廊下に色ラインが描いてある病院

31話「5時30分の目撃者」で、コリアー先生が勤める大学病院の廊下に「色ライン」が描いてあって、目的地までのガイドになっていたのは印象的でしたね。でもこの病院は、次のエピソード32話「忘れられたスター」の外科医ランズバーグ先生の病院と同じでした!

外科医ランズバーグ医師の病院コリアー医師が勤める大学病院3231

左:ランズバーグ先生の病院 右:コリアー先生の大学病院

32話「忘れられたスター」を見ていて「この廊下のラインは…もしや」と思い、31話「5時30分の目撃者」を見直してみたら…こりゃ怪しいぞ〜、かなり怪しい。で、決め手は「廊下の照明灯」左写真の左手前の円筒形の照明灯、右写真の赤いドアの奥の照明灯も円筒形で、同じメーカーのものだと判る。でも壁の雰囲気が違います。これは「5時30分の目撃者」の受付嬢が「コリアー先生は、ブルーの線に沿って新館です」と案内していることから、ランズバーグ先生の方は、本館(少し落ち着いた雰囲気)ではないかと、推察します。
この病院は「ペパーダイン大学」が舞台になっているとのことです。となると、「コリアー先生が勤める大学病院」「ランズバーグ先生の病院」「殺人講義の大学」がすべて同じ場所ということになります。

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画像更新:2023年12月30日

15話「溶ける糸」

A Stitch in Crime / 1973

ご存知、スタートレックのMr.スポックの登場

レナード・ニモイ心臓外科医のバリー・メイフィールド(レナード・ニモイ)が看護婦で手術助手のシャロンを殺害。私にとっては‥かの有名な「Mr.スポック」の登場ということで、全コロンボ作品の中で最も記憶に深く刻まれた作品でした。犯人がその職業と関連の深いトリックで殺害(計画)するという、王道に当てはまる点でも大好きです。

日本語吹替版

吹き替えがテレビでお馴染みのMr.スポックの声(久松保夫さん)だったらな~って、欲もありますが、残念。ちなみに久松保夫さんは、5話「ホリスター将軍」の役をされましたね。

コロンボシリーズ中「最悪の人物」

私の印象としては「動機不十分」です。がしかし、それを上回るメイフィールドの悪人像は強烈です。自分を信頼してくれている恩師ハイデマン博士を殺害しようと計画。しかし、そのトリックを手術助手のシャロンに見抜かれそうになると一転、シャロンを殺害。この殺害が予期せぬ行動となり、コロンボ警部に矛盾を次々に暴かれてゆきます。そして、そのシャロン殺害をハリー・アレキザンダーなる元麻薬常習者の犯行に見せかけるため、アレキザンダーを殺害するという、凄まじい殺人鬼ぶりです。

「非論理的」って台詞すら出なかったが…冷静沈着なMr.スポック。

その犯行がすべて「沈着冷静で論理的?」に淡々と行われます。スタートレックでのMr.スポックとイメージがダブって、より一層ストーリーを引き締めていますね。しかしその冷静さが、コロンボ警部の目に止まり容疑者と特定され、しかも未遂に終わるハイデマン博士殺害計画の証拠を、博士の体内より引き出させてしまうという…コロンボファンにとっては美味しすぎる展開。そしてラストシーンも、この作品に相応しく「完璧に楽しめる」ものだったと言えるでしょう。

コロンボと犯人の対決を堪能できる作品

この「溶ける糸」では犯人の冷酷な連続殺人に対し、コロンボ警部が心からの怒りをぶちまけ「対決」宣言し、ラストシーンを向かえます。「コロンボ警部」対「頭脳明晰な犯人」という刑事コロンボシリーズの最大の醍醐味が最も良く表現された作品の一つです。この雰囲気(犯行後にも裏付け工作などをする…etc.)を持った作品としては、16話「断たれた音」も大好きです。
その反面、6話「二枚のドガの絵」、20話「野望の果て」、25話「権力の墓穴」などは、犯人が「少し間抜けで滑稽に感じる」「よせば良いのに…自分から罠にハマって来る」もので、別の意味で楽しめる作品です。

アン・フランシスが好演

アン・フランシス殺害された手術助手のシャロン・マーチン役はアン・フランシスで8話「死の方程式」の秘書ビショップ役と同一人物。口元のほくろが印象的なセクシー女優(?)ですが、今回は真面目な人柄の役を演じています。

一番好きな殺害シーン。

不謹慎な表現になりますが、刑事コロンボシリーズで一番好きな殺害シーンは?と聞かれたら‥本作の「シャロン殺害シーン」だと、答えるかもしれません。病院の駐車場、勤務を終えたシャロンの車に忍び寄るメイフィールド。シャロンは彼の殺気に気づき「私を殺すの?本気なの?」という恐怖を訴え、直後にバッグとキーが地面に落ちる。絶叫も流血もない。そのあと眠そうなコロンボ警部が現場検証にやってくる。これぞ刑事コロンボの絵作りですね!

ゆで卵が大好きなコロンボ警部

余談ですが、このお話の中でコロンボ警部が持参の「ゆで卵」を殺人に使われた凶器で割って食べるシーンは人気が高いと聞きます。実はこれはこの朝「2個目のゆで卵」で、1個目は車のボンネット付近で割って食べています。その後のシーンでメイフィールド医師から「胃薬」をもらいますが、おそらくゆで卵の食べ過ぎが原因ではないでしょうか?

このシーンに登場する刑事

ビクター・ミランこのシーンに登場する刑事はビクター・ミランという俳優さんで、ラテン系なお顔で印象に残りますが、この人は19話「別れのワイン」のテレビニュースで解説するお医者さんにそっくりです。

ハイデマン博士

ウィル・ギア殺されかけたハイデマン博士(演:ウィル・ギア)」もやさしいおじさん風で良いですね。次作である16話「断たれた音」のトムリン・デューディックと、キャラが被ります。ウィル・ギアは本作の5年後1978年に76才で亡くなっています。

ニタ・タルボットも可愛い

ニタ・タルボット看護師シャロンの友人「マーシャ・ダルトン(演:ニタ・タルボット)」が可愛かったです。コロンボ警部やメイフィールド医師とのやりとりは、微笑を誘いますね。刑事コロンボに登場する脇役女優の中でも、特に大好きです。

看護師モーガン

アネタ・コルソーシャロンの後任でハイデマン博士のお世話をしたモーガン看護師は女優:アネタ・コルソー。この女優さんも、ちょっといい雰囲気でしたね。数々のテレビドラマに出演しているようです。

ハリー・アレキザンダー

ジャレッド・マーティン悲しい運命を辿ってしまうハリー・アレキザンダー(演:ジャレッド・マーティン)。Wikipediaによると、「白バイ野郎ジョン&パンチ」「ナイトライダー」「ジェシカおばさんの事件簿」など、お馴染みのテレビドラマにも出演しています。

決め手となった溶ける糸

メイフィールドが「コロンボのポケットで見つかった溶ける糸」に見覚えが無い…としらを切った場合は?という質問コメントを頂き加筆します。
糸には…
ハイデマン博士の血液が付着している。
染色して溶けない糸に見せかけている。
メイフィールド医師がコロンボのポケットに糸を放り入れた…ことは認めなくても、糸の存在が決定的証拠となりそうです。だからメイフィールドは、溶ける糸を処分したかった。その一時的な隠し場所が、コロンボのポケットというわけです。もしハイデマン博士が溶ける糸の影響で死亡すれば検死解剖により、メイフィールド医師が殺害目的に使用したことはバレてしまいます。リスク覚悟で溶ける前に体内から取り出そうと決めたわけです。

病棟のエレベーターが同じ!

15話「溶ける糸」と、16話「断たれた音」の病棟のエレベーターは同じでした。廊下の天井の照明の配列が似ていますが、色が違って見えます。内装の配色も、溶ける糸は地味で断たれた音はかなり派手なので、同じ病院かどうかは、定かではありません。詳しくは「皆さん同じ病院に入院?」をご覧ください。

溶ける糸のエレベーター15

断たれた音のエレベーター16

溶ける糸のエレベーター15

断たれた音のエレベーター16

音楽担当はビリー・ゴールデンバーグ

メイフィールド邸でのパーティで使われているBGM、特にコロンボ警部の車が走っている場面でよく聞こえます。この音楽は2話「死者の身代金のテーマ」と同じです!作曲家は「ビリー・ゴールデンバーグ」。70年代っぽいポップなサウンドなので、聞いてみてください。

刑事コロンボマップ

監督:ハイ・アヴァーバック
脚本:シリル・ヘンドリックス
音楽:ビリー・ゴールデンバーグ

バリー・メイフィールド医師:レナード・ニモイ(声:天田俊明)
シャロン・マーチン看護婦:アン・フランシス(声:翠準子
ハイデマン博士:ウィル・ギア(声:巖金四郎)
マーシャ・ダルトン:ニタ・タルボット(声:佐原妙子)
ハリー・アレキザンダー:ジャレッド・マーティン(声:津嘉山正種)
看護師モーガン:アネタ・コルソー(声:沢田敏子
私服刑事:マイク・ラリー
 
加筆:2023年9月19日

16話「断たれた音」

The Most Dangerous Match / 1973

チェスのチャンピオンである「エメット・クレイトン」だが、かつてのチャンピオン「トムリン・デューディック」氏が復帰し、自分に挑戦して来たことに恐怖し、夢にうなされる有様。対決前夜にレストランで二人きりで勝負するが、あえなく敗北したクレイトンはデューデックの殺害を決意します。密会対決での敗北に、二人の実力差を思い知ったためです。

最高級の犯人役:ローレンス・ハーヴェイ

ローレンス・ハーヴェイ犯人役のローレンス・ハーヴェイは、全コロンボ作品中最高級の存在感を見せてくれました。作品としてもかなり好きです。短期間に犯行を計画したクレイトンですが、そこはやはり抜群の記憶力に裏付けされています。

しかし、それを上回るコロンボ警部の「着眼点」には恐れ入ります。「便せんでなくメモ用紙」「入れ歯なのに歯ブラシ」など、被害者をよく知らなければ気がつかない点を見逃しません。さらに「ボールペンのインク」への着眼は流石だと言えます。

卑怯な勝負師

冒頭の夢のシーンでもわかるように、クレイトンは自分の今の地位「チェスのチャンピオン」からの陥落を非常に恐れ、半ばノイローゼ気味になっています。自分は将棋が好きで名人戦など良くテレビで観戦するのですが、勝負ごとには必ず勝者と敗者ができるわけで、負けた時の潔さも含めた品格を問われる分野でもあると思います。クレイトンはそれを逸脱していました。今回の挑戦者トムリン・デューディック氏は、好敵手とて堂々と闘った結果に破れたとしても十分納得できた相手であったはずです。

頭が良く、自信過剰な犯人との対決劇

ストーリー展開の中で、しつこいコロンボ警部と頭脳明晰な犯人とのやりとりも、刑事コロンボシリーズ中で最高評価に近い醍醐味を与えてくれました。それにしてもクレイトン氏はもちろん相当な頭脳の持ち主ではありますが、棋士としてはかなり「短気で怒りっぽい」性格ですね。将棋などのテレビ中継を見る限り、戦いの後はどちらが勝者・敗者であるか見分けられないこともあるほど、棋士はあまり本当の感情を出さないものですが、これは日本人特有なのでしょうか。

逆・筆記用具忘れ!

普段筆記用具を忘れて人から借りる癖があるコロンボですが、今回は何と、記憶力抜群のクレイトンがボールペンを忘れ、それをコロンボが本人に届けます。しかも…こっそり「試し書き」をしてから返すところが流石。
→コロンボはよく「筆記用具を忘れる」件

名台詞「縦から見ても、横から見ても」

この話で興味深い展開となっている最大の要因は「殺そうと思ったが失敗した」点につきるかと思います。なぜ失敗したか?はラストシーンに集約されます。解決編では、決定的な物的証拠を見せるには至りませんが「縦から見ても、横から見ても、耳の聴こえない人物が犯人である」という、コロンボの警部の名台詞で結ばせたことで、この作品の品格を決定的に高めてくれていると感心します。

元チェス王座のトムリン・デューディック

ジャック・クリューシェントムリン・デューディック役のジャック・クリューシェンは最高級の被害者役を演じてくれました。勝負師としての厳しさと人間としての弱さ(御馳走好き)、それでいて茶目っ気もあります。対戦前夜の非公式戦の後、落ち込むクレイトンの部屋から去る時の仕草に「それほど落ち込まなくても…」という思いも見られます。これは、デューディックはクレイトンほど「勝つことが全て」とは感じていないことを表現しているのでしょうか?

俳優ジャック・クリューシェンはカナダ人

調べてみますとジャック・クリューシェン(デューディック役)はカナダ人(ロシア系移民)のようです。かなり多くの映画やテレビドラマに出演しており、大草原の小さな家・シーズン8の6話「あこがれの英雄」で、サーカス一座の団長「偉大なガンビー二(Gambini the Great)」役を演じています。「魔術王サンティーニ」みたいですね。

デューディック氏一行はチェコ人?

ロイド・ボックナーデューディック氏はチェコ人(当時の国名ではチェコスロバキア)であったと何かの文献で読みました。当時の世界情勢で「東側の国名」をあえて台詞に入れなかったのでしょうね。側近(コーチと呼ばれていた)ベロスキー氏(ロイド・ボックナー)の「階級」発言などから、当時の共産主義国の厳格な姿勢も感じ取れて面白かったです。ロイド・ボックナーは、コロンボと同時代のテレビドラマ「警部マクロード」にも出演しています。

元婚約者の名前が不可解

ハイジ・ブリュールクレイトンの元婚約者はデューディック氏と同じ母国語の女性だということですが、名前が「リンダ・ロビンソン」ってのが‥どうも。ひっかかりますな。英語も堪能な感じですよね?でも、デューディックに代筆してもらう必要があるので‥これ以上は突っ込みません(笑)演じたのは「ハイジ・ブリュール」でドイツ人の歌手・女優さんです。

同行する医師

マティアス・レイツデューディック氏の健康を管理するアントン医師は俳優「マティアス・レイツ」。あまりセリフなどはないのですが、顔で心情を表現しているように見え、なかなか良い感じのキャラクターでした。

ダグラス刑事

デューディックのホテルの部屋でコロンボ警部の補佐をするダグラス刑事は、ポール・ジェンキンス。誇り高きコーチのベロスキー氏から見下されていました(笑)なかなか刑事らしい風貌で、好きなキャラクターです。

フランス料理店のオーナー

オスカー・ベレギ・ジュニアデューディックとクレイトンの二人が密会するレストランのオーナーは俳優「オスカー・ベレギ・ジュニア」この人こそ、フランス人ではなく東欧のハンガリー出身。ちなみにベロスキーのロイド・ボックナーはカナダ出身。

塩とコショウで始まったテーブルクロス・チェス

このレストランで、デューディックがまず塩の瓶を置き、クレイトンがコショウの瓶で応戦。これはデューディック先手・白番、クレイトンが後手・黒番を意味しています。日本人だと将棋や囲碁で先手・黒番、後手・白番の方が馴染みがありますよね。クレイトンが41手で投了(降参)というデューディック・メモが出てきてしまい、もっと追求されたら嫌だったでしょう。(加筆:2022.1.21)

獣医ドクター・ベンソンが可愛い

マイケル・フォックス「愛犬ドッグ」を診てくれる獣医のドクター・ベンソン(俳優:マイケル・フォックス*Michael J. Foxではないですよ)は、今回も良い味を出してくれています。10話の「黒のエチュード」ではクラシック好き、今回は「チェッカー(バックギャモンではない)」でコロンボ警部と遊んでいます。参照:刑事コロンボの脇役俳優

赤いヘルメットが似合う男

ジョン・フィネガン赤い(オレンジ)ヘルメットが似合う男、それは俳優「ジョン・フィネガン」。9話「パイルD-3の壁」に引き続き、今回もヘルメット姿が見られましたね、ちなみに今回は新しい綺麗なヘルメット。この後は刑事に転職するようです(笑)

デューディックのホテルの記者

マニュエル・デピナデューディックのホテル(Valley Plaza Hotel)でチェス対決の取材をする記者の一人。長身で色黒の人は「マニュエル・デピナ」。この人は21話「意識の下の映像」で探偵、26話「自縛の紐」で警察の写真係でも登場します。

エキストラ俳優ゲーリー・ライト

ゲーリー・ライト前半のデューディック氏の客室で見張っている警察官は、はエキストラ俳優「ゲーリー・ライト」。この人は刑事コロンボに少なくとも7回も出演している常連さんです。今回の出番はあまり目立っておりませんで、探すのに苦労しました。

エキストラ俳優ボブ・ホークス

ボブ・ホークス前半のチェスの対戦や、後半のデューディックを偲ぶイベントに居る赤いジャケットのスタッフ(おそらくウエーター)は、エキストラ俳優「ボブ・ホークス」。この人は刑事コロンボに10回も出演している常連さんです。仕事をサボって対局に見入っています。赤い服を着ているので結構目立ちますね。

病院の女性看護師

アビゲール・シェルトンま〜これはほんのささいな画像です。病院でデューディックの容態について語る女性女性看護師(ナース)は、女優「アビゲール・シェルトン」。なんとなく強いインパクトを残しました(笑)それだけ。

これがハーヴェイの遺作となった

ローレンス・ハーヴェイは胃癌が悪化していて、刑事コロンボの撮影中もかなり体調が悪く、食事も喉を通らない様子でした。そして1973年11月25日に亡くなりました(享年45歳)。奇しくも日本では、その夜にNHKで「断たれた音」が放送されたそうです。調べてみると彼はリトアニア出身ということで、むしろこっちの方が東側の人なのかもしれません。

彼には「ドミノ・ハーヴェイ」という実娘がおり、2005年の映画「ドミノ」で実名の主人公(演:キーラ・ナイトレイ)として描かれています。ストーリーも幼くして俳優の父が急死したあらすじ。しかしドミノ・ハーヴェイは、この映画完成の直前に35歳の若さでこの世を去っています。なんとも薄命な父娘‥。

第2~第3シーズンの不思議なピアノ曲

YouTube「不思議なピアノ曲」刑事コロンボの第2~第3シーズン「黒のエチュード」「偶像のレクイエム」「絶たれた音」「毒のある花」などで多用された「不思議な雰囲気を持ったピアノ曲」を再現しています。音楽もお好きな方は、こちらもご覧ください。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

デューディックが運び込まれた病院

デューディックが運び込まれた病院は看板が大写しされるので、「バレー・サークル病院(16a)」だと分かります。当時からこの名称だったかは不明ですが、現在は「バレー・プレスビティリアン病院(16b)」として現存します。
バレー・プレスビティリアン病院(GoogleMaps)
バレー・サークル病院バレー・プレスビティリアン病院16a16b

病棟のエレベーターが同じ!

15話「溶ける糸」と、16話「断たれた音」の病棟のエレベーターは同じでした。廊下の天井の照明の配列が似ていますが、色が違って見えます。内装の配色も、溶ける糸は地味で断たれた音はかなり派手なので、同じ病院かどうかは、定かではありません。。

溶ける糸のエレベーター15

断たれた音のエレベーター16

溶ける糸のエレベーター15

断たれた音のエレベーター16

監督:エドワード・M・エイブラムス
脚本:ジャクソン・ギリス
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

エメット・クレイトン:ローレンス・ハーヴェイ(声:小笠原良知)
トムリン・デューディック:ジャック・クリューシェン(声:松村彦次郎)
ベロスキー:ロイド・ボックナー(声:宮田光)
リンダ・ロビンソン:ハイジ・ブリュール
獣医ドクター・ベンソン:マイケル・フォックス(声:今西正男)
アントン医師:マティアス・レイツ
粉砕機の作業員:ジョン・フィネガン
ダグラス刑事:ポール・ジェンキンス(声:若本規夫)
警察官:ゲーリー・ライト
ホテルのイベント会場のウエーター:ボブ・ホークス

加筆:2023年9月19日

26話「自縛の紐」

An Exercise in Fatality / 1974
フィリップ・ブランズ健康クラブの経営者マイロ・ジャナスが加盟店のオーナーであるジーン・スタッフォード(フィリップ・ブランズ)氏を殺害。スタッフォードは憎まれっ子的なキャラだが、マイロを「お前、泥棒だな」と強烈に非難(笑)。日本語吹き替えは「バカボンのパパ」でお馴染みの雨森雅司(あめのもり まさし)さん。

悪人マイロに、コロンボ警部が激怒!

ロバート・コンラッドマイロ・ジャナス(ロバート・コンラッド)は不正な経営で私腹を肥やしていて大金を持ってスイスに高飛びする予定だったが、それをスタッフォードに見抜かれ、破滅が決定的になり殺してしまいます。かなりの悪人が迎えた結末ということですが、この作品では「激怒するコロンボ警部」を見ることもできます。マイロの声を担当したのは俳優:日下武史(くさかたけし)さん。
コリン・ウィルコックス激怒する直前の成り行きを何度も繰り返し見ましたが、必然性は感じませんでした。スタッフォード夫人のルース(コリン・ウィルコックス)に対する同情が引金となっていますが、その割には背景を描ききれていない気がします。コロンボ警部は15話「溶ける糸」でも激怒しますが、こちらは納得できました。

ほのぼの笑えるシーン

アン・コールマンルイス・レーシーの元勤務先トライコン工業社の女性社員(アン・コールマン)とのやりとりは笑えます。70年代のコンピュータはあんなに巨大だったのですね。これは「トータルデータ検索システム」だそうで…凄い。残念ながらこのシーンは短いバージョンではカットされたようです。
当初本記事ではこの女優を「スーザン・ジャコビー」だと記載しておりましたが、正しくは「アン・コールマン」でした。→トライコン工業社の女性社員
加筆訂正:2023年11月26日

ルイス・レーシー

ダレル・ツワーリング事件のカギを握るルイス・レーシー氏(ダレル・ツワーリング)。トライコン工業社のコンピュータを駆使して探しただけに、印象的な役柄に仕上がっています。

大草原の小さな家

リン・ウィルコックスコリン・ウィルコックスは、大草原の小さな家の「ベイカー先生 休診」に、ベス・ノヴァック役で出演しています。自縛の紐から約3年後の作品です。ベスは妊娠中に夫を事故で亡くしたベスは高齢出産に臨む未亡人です。このお話には、若いローガン医師の役で、28話「祝砲の挽歌」のルーミス大尉(バー・デベニング)も出演しています。
ダレル・ツワーリングダレル・ツワーリングは、大草原の小さな家の「愛と祈り」に、メアリーの目の手術をする病院の経理担当「ベンソン」役で出演しています。インガルス家に高額な手術費用を請求する‥ちょっと融通の効かない人です。

エド・マクレディ

エド・マクレディトライコン工業社の警備員は「エド・マクレディ」で、その後の新シリーズで多数出演してる俳優さんです。ちょい役ばかりですがとても印象に残る素敵な俳優さんです。ちょっと見逃せませんよ〜ぜひチェックしてください。

少し納得しかねるシーンなど…

コロンボは病院で子どもとお母さんの会話を見た時に「自縛の紐」のトリックを暴きますが、「そうか、わかった!」的な描き方であまり好きではありません。もう少しさり気ない演出をしてくれたらな~って思いました。決め手の他に「着替えを知っているのは犯人である証拠」だと力説する場面は、かなり迫力あるシーンです。よく聞かないと意味が分かりませんが、それでも論理の筋立てや話し口調など、犯人を「落とす」パワーは並々ならぬものを感じました。

邦題「自縛の紐」考察

タイトル「自縛の紐」は、上手い邦題だと思いますが「決め手のまんま」。これも15話「溶ける糸」との共通点です。最初にこの作品を見た当時は小学生だったでしょうか、「自爆」だと思っていました。原題はAn Exercise in Fatalityで直訳は「死の中のエクササイズ」と出ました。他でも詳しく語りますが、コロンボシリーズの邦題には「△△の☆☆」というスタイルがたいへん多く、△△の部分にこのような普通に使われない名詞「自縛」を用いたことは、興味深いですね。

少し寂しげな表情が印象的な秘書ジェシカ

グレッチェン・コーベットマイロ・ジャナスの秘書で愛人のジェシカ・コンロイ(グレッチェン・コーベット)は20話「野望の果て」に出てくるヘイワード夫人の秘書のリンダ(ティシャ・スターリング)と雰囲気が似ていました。でもこのジェシカがマイロに「今日のあなたは元気がない」というシーン、割と元気だったと思ったが(笑)

怒りながらも、犯人を追い込んでゆく?

以前『美しいコロンボ劇にはなっていません。美しく感じないもっと大きな理由は「激怒するコロンボ警部」です。』と書きましたが、そうでもなかったです。もう一度見直すと『怒りながらも、犯人を追い込んでゆく』ように感じました。『スタッフォード夫人の緊急入院』で怒ったことも、不要なシチュエーションとまで言えませんね。また、冒頭からコロンボ警部は不機嫌な雰囲気で登場しているのも面白い(早朝に呼び出されてとのこと)です、このような登場シーンは多いですね。

清掃員のマーフィ

ジュード・フェアズ健康クラブの清掃員:マーフィ(ジュード・フェアズ)が素敵です。コロンボの捜査に迷惑そうに応対するが徐々に協力的に転じ、茶色の靴底の推理では「たいしたもんだわ」と感心していました。このジュード・フェアズは20話「野望の果て」コロンボ警部が運転中に検問される際に登場する若い方の警官の俳優と同一人物です。

現場検証のリッカー巡査

レイモンド・オキーフ健康クラブでの現場検証で中心的な役目を担っているのはリッカー巡査(俳優:レイモンド・オキーフ)。グリーン系のチェックのブレザーがよく似合ってました。

秘密組織が毒を盛った?

ビクター・イゼイ スタッフォードの死因について、秘密組織が毒を盛った‥なんてジョークを飛ばす検死官は、ビクター・イゼイ。この人は36話「魔術師の幻想」の鍵屋のオヤジさんと同一人物です。若い人はせっかちだとか説教する人です。38話「ルーサン警部の犯罪」では、ややこしいですが劇中劇の犯人役で出ています。

病院の待合室でとばっちり

ミッキー・ゴールデン15話「溶ける糸」以来、珍しく激怒したコロンボ警部。病院の待合室で居合わせた人たちは、とばっちりでえらい迷惑を被りました。そしてク警部は我慢していた葉巻を所望、隣の男性にマッチをもらいます。この男性は俳優:ミッキー・ゴールデンで、この回を始め、合計11回も刑事コロンボに出演しているエキストラ俳優です。

断たれた音の病院16

自縛の紐の病院26

さてこのスタッフォード夫人のルースが運び込まれた病院と、16話「断たれた音」でトムリン・デューディックが入院する病院は、廊下がほぼ同じです。この病院は天井の照明が印象的ですね。「断たれた音」の方はその青色が際立っています。

また「溶ける糸」の病院もよく似ています。詳しくは「皆さん同じ病院に入院?」をご覧ください。

溶ける糸のエレベーター15

断たれた音のエレベーター16

 
投稿日:2023年10月16日

口笛で、THIS OLD MAN♪

また、コロンボ警部が海岸を歩くシーンでは、ピーターフォークの「THIS OLD MAN」自身の鼻歌が吹き替え無しで披露されています。
「THIS OLD MAN」について

マリブビーチ
マイロ・ジャナスはLA北西部のマリブビーチに住んでいて、なんとご近所に「指輪の爪あと」の探偵のブリマー邸もあります。ジェシカがビキニで登場したり、マイロが海岸でトレーニングしたりで、とても印象に残ります。
マリブ周辺(マイロ・ジャナス邸)

マイロ・ジャナス健康クラブ
それに対しマイロ・ジャナス健康クラブはLA中心よりやや北側の「チャット・ワース(チャッツ・ワース)」にあります。
パサデナ地区
さらに、マイロがアリバイ工作に利用した「パーカーの店」はLA東部のパサデナ地区にあり、マイロの自宅から反対方向に位置します。この距離感はいかにもマイロがアリバイを主張したくなるほど遠いです。
パサデナ周辺(パーカーの店)*カーターは誤りです。

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事件解決の決め手(2020年9月加筆)

この一連の会話が重要だと思うのです。
マイロ:「電話でスタッフォードは、もうトレーニングシャツに着替えたから、30分ばかり(トレーニング)やってから、帰宅する」と確かに言ったんだ。
コロンボ:「そりゃ無茶ですな、そんなはずないです。」

その後の実演で「運動靴は第三者(犯人と断定)が履かせた」と実証しました。マイロもそれを認めています。
そして、その後の会話‥

マイロ:「靴を履かせたのが僕だっていう、証拠は何一つ上がっていないじゃないか!」
コロンボ:「アンタしかいないんだ。自分で認めてるでしょ?」

ここまでは、良い。
私は‥次の決め台詞が混乱の原因となっていると確信します。

コロンボ:「スタッフォードさんを第三者が最後に見たのは7時半で、その時は背広だった。翌朝死体が発見された時は、運動着を着ていた。その間、誰も彼を見ていない。ところがアンタは、前の晩午後9時に、いいかね、アンタ1人だけがあの人が着替えたのを知ってたんだ。あの時間アリバイのあるはずのアンタが、何故そのことを知っているんです?」「完全なアリバイを作ろうとしたんだが、そのアリバイが命取りでしたね。」

この際、反則かもしれませんが、ぼろんこがこの台詞を自分なりに書き直してみましょう。

マイロ:「靴を履かせたのが僕だっていう、証拠は何一つ上がっていないじゃないか!」
コロンボ:「アンタなんです。自分で認めてるでしょ?」
コロンボ:「犯人に履かされた運動靴、運動着も犯人が着せたんですよねぇ、よござんすね?マイロさん。それでは、9時過ぎに『運動着に着替えた』と電話してきたのは、一体誰でしょう?着替えたことを知っているのは、犯人だけ、そりゃあアンタですよ。」

ぼろんこ:「ニセ電話のスタッフォードの会話」と「自縛の運動靴の実証実験」。この2つだけで、マイロを犯人だと決定づけられたはずです。考えてみてください‥自分で着替えていないということは、気絶か、眠らされていたか、死んでいたか、どれかでしょう?それを、元気に自分で着替えました‥と電話してきた人が犯人なのです。

解決編がスッキリしなかった状況

しつこいコロンボに対しマイロが苛立ち、スタッフォード夫人が病院に担ぎ込まれ、コロンボも激怒(マイロの図太さに切れた)。このヒートした流れのまま、マイロの事務所で解決編をむかえます。この流れは劇的なのですが、結果的に混乱を招いています。(マイロが病院と、翌朝の事務所の服装が同じことも良くないです)
そして頭に血が上ったコロンボが、決定打ではない「力説」をするので、混乱したのです。

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刑事コロンボと魔法瓶

スタッフォードの殺害現場「マイロ・ジャナスの健康クラブ」で、コロンボ警部が持参した魔法瓶は新しいアイテムで「濃い緑で四角模様」に変わっていました!これは24話「白鳥の歌」で木っ端微塵になったのが原因か?
→刑事コロンボと魔法瓶

監督:バーナード・L・コワルスキー
脚本:ピーター・S・フィッシャー
原案:ラリー・コーエン
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

マイロ・ジャナス:ロバート・コンラッド(声:日下武史)
ジェシカ・コンロイ:グレッチェン・コルベルト(声:三田和代)
ジーン・スタッフォード:フィリップ・ブランズ(声:雨森雅司)
ルース・スタッフォード:コリン・ウィルコックス(声:藤野節子)
検死官:ビクター・イゼイ
アル・マーフィ:ジュード・フェアズ
バディ・キャッスル:パット・ハリントンJr(声:寺島幹夫)
ルイス・レーシー:ダレル・ツワーリング
トライコン工業社の女性社員:アン・コールマン
ローズ:スーザン・ジャコビー
警備員:エド・マクレディ

*作品のエンディングに関して:賛否の激しい解釈については記載を削除しましたが、2020年のBS一挙再放送で議論が再燃したため、加筆しました。
 
加筆:2023年11月26日