41話「死者のメッセージ」

Try and Catch Me / 1977
チャールズ・フランク人気女流ミステリー作家の「アビゲイル・ミッチェル」が「ヨットの事故で亡くなった姪」の夫エドモンド(チャールズ・フランク)を殺害。今回は金銭的な利害ではなく、姪のが死んだ責任はエドモンドにあると推理したアビゲイルが、その復讐を企んだもの。

エドモンドはフィリスを殺したか?

被害者のエドモンドは、それほど悪人には描かれていません。彼がフィリスを殺した証拠もありません。しかしエドモンドがアビーさんの部屋で、妻フィリスの写真を手にとって「薄笑い」をするシーンがあります。この表情は気にかかりますね。

この作品がベスト!と推すファンも多い。

ファンが選ぶベスト作品としては、やはり19話「別れのワイン」が最も多くの票を集めるのですが、この41話「死者のメッセージ」が一番好きだというコアなファンも多いのです。それくらい人気の高い作品。

ゲストスターのルース・ゴードンが素敵!

ルース・ゴードンこの作品も過去に見たときの印象がとても強かったです。まずゲストスターのアビゲイル・ミッチェル役:「ルース・ゴードン」が、素晴らしかったです。小柄な女性ですが、その小柄さと独特の仕草があいまってとても可愛らしく描かれていたと思います。
アビゲイル・ミッチェルはミステリーの女王「アガサ・クリスティ」がそのモデルになっているという説があります。
コロンボ警部が講演会のスピーチでも語っていますが「時には殺人犯を尊敬し、好意を抱くこともある」とは、まさにこの話のアビゲイル・ミッチェルを指しているのではと思われる程、お互いに敬意を表しながらストーリーは進みます。どこか19話「別れのワイン」に共通する雰囲気を持っている作品だと思いました。飛行機での旅行や、窒息死などの類似点もあります。

マリエット・ハートレイも魅力的

マリエット・ハートレイ22話「第三の終章」にも出演のマリエット・ハートレイが演じた秘書のベロニカもとても良かったと思います。ゲストスターの犯行を見抜いて恐喝する脇役はたくさんいますが、「殺されなかった」ことも、この作品を美しく感じさせる要因となっています。この点も「別れのワイン」に通じますね。この作品でベロニカは老眼鏡をかけるシーンがあります。でも実年齢は37歳。老眼にはまだ早すぎる気も‥。

秘書のベロニカは「聡い娘」

冒頭シーンでアビゲイルは秘書のベロニカを「聡(さと)い娘(こ)」だと評しています。聡いとは、感覚に優れ、聡明だという意味。ベロニカはエドモンドが金庫で死んだ時、すでにアビーさんの計画だと気づいていました。ベロニカはこの秘密をアビーさんの「遺産(財産)」と引き換えにするつもりだった。それを旅行中に提案しようと考えていた。(ぼろんこの妄想です)

大草原の小さな家「父さんの秘密」

マリエット・ハートレイ大草原の小さな家のシーズン2・19話「父さんの秘密」(1976年)。魅力的な未亡人「エリザベス・サーモンド」役でマリエット・ハートレイを見ることができます。本作の1年ほど前だと思われ、ほぼ同年齢。美しく優しい女性として描かれています。2020年の4K再放送でこれを見られたことは、とても嬉しいことです。

宇宙大作戦(スタートレック)

マリエット・ハートレイまたマリエット・ハートレイは、宇宙大作戦(スタートレック)の「タイムマシンの危機」の回のザラベス役で出演しています。あのスポックが彼女に恋愛感情を抱くエピソードです。1969年放送で、彼女が29歳の時です。

計画殺人モノとしての醍醐味

シリーズ中最も人気の高い「別れのワイン」は計画殺人ではありません。その点、この作品ならではの楽しめる点も多いのです。冒頭のベロニカとの会話のシーンでは、エドモンドが金庫から大声を出しても外に聞こえないテスト。そして、ストップウォッチを覗き見する時の表情も見逃せません。

弁護士のマーチンは鋭い

G・D・スプラッドリンまた、遺書にサインした直後に「不審な死をとげた」エドモンドですが、抜群のタイミングで起きたこの事件に対し、弁護士のマーチン(G・D・スプラッドリン)は「最初からアビゲイルが怪しい」と睨んでいたと思われます。旅立つ直前(犯行直後)に、金庫の前に立っている彼女と遭遇していますし…。船で口走った意味深な言葉はダメ押し的でしょう。

エドモンドの車のキー

ベロニカが「エドモンドの車のキー」の入手後、しばらくはアビゲイルの様子を伺っているのも、上手いな〜と思います。そして自ら恐喝に打って出ました。予期せぬ出来事「エドモンドの車のキー」の処理について、アビゲイルは2回キーを捨てるチャンスがありました。最初は犯行直後、2回目は警部の犬の散歩で出会った埠頭。推理小説の巨匠でも、生身の人間の行動においては、冷血な判断ができなかったのでしょう。キーは捨ててしまった方が良かったのです。

コロンボ警部の刑事哲学を感じました。

事件解決のエピソードはここでは語りませんが、ラストシーンで「特別扱いしてもらうわけではないが、この年だし、害のない人間だし…」と、見逃して欲しい…とすがるような態度を示すアビゲイルでした。ここでコロンボ警部が「先生も私も立派なプロですから」と諭した場面は、深く心に残るものです。コロンボにしてみれば、その動機から考えても同情したい気持ちは大きいのだが、「プロとして見逃すことはできない」ということでしょう。それはまた「殺人を扱う作家の完全殺人計画」が失敗に終わったことを認めた今、責任から逃避しないことを彼女に求めたのだと思われます。

ナイチンゲールはサヨナキドリ。

犯行の準備をするシーンで「何か聞こえる?ナイチンゲール?」のくだりがありますが、ナイチンゲールはサヨナキドリで鳴き声が美しい小鳥。「墓場鳥」とも呼ばれるそうで、コロンボ警部と初対面の日「警部がピアノでThis Old Man」を弾いた後、バーク刑事がドアを開けたシーンなどで庭から聞こえてくる鳥の鳴き声が、そのナイチンゲールなのでしょうか。

アビゲイル・ミッチェル邸。

ネットで調べたら「アビゲイル・ミッチェル邸」らしき場所の地図が見つりました。おぉ、ベロニカから恐喝をほのめかされた庭らしき形状がわかります。本当だろうか…。個人宅かもしれないので、いたずら行為等は厳禁です。しかし劇中では近所らしき海岸を散歩しますので、マリブ近辺に住んでいる設定です。

コロンボマップ
コロンボマップ

バーク刑事B

ジェローム・グアルディノバーク刑事Bは「ジェローム・グアルディノ」。この41話を皮切りに、43話「秒読みの殺人」や、47話「狂ったシナリオ」と多用されています。

32話「忘れられたスター」で射撃テストの身代わりになる俳優です。この人の他にもトッド・マーティンの演じる「バーク刑事A」が存在します!

 

「死者のメッセージ」は、音楽も素敵なんです。

音楽は、パトリック・ウィリアムズが担当しています。この他でも合計9作品に関わっているそうです。刑事コロンボ第7シーズンは音楽が素敵です。この「死者のメッセージは特に音楽が素敵」もその一つです。

「アビゲイル・ミッチェルのテーマ」

YouTube「アビゲイル・ミッチェルのテーマ」をパソコン演奏で再現しています。この作品が持つ「上品さ」はそのBGMの音楽性も大きく影響していると感じます。「アビゲイル・ミッチェルのテーマ」とは、私が名付けた呼び名です。音楽もお好きな方は、こちらもご覧ください。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

ダンスのインストラクター

マリー・シルバ・アレクサンダーベリー・ダンス教室の先生は、マリー・シルバ・アレクサンダー。「ストリップとは違うんですからね」って言ってました。このシーンの音楽も、上記とは別の意味ですごく素敵です。

犬の散歩で出くわす海沿いのデッキ

Ocean Side East Cafe12

Ocean Side East Cafe41

コロンボ警部が犬の散歩中にアビゲイル・ミッチェルに出くわす海岸沿いのデッキは、12話「アリバイのダイヤル」で探偵ダブスとコロンボ警部が会う店と同じ(あるいは近い)場所です。ちなみにこの階段の下には「オーシャン・サイド・イースト・カフェ」があります(12話当時)。手すりの色が違いますが、5年経っているので、取り替えられたのかな。

三谷幸喜さんの大河ドラマ

三谷幸喜さんが脚本を手掛けられた2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、北条義時は妻に毒殺されたと描かれます。実際にそのように書かれた歴史資料も見つかっています。「鎌倉殿の13人」の最終回では、はは〜、アビゲイル・ミッチェルの講演会の言葉通りだな‥と頷きました。

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:ジーン・トンプソン、ポール・タッカホー
音楽:パトリック・ウィリアムズ

アビゲイル・ミッチェル:ルース・ゴードン(声:南美江)
秘書ベロニカ・ブライス:マリエット・ハートレイ(声:桧よしえ)
エドモンド:チャールズ・フランク(声:松橋登)
マーチン弁護士:G・D・スプラッドリン(声:内藤武敏)
バーク刑事:ジェローム・グアルディノ
家政婦アニー:マリー・ジャクソン
インストラクター:マリー・シルバ・アレクサンダー
講演会の客:レオダ・リチャーズ

加筆:2024年8月29日

刑事コロンボマップ 刑事ぼろんこチャンネル

43話「秒読みの殺人」

Make Me a Perfect Murder / 1978
ローレンス・ラッキンビルテレビ局の女性プロデューサー:ケイ・フリーストン(トリッシュ・バン・ディーバー)は、支社長であり恋人でもあるマーク(ローレンス・ラッキンビル)を殺害。果たして殺すほどの憎しみがあったのか?
マークの出世に対する嫉妬はありますね。さらにマーク(あるいは社)からの自分への評価が思いのほか低いことを思い知ったからか。それで殺人‥とは短絡的すぎるかな。

「秒読みの殺人」は名作です

この「秒読みの殺人」という作品、小学生時代にも間違いなく見ていました。しかしながら、27話「逆転の構図」や32話「忘れられたスター」ほど、強烈な印象は残っておらず、少しノーマーク的な作品でした。今回、再放送を拝見し、見事な作品であることを再認識しました、名作と言って間違いないでしょう。

刑事コロンボ的ストーリー展開を感じる

犯人役の女優や、脇役俳優の良さ云々はさておき、正当派「刑事コロンボ的ストーリー展開」が色濃く、ほとんどのシーンで無駄が無く(注)、密度の濃い作品となっています。コロンボ警部の「落としのテクニック」も、期待通り炸裂してくれています。

トリッシュ・バン・ディーバー

トリッシュ・バン・ディーバーもう一つの側面「犯人役ゲストスター」の影響力は、他の傑作と比較し線は細めです。犯人のケイ「トリッシュ・バン・ディーバー」は美しく描かれていますが、突出した存在であったとは感じません。それ以上に、テレビ業界という厳しい環境において、人間が壊れてゆく様を見せてくれたと思います。

出世欲の強い女性の立場

その反面、心理の描写には鋭いものを感じます。殺意、焦り、意思の強靭さなど、通常の女性では表現しづらい心の揺れを、見事に表現しています。出世欲の強い女性が、組織のトップにのし上がる過程で、仕事を愛する気持ちよりも、成功したい願望が心を支配している様子がうかがえます。周囲の男性たちは、それを好ましく思っていませんでしたね。
それと対比し、同性愛を連想させる描写もありました。女優バレリーとの関係がそれです。初期のコロンボでは扱われなかった題材でしょう。ディレクターの男性が女性的なども、類似した観点です。

終わったら、ほっとすると言うが…

犯行を認める場面で、終わったらほっとすると言うが…その逆だ。と心境を語るケイ。まだ負けたわけじゃない、きっと這い上がってみせる…という意欲をみせました、女は強い。

フィルムチェンジをアリバイに用いたトリック

本作品「秒読みの殺人」では映写時に、フィルムのリールを切り替えるタイミングを画面右隅に表示されるパンチによって、見極める‥というテクニックが焦点となっていて、邦題「秒読みの殺人」に結びつけています。それに対し、21話「意識の下の映像」で映写技師のロジャー・ホワイトは、小銭をリール中心に挟み込んで、それが落ちたら交換のタイミングだと語っています。テレビ局の映写機は最新設備で、小銭を挟めない(カバーで覆われている)タイプでしたね。

映写技師ウォルター:ジェームス・マッキーチン

ジェームス・マッキーチン作品中重要な役割を果たす映写技師ウォルターを演じたのは、ジェームス・マッキーチン。10話「黒のエチュード」で、楽団の関係者ビリー・ジョーンズ役でも登場しています。どちらも良い演技を見せてくれます。

特に印象的なシーン「エレベータの中で…」

エレベータの天井に見えた「凶器の拳銃」を、犯人ケイが何とかしてそれを下に落とそうとするシーンは、秒読みの殺人で最も印象に残る場面です。身長が低い彼女が必死になっている様子がスリル満点に描かれています。しかも、その行為そのものが、コロンボ警部が仕掛けた罠だと気付かされ、完敗を認めるのも素晴らしかったです。

パトリック・オニール

パトリック・オニールテレビ局のお偉方の役で、パトリック・オニールが登場。彼は名作と呼ばれる9話「パイルD-3の壁」で犯人のエリオット・マーカムを演じています。今回もさすがの演技でした。

テレビを修理するクレイマー刑事

ブルース・カービーなぜかテレビを修理する人の役で、すっかり顔なじみのはずの「ブルース・カービー」が登場。う、どう考えても不自然な起用だと思えますが、これはブルース・カービーが「ジョン・フィネガン」同様、特別な俳優扱いだったことを伺い知れます。ここシーンでは「愛犬ドッグ」も一緒にテレビを見ていますね。

バーク刑事

ジェローム・グアルディノ41話「死者のメッセージ」に続いて今回も捜査に起用されたバーク刑事Bは「ジェローム・グアルディノ」。あまり役に立ちませんが、憎めないキャラクターですね。32話「忘れられたスター」で射撃テストの身代わりになる俳優です。

テレビ局のプロデューサー

ジョージ・スカフ女上司に不満げな「しがないテレビ局のプロデューサー」を演じたのは「ジョージ・スカフ」。気づきにくいのですが、この人はなんと33話「ハッサン・サラーの反逆」の領事館でアラブ人「クラ」を演じた人です!

撮影所(ロケ地)のモニター室では…

ケイはコロンボ警部に追い回され、ヒステリックに叫んでしまいます。メリーゴーラウンドの音楽と目まぐるしく切り替わる画面が印象的ですが、録画して何度も見られる時代となっては、このような強烈なシーンより、静かな場面の方がありがたいですね。同じような意味で「黄金のバックル」の、ジェニーが死体を発見して叫びそうになるシーンも、早送りしたくなります。(笑)

注)テレビ局のモニター室でコロンボ警部が、画面に模様(パターンのようなもの)を写して喜んでいるシーンは、不要でしょうかね~。冒頭で「鼻歌を歌いながら交通事故を起こすシーン」は、無駄と言い難い楽しいシーンでした。→プジョー403

同じ風景画が、最低でも3回出現。
ブログゲストさんから情報をいただき検証しました。レイ・フレミングのマンション、ネルソン・ヘイワードのホテルの風景は同じでした!さらに調査した結果、ケイ・フリーストンのオフィスの窓にも出現しています。

レイ・フレミングのマンションの風景1

ネルソン・ヘイワードのホテルの風景20

ケイ・フリーストンのオフィスの風景43

マークとケイのビーチハウス

マークとケイが暮らすビーチハウスは、数々の刑事コロンボの重要人物が居を構えるマリブビーチにありました。二人が務めるテレビ局のロス支局は、市街中心部近くだと思われ、冒頭シーンでコロンボ警部が愛車プジョーで追突事故を起こす道路はそこからほど近い場所です。

マークとケイのビーチハウス
追突事故を起こす道路

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:ロバート・ブリーズ
音楽:パトリック・ウィリアムズ

ケイ・フリーストン:トリッシュ・ヴァン・ディヴァー(声:寺田路恵)
フラナガン:パトリック・オニール(声:黒沢良)
マーク:ローレンス・ラッキンビル(声:森川公也)
バーク刑事:ジェローム・グアルディノ
ウォルター:ジェームス・マッキーチン(声:加藤修)
ルーサー:ロン・リフキン(声:原田一夫)
バレリー:レイニー・カザン(声:大橋芳枝)
プロデューサー:ジョージ・スカフ
ジョナサン:キップ・ジルマン
ウェンディ:スーザン・クレブス
エイムズ:モーガン・アプトン
ピート・クックマン:ドン・イートナー
マッジ:ディー・ティンバーレイク
マッサージ師:H.B.ヘイゲッティ
電気屋:ブルース・カービー(声:杉田俊也)
テレビ局の警備員ー:マイク・ラリー
クリーニング屋:ポール・ウイルソン
 
加筆:2024年8月29日

45話「策謀の結末」

The Conspirators / 1978

世界の政治情勢が背景

事件の背景が大げさで、33話「ハッサン・サラーの反逆」34話「仮面の男」などと同様の味を持った作品だったと思います。むしろ、それら以上に「世界情勢」と「殺人動機」が強くからんだ作品でしょう。このアイルランド革命派のモデルになっているのはIRA(アイルランド共和軍)だと思われ、アイルランド全島の独立共和国化をめざすカトリック系の組織です。

とても人気が高い作品

初見当時に私が評した以上に人気の高い作品だとわかってきました。犯人が詩人ということで、その台詞や歌声が独特の上品さを醸しています。またアイリッシュの郷愁を感じるBGMも雰囲気を高めています。犯人が決定的な悪人ではない…というのも、理由にあがるでしょう。ジョー・デブリンを演じた「クライヴ・レヴィル」はとても魅力的で、彼の功績も大きいと感じます。

しかしながら、間の悪い犯人…

アイルランド革命派組織の活動家で詩人のジョー・デブリンは、犯行後にビンセント・ポーリーを殺害した現場に現れます。そこでコロンボと鉢合わせに。‥うぅ、これはイケません。何をしに来たのか?ほぼ自爆行為と言って良いでしょう。コロンボ警部は鋭く突っ込んで欲しかったです。しかもその部屋で一緒に推理ごっこしてますし。(笑)この回ではコロンボが行く先々で、デブリンと会ってしまうのも可笑しいです。

酒は身を滅ぼす…

クライヴ・レヴィルさらにデブリンはアイリッシュウイスキーの瓶に、傷をつける癖があったのですが、あんなに何回もコロンボ警部と酒を酌み交わし、その度にウイスキーの瓶に傷をつけていては…まるで「自分が犯人ですよ~」と、証拠を大量生産しているようなものですね。酒好きが命取り…という結末なので、それも含み楽しんだ方が良いかもしれません。

ペック夫人を発見!

ジャネット・ノーラン17話「二つの顔」でクリフォード邸の家政婦ペック夫人を好演したジャネット・ノーランが、オコンネル財閥の女王役で登場。髪の色が違うので、別人みたいな印象でした。

吹き替えが演出する強烈キャラ「ジェンセン」

L.Q.ジョーンズ銃の密売人の役で登場するチャールズ・ブロンソンに似た俳優L.Q.ジョーンズは強烈!。声優は大泉滉さんで、この人の声を使っちゃったら、俳優が誰でも大泉滉に見えてきます。(小池版)
また、この時の銃の包みは、広げる時は無造作な感じで、隠してあったように四角くきっちり包める気がしません笑

ビンセント・ポーリーも素敵

アルバート・ポールセンビンセント・ポーリーを演じたアルバート・ポールセンも良かった。調べてみたらやはり…凄い人でした。コンバットをはじめ、スパイ大作戦、0011ナポレオン・ソロ、刑事コジャック、チャーリーズ・エンジェル、ナイトライダーなど、60年代〜80年代に活躍している名優でした。

2種類の吹き替えが存在

1979年にNHKで放送された際は小池版。1987年の日本テレビでは小池版の紛失が原因で、再録音された石田版で放送されました。現在はNHKで小池版、DVDやAXNミステリーで石田版が見られるようです。このブログ記事は、NHK-BS Hiで2010年6月11日に放送された「小池版」を見て書かれています。
NHK:コロンボ:小池朝雄、デブリン:納谷悟朗、ジェンセン:大泉滉★コレ
DVD:コロンボ:石田太郎、デブリン:家弓家正、ジェンセン:立木文彦

タグボートを見つけるシーン

この作品は何度も見るうちに、どんどん好きにります。やはりパトリック・ウィリアムズによる音楽が良いのかな。それと、車を走らせ橋を渡って、タグボートを見つけるシーンも素敵です。コイン双眼鏡でタグボートの旗を覗いて、オコンネルの船だと確信しますが、この時社旗はたわんでいてはっきりしません。それでも緑と黄色の色で、それだと確信するシーン。絵では社旗を映さずコロンボの演技のみで表現していて、この回では圧巻のシーンだと感じます。

銃の密売人は元警官!

ジョン・マッキャンブログ読者さんからの情報で…倉庫で出会う銃の密売人「ブランドン」は、19話「別れのワイン」に登場する警官と同じ俳優さんジョン・マッキャン[John McCann]でした。さすが俳優さん、随分雰囲気が違って見えますね。

チャンドラー書店の女性店員

デボラ・ホワイトデブリンがサイン会を催したチャンドラー書店。お話の途中でコロンボ警部がここを訪問する時に、相手をしてくれた女性店員アンジェラは女優デボラ・ホワイト。快活で明るい感じの女性ですね。

IRAについて

このアンジェラは「シン・フェイン」は「アイルランド過激派」の合言葉だと説明しています。ちなみにデブリンは「アイルランド革命派」と自称しています。少なくとも日本語版では一度も「IRA」という固有名詞は登場しないのに、WikiやNHK公式サイトでさえ「IRA」だと断言していて、今後調べてみたい点でもあります。

策謀の結末のロサンゼルス港

監督:レオ・ペン
脚本:ハワード・バーク
音楽:パトリック・ウィリアムズ

ジョー・デブリン:クライヴ・レヴィル(声:納谷悟朗)
ケイト・オコンネル:ジャネット・ノーラン(声:麻生美代子
ビンセント・ポーリー:アルバート・ポールセン(声:灰地順)
ジャンセン:L.Q.ジョーンズ
ジョージ・オコンネル:バーナード・ベランス
ケリー・マローン:マイケル・ホルトン
アンジェラ:デボラ・ホワイト
ブランドン:ジョン・マッキャン
リーチ:ドン・ホワイト
キャロル・ヘミングウェイ:キャロル・ヘミングウェイ
牽引車運転手:ジョニー・シルバー
パーティ客:ミッキー・ゴールデン
パーティ客:キャサリン・ジャンセン
船長:ショーン・マクロイ

加筆:2024年8月29日

49話「迷子の兵隊」

Grand deceptions / 1989

犯人が悪人なだけに、殺害動機は十分!

ロバート・フォックスワースこれは初回放送時に見ています!国防関連財団の幹部ブレイリー大佐(ロバート・フォックスワース)が部下のキーガン曹長を殺害。殺害動機は十分でブレイリー大佐が財団を利用し私腹を肥やしていたり、名誉会長であるパジェット将軍の妻との愛人関係を暴露すると脅迫されたためです。

「祝砲の挽歌」に似ているか?

この作品を最初に見た時は「祝砲の挽歌」とイメージが重りましたが、しかし何回も見てみると、随分違うテイストでした。とにかくブレイリー大佐なる人物がかなりの悪人で、戦争帰りの「タフさ」が悪の方向に向いています。殺されたキーガン曹長は生き様として正当性を感じませんので、ドラマ自体に美しさは全くありません。殺害状況には若干無理を感じますが、全体の流れとして受け止めることはできます。

物語は、結構面白いのです

キーガン曹長が「恐喝」という新たな職を得たこと。愛人関係にあったパジェット将軍の妻ジェニーがコロンボの車を発見し、密会場所に現れなかった場面。笑いを誘う教会のシーン。いろいろ見どころはありましたね。秘密のファイルが「赤と緑」に色分けされている設定も笑えます。パジェット将軍は美しく描かれていると感じました。軍人とはかくあるべき、でしょうね。

ただし、トリックには大疑問です

決め手になる段ボール箱の件は、容認できません。私は何回も引っ越した経験がありますが、宅配業者に問い合わせれば「中身が本であったか否か」は歴然。本が段ボール箱いっぱいに詰まっていれば、重くて容易に持てませんね。パーティ当夜:軍隊ミニチュアと書かれた段ボール箱が届きますが、これをブレイリー大佐ご本人でさえ、持ち抱えられず引きずっています(笑)

その点、中身が人形であれば重量は数分の一です。なので、段ボールの容積を量る以前の問題です。また「人形を並べていた=強力なアリバイがある」というものかなり強引な印象です。共犯者がいた可能性がゼロであれば別ですが。

すでに敗色濃厚だ

日本語版では犯人ブレイリー大佐が「すでに敗色濃厚だ」という台詞で終わります。これは、コロンボ作品らしいエンディングで気持ち良いです。権利の説明とコロンボ人形のアップのシーンは、新シリーズならでは…かな。

邦題「迷子の兵隊」

原題は「Grand deceptions」で直訳「壮大な詐欺」となりました。軍隊と全く無関係のタイトルになってしまいますので、「迷子の兵隊」は大正解でしょうか。この迷子の兵隊とは殺されたキーガン曹長を比喩したものと考えます。刑事コロンボ’90版では「おもちゃの兵隊」というタイトルでしたか、「迷子の兵隊」の方が好きかな~。

スティーブン・エリオット

スティーブン・エリオット出演した俳優陣は好きでした。パジェット将軍のスティーブン・エリオットは声優の北村和夫さんとセットで大満足です。エリオットは初期作品31話「5時30分の目撃者」でジョージ・ハミルトンに殺される被害者「カール・ドナー」として出演。日本語の北村和夫さんは「権力の墓穴」ハルプリン次長も素敵。

ジャネット・エイルバー

ジャネット・エイルバー将軍の若き夫人ジェニーのジャネット・エイルバーも印象に残りました。単にパジェット将軍の地位と名誉に目がくらんだようには描かれていませんでしたね。特に「ダンスタン」のアパートの下で、コロンボの「プジョー403」と出くわすシーン。その後、夫のパジェット将軍にそのことを告白する演技など、良かったです。

アンディ・ロマノ

アンディ・ロマノキーガン特務曹長のアンディ・ロマノも良かったです。軍人アガリのタフさが出ていてリアリティがありました。「ポッポ」「ネンネ」など、下品なスラングを連呼するも、綺麗好きな一面もあり、独特のキャラクターが際立っていました。

マイケル・マクマナス

マイケル・マクマナス教会のシーンで登場するキーガンの戦友「タンザー曹長」を演じたのは、マイケル・マクマナス。表情豊かに演技をしていて、とてもよかったです。たたき上げの軍人っぽさも出ていて印象に残りました。

リン・クラーク

リン・クラーク財団に勤める事務員(秘書)のマーシャは女優リン・クラーク。カラッと陽気で天真爛漫な感じで、すごく可愛かったですね。似た感じの秘書さん、他の作品にも登場します。今度まとめてみます。

日本語版吹き替えは羽佐間道夫さん

ロバート・フォックスワースの吹き替えの羽佐間道夫さんは絶妙です。日本声優界の大御所の一人です。シルヴェスター・スタローンのロッキーなど数々の名作で吹き替えを担当。マイナーな仕事ですが「巨人の星の速水譲次」では、意地悪な声色が強烈で大好きでした。
そして、ロバート・フォックスワースは、日本でも大人気を博したテレビドラマ「奥さまは魔女」のサマンサ役「エリザベス・モンゴメリー」と結婚していました。

監督:サム・ワナメイカー
脚本:シイ・サルコッツ
音楽:ジョン・カカヴァス

フランク・ブレイリー:ロバート・フォックスワース(声:羽佐間道夫
ジャック・パジェット:スティーブン・エリオット(声:北村和夫
ジェニー・パジェット:ジャネット・エイルバー(声:宗形智子)
レスター・キーガン:アンディ・ロマノ(声:麦人)
タンザー曹長:マイケル・マクマナス
秘書のマーシャ:リン・クラーク
民兵:リー・アレンバーグ
民兵:ジョン・ウイリアム・ギブソン
民兵:ステファン・クァドロス
伍長:バーネット・リス
検視官:ミルト・コーガン
 
加筆:2024年8月29日

60話「初夜に消えた花嫁」

No Time to Die / 1992

この作品は私のような古典的コロンボファンにとっては、許されざる類(たぐい)のお話なのですが、意外と高く評価する人も存在するのです。これは面白い現象です。

賛否両論あります

激しく賛否両論が出ます。酷評が多いのですが、この作品が好きだという意見も頂きます。例えば18話「毒のある花」、22話「第三の終章」など、比較的「賛否どっちも少ない」作品より話題になるみたいです。

何年かかろうと、深く分析したい作品

私のコロンボ作品の鑑賞回数としては、この「初夜に消えた花嫁」と「死を呼ぶジグソー」が最も少ないです。どうしても好きな作品を中心に記事を書きがちですが、この作品もいつか深く探求して記事を書き上げるつもりです。

監督:アラン・J・レビイ
原作:エド・マクベイン
脚本:ロバート・バン・スコイク

アンディ:トーマス・カラブロ(声:大塚芳忠)
メリッサ:ジョアンナ・ゴーイング(声:佐々木優子)
ストラッサー:ダニエル・マクドナルド(声:谷口節)

加筆:2020年8月18日