47話「狂ったシナリオ」

Murder, Smoke and Shadows / 1989
レニー・フィッシャー若き天才監督アレックス・ブレイディ(フィッシャー・スティーブンス)が、かつての友人レニー・フィッシャー(ジェフ・ペリー)を殺害。ブレイディが無名時代に自分の妹を見殺しにしたことの復讐にきたためです。広大な映画スタジオが舞台ということでスケール感もあり、エンタテインメント性もあります。新リーズではダントツで好きな作品です。

フィッシャー・スティーブンスはグッド

フィッシャー・スティーブンス犯人アレックス・ブレイディ役のフィッシャー・スティーブンスには存在感を感じました。子供がそのまま大人になったような性格ですね。年齢こそ若いですが、天才映画監督ということで、犯人の風格は出ていました。

犯人ゲストスターと、コロンボ警部の年齢関係が逆転

ブレイディの描き方は面白いです。自分は「映画の天才」だと思っているのに、一見無能に映る中年の刑事に次々に「ボロ」を出します。おそらく計画的な殺人ではなかっため、彼自身かなり悔やまれる犯行状況だったと推測されます。新・刑事コロンボからは、このように犯人と警部の年齢関係が逆転し、かつてのように「コロンボ君」と警部を呼べるような犯人は極めて少なくなります。

成功者の転落劇は健在

スティーブン・ヒルポイントは主人公が世間が羨む典型的な成功者に見えて、実はすでに将来が破綻している状況であることです。業界の大物で恩人のモロスコ氏(スティーブン・ヒル)から見捨てられましたね。周囲の人間から疎まれており、協力者はささやかな「あやかりたい願望」で、すり寄ってくる人くらいです。

秘書のおばさんローズが素晴らしい

ナン・マーティンあげくの果てに、秘書のおばさんローズや元恋人の女優にまで裏切られ引導を渡されてしまいます。秘書ローズを演じたのはナン・マーティンです。確かに良い女優さんでしたし、ファンが多いのも頷けます。また、吹き替えの此島愛子さんも抜群でした。

モリー・ヘーガン

モリー・ヘーガンアレックス・ブレイディの元恋人で、ラストでブレイディを裏切る女優ルース・ジャニガンは「モリー・ヘーガン」です。ブレイディと一緒にチョコレートサンデーに燥(はしゃ)ぐなど、二人の子供っぽい関係を演じています。彼女は63話「4時02分の銃声」で、犯人のフィールディング・チェイスの娘ビクトリア役でも出演しました。

エンディングはかつてのコロンボ風ではない…でも許す!

リサ・バーンズエンディングの演出は、もうかつての刑事コロンボではありませんね。ハリウッド映画のようでした。だとしても面白かったですよ。警官(ベニントン巡査部長:リサ・バーンズら)が俳優になって、犯人と秘書の会話の証人になるってのは、よく考えたな~って感心です。しかもその布石が前に犯人が仕組んだ演出劇への報復だったということで、爽快な最後でした。

警備員はフィル・コルセット

アル・プリエセ刑事コロンボの面白さは、一度見ただけでは決してすべてを楽しめないことかもしれません。その点は、この「狂ったシナリオ」にもあてはまります。最初に見た時はブレイディが仕組んだ「大芝居」に出演の警備員フィル・コルセット(演:アル・プリエセ)の態度が不自然だとは気付きませんでした。

老けたバーク刑事B

ジェローム・グアルディノ41話「死者のメッセージ」43話「秒読みの殺人」などで活躍したバーク刑事B「ジェローム・グアルディノ」が登場。ちょっと老けたかな〜、でも相変わらずの無能ぶりでした(笑)32話「忘れられたスター」で射撃テストの身代わりになる役を演じました。

音楽はパトリック・ウィリアムズ

音楽は、パトリック・ウィリアムズが担当しています。41話「死者のメッセージは特に音楽が素敵」を皮切りに、43話「秒読みの殺人」、45話「策謀の結末」と立て続けにコロンボ作品の音楽を担当。それらが素晴らしい仕上がりになっています。この「狂ったシナリオ」のオープニングもアップテンポなワルツ風の音楽ですごく印象に残りました。その主題が、楽器やテンポを変化させて、作品全体に流れています。

ハチャトゥリアン「仮面舞踏会」

このワルツですが、ハチャトゥリアンの名曲「仮面舞踏会」に雰囲気がとても良く似ています。気になった方はぜひYouTubeなどでご視聴ください。ハチャトゥリアンには他にも「剣の舞」という誰でも一度は聞いたことのある有名な曲もあります。

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:リチャード・アラン・シモンズ
音楽:パトリック・ウィリアムズ

アレックス・ブレイディ:フィッシャー・スティーヴンス(声:池田秀一)
レニー・フィッシャー:ジェフ・ペリー(声:星野充昭)
ローズ・ウォーカー:ナン・マーティン(声:此島愛子)
ルース・ジャニガン:モリー・ヘイガン(声:佐々木優子)
モロスコ:スティーヴン・ヒル(声:池田勝)
バーク刑事:ジェローム・グアルディノ

加筆:2023年12月17日

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