13話「ロンドンの傘」

Dagger of the Mind / 1972

往年の人気舞台俳優、ニックとリリアン夫妻は業界に君臨するプロデューサーのサー・ロジャーを死なせてしまう。それをロンドン視察旅行中のコロンボが解決するというお話。

意外と人気が高い作品…

海外ロケということもあり「ハメを外した」作品と言えるかも知れません。が、何度も見返すと、作品の持った心地よい雰囲気を理解できるようになります。この「ロンドンの傘」は私の個人的な評価よりもはるかに人気の高い作品で、ぼろんこ独自調査の人気ランク8位に入っています。(2015年4月現在)→人気作品ランキング

犯人の俳優夫妻

リチャード・ベイスハート犯人の舞台俳優夫妻「ニコラス・フレイム:リチャード・ベイスハート」「リリアン・スタンホープ:オナー・ブラックマン」のコンビは、落ちぶれた俳優役ですが、息の合ったお笑いコンビのようにも見え、可愛かったです。劇中の台詞は、題材のマクベスをヒントにしたものが多く、この作品をより一層楽しいものにしています。嫁のリリアンは、有名な女優の割には「劇中の芝居がクサい」ですね、これも面白い演出です。

大草原の小さな家

リチャード・ベイスハートこのリチャード・ベイスハートは、テレビドラマシリーズ:大草原の小さな家の「暗い教室」という作品で、アップルウッド先生役で登場しています。厳しくて陰険な先生役を名演しています。

自白したのはニコラスではなく、リリアン。

オナー・ブラックマンラストシーンでは一見、夫のニコラスが自白したと錯覚するが、実は何もしゃべってはいません。気が変になった彼を見て、妻のリリアンが「事故だった、馬鹿なことをした」と自白してしまいました。しかし…事故では済まされません、口封じに執事タナーを殺害しています。

コロンボ警部は、証拠をねつ造!

ロナルド・ロング刑事コロンボシリーズの中で、よくある解決方法で「証拠を作ってしまう」というのがあります。これは犯人自身に「証拠を作らせる」「決定的な行動を引き出す」ことが美学であると捉えますが、今回は明らかにコロンボ警部が「証拠をねつ造」しました!ダーク刑事部長の「やったな!」という印象的な台詞で幕を閉じます。

さて、この「証拠ねつ造」ですが、実は蝋人形館のジョーンズ(ロナルド・ロング)も一役買っている気がしますが、いかがでしょうか? ラスト直前のシーンでのジョーンズの仕草は、何か不自然でそわそわしています。サー・ロジャーの人形の腕に展示された傘は「綺麗に巻かれて」いませんしね。これはコロンボに頼まれて、そうしたのでは?

サー・ロジャー・ハビシャム:ジョン・ウィリアムズ

ジョン・ウィリアムズ被害者のサー・ロジャー・ハビシャムは俳優ジョン・ウィリアムズ。同名の作曲家も有名ですね(スター・ウォーズetc.)。俳優ジョン・ウィリアムズは映画「ダイヤルMを廻せ!」で、かの「レイ・ミランド」とも共演しています。

ウィルフリッド・ハイド=ホワイトが素敵

ウィルフリッド・ハイド=ホワイトそのサー・ロジャーの執事:タナー(ウィルフリッド・ハイド=ホワイト)は素晴らしかったです。イギリス紳士とはかくあるもの…という品格。しかし従順のようで「したたか」。彼の台詞まわしは見事です。ハイド=ホワイトはこの後37話「さらば提督」にも出演します。

バーナード・フォックス

バーナード・フォックスロンドン警視庁(スコットランドヤード)のダーク刑事部長(バーナード・フォックス)はイギリス出身の俳優さんで、29話「歌声の消えた海」で客船のパーサー:ワトキンス役で出演しています。「ボートではなく汽船で…」が口癖の乗務員ですね。ダーク刑事部長は51話「だまされたコロンボ」で名前だけ再登場しています。

奥様は魔女の「ドクター・ボンベイ」

ドクター・ボンベイこのバーナード・フォックスは、ほぼ同時代のTVドラマ「奥様は魔女」の魔女専門の医者である「ドクター・ボンベイ」を演じています。

小池朝雄さんは、もの凄く声が枯れていた。

本題には関係ないことですが、今回の小池朝雄さんは、すごい声でした。お風邪を召されていたか、また 一説によると舞台のお仕事で喉を痛めたとか‥。ただし後半でコロンボ警部自身も「どうも今日は『のど』がね‥」と、せきばらいをしました。偶然?ピーター・フォークも喉の調子が悪かったのか。小池さんのかすれた声は、これに調子を合わせるための演技だという説もありますが、本当かな(笑)。

岸田今日子さんが素敵。

リリアン・スタンホープの吹き替えはムーミンなどでもお馴染みの女優:岸田今日子さん。岸田さん亡き今、このロンドンの傘を見るたびに、この素晴らしい声色と台詞まわしで、彼女を感じることができます。時にはオナー・ブラックマンが岸田さんに見えてくるのです。

空港でスリと間違われる。

ジョン・フレイザーロンドン空港に到着したコロンボ警部は、自分の旅行カバンを見失います。このカバンがカミさんのもので、おそらく凄い花模様で派手な紫色。その後、迎えに来てくれたロンドン警視庁のオキーフ刑事(ジョン・フレイザー)と無事出会えますが、この時の握手はまるで腕がちぎれんばかりの勢いで、笑えます。

劇団のミス・ダドリー

シャロン・ヨハンセン劇団のスタッフ(稽古中にメモをとる、葬儀で泣いている)の女性「ミス・ダドリー」は女優シャロン・ヨハンセンで、18話「毒のある花」のマーチソン博士の場面で登場するマッサージ師の金髪の女性「オルガ」と同一だと思われます。

楽屋番のフェンウィック

アーサー・マレット楽屋番のフェンウィックは俳優アーサー・マレット。様々な場面で、ニックとリリアン夫妻の犯罪隠蔽の邪魔(わざとではない)をします。自分のことを「あっし」と呼び、たまにはマクベスのセリフを引用して答えたりと、面白いキャラでした。このフェンウィックは割と短気で、つむじ曲がりな感じもしましたね。

ウォーカー・エドミストン

ウォーカー・エドミストンこれまた、どうでも良いほど些細な場面で、サー・ロジャーの車を洗車していた「ウォーカー・エドミストン」なる俳優さんです。タナーの爺さんがうるさいんで、毎日車を洗うと答えている人です。エドミストンはこの後の名作19話「別れのワイン」で、ワインのオークションを仕切る役で再登場します。

LAのジャズの店と、ロンドンの蝋人形館が同一!

10話「黒のエチュード」で容疑をかけられるポールが演奏するLAのジャズの店と、13話「ロンドンの傘」の蝋人形館は同じ場所です。大胆な演出ですよね!(ブログゲストさんの発見でした)

LAのジャズの店ロンドンの蝋人形館1013

リリアンはボンドガール

オナー・ブラックマンご存知だと思いますがリリアンを演じたオナー・ブラックマンは「ボンドガール」です。映画「007 ゴールドフィンガー」のプッシー・ガロア役でショーン・コネリーと共演しています。美しいですね!

監督:リチャード・クワイン
脚本:ジャクソン・ギリス

ニコラス・フレイム:リチャード・ベイスハート(声:高橋昌也)
リリアン・スタンホープ:オナー・ブラックマン(声:岸田今日子)
サー・ロジャー・ハビシャム:ジョン・ウィリアムズ(声:辻村真人)
執事タナー:ウィルフリッド・ハイド=ホワイト(声:松村彦次郎)
ウィリアム・ダーク犯罪捜査局刑事部長:バーナード・フォックス(声:西田昭市)
オキーフ刑事:ジョン・フレイザー(声:納谷六朗
ジョー・フェンウィック:アーサー・マレット(声:矢田稔
ジョーンズ:ロナルド・ロング(声:西尾徳)
ミス・ダドリー:シャロン・ヨハンセン
地元の巡査:ジョン・オーチャード
メイド:ヴェロニカ・アンダーソン
空港の女性:キャスリン・ジャンセン
葬儀参列者:レン・フェルバー
パーティ客:エセルレッド・レオポルド

加筆:2021年12月19日

“13話「ロンドンの傘」” への148件の返信

  1. 今日BS4Kで見ました。気になったので、サーロジャーがどこに傘を置くのか?注意深く視ておりました。
    しかしドアの隅にすでに傘が立て掛けられているのがわかりました。
    じゃあ楽屋番の人はサーロジャーの傘を持って行ったことになりますよね。
    だって傘置きには一本しか傘が無かったのだから

  2. こんにちは。かなり前に、AXNミステリーで、刑事コロンボの字幕版を放映していたのをご覧になった方はいらっしゃいますか。私は、コツコツと録画していまして、ちょうど字幕版の「ロンドンの傘」を久しぶりに見始めました。岸田今日子さんが「あいつ、ひひじじいだった。。。」と捨て台詞を吐くシーンがありますが、「ひひじじい」って、いつ聞いてもかなりのインパクトです。ここのセリフは、”He had a dirty mind.” (字幕では「嫌なジジイよ」)かと思います。リリアンの心情を察すると、仕事のためとはいえ、イヤな思いもしたのかなとか、いつも思ってしまいます。この作品を見る度に、高橋昌也さんと岸田今日子さんというレジェンドのセリフ回しを堪能することができます。

    1. 私も「ひひじじい」には、毎回爆笑しております!岸田今日子さん流石ですね。

  3. 個人的には何回見ても楽屋番のフェンウィックが故意に傘を間違えたと思えます。執事の説明だと侯爵夫人からの贈り物で、柄の彫った字は薄くなってるが生地も張り替えてあってフェンウィックは高級品であるのはわかってたはず。だからパブで最初飲んでる時も抱えたままだったのでは。名前が読めていれば執事より先に俳優夫婦をゆすったと思うが、単に高級品を手にしたかっただけのよう。執事役のウィルフリッド・ハイド・ホワイトは1991年に亡くなるまでの25年間はイギリスの税金逃れのためアメリカに住んでいて、このエピソード撮影時も本国には帰国できないのでカリフォルニアでされたそう。役同様「したたかさ」を感じますね。コロンボがロンドン市内観光している以外はほとんどUNIVERSALのセットで撮影されたそう。特に気になるのはサー・ロジャー・ハビシャムの棺がアメリカ式です。イギリスの棺は現在の映画、TV番組でも確認できますが、長方形でなく体の形に合わせた(足部分が細くなってる)ものです。細かく見ると面白い発見があります。

  4. 最後、傘から真珠玉が出てきたのを見てニコラスが気が変になり喋るセリフは『マクベス』の第5幕第5場での有名なセリフ「明日、また明日、明日という日」で、劇中でのマクベスが殺人を行ってしまったという罪の意識に苛まれながらの独白ですが、真実が明らかになりニコラスが罪の意識に苛まれての独白とも受け取れます。

  5. 原題 Dagger of the mind について。
    この作品のモチーフとなるマクベスのセリフです。主人公マクベスがダンカン王を殺しにいくときに心の中の殺意が短剣として目の前に幻想として現れるのです。今回の殺人はもみ合ってるうちに夫人の投げたものが当たってはずみで死んでしまったので、それほど強い殺意はなかったようですが・・・原題を直訳しても意味が日本ではよくわからないので、「ロンドンの傘」とつけたのはうまいと思います。舞台と決め手のトリックをうまくまとめていますね。

  6. いろいろな回のコメントでたまに触れられる「ロンドンの傘」、やっとたどり着きました。冒頭の犯行の流れから空港の場面へ。どちらも閉塞感のあるやり取り、空間、スリと間違われゴタゴタした状況から一転、車でロンドンの街を通り抜け、スコットランドヤードへ向かう道すがら車から飛び出して「近衛兵だ!行進だ!ロンドンだ!」とばかりにあちこち目を輝かせながらのびのびと、ぐいぐいと駆け回るコロンボの姿や目線に爽快感!脚本上はおそらくコロンボの目を通して視聴者にロンドンめぐりをしてもらう場面としての役割だったのでしょうが、それ以上に意気揚々と好奇心を持って生きていくっていいな、このロンドンのコロンボみたいな目をもって生活していきたいものだ!と、感じいってしまいました。
    しかし、ちょっと気になったのが(この回だけでなく、たまに思うのですが)特に今回は、蝋人形館の管内ですらコロンボがタバコをふかしていたこと。蝋は燃えたり溶けたり、火気厳禁ではないのかな?と、ひとりヒヤヒヤしてしまいました。
    人物としては楽屋番のフェンウィックが印象に残りました。楽屋を去るときから自分の傘だけは絶対にわすれないぞ、自分で守るんだ、という必死さが感じられてちょっと哀しくなりました。戦争の古傷があり、リウマチを持っている、貧しいけれど仕事に真面目で…ラストシーンでコロンボが傘を持って一人街を走るシーンが。フェンウィックに「傘が見つかりましたよ」と渡しにいってあげ…るわけはないかもしれないけど、そうだといいなと。
    この回は演劇にも仕立てられそうでした。お芝居になったら是非見てみたいなと思います。

    1. 今の基準で見るとどこでも葉巻吸ってますね。証拠品の扱いも雑で素手で触っていたりして。「落ちた偶像」の中のスタジオでは大道具室の一部に禁煙のサインがありましたが、当時はよほどの可燃物が多いところでない限りどこでも喫煙可でしたね。時代背景が違うと思って見ましょう。蝋人形館の通路で葉巻吸ったくらいでは人形が溶けたり燃えたりしないでしょう。

      1. いや、本当に仰るとおり!今の基準…いやいや、当時の基準からしてもコロンボと来たらどこでもスパスパやっていますね。葉巻は残念ながら自分は吸ったことがないのですが、若い頃パイプやら葉巻やら吸っていた方が割と近かったので一般の紙巻きタバコに比べていい香りの印象があり、コロンボの葉巻はどんな香りがするのやら?と想像して楽しんでいます。
        蝋人形館はロンドンのだったかは忘れてしまいましたが、確か何度か火事に見回れたニュースを見たことがあったような…。そんな記憶があったのでヒヤリとしてしまいました。(意外と葉巻と人形の距離が近かったような?気のせいだったらスミマセン!)
        蝋人形と言えばマダムタッソーですが、もとは人体解剖の蝋製の見本作成を学んだマダムが、フランス革命の処刑の様子だかルイ16世一家の蝋人形を作り、人々にその様子を広く知らしめる一役を担ったそうですが、なんとも生々しい出来事が始まりだったのですね(汗)。
        他の方も言われていましたが、犯人夫婦のニックの…最後の錯乱してしまう姿、よほどサー・ロジャーの化身である人形が心に恐ろしく迫って来たということもあるのでしょうね。HiroBRZさんの題名の方のコメントにあるようにまさにDagger of the mind…心が見せてしまう幻の短剣(あるいは、付け加えさせて頂くと「脅かし、苦しめるもの」という意味もdaggerにはあるようですので)が蝋人形に対峙しつつ警察に取り囲まれ、またアクセサリーのかけらの混入を告げられたりで自分の方に刃を向けてきたのに耐えられず精神的に崩壊してしまったという…笑ってしまうような恐ろしいような結末はシェークスピアへのオマージュのようにも思われました。
        (スミマセン!話があちこちで。この回も好きな回でして反芻してしまいました。。。)色々とヒントをありがとうございます!

    2. のんき様

      ロンドンの傘をご覧になったということはかなりHuluでのめりこんでおられますか(?!)
      わたしフェンウィックというひとをすっかりわすれております。どんな役柄でしたか…
      お手洗いで着替えてた人いたような?それが犯人だったか誰だったかも覚えてなくて。ただ、のんきさんのように、哀しいようなかわいそうなような、感じを誰かに持ったことを覚えていますが・・・

      タバコと葉巻の件は私もいつも感じます。黄金のバックルでは、警備員が床に吸い殻を捨てていてびっくりでした!

      のんきさんとYC-30様のコメントも興味深く拝見しています。いつか横からお邪魔するかもしれません><

      追伸あらためましてテレビ番組のタイトルありがとうございました。

      1. アイス様‼
        しまった!バレバレですね汗;はい。なんだか生き急ぐようにのめりこんでおりまして…時間を見つけては、しかし、睡魔にも誰にも邪魔されない時を選んで(これでも)せっせと視聴しております( ´艸`)

        基本的にこちらのサイト、見終わった回のコーナーだけを読むようにしているのですが、ちょっとだけ…と、あちこち覗き見てしまいます。(しかしネタバレもしたくないので、ひゃーっと逃げ帰るようにページを閉じたり…なにやってるんでしょうかね。アイスさんのコメントは拝見したのですが、お返事はなんとか我慢しつつ、ロンドンで( ´艸`)待機しておりました。)

        フェンウィックと言う人は、楽屋の配管を修理するために殺人の現場である楽屋に出入りして、犯人夫妻の奥方である女優さんに「もう帰っていいわ」と言われて追い出された男です。その時に取り違えて傘を持ち帰ったために後日夫に酒場までついてこられ雨の日というのに傘をこっそり持ち去られて、コロンボと雨の中濡れながら会話をすることになってしまった、あの、貧しい楽屋番。一生懸命生きているのに不器用で、真面目なのに上手くやってる連中に出し抜かれ…切ない、でもあなたにもいいことがありますようにと願ってしまうようなキャラクター・・・。このような、事件には直接の関りはないと言えばない人物の造形、描写がコロンボという虚構の世界にリアルな体温が加わり…感じられ、ドラマ作家と俳優さんの心意気も感じ、コロンボに再会できてよかったなぁ~と思ってしまう毎日です。(そして後半に来れば来るほど皆さんが『コロンボ後半シリーズは初期と違って…』とコメントされていて、あまりいそがずゆっくり見ようかなぁ・・・と、スローダウンしようか思案中です。

        あと、タバコは思い返すと、子供時代はコロンボのような人ばかりだったのに、いつの間にか禁煙、分煙が進んで、タバコのにおいがするのが珍しいような世の中にいつの間にかになってしまったということなんですね。慣れと言うものは・・・(・_・;)

        p.s. 追伸、というのもなんですが、「コロンボ犯人に馬鹿にされるのはイタリア系のせい?」の件は解決しましたか?この件に関しては自分なりに少し思うところがありまして…。後程また続きのコメントさせていただけると嬉しいです(><;)

        1. のんきさーん!フェンウィック氏についてご教授いただきどうもありがとうございます!
          コロンボの優しさを見逃さないのんきさんの優しいコメントのおかげで
          少し思い出してきました!(二回見てるのに一体…)
          この回では確か執事も殺されましたよね?
          YCー30様が書いてらっしゃいましたが、やはりコロンボにも残念ながら公平さに欠けるシーンかなと思われかねないものもあって、執事などの地位が当たり前のように低い、地位の低い者にアフリカ系やアジア系が多い、などもわたしはちょっと気になるところではあります。
          ただ、当時は、そういう世の中だったわけで、じゃあコロンボがそれに大賛成している、というシーンは、たしかにホームズやほかの欧米作品に比べたら本当に少ないとも思うのです。
          そうでなかったら、ほかの国でここまで支持されないのでは、と私は考えますが、のんきさんはどう思われますか。

          イタリア系の件はまだ…のんきさんの解釈ぜひ拝聴したいです。
          最近の私の考え事はこの件と、コロンボファンとポアロファン、古畑ファンはタイプがあるのか?ということでして…それこそなにやってるんでしょうかね?
          あ、あと、コロンボの中の音楽をぼちぼちピアノで弾き始めています。のんきさんが良いなと思われるコロンボ音楽はありますか?

  7. この作品は、ただただ、犯人が錯乱する様を楽しむための作品です。妻と違い、より強い罪の意識に駆られたマクベス俳優が、その罪悪感の深さゆえに、完全に気が狂ってしまう、その演技のみごとなことと言ったら!全く、証拠らしい証拠もありませんし、一か八かの勝負とはいえ、面白い幕切れでした。マクベス、好きな演劇です。皆さん、特にヴェルディのマクベス、おすすめです!

    1. 同感です。
      英国ロイヤル・オペラの来日公演 (指揮 : アントニオ・パッパーノ 指揮 演出 : フィリダ・ロイド) 2015年 9月18日 東京文化会館
      が実演に接した唯一の体験ですが、真にすばらしかったです!

      1.  発作的に懐かしく想い出してしまい、当時のプログラムを引っ張り出してきました。
        指揮:アントニオ・パッパーノ
        演出:フィリダ・ロイド

        マクベス:サイモン・キーンリサイド
        マクベス夫人:リュドミラ・モナスティルスカ
        バンクォー:ライモンド・アチェト
        マクダフ:テオドール・イリンカイ
        マルコム:サミュエル・サッカー
        ロイヤルオペラ合唱団/ロイヤルオペラハウス管弦楽団
         指揮者を除いてイタリア人がおそらく一人もいないイタリアオペラの来日公演は、中々得難い体験で、まさしく本場シェイクスピアの国から見たヴェルディのマクベスでした。同種の感激には、もう一生二度と出逢うことは無いでしょう。
         「刑事コロンボ」本作の感想は、安井太一様に同感です。

  8. ダーク犯罪捜査部長が最後に言った「やったな。」が効いています。捏造証拠を笑いとユーモアに変えてしかも捏造と知って咎めもせず犯人が自白したのだからいいかと考える大らかさ、こういうアメリカ式捜査も乙なものだと言っているようです。日本語の名訳の例かと。因みに英語では「by joke 」となっています。冗談だろ、とか嘘だろ、いう意味なのでしょうか?英語に詳しい方がいましたら教えて下さい。

    1. By joke ではなく、By Jove! と言っていますね。「なんてこった」「こいつぁ驚いた」という意味で、いかにもイギリス人がよく使いそうな言葉、というように理解しています。
      なおコロンボは驚いたりいらだったりする時に、よく Son of a gun. と言いますが、こちらはちょっと前のアメリカ人男性がよく使っていた表現だと思います。

  9. こんにちは。
    『ロンドンの傘』は大好きな作品でぼろんこさんの仰る通り独特の雰囲気を楽しめる作品ですね。「ニコラスとリリアンの息のあったお笑いコンビのような演技」そこも仰る通り楽しめる他の作品とはまた違う味を持った作品ですね。やはり舞台がロンドンである事が大きいのでしょうか。
    当時のアメリカの持つ勢いとかスピード感とは無縁のゆったりした作品と思いました。
    また、リリアンの着ている物がどれもとてもオシャレで素敵。そこも楽しめます。
    インテリアに関しては少し古めかしいのであまり好みではありませんが全体的に楽しめました。
    パールが傘に入るかどうかなどや捏造はあまり気にならず、それも含めてコロンボ作品と思い楽しみました。

    バックの音楽やエンドの締めくくりの音楽もも近衛兵の持つラッパを起用した宮廷音楽を思わせるアレンジでとても楽しめました。

  10. こんにちわ。
    先日NHKBSプレミアムの録画をようやく見れましたが、
    コロンボ刑事って証拠を捏造するんですね…ちょっとショック。
    やはりコロンボ刑事には、アッと驚くような鋭い指摘で犯人を切り崩して
    ほしいものです。

  11. 今回のコロンボさんの本来の目的地は「Scotland Yard」でした。この文字を見た途端に思い出したのは「相棒」の杉下右京さんがなにかと口にする「スコットランドヤード」でした。ロンドンなのに何でスコットランドなのかはWikipediaで分かりました。右京さんはコロンボさんと違って、お上りさん丸出しでは全然なくて紅茶道に磨きを掛けました。同じく長期滞在の伊武雅刀さんと一緒に難事件に当たっていたはずです。
    現場にいた刑事のコロンボさんには聞き取れないひどい訛り。日本語の吹き替えは、平成以降には絶滅したと思われる東日本の田舎の言葉のようですが、原語はロンドンの下層階級のいわゆる下町言葉なのでしょうか?「マイフェアレディ」で散々俎板に乗っけられるロンドンの言葉とのいろんな階層の言葉と比べて、今回の登場人物の皆さんのしゃべる言葉がそれぞれどのような位置づけなのか興味があります。
    協力し合う仲睦まじい夫婦の犯罪者コンビの奥さんが主導権を握っていき、旦那さんがヘマをやらかすのは、「マクベス」に倣ったものだそうですが、ワーグナーの「ローエングリン」に登場する敵役の夫婦のことも思い出しました。

  12. 今回のコロンボの吹き替えの声が今までと違ってたので声優さんが変わったのかなっと思っていたのでですがボロンコさんの声優さんの声が枯れていた‼️で納得しました
    ささいなことですがスッキリしてもう一度観ます

    1. この声の件については長年、書き足りないと思っていて、先ほど加筆しました。

  13. サー・ロジャーがネックレスを床に叩きつけるシーン。
    あの投げ捨て方と傘の位置だと、傘の中に入りようがないですね(笑)

    われわれもリリアンもそんなことまで覚えていないんですけれど……

  14. 今回の出演者で一番印象的だったのは執事です。いつも落ち着いていて静かに話す。アメリカ人のように感情を露わにしない。カズオ・イシグロの「日の名残り」を思い出しました。
      殺された人はサーがつくので貴族なんでしょうが、豪邸に一人で住んで使用人が何人も居る。一方パブで酒を飲む労働者達は粗末な身なりで・・・・・上流と下層階級の差がものすごい。 アメリカ人から見るイギリスってどうなんでしょうね? 逆にイギリス人から見るアメリカは?  コロンボが現地警官の聴き取れない英語に戸惑い警部に意味を聞くところが面白かったです。  傘を置いた場所は見直すととてもネックレスの玉は入らない位置ですね。
      相手の自白を誘導する(心理的にパニックにさせる)引っかけ技はここでも健在です。

  15. こんにちわ。昨年NHK BS で全部見たのですが、今年も再び放送されていて、毎週見ております。

    確かに最後の切れは今ひとつかもしれませんが、プロローグのイギリスらしいメロディはもとより、2人殺しはしたが最期まで仲間割れしなかった憎めない犯人コンビ、敬虔かつ巧妙な執事など、登場人物が魅力的ですね。

    女人禁制のところ、昨年まさこさんに解説していただき、あの間のシラケた雰囲気も理解することができました。私の中ではかなり上位の作品です。

    再放送はまだ全体の5分の1、まだまだこれから楽しみたいと思っています。

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