- コロンボ警部は「ビリヤードが得意」の記事。
- ウィリアムズ夫妻「リンカーン・コンチネンタル」
まだ本格的なシリーズ化ではない 死者の身代金
死者の身代金 は女性弁護士レスリー・ウィリアムズが、夫(有名弁護士)のポール・ウィリアムズを殺害し、身代金目当ての誘拐に見せかけるお話。3話の「構想の死角」から本格的にシリーズ化する直前の作品と位置づけられます。タイトルクレジットは細く白色で、いわゆるコロンボ書体ではありません。
犯人レスリー・ウィリアムズ像
リー・グラントは怖(こわ)美しい
犯人役のゲストスター、レスリー役:リー・グラントは2作目にして初の女性犯人。当時44歳頃で、小柄な女性ですが強く美しく描かれています。特にウィリアムズの葬式での横顔が印象に残ります。リー・グラントという出来すぎた芸名は、南北戦争の敵同士「リー将軍」「グラント将軍」から命名されたそうで、納得。娘のマーガレット
娘マーガレットを演じたのは、女優:パトリシア・マチック。なかなかの強者(つわもの)で、良いキャラクターでした。メガネをかけた若い女性ということで、40話「殺しの序曲」の天才少女「キャロライン」に似ているとの声も上がります。パトリシア・マチックは1971年の映画「白い肌の異常な夜(The Beguiled)」でクリント・イーストウッドとも共演しています。
ウィリアムズ邸
ウイリアムズ邸は、サネット・ブールバード沿いの高級住宅街にあります。一番近いご近所は、会計士のオリバー・プラントさんです。
ロス警察を「この街の警察」と…
FBIの管轄になったことから、コロンボ警部も最初は遠慮がちに捜査に関わっていて、「矛盾に対する困惑」が延々と描かれます。「殺し」の捜査に移行した後は、水を得た魚のようにはしゃぎます。今回はFBIの登場ということで、ロス警察を「この街の警察」と表現していて面白いですね。
後の作品の元アイデアがちらり
ごく初期の作品なのですが、かなり「スッキリ」な仕上がりになっていてびっくりしました。脅迫電話のトリックをレスリーに実演してみせることも興味深いし、娘に一芝居打たせて、犯人を罠にハメるラストは25話「権力の墓穴」、録音テープを使ったトリックは26話「自縛の紐」の原形にも思われ、とても興味深いものです。
確立してゆく捜査スタイル
1話の「殺人処方箋」とこの2話「死者の身代金」で、コロンボの刑事としての捜査スタイルはすでに確立していて「うだつの上がらなそうな風貌を利用して相手を油断させる」「身内の話で手がかりのきっかけを作る」「実はかなりの腕利き刑事」などが見られます。ただ両話とも、コロンボ刑事が事件から外されそうになり、現実の世界でもありそうな展開。
セスナに乗るシーン
レスリーと一緒にセスナに乗るシーンは、大きな場面ですがそれほど重要ではなく、一見無駄に長く感じられます。これは勇敢な女性と頼りない男性を対比させ、コロンボ警部(高所恐怖症)のキャラクターを際立たせているのかな。この飛行場は「バーバンク・グレンデール・パサデナ空港」と呼ばれていたが、現在は俳優の「ボブ・ホープ」に因んで「バーバンク・ボブ・ホープ空港」となっています。
髪が伸びて、ぼさぼさ風に
1話「殺人処方箋」から約3年が経っての2作目です。ですので一気にお馴染みのコロンボの風貌が出来上がっています。髪は伸びでぼさぼさ、レインコートも少しよれよれ度を増します。さらに…スーツは今回からお馴染みの「明るい茶系」に変化し、温かみを感じます。殺人処方箋ではグレー系(ちょっと冷淡)でした。すでに「チリ好き」も楽しめますし、コロンボのキャラクター設定が出来上がってきました。
ティモシー・ケリー
コロンボ警部が好物のチリを食べる「Barney’s Beanery」の「バート」役のティモシー・ケリーは、その後の作品、5話「ホリスター将軍のコレクション」にも同じ役で登場します。38話「ルーサン警部の犯罪」はトニーで別人の役。
バーニーズ・ビーナリーが初登場
新シリーズに登場する「バーニーの店」の前身として考えて良いのかどうか疑問ですが店名は「バーニーズ・ビーナリー」です。ティモシー・ケリー出演の5話「ホリスター将軍のコレクション」のお店は違うようですね。今回はビリヤード台の置いてある広いお店でした。コロンボ警部のビリヤードシーンは今後もたびたび見られます。→バーニーの店「バーニーズ・ビーナリー」
カールソン捜査官
誘拐事件の捜査の責任者カールソンは俳優ハロルド・グールド。ヒゲがお似合いのジェントルマンでしたね。ハロルド・グールドは長い俳優キャリアを持っており、映画「スティング」、テレビ出演では「0011ナポレオン・ソロ」「逃亡者」「スパイ大作戦」「鬼警部アイアンサイド」など懐かしいタイトルがずらり。
リチャード捜査官
もう一人の年配のリチャード捜査官は俳優チャールズ・マコーレイ。コロンボに計3回出演しています。今回の役は他と外見が異なり、同一人物だと断定するのに数年を要しました。今回が一番若いはずなのですが、そうも見えませんし笑。ハモンド捜査官
カールソンの部下で自宅での盗聴や、身代金をバッグに詰める役のハモンド捜査官は俳優ポール・カー。この人は「宇宙大作戦」34話「光るめだま」に出演しています。
ジェリー(フィル)捜査官
黒い髪の捜査官は俳優ジェド・アラン。劇中では「ジェリー」(和英とも)と呼ばれていますが、データサイト等では「フィル」とクレジットされています。マイケル・クラーク
弁護士レスリーをサポートする男性社員マイケル・クラークは俳優ジョン・フィンク。キャラクターとしては40話「殺しの序曲」のジョージ・カンパネラに通じる感じです。
女性社員ナンシー
女性社員ナンシーはリサ・ムーア。ウィリアムズ事務所で鉛筆をピンピンしながら歩いてくる女性です。何ともオシャレなファッションの女性で、ちょい役ですが印象に残っています。レスリーのご友人グロリア
葬儀の後レスリーの自宅で「私なら叩き出しちゃう」とマーガレットを非難した女性グロリアは女優セレステ・ヤーノール。この女優さん「宇宙大作戦」34話「死のパラダイス」にもヨーマン・マーサ・ランドン隊員として出演しています。この3人の事務所が同じビルに!
LOS ANGELES COUNTY COURTHOUSE
また、裁判の開かれる「LOS ANGELES COUNTY COURTHOUSE」も「もう一つの鍵」のベス・チャドイックの裁判所と同じ場所です。(映像アングルは異なります。)クローウェル原告
この裁判でプレス工(こう)として臨時に雇われ、階段を踏み外して怪我をした原告です。レスリー弁護士にこっぴどく追及されてましtね。でも可愛い感じの俳優さんでした。裁判長
さらには裁判長の俳優ジャドソン・モーガン。この俳優さんは、25話「権力の墓穴」のクラブで「ローレンス様がたいへんついていらっしゃいまして」と話すマネージャー風の男性チャールズと同一人物。傍聴人の一人
さらにさらに、この裁判を傍聴するこの男性はエキストラ俳優のバート・グリーン。何とコロンボに計回も出演していることがわかりました。2回目は9話「パイルD-3の壁」のサングラスの作業員、3回目は15話「溶ける糸」の病院で掃除機をかける人と、割と美味しい役どころでした!グレープジュースはルートビア

空港のカフェでコロンボ警部が飲む「グレープジュース」は、葡萄色じゃないので変だな~と思って英語で聞き直したら「ルートビア(root beer)」を注文していました。ノンアルコールの炭酸飲料だそうです。(ウエイトレスの女優はロイス・バトル)
お金を持っているのに払えない…
また同シーンで、3ドル50セントの飲み物代を支払うお金を持っておらず、警察手帳を見せながらサインをします。これは大金の札束(身代金)を手にしながら支払えない…という矛盾に加え、筆記用具も持っておらず、ウエイトレスに借りるという始末。こっけいなBGMも加わり、微笑ましい締めくくりです。
音楽担当はビリー・ゴールデンバーグ
タイトルバックのシーン、中盤でセスナに乗るシーン、それと空港でのエンディングには、「死者の身代金のテーマ」とでも名付けたい印象深いメロディが登場します。これは何と、15話「溶ける糸」のメイフィールド邸でのパーティのBGMにも使われています。作曲家は「ビリー・ゴールデンバーグ」。70年代っぽいポップなサウンドなので、聞いてみてください。
監督:リチャード・アーヴィング
脚本:ディーン・ハーグローブ
音楽:ビリー・ゴールデンバーグ
レスリー・ウィリアムズ:リー・グラント(声:山東昭子)
マーガレット:パトリシア・マティック(声:上田みゆき)
カールソン捜査官:ハロルド・グールド(声:北村弘一)
リチャード捜査官:チャールズ・マコーレイ
ハモンド捜査官:ポール・カー
ジェリー(フィル)捜査官:ジェド・アラン
パーキンス銀行員:リチャード・ロアト
バート:ティモシー・ケリー(声:鈴木泰明)
男性社員マイケル・クラーク:ジョン・フィンク(声:納谷六朗)
女性社員ナンシー:リサ・ムーア
クローウェル原告:ビル・ウォーカー(声:雨森雅司)
裁判長:ジャドソン・モーガン
空港のウエイトレス:ロイス・バトル
セリア(依頼人):ノーマ・コロニー
グロリア(レスリーの友人):セレステ・ヤーノール
パット(電話の女性):ジーン・バイロン
傍聴人:バート・グリーン
加筆:2024年11月21日
2話「
『死者の身代金』見ました。
リー・グラントの声を山東昭子さんがあててますが、エレガントでありつつ、芯の強さも備えたキャラにピッタリですね。スパイ大作戦のシナモンの声もやってらっしゃったと思います。
『殺人処方箋』から3年後の制作なんですね。刑事コロンボがシリーズ化するまでに結構かかってたんだなぁと驚きです。その分、コロンボのキャラクターも2作目にして確立されてますね。
殺害のシーンのカット割りや、死体を始末したあとのリー・グラントの目と車のヘッドライトを合わせたシーンチェンジなど、魅せる演出が随所にありました。
はじめまして
「死者の身代金」から5年後、妖艶な美しさを持つリー・グラント(51歳)は1976 年の第 48 回アカデミー賞®で映画「シャンプー」の演技により最優秀助演女優賞を受賞しました。
リー・グラントは、1967年のサスペンス映画「夜の大捜査線」で被害者未亡人のレズリーに扮しました。
こんにちは コロンボの中でもつい何回も観てしまう作品があります こちらもそう
セスナに乗り込んだ時 身代金を入れたダミーのバックを持ち込みます バックの中身は何を入れたんだろうとふと考えてしまいました 紙幣💴が入っているように見せかける膨らみ 新聞紙📰の束でも入れたんでしょうか 投下した時はカラ 中身はどこにいったんでしょうか
書斎の入り口🚪扉の左側壁に何点か海外🖼️が飾れてます いちばん扉にちかい すぐ左側の絵 黒っぽい背景に男女2人 レスリーと旦那様を描いた絵にみえなくもない どうかなー✨
この回もチリ 美味しそう また作ろっと
youtubeのpeacocktvのColumboで指摘している人がいたのですが、最後の空港の場面でレスリーがコロンボをカフェに誘う時に空港の売店に置かれたサンタクロースらしき大きな赤い人形が映っています。クリスマスシーズンの撮影だったのでしょうか。
サンタクロース🎅いました!
ラストシーンでコロンボがオーダーしたグレープ🍇ジュースの正体のルートビア ピーターフォークさまの命日に開けてみました コーラともドクターペッパーとも違う
湿布を強炭酸水で割ったみたいな薬っぽかったです アメリカ人はこれ好きなのかしら
ルートビアはコーラ同様昔からあるのでアメリカの食卓では定番のソーダです。他のソーダと違いカフェインが入っていないので特にモルモン教徒、子供向けソーダでもあります。スヌーピーの好物で泡立ったジョッキを持ったシーンがよく登場しますよね。ルートビアのメーカーとしてはA&Wが老舗で、最近は缶入りはどこの輸入食品店でも置いてますね。元々創始者が薬局店員で病気の友人のため、薬草や根を調合して作ったそうで、薬臭いと思う人は多いようです。沖縄ではA&Wはハンバーガーチェーンとして有名で、セットで頼むとルートビアは確かリフィル(おかわり)できたはずです。このバーガー店もコロンボお気に入りのチリがチーズフライに乗ったサイドがあります。余談ですが、ウェンディーズのチリも本格的です。A&Wも本土に来てくれないかな。。。
こんにちは いま70年代ラバーさまに 5時半の目撃者で ルートビア飲んでみました!ご報告したいなあと考えていたら こちらにコメントが
とても嬉しかったです いろいろ知れて嬉しい限りです 命日には自宅でチリも作ってみました ウェンディーズのチリ 食べてみたいです✨ 9月のピーター・フォークさまお誕生日には クリームソーダの缶開けてみますね 楽しいお話をありがとうございます
A &Wみてきましたー いやん めっちゃ美味しそうです サイドメニューのチリチーズ🧀かかったチップスなど! ぜひ沖縄以外にも上陸してほしい ウェンディーズはわたしの周りになくて 撤退してしまったとばかり 前に新宿3丁目でバイトしていた頃はすぐに買えたのに みてきましたらチリ これまた本格的な 近くに行ったらぜひコロンボ気取りでオーダーしたいです✨
なるほどー!。
高校時代、ソルトレイクシティのモルモン教徒の一家の所にホームステイした際に、ルートビアを買っていただいたことがあります。
ドクター・ペッパーぽいな、と微妙な味を覚えていて それ以来飲んではいませんが、そういう理由だったのを 今知りましたー。
異文化への謎(?)が 長い年月の後に 意外なところから解明されたりすると嬉しくなってしまいます。
わあ 素敵な広がりに胸打たれてじんじんします ✨年月を経て✨
「死者の身代金」から「パイルD-3の壁」までの翻訳は、飯嶋永昭さんですが、額田さんとまた違った言い回しの味がありますねー。レスリーの秘書ナンシーの「先生、お帰りなさいまし」とか、レスリーの友達の「一度脅かしてやれば、ぺちゃんこよ」なんて、イイですねー。あと「もう一つの鍵」のチャドウィック夫人の「この子の名前はエンリコよ。ワン公なんて呼ばないで」もイイ。一番好きなのは、「パイルD-3の壁」でジェニファーが放つ「はばかり様」かな。個人的にはかなりグッときてます!