30話「ビデオテープの証言」

Playback / 1975

ある意味、すごい豪邸

電子工業の社長ハロルド・ヴァンウィックが義母を殺害。手を叩いたら「ドアが開く家」なども含め、数十年前に見た当時を懐かしく思い出しました。今であれば簡単なことかもしれませんが、当時の個人宅でビデオ監視システムを使って家を警備しているなど、恐ろしいほど生活経費をかけていたものです。

オスカー・ウェルナー

オスカー・ウェルナーまずは何と言っても犯人役のハロルド(オスカー・ウェルナー:山田吾一)はGOODです。新しモノ好きで、子供のような性格に描かれています。それでいて、少し女好きでもありますね。私だけが感じるのかも知れませんが、顔がちょっとロック歌手のロッド・スチュアートとダブりました。

今回の再放送で彼の顔を見たとたん、「そうそう、この人、この顔!」って感じで、大はしゃぎしました。それくらい深いインパクトを与える俳優さんだと思います。

ジーナ・ローランズ

ジーナ・ローランズ犯人の妻エリザベス役ジーナ・ローランズも流石の存在感で、とても美しく見えました。哀愁の漂う素敵な奥様を演じていたと思います。彼女は10話「黒のエチュード」で犯人の指揮者アレックス・ベネディクトを演じた大物「ジョン・カサヴェテス」の奥様。「愛犬ドッグ」を可愛がってくれるシーンも良いですね。

映画「きみに読む物語」

きみに読む物語のジーナ・ローランズ「きみに読む物語」はAmazonプライムで見ました。とても良い映画です。監督はニック・カサヴェテスであの「ジョン・カサヴェテス」の息子。そして助演女優として74歳の「ジーナ・ローランズ」に会うことができます。とても素敵な役です。よろしかったらご覧ください。

マーサ・スコット

マーサ・スコット被害者となるマーガレット夫人は女優マーサ・スコット。日本語吹き替えは、このちょっと意地悪そうな夫人役のイメージにぴったりの女優「佐々木すみ江」さん。

凄い解決編、本当に文字まで読めるの?

解決編で、ビデオの映像を拡大して、そこに画廊の招待状が映っていた。というのは、どうも…。当時の解像度でそこまで読み取れますかね?オープンリールのようなかなり大きな記録メディアなので、そうなのかもしれませんが…ちょっと疑問です。(これについては後日、業界の方から「識別可能だ」とのご指摘を頂きました)

開けゴマ?

それに対し、銃声でドアが開いてしまったことを発見する着眼点は素晴らしかったですね。実際にピストルを発射して実験していますが、よく考えたら家中のドアが全部開くはずで、もっと大げさな状況になっていたのでは?とも…。ドアごとに感知のON/OFFをしていたのでしょうか? いずれにせよ、これらは足の不自由な奥様への愛情の証として考えられた装置であると思われます。

画廊の美人受付嬢に興味

トリシャ・ノーブルハロルドは知り合いのブラント画廊に採用された新人受付嬢「マーシー」に興味を抱いていました(笑)この女優さんはトリシャ・ノーブル(Trisha Noble)さんです。

画廊を訪問するコロンボ

パトリシア・バリー計算された「笑えるシーン」もありました。それはコロンボ警部がブラント画廊を訪問する場面。店主のフランシーヌ(パトリシア・バリー:曽我町子)とアート作品の価格について問答します。換気口をアート作品と勘違いするコロンボ警部の表情は「思わずにんやり」してますよね。日本語吹き替えの曽我町子さんは、オバケのQ太郎の声や主題歌を担当した方です。

はじめっから、顔が笑ってます

この時警部は自分でも、ちょっと笑っちゃっているでしょう、きっと。帰り際に照れながら「誰にも言わないでくれ」と、受付嬢マーシーに自分から失敗談を語ってしまうのも、コロンボ警部の人柄を上手に表現しています。

日本語吹き替え版のラストは少し残念…

母親殺害の犯人が実の夫だったとわかり、妻のエリザベスが泣き叫ぶシーンでエンディングを迎えますが…少し残念。美しいコロンボ作品を好む私としては、声は不要だった…です。

ブロンソン巡査への疑惑

フランク・エメット・バクスターこれもどうでも良い話なのですが、解決編で登場するブロンソン巡査。誰かに似ているな~と思ったら、気になってしまって。6話「もう一つの鍵」で新社長に就任したベス・チャドウィックが「自分の方針に逆らうなら再就職を考えなさい」と脅される役員の俳優さんと似ています。

この俳優さんは38話「ルーサン警部の犯罪」でウォードのギャラをさらに上げることに反対するテレビ局の役員でも出演しています。
これがもし同一人物だとすると…「フランク・エメット・バクスター」という俳優です。2011年の12月に名前が判明いたしました。

監督:バーナード・L・コワルスキー
脚本:デビッド・P・ルイス、ブッカー・T・ブラッドショー

ハロルド・バン・ウィック:オスカー・ウェルナー(声:山田吾一)
妻エリザベス:ジーナ・ローランズ(声:二階堂有希子)
マーガレット・ミダス:マーサ・スコット(声:佐々木すみ江)
アーサー・ミダス:ロバート・ブラウン(声:佐々木功)
バクスター:ハーバート・ジェファーソンJr.(声:伊武雅之
フランシーヌ:パトリシア・バリー(声:曽我町子)
受付嬢マーシー:トリシャ・ノーブル(声:沢田敏子
バーンズ巡査:スティーブン・マルロ
トンプソン:バート・バーンズ
ブロンソン巡査:フランク・エメット・バクスター
レストランの客:マイク・ラリー

加筆:2024年8月29日

“30話「ビデオテープの証言」” への140件の返信

  1. ジーナ・ローランズさんが8月14日にお亡くなりになられたみたいですね。この前も「ビデオテープの証言」を視聴し、ジーナさんの若き日の姿を見ていたので、少しびっくりです。本当に美しい女優さんだと思います。心からご冥福をお祈りします。

  2. 犯行直後に2階の奥さんから物音がしたと死体のそばの内線電話で会話をしているのにビデオにそれが映っていない時点でビデオは捏造とバレて、限りなくクロになりませんか?

      1. 検証しました。
        ビデオテープは探知機(光・音・人間の体温)と連動しており、外部からの侵入があると録画を開始するとヴァンウィックが説明しています。ですので彼が電話に出た時は内部の人間の移動であり、作動しません。

  3. 犯人の日本語吹き替えが、昔のシャーロック・ホームズのワトソンの声に似ていたので、今までてっきり長門裕之さんが演じられているのだとばかり思っていました。

    1. 山田吾一さんと長門裕之はキャラが被りますよね。
      私の場合、山田吾一さんといえばNHKの「連想ゲーム」「コメディお江戸でござる」が好きでした。

  4. この作品は、オスカー・ウェルナーの声あてておられる山田吾一氏の声のイメージが、記憶と乖離していて何時も不思議な感じで見ます。

    1. 同感です。
      第一声から違和感がありました。
      山田吾一氏はべらんめえ口調のイメージが強いです。

  5. The Cooler Kingさま

    Der Letze Akt が最期の10日間の話なんですね。ブルーノ・ガンツのヒトラー最期の〜と合わせて観ると、より理解が深まりそうですね。
    「手紙は憶えている」も興味深いです〜あの「サウンド・オブ・ミュージック」のクリストファー・プラマー、刑事コロンボ「二つの顔」のマーチン・ランドー、ブルーノまで出演しているとは、なんて豪華なキャスティング。
    まずは「ベルリン天使の詩」から観てみます。
    たくさん情報を頂いたので、これから一つずつ鑑賞するのが楽しみです。

    仁科さま

    私も仁科さまとtempus fugitさま(お元気でしょうか?)とのやり取りの中にしょっちゅう飛び入り参加していました。今更ですが申し訳なかったです。個人的には全然気にならないので、ご心配なく。これからもよろしくお願いします。

    1. The Cooler Kingさま

      再三すみません。
      映画「手紙は憶えている」、アマゾンプライムでレンタルして視聴してみました。サスペンスタッチでとても面白かったです。認知症を患う主人公が向き合った自分の意外な過去。リアル戦争経験者がどんどん減っていく今、こういった作品が作れなくなっていくのかなぁと思うとちょっと寂しいですね。

      あと、オスカー・ウェルナーの「暁前の決断」Dicision before Dawn (1951)がアマゾンプライム会員だと無料視聴出来るのを発見しました!今まで度々検索しても見つからなかったので、最近追加されたのかもしれません。
      日本語字幕もついていますので、ぜひご検討ください。

      1. まさこさま。
        「手紙」ご覧になった感想ありがとうございます。
        こちらは 年末からWWⅡ 、総統映画見比べなんてしていたせいか、ジャーマンシェパードに追いかけられる夢を見て(泣)うなされて小休止しておりました(笑)。
        コロンボもポワロも続けて見てるとうなされるので(笑)、アキ・カウリスマキ「過去のない男」など見て和んでいます。
        カウリスマキは小津やジョン・カサベテスなどの影響を受けてるらしいので、ここで名前出してもいいかと思います。
        ジーナ・ローランズ主演のカサベテス映画「フェイシズ」、途中まで見てるんですが、フレッド・ドレイパーさんもしょっぱなからはしゃぎまくり、ヴァル・アヴァリーさんも出てくるらしいです。
        難しい映画の手法などは分かりませんが、ゴダールみたいな即興演出、私財をつぎこんで自宅で友人達と撮影したことなどを考えると、
        興味深いフィルムと言えるでしょうか。
        ぼろんこ様、カサベテスファミリーとコロンボて研究テーマはいかがでしょう。コロンボの配役にカサベテス~フォーク人脈がかなり関係しているようです。
        なお「ハズバンズ」も同時視聴してるのですがピーター・フォーク氏のバスケシーンがあって きれのいい動きで
        ダンクをきめたり、スポーツ万能の方みたいです。
        ハッサン・サラーの衣装の裾を踏んでいるのはコロンボ演技の一つであったのですね。

        1. The Cooler Kingさま、

          >こちらは年末からWWⅡ 、総統映画見比べなんてしていたせいか、ジャーマンシェパードに追いかけられる夢を見て(泣)うなされて小休止しておりました(笑)。

          分かります(笑)ナチスドイツものは重いテーマなだけに、続けて観るのはキツイですね。
          あれからオスカー・ウェルナーの「暁前の決断」(1951)を視聴しました。彼の演じるハッピーは、若き日の彼自身(ナチスドイツのやり方に疑問を持ち軍隊を離脱した)と重なり、一心同体となった名演だと思いました。
          名優は、しばしば本人と同一視されるくらい役柄と一体化する名演を残します…ピーター・フォークもその1人でしょう。
          「ベルリン・天使の詩」(1987)を再視聴して、あらためてその想いを強くしました…彼はコロンボを演じるために下界に降りてきた元天使ではないかと本気で思わされる力がありますね。全てを包み込むようなあの微笑み…演技を超えた人間力と言うか。

          俳優ピーター・フォークを知るためにも、コロンボ以外の作品を観てみるのも別な一面が見れていいですね。
          カサベテス監督の映画も少しずつ観ていきたいと思ってます。ピーター・フォークを知るうえで欠かせない人物であることは間違いないですから。

          1. まさこさま。
            ウェルナー氏は厳しくとも 一本貫き通して生きた方なのですね。暁、そのうちに見たいと思います。
            「ベルリン天使の詩」のラスト、キャストの名前が上がる前に「すべてのかつての天使たちに特に~」と献辞がありますが、あの3人は小津、トリュフォー、タルコフスキーのことですよね?
            そうか、彼らも天使だったか(笑)。
            名監督たちの流れを考えちゃいました。
            カサベテスとゴダールて 影響しあってたんでしょうかね。
            前に上げた「フェイシズ」、
            さらっと見れるものじゃないので止まっちゃったままで。「勝手にしやがれ」はベルモンドとジーン・セバーグのカッコ良さで一気に見れちゃうのですが。
            やはりジーナ主演の「グロリア」は商業ベースの映画として成功したので、面白く見れます。「レオン」の原点なのですね。

            それと 全くオススメしない(!)ヘンテコ映画を1本。
            ニコラス・ケイジ「NEXT ネクスト」(2007)。2分先が予見できる男ニコラスがいろいろやらかす話(原作いちおうフィリップKディック)です。
            こんな終わり方でいいのか?!という新しい驚きと突っ込みどころ満載の珍作。
            冒頭から20分くらいの辺りで
            ニコラスの友人役でPフォーク登場なんです。もしゃもしゃの白髪にオーバーオール姿でビリヤードに興じるPFの可愛いらしいこと。
            最後のコロンボより4年たって
            まあるくなっておられますが、本当に可愛いらしくて…
            この映画、ここだけは見る価値あるようです。

            1. The Cooler Kingさま

              >あの3人は小津、トリュフォー、タルコフスキーのことですよね?

              そのようですね、ヴィム・ヴェンダース監督がリスペクトしていたのでしょうね。
              カサベテスとゴダールについて影響しあっていたかは分かりません。何しろ両人の映画をまだほとんど観てないので…すみません。しかし2人とも活躍していたのが同年代ですし、商業的な映画制作との決別する姿勢など共通するものがありそうなので、影響しあっていても不思議は無いですよね。
              ゴダールは何故か今まで手が伸びなかったんですよ、なんか難解なイメージで。でも「勝手にしやがれ」はヌーベルバーグの記念碑的な作品なので、押さえとくべきでしょうね。

              今更ですが、ピーター・フォークのWikipediaを見直すと、彼は「刑事コロンボ」をやっていた時、また終った後も数多くの映画に出演してますね。「ベルリン・天使の詩」「名探偵登場」「カルフォルニア・ドールズ」くらいしか認識していなかったです…カサベテス監督の映画くらいは、ファンなら観ておきたいところですね!
              あと、ニコラス・ケイジ「NEXT ネクスト」(2007)。
              全くオススメしないヘンテコ映画と言われると、逆に観たくなりました(笑)

              1. まさこさま。
                ニコラスの「Next 」は
                実はけっこう面白いんです(笑)。
                PF出演シーン以外にも楽しめるところあって(目が点になるような(!)ラストとか)、
                ジュリアン・ムーアに悪役クレッチマンなどキャストも豪華なんで ゆる~い気分になりたい時にどうぞ!
                名探偵登場 、一度見ただけなんですが、フォーク氏がハードボイルド探偵風でスティングのアイリーン・ブレナンを連れてキメてたような記憶が…
                また見たくてUNEXT に配信されてくるの待ってるとこです。

  6. まさこさま。
    Oskar の言葉、心から同感を覚えます。「国」だけでなく 人種、民族、宗教、性別に至るまで、自分の属しているグループのみが正しく最も優れている、との考え方が、世界の至るところで問題行動となって現れているというのに..

    さて、Oskar の興味深い出演作品の中で
    今一番観たいのが
    「寒い国から帰ったスパイ」です。 原作を読んで感動したので、映画はどうだろう?と思っていましたが、評価も高いようで観たくて観たくて。
    Oskar はユダヤ系東ドイツ人の重要な役でゴールデングローブ賞をもらったとのこと、髭を生やして熱弁する姿などはYou tube で確認できました。
    You tube では
    トイツ語吹き替えの「ビデオテーブの証言」も見られて、ドイツ語しゃべるコロンボなど楽しいのですが、
    Oskar は別の方が吹き替えちゃってました。

    1. The Cooler Kingさま

      「寒い国から帰ったスパイ」は私も気になっていました。リチャード・バートンと共演しているというのも見どころですよね。あと同じくスパイもので彼の初期の映画「暁前の決断」(1951)もすごく評価が高いので、いちど観てみたいです。
      DVDが出ていますが結構なお値段なので購入するか迷ってました。しかし、待ってても価格が下がることは無さそうなので、そろそろ買い時かな…と思い始めてます。

      あと「しのび逢い」(Interlude1968)という映画はご覧になったことはありますか?典型的な不倫ラブストーリーですが、You Tubeでフルで観ることが出来ます。ただ日本語字幕が付いて無いので、私のリスニング力ではいまいち内容がしっかり分からなかったです(泣)ただ、これはDVD やBlu-rayが日本では発売されていない様なので、観れるだけでも幸運ですね。

      それからもうひとつだけ(笑)ネットで調べていたら昨年は彼の生誕100周年であることを知りました。彼の娘エレオノーレ、そして息子フェリックスがウィーンをはじめ、リヒテンシュタイン、フランス、アメリカで「オスカー ウェルナー展」を企画、開催していたそうです。彼のオリジナルの衣装、賞、プライベートの写真などが展示されていたとか。
      下記のサイトも立ち上げられているので、そのうち展示会の紹介があればいいな…と期待しています。

      https://www.oskarwerner.com/about

      1. まさこさま。
        いろんな情報
        ありがとうございます。 新年そうそうに嬉しく思います。
        昨年末からYou Tube でOskar 映像を探していました。フルで上がっている
        Interlude(Donald Sutherland 翁も出てる!)、
        Dicision before Dawn (スペ
        ペイン語字幕(泣笑)のありました!)、Der Letzte Akt(英語字幕)は再生リストに入れて Jules et Jimを見直したところです。昔観たとは言え、字幕なしなので雰囲気だけの理解ですが
        G・Roy・Hill 監督がJ et Jに影響受けて「 明日に向かって撃て!」を撮ったんだなあ、そしてグラン・ブルーに? と
        名作の流れをしみじみ感じました。

        Oskar のIch u¨ber mich .(おそらく80年代後半に撮られた?)には
        Eleonore さんとFelix さんがインタヴューに応えてらっしゃいます。
        ご覧になりましたでしょうか?
        子供たちと遊ぶOskar のプライベート映像なども。
        Felix さんの他のインタビュー記事に、Oskar が「3年くらい、僕を学校から引っ張り出して、美術館を巡ってヨーロッパ中を旅した」と話して
        らして 素晴らしいお父さんだったみたいですね。

        私は
        英語もおぼつかないのですが、響きが美しく感じられるので、ドイツ語わかったらなあ、と思うしだいです。

        1. The Cooler Kingさま

          こちらこそ数々のYou Tube動画の情報、ありがとうございます!
          英語の字幕(同時再生でも)があれば何とか意味が汲み取れそうなので、ゆっくり視聴していきたいと思います。
          Ich u¨ber michのドキュメンタリー映像は貴重ですね〜写真でしか見れなかったOskar の子供たちとのプライベート映像や、舞台に立つ姿を見れてとても嬉しいです。また最晩年の彼の姿は痛々しく、衝撃を受けました。しかし映画で見られる彼は俳優としてのほんの一面であり、真骨頂はやはりウィーンでの舞台にあると感じます。
          ドイツ語は全然分かりませんが、力強く美しい言葉ですね。
          私が知らないだけかもしれませんが、ドイツ語が母国語で国際的に活躍している俳優さんって他にあまり思い浮かびません。ヴィスコンティ監督の映画の常連ヘルムート・バーガーくらいですかね。あとロミー・シュナイダーとか。

          娘のエレオノーレさんと息子のフェリックスさんは異母兄弟でありながら、すごく良好な関係を築いている感じで、偉大な父の功績を後世に伝えるという活動を共にしていて素敵ですね。Oskarも天国で喜んでいるのではないでしょうか。

          1. まさこさま。
            すっかりアメリカ人の(?)シュワちゃんはおいといて、Michael Fa ssbender (独+アイルランド、「それでも夜は明ける」 ) 、Thomas kretschmann (東独「戦場のピアニスト」)が幅広い活躍されているようです。
            が、やはりなんといってもBruno Ganz (スイス)でしょうか。
            前にどこかでコメントしましたが、Wenders 「ベルリン天使の詩」で、人間になりたがった可愛らしい天使の佇まいを見せてくれました。
            Peter Falk が本人役で、重要なそして素敵な役どころで圧倒的な存在感を残しています。
            監督がコロンボ好きだっんだなあ、てシーンはそれだけで感涙もので。
            詩のような台詞の数々、モノクロ+カラーを使い分けた映像の美しさなど、静かに心にしみてくる名作だと思います。
            続編にもPF が登場してますが、
            モノクロ画面の中のNastassja kinski がハッとするほど美しいです。

            Helmut Berger ←脚線美を覚えています…彼もオーストリア出身なんですね。

            1.  横レス失礼します。
               私は、こちらのブログを通して、新しい知識や実利を得られれば、誰から嫌われようがどう思われようが全く平気ですので、せっかくの楽しく為になるお話に割って入りますが、どうかお許しください。
               父がロシア系ユダヤ人、母親はポーランド=チェコ=ハンガリー系ユダヤ人のアシュケナジムだったピーター・フォークは、若いころからヨーロッパ旅行が好きだったようですが、そんな時、自身のルーツと同胞民族の運命について、どこまで意識していたのでしょうね?
               壁が崩壊する直前の『ベルリン天使の詩』に出演して、本音では何を感じたのでしょう? 例えば、第二次大戦での独ソ戦についてはどうでしょうか? 4年に渡るその戦いだけで双方で約1,600~1,700万人の死者・行方不明者(内、ウクライナの死者約700万人)を出したことについては?
               私たちがピーター・フォークのそうした歴史への想いに好奇心を持つことこそが、殺人とは何なのか?という問いに始まり、ドストエフスキー「罪と罰」をも源流のひとつであった『刑事コロンボ』というオバケ番組の深いところを考えるに留まらず、世界がこのようになってしまった「今」について考察する上でも意味があると、私は考えます。
               36話「魔術師の幻想」などでは、そういったことを、嫌でも強く想起しました。 

              1. The Cooler Kingさま

                さすがにお詳しいですね!
                ブルーノ・ガンツは、映画「ヒトラー最後の12日間」でのヒトラー役が印象深いです。難役を見事に演じていましたよね。
                「ベルリン天使の詩」は、かなり昔にテレビで1回観たきりです。当時、若過ぎたせいか?芸術的な作風だからか?退屈に感じてしまい、途中で寝てしまったような気がします。主演がブルーノだったんですね(笑)
                ピーター・フォークがどのような役どころか気になるので、観てみようかしら…

                仁科さま

                このように開かれた意見交換の場ですので、割って入るなんてお気になさらないでください(笑)

                ユダヤ系のピーター・フォークが抱く同胞民族の歴史への想いは私も知りたいところですが、これまで彼がそのことについて語った扱った文献やインタビューなどの映像を見たことがありませんし、「ベルリン天使の詩」については内容をこれから確認するところです。
                ただちらっとWikipediaを覗くと、「刑事コロンボ」はドイツで50%を超える高い視聴率を誇っていたそうで、誰もが知っているピーター・フォークという役柄で監督がオファーをしたところ、彼は「これまできたオファーの中で1番クレイジーな役だ!」と言って快諾したそうです。あくまでも私の想像ですが、彼自身はアメリカ生まれですし、仕事を選ぶ際には内容を重視しつつ、あまり過去のドイツに対するわだかまりは無かったのではないでしょうか?

                1.  まさこ様がおっしゃる通りかも知れませんね。
                   それと、綺麗事で月並みな仮説だと自分でも自覚しておりますが、『刑事コロンボ』旧シリーズが終わり長い年月が経過して、時代遅れになり苦労することを知りつつ、新シリーズを初めようとピーター・フォークが決意したきっかけのひとつが、あの映画での善良なドイツ人達との交流にあったのではないかと、私は勝手に推測しているのです。
                   ベルリンに滞在すると、否応なしに世界対戦の負の歴史も同時に肌身に染みます。それが、コロンボを演じ続けることで、絶えず他人を殺すことは悪いことだと世間に訴えることこそ自分に与えられた使命であり天命だと、ピーター・フォークに悟らせたのではないかと考えると、新シリーズの有り難みも、ちっとは増すってもんじゃありませんか?(笑)

                  1. 仁科さま

                    そうですね、「ベルリン天使の詩」への出演が新シリーズを始めるきっかけになったかもしれないですね。彼自身思いもよらなかった西ドイツでのコロンボ人気が、嬉しかったのは事実だと思います。

                    勿論、ユダヤ系の人々は、多からず少なからずそれぞれが胸に秘めた怒り、悲しみがあるに違いないでしょう。フォークも自分の考えをどこかで発信しているかもしれません。
                    例えば、スティーヴン・スピルバーグ監督。彼はユダヤ系アメリカ人で、その作品の多くは明るく楽しい夢のあるものである中、「シンドラーのリスト」(1993)は異色の作品ですよね。ナチスドイツの蛮行を正面から怯むこと無く冷徹に描ききり、彼のこの作品に対する並々ならぬ決意が感じられます。やはり彼も表現者として、一石投じずにはいられなかったのではないでしょうか。

                    「愚か者の船」(1965)という映画をご覧になったことはありますか?ユダヤ系の人々を理解する上でヒントになる映画だと思います。
                    第二次世界大戦前のドイツ客船が舞台なのですが、ユダヤ系の乗客に対するあからさまなサービスの違い、差別に対し、取り乱すことなく明るく振る舞うユダヤ系の商人に、ひとりのドイツ人乗客が「どうしてあなたは平然としていられるのですか?」という質問をするシーンがあります。
                    すると彼は「差別なんて今に始まったことではない。黒人など有色人種に対する差別も同じだ。偏見はどこにでもある。そんなことをいちいち気にしていたら、商売なんて出来ないよ。」踏まれるほど強くなるユダヤ系の人々のしたたかさが表れていると思いました。

                    1. まさこさま、仁科さま。
                      お二方の深い討論に感銘を受けているところです。
                      私などは
                      「大脱走」カッコいい~!
                      正月映画は「鷲は舞い降りた」だあ!な、どちらかというとアクション系を好むので、
                      厳しい映画を観ると言葉をなくしてしまいます。
                      それなりに史実を調べても やはり言葉が出てこなくなってしまいます。
                      ので、お二方のように
                      きちんとした文章で語られるのを見られるのは
                      たいへんありがたく存じます。
                      ベルリン天使について、また見直してる最中ですが、
                      Falk が「WWⅡ中のベルリンにやってきたアメリカ人探偵の役で映画を撮影中」の設定なんですね。

                      どのような映画なのか気になるのですが…何かご存知でしょうか。
                      コロンボ新シリーズを始めるきっかけになったのでは?との見解は そのとおりだと思います。

                      ヒトラー最期の~は前に見て途中でストップしちゃいました。
                      Oskar のDer Letze Akt が最期の10日間の話なので、理解の参考になるかと、もう一度トライしようかと思ってます。
                      エヴァ・ブラウンの妹の夫を演じたのがKretschmann です。
                      あとナチ狩の話では「手紙は憶えている」が
                      これまでになく重い映画になっていました。
                      収容所生活を生き延びたユダヤ系老人(クリストファー・プラマー)が 収容所所長を探し出して・・・なのですが、彼自身は認知症が進んで記憶がもたない。
                      一緒に生き延びた友人(マーティン・ランドー)の書いた手紙の指示通りに全米を探し歩く。
                      追う方も追われる方も高齢になっているので、
                      重い痛々しさに満ちた作品でした。
                      ガンツとユルゲン・プロホノフ(「Uボート」艦長)も出ていらっしゃいます。オススメです。

                      いつも とっちらかった文章で申し訳ないです。

                    2. まさこ様、The Cooler King様
                       お二人のコメントに共感することばかりです。
                       『シンドラーのリスト』『愚か者の船』『Uボート』『ヒトラー 〜最期の12日間〜』等々・・・、どれも重く深く考えさせられるテーマの名作・傑作ばかりですね!
                       それぞれの映画についてこれ以上私も語り出すと、また長くなってご迷惑をおかけしたり間違ったことを投稿してややこしくしたりしそうです。今回私については、飛び入り参加の「横レスの身」ですので、今後の楽しみとし、立場をわきまえ一旦お先に退場します。
                       お二人の、示唆に富み、知らなかったことを多々学ばせていただいたコメントの素晴らしいやり取りに図々しく参加させていただいたことにつき非常に感謝いたしております。ありがとうございました。
                       今後ともご教示のほど、よろしくお願いいたします。

  7. The Cooler Kingさま

    「愚か者の船」、早速ご覧いただき、ありがとうございます。
    オスカー・ウェルナーは伝えられるところによると、気難しい一面があったそうで、トリュフォー監督と撮影中の確執の末仲違いをしてしまったり、また晩年アルコール依存症に陥り、それが俳優人生にも影を落とし61歳の若さで亡くなってしまうなど、素晴らしい俳優さんであるだけに残念に思います。

    >Oskar はWWⅡ中にユダヤ系の女優と結婚して ウィーンの森に隠れてすごした、とIMdbに記載されてましたが、それでもうハードな映画1本分の話じゃないですか。

    同感です!
    IMdb、拝見しました。端的に彼の生きざまを表している言葉を見つけましたので、ご紹介いたします。現代の私たちにも響く言葉だと思います。

    「私は愛国心というものを信じたことが無い。子供の頃からそうだった。私にとって祖国とは、そこに生まれその国の言葉を話すということだけである。
    不幸にも愛国心という言葉のもとで、どれほど多くの戦争が行われてきたか…そして、人々は自分の国が間違ったことをしていないとみなしてしまうのである。」

    1. まさこさま。
      Oskar の言葉、心から同感を覚えます。「国」だけでなく 人種、民族、宗教、性別に至るまで、自分の属しているグループのみが正しく最も優れている、との考え方が、世界の至るところで問題行動となって現れているというのに..

      さて、Oskar の興味深い出演作品の中で
      今一番観たいのが
      「寒い国から帰ったスパイ」です。 原作を読んで感動したので、映画はどうだろう?と思っていましたが、評価も高いようで観たくて観たくて。
      Oskar はユダヤ系東ドイツ人の重要な役でゴールデングローブ賞をもらったとのこと、髭を生やして熱弁する姿などはYou tube で確認できました。
      You tube では
      トイツ語吹き替えの「ビデオテーブの証言」も見られて、ドイツ語しゃべるコロンボなど楽しいのですが、
      Oskar は別の方が吹き替えちゃってました。

  8. ジャンヌ・モローが「つむじ風」を歌うシーンを見たくてJules et Jim をチェックしたら、Jules 役はオスカー・ヴェルナー氏だったんですね。
    ビデオテープ時より13才ほど若い金髪青年でしたが、今まで気づきませんでした。

    ヴェルナー氏は
    1976年の「さすらいの航海」に
    フェイ・ダナウェイと夫婦役で登場しています。
    「さすらいの航海」は 時代に翻弄されたユダヤ系の人々の悲しい話ですが、
    70年代に活躍されていた俳優さんたちが多く出演されてます。

    オスカー&フェイ以外に
    コロンボ犯人役ではリー・グラント、ホセ・フェラー、
    被害者役のネヘミア・パーソフ、
    カッシーニ秘書ジュリー・ハリス
    監督を務めたベン・ギャザラ、サム・ワナメイカーなど。
    ぼろんこ様がスタートレックについて言及されてましたが
    さすが70年代!

    古い映画やTV ドラマを見直して
    、それまで気づかなかったことを発見した時って、嬉しいですよねえ!

    1. The Cooler Kingさま

      トリュフォーの映画にハマった時期があり、「突然炎のごとく」(Jules et Jim )のオスカー・ウェルナー観て、その後彼について調べていたら、唯一彼が出演したテレビドラマが刑事コロンボの「ビデオテープの証言」だったことが分かり、それがイチからコロンボを観ようというきっかけとなったのが約4年前でした。

      「さすらいの航海」、私も観ました。
      つらく悲しい人間ドラマですが、奇しくも、コロンボに出演していた俳優さん女優さん満載で、コロンボファンとしても楽しめる映画ですね。
      オスカー・ウェルナーは同じ船舶もので、「愚か者の船」という、さすらい〜よりも10年ほど前に制作された映画にも出ていて、そちらもオススメです。展開が面白く、台詞も考えさせられる内容なので、何度も観ても飽きません。コロンボ繋がりとしては、ホセ・フェラーも出ています(笑)

      1. まさこさま。
        お返事ありがとうございます。
        Lee Marvin 閣下も出ているのを知り、さっそく「愚か者の船」を見てみました。
        主役と言えようOskar が、愚か者になりきれずに苦悩し深酒してゆく様は、彼自身の後半生に重なって見えました。
        映画の後には、 乗客たちに更なる苛酷な人生が待ち受けていることを考えると、深く余韻の残る作品ですね。
        Oskar はWWⅡ中にユダヤ系の女優と結婚して ウィーンの森に隠れてすごした、とIMdbに記載されてましたが、それでもうハードな映画1本分の話じゃないですか。
        その後の 彼の出演歴を見ても、自らの良心を貫いて生きた、真面目で勇敢な方だったように思えます。

        「ビデオテープの証言」は
        Gena 姐さん出演が見所の地味な作品、との印象を長らく持ってましたが、考えなおしました。
        jules とGloria ですものね。
        そして、Oskar の声がMichael Caine の声そっくり聞こえるので
        (私だけ?)
        いろんなことを思い合わせて
        「ビデオテープ」見直してみるつもりです。

  9. 原題「Playback」
    ビデオの「再生」によるトリックとコロンボによるテープの細部の再生によるトリック破り。自分のトリックが自分の有罪につながるという皮肉な結果でしたね。

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