39話「黄金のバックル」

Old Fashioned Murder / 1976

美術館の館長ルース・リットンが、大切にしている博物館の売却を企む理事(弟)のエドワード・リットンを、警備員ミルトン・シェイファーとの同時発射の相撃ちに見せかけて殺害します。

ジョイス・ヴァン・パタンが可愛い

ジョイス・ヴァン・パタン女系ファミリーを楽しく描いた作品です。女性らしさを捨てた犯人ルース・リットン[ジョイス・ヴァン・パタン]が、かえって美しく感じられる作品でした。ジョイス・ヴァン・パタンは27話「逆転の構図」にもシスター役として出演しています。

ブログ訪問者さんからの情報

37話「さらば提督」で、シオドア・アルビンスキー刑事を演じた「デニス・デューガン」は、(1973年 – 1987年の間)「ジョイス・ヴァン・パタン」の夫だったそうです。彼は63話「4時02分の銃声」で監督をつとめています!

トリックには疑問が続出

犯行の仕掛けとしては、疑問点が多く残ります。男性二人、弟エドワード(ティム・オコナー) vs 警備員シェイファーで、ほぼ同時に拳銃を発射して相撃ちとなり両者が死にました。シェイファーはその時、兄に電話していて留守電には銃撃音が一発録音されています。現場の電話は、シェイファーが撃たれたので受話器がぶら下がったまま。どう考えても不自然。コンマ数秒発射がずれれば、どちらか生き残るはずだし、2丁の拳銃の音が1音に聴こえるはずがない。

誰が灯を消したんでしょう?

そこを大目に見たとして、「二人が同時に死んだ後、誰が灯を消したんでしょう?」という、コロンボ警部の大疑問は、他の作品と比較しても「かなり明瞭ですっきりした着眼点」です!これは、エドワードの書斎で、誤って灯を消してしまうルースの「倹約癖」のシーンとも連動しています。犯行現場で電話のトリックを忘れずに実行した後に、これで完璧…とばかりに灯を消してしまうのです。

邦題は「黄金のバックル」

ややもすると、全体のストーリーとはあまり深く関係しない証拠品にスポットが当たった邦題。「黄金のバックル」は後半で殺人容疑がかかる姪のジェニーが、このお宝を「灰皿」として扱ったことから容疑が晴れること。そしてこの証拠品は、自分を最も愛してくれたはずの叔母ルースが「自分に罪を着せる」ための小道具であった…というかなり悲しい事実が背景にあり、まぁ納得できる邦題とも思えました。

原題の「Old Fashioned Murder」は「古風な殺人」とでも直訳できそうです。ルースは今回の二重殺人のずっと以前にもう一人殺していたようにほのめかされますが、もしそれが明るみになれば、家族を守ってきた気丈な叔母さまから「父親殺し」へと転落してしまう…。その駆け引きがラストシーンの数分間にありました。

ジェニーは誰が産んだ子であったか…

ジーニー・バーリン壁にかかった絵を見て、ルースが「姉にピーターブラント夫人の座を奪われた」と過去を振り返るシーン。姪のジェニー(ジーニー・バーリン)について…「私が産んだかもしれない娘です」「そう、それで我が子ののように可愛いのでしょう」と語っています。

この「そう」という言い方で、私はジェニーがルースの子ではない…と想像しています。その他には決定的なシーンがありませんので、見る人の想像にお任せします…ということで良いのかな(笑)

過去を暴いて、犯人を落とす作戦

それにしてもコロンボ警部の凄さはこのように「今担当している事件の解決」はもちろん、犯人の過去の秘密をも暴いてしまうことです。そして犯人にほのめかし、犯行を自供させる。これは多くの作品で見られますね。14話「偶像のレクイエム」は過去の秘密そのものがテーマになった作品です。

悲しい物語に、滑稽なキャラクター

セレステ・ホルム逆に姉のフィリス(セレステ・ホルム)は自分を「美しい」と讃えますが、画面には美しさよりむしろ「滑稽さ(気絶・裾踏まれ)」が漂っています。この「裾踏まれ」のギャグは33話「ハッサン・サラーの反逆」でも炸裂しています。

アン・バクスターとセレステ・ホルム

セレステ・ホルムこのセレステ・ホルムは、映画「イヴの総て」で14話「偶像のレクイエム」のアン・バクスターと共演しています。これから約26年前、セレステは33歳です。若き日のアン・バクスターは、輝いています。セレステも気高く描かれています。往年の大女優「ベティ・デイヴィス」にも会えます。ベティは22話「第三の終章」でコロンボ警部が、カミさんと一緒に夜中までテレビ見て寝不足になった人です。

ピーター・S・フェイブルマン

ピーター・S・フェイブルマン警備員のミルトン・シェイファーを演じたのはピーター・S・フェイブルマン。この人は俳優だけでなく、本作の脚本家でもあります。珍しいケースですね。また38話「ルーサン警部の犯罪」でも脚本を手がけています。

ティム・オコナー

ティム・オコナー被害者の一人エドワード・リットンの俳優はティム・オコナーで、17話「二つの顔」では弁護士マイケル・ハザウェイを演じていました。どちらも、なかなか印象に残る演技でした。ただしルースとの会話「ヴィクトル・ユーゴー」「オスカー・ワイルド」のくだりは、劇文学に精通していないと笑えないかも。ちなみに、オスカー・ワイルドは「幸福な王子」、ヴィクトル・ユーゴーは「レ・ミゼラブル」などの著者。

ミラー刑事

ジョン・ミラー一匹狼で捜査を進めることが多かったコロンボだが、エピソードによっては特別な相棒が登場することもあります。今回は「ミラー刑事(ジョン・ミラー)」がその人です。ちょっとクールなイメージが漂うミラー刑事。でも仕事が出来そうなタイプの部下です。

髪をカットしてもらうハメに

髪型が整ったコロンボ警部美容院のオーナーがヘソを曲げそうなったので、髪をカットしてもらうことに。こういった細かいシチュエーションが凄く楽しいですね。髪型が整ったコロンボ警部は初回から数えて38作ぶり。しかしその髪型は徐々に崩れ、後半ジェニーの留置場の場面では、普段以上にボッサボサになっています。

美容院のオーナー「ダリル」

アンソニー・ホランドブログゲストさんからもコメントをいただきました。美容院のダリルは俳優:アンソニー・ホランドで、とてもコミカルなキャラクターですね。そして気になるのが日本語吹き替えの声優「八奈見乗児」さん。アニメを中心に数々の仕事をされています。ざっと挙げますと、巨人の星の伴宙太、もーれつア太郎のココロの親分、タイムボカンのグロッキー などなど。

時計屋の店員も面白い

ゲイリー・クローフォードコロンボが美容院の後に訪れた時計店の店員は、俳優:ゲイリー・クローフォード。この時、ショーケースカウンターの上に置いてある、鏡に映った自分の髪型を確認するコロンボ警部が可愛いです。だから店員はコロンボの髪型を褒めてくれたのです。こういうちょっとしたユーモアが素敵ですね。

リットン博物館

リットン博物館(39a)はL.A.市内の「ドヒニー・マンション(Doheny Mansion)」の一部です。ネットで写真検索すると、黄金のバックルのタイトルバックと同じ建物(39b)だと確認できます。テレビや映画のロケ地として有名なようです。*正式名称:グレース・トーン・マンション(Graystone Mansion)。
リットン博物館ドヒニー・マンション39a39b

リットン博物館のテーマ曲?

YouTube この「リットン博物館のテーマ」と名付けた印象的な曲をパソコン演奏で再現しています。昭和のメロドラマのような主旋律で、親しみが湧きますね。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

リットン博物館

監督:ロバート・ダグラス
脚本:ピーター・S・フェイブルマン

ルース・リットン:ジョイス・ヴァン・パタン(声:加藤道子)
エドワード・リットン:ティム・オコナー(声:加藤和夫)
ミルトン・シェイファー
フィリス・ブランド:セレステ・ホルム(声:堀越節子)
ジェニー・ブランド:ジェーニー・バーリン(声:中島葵)
ミラー刑事:ジョン・ミラー
ダリル美容師:アンソニー・ホランド(声:八奈見乗児
カーター刑事:マイク・ラリー
時計店の店員:ゲイリー・クロフォード(声:伊武雅之

加筆:2021年1月24日

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