12話「アリバイのダイヤル」

The Most Crucial Game / 1972

犯人ポール・ハンロンの殺害動機

スーザン・ホワードフットボール・チームのゼネラル・マネージャー、ポール・ハンロンがオーナーのエリック・ワグナーを殺害。私の考えでは「動機が不十分」。おそらくハンロンは、大金持ちで球団オーナーのエリックを殺害した後、エリックの妻シャーリー(スーザン・ホワード)と再婚し、お金とスポーツ施設の支配権の両方を手に入れるという壮大な未来像を描いていたのか…。とすれば頷けます。

俳優ロバート・カルプの魅力

ロバート・カルプこの「アリバイのダイヤル」という作品、フットボールスタジアムを背景に、大きなスケールで描かれていますが、何と言っても一番の魅力はゲストスターの「ロバート・カルプ Robert Culp」の演技。数多い刑事コロンボのゲストスターの中で、最も重要な俳優の一人です。

ロバート・カルプが毎回同じファッションをしている件

アリバイのダイヤルのロバート・カルプこれはかなり味の良いトリビアです。ゲストコメンテーターさんが発見してくれました。ロバート・カルプが犯人役を演じた3作品ですが、何といずれも「同じ服を着ているのです」。→詳しくは「ロバート・カルプが毎回同じファッションをしている件」をご覧ください。

刑事コロンボマップ:ポール・ハンロンのコロシアム

詳しくは知りませんが、このロバート・カルプを起用するという前提で、話が展開してゆくと言っても過言ではありません。作品の良し悪しとしては、秀作の4話「指輪の爪あと」を上回るかどうか判断できませんが、今回のカルプは「指輪の爪あと」を凌ぐ迫真の演技です。

「目で語る」演技の応酬

ピーター・フォーク話の流れや細かな点はさておき、今回の主題は「目で語る」演技でした。ハンロンが犯行後に、オフィスに戻り、冷や汗ものでコーチを利用したアリバイを完成させたときの目。コロンボ警部がハンロンのオフィスを初めて訪問するシーンで、警部から「矛盾をつかれた」後の目。

そして最後に、ハンロンの犯行を暴いたコロンボとハンロンの目での語り合い。これらの演技を発見できなければ、この作品の良さは理解できない気がします。

数々の布石

置時計の音がアリバイ崩しの決定打となりますが、「時計が壊れていた」と開き直ることも十分できたでしょう。しかし、もう逃げられない…。と観念させるシチュエーション作り、これがコロンボ警部の真骨頂なのです。それには、数々の布石が存在します。よく見ると、画面背景に何度も登場する置時計。「カルキ臭のしない不自然さ」から始まり、「インターフェアー後の電話」「アイスクリーム売りの車」の発見など。

犯人の「気がかり」を「手がかり」に

キャシー・ケリー・ウィジェットそして最も強烈だったのが二日でクビになった秘書をとの関係を突き止めたことでしょう。場面を振り返ると、何気なく新しい秘書(キャシー・ケリー・ウィジェット)とハンロンの会話「ロゴージンさんから何度も電話がかかって来ています」「今日は多忙を極め、電話には一切出ない」という些細な手がかりにしっかり聞き耳を立てていたのです。

一度見ただけでは気付きにくい、ピーターフォークのさりげない演技。

さらに、強烈な一打。これが最大の打撃です。ハンロンはどんな場面でも、フットボール中継のボリュームを消さないのに「カルキ臭のしない不自然さ」を見抜かれた時に、音を消した。それを初訪問で見破っているコロンボ警部。脱帽です。このシーンを見返すと一瞬コロンボの顔が変わって、「今は、これ以上お邪魔しません」と聴取を切り上げています。明らかにハンロンを犯人だと断定した瞬間だと思われます。

見事なエンディング描写

最後のシーンでは、このような今までに遭遇したことも無い程の頭脳と観察眼を持ったヨレヨレ刑事に、崖っぷちまで追い込まれ、その表情により「自分が犯人でございます」と言わされたハンロン=ロバート・カルプの演技が圧巻、というわけです。テープレコーダーが再生し終わり、空回りするエンディングは素晴らしかったですね。

ディーン・ストックウェル

ディーン・ストックウェル殺害されたエリック・ワグナーは、倒れ方が見事!演じた俳優はディーン・ストックウェルです。雰囲気が変わっていて気付きにくいのですが、29話「歌声の消えた海」(ゲスト俳優:ロバート・ヴォーン)で濡れ衣を着せられたバンドのピアニスト「ロイド・ハリントン」と同一人物です。

ヴァル・アヴェリー

ヴァル・アヴェリー盗聴器を仕掛けた探偵のラルフ・ダブス役は「ヴァル・アヴェリー」で、この他にも、5話「ホリスター将軍のコレクション」貸ヨット屋のオヤジ、25話「権力の墓穴」の前科者アーティ・ジェサップ、34話「仮面の男」のシンドバッドのオーナー「ローウィ」も演じました。

盗聴された場所について

ディーン・ジャガー盗聴されていた場所は「ワグナー邸」「ハンロンの事務所」の2箇所。ワグナー邸を盗聴させたのは弁護士のウォルター(ディーン・ジャガー)、ハンロンの事務所を盗聴させたのは誰かは言及されていないが、これもおそらくウォルター。ダブスが白状したと思われます。

勘違いしそうになりますが、スタジアム内の専用ボックス席は、盗聴されていません。ここは、ロケットの試合がある時だけ使われる部屋で、ハンロンのオフィスは別の場所です。

リゾコーチは

ジェームズ・グレゴリーフットボールチーム「ロケット」のリゾコーチは、8話「死の方程式」のバックナー社長も演じた、ジェームズ・グレゴリー。人間味が感じられるキャラクターです。派手な赤いジャケットがよく似合っていました。

ヴァレリー・ハーパー

ヴァレリー・ハーパーイブ・バブコップ(別名:ロゴージン)を演じたのは女優「ヴァレリー・ハーパー」です。軽いノリで楽しいシーンを作ってくれました。素敵な女優さんです。

旅行会社のフレモント氏

リチャード・スタルハンロンのモントリオール行きの旅行の予約を調べに行った旅行会社の場面。コロンボが靴擦れで足が痛いこともあって、活気のない会話になってます(笑)。面倒臭そうに接客する人は「リチャード・スタル」という俳優さんで、18話「毒のある花」でも旅行会社のボス、21話「意識の下の映像」にも登場しますので要チェックです!

クレメンス刑事はクリフ・カーネル

クリフ・カーネルエリック・ワグナーの邸宅で「らんちきパーティ」発言をするクレメンス刑事は俳優クリフ・カーネルです。9話「パイルD-3の壁」、34話「仮面の男」にも出演しています。

クリンゴン人マーラ

スーザン・ホワードエリックの妻を演じたスーザン・ホワードは、宇宙大作戦(スタートレック)の「宇宙の怪!怒りを喰う!?」で、クリンゴン人の女性マーラ役で出演しています。画面に登場した初めてのクリンゴン女性らしいです。これはすごい発見!

コロンボ警部持参の魔法瓶

コロンボ警部の魔法瓶ラストシーンのスタジアム内の専用ボックスで大きなバッグからテープレコーダーと一緒についでに取り出す魔法瓶。カップ(蓋)が赤くて、本体がアルミ色です。コロンボ警部の私物「魔法瓶A」とします。これは21話「意識の下の映像」で映写技師のロジャー・ホワイトのアイス・ティーが入った魔法瓶、22話「第三の終章」でマロリーさんの殺害現場で、冷めたコーヒーをもらう魔法瓶と同じだ!
→刑事コロンボと魔法瓶

エリック・ワグナー邸はケン・フランクリン邸と同じ

エリック・ワグナー邸は、この他にも「構想の死角」のケン・フランクリン邸としても登場します。長年スタール邸だと勘違いしていましたが、ベルエア地区にある別の家で、「権力の墓穴」のマーク・ハルプリン次長宅に近いです。
エアオールウェイの豪邸

エリックワグナー邸
ポール・ハンロンがアイスクリームの車で訪れるシーン(左)。グーグルアース(右)で見た、この道沿いに車を停めたのだと思われます。個人情報になりますので、現在の家の形は掲載していません。

刑事コロンボマップ

オーシャン・サイド・イースト・カフェ

Ocean Side East Cafe12

Ocean Side East Cafe41

探偵ダブスとコロンボ警部が会う店は、「オーシャン・サイド・イースト・カフェ」です。駐車場の階段を降りた所にお店があります。この階段は41話「死者のメッセージ」で犬の散歩中にアビゲイル・ミッチェルに出くわす、海岸沿いのデッキと同じ(あるいは近い)場所です。手すりの色が違いますが、5年経っているので、取り替えられたのかな。

監督:ジェレミー・ケイガン
脚本:ジョン・デュガン

ポール・ハンロン:ロバート・カルプ(声:梅野泰靖
エリック・ワグナー:ディーン・ストックウェル(声:森功至)
シャーリー・ワグナー:スーザン・ホワード(声:武藤礼子)
ウォルター・キャネル弁護士:ディーン・ジャガー(声:真木恭介)
ラリー・リゾ コーチ:ジェームズ・グレゴリー(声:富田耕生
イブ・バブコック:ヴァレリー・ハーパー(声:荒砂ゆき)
秘書:キャシー・ケリー・ウィジェット
探偵ラルフ・ダブス:ヴァル・アヴェリー(声:塩見竜介
クレメンス刑事:クリフ・カーネル
旅行会社のフレモント:リチャード・スタル(声:谷口節
フットボール実況(声:塩見竜介)
副検視官:ドン・キーファー

加筆:2023年1月14日

22話「第三の終章」

Publish or Perish / 1974

2022年の加筆

出版社社長のライリー・グリーンリーフが、契約がもつれたことを恨み、お抱えの売れっ子小説家マロリーを殺害します。この殺害計画に「殺し屋」を雇ったというのはシリーズ中、唯一で、ぼろんこの好みではなく、推薦作から漏れています(*)。ただし、本作を推すファンも多いようで、奥が深そうです。

ガッチリしたアリバイを主張しなかったグリーンリーフ

実行犯はエディ・ケーンなので、もともとアリバイは完璧なはず。しかしグリーンリーフはその夜泥酔していたため、アリバイを主張できない。鍵が殺人現場に落ちていたり、凶器の拳銃もビル内で見つかり、彼のものであったり。あたかもグリーンリーフが犯人であるかのように、証拠がぼろぼろ出てきます。

見逃しがちな些細なシーンに、凄さが隠されている…

テッド・ゲーリング殺人現場の初期捜査で、コロンボ警部がコーヒーやベティ・デイヴィスの映画の話をしながら「カギが合わない」ことを発見する場面。殺人とは無関係の話に気をとられるとポイントを逃します。この時コロンボ警部の話相手になる警備員は、テッド・ゲーリング。

犯人を捕らえる罠工作

カギ屋に立ち寄っているシーンここを見逃すな!という場面はその後、先述した通りグリーンリーフへの疑惑を抱くコロンボが、「ブラックさんのカギ屋に立ち寄っているシーン」数秒のカットで、ウインドウ看板の文字を見なければ、単に「道を尋ねている」くらいにしか気に止めないのですが、このとき既に「グリーンリーフがカギに対する疑惑を解消するために、動く可能性がある」と睨み、細工(カギの交換を発注)をしているのです!

濡れ衣作戦が命取り

エディ・ケーンに全ての罪をなすり付けて、グリーンリーフの作戦は成功するはずだった。マロリーの新作のアイデアが、エディ・ケーンによる持ち込みであったとか、その件で揉め事に発展したとか。凶暴性も含め、彼の犯行動機まで結びつけている。しかし結末は、エディ・ケーンが持っているはずのないマロリーの鍵、そして彼には書けないはずの梗概(あらすじ)が決め手となりました。

原題は「出版か死か(Publish or Perish)」

「第三の終章」という邦題が少し損しているでしょうか?この第三は何を表しているのでしょう。「終章」という言葉も本編には出てこないし。「梗概(こうがい)」を邦題に含めて欲しかった願望があります。例えば‥「盗まれた梗概」とか、笑っちゃいます?殺し屋を雇った(*)ことがマイナスポイントとしなければ、格好良い作品だと言えるかも知れませんんね。

グリーンリーフの悪態が炸裂!

ジャック・キャシディコロンボ作品の中でもスピルバーグ監督が手がけたとして有名な3話「構想の死角」に続き、ジャック・キャシディが犯人役ライリー・グリーンリーフとして再登板。前作以上とも言える圧倒的な存在感です。特に第一殺人のアリバイ工作のために、バーで管を巻くシーンでの台詞「臭せ~店だ。お前もこの店もドブの臭いがする」は、絶好調でした!でも、泥酔し車をぶつけた相手のご婦人に「そんな顔じゃ、整形手術をした方が良いよ」は、言い過ぎ!ドラマの中の台詞としては節度を欠いています。

ジョン・デイビス・チャンドラーのパワー

ジョン・デイビス・チャンドラー第二殺人で被害者となる共犯のエディ・ケーン(ジョン・デイビス・チャンドラー)のキャラは強烈。数々の映画作品に出演されている俳優さんのようです。この「第三の終章」では、ジャック・キャシディ以外のすべての出演俳優を吹き飛ばすパワーを感じました。

エディ・ケーンは橋爪功さん

そのエディ・ケーンの日本語吹き替えは橋爪功さん。日本のミステリードラマなどで数多く刑事役を演じています。(本作とは関係ないけど)

人間コロンボを垣間見るシーン

ロッキー・フレール本筋とは関係がありませんが、高級レストラン「チェイソンズ」でのシーン。おんぼろカーでレストランに到着した時、駐車係(ロッキー・フレール)に「あのクルマは盗まれないから大丈夫」と移動サービスを拒否されていました。

高額なチリを注文してしまう

モーリス・マルサック大好物のチリを注文する場面ではウエイター(モーリス・マルサック)に、メニューに無いチリを無理矢理注文し、さらにケチャップや塩を要求(自分の味にこだわる姿勢?)したりして笑えます。支払い時に高額な請求をされ笑いを誘います。乱暴に計算しますと、チリが6ドルで1800円、追加請求のアイスティが75セントで225円となり、アイスティの方は高級レストランにしては、極端に安い?のかもね(笑)

気になる女優「マリエット・ハートレイ」

マリエット・ハートレイニール出版の秘書アイリーン役のマリエット・ハートレイは41話「死者のメッセージ」でも犯人アビゲイル・ミッチェルの秘書ベロニカを演じています。見た瞬間に目が止まるような不思議な魅力のある女優さんです。

同じマンションに住んでいる?

刑事コロンボのマンションところでアイリーンと11話「悪の温室」のグロリア・ウエストのマンションは同じ外観です。二人がご近所さんであることは間違い無し。

大草原の小さな家「父さんの秘密」

マリエット・ハートレイ大草原の小さな家のシーズン2・19話「父さんの秘密」(1976年)。魅力的な未亡人「エリザベス・サーモンド」役でマリエット・ハートレイを見ることができます。美しく優しい女性として描かれています。

宇宙大作戦(スタートレック)

マリエット・ハートレイまたマリエット・ハートレイは、宇宙大作戦(スタートレック)の「タイムマシンの危機」の回のザラベス役で出演しています。あのスポックが彼女に恋愛感情を抱くエピソードです。1969年放送で、彼女が29歳の時です。

アラン・マロリー役は本物の小説家

ミッキー・スピレインアラン・マロリーを演じたミッキー・スピレインは、ハードボイルド探偵小説「マイク・ハマー」シリーズで知られる有名な小説家です。

ジェフリン・ニール

:ジャックス・オーブションニール出版の社長ジェフリン・ニールは俳優:ジャックス・オーブション。そして日本語吹き替えは、アニメ「ルパン三世」の次元大介や、俳優ジェームズ・コバーンの吹き替えとして知られる「小林清志」さん。58話影なき殺人者のヒュー・クライトン(ダブニー・コールマン)も担当されました。

スイーニー刑事

ルー・パルター第一殺人の現場検証で登場するスイーニー刑事は俳優:ルー・パルター。「スイーニー、そっちなんかあった?」「ないっすね、出るのは埃ばっかり。」こういうマリオ風のキャラクターはぼろんこ好みです、名前も可愛いし(笑)

弁護士のチェイス

アラン・ファッジ弁護士のデイビッド・チェイスを演じたのは、俳優アラン・ファッジ。気付きにくいのですが、この人は46話「汚れた超能力」に登場するCIAのハロー氏と同一人物。さらには56話「殺人講義」の犯人クーパー・レッドマンの父親。

コロンボ警部持参の魔法瓶

コロンボ警部の魔法瓶前半のマロリーさんの殺害現場で、冷めたコーヒーをもらう魔法瓶は、カップが赤くて、本体がアルミ色です。これはマロリーさんのために毎晩用意された魔法瓶なのに、12話「アリバイのダイヤル」でコロンボ警部が持参した魔法瓶と同じ!!
コロンボ警部の魔法瓶それなのに少し後のシーン、ロス市警の取調室でグリーンリーフにコーヒーをすすめる時の魔法瓶は、コロンボ警部の私物っぽいのに「赤くて黒のダイヤ模様の魔法瓶」、これは24話「白鳥の歌」でトミー・ブラウンがセスナに持ち込むバルビタール入りコーヒーの魔法瓶と「同じ!。

→刑事コロンボと魔法瓶

監督:ロバート・バトラー
脚本:ピーター・S・フィッシャー

ライリー・グリーンリーフ:ジャック・キャシディ(声:田口計
エディ・ケーン:ジョン・デイビス・チャンドラー(声:橋爪功)
アイリーン・マクリー:マリエット・ハートレイ(声:公卿敬子)
ジェフリン・ニール(出版社社長):ジャックス・オーブション(声:小林清志
アラン・マロリー:ミッキー・スピレイン
デビッド・チェイス(弁護士):アラン・ファッジ
スイーニー刑事:ルー・パルター
ヤング刑事:ポール・シェーナー
警備員:テッド・ゲーリング
ウォルパート:ジャック・ベンダー
鍵屋のブラック:ジョージ・ブレンリン
駐車係:ロッキー・フレール
ウエイター:モーリス・マルサック
バーテンダー:マイク・ラリー
加筆:2024年8月29日

24話「白鳥の歌」

Swan Song / 1974
ジョニー・キャッシュ犯人役にカントリー歌手として有名な「ジョニー・キャッシュ」を起用。さすがの存在感です。しかしその犯人であるカントリー歌手トミー・ブラウンよりも、被害者である妻のエドナ(アイダ・ルピノ)の方が悪人であるため、彼に同情するよいう声も上がっています。*ジョニー・キャッシュ:ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガーで「21位」(2008年)

爽快なラストシーン

ラストシーンでは、「自分が犯人でございます」と犯人自身に行動させるパターン、例えば[9話「パイルD-3の壁」25話「権力の墓穴」など多数]で締められ、とても楽しめる作品だと思います。また、犯行を認めた犯人へ同情する場面も、作品の人気を高めています。

音楽家魂を感じます‥

歌手トミー・ブラウンが「自分のギターは助かるようにセスナに載せなかった」ことはちょっとしたポイントです。義弟のルークに「ギターは荷物としてではなく、バスの座席に置くよう」指示しています。楽器というのは世界に同じものが二つと無いんですよね。チェロ演奏家のヨー・ヨー・マさんも楽器は一人分の交通費を支払い、隣の席に置くそうです。

命がけの殺人トリックを敢行

ボニー・ヴァン・ダイク今回の殺害計画は、自家用セスナを墜落させるという大技です。自分の命の保証も無いという、かなりリスキーな手段です。しかも、同乗していたコーラスガールのメアリーアン(ボニー・ヴァン・ダイク)も一緒に殺してしまいます。口封じの意味もあるでしょうが、こりゃ罪が重いです。落下して足を骨折したトミーが証拠を隠し、転げ回ってでも墜落現場に到達するシーンは見せ場です。

テーマ曲は「I saw the light」

トミーは「I saw the light〜 I saw the light〜」と歌います。このブログの訪問者さんの書き込みがヒントで気づきました。トミーはラストシーンで、コロンボ警部の車のヘッドライトに照らされます。まさに「I saw the light〜私は光を見た」なのでしょうね!流石です。(加筆:2013年9月24日)

悪妻役はアイダ・ルピノ

アイダ・ルピノ被害者のエドナ夫人は8話「死の方程式」でバックナー社長夫人を演じる「アイダ・ルピノ」。犯人のトミー・ブラウンは、飛行機の整備士のジェフに「レンタカーを使っていいよ」と優しく接します、それを邪魔しようとするエドナ夫人。この夫妻の関係をかいま見る瞬間でした。

懲りない女好き‥

ジャニット・バルドウィン妻からまるで強制労働のようにライブステージを押し付けられ、しかもギャラのすべてを十字軍に寄付。逆らえば過去を暴くと脅迫されるという始末。それでもトミーは妻を殺害した後、懲りずに新しいコーラスガールのティナ(ジャニット・バルドウィン)に手を出そうとしてます。ティナはあまり乗り気でない雰囲気ですが、そこを強引に迫る様には、悪人というより動物的なパワーを感じました。

ヴィトー・スコッティ

ヴィトー・スコッティ本題とはあまり関係ない葬式のシーンでは葬儀屋グリンデル役で刑事コロンボシリーズに何度も出演した脇役の名優「ヴィトー・スコッティ」が出演しています。事件解決とは結びつかないシーンで、NHKの初回放送ではカットされたようです。

ビル・マッキーニー

ビル・マッキーニーエドナ夫人の弟でトミーとは犬猿の仲であるルーク・バスケットは俳優ビル・マッキーニー。日本語吹き替えは伊武雅之(伊武雅刀)さん。カウボーイハットが似合います。短気で乱暴な性格も、ウイリアムソン氏のキャラと通じました。

J.J.ストリンガーはソレル・ブーク

ソレル・ブークまたこれは嬉しい発見だったのですが、後半に登場するレコード会社プロデューサーJ.J.ストリンガー(大きな丸形のサングラスの人)は40話「殺しの序曲」で拳銃で撃たれて死ぬバーティ役の「ソレル・ブーク」でした。

パングボーンは重要人物

ジョン・デナーセスナ墜落事故の捜査班の指揮をとる専門家のパングボーン氏は「ジョン・デナー」。37話「さらば提督」のオーティス・スワンソン(提督)を演じている重要人物です。ダンディで存在感がありますね、やはり只者ではありません。

墜落現場のカメラマン

マイケル・エドワード・ラリー同じく墜落現場でコロンボに文句を言うカメラマンは「マイケル・エドワード・ラリー」。有名なエキストラ俳優「マイク・ラリー」の息子さんなのでした!この息子ラリーは何と、27話「逆転の構図」のラストシーンに立ち会う警官と同一人物。その他、もう一回出演しています。

セスナ空港のエンジニア・ジェフ

ダグラス・ダークソントミー・ブラウンが利用するセスナ機の空港(ベーカーズフィールド)で働くエンジニアのジェフは、俳優ダグラス・ダークソン。音楽が好きでトミーのファンということもあり、とても生き生きと描かれています。

ミシンのおばちゃん

ルシール・メレディスコロンボファンの方より教えていただいた情報ですが、「ミシンのおばちゃん」の役で良い味を出している女優さん「ルシール・メレディス(Lucille Meredith)」は、第20話「野望の果て」でヘイワード夫人の親友「ルーシー」と同一人物です。

メイホフ大佐

ジョン・ランドルフトミー・ブラウンの軍隊時代の上官のメイホフ大佐は俳優ジョン・ランドルフ。多くの作品に出演しているようで今後の調査の対象です。

二人にバルビタールを飲ませたことが命取りになったか?

コロンボ警部の魔法瓶ブログ読者さんからのご意見を検証しました。隙をついて飛行機から飛び降りれば「バルビタール:睡眠効果のある薬物」は不要だったと。積み込んだはずの魔法瓶が見つからない疑惑、死体を解剖され大量のバルビタールが検出された疑惑。コロンボはこの「バルビタールと関係のありそうな魔法瓶」を、草の根を分けてでも探すという作戦を匂わせて、犯人を捕獲しました。

どこかで見た!この魔法瓶とは…

しかも…このトミーの魔法瓶は、22話「第三の終章」でグリーンリーフが取り調べを受ける警察で使われていたものと同一でした!おそらくアラジン(Aladdin)社製のブラックダイアモンドと呼ばれる商品です。
→刑事コロンボと魔法瓶

礼拝(れいはい or らいはい)について

これもブログ読者さんからのご意見をもとに調査しました。劇中に出てくる礼拝(らいはい)という表現について、仏教においてのみ「らいはい」、それ以外は「れいはい」と発音するようです。ですので厳密には間違って使われています。(加筆:2017年12月22日)

大草原の小さな家

大草原の小さな家にせの牧師さんゲストスターのジョニー・キャッシュは大草原の小さな家「にせの牧師さん」の牧師役で出演しています。お金目当てに村人を騙すという‥こちらも「うさん臭い」キャラクターで、ハマり役です。

これは、すごい発見ですが!

エドナとメアリーアンの葬儀が行われた教会は、36話「魔術師の幻想」のジェロームの店(少なくともその外観)と同じです!これはブログのゲストさんがコメントで教えてくれました。すごい発見です。
教会ジェロームの店2436

ロケ地

セスナ機墜落の調査現場:Nichols Canyon Road(PC)

監督:ニコラス・コラサント
脚本:デビッド・レイフェル
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

トミー・ブラウン:ジョニー・キャッシュ(声:外山高士)
妻エドナ:アイダ・ルピノ(声:麻生美代子
メアリ・アン:ボニー・ヴァン・ダイク
ルーク・バスケット:ビル・マッキーニー(声:伊武雅之
ローランド・パングボーン(航空局):ジョン・デナー(声:小林修
ベネット(航空局員):リチャード・ケイン
事故現場カメラマン:マイケル・エドワード・ラリー
J.J.ストリンガー:ソレル・ブーク
葬儀屋グリンデル:ヴィトー・スコッティ
ティナ:ジャニット・バルドウィン
大佐:ジョン・ランドルフ
ジェフ整備士:ダグラス・ダークソン
フランク整備士:ジェファーソン・キビー
パイロットの警官:トム・マクファデン
ミシンのおばちゃん:ルシール・メレディス
コンサート主催者:ハリー・ハーヴェイ
コンサートの会計係:マイク・ラリー

加筆:2023年9月17日