10話「黒のエチュード」

Etude in Black / 1972

2つのバージョンについて

この黒のエチュードには、75分と96分[96mv]の2バージョンが存在します。[96mv]と記載のある箇所は、75分版にはなかったシーンです。詳しくはゲストさんがこの2つを比較検証されたコメントもありますので、お読みください。
75分と96分バージョンの違いについて

オーケストラの指揮者を演じたジョン・カサヴェテス

ジョン・カサヴェテスオーケストラの指揮者アレックス・ベネディクト(ジョン・カサヴェテス)が愛人のピアニスト、ジェニファー・ウェルズを殺害。俳優カサヴェテスは、ピーターフォークの親友ですが、インディペンデント映画の製作・監督としても有名です。

ベネディクトはイタリア系

以前本記事で「ベネディクトはイタリア系」であると断言していましたが、その後自信がなくなり一旦削除しました。2020年に久々に見返しましたら、ラストシーンで「チャオ」って言っていますね。だからイタリア系で良いのだと思います。本編でも(コロンボ警部と同じ)イタリア系について触れたらよかったのにと思います。

完全犯罪とはほど遠い凡ミス

ジェニファーから離婚を迫られていたことが動機。ベネディクトはジェニファーの死を自殺に見せかけますが、現場で証拠品の「花」を落としてしまうという、推理作品で最低のミスを犯し、それが決め手となり逮捕されます。しかも、それを映像手法上で分かりやすく見せていて、最も重要なシーンを見逃させない工夫が施されています。おそらくこの作品、「決め手」を分かりやすく設定したことで、ドラマの側面を引き出しているのではないでしょうか。

サングラスに花が映るシーン [96mv]

ジョン・カサヴェテス現場検証の最中のジェニファー宅にベネディクトが現れたとき、彼のサングラスに花が映るのは大胆な演出です。花を落としたことに気づいたサインですね。4話「指輪の爪あと」のブリマーのアイデアと似ています。

一流の芸術家は色を好む?

芸術の世界で成功を収めているが、それに満足できず全てを失うリスクを知りつつ浮気に走るベネディクト。仕事での成功も、権力者の娘と結婚したことで得たもので、純粋な成功とは言い難い。ベートーヴェンやブラームスが色を好んだエピソードを楽しそうに語りますが事実はそれ程とも思えず、彼は「自分が色を好んでいる」ことを暗に肯定しているようにも見えます。ベートーヴェンは確かに女性を好んだようです。ブラームスはもう少し堅物な印象。両者とも生涯独身を通していて、ベネディクトのような既婚者の浮気性とは結びつきません。

一見、潔く逮捕されたように映るが‥

「ラストは潔い犯人」という意見も多くいただきますが、私はその反対の印象も持ちました。有罪を認めながらも妻ジャニスに「証言の時には、僕が愛していたことを思い出して」と、囁いています。夫が愛人を殺害した‥というショッキングな事実を突きつけられた直後に、その夫が裏切った妻に「裁判で自分に有利に働く証言」を求めているのです。その後の「チャオ!」までの言葉は確かに、潔く聞こえますが。最後にコロンボ警部が「フランク、もう一度回してよ。今のコンサート」という言葉で画面は止まりますが、後味の悪さを拭い去りたいような気分もしました。

なおこの「証言の時には、僕が愛していたことを思い出して」というセリフは英語版には無いとの情報をいただきました。ですので本来の作品は、日本語版より綺麗なエンディングだったのだと思われます。(加筆:2021年12月7日)

被害者について語る刑事 [96mv]

ヘンリー・ベックマンジェニファー宅の捜査で最初、彼女の死について自殺とか、青い瞳とか、ナチュラル・ブロンドとか語り合う刑事は俳優ヘンリー・ベックマン。この特徴ってジェニファーよりむしろ妻ジャニスに似てますね。さてこの場面は96分バージョンで付け足されたものだそうです。それを知れば、あまり意味のないシーンだとも思えますね。

後任の刑事?は、マイラー刑事

ルー・ノヴァ最初の刑事(ヘンリー・ベックマン)が画面から消えた後は、突然、このマイラー刑事(ルー・ノヴァ)が画面に登場。恰幅の良い人で存在感を出しています。この2つの場面を見ますとやはり、別の日に撮影したシーンをくっつけた感じです。

美人ピアニスト、ジェニファー・ウェルズ

アンジャネット・カマー既婚者のアレックスに結婚を迫り、殺害されてしまう愛人ジェニファー(アンジャネット・カマー)。コロンボは彼女を「美人で若さと才能にあふれる女性」と賞しています。眉毛の細さが際立ってます。ブロンドというより、ブルネットまたはブラウン系の髪に見えたけど。

ジェニファー・ウェルズが最初に弾いていたピアノ曲

YouTube「ピアノ練習曲(エチュード)」ピアニストのジェニファー・ウェルズが夜のコンサートの指慣らしに弾いていたピアノ曲をパソコン演奏で再現しました。音楽もお好きな方は、こちらもご覧ください。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

ブログ・コメンテーターさんからの情報でこの曲は「バッハ Bach:平均律第1巻第15番ト長調 BWV860」であると判明しました。またこの曲は「練習曲(エチュード)ではない」と書いておりましたが、「練習曲」として分類されることが多いそうです。大変失礼いたしました。(加筆訂正:2021年11月26日)

ジェニファーが死ぬ直前に弾いたもう一つのピアノ曲

アレックスのリクエストでジェニファーが死ぬ直前に弾いた‥最後の曲「ショパン練習曲作品25-1(エオリアン・ハープ)」。10年以上ブログを書いていて、これを見逃していたのは本当に罪深いです…。今反省しながら所有している音源ポリーニの1972年の演奏を聴いています。(加筆:2021年11月25日)

妻ジャニス役ブライス・ダナーが印象的

ブライス・ダナー妻のジャニス(ブライス・ダナー)は美しく見えました。アメリカ人離れした容姿と気品が出ています。そして彼女が要所で見せた表情は抜群でした。しかし、ベネディクトは愛人ジェニファーに惹かれます。それには「彼が才能を美と感じる」芸術家独特の視点があったからでしょう。妻のジャニスはそれを見抜いていました。

娘はオスカー女優「グウィネス・パルトロー」。

ブライス・ダナーの長女は女優「グウィネス・パルトロー」。私はあまり馴染みがないのですが、今ではむしろグウィネスの方が広く知られているのかもしれません。Wikipediaを見ますと私生活などに多くの有名人が登場し、華やかというか…びっくりします。グウィネス・パルトロー主演の映画「恋におちたシェイクスピア」を観ました。さすがに美しく、輝きを放っていました。この作品で彼女は「アカデミー主演女優賞」など多数の受賞をしました。(加筆:2023年6月24日)

ジャニスとカレンがお揃い

ジュリー・ハリスこの妻ジャニスが後半のハリウッド・ボウルでのリハーサル風景〜ラストで着ていた服は、何と19話「別れのワイン」の機中でカレン・フィールディングが着ていたものと酷似(ハッキリ言って同じ!)。(ゲストコメンテーターさん情報)→ジャニスとカレンがお揃い

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」の第4楽章

冒頭のベネディクト邸内やがコンサートで彼が指揮する交響曲は、ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」の第4楽章。この交響曲はベートーヴェンが唯一自分で「田園」と名付けた標題音楽的作品で、第4楽章は激しい雷雨・嵐の様子を表現しています。
→ 劇中で使われた印象的なクラシック音楽

モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」第4楽章

もう1曲はモーツァルトのセレナーデ「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第4楽章。この2曲の演奏会であればかなり「ベタ」な演奏曲目ですが、本作ではともに「最もポピュラーな楽章」ではない楽章を採用していて、興味深いです。ちなみに両曲とも「第1楽章が最も有名」。

ピアニストが活躍する曲は?何だったのか…

ピアニストのジェニファー・ウェルズがドタキャンした…コンサートの本来の演奏予定曲目を大胆予想してみました。お遊び的な予想ですので、間違いかもしれません。
ベートーヴェン ピアノ協奏曲 第5番「皇帝」
根拠はジェニファーが来れなくなった時ベネディクトは、「ベートーヴェンなら稽古済みだ(ベートーヴェンをピアノ無しの曲に差し替える)」と言っていること。そしてこの日のコンサートは「ベネディクト指揮 若者のための週末コンサート」であったこと。ベートーヴェンの有名なピアノ曲といえば「皇帝」でしょうね。

野外音楽ホール:ハリウッドボウルが舞台

犯人の職業がオーケストラの指揮者ということで、映像が華やかですね。そしてドラマの舞台がハリウッドボウルという美しい野外音楽ホールを中心に展開していること。このシチュエーションのパワーは大きいと思います。
→ハリウッドボウルの場所(PC)

コロンボ警部が演奏していた曲

コンサート会場で独りピアノを演奏していたコロンボ警部はベネディクトから「チョップスティック(曲名)は何十年ぶりに見た」と言われました。素人でも両手の人差し指だけで演奏できるのを、少し馬鹿にされた感じでした。チョップスティックとは「お箸(はし)」で、まるでお箸で弾いているような曲という意味です。

その後で、タイプライターの矛盾の指摘から始まり、修理に出した車の走行距離が15km増えた件に触れ、正式に他殺(殺し)事件として担当することになったと、切り返したのはスカッとしました。この話の流れだと警察は完全に「犯人=ベネディクト」と決めつけている感じですよね。

全編に流れる素敵な音楽

クラシック音楽を扱ったエピソードで、BGMもピアノ中心のクラシカルな曲でした。この「黒のエチュード」からスタートした「第2シーズン」。音楽監督を「ハル・ムーニー」が担当することになり、雰囲気が変わりました。私は大好きです。
→第2~第3シーズンの作品で使われるピアノBGM

第2~第3シーズンの不思議なピアノ曲

YouTube「不思議なピアノ曲」刑事コロンボの第2~第3シーズン「黒のエチュード」「偶像のレクイエム」「絶たれた音」「毒のある花」などで多用された「不思議な雰囲気を持ったピアノ曲」を再現しています。音楽もお好きな方は、こちらもご覧ください。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

あのビートルズもコンサートを行ったハリウッドボウル

そのシーンもハリウッドボウルで撮影されていますが、このハリウッドボウルは私の大好きなビートルズ(イギリスのロックバンド)が1964年と1965年にライブコンサートをしていて、その様子は「The Beatles At The Hollywood Bowl」として当時ビートルズ唯一の公式ライブアルバムとして発表されています。

トランペットのポール・リフキン

ジェームズ・オルソントランペット奏者で南カリフォルニア交響楽団の楽団員ポール・リフキンは「ジェームズ・オルソン」。ジェニファーに振られたり、あらぬ容疑をかけられたり、理事長から睨まれたり、散々でした。2021年の加筆で初登場ですが、実は前から大好きなキャラでした。

LAのジャズの店と、ロンドンの蝋人形館が同一!

10話「黒のエチュード」で容疑をかけられるポールが演奏するLAのジャズの店と、13話「ロンドンの傘」の蝋人形館は同じ場所です。大胆な演出ですよね!(ブログゲストさんの発見でした)

LAのジャズの店ロンドンの蝋人形館1013

ベンソン獣医

マイケル・フォックス愛犬ドッグを診察するベンソン獣医は俳優マイケル・フォックス。この人は初期の刑事コロンボ作品で、愛すべきキャラクターの一人であることを、誰もが認めるでしょう。

パット・モリタ [96mv]

パット・モリタベネディクト家の使用人を演じたのは、12年後に映画「ベスト・キッド」で一躍有名となった俳優「パット・モリタ」さん。黒のエチュードに出演時は40歳でした。コロンボをオーケストラのメンバーと間違えるシーンをコミカルに演じていました。このシーンのみベネディクトの髪が短く整髪されており、後で追加撮影されたことが良くわかります。でも良く見直しますと、この訪問でコロンボ警部が得たものは、ベネディクトの資産情報と直筆サインくらい。

コロンボ警部の年収が判明 [96mv]

アレックス・ベネディクト宅での会話、コロンボ警部の年収は自身が「1万1000ドル」であると口にしています。1972年当時の1ドルを約305円としますと、約335万円。そして消費者物価指数などを加味すると…600万円弱。という感じでしょうか。同情するほどの薄給ではありません。容疑者の方々がとてもセレブですので、差を感じますが。
→コロンボ警部の年収

楽団のビリー・ジョーンズ

ジェームス・マッキーチンジェニファーがコンサート会場に現れないことを知らせに来た、楽団のビリーは俳優ジェームス・マッキーチン。後の43話「秒読みの殺人」の映写技師「ウォルター」で再会できるでしょう。素敵な俳優さんです。

新聞社のエベレットがワイン屋のオヤジ! [96mv]

ジョージ・ゲインズランチのシーンで登場する。新聞社のエベレット(ジョージ・ゲインズ)は後に、19話「別れのワイン」でワイン屋のオヤジを演じています。雰囲気が変わるので気づきにくいですが、これは確かです!

新聞社のダーキーはドッグの校長先生 [96mv]

チャールズ・マコーレイ同じシーンで登場する新聞社のダーキーは俳優:チャールズ・マコーレイ。この俳優さんはなんと、23話「愛情の計算」で、犬の学校の校長先生を演じています。
また2話「死者の身代金」の捜査員としても出演していますが、この役は印象が薄いです。

修理工場のマイク

ドン・ナイトクラシックカーの修理が得意なマイク・アレキサンダーは俳優ドン・ナイト。助手のおじさんは、マイク・ラリーでしたね。クレジットにはアレキサンダーとされているが看板はグッドマンで、実際のこの修理工場のオーナーはグッドマンさんなのか?この修理工場はハリウッドボウルよりR101(ベンチュラ・ハイウェイ:アメリカの曲でも有名)を北西に向かい、R170で右折、オキシナード・ストリートを左折、バン・ナイーズ・ブールバードを北に向かうと最短距離で、往復でおよそ15kmです。(笑)
詳しくはコロンボマップ「ハリウッドボウルから修理工場」をご覧ください。

修理工場向かいのスタジオは閉店か?

コロンボが修理工場を訪れるシーンで、ベネディクトが居た時と去った後では状況が一変!まずコロンボ警部がよそよそしく再登場します。クラシックカーの置いてあった場所がかなり手前に変わっていて、道路沿いに警部のプジョーが出現。そして道向かいの「レコーディング・スタジオ」が閉店し、別の店に変わっています。(ブログゲストさんの発見でした)

修理工場を訪れるシーン修理工場を訪れるシーン7596

ポールを吊るし上げる理事会の女性。

ダイアン・ターレイ・トラヴィス理事会で向かって右側に座るメガネの女性は「ダイアン・ターレイ・トラヴィス」で刑事コロンボに度々、ちょい役で登場するエキストラ女優さんです。女版「マイク・ラリー」だと言えます。

交響楽団の理事長は大女優。

マーナ・ロイ鮮やかな衣装も話題になった交響楽団の理事長リジー・フィールディングは女優「マーナ・ロイ」。映画の黎明期?から活躍した大女優の一人だそうです(私は馴染みがありませんが)。「影なき男」シリーズ(1934年〜)で一時代を築いたとされます。日本語吹き替えは麻生美代子さん(サザエさんのフネ役)です。マーナ・ロイは、チャールトン・ヘストン主演の映画「エアポート’75」で、7話「もう一つの鍵」のスーザン・クラークと共演しています。

ショパンはインコではない!

ピアニストのジェニファーが飼っていた鳥ピアニストのジェニファーが飼っていた鳥は、おそらく「キバタン」だと思われます。隣の女の子はコロンボに「ショパンはボタンインコ」と言っていますが、それは間違い。顔の配色をみますと…これは「キバタン」というオウムの一種です!インコの一種(オカメインコ)なら「おかめ」のように頬にオレンジ系の丸があります。

隣の女の子オードリー

隣の女の子オードリー隣の女の子は「オードリー」で子役「ドーン・フレーム」。犬を飼う手ほどきや権利の説明など、大人びたキャラクターが可愛かったですね。彼女ドーンはその後のキャリアは確認できず、本格的な女優にはならなかったのかな。

監督:ニコラス・コラサント
脚本:スティーブン・ボチコ
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

アレックス・ベネディクト:ジョン・カサヴェテス(声:阪脩
ジャニス・ベネディクト:ブライス・ダナー(声:寺田路恵)
ジェニファー・ウエルズ:アンジャネット・カマー(声:有馬瑞香)
リジー・フィールディング:マーナ・ロイ(声:麻生美代子
ビリー・ジョーンズ:ジェームス・マッキーチン(声:笹岡繁蔵)
ポール・リフキン:ジェームズ・オルソン(声:野島昭生)
オードリー:ドーン・フレーム(声:冨永みーな)
刑事:ヘンリー・ベックマン
マイラー刑事:ルー・ノヴァ
ベンソン獣医:マイケル・フォックス(声:今西正男)
新聞社ダーキー:チャールズ・マコーレイ
新聞社エベレット:ジョージ・ゲインズ
ベネディクト家の使用人:パット・モリタ
修理工マイク・アレクサンダー:ドン・ナイト
修理工フランク:マイク・ラリー
理事:ダイアン・ターレイ・トラヴィス
リサイタル客:エリザベス・ハロワー
レストラン客:キャスリン・ジャンセン

大幅に加筆:2021年12月7日
少し加筆:2024年8月28日

“10話「黒のエチュード」” への206件の返信

  1.  何度も繰り返してDVDを見返して気付いたこと(もしかすると勘違い)があります。
     ベネディクトが演奏会の前にジェニファー・ウェルズ宅から出ていく場面でのピアノの足元にある「花」の位置と、事件が発生して現場に駆け付けたベネディクトがピアノの足元から拾い上げる「花」のある位置とが若干違います。「ビデオテープの証言」のコロンボ警部みたいに2つのシーンをスクリーンショットとして見比べましたから間違いないと思います。
     違う「花」なのかもしれませんし、誰かが「花」の位置を変えてしまったのかもしれません。
     仮説の一番目として、警察が「花」の位置をずらしてしまったという、かなり信憑性の高い仮説に到達します。ずらしてしまったことに気付いたコロンボ警部が「花」を元に戻すよう指示したものの、寸分違わずに元の位置に戻すことができないことは当然に起こる現象です。既にピンが曲がっていることにもその時点でコロンボ警部は気付いたのでしょう。コロンボ刑事とベネディクトのファーストコンタクトを見る度に思うことです。この第一仮説は事実にかなり近い感じがします。
     しかし仮説の二番目として、警察がジェニファー・ウェルズ宅に入る前に、犯人ではない「誰か」が先に侵入して事件を知り、かつ、「花」が落ちていることから犯人の目星をつけ、その犯人を庇うか、目星のついた犯人を脅迫しようとして「花」を隠した可能性も残ります。つまりは第三者が存在したことがこの事件の真相ということです。
     この第二仮説のうち、犯人を庇うケースならば「花」を隠すことが当然です。ならばベネディクトが拾った花は誰が置いたのか。置く位置を知る存在はあり得ませんので「犯人庇い仮説」は成立しません。
     ならば「花」に気付き拾ったものの、何かを画策しようとして元の場所に「花」を戻し、警察の現場到着の前に姿を消した謎の第三者の存在が間違いなくあります。(「花」を元の位置に戻したときに、少しずれた。)。この仮説によればより脚本も重厚になります。コロンボ警部とジャニスさんとのやりとりシーンも増えるでしょう。個人的にそのやりとりシーンが気に入っていることもありますが、第三者についてジャニスさんには時間を貰わないと捜査が進みませんから。
     とても素敵で好きな作品である黒のエチュードが何故か秀作止まりで名作・傑作に僅かに届かないのは、実は「花」を動かした第三者がいたシーンを時間の都合でバッサリと削除してしまっていることが隠れた理由なのかもしれません。
     オリジナルノーカットの黒のエチュードを満喫したいと妄想してしまいます。

  2. ぼろんこさんがあまり馴染みがないとおっしゃっていた理事長役のマーナ・ロイですが、私の好きな感動作「我等の生涯の最良の年」に出演しています。
    機会がありましたら是非ご覧くださいね。

  3. 皆さま暑中見舞申しあげます。
    ジョージ・ケネディですが。
    「特攻大作戦」→ジョン・カサヴェテスでコロンボに繋げるのはどうでしょう?

    それと 最近、敬愛するジェーン・バーキンの訃報を聞いて さみしく思い、「ナイル殺人事件」を見直しました。
    ピーター・ユスチノフ+ケネディ、巨漢2人が並ぶと画面がぎゅうぎゅうで、小柄なオリヴィアの可憐さが際立つ印象でした。

    「暴力脱獄」「サンダーボルト」などでの彼も記憶に残っております。

  4. 初めまして。昔からコロンボファンですが、最近あらためて見直すうちに貴ブログを発見し、以来楽しませていただいています。ピーター・フォークはカサヴェテスと親友で、カサヴェテスの作品にもよく出ていますね。ところで、可憐な(それだけに不憫な)奥さん役のブライス・ダナーが撮影時に妊娠していて、テニスのシーンでそれがよくわかるんですが、そのお腹にいたのがグウィネス・パルトロウなんですね。だから、姿は見えませんがグウィネスも出演してるのが面白いです。その奥さんが、コンサート本番に現れないピアニスト(既に夫が殺害)の電話番号を記憶している夫を怪しく思うのがリアルでうまい脚本だと思いました。

    1. 富樫さん、コメントありがとうございます。先日、グウィネス・パルトロー主演の映画「恋におちたシェイクスピア」を観ました。とても良かったです。

  5. 初めてコメントします。
    小学生の頃にNHKで毎週親と一緒にコロンボを観ていた世代で、去年BSの再放送を録りためて、今時間を見てまたコツコツ観ています。
    昨日この「黒のエチュード」を見て思った事、箇条書きにて。

    *無駄にオウムを大写しにしておいて、事件解明のカギじゃなかったんかい!(笑)
    *灰皿で殴られた傷跡と、キッチンの椅子から頭から落ちた傷跡が全く違うことは瞬間でバレるはず。ツメが甘すぎる。
    *タイプライターに挿し込んだ紙がズレてるなんて、ツメが甘すぎる。
    *うっかり落とした胸元の花を検証現場で見つけて、普通ならそっとポケットにしまうだろうに、すぐに胸につけるバカがいるだろうか。ツメが甘すぎる。
    *修理工場のトイレの鍵を事前に開けておいたのはいいけど、そこから昼の明るい中で忍び込んでシャッター開けて車を出して、またシャッター閉めてなんていう行動を誰にも目撃されないと思うところがツメが甘すぎる。(実際誰も見ていなかったにしろ)
    *愛人より奥さんのほうが遥かに美しい。そして「この奥さん役、グウィネス・パルトローみたいな顔してるな~。この時代だからまさかグウィネスのはずもないけど、似てるなぁ」と思っていたら、こちらを拝見して本当にグウィネスの母親と知って、本当にビックリ。DNAってすごい。

    ということで、(長文でごめんなさい)
    結論としては、今回については「コロンボじゃなくても、シロウトでもたぶん犯人は追い詰められる」という、あまりにユルい作りの作品だった気がしますね。
    とはいえ、やっぱり面白かったです!(笑)

  6. 何回も見てるのに今頃やっと気が付きました。指揮者アレックスの豪邸外観は1979年から7年間放送されたBenson(ミスター・ベンソン)のオープニングに出てくる知事公邸と同じです。1365 South Oakland Ave., Pasadena. CAにあり個人のお宅で色々な映画、テレビにウィル・スミス主演のFresh Prince of Bel Airの豪邸とともによく登場します。かなり似ているのでBrentwoodにあるFresh Princeの方と思ってる方もいるようですが、よ~く確認したらBensonの方でした。

  7. 興味深い考察、楽しませていただいています。
    ところで「本編でも(コロンボ警部と同じ)イタリア系について触れたらよかったのにと思います。」とありましたが、コロンボ警部が初めてベネディクトの家を訪ねた時、応対したアジア系の召使さんが「(旦那様と同じ)イタリア系ねやっぱり」と言いながらベネディクトを呼びに行くシーンがありましたので、間接的に触れているのかもしれませんね。
    作り込まれたドラマで、様々な発見があって楽しいです。

  8. ラストでコロンボに「ご主人は演奏会の後で花をつけましたか?」と聞かれて、ジェニファーが”No.(いいえ。)”と答えるところが印象的ですね。夫に調子を合わせて嘘をつくこともできた場面ですから。

  9.  南カリフォルニア交響楽団というのは、ロサンジェルス・フィルハーモニックの可能性が高いですね。本作でのベートーヴェン 交響曲第6番「田園」のや第4楽章モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第4楽章オケの音は、極めて当時のロス・フィル的な音がしています。
     クラシック音楽、特にオーケストラ事情に詳しくないかたに試していただきたいことがあります。少し前、「ジョン・ウィリアムズ ライヴ・イン・ウィーン」というアルバムが非常に好調な売れ行きだったのですが、Amazonでの内容紹介では、
    《■グラミー賞受賞25回、アカデミー賞受賞5回、エミー賞5回、ゴールデン・グローブ賞受賞4回……。
    50年以上にわたりハリウッド映画音楽のトップランナーとして君臨するレジェンド、ジョン・ウィリアムズ。
    現代で最も支持を集める“映画音楽の神様”のヒット作品、『スター・ウォーズ』『レイダース』『ジュラシック・パーク』『E.T.』『ジョーズ』などなど、
    全ての世代に愛される作品のあの音楽を、最高の演奏と最新の録音&録画技術で収録。
    ■ジョン・ウィリアムズが自身の代表作を振ったウィーン・フィルへの指揮デビュー公演(2020年1月18&19日)、白熱のライヴ録音!
    ■歴史的事件! 大衆娯楽の王様である映画を彩る音楽が、音楽の都ウィーンのクラシックの殿堂、あのニューイヤー・コンサートの会場ムジークフェラインの黄金のホールに朗々と響く。
    しかも演奏はクラシック音楽の伝統と精神を脈々と受け継ぐ世界最高のオーケストラ、クラシックのスーパー・エリート、ウィーン・フィル。
    現代の大衆娯楽と伝統的な芸術の幸福な出会いという意味でも歴史的な公演。
    演奏前からスタンディング・オベーションで熱狂する聴衆と、演奏者たちの気合のこもった白熱の演奏が全てを物語っています。
    曲目
    CD
    1.ネヴァーランドへの飛行(『フック』から)
    2.『未知との遭遇』から抜粋
    3.悪魔のダンス(『イーストウィックの魔女たち』から)
    4.地上の冒険(『E.T.』から)
    5.『ジュラシック・パーク』のテーマ
    6.ダートムア、1912年(『戦火の馬』から)
    7.鮫狩り – 檻の用意! (『ジョーズ』から)
    8.マリオンのテーマ(『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』から)
    9.メイン・タイトル(『スター・ウォーズ/新たなる希望』から)
    10.レベリオン・イズ・リボーン(『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』から)
    11.ルークとレイア(『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』から)
    12.帝国のマーチ(『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』から)
    13.レイダース・マーチ(『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』から)》

     この録音、ぜひ一度聴いてみてください! 普段聴くハリウッド映画の音に対してウィーン・フィルの音が、どれだけ異質か一聴で誰でも分かりますから。その違和感こそが楽しいのですが、管楽器にしても楽器の構造が違うものが多いですし、こういう映画音楽をやらすと、ウィーン・フィルの良くも悪くも瞬発力の無さ、「鈍臭さ」が一聴瞭然ですし、逆に何でベートーヴェンをアメリカのオケが演奏すると、五月蠅いクラヲタが批判したがるかも、よく分かっていただけると思いますよ。
     というわけで、本作、クラシックに五月蠅い人ほど五月蠅くて、クラシックに何の思い入れの無い人からすれば、クラヲタ、五月蠅い! もう五月蠅くてかなわんわ!になってしまうのです(笑)。

  10. BSP視聴組ですが、犯人を追い詰めるカギはてっきりインコ(オウム?)だと思ってました。
    殺人処方箋のようなアッと言わせる捜査術を期待して見ているだけに、
    今回の攻め方はちょっと地味だったかな。

  11. ぼろんこさんこんにちは。

    いつも有料動画サービスでコロンボを観た後は訪問させて頂いております。

    コロンボは何度も何度も観ておりますが…この作品の最後の方、正に今アレックスの犯罪を証明する為に訪れるリハーサルの場で

    アレックスが「クワジ ウナ ファンタジーア」と言うとコロンボが奥さんに意味を尋ねる場面があります。

    クラシック音楽の曲想はイタリア語だと思うので(クワジとファンタジーアはイタリア語です。)

    何故コロンボはイタリア系と言う設定で他の作品ではイタリア語も話す事があるのにここは奥さんに意味を尋ねる場面にしてしまったのか…細かいことなのですが引っかかって仕舞いました。

    その回に依って脚本家も違うので細かい検証が出来なかったのか…。

    でもそれも楽しめる材料なのですが。

    1. piano.yaさん、こんばんは。
      コロンボはイタリア系という設定ですが、
      イタリア語についてはエピソードごとにまちまちです。
      一番得意な回は、ご存知だと思いますが
      「美食の報酬」ですね。

      1. ぼろんこさん、早速のご返信有難うございます。
        やはり、そうですね。
        スッキリしました。

        何度も観ていると以前はなんとも思わなかった箇所を発見しますね。
        …楽しめる事でもあります。

  12.  コロンボファンのやり取りを、いつも楽しませていただいてます。
     気になったのですが、アレックスが「証言の時には、僕が愛していたことを思い出して」と、囁いているというのは、日本語字幕か吹き替えがそうなっていたのでしょうか?
     実は日本語版にアクセスできない所に住んでおります。
     英語では「I’m guilty. You know that. Just the record, I love you. I’ve always loved you. I hope you don’t have yo go through your life…you know.」と囁いてまして、「もうわかってると思うが、僕は有罪だ。念のために言うと、愛してる。今までもずっと愛していた」と言い、その後に彼女が今後の人生で辛い思いをしなくてもいいようなことを願っています。裁判のことは何も触れられていません。
     罪を犯してもゲスト俳優が善人に見えるか悪人に見えるかは、視聴者によって違ったほうがいろんな意見が飛び交って楽しいのですけれど、翻訳が異なると作品の印象が違ってくるのでちょっと疑問を持ちました。

    1. H Kazanさん>
      私は英語を聞き取れませんので、詳しく書いていただき感激です。

      ▼日本語版は字幕・吹き替え ともに
      「僕は有罪だよ、だが 今 わかった。愛してたよ。」
      (少し間があきます)
      「僕は君を愛していた。証言の時にそれを思い出してくれ。いいね。」
      です。

      原語にはない「証言」という言葉を加えたのは、意図的だと思われますね。本文に加筆しておきます。ありがとうございました。

  13. 今回は金額についてかなりの描写がありましたね。放映当時のアメリカの状況がいつも以上に拝金的だったのでしょうか。あと、ドラマ中で演奏される曲はご指摘のとおりですが、ショパンの黒鍵のエチュードのことを意味しているのかと思いました。「弾いてませんが)それと、黒(暗黒部)とをかけているのかな、と。指揮者の奥さん役の方は美しい方でしたが神経質そうな演技がよかった。あと、オーケストラの音楽家はプロの音楽家のように見えました(確かに弾いていました)。スタジオでの演奏もトランペット以外は皆さん本物で素敵でした。パットモリタさんは最初期の出演だです。西海岸での日系人の扱われ方も懐かしいです。

    1. >ショパンの黒鍵のエチュードのことを意味しているのかと思いました。
      私も最初それを連想しましたが、それだと
      Etude “Black keys”
      になり、調べてみますと、少し黒人女性を指す隠語の意味合いもある言葉のようですね。

  14. 刑事物としてではなく男女の物語として見ると殺されたピアニストはかなり危ないことしゃべってますね。「愛人ではなくオープンになりたい」と迫られた男は「殺人」すらやりかねないと彼女は想像できなかったのでしょうか? 
      しかも「貴方は妻への愛情ではなく母親のお金が目当て」なんてことまで言われたらどうなるか? ・・・・しかし見れば見るほどジャニスは美しい。どうしてアレックスはピアニストを愛人にしたのだろうか?・・・・・などとぼんやり考えていたら明日のコロンボがやってきます。さて、お次はどんなお話になるのか楽しみです。

    1. ジャニス役の女優さん、ブライスダナーはグウィネズパルトロウのお母さんですよね。とても美しく、よく似ています。

      1. コロンボのファンさん、ありがとうございます。
        グウィネス・パルトローについて、加筆しておきますね。

      2. 目の色が吸い込まれそうに青いですよね。肌もとても綺麗に見えます。どうしてこんな人よりピアニストの方がいいんでしょうか? やはり音楽的な才能で彼女に惹かれたのかな? 楚々とした美人より野性的で感情を爆発させる方が好きだったのか? 単なる女好きで次々と手を出していたのか? 
          奥さんはうすうす彼女との関係に気づいていたようですが、正面切って否定されるとそれ以上の追求をしませんでした。アレックスを愛していたんですね。
          最後の「ノー」という表情が内面の複雑な感情をよく表現していました。
        お嬢さんも背が高くて凜とした雰囲気の素晴らしい女優です。

  15. ショパンの「エオリアン・ハープ」って、童謡の「お馬の親子」に似ていますよね。
    あんなに牧歌的ないい曲を弾いている途中の人を殺す指揮者なんて、たとえドラマであっても絶対に許せません。悲しすぎます。

    1. 哀しみに満ちた「エオリアン・ハープ」。
      儚かったショパンの生涯が脳裏をよぎりますね。

      1. クラシックのピアノ曲に造詣が深い方なら、容易に共通認識が得られると思うんですが、「エオリアン・ハープ」や、「2枚のドガの絵」で被害者が弾いていた「別れの曲」を含むショパンの「24の練習曲」は、ピアノ曲の最高峰の一つと言っても過言ではなく、一晩のリサイタルで、技巧的に完璧に、しかも通が認める高度な芸術性を伴って24曲弾けるピアニストは、世界でも数えるほどしかいないと思います。
        この曲集やバッハの「平均律」全2巻は、練習曲とは名ばかりの「究極のピアノ曲」に属すると信じているピアノ曲ファンは多いはずです。

        1. 同感です。
          私も、ショパンでは「24の練習曲」とマズルカ集が、最高傑作だと考えています。
          クラシックでは「練習曲」(エチュード)に名を借りた、音楽的内実の深さを湛えた傑作は多いですよね。ジェニファーが弾いたもう一曲、音楽の旧約聖書とも評されるバッハの「平均律クラヴィーア曲集」だって、元々練習曲として書かれていますものね。作曲家は練習曲の名目にすることで、肩の力が抜けて、より大胆に、作品で隠れた本音をさらけ出せることもあるかもしれませんね。
          私見では今回を次のように解釈します。
          アレックスは愛人ジェニファーを、単なる練習台だと考え付き合っていた。しかし、ジェニファーの底なし沼のような奥深さに足を取られそうになり、恐ろしくなって殺した。
          Etude in Black とは、詰まる所そういうことではないでしょうか?

          1. YC-30さん>コメントありがとうございます。毎回楽しく読ませていただいております。文字修正済みです。

        2. 照る民さん>文字修正済みです。
          私のん文章もタイプミス、変換ミス、日本語が変、
          など日常のように修正しております。
          ゲストさんのコメントも、簡単に修正できますので、
          間違った時には遠慮なく、お申し出ください。

  16. ぼろんこさん

    度々すみません。
    タイトルのエチュード(練習曲)ですが、
    アレックスが犯行に及ぶ前にジェニファーに頼んで弾いてもらっていた曲のことだと思います。
    ショパン
    12の練習曲 作品25 第1番変イ長調『エオリアン・ハープ』です。

    アレックスが部屋に入ってきた時に、彼女が弾いていた曲も何の曲だろうってずっと気になってました。バッハなんですね〜

  17. 花形音楽家、ロサンゼルスで殺人とくれば、自宅で女優を射殺した超大物音楽プロデューサーのフィル・スペクターがいましたっけ。麻薬常習が犯行の一因ともいわれていますが、法廷でも中々罪を認めなかったりして、往生際も悪かったですね。

    1. スペクターは女優が自殺を図ったと主張し容疑を否認したところが、少しドラマと似ていますね。

  18. 改めて、大ヒットした?第一シーズンを受けて、より華やかに話題を振りまく第2シーズン開幕、というところでしょうか。
     トリックや小道具、決め手などは古臭くなっているのですが、ツッコミどころが多い所為か、コメントが一段と賑わっているエピソードですね。
     またしても改めて私の感想としては、このアレックス・ベネディクト、後々の犯人さん(笑)のお歴々のような哀愁に満ちたキャラクターとは真逆、倫理観の欠如した芸術家、虚飾と欺瞞の人物造形ですね。自分の為なら愛人も切り捨て、楽団員が疑われたら、弁護するふりして前科を暴露、裏切った妻には法廷証言の時は手心ヨロシクと言わんばかりの偽りの愛に満ちた甘い囁き。退場シーンも何カッコつけてやがるって感じ。

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