:ジェームス・マッキーチン
 
加筆:2020年1月18日

44話「攻撃命令」

How to Dial a Murder / 1977

初期シリーズの最後から二番目の作品です。約10年後から再開された新・刑事コロンボシリーズに影響を与えた作品ではないかと感じます。ストーリーの展開や解決編などに、同じテイストを感じます。

ニコル・ウイリアムソン

犯人役のゲストスター、エリック・メイスン:ニコル・ウイリアムソンは、とても印象に残りました。少し宗教家じみた心理学者ですが、自分のスペースを確保するという自らの教えに反し、感情を剥き出しにする場面もあって笑えます。

 

ちょっと不可解?メイスン博士の性格設定。

このお話、殺害動機がらみの部分で少し釈然としません。犯人のメイスン博士は「普通の人間のような愛情表現」ができないように描かれています。それなのに、自分の妻と被害者チャーリーとの愛人関係を知ると、まず妻を殺害、そしてチャーリーを殺害(本件)。何が彼を復讐劇にかりたてたのでしょう。自尊心からでしょうか?であれば、妻の不貞を知り当事者2人を殺害したことの方が、もっと恥ずかしい気もします。

このエリック・メイスンは映画好き、テニス・ビリヤード好きということですが、キャラクターとは不似合いだったかも。それに対しピーター・フォークのビリヤードの腕前はピカイチでした。

キム・キャトラル

同居する若い女性:ジョアンナ・ニコルズ「キム・キャトラル」は美しく登場していましたが、メイスン博士に心を寄せるという設定は、不可解だった気もしますね。

トリシア・オニール

犬の訓練士コーコランを演じるトリシア・オニール(Tricia O’Neil)が人気です。詳細は不明ですが映画「タイタニック(1997)」にも出演しているようです。ぜひ探してみたいです。

「コロッケ」「コロンボ」はでっち上げ

コロンボ警部は「犬が言葉に反応して人に噛み付くか?」を模索するシーンで、「コロッケ」「コロンボ」と言いますが、これは日本語吹き替え版のアレンジのようです。実際にはピーター・フォークは「コロンボ」とは言っていません。メイスン博士が留置された犬に「チョコレート」を与えるシーンでコロンボはそれを阻止しますが、「犬にチョコレートは禁物」という知識にも基づいています。実際には少量のチョコレートの摂取では犬は死なないそうです。

映画「市民ケーン」

この作品を彩るシチュエーションとして重要な、映画オーソン・ウェルズ「市民ケーン」の全編は見ていません。もしも見ていたら、もっと楽しめた作品(攻撃命令)なのかもしれません。しかし2020年のNHK「映像の世紀プレミアム 第8集 アメリカ 自由の国の秘密と嘘」で取り上げられ、「市民ケーン」を断片的に見ることができました。

監督・製作・脚本・主演をオーソン・ウェルズが担っています。主人公のケーンは実在の新聞王ハーストをモデルにしていて、彼の権力により上映を妨害されたという有名なエピソードがあるそう。世界映画史上最高の金字塔とも称される名作とのことです。すごい!

コロンボ警部はビリヤードがお得意

2話「死者の身代金」では、初代バーニーの店(?)で、11話「悪の温室」でも犯人ジャービス・グッドウィン宅でもビリヤードの腕前を披露していますが、今回は解決編の進行にビリヤードを利用していて、演出としては少々やりずぎか…。しかしこれはメイスン博士を追いつめ、この際「コロンボを殺してしまえ」と決意させるための布石だったのでしょうね。

言葉遊びに見るコロンボ警部の刑事哲学

メイスン博士とコロンボ警部の「言葉遊び」の場面は興味深いものでした。ストーリー展開の上では「攻撃命令のキーワード」を引き出す仕掛けですが、コロンボ警部の「刑事哲学」を感じさせました。それは「正義=仕事」「苦痛=失敗」というくだり。自分の仕事はお金を得る手段とは考えておらず、「悪を許さない」こと、成功を収めたいという意味ではなく「失敗を許さない」こと、という2点。これは私(ぼろんこ)の目標ともダブることです。

類似シーンとして、40話「殺しの序曲」の中で犯人オリバー・ブラントとの会話でも見られます。

合言葉を口にした途端襲われるのはメイスン先生のハズだったのでは?

ブログのお客様からのご指摘。「コロンボに犬をけしかけようとするラスト近くのシーン、合言葉を口にした途端襲われるのはメイスン先生のハズだったのでは?」た、確かに!そうですね。シナリオ…全然駄目じゃん(笑)
↑と思いきや…絶対的な存在である飼い主を襲うことはない という原則に基づいたシナリオであればOK!とのことで納得です。

以外にも近場で!

メイスン博士のご自宅と、犬の訓練士コーコラン先生の訓練場所が、目と鼻の先っていう不思議(笑)

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:トム・ラザラス
エリック・メイスン:ニコール・ウィリアムソン
ジョアンナ・ニコルズ:キム・キャトラル
チャーリー・ハンター:ジョエル・ファビアーニ
コーコラン:トリシア・オニール

加筆:2020年11月9日

45話「策謀の結末」

The Conspirators / 1978

世界の政治情勢が背景

事件の背景が大げさで、33話「ハッサン・サラーの反逆」34話「仮面の男」などと同様の味を持った作品だったと思います。むしろ、それら以上に「世界情勢」と「殺人動機」が強くからんだ作品でしょう。当時IRA(アイルランド共和軍)はアイルランド全島の独立共和国化をめざすカトリック系の組織です。

酒は身を滅ぼす…

そのIRA活動家で詩人のジョー・デヴリン:クライヴ・レヴィルは、アイリッシュウイスキーの瓶に、傷をつける癖があったのですが、あんなに何回もコロンボ警部と酒を酌み交わし、その度にウイスキーの瓶に傷をつけていては…まるで「自分が犯人ですよ~」と、証拠を大量生産しているようなものですね。酒好きが命取り…という結末なので、それも含み楽しんだ方が良いかもしれません。

ペック夫人を発見!

17話「二つの顔」でペック夫人を好演したジャネット・ノーランが、オコンネル財閥の女王役で登場。髪の色が違うので、別人みたいな印象でした。

吹き替えが演出する強烈キャラ「ジェンセン」

銃の密売人の役で登場するチャールズ・ブロンソンに似た俳優J.Q.ジョーンズは強烈!。声優は大泉滉さんで、この人の声を使っちゃったら、俳優が誰でも大泉滉に見えてきます。(小池版)

ビンセント・ポーリーも素敵

ビンセント・ポーリーを演じたアルバート・ポールセンも良かった。調べてみたらやはり…凄い人でした。コンバットをはじめ、スパイ大作戦、0011ナポレオン・ソロ、刑事コジャック、チャーリーズ・エンジェル、ナイトライダーなど、60年代〜80年代に活躍している名優でした。

2種類の吹き替えが存在

1979年にNHKで放送された際は小池版。1987年の日本テレビでは小池版の紛失が原因で、再録音された石田版で放送されました。現在はNHKで小池版、DVDやAXNミステリーで石田版が見られるようです。このブログ記事は、NHK-BS Hiで2010年6月11日に放送された「小池版」を見て書かれています。
NHK:コロンボ:小池朝雄、デヴリン:納谷悟朗、ジェンセン:大泉滉★コレ
DVD:コロンボ:石田太郎、デヴリン:家弓家正、ジェンセン:立木文彦

意外と人気が高い作品

私が思った以上に人気の高い作品のようです。犯人が詩人ということで、その台詞や歌声が独特の上品さを醸しています。またアイリッシュの郷愁を感じるBGMも雰囲気を高めています。犯人が決定的な悪人ではない…というのも、理由にあがるでしょうか。

見るたびに好きになってきた

この作品は何度も見るうちに、だんだん好きになってきました。やはり音楽が良いのかな。

銃の密売人は元警官!

ブログ読者さんからの情報で…倉庫で出会う銃の密売人「ブランドン」は、19話「別れのワイン」に登場する警官と同じ俳優さんジョン・マッキャン[John McCann]でした。さすが俳優さん、随分雰囲気が違って見えますね。

監督:レオ・ペン
脚本:ハワード・バーク
ジョー・デヴリン:クライヴ・レヴィル
オコンネル夫人:ジャネット・ノーラン
ビンセント・ポーリー:アルバート・ポールセン

加筆:2020年8月21日

46話「汚れた超能力」

Columbo Goes to the Guillotine / 1989

初期シリーズから一転、高インパクト重視な印象

超能力者、エリオット・ブレークは、かつてウガンダの刑務所で裏切られたマジシャンのマックス・ダイソンをダイソン自作のギロチン装置で殺害。
テーマ・殺害方法・解決シーンなどは、これまでの刑事コロンボシリーズと比較し、やり過ぎと思えるほど劇的です。これも、新シリーズのスタートを強烈に印象づけたい狙いでしょうか。

ピーター・フォークの日本語吹き替えは石田太郎さん

約10年の休暇(?)から復帰したコロンボ警部、日本語吹き替えは人気を博した小池朝雄さんから石田太郎さんにバトンタッチ。賛否両論あると思いますが、私にはそれほどの違和感も無く、馴染むことができました。

コロンボシリーズの醍醐味「心理戦」は健在

超能力者であれば、ダイソンがどのような心境で死に至ったか読み取れるであろうと相談を持ちかける警部。そこでブレークは「自殺であった」と示唆しますが、これがかえって自分への容疑を濃くしちゃってますね。発言の直後「自殺のはずがない」とコロンボ警部から一蹴されています。その理由を次々に見せられて、ブレークは一気にマズい立場に追いやられていました。

自殺でないと否定されたブレークは、事故だったと方針転換し、苦しい状況に拍車がかかります。コロンボ警部は「マイナスドライバーの矛盾」などにより「殺人」だと断定しながらも、ブレークに「自殺説」「事故説」を口にさせ、心理的に追い込んでいったのでしょう。

マックス・ダイソンは素敵だった

マックス・ダイソン(アンソニー・ザーブ)。は素敵でした。犯人のエリオット・ブレーク(アンソニー・アンドリュース)も悪くないのですが、42話「美食の報酬」のポール・ジェラードと似た印象で風格に欠けました。配役が逆でも面白かった?などと書いては失礼でしょうか。

アロヨとフリードライブ

ブレークのいかさまトリックを暴く時に使った地図は全ページ「アロヨとフリードライブ」だった。この「アロヨ」はロサンゼルス北東のパサデナ近くにある。しかし、例の地図とは地形が違う…気がします。→コロンボマップ

エンディングはユニークにまとめる

これは新シリーズの特長と言えるかも知れません。旧シリーズでは割と「スカッと決めておいて、コロンボ警部自身は少し後ろめたい表情をして止まる」パターンの方が多かった気がします。今回は特に「血なまぐさい」展開でしたので、最後だけは口元が緩むような終わり方にしたのでしょう。

エリオットブレイクの吹き替えは野沢那智さん

野沢那智さんは、8話「死の方程式」で犯人のロジャー・スタンフォードを演じて以来2度目の犯人役。私は少し演技が大袈裟かな…と感じてしまいますが、ブログゲストの方々などには好評です。

監督:レオ・ペン
脚本:ウィリアム・リード・ウッドフィールド
エリオット・ブレーク:アンソニー・アンドリュース(野沢那智)
マックス・ダイソン:アンソニー・ザーブ

最終加筆:2020年8月16日

加筆:2010年10月11日(2010年9月のBS2での再放送を見た後、書き直しています)
さらに2015年のBS-TBSの再放送を見て加筆しています。こうして、コツコツ続けています。

47話「狂ったシナリオ」

Murder, Smoke and Shadows / 1989

若き天才監督アレックス・ブレイディ(フィッシャー・スティーブンス)が、かつての友人レニー・フィッシャー(ジェフ・ペリー)を殺害。ブレイディが無名時代に自分の妹を見殺しにしたことの復讐にきたためです。広大な映画スタジオが舞台ということでスケール感もあり、エンタテインメント性もあります。新リーズでは好きな作品です。

フィッシャー・スティーブンスはグッド

犯人アレックス・ブレイディ役のフィッシャー・スティーブンスには存在感を感じました。年齢こそ若いですが、天才映画監督ということで、犯人の風格は出ていました。

犯人ゲストスターと、コロンボ警部の年齢関係が逆転

ブレイディの描き方は面白いです。自分は「映画の天才」だと思っているのに、一見無能に映る中年の刑事に次々に「ボロ」を出します。おそらく計画的な殺人ではなかっため、彼自身かなり悔やまれる犯行状況だったと推測されます。新・刑事コロンボからは、このように犯人と警部の年齢関係が逆転し、かつてのように「コロンボ君」と警部を呼べるような犯人は極めて少なくなります。

成功者の転落劇は健在

ポイントは主人公が世間が羨む典型的な成功者に見えて、実はすでに将来が破綻している状況であることです。周囲の人間から疎まれ、協力者はささやかな「あやかりたい願望」で、すり寄ってくる人くらい。あげくの果てに、秘書のおばさんローズ(ナン・マーティン=Nan Martin 良い女優さんでした)や元恋人の女優にまで裏切られ引導を渡されてしまいます。

エンディングはかつてのコロンボ風ではない…でも許す!

エンディングの演出は、もうかつての刑事コロンボではありませんね。ハリウッド映画のようでした。だとしても面白かったですよ。警官が俳優になって、犯人と秘書の会話の証人になるってのは、よく考えたな~って感心です。しかもその布石が前に犯人が仕組んだ演出劇への報復だったということで、爽快な最後でした。
刑事コロンボの面白さは、一度見ただけでは決してすべてを楽しめないことかもしれません。その点は、この「狂ったシナリオ」にもあてはまります。最初に見た時はブレイディが仕組んだ「大芝居」に出演の警備員の態度が不自然だとは気付きませんでした。

モリー・ヘーガン

アレックス・ブレイディの元恋人で、ラストでブレディを裏切る女優ルース・ジャニガン役の「モリー・ヘーガン」は、 63話「4時02分の銃声」で、犯人のフィールディング・チェイスの娘ビクトリア役でも出演しました。

老けたバーク刑事B

41話「死者のメッセージ」43話「秒読みの殺人」などで活躍したバーク刑事B「ジェローム・グアルディノ」が登場。ちょっと老けたかな〜、でも相変わらずの無能ぶりでした(笑)32話「忘れられたスター」で射撃テストの身代わりになる役を演じました。

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:リチャード・アラン・シモンズ
アレックス・ブレイディ:フィッシャー・スティーヴンス
レニー・フィッシャー:ジェフ・ペリー
ローズ・ウォーカー:ナン・マーティン
ルース・ジャニガン:モリー・ヘイガン
バーク刑事:ジェローム・グアルディノ
加筆:2015年5月1日

48話「幻の娼婦」

Sex and the Married Detective / 1989

この作品は好き嫌いが分かれます

女性心理学者ジョーン・アレンビー(リンゼイ・クローズ)が恋人でもあるパートナーのデービッドを殺害。2009年BS Hi(現BSプレミアム)での放送を初めてみました。これは私がノーマーク時代のコロンボ作品でした。作風は私の好みではありませんが、もう一度見られるチャンスがあるようなので、その機会を待つこととします。

 
▼追記(BS2での再放送を見た後に)
再放送があったので、数回見直しましたが、私には良さが分かりませんでした。新・刑事コロンボの第8シーズンは、46話「汚れた超能力」、47話「狂ったシナリオ」、本作品、49話「迷子の兵隊」と4作品ですが、他の3作品は結構好きです。

犯人の職業設定にも苦労したのか?

今回の犯人の職業も私としては拒絶しちゃいました。当時は視聴率へのプレッシャーから様々な努力をしたのでしょうね。妖艶な絵作り・音楽…全体的にそのようなムードで描かれています。ただし、このような雰囲気・音楽が好きだというファンもいらっしゃいまして、それも頷ける点です。
 

見逃せないのがこのビル

番組内に登場するこのビル、65話「奇妙な助っ人」と66話「殺意の斬れ味」にも登場します。いずれも下から上に眺めるようなシーンで、同じフィルムを使い回したのでしょうか?

 
▼追記(2015年BS-TBSでの再放送を見た後に)
またまた再放送があったので、見直しました。結局は好きになれなくても、やはりコロンボ作品だということで、見たくなるようですね(笑)。ブログゲストから「噴水の動きに合わせて、音楽を奏でるシーンが印象的」というコメントを頂き、少しほっとしています。 

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:ジェラルド・リー・ルドウィッツ

ジョーン・アレンビー:リンゼイ・クローズ
デービッド・キンケード:ステファン・マクト

加筆:2020年8月18日
 

49話「迷子の兵隊」

Grand deceptions / 1989

犯人が悪人なだけに、殺害動機は十分!

これは初回放送時に見ています!国防関連財団の幹部ブレイリー大佐(ロバート・フォックスワース)が部下のキーガン曹長を殺害。動機はブレイリー大佐が財団を利用し私腹を肥やしていたり、名誉会長であるパジェット将軍の妻との愛人関係を暴露すると脅迫されたためで、殺害動機は十分です。

「祝砲の挽歌」に似ているか?

この作品を最初に見た時は「祝砲の挽歌」とイメージが重りましたが、こうして改めて見てみると、随分違うテイストでした。とにかくブレイリー大佐なる人物がかなりの悪人で、戦争帰りの「タフさ」が悪の方向に向いています。殺されたキーガン曹長は生き様として正当性を感じませんので、ドラマ自体に美しさは全くありません。殺害状況には若干無理を感じますが、全体の流れとして受け止めることはできます。

物語は、結構面白いのです

キーガン曹長が「恐喝」という新たな職を得たこと。愛人関係にあったパジェット将軍の妻ジェニーがコロンボの車を発見し、密会場所に現れなかった場面。笑いを誘う教会のシーン。いろいろ見どころはありましたね。秘密のファイルが「赤と緑」に色分けされている設定も笑えます。パジェット将軍は美しく描かれていると感じました。軍人とはかくあるべき、でしょうね。

ただし、トリックには大疑問です

決め手になる段ボール箱の件は、容認できません。私は何回も引っ越した経験がありますが、宅配業者に問い合わせれば「中身が本であったか否か」は歴然。本が段ボール箱いっぱいに詰まっていれば、重くて容易に持てませんね。その点、中身が人形であれば重量は数分の一です。なので、段ボールの容積を量る以前の問題です。また「人形を並べていた=強力なアリバイがある」というものかなり強引な印象です。共犯者がいた可能性がゼロであれば別ですが。

すでに敗色濃厚だ

日本語版では犯人ブレイリー大佐が「すでに敗色濃厚だ」という台詞で終わります。これは、コロンボ作品らしいエンディングで気持ち良いです。権利の説明とコロンボ人形のアップのシーンは、新シリーズならでは…かな。

邦題「迷子の兵隊」

原題は「Grand deceptions」で直訳「壮大な詐欺」となりました。軍隊と全く無関係のタイトルになってしまいますので、「迷子の兵隊」は大正解でしょうか。この迷子の兵隊とは殺されたキーガン曹長を比喩したものと考えます。刑事コロンボ’90版では「おもちゃの兵隊」というタイトルでしたか、「迷子の兵隊」の方が好きかな~。

スティーブン・エリオット

出演した俳優陣は好きでした。パジェット将軍のスティーブン・エリオットは声優の北村和夫さんとセットで大満足です。エリオットは初期作品31話「5時30分の目撃者」でジョージ・ハミルトンに殺さる被害者「カール・ドナー」として出演。日本語の北村和夫さんは「権力の墓穴」ハルプリン次長も素敵。

アンディ・ロマノ

キーガン特務曹長のアンディ・ロマノも良かったです。軍人アガリのタフさが出ていてリアリティがありました。「ポッポ」「ネンネ」など、下品なスラングを連呼するも、綺麗好きな一面もあり、独特のキャラクターが際立っていました。

ジャネット・エイルバー

将軍の若き夫人ジェニーのジャネット・エイルバーも印象に残りました。単にパジェット将軍の地位と名誉に目がくらんだ馬鹿女には描かれていませんでしたね。

日本語版吹き替えは羽佐間道夫さん

吹き替えの羽佐間道夫さんは絶妙です。日本声優界の大御所の一人です。シルヴェスター・スタローンのロッキーなど数々の名作で吹き替えを担当。マイナーな仕事ですが「巨人の星の速水譲次」では、意地悪な声色が強烈で大好きでした。
監督:サム・ワナメイカー
脚本:シイ・サルコッツ
ブレイリー大佐:ロバート・フォックスワース
パジェット将軍:スティーブン・エリオット
ジェニー・パジェット:ジャネット・エイルバー
キーガン特務曹長:アンディ・ロマノ
 
加筆:2013年10月08日
 
 

50話「殺意のキャンバス」

Murder, a Self-Portrait / 1989

美しい作品ではあると思いますが…

画家マックス・バーシーニ(パトリック・ボーショー)が隣に住む前妻ルイーズを殺害。犯人の存在感、浜辺の豪邸付近で繰り広げられるシーンは、とても美しく描かれています。が、コロンボ作品としてはちょっと不満な面も…。

心理描写のシーンはコロンボ的でないよね

犯人である画家がコロンボの絵を描いてあげることと、自分の犯行がこの被写体の男に暴かれようとしていることの関連性が、あまりに希薄です。また犯行のきっかけである前妻と心理学者の再婚というエピソードは良いのですが、心理描写(夢)のモノクロシーンはコロンボ作品としては不要に感じられるものでした。夢を何度にもわけて説明するのも、引っかかりました。

冒頭の犬コンテストは…

本題とはほぼ無関係と思われる、冒頭の犬コンテストのシーン、名犬「キング・アーチボルド」の飼い主との会話。以前のコロンボ作品にはこのような無意味な仕掛けは少なかった気がします。「アーチボルド」の名は、34話「仮面の男」でネルソン・ブレナーの口からも出ています。アーチボルド・コックスと何か関連性はあるのでしょうか。
と、文句ばっかり言ってますね。すみません。

シェラ・デニスが久々の登場

バーシーニの二番目の妻ベネッサは、ビーターフォークの奥様としても有名な「シェラ・デニス」。42話「美食の報酬」で、料理評論家のポール・ジェラードの秘書を演じてから約10年ぶりの再登場でした。この後にも数回新・刑事コロンボに登場しますが、今回が一番髪の色が黒かったです。

名優ヴィトー・スコッティが最後の出演

また舞台となるレストランのオーナー「ヴィトの店」の店主は旧作・刑事コロンボシリーズで数回出演している名脇役の「ヴィトー・スコッティ」です。これまでは「ちょい役」が多かったのですが、今回は満を持しての登場で、かなり重要な役割でした。

久々の大物登場

バーシーニ役のパトリック・ボーショーは流石。むちゃくちゃ存在感ありました。35話「闘牛士の栄光」リカルド・モンタルバンに匹敵する迫力でした。

マックス・バーシーニの家

海岸沿いのマックス・バーシーニの家は、言わずと知れたマリブ地区。刑事コロンボ歴代の犯人たち(笑)が居を構えます。

監督:ジム・フローリー
脚本:ロバート・シャーマン
マックス・バーシーニ:パトリック・ボーショー
ルイーズ:フィオヌラ・フラナガン
バネッサ:シェラ・デニス
ヴィト:ヴィトー・スコッティ
 
加筆:2015年10月2日

51話「だまされたコロンボ」

Columbo Cries Wolf / 1989

邦題「だまされたコロンボ」は、てんでイケません

「だまされたコロンボ」という邦題が残念。原題は「Columbo Cries Wolf」で「狼少年コロンボ」といったところ。これでも残念。「コロンボ」がタイトルになるようではね~、困ったものです。

バチェラーズ・ワールド

有名雑誌「バチェラーズ・ワールド」の共同経営者が仕組んだが失踪劇が実は狂言で、コロンボが騙されてしまいます。前半で容疑者となるスターカメラマン「ショーン・ブラントリー」は自身満々で憎らしい程ですが、実はもう一人の経営者ダイアン・ハンターに手玉に取られ、結局彼女を本当に殺してしまいます。

ダイアン・ハンターはディードル・ホール

共犯で被害者のダイアン役:ディードル・ホールは今回のテーマ「雑誌モデル業界」らしく美しい女性でした。この女優さん、23話「愛情の計算」のちょい役「研究所の受付嬢」役で出演しています。セリフも大写しもないのですが、なぜかクレジットされています。

イアン・ブキャナンは印象的

犯人ショーン・ブラントリー役のイアン・ブキャナン(声:中尾隆聖さんはテレビ版「あしのジョー2」のカーロス・リベラ)は小憎らしい役を好演しています。ゲストスターが微妙な存在の新シリーズの中では、かなり良い感じでした。

コスナー役:マーク・マーゴリス

運転手コスナー役のマーク・マーゴリスは、カッコ良かったです。この作品、新シリーズの中ではキャストが良かった気がしますね。

外見の美醜がクローズアップされた作品

モデル役のレベッカ・スターブも美しく描かれていました。グラビアモデルたちがコロンボ警部を、まるで汚いものを見るように見下していた様子も興味深いです。やはり外見に自信がある人間はそうでない人間を馬鹿にしているのでしょうね。

カメラマンという職業としては、イマイチ

私の感想では、このように外見の美しさをテーマにした作品はあまり好きではありません。今回は犯人がスチールカメラマンだったのですが、彼の職業そのものにはスポットは当たりませんでした。むしろ、モデル業界の華やかさが前面に出ていましたね。同じ成功者でも、その道の一流としての主人公の方が魅力は上回る気がしています。

クレーマー刑事が登場か!

記者会見の場面で、クレーマー刑事「ブルース・カービー」が出演しています。最後にお目にかかった37話「さらば提督」から早13年ですが、若々しいですね!ノンクレジットで、クレーマー刑事だとは断言できませんが、そう思っても良いでしょう。

大出世?いや、別人?

さらには、コロンボシリーズの名脇役として有名な「ジョン・フィネガン」が、ロス警察の本部長として登場。これは「ダフィ警部」が出世したとは言い難いですが。(笑)

名前だけ再登場、こっちは本当に出世してた

13話「ロンドンの傘」で登場した、ロンドン警視庁の「ダーク刑事部長」が名前だけ再登場しています。部長から局長に出世してます!この作品を見て「ロンドンの傘」を見ていない人は少ないと思いますが、念のために説明しました。

旧作の焼き直し的な作品

後半の展開はスピーディで、ひょっとしたらこの後半だけでも十分作品ができたかも知れませんが、旧作の焼き直し的にも見えコロンボ作品中、最も長く感じるものの一つでした。成功者が保身のために人を殺すという、コロンボ作品の原点みたいな部分は好きです。

追記:BS Hiで「パイルD-3の壁」放送を見て

旧作の焼き直しと先述しました。9話の「パイルD-3の壁」がその作品です。パイルD-3の壁は数十年前にNHKの放送で見て、その後小説本まで読みました。パイルD-3の壁では、犯人マーカムの作戦に「引っかかった振りをした」コロンボ警部だったはずですが、そのずっと後の事件で「本当に引っかかっちゃう」のは不自然ですかね~。

哀愁を感じるエンディング

それでも、エンディングはカッコ良いですね。ピタっと決まった印象です。「GOTCHA」は「ガッチャ」と発音し「わかった!」みたいに使われる口語表現。一説によると「ガッチャマン」の語源でもあると言います。(他の説もあります)

監督:ダリル・デューク
脚本:ウィリアム・リード・ウッドフィールド
ショーン・ブラントリー:イアン・ブキャナン
ダイアン・ハンター:ディードル・ホール
クレーマー刑事:ブルース・カービー
本部長:ジョン・フィネガン

加筆:2020年7月26日加筆

52話「完全犯罪の誤算」

Agenda for Murder / 1990

政界入りを目論む弁護士オスカー・フィンチが自分の過去の汚点を知るステイプリンを殺害。フィンチは下院議員ポール・マッキーを支援し将来の司法長官を目指すが、無名時代にマッキーと共に犯した「証拠書類隠滅」をネタにステイプリンより脅迫されて犯行に至ります。

パトリック・マクグーハンが登場

犯人役のパトリック・マクグーハンはコロンボ作品中最も重要だとも言えるゲスト俳優。異常な程時間にシビアな犯人フィンチが、日本人には理解し難い下ネタジョークに大笑いしたり、タイヤを鳴らして急発進したりする場面はこっけい。このフィンチの最大の欠点が「つまみ食い」であるというのも、かなり計算された笑いどころだと感じます。

殺しの場面に血を使わないコロンボシリーズだったが…一滴だけ

殺人シーンの描き方は緊張感が漂うものでした。けど、撃たれた後に血が一滴?は若干違和感があります。それでもフィンチの工作シーンや、殺害後オフィスに戻って濡れた髪を乾かす仕草など、良く描かれていました。

新シリーズ中では最高ランクの作品

音楽の使い方も好きでした。冒頭のシーンの「デキシーランドジャズ」は印象的ですし、撃たれた時の効果音的な音楽も絶妙でした。エンディングの「命取りでした」というコロンボの言葉で画面が固まる場面など、新・刑事コロンボの作品の中ではダントツの出来だと言えます。

オスカー・フィンチの人物像は、強烈!

弁護士としての名声を博したオスカー・フィンチ。執拗につきまとうコロンボ警部に「死後硬直のアドバイス」をしたり、不敵な笑みを浮かべて自信満々に「電話じゃ人は殺せんよ」とマッキー議員に豪語したり、とても魅力的な描かれていました。

 
吹き替えは俳優の久米明さん。やはり流石です。選挙に勝利した祝賀ムードの中でコロンボ警部に「濡れちゃったズボン」と大声で指摘され、「失望したよ、キミ」という台詞を吐くあたり、最高潮です。また「下ネタジョーク」でアイリッシュのジョークは聞きたくないと答えるフィンチ氏。パトリック・マクグーハンはおそらくアイリッシュ系ではないでしょうか?自分はこの手の話には詳しくないので、勉強する必要がありそうです。

マッキー議員

ポール・マッキー下院議員役のデニス・アーント[Denis Arndt]もなかなかの好演です。表ではコロンボ警部に敬意を表しながらも、裏では「猿芝居」呼ばわりしていますね。でも、やはりそこは議員。うっとうしいサインの要求にも笑顔で応えていました。

フランク・ステイプリン

オスカー・フィンチの弱みに付け込み殺害されるフランク・ステイプリン役はルイス・ゾリック。声優さんの吹き替えもぴったりでとても良い味を出していました。

邦題「完全犯罪の誤算」について

「完全犯罪の誤算」という邦題は原題「Agenda for Murder(殺人の計画?)」とかけ離れますが惜しいですね~。フィンチ氏の「忙しさ」を表現すると思われる「Agenda」にこだわった題名が欲しかったと悔やまれます。

監督:パトリック・マクグーハン
脚本:ジェフリー・ブルーム

オスカー・フィンチ:パトリック・マクグーハン
ポール・マッキー議員:デニス・アーント
フランク・ステイプリン:ルイス・ゾリック
クレーマー刑事:ブルース・カービー
加筆:2011年2月19日

53話「かみさんよ、安らかに」

Rest in Peace, Mrs. Columbo / 1990

殴られるコロンボ警部でした

この作品は決して私の好きな「刑事コロンボ」ではありません。解決手段で、刑事コロンボシリーズ特有の「ひっかけ技」を持ち出していますが、犯人から「人でなし」と殴られる場面も登場しました。2話「死者の身代金」でも、レスリーの娘マーガレットに殴られたのですが、今回はもっとリアルでした。

賛否両論が激しく分かれる

ストーリー展開は一般的なコロンボ作品ではありません。葬式の出席者の回想シーンが繋がっていて、これまでにない独特の味を醸しています。

意外と支持される作品でもある…

一般的なコロンボ作品とは異なる…という点は、発言を撤回できないのですが、この作品がお好きだという方が割と多いのは事実です。コロンボ警部が「かみさんを愛している」風のラストシーンは、私も好きです。62話「恋に落ちたコロンボ」でも、同様の雰囲気を味わえますね。

初期作品びいきのオールドファンからの評価はなかなか得られない傾向ですが、形式に拘らない視聴者にはウケるようです。むしろ活発にご意見を頂けるようで、興味深いですね。

ラモンが作るチリは最高だった…

コロンボ警部は補佐役の刑事と一緒に入った「行き着けのレストラン」でチリを注文しますが、いつものシェフ「ラモン」がメキシコに帰ってしまったため味が変わってしまい、店にクレームをつけています。果たして、ラモンは「ティモシー・ケリー」なのでしょうか?

ロザンナ・ホフマンが再登場

家を買うお客さんの役で「二枚のドガの絵」の美術学校生トレーシー・オコーナー(ロザンナ・ホフマン)が出演しているとの情報を得ました。前作より約20年後の彼女…次回この点にも注目して見たいです。

ベニー刑事

26話「自縛の紐」のトライコン工業のエレベーターの警備員を演じた「エド・マクレディ」が後半の葬儀場面で登場する刑事(車に乗ってくる)役で16年ぶりに再登場しています。

ヘレン・シェイヴァー

ビビアンを演じる女優ヘレン・シェイヴァーは、本作の5年前に「ビビアンの旅立ち」という映画に主演しています。何かの縁を感じますね。

監督:ヴィンセント・マケヴィティ
脚本:ピーター・S・フィッシャー

ビビアン・ドミートリー:ヘレン・シェイヴァー
ベニー刑事:エド・マクレディ

加筆:2020年8月1日

54話「華麗なる罠」

Uneasy Lies the Crown / 1990

楽しむ意欲を持って見たくなる作品

歯科医ウェズリー・コーマン(ジェームズ・リード)が妻の愛人である俳優アダムを殺害し、自分の妻の犯行に見せるという話。犯行計画はかなり「きわどい」です。妻や愛人がすべて自分の思い通りに行動しないと成立しませんね。細かな容疑ポイント「車の転落原因」「ポケットのマッチ」など、もっと膨らませるのかな~。
とは言っても駄作揃いの新・刑事コロンボシリーズの中では、秀作の一つと言えるかも知れません。刑事コロンボは45作だ、と断言してしまうと楽しめない作品です。

奥さまは魔女のダーリン!

奥さまは魔女のダーリン役ディック・サージェントが脇役で出演していますが、カミさんと一緒に見ていて「これ誰だっけ?」と一緒に楽しめたことは良い思い出になりそうです。

ギャンブル好きが祟ってしまう

ただしストーリー全体を冷静に見直すと、犯人のウェズリーは今後この華麗なる家族と一緒にどうやって余生をすごそうと思っているのか?大疑問です。相変わらずのギャンブル好き、殺人犯人となった妻、自分に愛想を尽かした義父。馬鹿は死ななきゃ直らない…と言った感想です。犯人が「頭が良い」というコロンボ作品の理想からは大きく外れました。

不安な嘘クラウン?

原題は「Uneasy Lies the Crown」は「不安な嘘クラウン」と直訳されました。邦題の「華麗なる罠」は最低レベルのアイデアです。それと比較し「不安な嘘クラウン」は殺害方法と謎解きを引っ掛けたもので、やはり原題を重んじた方が良かったきがします。新・刑事コロンボの作品の中にはこのような「つまらない邦題」が多いですね。作品自体はもっと面白い気がします。
▲と書いたのですが…
直訳は「不安定な状態に歯冠はある」とするのがニュアンス通りで、背景設定からみても、ぴったりの原題とも言えるようです。これを上手に邦題に結びつけられなかった…のでしょうね。(2014年4月18日)

ジョンソン先生はスティーヴン・ギルボーン

検死医のジョージ・ジョンソン先生は「スティーヴン・ギルボーン(Steven Gilborn)」。この「華麗なる罠」の他、56話「殺人講義」、57話「犯罪警報」58話「影なき殺人者」と立て続けに登場します。とても素敵な俳優さんですよね。

同じく鑑識のおじさん

鑑識のおじさん「モーガン・ジョーンズ」も、。この「華麗なる罠」の他に51話「だまされたコロンボ」、56話「殺人講義」にも同役で出演していてちょっと気になる俳優さんです。

なんで、バーニーズ・ビーナリーが駄目だったか?

2話の「死者の身代金」で登場した「バーニーズ・ビーナリー(写真)」。今回は、ウェズリーが義弟のデイヴィッドと一緒に呼び出される際お店を決めるのに、「バーニーズ・ビーナリー、いや駄目…」と、口にしています。夜の11時だったので、もう閉店後だったのかな。

監督:アラン・J・レヴィ
脚本:スティーブン・ボチコ
ウェズリー・コーマン:ジェームズ・リード

加筆:2020年8月18日

55話「マリブビーチ殺人事件」

Murder in Malibu / 1990

工夫のないタイトル

原題が「Murder in Malibu」ということで、ほぼ直訳の邦題がついています。まるで「サスペンス劇場」みたいな題名ですね。ビーチは要らなかったような気もしますね。題名がストレートな割に、ストーリーはひねった構成になっています。

これも賛否両論あります

見る側を楽しませるための工夫が随所にあるのだと思いますが、どれにも首をひねりました。犯人ウェイン・ジェニングス(アンドリュー・スティーブンス)は若いキャラクターですし、被害者のテレサの「知的な美しさ」の表現にも期待したかったです。

犯人のウェインはプレイボーイ

犯人のウェインがプレイボーイで無類の女好きという描かれ方なので仕方ないのでしょうが、事件解決の直前にテレサの姉のジェス(ブレンダ・バカロ)にすり寄るシーンは、ウェインの下品さを強調する演出ですね。

伝統的な「倒叙法」で作品が作られていない

このマリブビーチ殺人事件が作られた1989-1990年あたり、「汚れた超能力」「殺意のキャンバス」「かみさんよ、安らかに」など、突飛なアイデアに走りすぎた感のある作品が多いですね。汚れた超能力では生々しい流血、殺意のキャンバスでの懐古シーン、かみさんよ、安らかに‥などは視聴者を映像的に騙す構成になっています。

この作品は犯人のようで犯人でないかも‥、でもやっぱり犯人っていう作戦でした。私はコロンボ作品は原則的に「倒叙法」が好きですね〜やっぱり。ま、偉そうなこと言っても作品を作る側の苦労は並大抵ではないのでしょうね。お察しします。

ロッカ夫人

ジェニングスの恋人の一人、ロッカ夫人(電話をかけてくる女性)は女優ソンドラ・クリーです。彼女は58話「影なき殺人者」でコロンボと一緒に捜査に当たるハバック巡査を演じています。二人はずいぶん雰囲気が違って見えて、一見気づきません。

フロイド・レヴィン

コロンボ警部は久々にゆで卵を食べながらの登場。初動捜査からコロンボ警部と行動を共にするシュルツ警部は、旧知の間柄だと思われます。ちょっと気になるので調べてみたら「フロイド・レヴィン」という俳優さんで、映画やテレビでかなり活躍されているようにお見受けしました。

お父さんは

ケーブルテレビの映りが悪かったと文句を言うお父さんは、俳優:ビル・ザッカートです。彼は27話「逆転の構図」や33話「ハッサン・サラーの反逆」に刑事役で登場しています。前作から15年が経っていてほぼ面影はありません。

ブログ訪問者さんから情報を得て、検証してみました。

37話「さらば提督」のチャーリー・クレイ邸と、55話「マリブビーチ殺人事件」のテレサ・ゴーレン邸は同じでした。

クレイ邸テレサ邸

左:チャーリー・クレイ邸 右:テレサ・ゴーレン邸

周囲が車寄せの道に囲まれた円形の花壇が印象的な豪邸です。マリブビーチというロサンゼルス中心から西の方向に位置します。おそらく近くには「マイロ・ジャナス」「ブリマー」「マックス・バーシーニ」「フィールディング・チェイス」などの有名人が住んでいました。実在の「ピーター・フォーク」の家も近かったようです。

監督:ウォルター・E・グローマン
脚本:ジャクソン・ギリス
ウェイン・ジェニングス:アンドリュー・スティーヴンス
ジェス・マクディ:ブレンダ・バッカロ
テレサ・ゴーレン:ジャネット・マーゴリン

加筆:2020年8月18日

56話「殺人講義」

Columbo Goes to College / 1990

現代に通じる殺人動機…

大学生のロウとクーパーが通う大学の担任教授ラスク(ジェームス・ストリウス)を殺害。裕福な家庭に育った不良学生がテスト問題を盗んだことがばれて、口封じに犯行に及びます。これは、21世紀になった今日、日本で起きそうな事件だと思うとゾっとします。

子供のような年齢の犯人と対峙するコロンボ警部

話の進行は、犯人の二人の学生がコロンボを「無能な中年刑事」と見下し、自分たちの都合の良い方向へ捜査を誘導して行きますが、その不自然な行動からすぐさまコロンボに見破られてしまいます。コロンボを尊敬する演技を見せるロウ(スティーヴン・キャフリー:写真)とクーパー(ゲイリー・ハーシュバーガー)ですが、影で馬鹿にしていることまで、コロンボに見透かされますね。愚かすぎマス。

コロンボ、大学に行く~

犯人が大学生ということで、私の好きな「成功者の転落劇」ではありません。コロンボ警部が大学の臨時講師として招かれ、その時にちょうど事件が起こるというのもちょっと…強引。原題は「Columbo Goes to College」で私流に訳せば「コロンボ、大学に行く~」となり、ダメの3連発。邦題「殺人講義」はそれと比べ良く出来たタイトルと言えます。

フリーモント大学

舞台となる「フリーモント大学」は「ペパーダイン大学」だそうです。だとすると…31話「5時30分の目撃者」で、コリアー先生が勤める大学病院、32話「忘れられたスター」の外科医ランズバーグ先生の病院と同じロケ地だという可能性があります。→廊下に色ラインが描いてある病院

ロバート・カルプ

物語の後半からは、4話「指輪の爪あと」などで活躍した名優「ロバート・カルプ」が出演しています。犯人の一人ジャスティン・ロウの父親ジョーダン役で、やはりこのような憎たらしいキャラクターが似合います。

ラストの「カミさんの車」は…常套手段化

コロンボ警部が仕組んだ「カミさんの車」は言うまでもなく、25話「権力の墓穴」の再現。53話「かみさんよ、安らかに」でも、同じような手法を用いていて、コロンボシリーズを見続けている人にとっては、またコレか?という印象。
 

それでも合格点

犯人の二人は、落第点をもらってしまうが、新・刑事コロンボのシリーズの中では、良い仕上がりの作品だと言えます。殺害トリックは40話「殺しの序曲」を彷彿とされるような手の込んだものでした。

監督:E・W・スワックハマー
脚本:ジェフリー・ブルーム
ジャスティン・ロウ:スティーヴン・キャフリー
クーパー・レッドマン:ゲイリー・ハーシュバーガー
ジョーダン・ロウ:ロバート・カルプ

加筆:2015年3月5日 

57話「犯罪警報」

Caution: Murder Can Be Hazardous to Your Health / 1991

千両役者:帰ってきたジョージ・ハミルトン

人気司会者のウェイド・アンダースが元キャスターのバド・クラークを殺害。犯人がテレビ業界の有名人、被害者が犯人の過去を知って脅迫、追いつめられた犯人が殺害といった王道のど真ん中をゆく作品。しかも、犯人役にはジョージ・ハミルトンを起用。ということで、背景は文句なしです。

犯罪警報の邦題は絶妙!本当は「健康」がテーマ?

原題の直訳は「警告: 殺人は健康のために危険であるかもしれません」と出ました。これは面白いですね。やはり、「タバコは不健康と忠告しつつ、タバコに無知識であったために、犯罪を暴かれた」という教訓が重要であったという感じでしょうか。これに対し邦題の「犯罪警報」は絶妙。劇中の番組のタイトルまんまですが、ぴったりだと思います。

犯行トリックに関しては、全然駄目でした~

自分が刑事でも「吸い殻の不自然さ」は見逃しませんね。犯人のアンダースは、死に至った被害者クラークに対し「だからタバコはやめろと言ったんだ」的な台詞を吐きますが、実は「タバコの知識に疎いくせにタバコを殺人に利用した」ことが命取りだったというオチですね。
特に印象的なのがコロンボ警部から「ニコチンのシミがフィルターについていない(つまり煙草を吸わない人による工作)の怪」を指摘されるシーンでの顔。半開きの眼で自らのミスを後悔する表情はとても良いです。

ダンディな犯人とヨレヨレ刑事の対比

ウェイド・アンダースの紳士ぶりとコロンボ警部の身なりの対比も面白いです。これは旧作20話「野望の果て」で、上院議員候補ヘイワード氏とのシーンを思い出させます。

バド・クラークの逆襲

殺害されるバド・クラーク役のピーター・ハスケルは好きでした。「まだタバコを吸っているのか?」とアンダースから忠告され「スハ~~~~」って彼の顔に煙を吐きかけて返事をするあたり、なかなかの態度。そのくせ、死ぬ間際に「く苦しい、たすけて~」とアンダースに頼むあたりも憎い。

恥ずかしい過去は、いつかバレたような気も…

ポルノ映画に出ていたことで脅迫される犯人ですが、ビデオ屋の主人もその事実を知っているので、クラークの口を封じでも、やがて明るみになったでしょうね。もう少し頑張ってくれたら、初期作品に匹敵するほど好きになれたと思います。

ジョージ・ハミルトンは1974年の31話「5時30分の目撃者」に続く2度目の犯人役。旧作・新作で何れも犯人役を演じたのは、「パトリック・マクグーハン」「ウィリアム・シャトナー」と、この「ジョージ・ハミルトン」の3人のみ。

監督:ダリル・デューク
脚本:ソニア・ウルフ・パトリシア・フォード・エイプリル・レイネル
出演:ジョージ・ハミルトン、ピーター・ハスケル etc.
加筆:2012年3月20日
 

58話「影なき殺人者」

Columbo and the Murder of a Rock Star / 1991

もしも「共犯」が前提なら、評価は全然変わってくる

「お面をかぶってスピード違反をしてくれ」と犯人ヒュー・クライトンは、共犯者でもない秘書のトリッシュにお願いしたとのこと。誰かスタッフの一人でも「このお話には無理がある…」と進言できなかったのでしょうか?

それなら最初から「一緒に愛人を殺してくれ」と秘書に依頼すべきだった?‥そうであればグっと真に迫れた気がします。「お面をかぶってスピード違反」は、計算された立派なアリバイトリックです。ただし、毎回共犯者がいるような設定に甘んじては、コロンボ作品としての品格も薄れるでしょうが。

これは知っておきたい!

犯人ヒュー・クライトンは俳優さん「ダブニー・コールマン」。なんとこの人は17話「二つの顔」でマレー刑事役として出演しています。クリフォード家の現場検証のシーンで、けっこうセリフも多く印象に残るキャラクターです。18年前のことで風貌も一変しています。

ゲストスターは女優シェラ・デニス

本作のゲストスターはシェラ・デニス。ダブニー・コールマンはスペシャル・ゲストスターとクレジットされていることも興味深い。

ダフィ警部(ジョン・フィネガン)が大出世…?

51話「だまされたコロンボ」で登場した「ジョン・フィネガン」の本部長が、再登場。今回は「クエンティン・コルベット」と名前まではっきり出ていました。本部長(Chief)と言っても、一番偉い警察本部長ではないような気がしまが、どうでしょう?。

ハバック巡査

一緒に捜査に当たるハバック巡査は女優ソンドラ・クリーです。彼女は55話「マリブビーチ殺人事件」でジェニングスの恋人の一人、ロッカ夫人(電話をかけてくる女性)を演じています。ぜんぜん雰囲気が違いますよ。

検死医のジョージ

鑑識のジョージは新シリーズではお馴染みの俳優:スティーヴン・ギルボーンです。54話「華麗なる罠」、56話「殺人講義」、57話「犯罪警報」にも登場します。

何と本物のリトル・リチャードが登場

全く不要のシーンですが、リトル・リチャードが劇中で登場します、残念と言うしかないです。コロンボ警部はロック音楽が苦手ということでしょう、本来なら「え~~、あの有名なリトル・リチャード本人~?カミさんに話したら卒倒するよ~」って台詞があって自然じゃないですか?
 

コロンボとロック・スター殺人事件…

タイトルに使われている曲(題名:クローザー)ですが、なんと歌っているのは「シェラ・デニス」。劇中では歌手マーシー・エドワーズの作品だということです。受賞歴を重ねたスターシンガーにしては、歌唱力がちょっと…。という声もききましたが…やはり(笑)

エンディングにもこの歌が!

2012年にAXNミステリーで見たのですが、エンディングではコロンボ警部が車を運転しながらタイトル曲を一緒に歌っています。それが、恐ろしく下手なんです。ピーター・フォークの肉声(あるいは吹き替え?)だと思われます。ピーター・フォークは他の作品でも歌を歌っていますが、こんなに下手だっけ?調べることにしましょう!(加筆:2012年3月)

監督:アラン・J・レヴィ
脚本:ウィリアム・リード・ウッドフィールド
トリッシュ・フェアバンクス:シェラ・デニス
ヒュー・クライトン:ダブニー・コールマン
マーシー・エドワーズ:シェリル・パリス
コルベット本部長:ジョン・フィネガン

加筆:2020年8月16日

59話「大当たりの死」

Death Hits the Jackpot / 1991

ありそうで無かったテーマで楽しい!

3000万ドルの宝くじを当てた甥のフレディ・ブラウアー[ゲイリー・クローガー]を叔父のレオン・ラマー[リップ・トーン]が殺害。投資の失敗で破産を免れなくなった宝石商レオンが、宝くじで大当たりした甥フレディを巧みに騙し、賞金を横取りします。もしもこのような場面に遭遇すれば、誰しも陥りそうな心境を表現しています。

賞金額は約30億円

1ドルを100円と考えて計算すると、3000万ドルは約30億。フレディは気前よくレオンに10%をプレゼントすると言っています。3億円ですね。投資で大失敗したら、3億円では物足りないか…。ナンシーとの共犯で、分け前(1/2)で15億円になってしまうことを考えると「共犯者の始末」も、構想にあったかな…恐ろしい。
※執筆当初、1ドルを300円強で計算しましたが、100円程度で再計算して文章を訂正しました。(2013年4月)

大当たりを甥から強引に奪い取った男

コロンボ警部から次々に「ひっかかる点」を指摘され、当然のごとく無理矢理「肯定」しまくるレオン・ラマー。「当たり番号=カメラの絞り値」を発見され「その通り」と認めるシーンは爆笑。「宝くじで大当たり」を甥から強引に奪い取った男の心理描写も面白く描かれた作品でした。

音楽の使い方が実にうまい

オープニングから場面転換などで使われている音楽がとても可愛いですね。フレディが「オレは金持ち」と鼻歌を歌う曲です。甥っ子が宝くじに当たったというストーリーの始点をうまく表現しています。その反面、突如シーンが途切れるように感じる場面もあり、不思議でした。

レオン・ラマー役のリップ・トーンが素晴らしい

犯人役のリップ・トーンは素晴らしいです。発する台詞のあちこちで「可愛さ」を発見できます。コロンボと初対面で迫真の演技を終えた後「ス~」っと息をつくシーンが特に好きです。吹き替えの阪脩(さか おさむ)さんも素晴らしいのでしょうね。

犯人役のカテゴリーとしては「可愛い系」です。人間臭さがプンプンですね。奥様のピアノの演奏を聞いてあげている場面は上手く表現されています。絶妙の「偽善者」ぶりです。

なかなかの名言

レオン・ラマーが甥のフレディに「お前が悩みをひとつ語り、私がひとつ語る。全部語り終えてまだ持ちこたえている方が、賞金を獲るとするか?」とぼやいたのは名言。

ジェイミー・ローズも可愛い

共犯のナンシー役:ジェイミー・ローズも馬鹿女ぶりを好演しています。コロンボの前で「迫真の演技」を披露しますが、難なく見抜かれてます。これもなかな笑えるシーンです。殺人の共犯者ということで、結局は賞金を受け取ることはできなかったのでしょうね多分。

下品な描写が少しだけ残念…

その反面、私が少し残念に感じたのはナンシーとレオンの描かれ方(男女関係)がいかにも下品なこと。性的な描写なしでも成立したと思うのです。ただ、この下品さがこの作品の最も特徴的な面であると考えれば納得です。それを差し引いても、新・刑事コロンボの中では好きな作品のひとつです。

じたばたするラストシーン

またエンディングでは互いを仲間割れさせて、一網打尽にする作戦が見事に成功しています。これは、犯人が潔く犯行を認めるという「コロンボの美学」には反しますが、新シリーズではこのようなラストも多くなりました。

ストローラー刑事

主に後半に登場するジャック・ストローラー刑事はウォーレン・ベイリンガー。コロンボと同年代っぽくて可愛い刑事さんでした。やっぱベテラン刑事は絵になります。

エド・マクレディ

26話「自縛の紐」のトライコン工業のエレベーターの警備員を演じた「エド・マクレディ」がレオン・ラマーの宝石店の警備員になっています。ラマーが3000万ドルを当てたことをコロンボに教える人です。

監督:ヴィンセント・マケヴィティ
脚本:ジェフリー・ブルーム

レオン・ラマー:リップ・トーン
ナンシー・ブラウアー:ジェイミー・ローズ
フレディ・ブラウアー:ゲイリー・クローガー
買い物をする女性:ダイアン・ ターレイ・トラヴィス
宝石店の警備員:エド・マクレディ

加筆:2020年8月2日
 
 
 

60話「初夜に消えた花嫁」

No Time to Die / 1992

この作品は私のような古典的コロンボファンにとっては、許されざる類のお話なのですが、意外と高く評価する人も存在するのです。これは面白い現象です。

賛否両論あります

激しく賛否両論が出ます。酷評が多いのですが、この作品が好きだという意見も頂きます。例えば18話「毒のある花」、22話「第三の終章」など、比較的「賛否どっちも少ない」作品より話題になるみたいです。

何年かかろうと、深く分析したい作品

私のコロンボ作品の鑑賞回数としては、この「初夜に消えた花嫁」と「死を呼ぶジグソー」が最も少ないです。どうしても好きな作品を中心に記事を書きがちですが、この作品もいつか深く探求して記事を書き上げるつもりです。

監督:アラン・J・レビイ
原作:エド・マクベイン
脚本:ロバート・バン・スコイク

アンディ:トーマス・カラブロ(大塚芳忠)
メリッサ:ジョアンナ・ゴーイング(佐々木優子)
ストラッサー:ダニエル・マクドナルド(谷口節)

加筆:2020年8月18日

61話「死者のギャンブル」

A Bird in the Hand… / 1992

ギャンブル好きのハロルドが大金持ちの叔父のビッグ・フレッド殺害を企てるが、実行の直前に交通事故死。自分の仕掛けたトリックで罪の無い庭師を殺害してしまう。実は真犯人はビッグ・フレッドの妻ドロレスというひねり技。
51話「だまされたコロンボ」に近い感覚で「長い作品だな~」という印象はありますが、悪い意味ではありません。叔母と甥が男女関係にあることには多少の嫌悪感を持ったのは本音です。

良い意味で下品なゲストスター

犯人役の「タイン・デイリー」は(良い意味で)下品さを表現しています。タイン・デイリーが嫌いというわけではありません、あくまでコロンボ作品のゲスト俳優としてです。ラストシーンでのファッションコーディネート(緑のやつ)はある意味、絶品でした。

女優タイン・デイリー

彼女は64話「死を呼ぶジグソー」にも娼婦役で出演しています。また有名どころでは映画「ダーティハリー3」でクリント・イーストウッドの相棒「ケイト・ムーア」を演じています。すごく良い役どころです、ぜひご覧ください。
それはそれとして、新シリーズでは、19話「別れのワイン」のエイドリアンとカレンのような品のあるカップルが全く登場しなくなりました。20年という時の流れを感じます。

またしても「馬鹿は死ななきゃ直らない」

私は成功者の転落劇のようなコロンボ作品が好みですので、こういった「馬鹿は死ななきゃ直らない」風の主人公(ギャンブラー:ハロルド・マッケイン)には魅力を感じませんね。

私が自称「努力家」だからかもしれませんが。しかも、罪のない庭師を殺してしまうこともね~。そんなことを言い出したら、二人が同日にビッグ・フレッドの殺害を企てるってのも、無理がありますしね。ま、いっか。

エド・マクレディ

26話「自縛の紐」のトライコン工業のエレベーターの警備員を演じた「エド・マクレディ」がカジノの従業員エドで再登場しています。ハロルドにポーカートーナメントの券の販売した男性です。

監督:ヴィンセント・マケヴィティ
脚本:ジャクソン・ギリス
ドロレス:タイン・デイリー
ハロルド・マッケイン:グレッグ・エビガン
カジノの店員:エド・マクレディ

加筆:2020年8月2日