57話「犯罪警報」

Caution: Murder Can Be Hazardous to Your Health / 1991

千両役者:帰ってきたジョージ・ハミルトン

ジョージ・ハミルトン
人気司会者のウェイド・アンダースが同業者のバド・クラークを殺害。犯人がテレビ業界の有名人、被害者が犯人の過去を知って脅迫、追いつめられた犯人が殺害といった王道のど真ん中をゆく作品。しかも、犯人役には「ジョージ・ハミルトン」を起用。ということで、背景は文句なしです。

原題と邦題

原題の「Caution: Murder Can Be Hazardous to Your Health」は、タバコのパッケージ側面に書かれた(一般的な)注意書き「Caution: Cigarette Smoking May Be Hazardous to Your Health」を文字っています。この「警告:喫煙は健康に害を及ぼす可能性があります」の「Cigarette Smoking May」を「Murder Can」に置き換えているのです。要するに「警告:殺人は健康に害を及ぼす可能性があります」MayをCanにしたのは、少し語気を強めたのか?何か意味がありそうですね。ですので番組名(邦題)の「犯罪警報」にもつながるニュアンスんですね。私は呼びやすい「犯罪警報」の邦題が気に入っています。

大文字と小文字

刑事コロンボの原題はすべて「大文字」なのはご存知の通り。ですので「CAUTION: MURDER CAN BE HAZARDOUS TO YOUR HEALTH」となります。バド・クラークはこの「オールキャップス」スタイルでタイトルを打っていました。それに対し、ウェイド・アンダースは(ほぼ)全ての単語の頭を大文字にする「タイトルケース」を好みました。これは「タバコの注意書き」と同じ手法だという皮肉もあるのでしょうか?

犯行トリックに関しては、全然駄目でした~

自分が刑事でも「吸い殻の不自然さ」は見逃しませんね。犯人のアンダースは、死に至った被害者クラークに対し「だからタバコはやめろと言ったんだ」的な台詞を吐きますが、実は「タバコの知識に疎いくせにタバコを殺人に利用した」ことが命取りだったというオチですね。
特に印象的なのがコロンボ警部から「ニコチンのシミがフィルターについていない(つまり煙草を吸わない人による工作)の怪」を指摘されるシーンでの顔。半開きの眼で自らのミスを後悔する表情はとても良いです。

ダンディな犯人とヨレヨレ刑事の対比

ウェイド・アンダースの紳士ぶりとコロンボ警部の身なりの対比も面白いです。これは旧作20話「野望の果て」で、上院議員候補ヘイワード氏とのシーンを思い出させます。

バド・クラークの逆襲

ピーター・ハスケル殺害されるバド・クラーク役のピーター・ハスケルは好きでした。「まだタバコを吸っているのか?」とアンダースから忠告され「スハ~~~~」って彼の顔に煙を吐きかけて返事をするあたり、なかなかの態度。そのくせ、死ぬ間際に「く苦しい、たすけて~」とアンダースに頼むあたりも憎い。

恥ずかしい過去は、いつかバレたような気も…

ポルノ映画に出ていたことで脅迫される犯人ですが、ビデオ屋の主人もその事実を知っているので、クラークの口を封じでも、やがて明るみになったでしょうね。もう少し頑張ってくれたら、初期作品に匹敵するほど好きになれたと思います。

ジョージ・ハミルトンジョージ・ハミルトンは1974年の31話「5時30分の目撃者」に続く2度目の犯人役。旧作・新作で何れも犯人役を演じたのは、「パトリック・マクグーハン」「ウィリアム・シャトナー」と、この「ジョージ・ハミルトン」の3人のみ。

初期作品風の見所が多い作品

冒頭の劇中劇シーンは、コロンボの物語の一部だと錯覚させる仕掛け。14話の「偶像のレクイエム」を思い出しました。パソコンの出力用紙の指紋に対する発見は、10話「黒のエチュード」のタイプ用紙の一件を思い出しました。監視録画は30話「ビデオテープの証言」。そういう意味では、初期作品を思わせるような見所が多いです。

テレビ局はKRVA 3

Ocean Side East Cafe56

Ocean Side East Cafe57

犯罪警報のテレビ局は「KRVA 3」です。これは56話の「殺人講義」でラスク教授の殺害シーンを放送したテレビ局と同じです。また、59話「大当たりの死」で「ロト番組」が始まる直前にチラッと映る、3チャンネルのニュース番組もこの「KRVA 3」です。

ディレクター「マキシーン」

ペニー・ジョンソン・ジェラルド犯罪警報の女性誌レクター「マキシーン・ジャレット」は、女優ペニー・ジョンソン・ジェラルド。かなり多数のテレビドラマ等に出演しているようで、今後の調査対象です。

KRVA 3の女性社員

マリー・チャンバースKRVA 3の女性社員リサは女優マリー・チャンバース。スラっとした感じの女性で、ちょっと49話「迷子の兵隊」の「ジャネット・エイルバー」に似た雰囲気でした。

インタビュアの東洋系女性

エミリー・クロダアンダース氏にインタビューする東洋系女性リンダは、エミリー・クロダ。その名の通り日系の女優さんのようです。この方も数々のドラマ作品等に出演されています。

検死医のジョージ

スティーヴン・ギルボーン検死医のジョージ・ジョンソン先生(俳優:スティーヴン・ギルボーン)も再登場。鼻メガネの表情がとても印象的で大好きな俳優さんです。

監督:ダリル・デューク
脚本:ソニア・ウルフ・パトリシア・フォード・エイプリル・レイネル
音楽:ジョン・カカヴァス

ウェイド・アンダース:ジョージ・ハミルトン(声:小林勝彦)
バド・クラークピーター・ハスケル(声:麦人)
マキシーン:ペニー・ジョンソン・ジェラルド(声:高乃麗)
検死医ジョージ:スティーヴン・ギルボーン
リサ:マリー・チャンバース
リンダ:エミリー・クロダ
 
加筆:2023年12月17日

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