18話「毒のある花」

Lovely but Lethal / 1973

化粧品会社「ビューティー・マーク社」の女社長であるビベカ・スコットが、自社の研究者カールを殺害。人間の普遍的な願望「若返り」に愛憎が絡んだ面白い作品です。

ゲストスターのヴェラ・マイルズは素敵

ヴェラ・マイルズ犯人役のビベカ(ヴェラ・マイルズ)さんが素敵です。まさに「毒のある花」を連想させます。それに犯行解明のカギとなる「毒ヅタ」を引っ掛けた邦題だと思えます。日本語版吹き替えの伊藤幸子さんも良かったです。
ヴェラはこの13年前映画「サイコ」で、ジャネット・リー(32話「忘れたれたスター」)の妹役を演じていて、これは必見です。

大草原の小さな家

大草原の小さな家のヴェラ・マイルズヴェラ・マイルズは、ほぼ同時代に人気を博したテレビドラマ「大草原の小さな家」シーズン9「最後の夏」にルーシー・リーランド役で出演しています。最後の夏は1983年の作品でちょうど「毒のある花」より10年後の彼女に再会することができます。

容疑者の第一候補に立候補

犯行が計画的でなかったこともあり、些細な矛盾点を次々に暴露されます。まずはコロンボ警部との初対面で、「警察に隠すことは無い」と断言しながら、メモが黒い眉毛のペンシルにより書かれたことを誤摩化そうとして、さっそく容疑者の第一候補に立候補していました。ホクロの付け方についても突っ込まれ、自分から進んで釈明していましたね。

なんと、クレイマー刑事が研究員で出演!

ブルース・カービー失敗した研究の残骸を焼却する係の男性。どこかで見たことのある俳優ですね。その後何度もコロンボシリーズに出演する「クレイマー刑事:ブルース・カービー」です。今回はちょい役でしたが、愛嬌があって素敵な俳優です。→クレイマー刑事

またまた、ゆで卵を持参

カールの殺人現場に登場したコロンボ警部、今回もゆで卵を持参。しかも食塩を忘れて、被害者のキッチンで拝借しています。こういう緩くてユーモアのあるシーンはコロンボならでは。

しつこいコロンボにうんざり…

コロンボ警部の「しつこい聞き込み」も炸裂しています。容疑者を褒めながら接近し、お得意のカミさん話、化粧品会社の人間関係の話など、まわりくどい話術で犯人をどんどん追い込んでゆきます。投げ矢の的の話など、嫌味まじりの話題も多かったですね。

ビベカは崖っぷちの連続でも、したたか

今回のお話は殺人と同時に社運もかかっていて、ビベカ(女社長)は大きな不安と期待の両方を背負って、混乱していました。自分の犯行だと感づいたラング化粧品の秘書シャリーに電話する際の「声色(こわいろ)」や、彼女に接する時の「したたかな女の演技」も見逃せません。

異彩を放つ女優シアン・バーバラ・アレン

シアン・バーバラ・アレンシャリーを演じた「シアン・バーバラ・アレン」という女優は、とても印象に残りました。登場シーン(風変わりなドレスも不思議)から何か含みのある表情で、重要な登場人物であることを予感させます。やはり刑事コロンボの脇役はすごいですね。

大物俳優が出演

マーティン・シーン殺されるゲストスターとして「マーティン・シーン」(地獄の黙示録等)が出演していることは有名。出来れば…犯人役も見たかった。息子さんはご存知「チャーリー・シーン」(プラトーン等)という超セレブ父子。

ビンセント・プライス

ビンセント・プライスラング社長役の「ビンセント・プライス」も良い味を出しています。言葉の節々にひねた性格が表れます。6話「二枚のドガの絵」の弁護士役「ドン・アメチー」と良く似た風貌ですが別人でした。

マーチソン博士

フレッド・ドレイパーマーチソン博士役:フレッド・ドレイパーが素敵でした。特にビベカ社長を「女王陛下」と呼んで服従したり、「薬の調査を誰にも言わないで」と念を押され、「言ったことがあるかね?」と答えた場面は心に残りました。

覚えたい脇役のひとり「フレッド・ドレイパー」

この俳優さん「フレッド・ドレイパー」は37話「さらば提督」でスワニー・スワンソン役で出演しています。またちょい役では、31話「5時30分の目撃者」で目撃者のお兄さんのデビッド・モリス、38話「ルーサン警部の犯罪」ジョセフでも出演。気付きにくいが、その他にも出演作があります。

相棒刑事はジョン・フィネガン

ジョン・フィネガンそしてラストでは、警察の家宅捜査を察知し、身の危険を感じたビベカが大切な「奇跡の薬」を海に放り投げてしまうシーン。その後、計画がすべて台無しになったことで、感情をむき出しにし悪態をさらします。このシーンを始め、事件の捜査を共にするのはジョン・フィネガン扮する刑事です。

マーティン・シーンの吹き替えは伊武雅之さん

現在の芸名は「伊武雅刀(いぶまさとう)」さんです。伊武さんは宇宙戦艦ヤマトのデスラー総統の声も担当。私は「スネークマンショー」というコメディ作品のファンでもあった。刑事コロンボではこの役の他に、白鳥の歌(ルーク・バスケット)、ビデオテープの証言(バクスター、バンクス巡査)、黄金のバックル(時計店の店員)秒読みの殺人(ジョナサン)などがある。*ウィキペディア参照

マッサージ師のオルガ

シャロン・ヨハンセンマーチソン博士の場面で登場するマッサージ師の金髪の女性「オルガ」は女優シャロン・ヨハンセンで、13話「ロンドンの傘」の劇団員(稽古中にメモをとる、葬儀で泣いている)の女性と同一だと思われます。

旅行会社のボス(バートン)

リチャード・スタル被害者カールが予約した旅行会社のボスを演じるのは「リチャード・スタル」という俳優さん。何気ないシーンですが、この俳優さんは12話「アリバイのダイヤル」でも旅行会社のフレモント氏、21話「意識の下の映像」にも登場しますので要チェックです!

第2~第3シーズンの不思議なピアノ曲

YouTube「不思議なピアノ曲」刑事コロンボの第2~第3シーズン「黒のエチュード」「偶像のレクイエム」「絶たれた音」「毒のある花」などで多用された「不思議な雰囲気を持ったピアノ曲」を再現しています。音楽もお好きな方は、こちらもご覧ください。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

監督:ヤノット・シュワルツ
脚本:ジャクソン・ギリス
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

ビベカ・スコット:ヴェラ・マイルズ(声:伊藤幸子)
カール・レーシング:マーティン・シーン(声:伊武雅之
ラング社長:ヴィンセント・プライス(声:三田松五郎)
シャリー・ブレイン:シアン・バーバラ・アレン(声:芝田清子)
マーチソン博士:フレッド・ドレイパー
研究の残骸を焼却する係:→クレイマー刑事
刑事:ジョン・フィネガン(声:松岡文雄)
旅行会社のバートン:リチャード・スタル
社員ジェリー:コルビー・チェイサー
オルガ:シャロン・ヨハンセン
美容体操のインストラクター:ダイアン・ ターレイ・トラヴィス

加筆:2020年7月30日