1972[第1シーズン 9話]

→エリオット・マーカムの事務所
大胆な死体遺棄計画
原題の「Blueprint for Murder」にはパイルという単語が入っておらず、ぼろんこ風に訳すと「殺人の青写真」といった感じ。邦題「パイルD-3の壁」は一見、殺害のトリックを題名にしてしまっている気がするが、むしろそれよりも最後にコロンボ警部が語った「一度捜査された場所に、遺体を隠そうとした」という、犯人エリオット・マーカムの「恐るべき大胆な死体遺棄計画」が見どころだったのでしょう。
緊張感の漂う掘り起こしシーン
工事現場でパイルを掘り起こすシーンでコロンボ警部が缶コーヒーのようなものを飲み干す場面には、リアルさを感じます。しかし、マーカムの言動から死体遺棄計画を察知したコロンボ警部は、その作戦に乗じた形で一度パイルを掘り起こし、まんまと罠にかかった「演技をしていた」というのです。それを承知でもう一度見てみると面白いです。
→工事現場だと思われる場所
わかりやすい手掛かりが…
今回は、割と分かりやすい「容疑者特定」のヒントもあります。ウィリアムソンシティの一件で、建築家マーカムと出資者ウィリアムソンの仲が抜き差しならぬ状況だった証人が複数存在します。カーラジオの不思議を発見したことは、コロンボ警部ならではの観察眼ですが、殺人(死体遺棄)行為の最中、被害者の車のカーラジオを自分の好きな音楽にチューニングし直すことは不自然で、視聴者にわかりやすくストーリー展開させるために必要だったと想像できます。
無駄だとは思わせないシーン
また、遺体移送中の車が高速道路でパンクし、白バイ警官にトランクを開けられそうになり困る場面は、ラストの解決シーンに向かう中では無意味にも感じますが、犯人の「あとは遺体を捜査後のパイルに埋め直せばすべて終わる…」という、最後の大仕事を前にした心情を描いているのでしょう。
犯人を捕獲するエンディングは見事
ラストシーンは圧巻です。「指輪の爪あと」「白鳥の歌」でも同じ手法です。暗い中で犯人が決定的な行動を起こす最中に、スポットライト(車のヘッドライト)などが突然照射され、獲物を捕らえるというもの。この効果は絶大で、度肝を抜かれた犯人は、潔く観念します。(指輪の爪あとのブリマーは、それでも抵抗しようと試みましたが…)
建築局では待たされたあげく…
建築局で待たされるシーンはとてもユニーク。技術課ではさらに長い行列がでいていて。その果てにお昼休み。少ない台詞で淡々と描かれますが、楽しいです。

ジャニス・ペイジ
被害者ウィリアムソン氏(フォレスト・タッカー)の前妻ゴールディ役のジャニス・ペイジはとても印象に残りました。犯人エリオット・マーカム役のパトリック・オニールは、43作「秒読みの殺人」にもフラナガン役で出演しています。

パメラ・オースティン
若い奥様役はパメラ・オースティン(当時31才)で、ジャニス・ペイジ(当時50才)と比べると確かに若い。それでもペイジは50才にしては若く見えますね。
ジョン・フィネガン
現場監督のカール(赤いヘルメット)はジョン・フィネガンで、ダフィー警部や新シリーズの「バーニーの店」オーナーなども演じる名脇役です。
エリオット・マーカムが聴いていたクラシック音楽
マーカムの事務所で血染めの帽子について思案する場面では、ブラームスのピアノ協奏曲第2番を聴いていました。特に第2楽章が印象的。その他、モーツァルトのピアノ四重奏曲第1番-第1楽章、ベートーベンの弦楽四重奏曲第1番-第1楽章も使用されているらしいです。これらは今後確認します。
脚本:スティーブン・ボチコ
エリオット・マーカム:パトリック・オニール
ウィリアムソン:フォレスト・タッカー
前妻ゴールディ:ジャニス・ペイジ
妻ジェニファー:パメラ・オースティン
カール:ジョン・フィネガン
加筆:2015年3月9日
前作、前々作のちょっと幼稚なところのある大人げない犯人から、洗練、落ち着いた、社会的成功者に犯人が戻りました。ピーターフォーク監督作品、暑そうな工事現場で掘り返し作業を何気なく不安げに見守る場面が、印象的です。コロンボの一世一代の博打が成功したというわけでしょうか。TomokoさんがおっしゃってたMikoさんの日本語はほんとぎこちなくて、全然日本人ではありませんので、これは??でした。プロットとして腑に落ちないのは、なぜウィリアムソン氏の牧場の倉庫に何日も死体が置かれてたのか?牧場関係者が見つけそうなもので安全じゃないし、そもそも氏が生前自分の馬の調子を見に来て調教師と話ししているのは調べれば分かるので、警察がその周辺を徹底調査しそうなものです。
自分勝手な4段階評価では、この話はA.B.C.D のうちCかDくらいなんだけど、犯人の事務所の秘書(べティ.アッカーマン)と工事現場のガードマン(名前知らない)を演じた二人が、あの懐かしの「ベン.ケーシー」で、麻酔医のグレアム先生と介護人のニックを演じていた俳優というのが話の筋以上に楽しめました。「ケーシー」といえば、32話「忘れられたスター」での殺され役のサム.ジャッフェ(前述のべティ.アッカーマンの旦那)も、ゾーバ先生役で毎回お馴染みの顔。声は名脇役宮口精二でした。ケーシー先生の声は滝田裕介。17話の「二つの顔」の犯人の声を勤めた舞台人。昭和30年代の吹替え(声優なんていいません)は、今考えると夢のような豪華陣でしたね。おっと、だんだんコロンボからそれてきたのは「パイルD3の壁」があんまり面白くないからか…..。
お詳しいです!貴重な情報ありがとうございました。
個人的には、マーカムのキャラクターもいいと思いますし、ゴールディのキャラ、コロンボとの相性がとても好きです。
役所で待たされるシーンは、背景で流されている雑音によって、長くぼんやりした時間が上手く表現されていると思いました。
マーカムが白バイに冷やりとする場面も、筋としては無くていいはずなのに、何故かあったほうがいいように思え、不思議でした。
コロンボが干しぶどうをつまんでいるのもおもしろかったです。
ただ、個人的には犯人逮捕後、コロンボが問わず語りをしすぎるのが嫌でした。これは確か「愛情の計算」でも同じでした。
なぜ工事現場に現れるとわかったか、なぜわざわざパイルを掘り返したかという点は説明しなければならないのでわかりますが、遺体をどこに隠していたか聞いたり(実際問題として考えれば理解できますが…)、音楽の話をぶり返したり、マーカムが車に乗ってからも不必要にガッついて喋っており、カッコよさが半減している気が…。
「指輪の爪あと」で少年時代のイタズラの話をし、排気口にジャガイモをつめて車を修理に出させるように仕向けたことを「暗に示す」演出のほうが個人的には好きでした。
なるほど、なるほど、と繰り返し読ませて頂いております。ありがとうございます。
カーステは牧場から空港に車を走らせている時、その後の計画を色々集中して考える為、ついついクラシックチャンネルに合わせてしまったと私は考察しました。(長い間練った殺人計画では無いので)
ところで、ゴールディがマッサージの後ガウンに着替えるシーンで、ガウンの帯結びのNGあるの知ってますか?この手の推理ドラマってNGなんて許され無いように思いますが、案外チェック甘いんですねぇ。
ガウンの帯結びをやり直していますかね?
南さん>初めまして!お褒めいただき、嬉しいです。刑事コロンボの周辺作品・関連作品などの情報、ありがとうございます。私はまだまだ勉強不足で、話にツッコミできませんが。いつかそのあたりも見たいです!
追伸です。R.レヴィンソン&W.リンクの「殺しのリハーサル」もいいですねえ。何とレンタルであって。それと、大昔、たまたま観たんですが「謎の完全殺人(元は 殺しの演出者)」が見つかりませんねえ・・。キャサリン.ロスが出てるのは覚えてるんですが、相当、良かった記憶です・手帳にも残ってますもの。どなたかブログで書いてますけど、手に入るまで見ないようにしてます。ハハ。御存知なら教えてください。旧VHS、ベータ版でもいいんですが・・。
ついでですが・・。
高校の頃にNHKで観た「コロネットブルーの謎」ってのがあって、これも観たいのです。だいぶ以前、BSであったみたいですね。
素晴らしいブログ!。先日、再放送が終わり、観届けたとこでした。日本で一番、詳しく楽しいまとめですね。脱帽です。ありがとうございます。それにしても相当、時間を費やしてやりましたね。前半が良いと言う大方の見方でしょうけどね、それはバックの音楽やら映像のせいでしょうね。まあ種が尽きたこともかな。マクベインののを使ったり。マクグーハンはいいですねえ。NO。6の。では。
ウィリアムソンが壊した都市の模型は、惜しむにはちゃっちい過ぎ。
コロンボは、ゴールディの言葉によって動き出す。
コロンボは、こういう身内の第一声を大事にする傾向がある。
つまり、長年人生を共にしている者のファーストインプを尊重するのだ。
例えば「白鳥の歌」においては、エドナ夫人の弟の第一声を大事にして動き
出した。その割には「別れのワイン」においては、リックの恋人の第一声は、
ほぼ無視された。まあ、リックの恋人の場合は、付き合いも短いし警察内部
のルールの方を尊重した。ルールは日々破られているという「影なき殺人者」
クライトン弁護士の言葉も、そういう意味では味わいがある。
単に個々のドラマの設定の違いによるものだが、そうと分かっていても、
こうやってドラマに横串を刺して、整合性や一貫性を見てみるのもおもしろい。
血染めの古い帽子。ゴールディは、自分のフクラハギを切ってウィリアムソン
の古い帽子になすり付け、事件を偽装した。愚かなことだ。「死者の身代金」
ではマーガレットも似たような事をしでかして、コロンボに忠告されている。
コロンボは犯人との「ほのめかし」合戦をしていた。
コロンボは、いつものように、細かな状況証拠や矛盾点を積み上げていって、
犯人へ犯行のあったことをほのめかす。その中で、犯人だと確信する幾つか
の言動を感じ取って確信へと深めていった。一方、犯人は、自然体のつもり
でパイルに遺体が埋められているかのようなサブリミナル効果を発する。
極論すれば「意識の下の映像」にも通じるが、この場合は、無意識ではなく、
非常に意識的・意図的だ。作為に満ちている。
これは、コロンボにパイルを掘り返させようとする高等テクニックだ。
コロンボとしては、言うように、調子を合わせた。
「殺人講義」でいうところの”展開待機モード”になっていた。
最後は「だまされたコロンボ」と同じで、いわば”2度目の正直”でしょう。
ライトに照らされた時のBGMは、名作「指輪の爪あと」と同じでした。
コレしかないという感じです。
せっかくだから、ゴールディも呼べば良かったね。
かなりハイリスクなトリックです。先にあの場所を捜索されれば即計画は失敗してしまいますよね。成功すれば永遠に捕まらないのも確かなので、一か八かのギャンブル的犯行ともいえますが。
とはいえ、発想が大胆で面白くとても魅力的なエピソードであるのは間違いありません。スポットライトが犯人に向けられ、颯爽と登場するコロンボは恰好良すぎです。
余談ですが、このエピソードを観て古畑任三郎の「その男、多忙につき」を思い出しました。野心家でインテリな犯人が、自分の夢への出資を拒んだ人物を殺害する、という点が共通しています。真田広之さんのスマートな演技が印象的です。
矛盾があり根拠に乏しいですね。
別れのワインの時には「死体が出ないと動けない」と言っていたのに
これでは、死体が無い段階からビシバシ動いています。
ゴールディの言葉が、そんなに信頼できるものだったのでしょうか?。
それにしてもゴールディは中盤で、事件としてでっち上げようとしていますよ。
引っかけの為にパイルD-3を掘り返したというのは、まあ良かった。
終盤のパンクは、何のために必要なんだろうか?。ドラマの時間稼ぎかな?。
全体的にシックリ来ない感じがする。
この作品、今回見直して再評価しようと思っています!
再放送に合わせてこちらも見ています。
今回改めて見て思ったのは、コロンボがレーズン食べたりコーヒー飲んだりと葉巻以外のものを口にしてるということでした。健康に気をつけなきゃというエピソードがあったからですが、なんか口にしてないと落ち着かない性分なのかもと思いました。
hayaumepapaさん>「コロンボが失敗したと思い、悲しくなって見るのをやめて寝てしまった」のですね、可愛いです。
タップおばさん>殺害描写ですよね!珍しい作品です。
私は何十年前に見たんでしょうか。
当時は子供でした。
パイルが破壊されても何も出てこなかったシーンまで見たけど、
コロンボが失敗したと思い、悲しくなって見るのをやめて
寝てしまったことを覚えています。
殺害描写がない。
建設現場を掘り起こす。
ユニークでダイナミックなエピソードですが、
いかんせん犯人が地味。
何かもったいないですね。
やじろべいさん>コメントありがとうございます。「こわれゆく女」は未だ見ていませんが、いつか見てみたいです!
美人女優は、妻ジェニファー役のパメラ・オースティンさんでしょうか?エリオット・マーカムとテニスを楽しむシーンでしょうね、きっと。
この作品はだいぶ前に見て、犯人が最後ライトに照らされるシーンだけ覚えていました。
しばら~くぶりに見て、ストーリーを確認しました。
ストーリーは分かりやすく展開されていると思います。音楽の嗜好性にコロンボが着目するあたり、コロンボの推理が分かりやすく描写されていると思いました。
また、この作品はピーターフォーク自身が監督していると、こちらのブログで知った次第。『こわれゆく女』というピーターフォークの若い頃の作品にも、この作品にも工事現場で汗水流す作業員達が描写されています。こういう所は、やはりピーターフォークは心配りの人ですね。
加えて、美人女優のスラ~っと細く長い足が心地よかった~(^○^)
なおさん、コメントありがとうございます。離婚したから、また仲良くなれたって気持ちもわかります。
森山薫子さん、コメントありがとうございます。お返事が滞ってしまい、もうしわけありません〜〜〜〜。Mikoの台詞の解説、ありがとございます〜。こうしてもう一度本編を見直したい願望が増えますね〜〜。
「ドガの2枚の絵」もそうだが、別れた妻との関係が離婚したとは思えないくらい、良好な気がして、何で離婚したんだよと突っ込まずにはいられない。
コロンボシリーズ旧作すべて踏破しました。Tomokoさんとぼろんこさんの間に割り込んで申し訳ありませんが、当該箇所について書きますね。Mikoの台詞の日本語は次のようになってます。「大事なお話があるのにお邪魔しました。うちの奥さんのこと、よろしくお願いします。刑事さん、とてもいい方です。失礼します」。それに対してコロンボの日本語版は英語にないことを言っていますね。コロンボは英語では「彼女の言っていることはわからないけど、どうやらアタシに好感をもっているようですね」と喜んでいます。
それにしても皆さん、小学生の段階でコロンボに魅せられているのですね。子供の心まで鷲掴みにしたコロンボの力って凄いです(私は高校生でした)。
Tomokoさま、コメントありがとうございます。「小学生の時にみていて、案外全然覚えていない」に同感です(笑)日本人の女性の台詞は、次回見返した時にチェックしてみます(笑)この他にも、いろいろ日本人が登場しますよね!
こんにちは。
はじめまして。私はオーストラリアに住んでいて週末に再放送されるコロンボをみています。
私も小学生の時にみていて大好きでした。
が、案外全然覚えていないものでびっくりしています。
このお話でゴールディが登場したとき、日本人女性からマッサージを受けていたのですが、この人、Miko?の日本語がすんごい変です。「どうぞよろしくコロンボさん。あなたは素敵です。あのね、私あなた好きです。あのね、ではさよなら」というたどたどしい日本語です。
日本語の吹き替えだとどうなってるんでしょうか?
きちんとした日本語に変わってるのでしょうか?
ご存知でしたら教えてください。
英語で全部わかるわけではないのでこのサイトを読ませていただき理解を深めております。ありがとうございます!