- 「ぼろんこの名作選」に選ばれています。
- 脇役俳優「ヴィトー・スコッティ」の出演作品。
- ネルソン・ヘイワード「クライスラー・ニュー・ヨーカー」
- ハリー・ストーン「シボレー・インパラ」
動機は十分と言えそう。
上院議員候補ヘイワード氏が自分の選挙参謀ハリー・ストーン(ケン・スウォフォード)を殺害します。被害者ストーンはヘイワードの不倫の秘密を知っており「愛人と別れるように」命令したことが直接要因となっています。動機はそれだけではないのでしょう。脇役であるはずの選挙参謀が主人公である上院議員候補に対し「自分の操り人形になれ」とばかりの横柄な態度を見せています。
冒頭シーンのBGM
このどこか不気味な雰囲気のする音楽は、24話「白鳥の歌」や25話「権力の墓穴」にもアレンジを変えて使われています。印象的な曲で大好きです。
YouTube「野望の果ての冒頭シーンをパソコン演奏で再現」しました。音楽もお好きな方は、こちらもご覧ください。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)
脅迫に屈しない候補者をジャッキー・クーパーが好演。
ヘイワード氏はたとえ脅迫されようとも屈せず、犯罪撲滅を訴える勇気ある候補者を演じようとしていました。脅迫犯がストーンを殺害することで「同情票と邪魔者抹殺」の一石二鳥を狙ったのでしょう。それにしても選挙前の最も大切な時期に、身近な人物を殺害してしまうというリスキーな行動に出るでしょうか?
しかし、それを納得させちゃうようなキャラクターが犯人のネルソン・ヘイワード(ジャッキー・クーパー)です。全編に彼の人間臭さ、幼稚さが描かれています。ヘイワードはコロンボの執拗な捜査に腹を立て、嫌悪感を露にします。そして愛人と本妻との板挟みで、徐々に選挙どころではなくなっていきました。
日本語版吹き替えは初代風車の弥七。
日本語版吹き替え:中谷一郎(なかたにいちろう)さんはテレビ時代劇「水戸黄門」の初代「風車の弥七」としてもお馴染みの俳優さんです。
待たされた選挙事務所での観察眼
夫人と仲睦まじい演技を見せるヘイワード。それを不愉快そうに眺めるリンダ。新調した上着を届けに来る男性。「妻の秘書であるはず」のリンダと執務室で二人きりで打ち合わせをしているヘイワード。コロンボは待たされている間、そんなことを観察しています。
ヘイワード候補の説明は、ことごとく却下。
執務室では、コロンボの疑問を解決すべく答えた「アドバイス」が、ことごとく跳ね返され次第に追いつめられていきます。
行動がいちいちわざとらしい、ヘイワード氏。
後半で妻の秘書リンダに「脅迫状が届いたことを告げる」シーンは面白いです。すごくわざとらしいヘイワードの表情と口調を楽しめます。また、テレビ演説の収録場面はコロンボと奥さんの会話で気が散ってしまうヘイワードさんも可愛いです。
選挙対策室ベランダの爆竹は大減点!
ラストの自作自演の場面では、ベランダに爆竹の燃えカスが残ったはずで、これが「減点対象」となりこの作品の支持者を大幅に減らしています。たった今銃撃されたことを周囲に認めさせる工作ですが、かなり無理があります。この爆竹問題ですが何度見ても納得できず、「傑作選」からワンランク降格し「名作選」に移動しました。
「野望の果て」は出演者のキャラクターが光ります。
犯人役のヘイワード氏を筆頭に、憎まれ役の参謀ハリー・ストーン、美人秘書のリンダ、夫人のビクトリアなどなど。とても魅力的な脇役が揃っています。
ジャッキー・クーパーのラストの表情は切ない
演技が軽いという評もあるようですが、刑事コロンボの犯人役で最も印象に残る人のひとりです。また彼が逮捕されるシーンではコロンボ警部の「はい。はい。はい。はい。いいえ。」という名台詞が登場します。そして「あなたを逮捕します」と言われた直後のジャッキー・クーパーの表情「目を閉じる演技」は哀愁が漂います。初期コロンボの美人秘書の典型?
この作品「野望の果て」の脇役ヘイワード夫人の秘書のリンダ(ティシャ・スターリング Tisha Sterling)は、コロンボ作品に登場する若い美女像の典型のように感じます。その後に登場する26話「自縛の紐」の犯人マイロ・ジャナスの秘書ジェシカ・コンロイにも共通点を感じました。リンダは真面目で正直者だから…
リンダはコロンボの執拗な聞き込みに対して「何も知りません、失礼します。」と、一刻も早く立ち去ろうとします。しかしヘイワードの人格性について聞かれると、好意を抱いていることを見透かされ、ハリー・ストーンをよく思っていないことを力説してしまうなど、正直すぎて益々疑われてしまうのです。
刑事コロンボで最も素敵な「犯人の奥様」の一人
ヘイワード夫人はジョアンヌ・リンヴィル(Joanne Linville)で、シリーズ中で最も素敵な「犯人の奥様」だったと思えます。夫の選挙活動の手伝いから、不倫疑惑の浮上、殺人犯人へと転落するまでの心の動きをよく表現していました。テレビ演説でのカメラ撮りのシーン
テレビ演説でのカメラ撮りでの彼女とコロンボ警部とのやりとりは楽しく描かれていましたね。コロンボから「ハリー・ストーンが頑丈な腕時計を所有していた」と…テントの柱でコツンと音を立てられ、ビクッとする仕草が可愛かったです。その他のシーンでも、夫の行動に疑惑を感じつつも、愛は失っていない妻の心情がよく出ていました。
宇宙大作戦
このジョアンヌ・リンヴィルは、同時代の人気SFドラマ宇宙大作戦の「透明宇宙船」で、ロミュラン人の司令官役で出演しています。さすがの美しさで本作のゲストスターで主役級です。ロミュラン人とバルカン人の先祖は同じだと言うことで、このような眉と耳です。ヘイワード夫人の親友はミシンのおばちゃん
コロンボファンの方より教えていただいた情報ですが、ヘイワード夫人の親友「ルーシー」は24話「白鳥の歌」で「ミシンのおばちゃん」と同一人物「ルシール・メレディス(Lucille Meredith)」さんです。まさか奥様まで殺害?
自宅の(びっくり)バースデイパーティの冒頭シーン。まさか奥様までついでに殺してしまうのか?と思わせる効果的なシーンでした。その後、明るくなった部屋で「奥様に会うためにそんなに手数をかける‥」のセリフがルシール・メレディスさんです。
なんで名前が違うの…?
ヘイワード氏の警備を担当したバーノン刑事は、11話「悪の温室」でグローバー刑事として登場していましたね。両役とも良い味を出していたと思います。演じるのは「ロバート・カーンズ」という俳優さん、この人は大好きです。参照:「ロス警察の気になる同僚たち」
ヘイワード候補の護衛の責任者
ヘイワード候補の護衛の責任者で、殺害されたのがストーンだと分かると、その捜査をコロンボに任せる上司は俳優「リジス・コーディック」。この人は前作の19話「別れのワイン」でエイドリアンの友人ルイスを演じています。ロハス刑事
前半で選挙対策室の駐車場から立ち去るヘーワード(本当はストーン)の車を追いかけ、跳ねられそうになるのがロハス刑事:ジェイ・バレラです。その後は2度と失敗しないよう、ギラギラした目つきでヘイワードに張り付いて護衛する姿がとても印象的。この人は33話「ハッサン・サラーの反逆」でオルテガ警部として再登場しています。チャドウィック紳士服店
チャドウィック紳士服店のマネージャーは名優ヴィトー・スコッティ。犯人のネルソン・ヘイワード氏の行き付けの紳士服店で、コロンボ警部が自分もボウリング祭り用のジャケットを作って欲しいと依頼し、軽くあしらわれるシーン。仕上がりの期日を告げられて態度を一転するのがこっけい。ジュード・フェアズ
コロンボ警部が「プジョー403」を運転中に検問される際に登場する若い方の警官役のジュード・フェアズは26話「自縛の紐」で健康クラブの清掃員:マーフィとして再登場しています。愛嬌のある表情が素敵です。ワイパーのぎこちない動きに唖然としてました(笑)同行の警察官も可愛いおじさん
ジュード・フェアズと共にコロンボ警部の「プジョー403」を検問する警察官は「サンディー・ケニオン」。必ず車を修理するように警告します。時間稼ぎのようなシーンですが、この後「車を整備に出しヒントを得る」ことにつながっています。ガゾリンスタンドの整備士
コロンボの「プジョー403」を修理した整備士シェリーは、ジェームス・G・リチャードソン。修理費が高いだの、変装して捜査か?だの、楽しい会話のシーンです。事件当夜にはガソリンが売り切れて、店を早仕舞いしたという重要な証言を得て、高い修理代が帳消しになりました。テレビのアナウンサー
選挙速報のテレビ番組のアンサウンサーは、「クリート・ロバーツ」で俳優というより実際にアナリスト的に活躍されていた方のようです。5話「ホリスター将軍のコレクション」でもアナウンサーとしてテレビに写っています。同じ風景画が、最低でも3回出現。
ブログゲストさんから情報をいただき検証しました。レイ・フレミングのマンション、ネルソン・ヘイワードのホテルの風景は同じでした!さらに調査した結果、ケイ・フリーストンのオフィスの窓にも出現しています。
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ヘイワードの別荘はマリブ

ヘイワードの別荘はLA西部のマリブの海岸沿いです。コロンボが車を修理したガソリンスタンドとの距離感も参考にするとさらに楽しめます。
監督:ボリス・セイガル
脚本:アービング・パールバーグ 他
原案:ラリー・コーエン
音楽:ディック・デ・ベネディクティス
ネルソン・ヘイワード:ジャッキー・クーパー(声:中谷一郎)
ビクトリア・ヘイワード:ジョアンヌ・リンヴィル(声:稲野和子)
リンダ・ジョンソン:ティシャ・スターリング(声:津田京子)
ハリー・ストーン:ケン・スウォフォード(声:鎗田順吉)
紳士服店主チャドウィック:ヴィトー・スコッティ(声:石井敏郎)
バーノン刑事:ロバート・カーンズ(声:藤本譲)
ビクトリアの友人ルーシー:ルシール・メレディス
ビクトリアの友人:ダイアン・ ターレイ・トラヴィス
検問の警察官1:ジュード・フェアズ
検問の警察官2:サンディー・ケニオン
整備士シェリー:ジェームス・G・リチャード
テレビのアナウンサー:クリート・ロバーツ
歯医者メレンチョ:マリオ・ガロ
ロハス刑事:ジェイ・バレラ
選挙スタッフ:マイク・ラリー
加筆:2023年1月4日
ハリーの服装と時計が合わないって かなりこじ付けのような気がします そんな人は世の中にたくさんいます。
脅迫状を自分で作成して 誰か他の者が見つけてくれればと いかにも訴えるようにリンダを見つめる演技はわざとらしいです。 ヘイワードはカツラだとリンダさんはわかってるのでしょうか 関係があるのならば知ってるでしょうね。 His Own Wig. とでも言ったとこでしょうか。
服装と合わないというより、丈夫さを第一とするハリーの信条と合わないってことだと思います。Gショックが当時あれば絶対買っているような人ですよね。
ただ、警察に犯行を示唆する電話するんだったら時計の交換は不要だったでしょうに。
3回出現する風景画ですが、17話「二つの顔」のリサの部屋から見える景色としても使われていませんか?
このエピソードの一番の疑問は、なんで、こんなに人相の悪い政治家を、コロンボ夫人が好きなのか?そして、こんなに美しい愛人がいるのか?です。こんな悪い人相、なかなかないでしょ。こいつ嫌いだなぁって思います。てことは、名優なんでしょうねぇ。日本だったら、悪役商会ですよ。
チャドウィック紳士服店の店員さん、なんともいい感じですね。サンドウィッチマンの富澤さんにも、どことなく似てるなーと。
ヘイワードって本当に稚拙、幼稚ですね。殺されかけたことを偽装する前に、これから政治活動に不可欠な参謀のハリーをいくら邪魔だからと言って自分で殺すのですから。
確かに、ヘイワード夫人は刑事コロンボで最も素敵な犯人の奥様の一人で間違いありませんね。
「ビデオテープの証言」のジーナ・ローランズもよかったけど。
ちなみに被害者の奥様では、「構想の死角」のローズマリー・フォーサイスが好きかな…。
犯人の奥様、被害者の奥様の素敵ベストテンもいいかも。
今更ながらに、ヘイワードの声優が中谷一郎、結構大物俳優の起用だなと思います。私が一番好きなテレビドラマ、松田優作と中村雅俊が主演する刑事ドラマの第一回目のゲスト俳優でした。調べたらこの「野望の果て」が初回放映されたのが1974年、その翌年にゲスト俳優として甲府の敏腕刑事を演じていました。風車の弥七を演じたのが1969年からのことですから、この吹き替えの時は有名な俳優さんだった筈です。さすがはNHKだと思いました。
壁の穴から銃弾を見つけたので、床に落ちていた爆竹の燃えカスは証拠として必要ないと思ったのでしょうか?それにしても逮捕理由は器物損壊と偽計業務妨害だけで、殺人罪は立証できなかったのでは?コロンボの場合、弁護士不在時の犯人の自白しかないことが多く、少なくとも現代日本では裁判で有罪判決を得ることは難しそうです。
被害者に残った銃弾と壁の穴から取り出した銃弾の線条痕が一致しているのはかなり大きな証拠じゃないでしょうか。おそらくその後に金庫の中身も調べられて銃も証拠として出てくるでしょうし。
初めまして。
コロンボの様な、素晴らしく要点をおつきになったご解説‼️
飲み込みの悪い自分にも素直に、入ってきます。
いつもありがとうございます。
だれがBS4Kなんか観るもんか、と啖呵切った以上、イライラと待ち焦がれるBS「コロンボ」。事件が起きる前から登場するコロンボ。歯科医との漫才。真綿で首を絞めるようにヘイワードにプレッシャーを掛ける。夫人秘書のリンダを喧騒の中で観察し、また次のガーデンパーティー?シーンでリンダを責める非情さ(※コロンボってのはひでえ奴だ)、お馴染みヴィトー・スコッティとの掛け合い(※夫人の友人ルーシー役ルシール・メレディスが「白鳥の歌」のミシンおばちゃんとは、俳優は化けますね)、交通課との車を巡るお笑い。走行実験、ガソリンスタンドの整備士の「変装中?」、夫人にまでプレッシャーをかけるetc.。
あらためて観ると、コロンボと登場人物との絡みが、次から次へと繰り出されて見せ場の連続で見応えがありますね。犯人を愚行に追い込むプロセスの説得力十分。犯人のアリバイ作りもド派手。で、いつも考えるんですがヘイワードは共和党だろうな、と。
久し振りにタイムリーで観ています
ピーターフォーク何歳の時の作品なのかな?子供の頃は犯人にへこへこして
冴えないおじさんと思って見ていましたが、今、見るとキレキレの仕事ぶり
作品を2度も、3度も味わえますね
にこさん ✨ こんにちは😃
わたしもいま❗️観ております 雨上がりジトジト蒸し暑い中キンキンの炭酸水🍹をいただきながら
こちら1947年の作品だそうですね
ピーター・フォークさま 46歳 ✨✨ イケオジ最盛期💖
間違えました 1973年の作品です
りこさん
有難うございました😊まだ
40代だったんですね
イケオジ沢山出てますね~
「野望の果て」は今週末に放送されるみたいですが、
やはり先週末の参院選ただなかに放送した方がタイムリーでしたね。
今日はBSコロンボ放送無いですね つまんないな 次回は野望の果てですね
監督のボリス・セイガルについては、例の本「刑事コロンボとピーター・フォーク」(原書房)にも特に書かれていませんので(というかこの本、脚本を巡るすったもんだは多いのですが監督の記述は少ない)ちょいと検索してみると、ソ連出身のユダヤ人でアメリカで監督となったようですね。
監督した映画で日本にもなじみがあるものを強いて挙げるなら「地球最後の男オメガマン」かな(私も名のみで観てないんですが)。
日本でもなじみのあるテレビドラマシリーズを多数監督したようですね。そこで私があえて今となっては語られないドラマシリーズを挙げますと「リッチマン・プアマン」これは1979年NHKで大河ドラマ「草燃える」の直後、PM8:50から放映されるという今考えるとかなりいい扱いで好評でした。
しかし、私が個人的に印象的だったのは「生年月日 1923年10月18日」生年は全然違いますが私の生月日は10月18日なのです(※失礼しました)。
映画撮影中の事故で57歳で亡くなったそうです。