- 「ぼろんこの傑作選」に選ばれています。
- 2021 NHK あなたが選ぶ!思い出のコロンボ[第6位]
- 犯人役ゲストスター「パトリック・マッグーハン」特集記事。
- ウィリアム・ヘインズ「フォード・サンダーバード」
作品の持った雰囲気がとても好きです。絵的な美しさ、兵学校という閉鎖された特殊なシチュエーション。他にも軍隊ものの作品はありますが、この「祝砲の挽歌」には及びません。
事件が起こる背景
陸軍幼年学校の劣等生にその罪をきせる行動と相反し擁護するような言葉も…。厳しいが故に学校で孤立してしまう立場も…。生徒たちの「自供」により殺人を暴かれてしまう下りも…。流れるようにつながっています。また、学校の平面図から「陸軍幼年学校」が「男女共学のキャンパス」に改築される計画があったことを見破るあたり、コロンボ警部の着眼は流石です。
冒頭の演出も見事
廊下をこそこそと進んで行くと、砲弾の工作をしている背中が見えてくる。予め準備した材料を丁寧に加工する手元。冷静ながらも…汗がしたたる表情。丁寧に指紋を拭き取る。火薬を流すために蛇口を振り回す。外に出た時、初めてタイトルクレジットの文字が表示され、微かなドラムロールでBGMが始まる。砲台での準備を終え、後に大きな意味を持つ「りんご酒」を見つける。6分30秒を過ぎた頃、軍隊ラッパの音と共に台詞付きのドラマがスタートします。始まりから6分30秒まで台詞は一切なし、音楽もごく小さい。この冒頭シーンを見ただけでこの作品がどれほど凄いかを直感します。
パトリック・マッグーハンの存在感
ラムフォード大佐
ラムフォード大佐は、自分の保身のために殺人を犯したとは思えません。むしろ間違った方向を向き始めたアメリカに対し「NO」と言いたかったのでは?私は戦争擁護の立場ではありません。ただ大佐の気持ちを考えただけです。
日本語吹き替え:佐野浅夫さん
ラムフォード大佐の吹き替え「佐野浅夫」さんは素敵でしたが、ミラー当番兵(靴が汚れていた生徒)を再度呼び出して説教するシーンからしばらくの間、別の声優になっていました。佐野浅夫さんとは似ていない声で、この部分がとても残念でした。初期放送版ではカットされていたのでしょうね。重要な場面だと思いますが放送時間の関係でしょうね。
スプリンガー候補生
*=実は掃除当番をさぼっている。
シロとクロを見分ける着眼点
コロンボ警部が容疑者を「ラムフォード大佐」に絞る場面は、大佐がボロ布を最初に見た時に言及を避けたのに対し、スプリンガー候補生はためらうこと無く「大砲の清掃用の布」と答えたことにあるでしょうか。ラムフォード大佐は事故の原因をスプリンガーの不始末として片付けることを前提として、この犯行計画を始めたわけであり、自分の計画どおりに進む捜査に対し、すこしだけためらいの感情が出たのでしょうか。
自ら祝砲を撃つ役目を引き受けた
一癖ありそうな秘書
とばっちりを食らうルーミス大尉
大草原の小さな家
祝砲の挽歌
原題は「By Dawn’s Early Light」で直訳は「夜明けの明りで」という感じ。「挽歌」とは中国で葬送の時に柩(ひつぎ)をひく者が歌った歌で、エンディングに歌とともに訓練する響きも通じて、納得の邦題です。これについては、ブログゲストさんが詳しく解説してくれていますので、ぜひお読みください。
クレーマー刑事が登場
モーガン候補生はクレーマー刑事の息子!
ヘインズ陸軍幼年学校
「ヘインズ陸軍幼年学校」はサウスカロライナ州チャールストンがロケ地だということです。ですので海外ロケに匹敵するほどの作品スケールが感じられるわけです。
監督:ハーヴェイ・ハート
脚本:ハワード・バーク
ライル・C・ラムフォード大佐:パトリック・マクグーハン(声:佐野浅夫)
スプリンガ―候補生:マーク・ホイーラー
ミラー候補生:ロバート・クロットワーシー
モーガン候補生:ブルーノ・カービー
秘書ブレイディ:マデレーン・シャーウッド(声:高橋和枝)
クレイマー刑事:ブルース・カービー
ルーミス大尉:バー・デベニング(声:徳丸完)
ウィリアム・ヘインズ:トム・シムコックス(声:堀勝之祐)
加筆:2020年7月26日