Identity Crisis / 1975
パトリック・マクグーハン
28話
「祝砲の挽歌」に続き、パトリック・マクグーハンが犯人:ネルソン・ブレナー役で再登場しました。この後の新シリーズでも登場しますが、この作品「仮面の男」での顔が最もマクグーハン本人らしいかもしれません。このブレナーが運転する
「シトロエンSM」もカッコいいですよね。
壮大なスケールの作品が続く
壮大なスケールで描かれた二作品、33話「ハッサン・サラーの反逆」と35話「闘牛士の栄光」に挟まれたこのお話も、犯人がCIAの情報部員であるという意味で、凄く大げさな背景でした。
「もう一つの鍵」のレスリー・ニールセン
殺されるジェロニモ(A.J.ヘンダーソン)は、7話
「もう一つの鍵」で、ベス・チャドウィック(スーザン・クラーク)の婚約者ピーター・ハミルトンを演じた
レスリー・ニールセンです。宿泊先(ビルトモアホテル)は後の52話
「完全犯罪の誤算」のマッキー上院議員が滞在場所と同じかもしれません。(要検証)
裸の銃を持つ男
レスリー・ニールセンはコメディ映画「裸の銃を持つ男」(三部作・1988-1994年)の主役を演じていることは有名です。2023年にこの映画がテレビで放送され、私も観ることができました。レスリー・ニールセンが演じるのは、間抜けな警部補フランク・ドレビン。「警部補でフランク」ってコロンボへのオマージュでしょうね。
ヴァル・アヴェリー
シンドバッドの踊り子
34話
「仮面の男」のシンドバッドでコロンボ警部が思わず見惚れてしまう踊り子さん。女優さんは
「不明」です。「目がいいよね、恥じらうようで…フフフ」って、ちょっと恥ずかしそうなシーンでした。
ヴィトー・スコッティ
アンダーソン検死官
追いはぎ天国で、初動捜査にあたる検死官の一人:アンダーソンは、バーク刑事Bの「ジェローム・グアルディノ」と良く似ていますが、おそらく別人で「カーメン・アルジェンツィアノ」という俳優さんです。
CIAのコリガン部長
CIAのコリガン部長役は、デヴィッド・ホワイト。大柄で白い髪が何とも目立ち、印象に残ったことでしょう。
「奥様は魔女」のラリー
このデヴィッド・ホワイトはテレビドラマ「
奥様は魔女」のダーリンが勤める広告代理店の社長「ラリー」でお馴染みです。仮面の男では、シリアスな役でしたが「奥様は魔女」のコミカルなラリーの印象が強く、見ていて笑ってしまいました。。
エキストラ俳優ゲーリー・ライト
交通公園でコロンボ警部をつけ回すCIAの一員はエキストラ俳優
ゲーリー・ライト。この人は刑事コロンボに6回も出演している常連さんです。
バーバラ・ローデス
遊園地の女性カメラマン:ジョイス役のバーバラ・ローデスは、7話
「もう一つの鍵」にも出演しています。(加筆2010年7月27日)調べてみました。また、この遊園地のロケ先はロサンゼルス動物園ではないかと思われます。
→バーバラ・ローデス
クリフ・カーネル
遊園地での二人の行動は不可解
コロンボ警部の捜査上で大きな手がかりとなる遊園地での写真。犯人のブレナーと被害者のジェロニモが再会し、秘密の打ち合わせをする場所が遊園地なのですが、ここでのブレナーの行動が大疑問。射的ではしゃいで店主に印象づけたり、ジョイスに記念写真を撮られたり、少女にぬいぐるみをプレゼントしたり、やりたい放題でしたね。名調子・名キャラクターの射的屋の親父はウイリアム・マイムズ。
クレーマー刑事
補佐役の刑事は、コロンボシリーズ中で最もなじみ深い
クレーマー刑事「ブルース・カービー」。今回も可愛い演技を見せてくれました。
広告会社の人の証言で身元がバレる
コロンボ警部とクレーマー刑事は、ヘンダーソンの成りすましを暴き、パイクのロングビーチ遊園地を手がかりに、写真に写っているサングラスの男を見つけた。そこからブレナーの身元がなぜ分かったか?
遊園地から広告会社にとんぼ返りし、社員に写真を見せたのでしょう。コロンボは「広告会社の人(エドワードバック)が、サングラスの男はブレナーだと教えてくれた」と説明しています。ブレナーは広告会社と面識があったのです。(加筆:2013年1月16日)
CIAの情報部員が超大金持ち
戦歴も誉れ高く、経営コンサルタントとしても有名。それにしても、半端でなく家が豪華!もの凄いプールで十人近いゲストが泳いでいるし。こりゃ、悪いことして蓄財してますって、自分で言っているようなもので、「二重スパイで荒稼ぎ」って、CIAは見抜けなかったんでしょうかね?
変装した老人の顔がエリック・プリンスに似てるか?
メルビルを事故に遭わせる「スタインメッツ」はブレナーが変装したものですが、その顔が後にマクグーハンが演じる67話
「復讐を抱いて眠れ」のエリック・プリンスに雰囲気が凄く似ています。これは実際に、マクグーハンが老けたということもあるのでしょうが、比較してみると面白いです。
ブレナーの秘書
ブレナー邸で人生を語る二人。
後半のシーンで、ブレナーはコロンボを自宅に誘います。署に戻る必要があると一旦は断わりますが、日を改めて邸に出向くことになります。ここでブレナーはお酒を振る舞いますが「百薬の長としては、何が望みか?」とコロンボに尋ねます。シンドバッドのオーナーが「毒は何にします?」と言い回したのと対照的で面白いです。
中国の麻雀セットを見せてもらったコロンボから「ギャンブルがお好きなんですね?」と尋ねられ「それ以外、何がある?」と答えるブレナー。コロンボ作品の中には、ギャンブル好きの登場人物が多く出てきます。
ブレナーは数々の成功を収め名誉も富も手に入れたのに、退屈な人生だと評しシラけた口調です。コロンボ警部がブレナーの部屋で珍しいものを見てハシャイでいるので、何とも不思議な会話になっています。
超重要な豪邸なのです!
ブレナー邸の使用人たち。
ブレナー邸には少なくとも二人の東洋系男性の使用人がいます。そのうちの一人(右)の俳優は「ビクター・トヨタ」で、この人は10話
「黒のエチュード」でもベネティクト邸で働いていました。なお左の人の名前は不明です。
遊園地は前半でジェロニモとブレナーが待ちあわせをする場所で、交通公園は後半にCIAに尾行される舞台になります。以外にもこの2箇所は同じロサンゼルス動物園の敷地内にあります。
シンドバッドはどこにあるか?
「シンドバッド(追いはぎ天国)」は西海岸の「サンタモニカ埠頭」という設定ですが、実際には南の外れ「ロングビーチ」がロケ現場だということです。
タクシーの運転手
前半、殺されたジェロニモを乗せたと話すタクシーの運転手として、伝説的エキストラ俳優
マイク・ラリーが登場します。今回は貴重な「セリフ付きの役」です。
ホットドッグ屋のオヤジ
ラストシーンのジョークについて
ラストシーンのジョークの意味が不明であるというコメントを頂くことがあります。これはぼろんこの私的解釈ですが、ポーカーは「ポーカーフェイスなブレナー」を比喩しています。マージャンは中国発祥のゲーム。「ポーカー(ブレナー)がマージャン(中国)と賭けをして、はじめはポーカーが優勢、ところが後半…逆転。」これはブレナーの完全犯罪は、中国のオリンピック不参加報道によって阻まれた…という感じでしょうか。
コメンテーターさんの調べで原文は
Columbo “Would you like to hear something funny?”
Brenner “I’d love to.”
Columbo “Today, Chinese…they changed their minds.”
Brenner “Did they, again?”
Columbo “They’re back in the games…”
Brenner “in the games….Mah-Jong.”
だそうです。
監督:パトリック・マクグーハン
脚本:ウィリアム・ドリスキル
ネルソン・ブレナー:パトリック・マクグーハン(声:佐野浅夫)
ジェロニモ:レスリー・ニールセン(声:家弓家正)
クレーマー刑事:ブルース・カービー(声:杉田俊也)
コリガン部長:デヴィット・ホワイト(声:早野寿郎)
サルヴァトーレ・デフォンテ:ヴィトー・スコッティ(声:相模太郎)
ローレンス・メルビル:オティス・ヤング
シンドバッドのバーテン:ヴァル・アヴェリー(声:金井大)
アンダーソン検視官:カーメン・アルジェンツィアノ
射的屋:ウイリアム・マイムズ
写真屋ドン:クリフ・カーネル
ジョイス:バーバラ・ローデス
遊園地の女の子:アリシア・チャンバース
ホテルのボーイ:ケリー・フリン
ホットドッグ屋:ベン・フロマー
タクシーの運転手:マイク・ラリー
広告会社の若手重役:エドワード・バック
ブレナーの秘書:アンジェラ・メイ
ブレナーの使用人:ビクター・トヨダ
加筆:2024年11月5日