コロンボ警部の鼻歌や口笛の音楽は「THIS OLD MAN」という曲でした。マザーグースの数え歌らしいです。ずっと前から気になっていて、今日インターネットで本気で調べたら、分かりました。
刑事コロンボの作品中では、コロンボ警部の意思(または無意識)で、鼻歌や口笛で登場します。もっとも印象的な場面の一つとして29話「歌声の消えた海」のラストシーン、犯人のヘイドン・ダンジガー(ロバート・ヴォーン)に指紋の採取を迫る際に鼻歌で「♪ダンジガーさ~ん」と語りかけます。まんまと自分の策にはまった犯人を目の前にして、嬉しくてついつい悪のりしていますね。
19話「別れのワイン」でカッシーニ・ワイナリーから被害者リックの恋人の家に電話する時にかなり名調子(ビブラートをつけている)で口笛を吹くシーン。イタリア系のくせに「音痴」だと自己分析するコロンボ警部ですが決して音痴ではありませんでした。
26話「自縛の紐」で犯人マイロ・ジャナスの家の近くの海岸を歩くシーンでは、吹き替え版でもピーターフォーク自身の生歌の「THIS OLD MAN」を確認できます。
37話「さらば提督」のラストシーンでこの「THIS OLD MAN」が初めて「印象的に使用された」と思われます。が、メインメロディが間違っています!
41話「死者のメッセージ」で、犯人アビゲイル・ミッチェルの自宅のリビングで「無断で」ピアノ演奏します。その後庭に出た後も口笛を吹いています。かなりご機嫌な様子でした。
42話「美食の報酬」では、レストランで行われた授賞式のシーンで、料理が運び込まれるBGMとしてこの「THIS OLD MAN」が流れます。場面を可愛らしく演出するのに便利だったと考えられます。
52話「完全犯罪の誤算」では、選挙運動の華やかなイメージを演出する「デキシーランド・ジャズ」とともに、この「THIS OLD MAN」もBGMとして多用されています。
67話「復讐を抱いて眠れ」写真からドロテア・ペイジの家をつきとめるまでのシーンで、オーケストラアレンジされたBGMが流れます。
68話「奪われた旋律」(日本語吹き替え版)のラストシーンでは、このメロディーで「おもちゃで遊ぼう」と歌っています。この場面での使われ方は、少しわざとらしさも感じられますが。
我々日本人は、つい日本語吹き替えのほうに気を取られ、考慮の外にしてしまいがちなんですが、原語版での俳優の声や、拳銃の発射音や、鼻歌や口笛や、プジョー403のエンジン音やバックファイヤー音や、DOGの吠える声や、鳥の囀りや、その他、効果音や環境音の多くが、映像と同時収録ではなくて、当然、アフレコやアテレコなんですよね。
アフレコのためにもう一度(もしくは複数回)スタジオに俳優を集めるというのも、考えてみれば面倒な作業ですよね。そこでまた、改めて映像に合わせた会話の演技指導をしたり、鼻歌や口笛などの、一声一声、一音一音にも神経を使わなくてはいけないなんて、気が遠くなりそうです。監督や演出担当者は勿論のこと、黒子に徹する音声担当者さんも、実にやりがいがある仕事ではありますね。
9話「パイルD-3の壁」 で、ピーター・フォークが一回だけ監督兼任にチャレンジした話題がありましたが、そりゃあ、一話分だけでも制作を任される未熟な監督の仕事に、意地の悪い姑や小姑のように周囲は好き勝手、言い放題だったのでしょうが、主役も務めるとなるともう、どれだけ責任重大で大変だったことか。その神経を擦り減らすような当時のフォークのストレスとご心痛に、心より同情したくもなります。
監督は、音声面ではBGMの使い方も含め、オーケストラの「音楽監督」です。
今後は、様々な「音」にも注意しながら鑑賞してみたいです。
ぼろんこ様 いつもありがたく拝見しております。
この口笛の曲はマザーグースではなく、古いウェールズ民謡だそうです。10までの数え唄で、「おじいさんが○○をトントン叩くよ、犬に骨やってじいさんを帰らしな」みたいな歌詞です。https://en.m.wikipedia.org/wiki/This_Old_Man
はじめまして!
そうでしたか!ご指摘ありがとうございます。
検証した後、本文を書き直します。
26話「自縛の紐」のリンクが権力の墓穴になっています。
発見ありがとうございます、修正できました。
先日、John Cassavetes の代表作5作のリバイバル上映の一環で、’A Woman Under the Influence’ を劇場で観てきました。Peter Falk 演じるニックが夜勤の仕事を終えて自宅に帰ってきて、Gena Rowlands 演じる彼の奥さん役のMabel や子どもたちをベッドに集めて、口笛を披露するシーンがあったのですが、そこでPeter Falk が吹いた曲もやっぱり”This Old Man” で、思わずひとりでニヤついてしまいました。
John Cassavetes の映画には、どの作品にもコロンボファミリーがたくさん出演していて、初めて観たのですがどの作品もすごく面白かったです。これからもっとコロンボのキャストが出演している他作品も観ていきたいという気持ちになりました。
う〜ん、いいお話をありがとうございます。
口笛は、本当に
人がやっているんですか?
それは「THIS OLD MAN」についてではなく、エンディングに流れる曲のことでしょうか?
新コロンボのシリーズではこの曲がコロンボのテーマ曲と化してますね
BGMにもよくアレンジされて流れてきますし、呼び鈴の音等気がつくとこの曲のフレーズが流れています。
何より、日本のテレビ放送ではよくカットされてしまう本来のエンドクレジットでこの曲がよくかかります。