20話「野望の果て」

Candidate for Crime
1973[第3シーズン 20話]

動機は十分と言えそう。

上院議員候補ヘイワード氏が自分の選挙参謀を殺害します。被害者ストーンはヘイワードの不倫の秘密を知っており「愛人と別れるように」命令したことが直接要因となっています。動機はそれだけではないのでしょう。脇役であるはずの選挙参謀が主人公である上院議員候補に対し「自分の操り人形になれ」とばかりの横柄な態度を見せています。

脅迫に屈しない候補者

ヘイワード氏はたとえ脅迫されようとも屈せず、犯罪撲滅を訴える勇気ある候補者を演じようとしていました。脅迫犯がストーンを殺害することで「同情票と邪魔者抹殺」の一石二鳥を狙ったのでしょう。

犯人役をジャッキー・クーパーが好演。

それにしても選挙前の最も大切な時期に、身近な人物を殺害してしまうというリスキーな行動に出るでしょうか?

しかし、それを納得させちゃうようなキャラクターが犯人のネルソン・ヘイワード(ジャッキー・クーパー)です。全編に彼の人間臭さ、幼稚さが描かれています。ヘイワードはコロンボの執拗な捜査に腹を立て、嫌悪感を露にします。そして愛人と本妻との板挟みで、徐々に選挙どころではなくなっていきました。

日本語版吹き替えは初代風車の弥七。

日本語版吹き替え:中谷一郎(なかたにいちろう)さんはテレビ時代劇「水戸黄門」の初代「風車の弥七」としてもお馴染みの俳優さんです。

待たされた選挙事務所での観察眼

夫人と仲睦まじい演技を見せるヘイワード。それを不愉快そうに眺めるリンダ。新調した上着を届けに来る男性。妻の秘書であるリンダと二人きりで打ち合わせをしている執務室も不自然。コロンボは待たされている間、そんなことを観察しています。

ヘイワード候補の説明は、ことごとく却下。

執務室では、コロンボの疑問を解決すべく口にした「アドバイス」が、ことごとく跳ね返され次第に追いつめられていきます。

行動がいちいちわざとらしい、ヘイワード氏。

妻の秘書に「脅迫状が届いたことを告げる」シーンは面白いです。すごくわざとらしいヘイワードの表情と口調を楽しめます。また、テレビ演説の収録場面はコロンボと奥さんの会話で気が散ってしまうヘイワードさんも可愛いです。

選挙対策室ベランダの爆竹は大減点!

ラストの自作自演の場面では、ベランダに爆竹の燃えカが残ったはずで、これが「減点対象」となりこの作品の支持者を減らしています。たった今銃撃されたことを周囲に認めさせる工作ですが、かなり無理があります。

「野望の果て」は出演者のキャラクターが光ります。

犯人役のヘイワード氏を筆頭に、憎まれ役の参謀ハリー・ストーン、美人秘書のリンダ、夫人のビクトリアなどなど。とても魅力的な脇役が揃っています。

ジャッキー・クーパーのラストの表情は切ない

演技が軽いという評もあるようですが、刑事コロンボの犯人役で最も印象に残る人のひとりです。また彼が逮捕されるシーンではコロンボ警部の「はい。はい。はい。はい。いいえ。」という名台詞が登場します。そして「あなたを逮捕します」と言われた直後のジャッキー・クーパーの表情「目を閉じる演技」は哀愁が漂います。

初期コロンボの美人秘書の典型?

この作品「野望の果て」の脇役ヘイワード夫人の秘書のリンダ(ティシャ・スターリング Tisha Sterling)は、コロンボ作品に登場する若い美女像の典型のように感じます。その後に登場する26話「自縛の紐」の犯人マイロ・ジャナスの秘書ジェシカ・コンロイにも共通点を感じました。

真面目で正直者だから…

コロンボの執拗な聞き込みに対して「何も知りません、失礼します。」と、一刻も早く立ち去ろうとしますが、ヘイワードの人格性について聞かれると力説してしまい、益々疑われてしまうのです。

刑事コロンボで最も素敵な「犯人の奥様」の一人

ヘイワード夫人はジョアンヌ・リンヴィル(Joanne Linville)で、シリーズ中で最も素敵な「犯人の奥様」だったと思えます。夫の選挙活動の手伝いから、不倫疑惑の浮上、殺人犯人へと転落するまでの心の動きをよく表現していました。

テレビ演説でのカメラ撮りのシーン

テレビ演説でのカメラ撮りでの彼女とコロンボ警部とのやりとりは楽しく描かれていましたね。コロンボから「ハリー・ストーンが頑丈な腕時計を所有していた」と…テントの柱でコツンと音を立てられ、ビクッとする仕草が可愛かったです。その他のシーンでも、夫の行動に疑惑を感じつつも、愛は失っていない妻の心情がよく出ていました。

ヘイワード夫人の親友はミシンのおばちゃん

コロンボファンの方より教えていただいた情報ですが、ヘイワード夫人の親友「ルーシー」は24話「白鳥の歌」で「ミシンのおばちゃん(写真)」と同一人物「ルシール・メレディス(Lucille Meredith)」さんです。

まさか奥様まで殺害?

自宅の(びっくり)バースデイパーティの冒頭シーン。まさか奥様までついでに殺してしまうのか?と思わせる効果的なシーンでした。その後、明るくなった部屋で「奥様に会うためにそんなに手数をかける‥」のセリフがルシール・メレディスさんです。

なんで名前が違うの…?

ヘイワード氏の警備を担当したバーノン刑事は、11話「悪の温室」でグローバー刑事として登場していましたね。両役とも良い味を出していたと思います。参照:「ロス警察の気になる同僚たち」

チャドウィック紳士服店

チャドウィック紳士服店のマネージャーは名優ヴィトー・スコッティ。犯人のネルソン・ヘイワード氏の行き付けの紳士服店で、コロンボ警部が自分もボウリング祭り用のジャケットを作って欲しいと依頼し、軽くあしらわれるシーン。仕上がりの期日を告げられて態度を一転するのがこっけい。

冒頭シーンのBGM

このどこか不気味な雰囲気のする音楽は、24話「白鳥の歌」や25話「権力の墓穴」にも使われています。印象的な曲で大好きです。

ジュード・フェアズ

コロンボ警部が運転中に検問される際に登場する若い方の警官役のジュード・フェアズは26話「自縛の紐」で健康クラブの清掃員:マーフィとして再登場しています。

監督:ボリス・セイガル
脚本:アービング・パールバーグ 他
原案:ラリー・コーエン
ネルソン・ヘイワード:ジャッキー・クーパー
ビクトリア・ヘイワード:ジョアンヌ・リンヴィル
リンダ・ジョンソン:ティシャ・スターリング
ハリー・ストーン:ケン・スウォフォード
紳士服店主チャドウィック:ヴィトー・スコッティ
バーノン刑事:ロバート・カーンズ
友人ルーシー:ルシール・メレディス
歯医者メレンチョ:マリオ・ガロ

加筆:2020年1月18日
 

“20話「野望の果て」” への49件の返信

  1. ライトがなぜ車のベッドライトに固執しているのか不思議でした。
    犯人が懐中電灯を持って突然現れても犯行が可能だと思いますが。

  2. 最近マイ・リバイバルで観直しています。 ふと思ったのですが、本作中盤に出てきた仕立屋の二人、前作「別れのワイン」中盤に出てきたソムリエ二人組と同じ俳優さんではないでしょうか?

    1. 仕立て屋の主人はコロンボ作品の名脇役「ヴィトー・スコッティ」さん。店員は「ジョージ・コンラッド」という俳優で、別れのワインの店員役の俳優、おそらく「ロバート・ドナー」とは別人です。

  3. 上院議員候補が選挙の直前に選挙参謀を殺害するという大胆不適なプロットで、ジャッキー・クーパーが野心家だがどこか抜けている議員候補の犯人役を好演していると思います。彼が犯行後警察に電話したり、コロンボに追い詰められるや最後は茶番劇を演じたりと、余計なことをしながら、墓穴を掘っていくのは、これまでの作品にも見られたパターンでした。コロンボの愛車にあちこちガタがきてるのがばれ、高額な修理に至る一連のシーンなど、こっけいでコロンボらしいのですが、いかんせん話の進行としては中盤からやや間延びした感じで、はっきりスローペースになってしまったのは残念でした。

  4. 新旧合わせて全69話あるシリーズの中で最もコロンボ刑部の追及がネチネチしてる回。
    犯人のヘイワードさんが細かい証拠を残し過ぎているせいでもあるんですけど、
    それに対してコロンボ刑事の指摘が執拗でえげつなさ過ぎて笑ってしまうw。
    結局この話はこの追及によって犯人の自滅を起こしたんだから鮮やかな逆トリックは無いが実にコロンボらしい話です。

    また脚本を5人体制で作っただけあって練りに練った作品で、
    手がかりが豊富だしミステリ的にもフェアで納得できるものばかり。
    やや弱いのは車のライトが当たる唯一可能な位置では弾道検査の結果と矛盾する件は、
    暗殺者が複数犯で助手席に座っていた奴が撃ったとすれば問題無くなる部分ぐらいでしょうか。
    (この点をさっと言えないからヘイワードさんは頭がちょっと悪いイメージが余計にある)
    前話の「別れのワイン」が犯人とのドラマ編の決定版だとすれば、
    この話は刑事ドラマとしての決定版の一つだと言えるのではないでしょうか。

  5. この話は何度か、後の事件で言及していて、「第三の終章」で警部が小説化の野望(笑)を展開してますが

    コロンボ警部の語るあらすじだと、あまり面白く感じないのは、不思議です。悪くないんだけど。

    「野望の果て」の自滅ロードの描写が、見事すぎているからでしょうか。選挙戦になかば強引に参加させられることになる奥さんが、酒浸りから一転して生き生きしていくのが、印象的です(犯人はどんどんくたびれていくのに)。

    1. ヘイワードの夫婦関係は破綻寸前で、政治家にとってはかなりマイナスな状況ですね。そこに生き方としての矛盾があり、転落しちゃいますね。

  6. ぶっそうな発砲事件で、住民がテレビインタビューに答えるとき「パンパーン」と音が聞こえたと、必ず言います。誰も「ズキューン」とか「ババーン」とは言いません。
    がやがやと楽しくお酒を飲んでいる時に、意識ぜずに急に聞く銃声は、おそらく「バーン」つまり、爆竹と変わらない音に聞こえるのではないでしょうか。・・と製作者に味方してみました。

  7. このブログ中にも「コロンボの家族・親戚」という書きかけの記事があります。「短パン」のエピソードも追記しますね。

  8. やはり…納得できない。短パンでも納得できません。38歳の弟が子供の頃の短パンを穿くて…。ぼろんこさんのおっしゃるように、コロンボの身内情報は、あやしいですね(笑)

  9. いつも楽しく拝見させていただいております。
    この作品、私は何故か何度も観てしまいます。そうなんです!みのさんが(笑)殺人犯ながら、なんともチャーミングでつい笑ってしまうんです。なぜ、あの美しいリンダさんに愛されたのか?上院議員になろうって人だからデキル人物なのかな、やはり…。
    コロンボ警部の家族は節約家で、38歳の弟さんが今も子供の頃の半ズボンを穿いてるって⁉えっ?まさか、嘘でしょ。と思ったら、字幕では「短パン」となっていて納得です(笑)

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