67話「復讐を抱いて眠れ」

Ashes to Ashes / 1998

最後のパトリック・マクグーハン

パトリック・マクグーハン今回で四度目の犯人役となった「パトリック・マクグーハン」。殺人を暴かれた詰めの部分には少し甘さを感じますが、マクグーハンの存在感、演技には引き込まれるものがあります。エリック・プリンスを演じた時マクグーハンは70歳。かつて34話「仮面の男」の劇中で「スタインメッツ」に変装した顔に酷似しています笑。この時ネルソン・ブレナー(演マクグーハン)は47歳だっと思われます。

犯罪工作の名手マクグーハン

特に犯罪を隠蔽するためにせっせと工作する時の仕草、表情は絶品。まるでそれを楽しんでいるかのようにも見えるし、強がっているようにも見えます。「復讐を抱いて眠れ」でのハリウッドで葬儀屋の社長エリック・プリンスは、28話「祝砲の挽歌」のラムフォード大佐、52話「完全犯罪の誤算」の弁護士オスカー・フィンチより、若干キャラクター性を抑え気味でしたが、十分にマクグーハンを堪能できる作品でした。

コロンボ警部が語気を急に強める

後半でコロンボ警部が語気を急に強める場面は、他の回と比べて嫌悪感を露にしていない犯人に対して、すこし唐突な態度に感じました。おそらく、遠く離れた相手に向かって、大きめに喋ったのでしょう。執拗に付きまとうコロンボ警部に対し、今回のエリック・プリンス氏は忍耐強かったと思いますね。

灰から灰でも良かったかも…

原題「Ashes to Ashes」の直訳は「灰から灰」で、邦題の「復讐を抱いて眠れ」よりも内容に直接的な題名です。復讐を抱いて眠れは間違っていませんが、ベリティの復讐心が殺される引金になったとしても、その後の展開ではあまりクローズアップされていないのでピンと来ません。
また決め手となった金属製の砲弾の破片ですが、プリンス氏が骨壺に灰を入れる際にもっと慎重に行っていれば、入っていなかったでしょうね、割と慎重そうな人物ですけど。

ルー・マクラナハンが憎まれ役を好演

ルー・マクラナハン被害者の芸能リポーター、ベリティ・チャンドラーはルー・マクラナハン。かつての男女関係の恨みを晴らすため、テレビでエリックの秘密を暴露する「復讐」を本人に宣告するが、その口調が強烈に意地悪。ピッタリのハマり役でした。

骨がカタカタ言い出すようなレポート

ベリティ・チャンドラーが次回のハリウッド裏情報は「骨がカタカタ言い出すようなレポート」だと予告しているのも興味深いです。これはネタの対象が「葬儀屋」であることだけでなく、ラストシーンで骨壷を振ったらカタカタと音がしたことへも繋がっています。

サリー・ケラーマンが可愛い

サリー・ケラーマン最初の葬式の喪主でヒューストン夫人役の「サリー・ケラーマン」はとても可愛い役どころ。かなり長身の女優さんなのでしょうね。彼女はとても有名な俳優さんで、テレビ版スタートレック(宇宙大作戦)など数多くの作品で会うことができます。

葬儀屋の秘書役はマクグーハンの長女キャサリン

キャサリン・マクグーハンまた、葬儀屋の秘書役で長女のキャサリン・マクグーハンが出演しています。品のある素敵な女優さんだと思いました。さらに、葬儀場でベリティが遺体(ヒューストン)の頬にキスする場面で、遺体がハッキリ「まばたき」しています。(笑)

初期型のマック

初期型のマック余談ですが、作品中に殺害されたベリティ・チャンドラー(ルー・マクラナハン)が使用していたパソコンは初期型のマックですね。マウスにアップルマークを確認できます。また、電子メールや「.com」などが登場し、時代性を感じさせます。ちなみに「hollywood_heartbeat.com」は存在しません。ドメインに「_」を入れることはできません。

イニシャルS.B.の登場人物

ベリティのメモの解読の過程で候補にあがったイニシャルの中で「スティーブン・ボチコ」は、1話「構想の死角」7話「もう一つの鍵」9話「パイルD-3の壁」10話「黒のエチュード」17話「二つの顔」などを手掛けた脚本家。

サンセット・ブールバード

サンセット・ブールバード

ドロテア・ページの旧邸の位置はピンポイントではなく、サンセット・ブールバードを示しています。それに対しハバランド・プリンス葬儀社はストリートビューで見ると2021年現在「ほぼ当時のまま」のを見ることができます。

デガルモ刑事

デガルモ刑事コロンボ警部を補佐するのはデガルモ刑事[リチャード・リール]で、68話「奪われた旋律」にも出演しています。このように年配の刑事が登場する回は、捜査シーンに落ち着いた雰囲気を感じさせ、けっこう好きです。

監督:パトリック・マクグーハン

脚本:ジェフリー・ハッチャー

エリック・プリンス:パトリック・マクグーハン(声:有川博)
リズ・ヒューストン:サリー・ケラーマン(声:大西多摩恵)
ベリティ・チャンドラー:ルー・マクラナハン(声:此島愛子)
リタ:キャサリン・マクグーハン(声:駒塚由衣)
デガルモ刑事:リチャード・リール

加筆:2023年1月17日

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