精神科医のマーク・コリアーが愛人ナディアの夫カール・ドナーを殺害。計画殺人ではなく、妻との愛人関係に気付いたカールが二人の密会現場に居合わせてしまったためです。このような展開上、私の好きな刑事コロンボのストーリー(計画殺人)は望めませんでした。
ジョージ・ハミルトン

愛人のナディアは決壊寸前

また出た、コロンボ警部の大芝居
状況証拠は十分でも、決め手が無い。コロンボ警部は「偽の目撃者」を仕立てます。コリアーは「自分は5時30分にドナー邸に居なかった」と跳ね返せば、良かったのでしょうが、人の心理を読むコロンボ作戦はまんまと成功します。不利な状況にある人間は「正当な部分は主張したがる」ということです。これは27話「逆転の構図」でポール・ガレスコが犯したミスと似ていますね。
おぉ、マーチソン博士!

おぉ、パジェット将軍!

犯罪警報のウェイド・アンダースで復帰
ゲストスターのジョージ・ハミルトンはこの16年後(1991年)の57話「犯罪警報」に再登場します。エリオット(パジェット将軍)の変貌ぶりを考えると、「犯罪警報」のハミルトンは「流石、若作り!」と拍手を贈りたくなります。
ボーデン医師のカレン・マッコーン

コロンボ警部、またまた大ショック

コリアーの友人アーノルド

ランズバーグ先生とコリアー先生は同僚だ!



犯行直後に車を門にぶつけた件
ブログゲストさんからのご指摘があり、加筆します。コリアーは犯行現場にブルーのベンツのクーペで来ていました。そして犯行後に逃げる際、目が不自由なダニエル・モリスさんが飛び出したため、避けるために白い門に激しく車をぶつけています。その衝撃で門の角度が変わったほどです。
そしてその夜、コリアーが呼び出されて現場に駆けつける時は、ボーデン先生のシルバーの大きな車で来ていました。ブルーのベンツはバンパーに傷がついたはずなので、自分の車で来れなかったのか?日が変わり、コロンボがコリアーの病院を訪れた時、駐車場のコリアーの車を調べています。この時には、コリアーはすでにベンツを修理に出した後なのでしょう。コロンボはタイヤのトレッド(模様)に着目していますが、バンパーの傷は無さそうでした。
本編では兄のデビッド・モリスは「急ブレーキを踏んで止まった」と証言していて、衝突したことには触れていません。そうでなく、「5時30分に出て来た車は、自分を避けるために何かに激しく衝突した」と証言し、コリアーが直後にフロントバンパーを修理したことも証拠にすれば良かったが…。
しかしここはやはり目撃者に「ブルーのクーペに乗っていた」と証言させ、「目撃者は目が見えないはずだ」とコリアーに反論させたことで、十分面白いのでしょう。
監督:ハーヴェイ・ハート
脚本:ピーター・S・フィッシャー
マーク・コリアー:ジョージ・ハミルトン
ナディア・ドナー:レスリー・アン・ウォーレン
ボーデン博士:カレン・マッコーン
カール・ドナー:スティーブン・エリオット
クレイマー刑事:ブルース・カービー
デヴィッド・モリス:フレッド・ドレイパー
※2010年06月24日に、コメントを頂きました。フレッド・ドレイパーはやはり「兄:デビッド・モリス」で間違いないと思うのですが…。
兄=デビッド・モリス(フレッド・ドレイパー)「偽の目撃者」
弟=ダニエル・モリス(ジャック・マニング)「真の目撃者(目が不自由)」です。
M.Sさま、コメントありがとうございました。(お名前はイニシャルとし、メールアドレスは削除しました)
加筆:2020年8月1日
ライターの石・・・ 50半ばを過ぎた今でもタバコは吸いませんが、
子供の時分 祖父にライターの石を買ってきてくれ・・と頼まれたことを思い出しました。
愛煙家が減り、電子タバコの現代・・ 自分の好みのライター(ジッポーは除く)を使って
いる人なんて ほんの一握りかもしれません。
次回再放送の時には ライターの石ってなんだ? ってことになるかもしれませんね。
この回のオチだけは、今ひとつ腑に落ちなかった。
コ「あなた、この人が盲目だって確信していましたね?」
(ここで弟登場・・・)
弟「私の方が盲目ですが」
犯「やっぱり、私の言ったことが正しかった!」
こう切り替えされたら、お仕舞いなのでは?
コリアー医師はシリーズ屈指の悪人と感じました。
確かに最初の殺人は偶発ですが、第2の殺人はいただけないですね。
愛人ナディアとは完全に遊びだったんですね。最初はそう感じなかったのですが。
コロンボにもっと怒ってよ、と思って観ていました。
ナディア役のレスリー・アン・ウォーレンはシガニー・ウィーバーに似てるなあと思いました。
パーティーで「初歩だよ。ワトソン君」と同じギャグを繰り返し、スベるお医者さん。
典型的なヨッパライオヤジですな。
スベるといえば、クレーマー刑事の「またまた大ショック!」も味があります。
しかし、クレーマー刑事はやたらと犯人のトリックに引っかかりますね。
よく刑事やってられるな(笑)
今回は、作品としては非常に楽しめましたが、現実的に考えると、
最後の場面に立ち会ってた人たちにはコリアー医師が犯人だということは確信できたとしても、裁判ではそれは証拠にならないですよね・・・
コリアーは裁判では「そんなことは言ってない」といえば済む。
(それともコロンボはこのやり取りを録音してたのか?
でも隠し撮りは証拠として使えないはずですが・・・)
それに、コリアーが最後に失言する前に逮捕状をコロンボが突き付けてますが
どうやって逮捕状を裁判所に出させることができたのか?
それともあの逮捕状もニセモノ? だとすると裁判では非常に不利になりますよね~。
まあそれ言い出したらコロンボ作品は楽しめないんですが今回は特に気になりました。
最後の場面「そんなことは言っていない」について。確かに「自分はこんな人は見たことがない、という意味で言った」と言い張ることは可能です。事実、結果的にコリアーさんはあのお兄さんとは初対面。
コリアーさん以外の証人は全員、「医師は『お兄さん』を目が見えないから目撃できたはずはない、とも断言していた。『お兄さん』は実は目が見えるのに」と証言するでしょう。
あとは陪審員の判断です。
逮捕状について。こちらはナディアさん殺害については請求できるのでは。すべて状況証拠によるもので、裁判で勝てるかはわかりませんが。
暗示を与える電話についてはコロンボはそこを目撃していた。あとで電話会社に問い合わせたら、それは確かにナディアさんの部屋にかけた「間違い電話」だった。その電話の直後、彼女は「自殺」した。彼女はコリアー医師に催眠療法を受けていた。コリアー医師は意志を曲げる効果のある薬物を彼女に処方していた。殺害の動機は、二人で彼女の夫の死の秘密を隠蔽していたが、それがバレそうになったから。
コロンボの「実験」の論点
・「5時30分の目撃者」がいることは事実。
・その人物が目が見えないことも事実。
・ただし、盲目である事は医師は知らないはず。
・医師と兄は初対面。兄は目が見える。
・兄はあの時自分がいたかのように「偽証」した。
・医師は、一人で段差のあるところを歩いても、兄がコロンボにマッチを勧めるところを見ても、目が見えない人だ、と断言した。たとえば弱視かも知れないのに。
・兄が雑誌の文章を読んでもなお、目が見えないはずだ、と主張した。
・なぜ「5時30分の目撃者」が盲目だということにこだわるのか。確かにその人は盲目だが。医師はその目撃者が盲目かどうかは知る由もないのに。
・自分はハメラれている、と思い、焦って目の見えない人だと思い込んだだけだ、という主張はできるが。
しかし、事実「5時30分の目撃者」は盲目。
・偶然性が高すぎる。
ボーデン先生についてです.ボーデン先生のオフィスのドアには、DVM PhD とありますね.博士号を持っている医師なら MD PhD となります.このMD は Doctor of Medicine です(これは博士号ではなく医師資格で PhD が博士号です).ボーデン先生は MD PhD ではなく DVM PhD ですから DVM は Doctor of Veterinary Medicine つまり「獣医師」です.それに加えて博士号 PhD を持っています.動物を使った研究をしているので、獣医学出身で博士号のある研究者という設定なのでしょうね.
なるほど、情報ありがとうございます。ボーデン先生、魅力的な方でしたね。
スパイ大作戦が好きな私は、ナディア役のレスリーが見れて嬉しかったです。
・最後の場面、目撃者と称する人が盲導犬と一緒に出てこないから何かあるな?と思っていたら、コロンボ劇場の始まりでした。目撃者って、そっちのことだったのか!
コリアーは、「(自分が目撃者を)見たはずは無いさ」と言いながら何故「嘘だ、見えないはずだ」と目撃者について断言してしまったのか…。その心理状態を、ご自分かボーデン博士で分析していただきたいものです(笑)。
・ボーデン博士は、(おそらく)コリアーとナディアの関係に勘づいていながら、そして強気な言葉を返しながらもコリアーの口説きを拒絶しないというのは、やっぱりコリアーに魅力を感じていたんでしょうかね。
この犯行シーン、殺人さえなければ、俗っぽいメロドラマの感動的なラストシーンになるところですね(笑)下種な夫の威迫にも折れずにすべてを捨てて手に手をとって駆け落ちする妻と恋人。ジャーン(EDテーマ)ジ・エンド・・・。
そうそう車に無知なガキの私、ここで初めてコロンボの車が仏車だって聞いて大笑いしたんだっけ。大人になってからプジョー社製について見聞が広がるとさらに大笑い。
コロンボの数々の事件の舞台となった?総合病院、人間の生殺与奪を握った白い巨塔は魔窟ですな。
さて、今観ると素材のデンジェラスさ(笑)シリーズ屈指。薬だけでなく、深層催眠で封じられた記憶を引き出すのは一頃話題となりましたが後に否定されました。日本の怪奇漫画では前世の記憶を引き出すエピソードがありました。ましてや催眠暗示で自殺を促す、ここでは詳細に描いているのでミステリからオカルトの領域まで行って無理がありますが、今なら「薬」ではなく犯人のカリスマな魅力?を「演出」して自殺や他殺を促すサイコミステリドラマが、もはや常道?、お約束?。
こんばんわ!
初めて観た時・・・
5:30に犯行を目撃した人が登場するのかな?と思いながら観ましたが・・・
実は犯人本人が目撃者だったんですね~ラストシーンにはしびれました!
それにしても、この邦題・・・見事の一言に尽きると思いました~(´ー`)
いつも飄々とした調子のコロンボの「あんたに聞いてるんです」の小池さんボイスの口調の厳しさに不意を突かれドキッとする、とても好きなシーンです
同感です。
女性に対してこんなに厳しいコロンボにドキッとしました。
「指輪の爪痕」や「毒のある花」同様、衝動的な殺人。マークが現場から去る際に門柱に車をぶつけますが、それに関して車前部の損傷などが調べられないのは不思議でした。医者が殺人犯となるのは「溶ける糸」以来ですが、港でのマークとの会話のシーンなどから、コロンボは医者に対しては特に闘志をあからさまにするようにも思われます。本来人を救うことに使われるべき専門知識を殺人に使うことを憎んでいるのでしょうか。ラストシーンは印象的で、視聴者もだまされます。 ジョージ・ハミルトンが勝ち誇りから一気にどん底に落ちるマークを見事に演じています。カレン・マッコーンは魅力的でした。
車をぶつけ、それに関して車前部の損傷>なるほど、深い観察です。この点については、本編をもう一度見直して、加筆していますので、ご覧ください。
「車の損傷は、どうなった?」
これ、すごく大きなマイナス点ですよね。車と門柱の衝突痕を突きつければ重要証拠になるはずなのに、そこを取り上げるとその段階で犯人は言い逃れが不可能になるから、うやむやにしちゃったんでしょうか? だったら台本で、車は門柱にぶつけずギリギリ急停止にとどめるべきだった。それとも、あの衝突は撮影時のNGだったんでしょうか? 視聴者としては、そんな風には見えませんが。ぶつけ方が露骨すぎて。
この回はラストのどんでん返しが強烈で、それ一本でファンの印象に残ってますが、逆に言うと、そのインパクトに頼りすぎて、他が粗雑なんですね。催眠術で飛び込ませるなんて、「そんな手口ありか?」というツッコミは当時から多かったはず。
よくよく調べてみると、この回はファン投票の順位が低いんですね。「車の損傷」をうやむやにせず、うまく処理していたら(コロンボが疑いを持ち、疑いを深めていくという展開でも、逆にコリアー医師が事故や盗難を偽装して車ごとオシャカにするとかでうまく躱すという展開でも)、もっと評価が上がったか? それとも「催眠術で飛び込ませる」というブッ飛んだ手口が評価を下げているんでしょうか?
やむを得ない穴じゃなく、塞げたはずの穴が残ってる。これは本当に惜しい回です。
「逆転の構図」は評価高いのに、これは本当に惜しい。
なるほど、と感じます。
車の損傷については。新コロンボでは「ジョージ・ハミルトン」さんの車はプジョーにぶつけられていますが、門柱はぬかるみによって根元が弛んでいるところをぶつけられて傾いた、よって車には大きな傷はなかった、と理解しています。
被害者への「間違い電話」は確かに電話会社に確かめられそう。しかし間違い電話に過ぎない、と言われたらただの状況証拠でしょう。
深層催眠であれは難しい、の件。だからただプールに飛び込むだけと言いくるめる、薬物で生存欲を抑制、など犯人の場当たり的対応が「功を奏した」。もともとは正当防衛に近い突発的な事案だったので。と解しています。
最後、「目が見えないはずだ」と思わず言ってしまった件。
確かに言わなければ、ですが、もうコロンボに「コロンボは目の見えない目撃者に目が見えるように演技させているだけさ」と錯覚させられているので、「コロンボに『催眠』されている」と気付くのは至難の業でしょう。
すぴっつ様
即教えて頂き感激です。
なるほどですね。「壊滅的な精神状態」
とっても納得しました。やっぱり原題の方がどれも面白いですね。(なんて分かってないくせに...)
シリーズも終わってからずいぶんと経つというのに、今頃また片っ端から作品を見ています。それが何故か前より面白い。意味が分かる。何故かしら??
最初に見たのは子供の頃でして、現在は大人ですが、コロンボは子供から大人まで楽しめるということを実感します。
今井節子さん、
僕は英語不得意なのですが、以前コロンボの研究サイトで確か直訳は『壊滅的な精神状態』と書いてありました。
すみません。
「A Deadly State of Mind」の意味を教えてください。
独特なムードが最高のエピソードのひとつで、全体にほとばしる緊張感がたまりません。
また、マティーニのグラスの位置、カーペットに落ちていたライター石、コリアーが事件当夜だけマッチを使っていたこと、といった分散配置された事象から、ナディアが嘘の証言をしたこととタバコを吸う第三者がいたことを導き出す推理の過程も十分楽しめます。
さらに、珍しく犯人に対してちらりと敵意をのぞかせるコロンボの姿が見られる港での対決は、シリーズでも屈指の名シーンといえるのではないでしょうか(「じゃあ僕は最有力の容疑者ってわけか?」「容疑者って言葉は弱すぎますね」)。
そしてジョージ・ハミルトン氏演じるマーク・コリアーというクールでハンサムな犯人像を創り上げた点も特筆すべでしょう。
コリアーがナディアへ電話して催眠状態殺人を行ったのは、
通話履歴が、一つの証拠となるはず。
なぜ、コロンボは通話履歴を確認しないのか?。
ピーター・フォークは、やってておかしいとは思わんのかな?。
最後、コリアーは、もう少し冷静に対応すべきでした。
途中までは「カールが死んだときは市内にいたんだ」と言っている。
「ぼくは医者なんだよ。見れば(失明は)スグ分かるさ」
そこまでは冷静だった。
たとえ「見えないはず」と断言しても、見ればスグ分かるという
医者であれば、その後の言い逃れできるはず。
結局、感情負けです。こういうのが多いね。
語るに落ちた格好ですね。
犯人自らが目撃者になるという逆転の発想ですね。
アリバイのダイヤルでも逆転の発想が使われました。
テープに録音されている音ではなく、録音されるべき音が入ってないという。
それが、最後のどんでん返しになるという面白さです。
知的犯罪者は巧妙に仕組んだつもりでも、小さな抜け穴を積み上げて
精神的に追い込んでいって、最後に自ら墓穴を掘らせるという
コロンボ一流の締めくくりでした。スカっとしますね。
スパイ大作戦さん、コメントありがとうございます。レスリー・ウォーレン=スパイ大作戦…ですね。覚えておきます!
私はこの逆転劇、けっこう好きでした。
コロンボファンですが、スパイ大作戦のファンでもあります。
レスリー・ウォーレンはスパイ大作戦シーズン5レギュラーで、この作品よりさらに若い分、とんでもない美しさでしたよ。
タップおばさん>病気の設定だと思いますが、病的な魅力を感じました(笑)
ナディア役のレスリー・アン・ウォーレンという女優さん。
凄まじい色気を持った人だなぁという印象でした。
> フレッド・ドレイパーはやはり「兄:デビッド・モリス」で間違いないと思うのですが…。
合ってますよ。
Co-Starring の画面に JACK MANNING (改行) as Daniel Morris,
With の1画面目に FRED DRAPER (改行) David Morris とあります。
minimumさん、コメントありがとうございます。病院床のラインは珍しくないかもしれませんね。注目したいのは、両作品が31-32と続いていることです。同じ場所でぱぱっと撮影している感じで、リアル感があるな~ってね。
病院床のラインですが、それ程珍しいのしょうか?私が毎年健康診断を受ける病院も床ラインがあるので、普及しているものだと思っていました。もしかしてコロンボファンの院長さんが真似をしたのかもしれませんね。
違っていたら御免なさい。6月24日、衛星放送の『5時30分の目撃者』を見ました。フレッド・ドレイパーが演じたのは弟のダニエル・モリスで、兄のデビッド・モリスを演じているのはジャック・マニングだと思うのですが。弟が兄に扮して犯人のジョージ・ハミルトンを騙したのです。コロンボ警部は、「あんたが5時30分に出会ったのは、お兄さんのデビッドだ」と言って、後から登場するジャック・マニングを紹介しました。