10話「黒のエチュード」

Etude in Black / 1972

オーケストラの指揮者を演じたジョン・カサヴェテス

オーケストラの指揮者アレックス・ベネディクト(ジョン・カサヴェテス)が愛人のピアニスト、ジェニファー・ウェルズを殺害。俳優カサヴェテスは、ピーターフォークの親友としても有名です。

ベネディクトはイタリア系

以前本記事で「ベネディクトはイタリア系」であると断言していましたが、その後自信がなくなり一旦削除しました。2020年に久々に見返しましたら、ラストシーンで「チャオ」って言っていますね。だからイタリア系で良いのだと思います。本編でもイタリア系について触れたらよかったのにと思います。

完全犯罪とはほど遠い凡ミス

ジェニファーから離婚を迫られていたことが動機。ベネディクトはジェニファーの死を自殺に見せかけますが、現場で証拠品の「花」を落としてしまうという、推理作品で最低のミスを犯し、それが決め手となり逮捕されます。しかも、それを映像手法上で分かりやすく見せていて、最も重要なシーンを見逃させない工夫が施されています。おそらくこの作品、「決め手」を分かりやすく設定したことで、ドラマの側面を引き出しているのではないでしょうか。

サングラスに花が映るシーン

現場検証の最中のジェニファー宅にベネディクトが現れたとき、彼のサングラスに花が映るのは凄まじい演出です。4話「指輪の爪あと」に匹敵します(笑)花を落としたことに気づいたサイン。

一流の芸術家は色を好む?

芸術の世界で成功を収めているが、それに満足できず全てを失うリスクを知りつつ浮気に走るベネディクト。仕事での成功も、権力者の娘と結婚したことで得たもので、純粋な成功とは言い難い。しかも彼がイタリア系であることも興味深いです。

ベートーヴェンやブラームスが色を好んだエピソードを楽しそうに語りますが事実はそれ程とも思えず、彼は「自分が色を好んでいる」ことを暗に肯定しているようにも見えます。ベートーヴェンは確かに女性を好んだようです。ブラームスはもう少し堅物な印象。両者とも生涯独身を通していて、ベネディクトのような既婚者の浮気性とは結びつきません。

野外音楽ホール:ハリウッドボウルが舞台

犯人の職業がオーケストラの指揮者ということで、映像が華やかですね。そしてドラマの舞台がハリウッドボウルという美しい野外音楽ホールを中心に展開していること。このシチュエーションのパワーは大きいと思います。
→ハリウッドボウルの場所(PC)

美人ピニスト、ジェニファー・ウェルズ

既婚者のアレックスに結婚を迫り、殺害されてしまう愛人ジェニファー。コロンボは彼女を「美人で若さと才能にあふれる女性」と賞しています。眉毛の細さが際立ってます。

ジェニファー・ウェルズのエチュード(練習曲)

YouTube「ピアノ練習曲(エチュード)」ピアニストのジェニファー・ウェルズが夜のコンサートの指慣らしに弾いていたピアノ曲をパソコン演奏で再現しました。音楽もお好きな方は、こちらもご覧ください。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

妻ジャニス役ブライス・ダナーが印象的

妻のジャニス(ブライス・ダナー)は美しく見えました。アメリカ人離れした容姿と気品が出ています。そして彼女が要所で見せた表情は抜群でした。しかし、ベネディクトは愛人ジェニファーに惹かれます。それには「彼が才能を美と感じる」芸術家独特の視点があったからでしょう。妻のジャニスはそれを見抜いていました。

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」の第4楽章

劇中でベネディクトが指揮する音楽の一つはベートーヴェン 交響曲第6番「田園」の第4楽章。この交響曲はベートーヴェンが唯一自分で「田園」と名付けた標題音楽的作品で、第4楽章は激しい雷雨・嵐の様子を表現しています。

モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」第4楽章

もう1曲はモーツァルトのセレナーデ「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第4楽章。この2曲の演奏会であればかなり「ベタ」な演奏曲目ですが、本作ではともに「最もポピュラーな楽章」ではない楽章を採用していて、興味深いです。ちなみに両曲とも「第1楽章が最も有名」。

ピアニストが活躍する曲は?何だったのか…

ピアニストのジェニファー・ウェルズがドタキャンした…コンサートの演奏曲目。ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」とモーツァルトのセレナーデ「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」はピアニスト不要の曲。では…ジェニファー・ウェルズが演奏するはずだった曲は何なのでしょう。ステージを見る限り、ピアノは準備されていないし。

コロンボ警部のピアノ演奏を馬鹿にするベネディクト

タイプライターの矛盾を発見したことはさすがコロンボだ!と感じました。(類似シーン:57話「犯罪警報」で用紙の指紋の不可解を発見した。)またこのシーンの頭でピアノを演奏する警部に対し「チョップスティックは久しぶりに見た」という主旨の台詞があって面白いです。チョップスティックとは「箸」の意味で、素人ピアニストが人差し指だけで弾く様子をさしています。

お詫びと訂正

チョップスティックスという曲が存在し、ベネディクト氏の言葉はこれを指しています。「とととの歌」とも呼ばれるそうです。ゲスト訪問者のご指摘で気づいた次第です。申し訳ありませんでした。

コロンボ警部の年収が判明

アレックス・ベネディクト宅での会話、コロンボ警部の年収は自身が「1万1000ドル」であると口にしています。1972年当時の1ドルを約305円としますと、約335万円。そして消費者物価指数などを加味すると…600万円弱。という感じでしょうか。同情するほどの薄給ではありません。容疑者の方々がとてもセレブですので、差を感じますが。
→コロンボ警部の年収

全編に流れる素敵な音楽

クラシック音楽を扱ったエピソードで、BGMもピアノ中心のクラシカルな曲でした。この「黒のエチュード」からスタートした「第2シーズン」。音楽監督を「ハル・ムーニー」が担当することになり、雰囲気が変わりました。私は大好きです。
→第2~第3シーズンの作品で使われるピアノBGM

第2~第3シーズンの不思議なピアノ曲

YouTube「不思議なピアノ曲」刑事コロンボの第2~第3シーズン「黒のエチュード」「偶像のレクイエム」「絶たれた音」「毒のある花」などで多用された「不思議な雰囲気を持ったピアノ曲」を再現しています。音楽もお好きな方は、こちらもご覧ください。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

あのビートルズもコンサートを行ったハリウッドボウル

そのシーンもハリウッドボウルで撮影されていますが、このハリウッドボウルは私の大好きなビートルズ(イギリスのロックバンド)が1964年と1965年にライブコンサートをしていて、その様子は「The Beatles At The Hollywood Bowl」として当時ビートルズ唯一の公式ライブアルバムとして発表されています。

楽団のビリー・ジョーンズ

ジェニファーがコンサート会場に現れないことを知らせに来た、楽団のビリーは俳優ジェームス・マッキーチン。後の43話「秒読みの殺人」の映写技師「ウォルター」で再会できるでしょう。素敵な俳優さんです。

新聞社のエベレットがワイン屋のオヤジ!

ランチのシーンで登場する。新聞社のエベレット(ジョージ・ゲインズ)は後に、19話「別れのワイン」でワイン屋のオヤジを演じています。雰囲気が変わるので気づきにくいですが、これは確かです!

新聞社のダーキーはドッグの校長先生

同じシーンで登場する新聞社のダーキーは俳優:チャールズ・マカーリー。この俳優さんはなんと、23話「愛情の計算」で、犬の学校の校長先生を演じています。また2話「死者の身代金」の捜査員もこの人ですが印象は薄いです。

ポールが演奏するクラブは、ロンドンの傘でも登場。

容疑をかけられるトランペットのポール(ジェームズ・オルソン)が演奏するクラブは、「ロンドンの傘」で蝋人形が置いてあった部屋と同じ場所です。階段をみたらわかります。ロンドンのはずなのにね(笑)

ポールを吊るし上げる理事会の女性。

理事会で向かって右側に座るメガネの女性は「ダイアン・ターレイ・トラヴィス」で、度々ちょい役で登場する女優さんです。女版「マイケル・ラリー」だと言えます。

ショパンはインコではない!

ピアニストのジェニファーが飼っていた鳥は、おそらく「キバタン」だと思われます。隣の女の子はコロンボに「ショパンはボタンインコ」と言っていますが、それは間違い。顔の配色をみますと…これは「キバタン」というオウムの一種です!インコの一種(オカメインコ)なら「おかめ」のように頬にオレンジ系の丸があります。

監督:ニコラス・コラサント
脚本:スティーブン・ボチコ
アレックス・ベネディクト:ジョン・カサヴェテス
ジャニス:ブライス・ダナー
ジェニファー・ウエルズ:アンジャネット・カマー
フィールディング夫人:マーナ・ロイ
ビリー・ジョーンズ:ジェームス・マッキーチン
ポール:ジェームズ・オルソン
フランク:マイケル・ラリー(マイク・ラリー)

加筆:加筆:2020年7月26日

“10話「黒のエチュード」” への130件の返信

  1. ブライス・ダナー・・・。
    映画ミート・ザ・ペアレンツの母役と同一人物と思えない。若い頃は娘と似てる

    演奏クラブとロンドンの傘の部屋が同じだと気づくのがスゴイですね・・

  2. お早うございます。
    ちょっとびっくりしたことが。
    犯人の妻ジャニスの運転する高級車ロールスロイスのルームミラーについてです。
    ルームミラーって上からぶら下がってるのが普通だと思ってましたが、1950年代後半から1960年代半ばに製造されたロールスロイスだそうで、映像でのロールスロイスには、車のダッシュボードの上に床から上にルームミラーが生えてましたね。
    見たことがないので驚きました。
    ●まさこさんとのやり取りで(間違い探し)(笑)をしてて 気が付いたんですが、そうでなければ見過ごしていたかもしれません。
    …あんなところに置いてあって後ろ 見えるんでしょうか?でも見えたんでしょうね

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