62話「恋に落ちたコロンボ」

It’s All In The Game / 1993

大金持ちの美女ローレン・ステイトン(フェイ・ダナウェイ)が婚約者ニックを殺害。かつては異色作と評しましたが、美しい作品だと感じます名作。「忘れられたスター」にも通じるような気がしてきます。

やはりフェイ・ダナウェイは魅力的

フェイ・ダナウェイ犯人役のフェイ・ダナウェイは、素晴らしいですね~。美しいです。美女という観点ではなくとも、魅力に満ちあふれています。自分がコロンボになったつもりで彼女に惚れてしまえば、二倍楽しめるでしょう。彼女が初めてコロンボ警部の目に留まるシーン。「水色の部屋とマットレス、そこにすっと座っている。」この構図は、まるで絵画。地味な衣装も似合います。その他あらゆるシーンの彼女のファッションが素敵です。

映画「俺たちに明日はない」

フェイ・ダナウェイフェイ・ダナウェイといえば私はやはり1967年の映画「俺たちに明日はない(Bonnie and Clyde)」が好きです。ウォーレン・ベイティ「クライド・バロウ」のパートナー「ボニー・パーカー」を演じています。この映画を見たことがない方には是非お薦めしたいです。この時彼女は26歳でした(刑事コロンボの出演は52歳)

映画「タワーリング・インフェルノ」

フェイ・ダナウェイ日本公開1975年の映画「タワーリング・インフェルノ」に、スーザン・フランクリン(ニューマンの婚約者)としてフェイ・ダナウェイが出演しています。この映画にはコロンボ縁の俳優さんが四人出ています。

通常のコロンボ作風ではないが‥

刑事コロンボは毎回ゲストスターが犯人役なのですが、これほどの大スターは居なかったと思います。しかしこの回の主題がコロンボのほろ苦い恋物語であるため、本来のコロンボ作品のような楽しみ方は困難。ブロンディな母と、黒髪でラテン系な娘という似ても似つかない母娘関係も楽しんで見て欲しいです。

警部のほのめかしを逸らすローレン

まず頭痛薬の件、ほのめかしが効いています。随所にコロンボ警部の着眼点が光ります。その推理をことごとく肩透かしするローレン。それが女性目線で描かれていて素敵です。

バーニーの店

ジョン・フィネガンバーニーの店のオーナー「ジョン・フィネガン」が登場。かつてダフィー警部としてロス警察で活躍していただけあって、推理もピカイチ(笑)
→バーニーの店「BARNEY’S BEANERY」

恋に落ちた二人の…実年齢。

フェイ・ダナウェイは1941年生まれのハリウッド女優。本作品新・刑事コロンボ「恋に落ちたコロンボ」が1993年の制作ですので、撮影当時で52歳だったと思われます。一方のピーター・フォークは1927年生まれで、66歳。

ニックはゲス野郎か?

ニックの口から出る歯が浮きそうな褒め言葉は、とても本心だとは思えません。その反面独裁者のような威圧感も持っている。時には病的に描かれることもあります。このような男を好きになってしまい…裏切られ殺してしまう。とても愚かなことだと感じます。

コロンボが人間観察される

その愚かさに気づかされ傷つく母娘。そして犯罪捜査に訪れたコロンボ警部に出会います。今回は女性の目線で警部を人間観察するような面白い展開になっています。コロンボの誠実さに触れるローレンは「ニックよりもコロンボを好きになればよかった。」なんて表情に見える時もあります。

想像力を膨らましてみる

ローレン・ステイトンがなぜ大金持ちなのかの背景が描かれていませんが、何となく…彼女自身が築いた富だとは思えません。資産家と結婚したというより、むしろ代々の金持ちだと思われる。目鼻立ちが似ていないから娘のリタはきっと父親(マーチン氏)似なのだろう。ローレンとマーチン氏は随分前に何らかの理由で離婚して(死別ではない)ローレンは現在独身。マーチン氏はイタリアに住んでいるのかも。その関係でリタもイタリア在住。(加筆:2017年12月23日すべて想像です)

ちょいと、雑談。

冒頭のシーンでは噴水が逆流しています。またトイレで口紅を拭う場面で「ピーターフォークも歳をとったな~」って感じたんですけど、良く見ると鏡の上の方が曇っていて、それがより一層彼を「しらが頭」に見せているだけでした。

どうでもよいシーンですが、犯行現場で掃除婦と「ON・OFF」ごっこをする場面は楽しい。お馴染みのバーニーのお店で犯人と食事をする場面も。
原題の「It’s All In The Game」は「それはすべて遊びの中で」とでも訳すのでしょうか。同名の楽曲が存在します。「恋に落ちたコロンボ」と名付けてしまうよりは良かった気がしますが…。いずれにしても、コロンボ風の題名ではないですよね。

エド・マクレディ

エド・マクレディ26話「自縛の紐」のトライコン工業のエレベーターの警備員を演じた「エド・マクレディ」が刑事役で再登場しています。初期捜査の際に「近くの住人が銃声を聞いた」と伝える刑事です。

ローレン・ステイトンの豪邸

ネット検索ではローレン・ステイトン邸は、マリブの山中あたり住んでいたとあります。この辺りは頻繁に山火事が起こるそう。

ローレン・ステイトン邸

監督:ヴィンセント・マケヴィティ
脚本:ピーター・フォーク

ローレン・ステイトン:フェイ・ダナウェイ(声:高畑淳子)
リサ・マーチン:クラウディア・クリスチャン(声:佐々木優子)
ニック・フランコ:マーマンド・プッチ(声:大塚芳忠)
バーニー:ジョン・フィネガン
刑事:エド・マクレディ

加筆:2022年8月14日

65話「奇妙な助っ人」

Strange Bedfellows / 1995

マクベイ役のジョージ・ウェントが可愛い

ジョージ・ウェント牧場経営者マクベイが弟のテディを殺害。マクベイ役のジョージ・ウェントは、なかなかの存在感を見せました。大柄な体格が目につきますが、実は臆病そうでマフィアのボスに暴言を吐き付ける度胸もあったりして、とても可愛く描かれています。

また、レストランのオーナーであるロマーノを犯人に仕立てて殺害した後、「今、殺されそうになった」と警察に通報する時の顔が絶妙ですね。それにしてもマクベイさんは「スコッチ&ソーダでソーダ少なめ」を懲りずに連発するところは可愛いです。

残念な展開…でも、それが主題

「奇妙な助っ人」の邦題のごとく協力者を得て事件を解決しますが、こんな展開はこれが最初で最後。オチが「マフィアに殺されるよりも、殺人犯で刑務所に入った方がマシ」ということですが、33話「ハッサン・サラーの反逆」のイメージがちらつきましたね。さらに残念なのが、多少の暴力シーンがあり、コロンボ警部も殴られました。

捨て難い面も…

カリフォルニア尾長ネズミの話や、犯人を徐々に追い込んで行く駆け引きなど、意外と悪くない要素も多いことに気付きました。

みなさん同じビルでお仕事?

ビルマクベイが種馬の契約をするビルは、66話「殺意の斬れ味」で、キンズレーとキャサリンが挨拶をするビルと同じです!。さらに後日発見しましたが、48話の「幻の娼婦」ですでにこのビルが登場していました。

ブリンドル刑事って?

ブリンドル刑事今回ブルース・カービーは役柄ではほぼクレーマー刑事なのに、なぜか「フィル・ブリンドル刑事」として出演しています。これは「グローバー刑事=バーノン刑事」よりも深い意図を感じます。

エド・マクレディ

エド・マクレディ26話「自縛の紐」のトライコン工業のエレベーターの警備員を演じた「エド・マクレディ」がバーでネズミに驚いた女性を助ける男性客役で再登場しています。
マクベイの牧場

マクベイ牧場

マクベイの牧場は、LA北西部のサウザンド・オークス近くにあります。この辺りは牧場や農場が多くあり、27話「逆転の構図」で「ガレスコ夫人が誘拐された農家」、9話「パイルD-3の壁」のウィリアムソンの牧場もこの付近です。

監督:ヴィンセント・マケヴィティ
脚本:ローレンス・ヴァイル

グラハム・マクベイ:ジョージ・ウェント(声:樋浦勉)
テディ・マクベイ:ジェフ・イエーガー(声:井上倫宏)
ビンチェンンゾ・フォテーリ:ロッド・スタイガー(声:内田稔)
バーニー:ジョン・フィネガン
ブリンドル刑事:ブルース・カービー
婦人を助ける男性:エド・マクレディ

加筆:2021年7月18日
 

66話「殺意の斬れ味」

A Trace of Murder / 1997

キャサリンと愛人パトリックは、夫クリフォードに殺人の罪をきせるために第三者(セルツァー)を殺害するという話。

「クリフォード・カルバート」は強烈

バリー・コービンまず投資家クリフォード・カルバート(バリー・コービン)のキャラが強烈。日本語吹き替えは内海賢二さん(Dr.スランプアラレちゃん:のり巻千兵衛)で、イメージぴったり。

頂点に達したシェラ・デニス

シェラ・デニスそして共犯のキャサリン・カルバートは、かのシェラ・デニス(シーラ・ダニーズ)。皆さんご存知とは思いますが‥念押しで書いておきます。彼女はピーターフォークのリアルカミさんです。

真面目に生きてりゃ良かったのにね

キンズレーが殺人を犯す動機は、私には理解できません。キャサリンをどれほど愛していたか?というのが大きな疑問ですし、クリフォードが仮に逮捕された後、キャサリンとの仲をどのように維持しようと目論んだのでしょう?大人しく警察官としての人生を全うすべきでした。この事件以外には、全く汚点がなかったのでしょうから。

強引な偽証拠

決め手となるのはむしろ「猫の毛」じゃないでしょうかね?背中にあれほどの猫の毛が着くということも、あり得ないことだと思います。もしもそのような状況になったとしても、細心の注意を払って猫の毛を取り除くでしょうね。葉巻の切れ端を現場に残すなど、もっての他ですね。その反面、犯行現場とコンビニの位置関係の話は面白いです。

バーニーのお店ですが…

重要なシーンで使用されたバーニーのお店ですが、62話「恋に落ちたコロンボ」の時と全然別のお店に見えますね。65話「奇妙な助っ人」では全く雰囲気の異なる「明るい雰囲気の」店でした。
→バーニーの店「BARNEY’S BEANERY」

これも珍しい、コロンボ警部の事件解説

事件解決の場面は面白かったというか、痛快でしたが、最後の解説シーン(バーニーのお店)は必要だったでしょうか?路上シーンの延長で十分表現できた気がします。

女性弁護士トレーシー・ローズはドナ・ブロック

ドナ・ブロック捜査の過程で登場する被害者セルツァーの女性弁護士はトレーシー・ローズと名付けられていますが、深い意味があるのか?疑問。演じたのは「ドナ・ブロック」で、とても美しく魅力的な女性弁護士でしたね。このドナ・ブロックは映画「エアフォース・ワン」にも出演しており、共演者には「ディーン・ストックウェル」もいます。

何度か見直しているうちに気付きました

ビルクリフォードの要望で弁護士を通すことになり、コロンボ・弁護士・クリフォード同席の場で、キンズレーとキャサリンが挨拶をするビル(建物)は、その前の回の「奇妙な助っ人」で牧場経営者マクベイが種馬の契約をするビルと同じです!

 
奇妙な助っ人が1995年の放送に対し、殺意の斬れ味は1997年。ビルを撮影したアングルもそっくりで、同じ日に撮影したものを使い回していると考えられます。→その後の発見で48話「幻の娼婦」(1989年)ですでに登場していること判明しました。6年前のフィルムを流用したかどうかまでは、分かりません。
 

パトリック・キンズレー

デビッド・ラッシュ実行犯のパトリック・キンズレー(デビッド・ラッシュ)は何とロス警察の科学捜査班。そして日本語吹き替えは船越英一郎さん。とても有名な俳優さんの声なのに、気付かなかった人もいたのでは?この船越英一郎さんは大のコロンボ・ファンとしても知られます。

  

高級住宅街に住むセルツァー

レイ・バークちょっと無慈悲なシナリオで‥殺されたセルツァーは、可哀想すぎます。このセルツァーを演じるのは俳優レイ・バークです。セルツァーは高級住宅街「ベル・エア」に住んでいるそうです、そうそう25話「権力の墓穴」のハルプリン次長の。それに結婚式が催されたのは「マリーナ・デル・レイ」付近で、これは「キャシーグッドウィン」や「マーク・コリアー」のヨットハーバー近く。ベル・エアは北、デル・レイは南方面というのも、ポイントになっています。

監督はヴィンセント・マケヴィティ

特に有名な監督だということもなさそうですが、このヴィンセント・マケヴィティ氏は、53話「かみさんよ、安らかに」を皮切りに、59話「大当たりの死」、61話「死者のギャンブル」、62話「恋に落ちたコロンボ」、65話「奇妙な助っ人」、そして本作66話「殺意の斬れ味」と、引っ張りだこ。

監督:ヴィンセント・マケヴィティ
脚本:チャールス・キッズ
パトリック・キンズレー:デヴィッド・ラッシュ(声:船越英一郎)
キャサリン・カルバート:シェラ・デニス(シーラ・ダニーズ)(声:藤田淑子)
バーニー:ジョン・フィネガン
クリフォード・カルバート:バリー・コービン(声:内海賢二)
ハワード・セルツァー:レイ・バーク(声:小室正幸)

加筆:2022年8月14日