39話「黄金のバックル」

Old Fashioned Murder / 1976

美術館の館長ルース・リットンが、大切にしている博物館の売却を企む理事(弟)のエドワード・リットンを、警備員ミルトン・シェイファーとの同時発射の相撃ちに見せかけて殺害します。

ジョイス・ヴァン・パタンが可愛い

ジョイス・ヴァン・パタン女系ファミリーを楽しく描いた作品です。女性らしさを捨てた犯人ルース・リットン[ジョイス・ヴァン・パタン]が、かえって美しく感じられる作品でした。ジョイス・ヴァン・パタンは27話「逆転の構図」にもシスター役として出演しています。

ブログ訪問者さんからの情報

37話「さらば提督」で、シオドア・アルビンスキー刑事を演じた「デニス・デューガン」は、(1973年 – 1987年の間)「ジョイス・ヴァン・パタン」の夫だったそうです。彼は63話「4時02分の銃声」で監督をつとめています!

トリックには疑問が続出

犯行の仕掛けとしては、疑問点が多く残ります。男性二人、弟エドワード(ティム・オコナー) vs 警備員シェイファーで、ほぼ同時に拳銃を発射して相撃ちとなり両者が死にました。シェイファーはその時、兄に電話していて留守電には銃撃音が一発録音されています。現場の電話は、シェイファーが撃たれたので受話器がぶら下がったまま。どう考えても不自然。コンマ数秒発射がずれれば、どちらか生き残るはずだし、2丁の拳銃の音が1音に聴こえるはずがない。

誰が灯を消したんでしょう?

そこを大目に見たとして、「二人が同時に死んだ後、誰が灯を消したんでしょう?」という、コロンボ警部の大疑問は、他の作品と比較しても「かなり明瞭ですっきりした着眼点」です!これは、エドワードの書斎で、誤って灯を消してしまうルースの「倹約癖」のシーンとも連動しています。犯行現場で電話のトリックを忘れずに実行した後に、これで完璧…とばかりに灯を消してしまうのです。

邦題は「黄金のバックル」

ややもすると、全体のストーリーとはあまり深く関係しない証拠品にスポットが当たった邦題。「黄金のバックル」は後半で殺人容疑がかかる姪のジェニーが、このお宝を「灰皿」として扱ったことから容疑が晴れること。そしてこの証拠品は、自分を最も愛してくれたはずの叔母ルースが「自分に罪を着せる」ための小道具であった…というかなり悲しい事実が背景にあり、まぁ納得できる邦題とも思えました。

原題の「Old Fashioned Murder」は「古風な殺人」とでも直訳できそうです。ルースは今回の二重殺人のずっと以前にもう一人殺していたようにほのめかされますが、もしそれが明るみになれば、家族を守ってきた気丈な叔母さまから「父親殺し」へと転落してしまう…。その駆け引きがラストシーンの数分間にありました。

ジェニーは誰が産んだ子であったか…

ジーニー・バーリン壁にかかった絵を見て、ルースが「姉にピーターブラント夫人の座を奪われた」と過去を振り返るシーン。姪のジェニー(ジーニー・バーリン)について…「私が産んだかもしれない娘です」「そう、それで我が子ののように可愛いのでしょう」と語っています。

この「そう」という言い方で、私はジェニーがルースの子ではない…と想像しています。その他には決定的なシーンがありませんので、見る人の想像にお任せします…ということで良いのかな(笑)

過去を暴いて、犯人を落とす作戦

それにしてもコロンボ警部の凄さはこのように「今担当している事件の解決」はもちろん、犯人の過去の秘密をも暴いてしまうことです。そして犯人にほのめかし、犯行を自供させる。これは多くの作品で見られますね。14話「偶像のレクイエム」は過去の秘密そのものがテーマになった作品です。

悲しい物語に、滑稽なキャラクター

セレステ・ホルム逆に姉のフィリス(セレステ・ホルム)は自分を「美しい」と讃えますが、画面には美しさよりむしろ「滑稽さ(気絶・裾踏まれ)」が漂っています。この「裾踏まれ」のギャグは33話「ハッサン・サラーの反逆」でも炸裂しています。

アン・バクスターとセレステ・ホルム

セレステ・ホルムこのセレステ・ホルムは、映画「イヴの総て」で14話「偶像のレクイエム」のアン・バクスターと共演しています。これから約26年前、セレステは33歳です。若き日のアン・バクスターは、輝いています。セレステも気高く描かれています。往年の大女優「ベティ・デイヴィス」にも会えます。ベティは22話「第三の終章」でコロンボ警部が、カミさんと一緒に夜中までテレビ見て寝不足になった人です。

ピーター・S・フェイブルマン

ピーター・S・フェイブルマン警備員のミルトン・シェイファーを演じたのはピーター・S・フェイブルマン。この人は俳優だけでなく、本作の脚本家でもあります。珍しいケースですね。また38話「ルーサン警部の犯罪」でも脚本を手がけています。

ティム・オコナー

ティム・オコナー被害者の一人エドワード・リットンの俳優はティム・オコナーで、17話「二つの顔」では弁護士マイケル・ハザウェイを演じていました。どちらも、なかなか印象に残る演技でした。ただしルースとの会話「ヴィクトル・ユーゴー」「オスカー・ワイルド」のくだりは、劇文学に精通していないと笑えないかも。ちなみに、オスカー・ワイルドは「幸福な王子」、ヴィクトル・ユーゴーは「レ・ミゼラブル」などの著者。

ミラー刑事

ジョン・ミラー一匹狼で捜査を進めることが多かったコロンボだが、エピソードによっては特別な相棒が登場することもあります。今回は「ミラー刑事(ジョン・ミラー)」がその人です。ちょっとクールなイメージが漂うミラー刑事。でも仕事が出来そうなタイプの部下です。

髪をカットしてもらうハメに

髪型が整ったコロンボ警部美容院のオーナーがヘソを曲げそうなったので、髪をカットしてもらうことに。こういった細かいシチュエーションが凄く楽しいですね。髪型が整ったコロンボ警部は初回から数えて38作ぶり。しかしその髪型は徐々に崩れ、後半ジェニーの留置場の場面では、普段以上にボッサボサになっています。

美容院のオーナー「ダリル」

アンソニー・ホランドブログゲストさんからもコメントをいただきました。美容院のダリルは俳優:アンソニー・ホランドで、とてもコミカルなキャラクターですね。そして気になるのが日本語吹き替えの声優「八奈見乗児」さん。アニメを中心に数々の仕事をされています。ざっと挙げますと、巨人の星の伴宙太、もーれつア太郎のココロの親分、タイムボカンのグロッキー などなど。

時計屋の店員も面白い

ゲイリー・クローフォードコロンボが美容院の後に訪れた時計店の店員は、俳優:ゲイリー・クローフォード。この時、ショーケースカウンターの上に置いてある、鏡に映った自分の髪型を確認するコロンボ警部が可愛いです。だから店員はコロンボの髪型を褒めてくれたのです。こういうちょっとしたユーモアが素敵ですね。

リットン博物館

リットン博物館(39a)はL.A.市内の「ドヒニー・マンション(Doheny Mansion)」の一部です。ネットで写真検索すると、黄金のバックルのタイトルバックと同じ建物(39b)だと確認できます。テレビや映画のロケ地として有名なようです。*正式名称:グレース・トーン・マンション(Graystone Mansion)。
リットン博物館ドヒニー・マンション39a39b

リットン博物館のテーマ曲?

YouTube この「リットン博物館のテーマ」と名付けた印象的な曲をパソコン演奏で再現しています。昭和のメロドラマのような主旋律で、親しみが湧きますね。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

リットン博物館

監督:ロバート・ダグラス
脚本:ピーター・S・フェイブルマン

ルース・リットン:ジョイス・ヴァン・パタン(声:加藤道子)
エドワード・リットン:ティム・オコナー(声:加藤和夫)
ミルトン・シェイファー:ピーター・S・フェイブルマン
ティム・シェイファー:ジェフ・オズーナ
フィリス・ブランド:セレステ・ホルム(声:堀越節子)
ジェニー・ブランド:ジェーニー・バーリン(声:中島葵)
ミラー刑事:ジョン・ミラー
ダリル美容師:アンソニー・ホランド(声:八奈見乗児
カーター刑事:マイク・ラリー
時計店の店員:ゲイリー・クロフォード(声:伊武雅之
メイドのキャシー:エロイーズ・ハート
博物館の客:レオダ・リチャーズ

加筆:2024年8月29日

刑事ぼろんこチャンネル

40話「殺しの序曲」

The Bye-Bye Sky High IQ Murder Case / 1977

刑事コロンボの中では、第6シーズンに属する後期的作品。背景は世界でトップレベルのIQを持つ人が集まる「シグマクラブ」で起こる殺人事件。クラブのメンバーである会計事務所の経営者オリバー・ブラントが友人で共同経営者、しかもシグマクラブのメンバーでもあるバーティを殺害。動機は、オリバーの横領を知ったバーティが、世間に公表すると脅したためです。

動機は十分。バーティはかねてより友人オリバーの言動に対し、強い不快感を抱いていて、その腹いせに彼の身辺を探ったため、不正が発覚します。常日頃から周囲にバカにされている人は、たとえそれに悪意が薄かったとしても、いつか許せなくなるものなのでしょう。

トリックは緻密だが、天才集団を感じさせない

この作品の特長は他の作品と比較し「殺害のトリックが異常に緻密」であること。それが大きな要素となりすぎて、「世界でトップレベルのIQを持つ人が集まるクラブ」の存在感は逆に薄くなっている点が惜しいです。一部の登場人物を除いて、あまり頭の良い人の集団と思わせてくれません。

また原題の「The Bye-Bye Sky High I.Q. Murder Case」は「空高いIQの殺人事件」のようなイメージですが、邦題ではむしろ音楽にスポットを当てたようですね、残念でした。

トリックに凝りすぎて、現実味がないとも感じます。傘の中で破裂した爆竹の音が果たして銃声に聞こえるだろうか?音楽のボリュームを絞り、犯行後にプレーヤーのカバーを閉めておけば、もっと怪しまれなかったはず。犯人が頭脳明晰のわりには短気で、容疑をかけられる素性を持っているなど。また、これは微妙な判断ですが、解決シーンで「赤いペンが落ちるほんの一瞬前に辞書が傾き始める気がする」点も‥。ただ、そのようなことを差し引いても、楽しめる作品であることは確かです。

天才オリバー・ブラントは可愛い

セオドア・バイケル犯人の天才オリバー・ブラント「セオドア・バイケル(ビケル)」も、まさかコロンボ警部のような「計り知れない程の頭脳の持ち主」が担当刑事として自分の前に現れるとは予測もしていなかったことでしょう。異常とも思えるほど緻密な殺害トリックを仕掛けるシーンで「満面の笑み」を浮かべ作業するオリバーの顔が印象的に描かれています。犯罪工作の王者「パトリック・マクグーハン」も顔負けです。

大草原の小さな家

セオドア・バイケルセオドア・バイケルは、大草原の小さな家の「自由よ永遠に」で、ロシアからの移民ユーリー役で出演しています。刑事コロンボより約1年くらい前の作品です。

奥さんからは「オリバーちゃん」呼ばわり

サマンサ・エッガーオリバー・ブラントは、頭が良い割には「子供のような性格」な人ですね。公園で拳銃をゴミカゴに捨てるシーンで、コロンボに気付かれる不安が消えた直後に、嬉しそうな顔に一変して傘の説明をし出す場面など、興味深いです。彼の性格は妻のビビアン(サマンサ・エッガー)との会話「オリバーちゃん呼ばわり」でも伺え知れます。

脇役ソレル・ブークが良い

ソレル・ブーク犯人オリバー・ブラント役のセオドアバイケルも良いのですが、被害者のバーティ・ヘイスティング役のソレル・ブークも深く印象に残りました。撃たれて倒れるシーンが可愛い(不謹慎ですが)です。このソレル・ブークは24話「白鳥の歌」で、音楽プロデューサーのJ.J.ストリンガー役で出演しています。

ウエイトレスのお姉さんが怖い

ジェイミー・リー・カーティスレストランのウエイトレスの女優は「ジェイミー・リー・カーティス」で、有名な俳優の「トニー・カーティス」と刑事コロンボ32話「忘れられたスター」のジャネット・リーを両親に持ちます。ちょい役でも流石に存在感のある演技です。睨みつける顔がめちゃ怖いですよね。

女優ジェイミー・リー・カーティス

彼女はこの後、女優としての才能を開花させます。まず翌年の映画「ハロウィン」シリーズ(主演:ドナルド・プレザンス)で評判を博します。数々のキャリアを経て1994年には、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画「トゥルーライズ」でゴールデングローブ賞を受賞しています。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

ジェイミー・リー・カーティスは2022年公開の映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」では、第95回アカデミー賞「助演女優賞」を受賞しました。ウエイトレスのお姉さんから、なんと45〜6年。快挙ですよね皆さん。

ハワード・マクギリン

ハワード・マクギリン出世願望の強い若手会計士のジョージ・カンパネラを演じたのはハワード・マクギリン。目鼻立ちがはっきりした二枚目で、とても印象に残りました。やはりコロンボにはパンチの効いた脇役さんがいますよね。オリバーさんにとても気に入られています。

こっちは浮かばれないアルビン

ピーター・ランパートジョージ・カンパネラのライバル、アルビン・メッツラーは俳優:ピーター・ランパート。バーティの部下だっただけに、オリバーからは忌み嫌われ、この事務所での出世はおろか、業界で生きていくことさえ困難な状況に陥っています。可哀想すぎる。

会計事務所の受付女性

ミッチー・ロジャース会計事務所の受付の女性はミッチー・ロジャース。34話「仮面の男」のブレナーの秘書(アンジェラ・メイ)と顔立ちが似ていますが別人です。

天才少女キャロライン

キャロル・ジョーンズキャロラインを演じるのはキャロル・ジョーンズ。この天才少女と、2話「死者の身代金」に登場する娘マーガレットのイメージがダブるという方もいます。比べてみてください。よく見るとあまり似ていません。

支部長のダンジガーさん

ジェイスン・ダンジガーシグマクラブ支部長のジェイスン・ダンジガーさん(バジル・ホフマン)は、あの手この手で殺人事件の推理をしますが、ことごとく空振り。この人のキャラクターが…天才集団のイメージを落としているような(笑)‥いやいや、それでも良い役柄でした!

シグマクラブ会員のワグナー

ジョージ・スパーダコスプログラム委員長のバーティに注文をつけるシグマクラブ会員のワグナー役はジョージ・スパーダコス。彼は36話「魔術師の幻想」で舞台となったマジックショーのお店で働く「サッカリー」と同一人物です。さすが俳優さんですね、別人みたいです。

アイゼンバックさん

ドリー・トムソンシグマクラブの美人会員アイゼンバックさんは女優ドリー・トムソン。コンタクトレンズを飲みそうになる直前、オリバーとバーティをきょろきょろ見ていて芸が細かいです。どうでもいいシーンだけど(笑)

メルビル夫人の肖像画

メルビル夫人の肖像画シグマクラブの1階には何と「メルビル夫人の肖像画」が飾ってあります。メルビル夫人は3話「構想の死角」の小説の主人公ですね。

チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」

この作品、邦題「殺しの序曲」で、作品中に登場するクラシック音楽はロシアの作曲家チャイコフスキーによる幻想序曲「ロメオとジュリエット」。私の持っている音源はシャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団によるもので、20分33秒という長い演奏時間の14分12秒に、オリバー・ブラントが再生位置を設定した「第二主題による美しいメロディ」を向かえます。おそらくオリバーは特にお気に入りだったのでしょう。当時のステレオでこの位置から自動再生するには「一度手動で記憶」させる必要があると思われ、ここでも彼の無邪気な性格が伺えます。

人間コロンボを感じられる会話で、自分を見つめ直す

シグマ協会で向かえるラストシーンの一場面で、天才オリバーの苦悩や、コロンボ警部の人間哲学に触れることができます。オリバーは神童と呼ばれ苦しんだ幼少期を語ります。私は神童と呼ばれた経験はありませんが、子供の頃から「わざと頭が悪く見られるように振る舞っていました」。その方が周囲と楽しく過ごせるからです。一方コロンボは、自分は決して秀才とは言えない素材だが、粘り強くしつこく頑張ればきっとモノになる。と答えています。今の私はこの心境です。全力を尽くさず人生を終えることなんてあり得ないですね。コロンボにとって、天職とも言える刑事。その姿に自分の生きる指針を見つけ出すことができました。

「殺しの序曲」は意外と深い作品かも

先述のオリバーとコロンボの会話。それ以外にも、「いじめっ子、いじめられっ子」「天才と凡才」「気持ちの通じない夫婦」「出世を競う二人の秘書」など、殺人事件の周囲で見られる人間関係が面白く描かれています。
なかでもオリバーとバーティの関係は特に興味深いです。バーティのことが好きなオリバーは行き過ぎた愛情表現から逆にバーティから嫌われ、それが横領を暴露される危険を増大させます。本当に頭が良ければ「相手から嫌われない工夫」をもって世を渡れるはずなのですが、最も短絡的な解決方法「殺人」を実行するのも皮肉に感じます。

ラファイエット・パーク
ラファイエット・パークは、例のオリバーが拳銃を捨てるシーンでもあり、公園内にはウエイトレスに睨まれるドーナツのカフェもあります。会計事務所の所在地もこの近辺でしょう。

監督:サム・ワナメイカー
脚本:ロバート・M・ヤング

オリバー・ブラント:セオドア・バイケル(ビケル)(声:田中明夫)
ビビアン・ブラント:サマンサ・エッガー(声:横山道代)
バーティ・ヘイスティング:ソレル・ブーク(声:高木均)
ジェイスン・ダンジガー:バジル・ホフマン(声:田中明夫)
キャロライン:キャロル・ジョーンズ
ワグナー:ジョージ・スパーダコス
アイゼンバック:ドリー・トムソン
マイク:ケネス・マース
アンジェラ:フェイ・デ・ウィット
ウエイトレス:ジェイミー・リー・カーティス
ジョージ・カンパネラ:ハワード・マクギリン(声:納谷六朗
アルビン・メッツラー:ピーター・ランパート
会計事務所の秘書:ミッチ・ロジャース
バーの女性スージー:キャスリーン・キング
バーク刑事:トッド・マーティン
シグマクラブ会員:マイク・ラリー

加筆:2024年8月29日 

41話「死者のメッセージ」

Try and Catch Me / 1977
チャールズ・フランク人気女流ミステリー作家の「アビゲイル・ミッチェル」が「ヨットの事故で亡くなった姪」の夫エドモンド(チャールズ・フランク)を殺害。今回は金銭的な利害ではなく、姪のが死んだ責任はエドモンドにあると推理したアビゲイルが、その復讐を企んだもの。

エドモンドはフィリスを殺したか?

被害者のエドモンドは、それほど悪人には描かれていません。彼がフィリスを殺した証拠もありません。しかしエドモンドがアビーさんの部屋で、妻フィリスの写真を手にとって「薄笑い」をするシーンがあります。この表情は気にかかりますね。

この作品がベスト!と推すファンも多い。

ファンが選ぶベスト作品としては、やはり19話「別れのワイン」が最も多くの票を集めるのですが、この41話「死者のメッセージ」が一番好きだというコアなファンも多いのです。それくらい人気の高い作品。

ゲストスターのルース・ゴードンが素敵!

ルース・ゴードンこの作品も過去に見たときの印象がとても強かったです。まずゲストスターのアビゲイル・ミッチェル役:「ルース・ゴードン」が、素晴らしかったです。小柄な女性ですが、その小柄さと独特の仕草があいまってとても可愛らしく描かれていたと思います。
アビゲイル・ミッチェルはミステリーの女王「アガサ・クリスティ」がそのモデルになっているという説があります。
コロンボ警部が講演会のスピーチでも語っていますが「時には殺人犯を尊敬し、好意を抱くこともある」とは、まさにこの話のアビゲイル・ミッチェルを指しているのではと思われる程、お互いに敬意を表しながらストーリーは進みます。どこか19話「別れのワイン」に共通する雰囲気を持っている作品だと思いました。飛行機での旅行や、窒息死などの類似点もあります。

マリエット・ハートレイも魅力的

マリエット・ハートレイ22話「第三の終章」にも出演のマリエット・ハートレイが演じた秘書のベロニカもとても良かったと思います。ゲストスターの犯行を見抜いて恐喝する脇役はたくさんいますが、「殺されなかった」ことも、この作品を美しく感じさせる要因となっています。この点も「別れのワイン」に通じますね。この作品でベロニカは老眼鏡をかけるシーンがあります。でも実年齢は37歳。老眼にはまだ早すぎる気も‥。

秘書のベロニカは「聡い娘」

冒頭シーンでアビゲイルは秘書のベロニカを「聡(さと)い娘(こ)」だと評しています。聡いとは、感覚に優れ、聡明だという意味。ベロニカはエドモンドが金庫で死んだ時、すでにアビーさんの計画だと気づいていました。ベロニカはこの秘密をアビーさんの「遺産(財産)」と引き換えにするつもりだった。それを旅行中に提案しようと考えていた。(ぼろんこの妄想です)

大草原の小さな家「父さんの秘密」

マリエット・ハートレイ大草原の小さな家のシーズン2・19話「父さんの秘密」(1976年)。魅力的な未亡人「エリザベス・サーモンド」役でマリエット・ハートレイを見ることができます。本作の1年ほど前だと思われ、ほぼ同年齢。美しく優しい女性として描かれています。2020年の4K再放送でこれを見られたことは、とても嬉しいことです。

宇宙大作戦(スタートレック)

マリエット・ハートレイまたマリエット・ハートレイは、宇宙大作戦(スタートレック)の「タイムマシンの危機」の回のザラベス役で出演しています。あのスポックが彼女に恋愛感情を抱くエピソードです。1969年放送で、彼女が29歳の時です。

計画殺人モノとしての醍醐味

シリーズ中最も人気の高い「別れのワイン」は計画殺人ではありません。その点、この作品ならではの楽しめる点も多いのです。冒頭のベロニカとの会話のシーンでは、エドモンドが金庫から大声を出しても外に聞こえないテスト。そして、ストップウォッチを覗き見する時の表情も見逃せません。

弁護士のマーチンは鋭い

G・D・スプラッドリンまた、遺書にサインした直後に「不審な死をとげた」エドモンドですが、抜群のタイミングで起きたこの事件に対し、弁護士のマーチン(G・D・スプラッドリン)は「最初からアビゲイルが怪しい」と睨んでいたと思われます。旅立つ直前(犯行直後)に、金庫の前に立っている彼女と遭遇していますし…。船で口走った意味深な言葉はダメ押し的でしょう。

エドモンドの車のキー

ベロニカが「エドモンドの車のキー」の入手後、しばらくはアビゲイルの様子を伺っているのも、上手いな〜と思います。そして自ら恐喝に打って出ました。予期せぬ出来事「エドモンドの車のキー」の処理について、アビゲイルは2回キーを捨てるチャンスがありました。最初は犯行直後、2回目は警部の犬の散歩で出会った埠頭。推理小説の巨匠でも、生身の人間の行動においては、冷血な判断ができなかったのでしょう。キーは捨ててしまった方が良かったのです。

コロンボ警部の刑事哲学を感じました。

事件解決のエピソードはここでは語りませんが、ラストシーンで「特別扱いしてもらうわけではないが、この年だし、害のない人間だし…」と、見逃して欲しい…とすがるような態度を示すアビゲイルでした。ここでコロンボ警部が「先生も私も立派なプロですから」と諭した場面は、深く心に残るものです。コロンボにしてみれば、その動機から考えても同情したい気持ちは大きいのだが、「プロとして見逃すことはできない」ということでしょう。それはまた「殺人を扱う作家の完全殺人計画」が失敗に終わったことを認めた今、責任から逃避しないことを彼女に求めたのだと思われます。

ナイチンゲールはサヨナキドリ。

犯行の準備をするシーンで「何か聞こえる?ナイチンゲール?」のくだりがありますが、ナイチンゲールはサヨナキドリで鳴き声が美しい小鳥。「墓場鳥」とも呼ばれるそうで、コロンボ警部と初対面の日「警部がピアノでThis Old Man」を弾いた後、バーク刑事がドアを開けたシーンなどで庭から聞こえてくる鳥の鳴き声が、そのナイチンゲールなのでしょうか。

アビゲイル・ミッチェル邸。

ネットで調べたら「アビゲイル・ミッチェル邸」らしき場所の地図が見つりました。おぉ、ベロニカから恐喝をほのめかされた庭らしき形状がわかります。本当だろうか…。個人宅かもしれないので、いたずら行為等は厳禁です。しかし劇中では近所らしき海岸を散歩しますので、マリブ近辺に住んでいる設定です。

コロンボマップ
コロンボマップ

バーク刑事B

ジェローム・グアルディノバーク刑事Bは「ジェローム・グアルディノ」。この41話を皮切りに、43話「秒読みの殺人」や、47話「狂ったシナリオ」と多用されています。

32話「忘れられたスター」で射撃テストの身代わりになる俳優です。この人の他にもトッド・マーティンの演じる「バーク刑事A」が存在します!

 

「死者のメッセージ」は、音楽も素敵なんです。

音楽は、パトリック・ウィリアムズが担当しています。この他でも合計9作品に関わっているそうです。刑事コロンボ第7シーズンは音楽が素敵です。この「死者のメッセージは特に音楽が素敵」もその一つです。

「アビゲイル・ミッチェルのテーマ」

YouTube「アビゲイル・ミッチェルのテーマ」をパソコン演奏で再現しています。この作品が持つ「上品さ」はそのBGMの音楽性も大きく影響していると感じます。「アビゲイル・ミッチェルのテーマ」とは、私が名付けた呼び名です。音楽もお好きな方は、こちらもご覧ください。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

ダンスのインストラクター

マリー・シルバ・アレクサンダーベリー・ダンス教室の先生は、マリー・シルバ・アレクサンダー。「ストリップとは違うんですからね」って言ってました。このシーンの音楽も、上記とは別の意味ですごく素敵です。

犬の散歩で出くわす海沿いのデッキ

Ocean Side East Cafe12

Ocean Side East Cafe41

コロンボ警部が犬の散歩中にアビゲイル・ミッチェルに出くわす海岸沿いのデッキは、12話「アリバイのダイヤル」で探偵ダブスとコロンボ警部が会う店と同じ(あるいは近い)場所です。ちなみにこの階段の下には「オーシャン・サイド・イースト・カフェ」があります(12話当時)。手すりの色が違いますが、5年経っているので、取り替えられたのかな。

三谷幸喜さんの大河ドラマ

三谷幸喜さんが脚本を手掛けられた2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、北条義時は妻に毒殺されたと描かれます。実際にそのように書かれた歴史資料も見つかっています。「鎌倉殿の13人」の最終回では、はは〜、アビゲイル・ミッチェルの講演会の言葉通りだな‥と頷きました。

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:ジーン・トンプソン、ポール・タッカホー
音楽:パトリック・ウィリアムズ

アビゲイル・ミッチェル:ルース・ゴードン(声:南美江)
秘書ベロニカ・ブライス:マリエット・ハートレイ(声:桧よしえ)
エドモンド:チャールズ・フランク(声:松橋登)
マーチン弁護士:G・D・スプラッドリン(声:内藤武敏)
バーク刑事:ジェローム・グアルディノ
家政婦アニー:マリー・ジャクソン
インストラクター:マリー・シルバ・アレクサンダー
講演会の客:レオダ・リチャーズ

加筆:2024年8月29日

刑事コロンボマップ 刑事ぼろんこチャンネル

42話「美食の報酬」

Murder Under Glass / 1978

ジェラード はあまり聡明ではない…

料理評論家のポール・ジェラード氏がレストランのオーナー、ヴィットリオ・ロッシ(マイケル・V・ガッツォ)を殺害。テレビ番組やCMでも有名なジェラードが、その名声を利用してレストランの評価を思いのままに操っていることに腹を立てたビットリオの口を封じたのです。

ジェラード はあまり聡明ではない…

ルイ・ジュールダン犯人のジェラードは(ルイ・ジュールダン)「頭脳明晰」というよりむしろ脳天気なキャラクターの人物で、切れ味は感じませんでした。ワインによる毒殺が判明した瞬間、ワインオープナーが怪しまれることも当然の成り行きと思えます。彼の愛車「スタッツ・ブラックホーク」はとてもカッコいいです。

美食の国、日本とイタリアが大きく扱われた作品

初期のコロンボ作品と、新刑事コロンボの中間のようなテイストです。刑事コロンボ作品中、最も「日本」が大きく扱われた作品。「日本」とともに、イタリアンレストランが舞台いということで、イタリアンな雰囲気も全体に漂います。それと、コロンボ警部は食べているシーンが多いですね。

日本人「小津氏」

マコ岩松登場人物の日本人「小津氏」は俳優のマコ岩松氏。映画監督の小津安二郎を連想させるし「OZ」と発音され、アメリカ人にも親しみやすかったのでしょう。襟には「福壽」と書かれています。「刑事というと、警視庁の方ですか?」という発言。ブログ読者さんのご指摘によると、英語では「警視庁」とは言っておらず「lieutenant」警部補と言っているようです。翻訳家の誤訳ではないか?ということです。面白い発見ですね。

ジャパニーズ・ゲイシャ

ミヤコ・クラタ二人の日本人の芸者さんが登場しています。三味線をを弾いているのがミヤコ・クラタさん(写真)。もう一人はミエコ・コバヤシさん。二人とも仕草が奥ゆかしく和風情緒を醸していました。コロンボ警部から「さようなら」と挨拶された時のリアクションも良かったです。

珍味フグ刺し

中居中居さんの名前は残念ながら不明です。この中居さんの所作もとても美しいです。しかしながら、ふぐ刺しを食べるコロンボの箸使いが、かなり下手で笑えます。

あなたの才能は素晴らしいが、後はてんでイケません

ラストシーンは、なかなか印象的でした。ジェラードはコロンボ警部の「誘い」にのる形で「いっそのこと、コロンボを殺してしまえ」と第二殺人計画を思い立ちます。それが、コロンボの狙いでもあっただけに悔しさもひとしおだったでしょう。この後のコロンボの台詞「証拠ってのは、こういうヤツを言うんです」と、ジェラードの仕掛けた毒入りのワイングラスを指差すあたり、爽快です。一連の会話の中で「お互いの才能を評価する」反面、人間としては好きでない、という言葉の応酬があります。ジェラードの方は腹いせ的ですがコロンボ警部の「あなたの才能は素晴らしいが、後はてんでイケません」の台詞は、殺人という短絡的な解決方法に走った犯人に対し「人間失格」の判決を下す裁判官のように見えました。

後のコロンボの「カミさん」シェラ・デニスが再登場

シェラ・デニスジェラード氏の秘書イブ・プルマー役で、シェラ・デニス(シーラ・ダニーズ)が出演しています。新シリーズと比較するとやはり若いですね~。吹き替えの声優も「若い女性風」の声で、後に新刑事コロンボに数多く登場する際の声とは異なります。ジェラード氏の自宅で小津氏と同席するシーン、「松竹梅」と書かれた派手なオレンジ色のハッピを着ているのはこっけい。

不思議なキャラクターのバーク刑事

トッド・マーティンコロンボ警部は初対面の2分後に、犯人はジェラード氏であると疑ったと明言していますが、この時居合わせたのが40話「殺しの序曲」にも登場するバーク刑事(トッド・マーティン)。体格が良く眼光鋭い。画面にいるだけで存在感を感じる素敵な俳優さん。

ヴィットリオはマイケル・V・ガッツォ

マイケル・V・ガッツォマイケル・V・ガッツォはゴッドファーザーPART IIなどにも出演した俳優さん。「美食の報酬」では、豪快なイタリア人シェフを名演しています。毒に苦しんで絶命するシーンは印象的です。日本語版吹き替えは藤岡重慶さん「あしたのジョー」のおっつぁん「丹下段平」役でも有名ですね〜。

どうにも怒りが収まらないアルバート。

ラリー・D・マンヴィットリオの店のシェフアルバートは「代わりにあんたが死にゃよかったんだ」とジェラードを睨みつけたのは、印象深かったです。俳優のラリー・D・マンは太い眉毛に恰幅の良い風貌だが、イタリア系ではなくカナダ人なのだそう。こちらの日本語吹き替えは雨森雅司さん。バカボンのパパで有名です。

レストラン振興協会の女性会長はロバート・カルプの元カミさん

フランス・ニュイエン葬式のシーンで支払済の小切手を破って、コロンボから目をつけられたメアリー・チョーイはフランス・ニュイエン。彼女は1967年〜3年間ロバート・カルプの奥さんでした。
コロンボマップ
コロンボマップ
ヴィットリオが埋葬された墓地はイングルウッド・パーク墓地で、逆転の構図のロケ地と同じです。

監督:ジョナサン・デミ
脚本:ロバート・バン・スコヤック

ポール・ジェラード:ルイ・ジュールダン(:金内吉男)
ヴィットリオ:マイケル・V・ガッツォ(声:藤岡重慶)
イブ・プルマー:シェラ・デニス(シーラ・ダニーズ):田島令子)
メアリー・チョーイ:フランス・ニュイエン(:瀬能礼子)
マリオ・デ・ルーカ:アントニー・アルダ(:徳丸完)
アルバート:ラリー・D・マン(声:雨森雅司
マックス・デュバル:リチャード・ディサート
調理人ルイス:アルバート・モーリン
ケンジ小津:マコ岩松
芸者:ミヤコ・クラタ
芸者:ミエコ・コバヤシ
銀行のクロフォード:フレッド・ホリデー
銀行スタッフ:キャロライン・マーティン
バーク刑事:トッド・マーティン
マーケットの主人:マイク・ラリー
葬儀参列者:ジェームズ・マイケル
葬儀参列者:アーモンド・ロバーツ
葬儀参列者:ニコ・スティーブンス
葬儀参列者:ジャック・スレート
葬儀参列者:トミー・ダンテ
葬儀参列者:匿名エキストラ
 
加筆:2024年9月4日

43話「秒読みの殺人」

Make Me a Perfect Murder / 1978
ローレンス・ラッキンビルテレビ局の女性プロデューサー:ケイ・フリーストン(トリッシュ・バン・ディーバー)は、支社長であり恋人でもあるマーク(ローレンス・ラッキンビル)を殺害。果たして殺すほどの憎しみがあったのか?
マークの出世に対する嫉妬はありますね。さらにマーク(あるいは社)からの自分への評価が思いのほか低いことを思い知ったからか。それで殺人‥とは短絡的すぎるかな。

「秒読みの殺人」は名作です

この「秒読みの殺人」という作品、小学生時代にも間違いなく見ていました。しかしながら、27話「逆転の構図」や32話「忘れられたスター」ほど、強烈な印象は残っておらず、少しノーマーク的な作品でした。今回、再放送を拝見し、見事な作品であることを再認識しました、名作と言って間違いないでしょう。

刑事コロンボ的ストーリー展開を感じる

犯人役の女優や、脇役俳優の良さ云々はさておき、正当派「刑事コロンボ的ストーリー展開」が色濃く、ほとんどのシーンで無駄が無く(注)、密度の濃い作品となっています。コロンボ警部の「落としのテクニック」も、期待通り炸裂してくれています。

トリッシュ・バン・ディーバー

トリッシュ・バン・ディーバーもう一つの側面「犯人役ゲストスター」の影響力は、他の傑作と比較し線は細めです。犯人のケイ「トリッシュ・バン・ディーバー」は美しく描かれていますが、突出した存在であったとは感じません。それ以上に、テレビ業界という厳しい環境において、人間が壊れてゆく様を見せてくれたと思います。

出世欲の強い女性の立場

その反面、心理の描写には鋭いものを感じます。殺意、焦り、意思の強靭さなど、通常の女性では表現しづらい心の揺れを、見事に表現しています。出世欲の強い女性が、組織のトップにのし上がる過程で、仕事を愛する気持ちよりも、成功したい願望が心を支配している様子がうかがえます。周囲の男性たちは、それを好ましく思っていませんでしたね。
それと対比し、同性愛を連想させる描写もありました。女優バレリーとの関係がそれです。初期のコロンボでは扱われなかった題材でしょう。ディレクターの男性が女性的なども、類似した観点です。

終わったら、ほっとすると言うが…

犯行を認める場面で、終わったらほっとすると言うが…その逆だ。と心境を語るケイ。まだ負けたわけじゃない、きっと這い上がってみせる…という意欲をみせました、女は強い。

フィルムチェンジをアリバイに用いたトリック

本作品「秒読みの殺人」では映写時に、フィルムのリールを切り替えるタイミングを画面右隅に表示されるパンチによって、見極める‥というテクニックが焦点となっていて、邦題「秒読みの殺人」に結びつけています。それに対し、21話「意識の下の映像」で映写技師のロジャー・ホワイトは、小銭をリール中心に挟み込んで、それが落ちたら交換のタイミングだと語っています。テレビ局の映写機は最新設備で、小銭を挟めない(カバーで覆われている)タイプでしたね。

映写技師ウォルター:ジェームス・マッキーチン

ジェームス・マッキーチン作品中重要な役割を果たす映写技師ウォルターを演じたのは、ジェームス・マッキーチン。10話「黒のエチュード」で、楽団の関係者ビリー・ジョーンズ役でも登場しています。どちらも良い演技を見せてくれます。

特に印象的なシーン「エレベータの中で…」

エレベータの天井に見えた「凶器の拳銃」を、犯人ケイが何とかしてそれを下に落とそうとするシーンは、秒読みの殺人で最も印象に残る場面です。身長が低い彼女が必死になっている様子がスリル満点に描かれています。しかも、その行為そのものが、コロンボ警部が仕掛けた罠だと気付かされ、完敗を認めるのも素晴らしかったです。

パトリック・オニール

パトリック・オニールテレビ局のお偉方の役で、パトリック・オニールが登場。彼は名作と呼ばれる9話「パイルD-3の壁」で犯人のエリオット・マーカムを演じています。今回もさすがの演技でした。

テレビを修理するクレイマー刑事

ブルース・カービーなぜかテレビを修理する人の役で、すっかり顔なじみのはずの「ブルース・カービー」が登場。う、どう考えても不自然な起用だと思えますが、これはブルース・カービーが「ジョン・フィネガン」同様、特別な俳優扱いだったことを伺い知れます。ここシーンでは「愛犬ドッグ」も一緒にテレビを見ていますね。

バーク刑事

ジェローム・グアルディノ41話「死者のメッセージ」に続いて今回も捜査に起用されたバーク刑事Bは「ジェローム・グアルディノ」。あまり役に立ちませんが、憎めないキャラクターですね。32話「忘れられたスター」で射撃テストの身代わりになる俳優です。

テレビ局のプロデューサー

ジョージ・スカフ女上司に不満げな「しがないテレビ局のプロデューサー」を演じたのは「ジョージ・スカフ」。気づきにくいのですが、この人はなんと33話「ハッサン・サラーの反逆」の領事館でアラブ人「クラ」を演じた人です!

撮影所(ロケ地)のモニター室では…

ケイはコロンボ警部に追い回され、ヒステリックに叫んでしまいます。メリーゴーラウンドの音楽と目まぐるしく切り替わる画面が印象的ですが、録画して何度も見られる時代となっては、このような強烈なシーンより、静かな場面の方がありがたいですね。同じような意味で「黄金のバックル」の、ジェニーが死体を発見して叫びそうになるシーンも、早送りしたくなります。(笑)

注)テレビ局のモニター室でコロンボ警部が、画面に模様(パターンのようなもの)を写して喜んでいるシーンは、不要でしょうかね~。冒頭で「鼻歌を歌いながら交通事故を起こすシーン」は、無駄と言い難い楽しいシーンでした。→プジョー403

同じ風景画が、最低でも3回出現。
ブログゲストさんから情報をいただき検証しました。レイ・フレミングのマンション、ネルソン・ヘイワードのホテルの風景は同じでした!さらに調査した結果、ケイ・フリーストンのオフィスの窓にも出現しています。

レイ・フレミングのマンションの風景1

ネルソン・ヘイワードのホテルの風景20

ケイ・フリーストンのオフィスの風景43

マークとケイのビーチハウス

マークとケイが暮らすビーチハウスは、数々の刑事コロンボの重要人物が居を構えるマリブビーチにありました。二人が務めるテレビ局のロス支局は、市街中心部近くだと思われ、冒頭シーンでコロンボ警部が愛車プジョーで追突事故を起こす道路はそこからほど近い場所です。

マークとケイのビーチハウス
追突事故を起こす道路

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:ロバート・ブリーズ
音楽:パトリック・ウィリアムズ

ケイ・フリーストン:トリッシュ・ヴァン・ディヴァー(声:寺田路恵)
フラナガン:パトリック・オニール(声:黒沢良)
マーク:ローレンス・ラッキンビル(声:森川公也)
バーク刑事:ジェローム・グアルディノ
ウォルター:ジェームス・マッキーチン(声:加藤修)
ルーサー:ロン・リフキン(声:原田一夫)
バレリー:レイニー・カザン(声:大橋芳枝)
プロデューサー:ジョージ・スカフ
ジョナサン:キップ・ジルマン
ウェンディ:スーザン・クレブス
エイムズ:モーガン・アプトン
ピート・クックマン:ドン・イートナー
マッジ:ディー・ティンバーレイク
マッサージ師:H.B.ヘイゲッティ
電気屋:ブルース・カービー(声:杉田俊也)
テレビ局の警備員ー:マイク・ラリー
クリーニング屋:ポール・ウイルソン
 
加筆:2024年8月29日

44話「攻撃命令」

How to Dial a Murder / 1977

初期シリーズの最後から二番目の作品です。約10年後から再開された新・刑事コロンボシリーズに影響を与えた作品ではないかと感じます。ストーリーの展開や解決編などに、同じテイストを感じます。

ニコル・ウイリアムソン

ニコル・ウイリアムソン犯人役のゲストスター、エリック・メイスン:ニコル・ウイリアムソンは、とても印象に残りました。少し宗教家じみた心理学者ですが、自分のスペースを確保するという自らの教えに反し、感情を剥き出しにする場面もあって笑えます。

 

ちょっと不可解?メイスン博士の性格設定。

このお話、殺害動機がらみの部分で少し釈然としません。犯人のメイスン博士は「普通の人間のような愛情表現」ができないように描かれています。それなのに、自分の妻と被害者チャーリーとの愛人関係を知ると、まず妻を殺害、そしてチャーリーを殺害(本件)。何が彼を復讐劇にかりたてたのでしょう。自尊心からでしょうか?であれば、妻の不貞を知り当事者2人を殺害したことの方が、もっと恥ずかしい気もします。

このエリック・メイスンは映画好き、テニス・ビリヤード好きということですが、キャラクターとは不似合いだったかも。それに対しピーター・フォークのビリヤードの腕前はピカイチでした。

キム・キャトラル

ジョアンナ・ニコルズ同居する若い女性:ジョアンナ・ニコルズ「キム・キャトラル」は美しく登場していましたが、メイスン博士に心を寄せるという設定は、不可解だった気もしますね。

トリシア・オニール

トリシア・オニール犬の訓練士コーコランを演じるトリシア・オニール(Tricia O’Neil)が人気です。このシーンでは「愛犬ドッグ」も可愛く登場していますね。詳細は不明ですが映画「タイタニック(1997)」にも出演しているようです。ぜひ探してみたいです。

「コロッケ」「コロンボ」はでっち上げ

コロンボ警部は「犬が言葉に反応して人に噛み付くか?」を模索するシーンで、「コロッケ」「コロンボ」と言いますが、これは日本語吹き替え版のアレンジのようです。実際にはピーター・フォークは「コロンボ」とは言っていません。メイスン博士が留置された犬に「チョコレート」を与えるシーンでコロンボはそれを阻止しますが、「犬にチョコレートは禁物」という知識にも基づいています。実際には少量のチョコレートの摂取では犬は死なないそうです。

映画「市民ケーン」

この作品を彩るシチュエーションとして重要な、映画オーソン・ウェルズ「市民ケーン」の全編は見ていません。もしも見ていたら、もっと楽しめた作品(攻撃命令)なのかもしれません。しかし2020年のNHK「映像の世紀プレミアム 第8集 アメリカ 自由の国の秘密と嘘」で取り上げられ、「市民ケーン」を断片的に見ることができました。

監督・製作・脚本・主演をオーソン・ウェルズが担っています。主人公のケーンは実在の新聞王ハーストをモデルにしていて、彼の権力により上映を妨害されたという有名なエピソードがあるそう。世界映画史上最高の金字塔とも称される名作とのことです。すごい!

コロンボ警部はビリヤードがお得意

2話「死者の身代金」では、初代バーニーの店(?)で、11話「悪の温室」でも犯人ジャービス・グッドウィン宅でもビリヤードの腕前を披露していますが、今回は解決編の進行にビリヤードを利用していて、演出としては少々やりずぎか…。しかしこれはメイスン博士を追いつめ、この際「コロンボを殺してしまえ」と決意させるための布石だったのでしょうね。

言葉遊びに見るコロンボ警部の刑事哲学

メイスン博士とコロンボ警部の「言葉遊び」の場面は興味深いものでした。ストーリー展開の上では「攻撃命令のキーワード」を引き出す仕掛けですが、コロンボ警部の「刑事哲学」を感じさせました。それは「正義=仕事」「苦痛=失敗」というくだり。自分の仕事はお金を得る手段とは考えておらず、「悪を許さない」こと、成功を収めたいという意味ではなく「失敗を許さない」こと、という2点。これは私(ぼろんこ)の目標ともダブることです。

類似シーンとして、40話「殺しの序曲」の中で犯人オリバー・ブラントとの会話でも見られます。

合言葉を口にした途端襲われるのはメイスン先生のハズだったのでは?

ブログのお客様からのご指摘。「コロンボに犬をけしかけようとするラスト近くのシーン、合言葉を口にした途端襲われるのはメイスン先生のハズだったのでは?」た、確かに!そうですね。シナリオ…全然駄目じゃん(笑)
↑と思いきや…絶対的な存在である飼い主を襲うことはない という原則に基づいたシナリオであればOK!とのことで納得です。

意外にも近場で!

メイスン博士のご自宅と、犬の訓練士コーコラン先生の訓練場所が、目と鼻の先っていう不思議(笑)どちらも「グリフィスパーク」の周辺もしくは公園内です。

犬の訓練士コーコラン先生の訓練場所

メイスン教授の講義の会場

ドクター・ケプルの試写会場エリックメイスン教授の大学の講義の会場エリックメイスン教授の大学の講義の会場は、21話「意識の下の映像」のドクター・ケプルの試写会の会場と同じです!(2022年ブログ・コメンテーターさんの発見)ちなみに9話「パイルD-3の壁」のマーカムの授業の会場は異なります。

音楽はパトリック・ウィリアムズ

音楽は、パトリック・ウィリアムズが担当しています。41話「死者のメッセージは特に音楽が素敵」を皮切りに、43話「秒読みの殺人」、45話「策謀の結末」と立て続けにコロンボ作品の音楽を担当。それらが素晴らしい仕上がりになっています。本作では「不気味」な印象が漂うBGMですね。それがそのまま作品のテイストにもなっています。

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:トム・ラザラス
音楽:パトリック・ウィリアムズ

エリック・メイスン:ニコール・ウィリアムソン(声:平田昭彦)
ジョアンナ・ニコルズ:キム・キャトラル(声:宗形智子)
チャーリー・ハンター:ジョエル・ファビアーニ(声:寺島幹夫)
コーコラン:トリシア・オニール(声:藤夏子)
ガリソン医師:フランク・アレトラー
ステイン巡査:エド・ベグラーJr.

加筆:2024年8月29日

45話「策謀の結末」

The Conspirators / 1978

世界の政治情勢が背景

事件の背景が大げさで、33話「ハッサン・サラーの反逆」34話「仮面の男」などと同様の味を持った作品だったと思います。むしろ、それら以上に「世界情勢」と「殺人動機」が強くからんだ作品でしょう。このアイルランド革命派のモデルになっているのはIRA(アイルランド共和軍)だと思われ、アイルランド全島の独立共和国化をめざすカトリック系の組織です。

とても人気が高い作品

初見当時に私が評した以上に人気の高い作品だとわかってきました。犯人が詩人ということで、その台詞や歌声が独特の上品さを醸しています。またアイリッシュの郷愁を感じるBGMも雰囲気を高めています。犯人が決定的な悪人ではない…というのも、理由にあがるでしょう。ジョー・デブリンを演じた「クライヴ・レヴィル」はとても魅力的で、彼の功績も大きいと感じます。

しかしながら、間の悪い犯人…

アイルランド革命派組織の活動家で詩人のジョー・デブリンは、犯行後にビンセント・ポーリーを殺害した現場に現れます。そこでコロンボと鉢合わせに。‥うぅ、これはイケません。何をしに来たのか?ほぼ自爆行為と言って良いでしょう。コロンボ警部は鋭く突っ込んで欲しかったです。しかもその部屋で一緒に推理ごっこしてますし。(笑)この回ではコロンボが行く先々で、デブリンと会ってしまうのも可笑しいです。

酒は身を滅ぼす…

クライヴ・レヴィルさらにデブリンはアイリッシュウイスキーの瓶に、傷をつける癖があったのですが、あんなに何回もコロンボ警部と酒を酌み交わし、その度にウイスキーの瓶に傷をつけていては…まるで「自分が犯人ですよ~」と、証拠を大量生産しているようなものですね。酒好きが命取り…という結末なので、それも含み楽しんだ方が良いかもしれません。

ペック夫人を発見!

ジャネット・ノーラン17話「二つの顔」でクリフォード邸の家政婦ペック夫人を好演したジャネット・ノーランが、オコンネル財閥の女王役で登場。髪の色が違うので、別人みたいな印象でした。

吹き替えが演出する強烈キャラ「ジェンセン」

L.Q.ジョーンズ銃の密売人の役で登場するチャールズ・ブロンソンに似た俳優L.Q.ジョーンズは強烈!。声優は大泉滉さんで、この人の声を使っちゃったら、俳優が誰でも大泉滉に見えてきます。(小池版)
また、この時の銃の包みは、広げる時は無造作な感じで、隠してあったように四角くきっちり包める気がしません笑

ビンセント・ポーリーも素敵

アルバート・ポールセンビンセント・ポーリーを演じたアルバート・ポールセンも良かった。調べてみたらやはり…凄い人でした。コンバットをはじめ、スパイ大作戦、0011ナポレオン・ソロ、刑事コジャック、チャーリーズ・エンジェル、ナイトライダーなど、60年代〜80年代に活躍している名優でした。

2種類の吹き替えが存在

1979年にNHKで放送された際は小池版。1987年の日本テレビでは小池版の紛失が原因で、再録音された石田版で放送されました。現在はNHKで小池版、DVDやAXNミステリーで石田版が見られるようです。このブログ記事は、NHK-BS Hiで2010年6月11日に放送された「小池版」を見て書かれています。
NHK:コロンボ:小池朝雄、デブリン:納谷悟朗、ジェンセン:大泉滉★コレ
DVD:コロンボ:石田太郎、デブリン:家弓家正、ジェンセン:立木文彦

タグボートを見つけるシーン

この作品は何度も見るうちに、どんどん好きにります。やはりパトリック・ウィリアムズによる音楽が良いのかな。それと、車を走らせ橋を渡って、タグボートを見つけるシーンも素敵です。コイン双眼鏡でタグボートの旗を覗いて、オコンネルの船だと確信しますが、この時社旗はたわんでいてはっきりしません。それでも緑と黄色の色で、それだと確信するシーン。絵では社旗を映さずコロンボの演技のみで表現していて、この回では圧巻のシーンだと感じます。

銃の密売人は元警官!

ジョン・マッキャンブログ読者さんからの情報で…倉庫で出会う銃の密売人「ブランドン」は、19話「別れのワイン」に登場する警官と同じ俳優さんジョン・マッキャン[John McCann]でした。さすが俳優さん、随分雰囲気が違って見えますね。

チャンドラー書店の女性店員

デボラ・ホワイトデブリンがサイン会を催したチャンドラー書店。お話の途中でコロンボ警部がここを訪問する時に、相手をしてくれた女性店員アンジェラは女優デボラ・ホワイト。快活で明るい感じの女性ですね。

IRAについて

このアンジェラは「シン・フェイン」は「アイルランド過激派」の合言葉だと説明しています。ちなみにデブリンは「アイルランド革命派」と自称しています。少なくとも日本語版では一度も「IRA」という固有名詞は登場しないのに、WikiやNHK公式サイトでさえ「IRA」だと断言していて、今後調べてみたい点でもあります。

策謀の結末のロサンゼルス港

監督:レオ・ペン
脚本:ハワード・バーク
音楽:パトリック・ウィリアムズ

ジョー・デブリン:クライヴ・レヴィル(声:納谷悟朗)
ケイト・オコンネル:ジャネット・ノーラン(声:麻生美代子
ビンセント・ポーリー:アルバート・ポールセン(声:灰地順)
ジャンセン:L.Q.ジョーンズ
ジョージ・オコンネル:バーナード・ベランス
ケリー・マローン:マイケル・ホルトン
アンジェラ:デボラ・ホワイト
ブランドン:ジョン・マッキャン
リーチ:ドン・ホワイト
キャロル・ヘミングウェイ:キャロル・ヘミングウェイ
牽引車運転手:ジョニー・シルバー
パーティ客:ミッキー・ゴールデン
パーティ客:キャサリン・ジャンセン
船長:ショーン・マクロイ

加筆:2024年8月29日

46話「汚れた超能力」

Columbo Goes to the Guillotine / 1989

初期シリーズから一転、高インパクト重視な印象

超能力者、エリオット・ブレーク(アンソニー・アンドリュース)は、かつてウガンダの刑務所で裏切られたマジシャンのマックス・ダイソンをダイソン自作のギロチン装置で殺害。
テーマ・殺害方法・解決シーンなどは、これまでの刑事コロンボシリーズと比較し、やり過ぎと思えるほど劇的です。これも、新シリーズのスタートを強烈に印象づけたい狙いでしょうか。

ピーター・フォークの日本語吹き替えは石田太郎さん

ピーター・フォーク約10年の休暇(?)から復帰したコロンボ警部この時62歳。時間経過した分、貫禄がついたんじゃない?私は大好きです。日本語吹き替えは人気を博した小池朝雄さんから石田太郎さんにバトンタッチ。賛否両論あると思いますが、私にはそれほどの違和感も無く、馴染むことができました。

コロンボシリーズの醍醐味「心理戦」は健在

アンソニー・アンドリュース超能力者であれば、ダイソンがどのような心境で死に至ったか読み取れるであろうと相談を持ちかける警部。そこでブレークは「自殺であった」と示唆しますが、これがかえって自分への容疑を濃くしちゃってますね。発言の直後「自殺のはずがない」とコロンボ警部から一蹴されています。その理由を次々に見せられて、ブレークは一気にマズい立場に追いやられていました。

自殺でないと否定されたブレークは、事故だったと方針転換し、苦しい状況に拍車がかかります。コロンボ警部は「マイナスドライバーの矛盾」などにより「殺人」だと断定しながらも、ブレークに「自殺説」「事故説」を口にさせ、心理的に追い込んでいったのでしょう。

マックス・ダイソンは素敵だった

アンソニー・ザーブマックス・ダイソン(アンソニー・ザーブ)は素敵でした。インチキ臭さ&人間臭さを兼ね備えていて、それなりの風格もあります。犯人のエリオット・ブレーク(アンソニー・アンドリュース)も悪くないのですが、42話「美食の報酬」のポール・ジェラードと似た印象で風格に欠けました。配役が逆でも面白かった?などと書いては失礼でしょうか。

新シリーズの女性像

カレン・オースティン犯人エリオット・ブレークのパートナーであるポーラ・ハルは女優カレン・オースティン。70年代に制作された旧シリーズから10年以上の時を経て、脇役女性の描き方も変化があったように感じます。もちろんファッションの流行なども楽しめますね。

新シリーズの脇役俳優像

ジェームズ・グリーンマジシャンのバート・スプリンガーを演じたのは、ジェームズ・グリーン。こちらは旧作の登場人物と似たような雰囲気を持っており、懐かしい感じも受けました。例えば13話「ロンドンの傘」に登場する楽屋番のフェンウィックとか。

CIAのハロー氏

アラン・ファッジCIAのハロー氏を演じたのは、俳優アラン・ファッジ。気付きにくいのですが、この人は22話「第三の終章」に登場する弁護士のデビッド・チェイスと同一人物。さらには56話「殺人講義」の犯人クーパー・レッドマンの父親。

アロヨとフリードライブ

ブレークがいかさまトリックに使った地図は全ページ「アロヨとフリードライブ」だった?そして赤い点はあらかじめ打ってあった?それが国防省にバレないってこと‥ある?と、少しぼやかせてください。さてこの「アロヨ」はロサンゼルス北東のパサデナ近くにあるようです。しかし、例の地図とは地形が違う…気がします。→コロンボマップ

アロヨとフリードライブ

エンディングはユニークにまとめる

これは新シリーズの特長と言えるかも知れません。旧シリーズでは割と「スカッと決めておいて、コロンボ警部自身は少し後ろめたい表情をして止まる」パターンの方が多かった気がします。今回は特に「血なまぐさい」展開でしたので、最後だけは口元が緩むような終わり方にしたのでしょう。

エリオットブレークの吹き替えは野沢那智さん

野沢那智さんは、8話「死の方程式」で犯人のロジャー・スタンフォードを演じて以来2度目の犯人役。私は少し演技が大袈裟かな…と感じてしまいますが、ブログゲストの方々などには好評です。

監督:レオ・ペン
脚本:ウィリアム・リード・ウッドフィールド
音楽:ジョン・カカヴァス

エリオット・ブレーク:アンソニー・アンドリュース(声:野沢那智
マックス・ダイソン:アンソニー・ザーブ(声:阪脩
ポーラ・ハル:カレン・オースティン(声:藤田淑子
CIAのハロー氏:アラン・ファッジ(声:樋浦勉)
バート・スプリンガー:ジェームズ・グリーン
ドリー:ダナ・アンダーセン
トミー少年:マイケル・バコール
エックハルト大佐:チャールズ・ハワートン
ルッソ刑事:ロバート・コスタンゾ
検視官:ミルト・コーガン
エディ:レニー・ヒックス

最終加筆:2024年8月29日

47話「狂ったシナリオ」

Murder, Smoke and Shadows / 1989
レニー・フィッシャー若き天才監督アレックス・ブレイディ(フィッシャー・スティーブンス)が、かつての友人レニー・フィッシャー(ジェフ・ペリー)を殺害。ブレイディが無名時代に自分の妹を見殺しにしたことの復讐にきたためです。広大な映画スタジオが舞台ということでスケール感もあり、エンタテインメント性もあります。新リーズではダントツで好きな作品です。

フィッシャー・スティーブンスはグッド

フィッシャー・スティーブンス犯人アレックス・ブレイディ役のフィッシャー・スティーブンスには存在感を感じました。子供がそのまま大人になったような性格ですね。年齢こそ若いですが、天才映画監督ということで、犯人の風格は出ていました。

犯人ゲストスターと、コロンボ警部の年齢関係が逆転

ブレイディの描き方は面白いです。自分は「映画の天才」だと思っているのに、一見無能に映る中年の刑事に次々に「ボロ」を出します。おそらく計画的な殺人ではなかっため、彼自身かなり悔やまれる犯行状況だったと推測されます。新・刑事コロンボからは、このように犯人と警部の年齢関係が逆転し、かつてのように「コロンボ君」と警部を呼べるような犯人は極めて少なくなります。

成功者の転落劇は健在

スティーブン・ヒルポイントは主人公ブレイディが世間が羨む典型的な成功者に見えて、実はすでに将来が破綻している状況であることです。業界の大物で恩人のモロスコ氏(スティーブン・ヒル)から見捨てられましたね。周囲の人間から疎まれており、協力者はささやかな「あやかりたい願望」で、すり寄ってくる人くらいです。

秘書のおばさんローズが素晴らしい

ナン・マーティンあげくの果てに、秘書のおばさんローズや元恋人の女優にまで裏切られ引導を渡されてしまいます。秘書ローズを演じたのはナン・マーティンです。確かに良い女優さんでしたし、ファンが多いのも頷けます。また、吹き替えの此島愛子さんも抜群でした。

モリー・ヘーガン

モリー・ヘーガンアレックス・ブレイディの元恋人で、ラストでブレイディを裏切る女優ルース・ジャニガンは「モリー・ヘーガン」です。ブレイディと一緒にチョコレートサンデーに燥(はしゃ)ぐなど、二人の子供っぽい関係を演じています。彼女は63話「4時02分の銃声」で、犯人のフィールディング・チェイスの娘ビクトリア役でも出演しました。このモリー・ヘーガンは映画「ハドソン川の奇跡(Sully)」に客室乗務員ドリーン・ウェルシュ役で出演しています。

エンディングはかつてのコロンボ風ではない…でも許す!

リサ・バーンズエンディングの演出は、もうかつての刑事コロンボではありませんね。ハリウッド映画のようでした。だとしても面白かったですよ。警官(ベニントン巡査部長:リサ・バーンズら)が俳優になって、犯人と秘書の会話の証人になるってのは、よく考えたな~って感心です。しかもその布石が前に犯人が仕組んだ演出劇への報復だったということで、爽快な最後でした。

警備員はフィル・コルセット

アル・プリエセ刑事コロンボの面白さは、一度見ただけでは決してすべてを楽しめないことかもしれません。その点は、この「狂ったシナリオ」にもあてはまります。最初に見た時はブレイディが仕組んだ「大芝居」に出演の警備員フィル・コルセット(演:アル・プリエセ)の態度が不自然だとは気付きませんでした。

老けたバーク刑事B

ジェローム・グアルディノ41話「死者のメッセージ」43話「秒読みの殺人」などで活躍したバーク刑事B「ジェローム・グアルディノ」が登場。ちょっと老けたかな〜、でも相変わらずの無能ぶりでした(笑)32話「忘れられたスター」で射撃テストの身代わりになる役を演じました。

音楽はパトリック・ウィリアムズ

音楽は、パトリック・ウィリアムズが担当しています。41話「死者のメッセージは特に音楽が素敵」を皮切りに、43話「秒読みの殺人」、45話「策謀の結末」と立て続けにコロンボ作品の音楽を担当。それらが素晴らしい仕上がりになっています。この「狂ったシナリオ」のオープニングもアップテンポなワルツ風の音楽ですごく印象に残りました。その主題が、楽器やテンポを変化させて、作品全体に流れています。

ハチャトゥリアン「仮面舞踏会」

このワルツですが、ハチャトゥリアンの名曲「仮面舞踏会」に雰囲気がとても良く似ています。気になった方はぜひYouTubeなどでご視聴ください。ハチャトゥリアンには他にも「剣の舞」という誰でも一度は聞いたことのある有名な曲もあります。

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:リチャード・アラン・シモンズ
音楽:パトリック・ウィリアムズ

アレックス・ブレイディ:フィッシャー・スティーヴンス(声:池田秀一)
レニー・フィッシャー:ジェフ・ペリー(声:星野充昭)
ローズ・ウォーカー:ナン・マーティン(声:此島愛子)
ルース・ジャニガン:モリー・ヘイガン(声:佐々木優子)
モロスコ:スティーヴン・ヒル(声:池田勝)
バーク刑事:ジェローム・グアルディノ
フィル・コルセット:アル・プリエセ
ベニントン巡査部長:リサ・バーンズ
セウェル:スチュワート・J・ツリー
ツアーガイド:メグ・ジェームズ

加筆:2024年10月8日

48話「幻の娼婦」

Sex and the Married Detective / 1989

この作品は好き嫌いが分かれます

リンゼイ・クローズ女性心理学者ジョーン・アレンビー(リンゼイ・クローズ)が恋人でもあるパートナーのデービッド・キンケードを殺害。2009年BS Hi(現BSプレミアム)での放送を初めてみました。これは私がノーマーク時代のコロンボ作品でした。作風は私の好みではありませんが、紛れもなく刑事コロンボの一作品であります。

犯人の職業設定にも苦労したのか?

犯人も多彩になってきた印象です。当時は視聴率へのプレッシャーから様々な努力をしたのでしょうね。妖艶な絵作り・音楽…全体的にそのようなムードで描かれています。ただし、このような雰囲気・音楽が好きだというファンもいらっしゃいまして、それも頷ける点です。2021年の再放送をご覧になったゲストさんが、参考になるコメントを書いてくださったので、読んでみてください。

音楽はパトリック・ウィリアムズ

音楽は、パトリック・ウィリアムズが担当しています。41話「死者のメッセージは特に音楽が素敵」を皮切りに、43話「秒読みの殺人」、45話「策謀の結末」と立て続けにコロンボ作品の音楽を担当。それらが素晴らしい仕上がりになっています。新シリーズでは47話「狂ったシナリオ」や50話「殺意のキャンバス」もパトリック・ウィリアムズです。

賛否両論の「賛」

この作品は倒叙法で書かれていますし、コロンボ警部の地道な捜査によって事件が解決されるという、あるべきスタイルは守られていますよね。37話「さらば提督」よりこっちの方が好きです(笑)キャメルヘアのコートの商品タグ、デービッドのキーの件、待たせたタクシーの怪など。面白い「ひっかかり」もたくさんありました。

女性トイレに長蛇の列

警部がミュージックホールの女性トイレを調べるシーン、その後、女性たちの長蛇の列ができています。「こんなに?」と思いますが、クラシックコンサートの休憩時間と重なったわけです。そのシーンの切り替えのBGMが楽曲の終わりを意味していて、よく考えられたユーモアシーンです。

賛否両論の「否」

後半になってジョーンはまたリサに扮装し、夜のクラブをハシゴして、お金や伝言をばらまき、指紋をベタベタ残し、バーテンダーなどにも印象づけるような行動をしています。このシーンはどういう意味なのでしょうか?

お色気の有無は別として

ジュリア・モンゴメリークリニックで働く助手シンディを演じたのは女優:ジュリア・モンゴメリー。一部のコメンテーターからは、むしろ主役のジョーンより美人だという意見もありますが、どうでしょう?私にはちょっと軽い感じがして、役柄としてはそれ以上の魅力は感じませんでした。

またまたバーク刑事

スチュワート・J・ツリー今回バーク刑事Cを演じたのは俳優スチュワート・J・ツリー。「今回」と強調したのは、この「バーク刑事」はよっぽどコロンボ警部のお気に入りらしく、「トッド・マーティン」「ジェローム・グアルディノ」に次ぐ三代目なのです。演じる俳優こそ異なりますが、皆それぞれ、良い味を出しています。

重要ではありませんが、このビル

アレンビー・クリニック番組内に登場するこのビル、アレンビー・クリニックがテナントで入っていますが、65話「奇妙な助っ人」と66話「殺意の斬れ味」にも登場します。いずれも下から上に眺めるようなシーンで、同じフィルムを使い回したのでしょうか?

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:ジェラルド・リー・ルドウィッツ
音楽:パトリック・ウィリアムズ

ジョーン・アレンビー:リンゼイ・クローズ(声:鈴木弘子)
デービッド・キンケード:ステファン・マクト(声:堀之紀)
シンディ:ジュリア・モンゴメリー(声:井上喜久子)
ヘレン・ヘンドリクス:マージ・レッドモンド(声:麻生美代子
バーク刑事:スチュワート・J・ツリー
ウォルター・ネフ:ケン・レマー
サイモン・ウォード:ピーター・ジュラシック
ノーム:デイブ・フロレク
チャーリー:ハリー・ジョンソン
バーク刑事:スチュワート・J・ツリー

加筆:2024年8月29日

49話「迷子の兵隊」

Grand deceptions / 1989

犯人が悪人なだけに、殺害動機は十分!

ロバート・フォックスワースこれは初回放送時に見ています!国防関連財団の幹部ブレイリー大佐(ロバート・フォックスワース)が部下のキーガン曹長を殺害。殺害動機は十分でブレイリー大佐が財団を利用し私腹を肥やしていたり、名誉会長であるパジェット将軍の妻との愛人関係を暴露すると脅迫されたためです。

「祝砲の挽歌」に似ているか?

この作品を最初に見た時は「祝砲の挽歌」とイメージが重りましたが、しかし何回も見てみると、随分違うテイストでした。とにかくブレイリー大佐なる人物がかなりの悪人で、戦争帰りの「タフさ」が悪の方向に向いています。殺されたキーガン曹長は生き様として正当性を感じませんので、ドラマ自体に美しさは全くありません。殺害状況には若干無理を感じますが、全体の流れとして受け止めることはできます。

物語は、結構面白いのです

キーガン曹長が「恐喝」という新たな職を得たこと。愛人関係にあったパジェット将軍の妻ジェニーがコロンボの車を発見し、密会場所に現れなかった場面。笑いを誘う教会のシーン。いろいろ見どころはありましたね。秘密のファイルが「赤と緑」に色分けされている設定も笑えます。パジェット将軍は美しく描かれていると感じました。軍人とはかくあるべき、でしょうね。

ただし、トリックには大疑問です

決め手になる段ボール箱の件は、容認できません。私は何回も引っ越した経験がありますが、宅配業者に問い合わせれば「中身が本であったか否か」は歴然。本が段ボール箱いっぱいに詰まっていれば、重くて容易に持てませんね。パーティ当夜:軍隊ミニチュアと書かれた段ボール箱が届きますが、これをブレイリー大佐ご本人でさえ、持ち抱えられず引きずっています(笑)

その点、中身が人形であれば重量は数分の一です。なので、段ボールの容積を量る以前の問題です。また「人形を並べていた=強力なアリバイがある」というものかなり強引な印象です。共犯者がいた可能性がゼロであれば別ですが。

すでに敗色濃厚だ

日本語版では犯人ブレイリー大佐が「すでに敗色濃厚だ」という台詞で終わります。これは、コロンボ作品らしいエンディングで気持ち良いです。権利の説明とコロンボ人形のアップのシーンは、新シリーズならでは…かな。

邦題「迷子の兵隊」

原題は「Grand deceptions」で直訳「壮大な詐欺」となりました。軍隊と全く無関係のタイトルになってしまいますので、「迷子の兵隊」は大正解でしょうか。この迷子の兵隊とは殺されたキーガン曹長を比喩したものと考えます。刑事コロンボ’90版では「おもちゃの兵隊」というタイトルでしたか、「迷子の兵隊」の方が好きかな~。

スティーブン・エリオット

スティーブン・エリオット出演した俳優陣は好きでした。パジェット将軍のスティーブン・エリオットは声優の北村和夫さんとセットで大満足です。エリオットは初期作品31話「5時30分の目撃者」でジョージ・ハミルトンに殺される被害者「カール・ドナー」として出演。日本語の北村和夫さんは「権力の墓穴」ハルプリン次長も素敵。

ジャネット・エイルバー

ジャネット・エイルバー将軍の若き夫人ジェニーのジャネット・エイルバーも印象に残りました。単にパジェット将軍の地位と名誉に目がくらんだようには描かれていませんでしたね。特に「ダンスタン」のアパートの下で、コロンボの「プジョー403」と出くわすシーン。その後、夫のパジェット将軍にそのことを告白する演技など、良かったです。

アンディ・ロマノ

アンディ・ロマノキーガン特務曹長のアンディ・ロマノも良かったです。軍人アガリのタフさが出ていてリアリティがありました。「ポッポ」「ネンネ」など、下品なスラングを連呼するも、綺麗好きな一面もあり、独特のキャラクターが際立っていました。

マイケル・マクマナス

マイケル・マクマナス教会のシーンで登場するキーガンの戦友「タンザー曹長」を演じたのは、マイケル・マクマナス。表情豊かに演技をしていて、とてもよかったです。たたき上げの軍人っぽさも出ていて印象に残りました。

リン・クラーク

リン・クラーク財団に勤める事務員(秘書)のマーシャは女優リン・クラーク。カラッと陽気で天真爛漫な感じで、すごく可愛かったですね。似た感じの秘書さん、他の作品にも登場します。今度まとめてみます。

日本語版吹き替えは羽佐間道夫さん

ロバート・フォックスワースの吹き替えの羽佐間道夫さんは絶妙です。日本声優界の大御所の一人です。シルヴェスター・スタローンのロッキーなど数々の名作で吹き替えを担当。マイナーな仕事ですが「巨人の星の速水譲次」では、意地悪な声色が強烈で大好きでした。
そして、ロバート・フォックスワースは、日本でも大人気を博したテレビドラマ「奥さまは魔女」のサマンサ役「エリザベス・モンゴメリー」と結婚していました。

監督:サム・ワナメイカー
脚本:シイ・サルコッツ
音楽:ジョン・カカヴァス

フランク・ブレイリー:ロバート・フォックスワース(声:羽佐間道夫
ジャック・パジェット:スティーブン・エリオット(声:北村和夫
ジェニー・パジェット:ジャネット・エイルバー(声:宗形智子)
レスター・キーガン:アンディ・ロマノ(声:麦人)
タンザー曹長:マイケル・マクマナス
秘書のマーシャ:リン・クラーク
民兵:リー・アレンバーグ
民兵:ジョン・ウイリアム・ギブソン
民兵:ステファン・クァドロス
伍長:バーネット・リス
検視官:ミルト・コーガン
 
加筆:2024年8月29日

50話「殺意のキャンバス」

Murder, a Self-Portrait / 1989

美しい作品ではあると思いますが…

画家マックス・バーシーニ(パトリック・ボーショー)が隣に住む前妻ルイーズを殺害。犯人の存在感、浜辺の豪邸付近で繰り広げられるシーンは、とても美しく描かれています。が、コロンボ作品としてはちょっと不満な面も…。

心理描写のシーンはコロンボ的でないよね

犯人である画家がコロンボの絵を描いてあげる。その被写体の男に犯行が暴かれようとしている‥という変な人間関係。目障りではなかったか(笑)また犯行のきっかけである「前妻と心理学者の再婚」というエピソードは良いのですが、心理描写(夢)のモノクロシーンは、ぼろんこの好みではありませんでした。夢を何度にも分けて説明するのも、引っかかりました。

冒頭の犬コンテストは…

本題とはほぼ無関係と思われる、冒頭の犬コンテストのシーン、名犬「キング・アーチボルド」の飼い主との会話。以前のコロンボ作品にはこのような無意味な仕掛けは少なかった気がします。「アーチボルド」の名は、34話「仮面の男」でネルソン・ブレナーの口からも出ています。→愛犬ドッグ

シェラ・デニス(シーラ・ダニーズ)が久々の登場

シェラ・デニスバーシーニの二番目の妻ベネッサは、ビーターフォークの奥様としても有名な「シェラ・デニス」。42話「美食の報酬」で、料理評論家のポール・ジェラードの秘書を演じてから約10年ぶりの再登場でした。この後にも数回、新・刑事コロンボに登場しますが、今回が一番髪の色が黒かったです。

名優ヴィトー・スコッティが最後の出演

ヴィトー・スコッティまた舞台となるレストランのオーナー「ヴィトの店」の店主は旧作・刑事コロンボシリーズで数回出演している名脇役の「ヴィトー・スコッティ」です。これまでは「ちょい役」が多かったのですが、今回は満を持しての登場で、かなり重要な役割でした。

久々の大物登場

パトリック・ボーショーバーシーニ役のパトリック・ボーショーは流石。日本語吹き替えは「森山周一郎」さんで、むちゃくちゃ存在感ありました。35話「闘牛士の栄光」リカルド・モンタルバンに匹敵する迫力でした。森山周一郎さんは宇宙大作戦(TV版スタートレック)のカーン(演:リカルド・モンタルバン)の声も担当しています。

マックス・バーシーニの家

海岸沿いのマックス・バーシーニの家は、言わずと知れたマリブ地区。刑事コロンボ歴代の犯人たち(笑)が居を構えます。
マリブ〜ヴェンチュラ(コロンボマップ)

マックス・バーシーニの家

監督:ジム・フローリー
脚本:ロバート・シャーマン

マックス・バーシーニ:パトリック・ボーショー(声:森山周一郎)
ルイーズ:フィオヌラ・フラナガン(声:沢田敏子
バネッサ:シェラ・デニス(シーラ・ダニーズ)(声:塩田朋子)
ジュリー:イザベル・ロルカ(声:土井美加)
ヴィト:ヴィトー・スコッティ(声:村松康雄)
ハマー医師:ジョージ・コー
ラルフ:デビッド・バード

加筆:2024年8月29日

51話「だまされたコロンボ」

Columbo Cries Wolf / 1989

邦題「だまされたコロンボ」は、てんでイケません

「だまされたコロンボ」という邦題が残念。原題は「Columbo Cries Wolf」で「狼少年コロンボ」といったところ。それでも残念。「コロンボ」がタイトルになるようではね~、少し物足りませんね。

バチェラーズ・ワールド

有名雑誌「バチェラーズ・ワールド」の共同経営者が仕組んだが失踪劇が実は狂言で、コロンボが騙されてしまいます。前半で容疑者となるスターカメラマン「ショーン・ブラントリー」は自信満々で憎らしい程ですが、実はもう一人の経営者ダイアン・ハンターに手玉に取られ、結局彼女を本当に殺してしまいます。

ダイアン・ハンターはディードル・ホール

ディードル・ホール共犯で被害者のダイアン役:ディードル・ホールは今回のテーマ「雑誌モデル業界」らしく美しい女性でした。この女優さん、23話「愛情の計算」のちょい役「研究所の受付嬢」役で出演しています。セリフも大写しもないのですが、なぜかクレジットされています。彼女は1947年生まれでこの時が27歳。本作が42歳となり若くて美しいですね!

イアン・ブキャナンは印象的

イアン・ブキャナン犯人ショーン・ブラントリー役のイアン・ブキャナン(声:中尾隆聖さんはテレビ版「あしのジョー2」のカーロス・リベラ)は小憎らしい役を好演しています。ゲストスターの存在感が微妙な新シリーズの中では、かなり良い感じでした。イアンは1957年生まれの32歳でディードルとは歳の差10歳もあるんですね。

外見の美醜がクローズアップされた作品

レベッカ・スターブモデル役のレベッカ・スターブも美しく描かれていました。グラビアモデルたちがコロンボ警部を、まるで汚いものを見るように見下していた様子も興味深いです。やはり外見に自信がある人間はそうでない人間を馬鹿にしているのでしょうか。ちなみにレベッカは1961年生まれの28歳でした。

コスナー役はマーク・マーゴリス

マーク・マーゴリス運転手コスナー役のマーク・マーゴリスは、カッコ良かったです。この作品、新シリーズの中ではキャストが良かった気がしますね。

カメラマンという職業としては、イマイチ

私はこのように外見の美しさをテーマにした作品は、あまり好きではありません。今回は犯人がスチールカメラマンだったのですが、彼の職業そのものにはスポットは当たりませんでした。むしろ、モデル業界の華やかさが前面に出ていましたね。同じ成功者でも、その道の一流としての主人公の方が魅力は上回る気がしています。

クレーマー刑事が登場か!

ブルース・カービー記者会見の場面で、クレーマー刑事「ブルース・カービー」が出演しています。最後にお目にかかった37話「さらば提督」から早13年ですが、若々しいですね!ノンクレジットで、クレーマー刑事だとは断言できませんが、そう思っても良いでしょう。

大出世?いや、別人?

ジョン・フィネガンさらには、コロンボシリーズの名脇役として有名な「ジョン・フィネガン」が、ロス警察の本部長として登場。これは「ダフィ警部」が出世したとは言い難いですが。(笑)

名前だけ再登場、こっちは本当に出世してた?

ダーク刑事部長13話「ロンドンの傘」で登場した、ロンドン警視庁の「ダーク刑事部長」が名前だけ再登場しています。部長から局長に(出世諸説あり)してます!この作品を見て「ロンドンの傘」を見ていない人は少ないと思いますが、念のために説明しました。

「パイルD-3の壁」よ、もう一度。

後半の展開はスピーディで、ひょっとしたらこの後半だけでも十分作品ができた気もしますが、9話「パイルD-3の壁」の焼き直し的にも見えます。コロンボ作品中、最も長く感じるものの一つでした。成功者が保身のために人を殺すという、コロンボ作品の原点みたいな部分は好きです。

哀愁を感じるエンディング

GOTCHAそれでも、エンディングはカッコ良いですね。ピタっと決まった印象です。「GOTCHA」は「ガッチャ」と発音し「捕まえた!」みたいに使われる口語表現。一説によると「ガッチャマン」の語源でもあると言います。(他の説もあります)

監督:ダリル・デューク
脚本:ウィリアム・リード・ウッドフィールド

ショーン・ブラントリー:イアン・ブキャナン(声:中尾隆聖)
ダイアン・ハンター:ディードル・ホール(声:翠準子)
ティナ:レベッカ・スターブ
コスナー:マーク・マーゴリス(声:田中康郎)
サー・ハリー・マシューズ:アラン・スカーフェ(声:阪脩)
クレーマー刑事:ブルース・カービー
本部長:ジョン・フィネガン
市長:デビッド・ハドルストン
秘書:ジジ・ライス

加筆:2024年8月29日

52話「完全犯罪の誤算」

Agenda for Murder / 1990

政界入りを目論む弁護士オスカー・フィンチが自分の過去の汚点を知るステイプリンを殺害。フィンチは下院議員ポール・マッキーを支援し将来の司法長官を目指すが、無名時代にマッキーと共に犯した「証拠書類隠滅」をネタにステイプリンより脅迫されて犯行に至ります。

パトリック・マクグーハンが登場

犯人役のパトリック・マクグーハンはコロンボ作品中、最も重要だとも言えるゲスト俳優。異常な程時間にシビアな犯人フィンチが、日本人には理解し難い下ネタジョークに大笑いしたり、タイヤを鳴らして急発進したりする場面はこっけい。このフィンチの最大の欠点が「つまみ食い」であるというのも、かなり計算された笑いどころだと感じます。

殺しの場面に血を使わないコロンボシリーズだったが…一滴だけ

殺人シーンの描き方は緊張感が漂うものでした。けど、撃たれた後に血が一滴?は若干違和感があります。それでもフィンチの工作シーンや、殺害後オフィスに戻って濡れた髪を乾かす仕草など、良く描かれていました。

新シリーズ中では最高ランクの作品

音楽の使い方も好きでした。冒頭のシーンの「デキシーランドジャズ」は印象的ですし、撃たれた時の効果音的な音楽も絶妙でした。エンディングの「命取りでした」というコロンボの言葉で画面が固まる場面など、新・刑事コロンボの作品の中ではとても良いの出来だと言えます。

オスカー・フィンチの人物像は、強烈!

パトリック・マクグーハン弁護士としての名声を博したオスカー・フィンチ。執拗につきまとうコロンボ警部に「死後硬直のアドバイス」をしたり、不敵な笑みを浮かべて自信満々に「電話じゃ人は殺せんよ」とマッキー議員に豪語したり、とても魅力的な描かれていました。そうそう、警部の「プジョー403」を「鉄クズ」と呼んでいましたね。

吹き替えは俳優の久米明さん。やはり流石です。選挙に勝利した祝賀ムードの中でコロンボ警部に「濡れちゃったズボン」と大声で指摘され、「失望したよ、キミ」という台詞を吐くあたり、最高潮です。また「下ネタジョーク」でアイリッシュのジョークは聞きたくないと答えるフィンチ氏。パトリック・マクグーハンはおそらくアイリッシュ系ではないでしょうか?自分はこの手の話には詳しくないので、勉強する必要がありそうです。

マッキー議員

デニス・アーントポール・マッキー下院議員役のデニス・アーント[Denis Arndt]もなかなかの好演です。表ではコロンボ警部に敬意を表しながらも、裏では「猿芝居」呼ばわりしていますね。でも、やはりそこは議員。うっとうしいサインの要求にも笑顔で応えていました。

フランク・ステイプリン

ルイス・ゾリックオスカー・フィンチの弱みに付け込み殺害されるフランク・ステイプリン役はルイス・ゾリック。声優さんの吹き替えもぴったりでとても良い味を出していました。「もし俺が5年くらったら、いや例え半年でも‥俺を見殺しにした奴を良く思わんだろう」は凄みがあります。テレビドラマ「あなたにムチュー(Mad About You)」で主人公の父親バート・バックマンが代表作のひとつ。

モントゴメリー候補

アーサー・ヒル大統領候補のモントゴメリー知事は俳優アーサー・ヒル。大物らしい堂々とした演技で印象に残りました。大草原の小さな家にも出演しているようで、調べてみます。(そして調べてみました)

アーサー・ヒル

アーサー・ヒルこのアーサー・ヒルですが、大草原の小さな家「春の別れ(前後編)」で、チャールズ・インガルスの父親、ランスフォードを演じていました。準主役級でかなり良い役です。ぜひご覧ください。大草原が1976年(54歳)コロンボが1990年(68歳)。

クレーマー刑事出演作品

クレーマー刑事役名としてのクレーマー刑事(演:ブルース・カービー)が出演している最後の作品となります。その後の65話「奇妙な助っ人」では、残念ですがブリンドル刑事。クレーマー刑事は28話「祝砲の挽歌」で初登場、主に第4シーズン第5シーズンを中心に活躍しました。

選挙参謀のティム

スタンリー・カメルモントゴメリー候補の選挙参謀ティムはスタンリー・カメル。良い俳優さんだな〜と思ったら、やはり数々のテレビドラマに出演しています。「名探偵モンク」では神経質な主人公の主治医Dr.チャールズ・クローガーを演じました。しかし2008年に心臓発作で急死。後任ともいえるDr.ネーブン・ベルは33話「ハッサン・サラーの反逆」のヘクター・エリゾンドが担っています。

オスカー・フィンチの秘書ルイーズ

アン・ヘイニーテキパキした感じの秘書ルイーズは女優アン・ヘイニー。仕事に厳しそうな反面、優しさも備えた素敵な役どころでした。彼女はたくさんの映画やドラマに出演しています。

邦題「完全犯罪の誤算」について

「完全犯罪の誤算」という邦題は原題「Agenda for Murder(殺人の計画?)」とかけ離れますが惜しいですね~。フィンチ氏の「忙しさ」を表現すると思われる「Agenda」にこだわった題名が欲しかったと悔やまれます。

オスカー・フィンチの事務所

監督:パトリック・マクグーハン
脚本:ジェフリー・ブルーム

オスカー・フィンチ:パトリック・マクグーハン(声:久米明)
ポール・マッキー議員:デニス・アーント(声:黒沢良)
フランク・ステイプリン:ルイス・ゾリック(声:小松方正)
モントゴメリー候補:アーサー・ヒル
秘書ルイーズ:アン・ヘイニー
フィンチ夫人:アン・ヘイニー
ティム・ヘインズ:スタンリー・カメル
トビー・リット:スティーブン・フォード
レベッカ・クリスティ:アニー・スチュワート
ダイアン:キャロル・バービー
クレーマー刑事:ブルース・カービー

加筆:2024年8月29日

53話「かみさんよ、安らかに」

Rest in Peace, Mrs. Columbo / 1990

殴られるコロンボ警部でした

この作品は決して私の好きな「刑事コロンボ」ではありません。解決手段で、刑事コロンボシリーズ特有の「ひっかけ技」を持ち出していますが、犯人から「人でなし」と殴られる場面も登場しました。2話「死者の身代金」でも、レスリーの娘マーガレットに殴られたのですが、今回はもっとリアルでした。

賛否両論が激しく分かれる

ストーリー展開は一般的なコロンボ作品ではありません。葬式の出席者の回想シーンが繋がっていて、これまでにない独特の味を醸しています。

意外と支持される作品でもある…

一般的なコロンボ作品とは異なる…という点は、発言を撤回できないのですが、この作品がお好きだという方が割と多いのは事実です。コロンボ警部が「かみさんを愛している」風のラストシーンは、私も好きです。62話「恋に落ちたコロンボ」でも、同様の雰囲気を味わえますね。

初期作品びいきのオールドファンからの評価はなかなか得られない傾向ですが、形式に拘らない視聴者にはウケるようです。むしろ活発にご意見を頂けるようで、興味深いですね。

ヘレン・シェイヴァー

ヘレン・シェイヴァービビアンを演じる女優ヘレン・シェイヴァーは、本作の5年前に「ビビアンの旅立ち」という映画に主演しています。何かの縁を感じますね。

ラモンが作るチリは最高だった…

コロンボ警部は補佐役の刑事と一緒に入った「行き着けのレストラン」でチリを注文しますが、いつものシェフ「ラモン」がメキシコに帰ってしまったため味が変わってしまい、店にクレームをつけています。果たして、ラモンは「ティモシー・ケリー」なのでしょうか?。(写真は女主人のグラシエ:ラルー・スタンリー)

ロザンナ・ホフマンが再登場

ロザンナ・ホフマン家を買うお客さんソーンウッド夫人の役で「二枚のドガの絵」の美術学校生トレーシー・オコーナー(ロザンナ・ホフマン)が出演しているとの情報を得ました。前作より約20年後の彼女…次回この点にも注目して見たいです。

ベニー刑事

エド・マクレディ26話「自縛の紐」のトライコン工業のエレベーターの警備員を演じた「エド・マクレディ」が後半の葬儀場面で登場する刑事(車に乗ってくる)役で16年ぶりに再登場しています。

怪しいホテルのクラーク

ドン・カルファ怪しいホテルの胡散臭いフロント・クラーク「クロード」を演じるのは俳優「ドン・カルファ」。この人は65話「奇妙な助っ人」ブルーノのレストランでバーテン「ルディ」と同一人物。ひと癖ある役が似合う俳優さんです。

監督:ヴィンセント・マケヴィティ
脚本:ピーター・S・フィッシャー

ビビアン・ドミートリー:ヘレン・シェイヴァー(声:弥永和子)
チャーリー:エド・ウィンター(声:富田耕生)
リーランド:イアン・マクシェーン(声:柴田秀勝)
ブレイディ:トム・イズベル(声:池田秀一)
ベニー刑事:エド・マクレディ
ソーンウッド夫人:ロザンナ・ホフマン
クロード:ドン・カルファ

加筆:2024年11月1日

54話「華麗なる罠」

Uneasy Lies the Crown / 1990

楽しむ意欲を持って見たくなる作品

歯科医ウェズリー・コーマン(ジェームズ・リード)が妻の愛人である俳優アダムを殺害し、自分の妻の犯行に見せるという話。犯行計画はかなり「きわどい」です。妻や愛人がすべて自分の思い通りに行動しないと成立しません。しかしこれは、新・刑事コロンボシリーズの中では私が好きな作品の一つ。刑事コロンボは旧作の45作のみだ、と断言してしまうと楽しめません。

古典的な作品との共通点

コメンテーターさんからの情報で、この作品の脚本は「旧シリーズのために書かれた」ものだということです。犯人の職業に特化した犯行。「転落回避」「報復」「金銭問題」などを一挙に解決できる殺人動機。「アダムが歯医者に通院」「転落した車のギアがニュートラル」「シャツのポケットに不倫相手夫妻の名入マッチ」「残っていた毒の濃度」「リディアの、2〜3分でもう‥発言」など面白い手がかりも満載。「緊急ボタンの解説」を競馬場のラウンジで、勝手に回線をつなぎかえ実演したことは驚きですが(笑)

ギャンブル好きが祟ってしまう

ただしストーリー全体を冷静に見直すと、犯人のウェズリーは今後この華麗なる家族と一緒にどうやって余生をすごそうと思っているのか?大疑問です。相変わらずのギャンブル好き、殺人犯人となった妻、自分に愛想を尽かした義父。馬鹿は死ななきゃ直らない…と言った感想です。犯人が「頭が良い」というコロンボ作品の理想からは外れました。

奥さまは魔女のダーリン!

ディック・サージェント奥さまは魔女のダーリン役ディック・サージェントが脇役で出演していますが、カミさんと一緒に見ていて「これ誰だっけ?」と一緒に楽しめたことは良い思い出になりそうです。同じくポーカー仲間のナンシー・ウォーカーなどの有名人は、ウェズリーの歯科医院に通ってたようです。

ジョンソン先生はスティーヴン・ギルボーン

スティーヴン・ギルボーン検死医のジョージ・ジョンソン先生は「スティーヴン・ギルボーン(Steven Gilborn)」。この「華麗なる罠」の他、56話「殺人講義」、57話「犯罪警報」58話「影なき殺人者」と立て続けに登場します。とても素敵な俳優さんですよね。

同じく鑑識のおじさん

モーガン・ジョーンズ鑑識のおじさん「モーガン・ジョーンズ」は、この「華麗なる罠」の他に51話「だまされたコロンボ」、56話「殺人講義」にも同役で出演していてちょっと気になる俳優さんです。

なんで、バーニーズ・ビーナリーが駄目だったか?

バーニーズ・ビーナリー2話の「死者の身代金」で登場した「バーニーズ・ビーナリー(写真)」。今回は、ウェズリーが義弟のデイヴィッドと一緒に呼び出される際お店を決めるのに、「バーニーズ・ビーナリー、いや駄目…」と、口にしています。夜の11時だったので、もう閉店後だったのかな。

原題「Uneasy Lies the Crown」

2021年に再度調べてみたところ「Uneasy lies the head that wears a crown」はシェイクスピア「ヘンリー四世」のセリフからの引用だと思えます。「冠をいただく頭は安んぜず」で、偉大なる者には心安まる時はないと訳せるそうです。アダムの治療シーンでウェズリーが「今すぐ処置すべきは右のクラウン(かぶせ歯の意味)」と言っていまして、殺人工作につながる原題だと思えます。(2021年4月15日)

邦題「華麗なる罠」

私は「それに対し邦題の『華麗なる罠』は最低レベルのアイデアです。」と酷評を書いていました。しかし日本語ではクラウンと歯科医の関連性が分かりづらい。ヘンリー四世のセリフも馴染みが薄いので。まったく別のアングルから考えられたのでしょう。

コーマンの豪邸とマルホランド

ウェズリーとリディア夫妻の住む海岸の豪邸は、コロンボ作品で犯人の居住地などで度々登場するマリブ地区です。それに対しアダムの事故現場「マルホランド(モルホーランド)」は、マリブの付近から東西に走る峠道で、バイクや自動車事故が良く起きる場所のようです。

ウェズリーとリディア夫妻の住む海岸の豪邸

監督:アラン・J・レヴィ
脚本:スティーブン・ボチコ

ウェズリー・コーマン:ジェームズ・リード(声:菅生隆之)
ホレス:ポール・バーク(声:大塚周夫)
リディア・コーマン:ジョー・アンダーソン(声:佐々木優子)
アダム・エヴァンス:マーシャル・R・ティーグ
ディック・サージェント:ディック・サージェント
ナンシー・ウォーカー:ナンシー・ウォーカー
ロン・セイ:ロン・セイ
鑑識:モーガン・ジョーンズ
検死医のジョージ・ジョンソン:スティーヴン・ギルボーン

加筆:2024年8月29日

55話「マリブビーチ殺人事件」

Murder in Malibu / 1990

工夫のないタイトル

原題が「Murder in Malibu」ということで、ほぼ直訳の邦題がついています。あまり海岸には関連しておらず、ビーチは要らなかったような気もしますね。題名がストレートな割に、ストーリーはひねった構成になっています。

これも賛否両論あります

アンドリュー・スティーブンス見る側を楽しませるための工夫が随所にあるのだと思いますが、どれにも首をひねりました。犯人ウェイン・ジェニングス(アンドリュー・スティーブンス)は若いキャラクターですし、被害者のテレサの「知的な美しさ」の表現は、もっと見せて欲しかったです。彼が乗る赤いオープンカーは「ジャガー・XK-E」で、アレックス・ベネディクトやトニー・グッドウィン、ジェリー・パークスなども所有していました。

犯人のウェインはプレイボーイ

ブレンダ・バカロ犯人のウェインがプレイボーイで無類の女好きという描かれ方なので仕方ないのでしょうが、事件解決の直前にテレサの姉のジェス(ブレンダ・バカロ)にすり寄るシーンは、ウェインの下品さを強調する演出ですね。

伝統的な「倒叙法」で作品が作られていない

このマリブビーチ殺人事件が作られた1989-1990年あたり、「汚れた超能力」「殺意のキャンバス」「かみさんよ、安らかに」など、突飛なアイデアに走りすぎた感のある作品が多いですね。汚れた超能力では生々しい流血、殺意のキャンバスでの懐古シーン、かみさんよ、安らかに‥などは視聴者を映像的に騙す構成になっています。

この作品は犯人のようで犯人でないかも‥、でもやっぱり犯人っていう作戦でした。私はコロンボ作品は原則的に「倒叙法」が好きですね〜やっぱり。ま、偉そうなこと言っても作品を作る側の苦労は並大抵ではないのでしょうね。お察しします。

ロッカ夫人

ソンドラ・クリージェニングスの恋人の一人、ロッカ夫人(電話をかけてくる女性)は女優ソンドラ・クリーです。彼女は58話「影なき殺人者」でコロンボと一緒に捜査に当たるハバック巡査を演じています。二人はずいぶん雰囲気が違って見えて、一見気づきません。

フロイド・レヴィン

フロイド・レヴィンコロンボ警部は久々にゆで卵を食べながらの登場。初動捜査からコロンボ警部と行動を共にするシュルツ警部は、旧知の間柄だと思われます。ちょっと気になるので調べてみたら「フロイド・レヴィン」という俳優さんで、映画やテレビでかなり活躍されているようにお見受けしました。また、日本語吹き替えは声優永井一郎さんで、サザエさんの「磯野波平」役で有名です。

お父さんは

ビル・ザッカートケーブルテレビの映りが悪かったと文句を言うお父さんは、俳優:「ビル・ザッカート」です。彼は27話「逆転の構図」や33話「ハッサン・サラーの反逆」に刑事役で登場しています。前作から15年が経っていてほぼ面影はありません。

ブログ訪問者さんから情報を得て、検証してみました。

37話「さらば提督」のチャーリー・クレイ邸と、55話「マリブビーチ殺人事件」のテレサ・ゴーレン邸は同じでした。これには両作とも脚本が「ジャクソン・ギリス」であったことも関係しているのでしょうか。

テレサ邸

左:チャーリー・クレイ邸 右:テレサ・ゴーレン邸

周囲が車寄せの道に囲まれた円形の花壇が印象的な豪邸です。マリブビーチというロサンゼルス中心から西の方向に位置します。おそらく近くには「マイロ・ジャナス」「ブリマー」「マックス・バーシーニ」「フィールディング・チェイス」などの有名人が住んでいました。実在の「ピーター・フォーク」の家も近かったようです。

監督:ウォルター・E・グローマン
脚本:ジャクソン・ギリス
音楽:パトリック・ウィリアムズ

ウェイン・ジェニングス:アンドリュー・スティーヴンス(声:大塚芳忠)
ジェス・マクディ:ブレンダ・バッカロ(声:来宮良子)
テレサ・ゴーレン:ジャネット・マーゴリン(声:山田礼子)
シュルツ警部:フロイド・レビン(声:永井一郎

加筆:2021年7月18日

56話「殺人講義」

Columbo Goes to College / 1990

現代に通じる殺人動機…

ジェームス・ストリウス大学生のロウとクーパーが通う大学の担任教授ラスク(ジェームス・ストリウス)を殺害。裕福な家庭に育った不良学生がテスト問題を盗んだことがばれて、口封じに犯行に及びます。これは、21世紀になった今日、日本で起きそうな事件だと思うとゾっとします。

子供のような年齢の犯人と対峙するコロンボ警部

スティーヴン・キャフリー話の進行は、犯人の二人の学生がコロンボを「無能な中年刑事」と見下し、自分たちの都合の良い方向へ捜査を誘導して行きますが、その不自然な行動からすぐさまコロンボに見破られてしまいます。コロンボを尊敬する演技を見せるロウ(スティーヴン・キャフリー:写真)ですが、影で馬鹿にしていることまで、コロンボに見透かされますね。愚かすぎマス。

クーパー・レッドマン

アラン・ファッジもう一人の犯人はゲイリー・ハーシュバーガー演じるクーパー・レッドマン。冒頭近くのシーンで父親に叱られますが、その父親は、俳優アラン・ファッジ‥どっかで見たことある?

アラン・ファッジ

アラン・ファッジこのレッドマンの父親は気付きにくいのですが、22話「第三の終章」に登場する弁護士のデビッド・チェイスと同一人物。さらには46話「汚れた超能力」のCIAのハロー氏とも同一人物。

コロンボ、大学に行く~

犯人が大学生ということで、私の好きな「成功者の転落劇」ではありません。コロンボ警部が大学の臨時講師として招かれ、その時にちょうど事件が起こるというのもちょっと…強引。原題は「Columbo Goes to College」で私流に訳せば「コロンボ、大学に行く~」となり、ダメの3連発。邦題「殺人講義」はそれと比べ良く出来たタイトルと言えます。

フリーモント大学

舞台となる「フリーモント大学」は「ペパーダイン大学」だそうです。だとすると…31話「5時30分の目撃者」で、コリアー先生が勤める大学病院、32話「忘れられたスター」の外科医ランズバーグ先生の病院と同じロケ地だという可能性があります。→廊下に色ラインが描いてある病院

ロバート・カルプ

ロバート・カルプ

ロバート・カルプ物語の後半からは、4話「指輪の爪あと」などで活躍した名優「ロバート・カルプ」が出演しています。犯人の一人ジャスティン・ロウの父親ジョーダン役で、やはりこのような憎たらしいキャラクターが似合います。

テレビのアナウンサー

ラスク教授事件の独占ニュースを報じるテレビ番組のアナウンサーはラリー・マコーミック。実際にLAのテレビ局(KTLA-TV)で活躍したニュースキャスターだそうです。彼は59話「大当たりの死」の「ロト番組」の直前のニュース番組にも出演しています。両方とも「KRVA-TV」というテレビ局の番組です。実在のパロディですね。ちなみに実在のKTLAは5チャンネル、コロンボのKRVAは3チャンネル。

テレビ局「KRVA 3」

Ocean Side East Cafe56

Ocean Side East Cafe57

「KRVA 3」は57話の「犯罪警報」のテレビ局と同じです。架空のテレビ局ですけど、きれいなロゴまで準備していて楽しいです。

ラストの「カミさんの車」は…常套手段化

コロンボ警部が仕組んだ「カミさんの車」は言うまでもなく、25話「権力の墓穴」の再現。53話「かみさんよ、安らかに」でも、同じような手法を用いていて、コロンボシリーズを見続けている人にとっては、またコレか?という印象。

それでも合格点

犯人の二人は、落第点をもらってしまうが、新・刑事コロンボのシリーズの中では、良い仕上がりの作品だと言えます。殺害トリックは40話「殺しの序曲」を彷彿とされるような手の込んだものでした。

監督:E・W・スワックハマー
脚本:ジェフリー・ブルーム

ジャスティン・ロウ:スティーヴン・キャフリー(声:大塚明夫
クーパー・レッドマン:ゲイリー・ハーシュバーガー(声:山寺宏一
ラスク教授:ジェームズ・ストリウス
ジューン・クラーク:キャサリン・キャノン
ラスク夫人:ブリジット・ヘンリー
ジャスティンの父ジョーダン・ロウ:ロバート・カルプ(声:小林修
ロウ夫人:マリー・チータム
クーパーの父レッドマン:アラン・ファッジ
ジョー・ドイル:ジム・アントニオ
ドミニク・ドイル:ウイリアム・ラッキング
検死医ジョージ:スティーヴン・ギルボーン
アナウンサー:ラリー・マコーミック

加筆:2024年9月1日

57話「犯罪警報」

Caution: Murder Can Be Hazardous to Your Health / 1991

千両役者:帰ってきたジョージ・ハミルトン

ジョージ・ハミルトン
人気司会者のウェイド・アンダースが同業者のバド・クラークを殺害。犯人がテレビ業界の有名人、被害者が犯人の過去を知って脅迫、追いつめられた犯人が殺害といった王道のど真ん中をゆく作品。しかも、犯人役には「ジョージ・ハミルトン」を起用。ということで、背景は文句なしです。

原題と邦題

原題の「Caution: Murder Can Be Hazardous to Your Health」は、タバコのパッケージ側面に書かれた(一般的な)注意書き「Caution: Cigarette Smoking May Be Hazardous to Your Health」を文字っています。この「警告:喫煙は健康に害を及ぼす可能性があります」の「Cigarette Smoking May」を「Murder Can」に置き換えているのです。要するに「警告:殺人は健康に害を及ぼす可能性があります」MayをCanにしたのは、少し語気を強めたのか?何か意味がありそうですね。ですので番組名(邦題)の「犯罪警報」にもつながるニュアンスんですね。私は呼びやすい「犯罪警報」の邦題が気に入っています。

大文字と小文字

刑事コロンボの原題はすべて「大文字」なのはご存知の通り。ですので「CAUTION: MURDER CAN BE HAZARDOUS TO YOUR HEALTH」となります。バド・クラークはこの「オールキャップス」スタイルでタイトルを打っていました。それに対し、ウェイド・アンダースは(ほぼ)全ての単語の頭を大文字にする「タイトルケース」を好みました。これは「タバコの注意書き」と同じ手法だという皮肉もあるのでしょうか?

犯行トリックに関しては、全然駄目でした~

自分が刑事でも「吸い殻の不自然さ」は見逃しませんね。犯人のアンダースは、死に至った被害者クラークに対し「だからタバコはやめろと言ったんだ」的な台詞を吐きますが、実は「タバコの知識に疎いくせにタバコを殺人に利用した」ことが命取りだったというオチですね。
特に印象的なのがコロンボ警部から「ニコチンのシミがフィルターについていない(つまり煙草を吸わない人による工作)の怪」を指摘されるシーンでの顔。半開きの眼で自らのミスを後悔する表情はとても良いです。

ダンディな犯人とヨレヨレ刑事の対比

ウェイド・アンダースの紳士ぶりとコロンボ警部の身なりの対比も面白いです。これは旧作20話「野望の果て」で、上院議員候補ヘイワード氏とのシーンを思い出させます。

バド・クラークの逆襲

ピーター・ハスケル殺害されるバド・クラーク役のピーター・ハスケルは好きでした。「まだタバコを吸っているのか?」とアンダースから忠告され「スハ~~~~」って彼の顔に煙を吐きかけて返事をするあたり、なかなかの態度。そのくせ、死ぬ間際に「く苦しい、たすけて~」とアンダースに頼むあたりも憎い。

恥ずかしい過去は、いつかバレたような気も…

ポルノ映画に出ていたことで脅迫される犯人ですが、ビデオ屋の主人もその事実を知っているので、クラークの口を封じでも、やがて明るみになったでしょうね。もう少し頑張ってくれたら、初期作品に匹敵するほど好きになれたと思います。

ジョージ・ハミルトンジョージ・ハミルトンは1974年の31話「5時30分の目撃者」に続く2度目の犯人役。旧作・新作で何れも犯人役を演じたのは、「パトリック・マクグーハン」「ウィリアム・シャトナー」と、この「ジョージ・ハミルトン」の3人のみ。

初期作品風の見所が多い作品

冒頭の劇中劇シーンは、コロンボの物語の一部だと錯覚させる仕掛け。14話の「偶像のレクイエム」を思い出しました。パソコンの出力用紙の指紋に対する発見は、10話「黒のエチュード」のタイプ用紙の一件を思い出しました。監視録画は30話「ビデオテープの証言」。そういう意味では、初期作品を思わせるような見所が多いです。

テレビ局はKRVA 3

Ocean Side East Cafe56

Ocean Side East Cafe57

犯罪警報のテレビ局は「KRVA 3」です。これは56話の「殺人講義」でラスク教授の殺害シーンを放送したテレビ局と同じです。また、59話「大当たりの死」で「ロト番組」が始まる直前にチラッと映る、3チャンネルのニュース番組もこの「KRVA 3」です。

ディレクター「マキシーン」

ペニー・ジョンソン・ジェラルド犯罪警報の女性誌レクター「マキシーン・ジャレット」は、女優ペニー・ジョンソン・ジェラルド。かなり多数のテレビドラマ等に出演しているようで、今後の調査対象です。

KRVA 3の女性社員

マリー・チャンバースKRVA 3の女性社員リサは女優マリー・チャンバース。スラっとした感じの女性で、ちょっと49話「迷子の兵隊」の「ジャネット・エイルバー」に似た雰囲気でした。

インタビュアの東洋系女性

エミリー・クロダアンダース氏にインタビューする東洋系女性リンダは、エミリー・クロダ。その名の通り日系の女優さんのようです。この方も数々のドラマ作品等に出演されています。

検死医のジョージ

スティーヴン・ギルボーン検死医のジョージ・ジョンソン先生(俳優:スティーヴン・ギルボーン)も再登場。鼻メガネの表情がとても印象的で大好きな俳優さんです。

監督:ダリル・デューク
脚本:ソニア・ウルフ・パトリシア・フォード・エイプリル・レイネル
音楽:ジョン・カカヴァス

ウェイド・アンダース:ジョージ・ハミルトン(声:小林勝彦)
バド・クラーク:ピーター・ハスケル(声:麦人)
マキシーン:ペニー・ジョンソン・ジェラルド(声:高乃麗)
検死医ジョージ:スティーヴン・ギルボーン
リサ:マリー・チャンバース
リンダ:エミリー・クロダ
 
加筆:2023年12月17日

58話「影なき殺人者」

Columbo and the Murder of a Rock Star / 1991

もしも「共犯」が前提なら、評価は全然変わってくる

「お面をかぶってスピード違反をしてくれ」と犯人ヒュー・クライトンは、共犯者でもない秘書のトリッシュにお願いしたとのこと。誰かスタッフの一人でも「このお話には無理がある…」と進言できなかったのでしょうか?

それなら最初から「一緒に愛人を殺してくれ」と秘書に依頼すべきだった?‥そうであればグっと真に迫れた気がします。「お面をかぶってスピード違反」は、計算された立派なアリバイトリックです。ただし、毎回共犯者がいるような設定に甘んじては、コロンボ作品としての品格も薄れるでしょうが。

これは知っておきたい!

ダブニー・コールマン犯人ヒュー・クライトンの俳優は「ダブニー・コールマン」。なんとこの人は17話「二つの顔」でマレー刑事役として出演しています。クリフォード家の現場検証のシーンで、けっこうセリフも多く印象に残るキャラクターです。18年前のことで風貌も一変しています。

ゲストスターは女優シェラ・デニス

シーラ・ダニーズ本作のゲストスターはシェラ・デニス(シーラ・ダニーズ)。それに対し犯人役のダブニー・コールマンは「スペシャル・ゲストスター」とクレジットされていることも興味深い。
※ゲストスターとスペシャル・ゲストスターのクレジットは自然でした。(加筆訂正:2022年11月1日)

ダフィ警部(ジョン・フィネガン)が大出世…?

ジョン・フィネガン51話「だまされたコロンボ」で登場した「ジョン・フィネガン」の本部長が、再登場。今回は「クエンティン・コルベット」と名前まではっきり出ていました。本部長(Chief)と言っても、一番偉い警察本部長ではないような気がしますが、どうでしょう?。

ハバック巡査

ソンドラ・クリー一緒に捜査に当たるハバック巡査は女優ソンドラ・クリーです。彼女は55話「マリブビーチ殺人事件」でジェニングスの恋人の一人、ロッカ夫人(電話をかけてくる女性)を演じています。ぜんぜん雰囲気が違いますよ。

検死医のジョージ

鑑識のジョージ鑑識のジョージは新シリーズではお馴染みの俳優:スティーヴン・ギルボーンです。54話「華麗なる罠」、56話「殺人講義」、57話「犯罪警報」にも登場します。

何と本物のリトル・リチャードが登場

リトル・リチャードが劇中で登場します、私の大好きなビートルズのポール・マッカートニーが、リトル・リチャードのカバーをレパートリーにしています。

コロンボとロック・スター殺人事件…

タイトルに使われている曲(題名:クローザー)ですが、なんと歌っているのは「シェラ・デニス」。劇中では歌手マーシー・エドワーズの作品だということです。受賞歴を重ねたスターシンガーにしては、歌唱力がちょっと…。という声もききましたが…やはり(笑)

エンディングにもこの歌が!

2012年にAXNミステリーで見たのですが、エンディングではコロンボ警部が車を運転しながらタイトル曲を一緒に歌っています。それが、恐ろしく下手なんです。ピーター・フォークの肉声(あるいは吹き替え?)だと思われます。ピーター・フォークは他の作品でも歌を歌っていますが、こんなに下手だっけ?調べることにしましょう!(加筆:2012年3月)

監督:アラン・J・レヴィ
脚本:ウィリアム・リード・ウッドフィールド

トリッシュ・フェアバンクス:シェラ・デニス(シーラ・ダニーズ)(声:塩田朋子)
ヒュー・クライトン:ダブニー・コールマン(声:小林清志
マーシー・エドワーズ:シェリル・パリス(声:弘中くみ子)
コルベット本部長:ジョン・フィネガン
ハバック巡査:ソンドラ・クリー
鑑識のジョージ:スティーヴン・ギルボーン

加筆:2023年12月17日