22話「第三の終章」

Publish or Perish / 1974

2022年の加筆

出版社社長のライリー・グリーンリーフが、契約がもつれたことを恨み、お抱えの売れっ子小説家マロリーを殺害します。この殺害計画に「殺し屋」を雇ったというのはシリーズ中、唯一で、ぼろんこの好みではなく、推薦作から漏れています(*)。ただし、本作を推すファンも多いようで、奥が深そうです。

ガッチリしたアリバイを主張しなかったグリーンリーフ

実行犯はエディ・ケーンなので、もともとアリバイは完璧なはず。しかしグリーンリーフはその夜泥酔していたため、アリバイを主張できない。鍵が殺人現場に落ちていたり、凶器の拳銃もビル内で見つかり、彼のものであったり。あたかもグリーンリーフが犯人であるかのように、証拠がぼろぼろ出てきます。

見逃しがちな些細なシーンに、凄さが隠されている…

テッド・ゲーリング殺人現場の初期捜査で、コロンボ警部がコーヒーやベティ・デイヴィスの映画の話をしながら「カギが合わない」ことを発見する場面。殺人とは無関係の話に気をとられるとポイントを逃します。この時コロンボ警部の話相手になる警備員は、テッド・ゲーリング。

犯人を捕らえる罠工作

カギ屋に立ち寄っているシーンここを見逃すな!という場面はその後、先述した通りグリーンリーフへの疑惑を抱くコロンボが、「ブラックさんのカギ屋に立ち寄っているシーン」数秒のカットで、ウインドウ看板の文字を見なければ、単に「道を尋ねている」くらいにしか気に止めないのですが、このとき既に「グリーンリーフがカギに対する疑惑を解消するために、動く可能性がある」と睨み、細工(カギの交換を発注)をしているのです!

濡れ衣作戦が命取り

エディ・ケーンに全ての罪をなすり付けて、グリーンリーフの作戦は成功するはずだった。マロリーの新作のアイデアが、エディ・ケーンによる持ち込みであったとか、その件で揉め事に発展したとか。凶暴性も含め、彼の犯行動機まで結びつけている。しかし結末は、エディ・ケーンが持っているはずのないマロリーの鍵、そして彼には書けないはずの梗概(あらすじ)が決め手となりました。

原題は「出版か死か(Publish or Perish)」

「第三の終章」という邦題が少し損しているでしょうか?この第三は何を表しているのでしょう。「終章」という言葉も本編には出てこないし。「梗概(こうがい)」を邦題に含めて欲しかった願望があります。例えば‥「盗まれた梗概」とか、笑っちゃいます?殺し屋を雇った(*)ことがマイナスポイントとしなければ、格好良い作品だと言えるかも知れませんんね。

グリーンリーフの悪態が炸裂!

ジャック・キャシディコロンボ作品の中でもスピルバーグ監督が手がけたとして有名な3話「構想の死角」に続き、ジャック・キャシディが犯人役ライリー・グリーンリーフとして再登板。前作以上とも言える圧倒的な存在感です。特に第一殺人のアリバイ工作のために、バーで管を巻くシーンでの台詞「臭せ~店だ。お前もこの店もドブの臭いがする」は、絶好調でした!でも、泥酔し車をぶつけた相手のご婦人に「そんな顔じゃ、整形手術をした方が良いよ」は、言い過ぎ!ドラマの中の台詞としては節度を欠いています。

ジョン・デイビス・チャンドラーのパワー

ジョン・デイビス・チャンドラー第二殺人で被害者となる共犯のエディ・ケーン(ジョン・デイビス・チャンドラー)のキャラは強烈。数々の映画作品に出演されている俳優さんのようです。この「第三の終章」では、ジャック・キャシディ以外のすべての出演俳優を吹き飛ばすパワーを感じました。

エディ・ケーンは橋爪功さん

そのエディ・ケーンの日本語吹き替えは橋爪功さん。日本のミステリードラマなどで数多く刑事役を演じています。(本作とは関係ないけど)

人間コロンボを垣間見るシーン

ロッキー・フレール本筋とは関係がありませんが、高級レストラン「チェイソンズ」でのシーン。おんぼろカーでレストランに到着した時、駐車係(ロッキー・フレール)に「あのクルマは盗まれないから大丈夫」と移動サービスを拒否されていました。

高額なチリを注文してしまう

モーリス・マルサック大好物のチリを注文する場面ではウエイター(モーリス・マルサック)に、メニューに無いチリを無理矢理注文し、さらにケチャップや塩を要求(自分の味にこだわる姿勢?)したりして笑えます。支払い時に高額な請求をされ笑いを誘います。乱暴に計算しますと、チリが6ドルで1800円、追加請求のアイスティが75セントで225円となり、アイスティの方は高級レストランにしては、極端に安い?のかもね(笑)

気になる女優「マリエット・ハートレイ」

マリエット・ハートレイニール出版の秘書アイリーン役のマリエット・ハートレイは41話「死者のメッセージ」でも犯人アビゲイル・ミッチェルの秘書ベロニカを演じています。見た瞬間に目が止まるような不思議な魅力のある女優さんです。

同じマンションに住んでいる?

刑事コロンボのマンションところでアイリーンと11話「悪の温室」のグロリア・ウエストのマンションは同じ外観です。二人がご近所さんであることは間違い無し。

大草原の小さな家「父さんの秘密」

マリエット・ハートレイ大草原の小さな家のシーズン2・19話「父さんの秘密」(1976年)。魅力的な未亡人「エリザベス・サーモンド」役でマリエット・ハートレイを見ることができます。美しく優しい女性として描かれています。

宇宙大作戦(スタートレック)

マリエット・ハートレイまたマリエット・ハートレイは、宇宙大作戦(スタートレック)の「タイムマシンの危機」の回のザラベス役で出演しています。あのスポックが彼女に恋愛感情を抱くエピソードです。1969年放送で、彼女が29歳の時です。

アラン・マロリー役は本物の小説家

ミッキー・スピレインアラン・マロリーを演じたミッキー・スピレインは、ハードボイルド探偵小説「マイク・ハマー」シリーズで知られる有名な小説家です。

ジェフリン・ニール

:ジャックス・オーブションニール出版の社長ジェフリン・ニールは俳優:ジャックス・オーブション。そして日本語吹き替えは、アニメ「ルパン三世」の次元大介や、俳優ジェームズ・コバーンの吹き替えとして知られる「小林清志」さん。58話影なき殺人者のヒュー・クライトン(ダブニー・コールマン)も担当されました。

スイーニー刑事

ルー・パルター第一殺人の現場検証で登場するスイーニー刑事は俳優:ルー・パルター。「スイーニー、そっちなんかあった?」「ないっすね、出るのは埃ばっかり。」こういうマリオ風のキャラクターはぼろんこ好みです、名前も可愛いし(笑)

弁護士のチェイス

アラン・ファッジ弁護士のデイビッド・チェイスを演じたのは、俳優アラン・ファッジ。気付きにくいのですが、この人は46話「汚れた超能力」に登場するCIAのハロー氏と同一人物。さらには56話「殺人講義」の犯人クーパー・レッドマンの父親。

コロンボ警部持参の魔法瓶

コロンボ警部の魔法瓶前半のマロリーさんの殺害現場で、冷めたコーヒーをもらう魔法瓶は、カップが赤くて、本体がアルミ色です。これはマロリーさんのために毎晩用意された魔法瓶なのに、12話「アリバイのダイヤル」でコロンボ警部が持参した魔法瓶と同じ!!
コロンボ警部の魔法瓶それなのに少し後のシーン、ロス市警の取調室でグリーンリーフにコーヒーをすすめる時の魔法瓶は、コロンボ警部の私物っぽいのに「赤くて黒のダイヤ模様の魔法瓶」、これは24話「白鳥の歌」でトミー・ブラウンがセスナに持ち込むバルビタール入りコーヒーの魔法瓶と「同じ!。

→刑事コロンボと魔法瓶

監督:ロバート・バトラー
脚本:ピーター・S・フィッシャー

ライリー・グリーンリーフ:ジャック・キャシディ(声:田口計
エディ・ケーン:ジョン・デイビス・チャンドラー(声:橋爪功)
アイリーン・マクリー:マリエット・ハートレイ(声:公卿敬子)
ジェフリン・ニール(出版社社長):ジャックス・オーブション(声:小林清志
アラン・マロリー:ミッキー・スピレイン
デビッド・チェイス(弁護士):アラン・ファッジ
スイーニー刑事:ルー・パルター
ヤング刑事:ポール・シェーナー
警備員:テッド・ゲーリング
ウォルパート:ジャック・ベンダー
鍵屋のブラック:ジョージ・ブレンリン
駐車係:ロッキー・フレール
ウエイター:モーリス・マルサック
バーテンダー:マイク・ラリー
加筆:2024年8月29日

23話「愛情の計算」

Mind Over Mayhem / 1974

こんな話、実際にありそう

リュー・エアーズ人工頭脳学調査研究所所長のケーヒル博士が、息子の研究論文の不正を知った同僚のニコルソン博士(リュー・エアーズ)を殺害。学会の論文に関しては、日本でも2014年に「スタップ細胞」大事件が起きました。

初期の駄作?と言っては…お終い。

初期の作品においては、イマイチ納得のゆかない代表作です。近未来を描いたSF作品のようなシチュエーションもあり、こっけいな感じが漂います。もちろんその主役は「MM7」なるロボットです。当時の最先端な描き方ですが、時の流れとともに現実離れしました。

上手く行かない時もあります

脚本陣にはスティーブン・ボチコ、ディーン・ハーグローブ、ローランド・キビーと名を連ねていますが、ちょっと投げ出したくなった?かも。このような連名は名作にも見られることから、決して悪いことではないようですが。

フライデーではなく、ロビー。

ロビーロボットMM7は「私の場合」宇宙家族ロビンソンに出てくる「フライデー」が目に浮かびましたが、そうではなく映画「禁断の惑星」に登場した「ロビー」です。お恥ずかしながら、禁断の惑星は未見でしてピンときませんでした。

スティーブン・スペルバーグ少年

ロビーそれと、犯行解明に一役買う天才少年「スティーブン・スペルバーグ」くんはリー・ハーコート・モンゴメリー。投稿時には否定的でしたが、今見ると可愛い少年です〜。この数年前に映画「ベン」の主役を演じています。冒頭のクレジットにも名を連ねています。

不思議な味:ロバート・ウォーカーJr

ロバート・ウォーカーJr犯人の息子にして、研究論文をパクったニール・ケーヒル役のロバート・ウォーカーJr(声:原田大二郎)は、意外と?と言いますか、すごく印象的でした。ひょろっとした感じで、登場シーンから、妙に「ひっかかりました」ね~。彼は、宇宙大作戦(スタートレック)の「セイサス星から来た少年」でも印象的な役を好演しています。

セイサス星から来た少年(チャーリーX)

ロバート・ウォーカーJrこのロバート・ウォーカーJrは宇宙大作戦(スタートレック)の「セイサス星から来た少年」でチャーリー(日本語版ではピーター)役で出演しています。何でも思い通りにできる超能力少年です。本作はとても印象に残っています。

愛情の計算?

Mind Over Mayhemは直訳「騒乱についての心」。私は英語力が乏しく、これ以上言及しませんが邦題「愛情の計算」はひねり出した結論でしょうか。確かにコロンボシリーズ中、人のために(依頼されたケース:22話「第三の終章」などを除く)殺害することは稀です。
 
張本人のご子息ニールも事実を知らないのですし。しかし息子のために「殺し」を実行したというより、ケーヒル博士自身の名誉を汚さぬために犯行に及んだとも考えられます。むしろ、放置すれば息子が殺人犯になってしまうことから、自分の犯行を自供したことが「愛情の証」で、コンピュータを使った計画から「計算」という単語を引き出したのでしょうね。

犯人役「ホセ・フェラー」

ホセ・フェラーちょっと地味に感じてしまう、ゲストスターの「ホセ・フェラー」について調べてみました。プエルトリコ出身で「アカデミー主演男優賞」「ゴールデングローブ賞主演男優賞」なんかも受賞してるすごい俳優みたいです!また「アラビアのロレンス」でベイ将軍を演じていました。

ドッグの校長先生

チャールズ・マコーレイ「愛犬ドッグ」が犬の学校を退学になります。この威厳のある校長先生:ファーンズワースは俳優:チャールズ・マコーレイ。この一癖ありそうな俳優さんは、2話「死者の身代金」の捜査員、10話「黒のエチュード」では新聞社のダーキー役でも出演しています。

ニコルソン夫人

ジェシカ・ウォルター殺害されたニコルソン博士の夫人マーガレットは女優「ジェシカ・ウォルター」。とても美しい若奥さまでした。年の差婚なのですが、ざっと計算(笑)してみますと、夫ハワード(66歳)妻マーガレット(33歳)となりました。夫は実年齢より老けて見えるか!ジェシカ・ウォルターは映画「恐怖のメロディ」で監督・主演のクリント・イーストウッドと共演しています。また、コロンボと同時代のテレビドラマ「警部マクロード」にも出演しています。2021年81歳で他界しました。

フィールズ巡査部長

ウイリアム・ブライアントこの事件現場で活躍する刑事は、フィールズ巡査部長(ウイリアム・ブライアント)。この刑事さんは14話「偶像のレクイエム」でジェフリー刑事とて登場しています。同じようなキャラクターですので、名前も揃えて欲しかったです。

駐車場係のマーフ

アーサー・バタニデス顔を真っ黒にして働いていた駐車場係のマーフは俳優アーサー・バタニデス。彼は宇宙大作戦「スタートレック」にも出演しており、今後加筆いたします。

可愛いキャラ、ロス博士

ルー・ワグナー小柄な研究員、ロス博士はルー・ワグナー。シャツの大きな襟が印象的です。ドアに付いた「靴がかすった跡」の高さから、死体を運んだ人物とは思えず容疑者から除外。なんとも可愛いキャラでした。

2021年の大発見!

ルー・ワグナー2021年の7月にテレビで映画「猿の惑星」を録画することができました。その中で新たな発見をすることができました。人間テイラーを助ける甥っ子のチンパンジー「ルーシャス」がこのロス博士:ルー・ワグナーだったのです。小柄な体格を活かした名演技です、この発見は大感動でした。詳しい猿の惑星情報は研究記事「刑事コロンボと猿の惑星」をご覧ください。

ダイアン・ターレイ・トラヴィス

ダイアン・ターレイ・トラヴィス冒頭シーン「人工頭脳学調査研究所所長」の「第三次世界大戦のシミュレーション」で、登場する女性研究員の女優は「ダイアン・ ターレイ・トラヴィス」で、その他のコロンボ作品にも多少出演しています。

研究所の受付嬢を見逃すな

ディードル・ホールセリフも大写しもないので絶対見逃しますが、研究所の受付嬢は女優「ディードル・ホール」で、15年後に51話「だまされたコロンボ」でダイアン・ハンターを演じる有名女優です。本作は27歳、どんなに頑張ってもこれがベストショットで、言われてみればディードル・ホール本人かも?程度ですね。

監督:アルフ・ケリン
脚本:スティーブン・ボチコ、ディーン・ハーグローブ、ローランド・キビー
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

マーシャル・ケーヒル所長:ホセ・フェラー(声:鈴木瑞穂)
ニール・ケーヒル:ロバート・ウォーカーJr(声:原田大二郎)
ハワード・ニコルソン博士:リュー・エアーズ(声:真木恭介)
マーガレット・ニコルソン:ジェシカ・ウォルター(声:谷口香)
ロボットMM7:ロビー
スティーブン・スペルバーグ:リー・モンゴメリー(声:手塚学)
駐車場係のマーフ:アーサー・バタニデス
ロス博士:ルー・ワグナー
ドッグの校長先生:チャールズ・マコーレイ
研究所の受付嬢:ディードル・ホール
フィールズ巡査部長:ウイリアム・ブライアント
女性研究員:ダイアン・ターレイ・トラヴィス
男性研究員:マイク・ラリー
研究所指揮官:トニー・レーガン

加筆:2024年8月29日

24話「白鳥の歌」

Swan Song / 1974
ジョニー・キャッシュ犯人役にカントリー歌手として有名な「ジョニー・キャッシュ」を起用。さすがの存在感です。しかしその犯人であるカントリー歌手トミー・ブラウンよりも、被害者である妻のエドナ(アイダ・ルピノ)の方が悪人であるため、彼に同情するよいう声も上がっています。*ジョニー・キャッシュ:ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガーで「21位」(2008年)

爽快なラストシーン

ラストシーンでは、「自分が犯人でございます」と犯人自身に行動させるパターン、例えば[9話「パイルD-3の壁」25話「権力の墓穴」など多数]で締められ、とても楽しめる作品だと思います。また、犯行を認めた犯人へ同情する場面も、作品の人気を高めています。

音楽家魂を感じます‥

歌手トミー・ブラウンが「自分のギターは助かるようにセスナに載せなかった」ことはちょっとしたポイントです。義弟のルークに「ギターは荷物としてではなく、バスの座席に置くよう」指示しています。楽器というのは世界に同じものが二つと無いんですよね。チェロ演奏家のヨー・ヨー・マさんも楽器は一人分の交通費を支払い、隣の席に置くそうです。

命がけの殺人トリックを敢行

ボニー・ヴァン・ダイク今回の殺害計画は、自家用セスナを墜落させるという大技です。自分の命の保証も無いという、かなりリスキーな手段です。しかも、同乗していたコーラスガールのメアリーアン(ボニー・ヴァン・ダイク)も一緒に殺してしまいます。口封じの意味もあるでしょうが、こりゃ罪が重いです。落下して足を骨折したトミーが証拠を隠し、転げ回ってでも墜落現場に到達するシーンは見せ場です。

テーマ曲は「I saw the light」

トミーは「I saw the light〜 I saw the light〜」と歌います。このブログの訪問者さんの書き込みがヒントで気づきました。トミーはラストシーンで、コロンボ警部の車のヘッドライトに照らされます。まさに「I saw the light〜私は光を見た」なのでしょうね!流石です。(加筆:2013年9月24日)

悪妻役はアイダ・ルピノ

アイダ・ルピノ被害者のエドナ夫人は8話「死の方程式」でバックナー社長夫人を演じる「アイダ・ルピノ」。犯人のトミー・ブラウンは、飛行機の整備士のジェフに「レンタカーを使っていいよ」と優しく接します、それを邪魔しようとするエドナ夫人。この夫妻の関係をかいま見る瞬間でした。

懲りない女好き‥

ジャニット・バルドウィン妻からまるで強制労働のようにライブステージを押し付けられ、しかもギャラのすべてを十字軍に寄付。逆らえば過去を暴くと脅迫されるという始末。それでもトミーは妻を殺害した後、懲りずに新しいコーラスガールのティナ(ジャニット・バルドウィン)に手を出そうとしてます。ティナはあまり乗り気でない雰囲気ですが、そこを強引に迫る様には、悪人というより動物的なパワーを感じました。

ヴィトー・スコッティ

ヴィトー・スコッティ本題とはあまり関係ない葬式のシーンでは葬儀屋グリンデル役で刑事コロンボシリーズに何度も出演した脇役の名優「ヴィトー・スコッティ」が出演しています。事件解決とは結びつかないシーンで、NHKの初回放送ではカットされたようです。

ビル・マッキーニー

ビル・マッキーニーエドナ夫人の弟でトミーとは犬猿の仲であるルーク・バスケットは俳優ビル・マッキーニー。日本語吹き替えは伊武雅之(伊武雅刀)さん。カウボーイハットが似合います。短気で乱暴な性格も、ウイリアムソン氏のキャラと通じました。

J.J.ストリンガーはソレル・ブーク

ソレル・ブークまたこれは嬉しい発見だったのですが、後半に登場するレコード会社プロデューサーJ.J.ストリンガー(大きな丸形のサングラスの人)は40話「殺しの序曲」で拳銃で撃たれて死ぬバーティ役の「ソレル・ブーク」でした。

パングボーンは重要人物

ジョン・デナーセスナ墜落事故の捜査班の指揮をとる専門家のパングボーン氏は「ジョン・デナー」。37話「さらば提督」のオーティス・スワンソン(提督)を演じている重要人物です。ダンディで存在感がありますね、やはり只者ではありません。

墜落現場のカメラマン

マイケル・エドワード・ラリー同じく墜落現場でコロンボに文句を言うカメラマンは「マイケル・エドワード・ラリー」。有名なエキストラ俳優「マイク・ラリー」の息子さんなのでした!この息子ラリーは何と、27話「逆転の構図」のラストシーンに立ち会う警官と同一人物。その他、もう一回出演しています。

セスナ空港のエンジニア・ジェフ

ダグラス・ダークソントミー・ブラウンが利用するセスナ機の空港(ベーカーズフィールド)で働くエンジニアのジェフは、俳優ダグラス・ダークソン。音楽が好きでトミーのファンということもあり、とても生き生きと描かれています。

ミシンのおばちゃん

ルシール・メレディスコロンボファンの方より教えていただいた情報ですが、「ミシンのおばちゃん」の役で良い味を出している女優さん「ルシール・メレディス(Lucille Meredith)」は、第20話「野望の果て」でヘイワード夫人の親友「ルーシー」と同一人物です。

メイホフ大佐

ジョン・ランドルフトミー・ブラウンの軍隊時代の上官のメイホフ大佐は俳優ジョン・ランドルフ。多くの作品に出演しているようで今後の調査の対象です。

二人にバルビタールを飲ませたことが命取りになったか?

コロンボ警部の魔法瓶ブログ読者さんからのご意見を検証しました。隙をついて飛行機から飛び降りれば「バルビタール:睡眠効果のある薬物」は不要だったと。積み込んだはずの魔法瓶が見つからない疑惑、死体を解剖され大量のバルビタールが検出された疑惑。コロンボはこの「バルビタールと関係のありそうな魔法瓶」を、草の根を分けてでも探すという作戦を匂わせて、犯人を捕獲しました。

どこかで見た!この魔法瓶とは…

しかも…このトミーの魔法瓶は、22話「第三の終章」でグリーンリーフが取り調べを受ける警察で使われていたものと同一でした!おそらくアラジン(Aladdin)社製のブラックダイアモンドと呼ばれる商品です。
→刑事コロンボと魔法瓶

礼拝(れいはい or らいはい)について

これもブログ読者さんからのご意見をもとに調査しました。劇中に出てくる礼拝(らいはい)という表現について、仏教においてのみ「らいはい」、それ以外は「れいはい」と発音するようです。ですので厳密には間違って使われています。(加筆:2017年12月22日)

大草原の小さな家

大草原の小さな家にせの牧師さんゲストスターのジョニー・キャッシュは大草原の小さな家「にせの牧師さん」の牧師役で出演しています。お金目当てに村人を騙すという‥こちらも「うさん臭い」キャラクターで、ハマり役です。

これは、すごい発見ですが!

エドナとメアリーアンの葬儀が行われた教会は、36話「魔術師の幻想」のジェロームの店(少なくともその外観)と同じです!これはブログのゲストさんがコメントで教えてくれました。すごい発見です。
教会ジェロームの店2436

ロケ地

セスナ機墜落の調査現場:Nichols Canyon Road(PC)

監督:ニコラス・コラサント
脚本:デビッド・レイフェル
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

トミー・ブラウン:ジョニー・キャッシュ(声:外山高士)
妻エドナ:アイダ・ルピノ(声:麻生美代子
メアリ・アン:ボニー・ヴァン・ダイク
ルーク・バスケット:ビル・マッキーニー(声:伊武雅之
ローランド・パングボーン(航空局):ジョン・デナー(声:小林修
ベネット(航空局員):リチャード・ケイン
事故現場カメラマン:マイケル・エドワード・ラリー
J.J.ストリンガー:ソレル・ブーク
葬儀屋グリンデル:ヴィトー・スコッティ
ティナ:ジャニット・バルドウィン
大佐:ジョン・ランドルフ
ジェフ整備士:ダグラス・ダークソン
フランク整備士:ジェファーソン・キビー
パイロットの警官:トム・マクファデン
ミシンのおばちゃん:ルシール・メレディス
コンサート主催者:ハリー・ハーヴェイ
コンサートの会計係:マイク・ラリー

加筆:2023年9月17日

25話「権力の墓穴」

A Friend in Deed / 1973

ギャンブル好きが命取り…ロス警察ハルプリン次長

財産目当てに妻を殺害するロス警察の上司マーク・ハルプリン次長のキャラクターが素晴らしい。殺人動機が弱いとも感じるが、夫婦仲は良くない状況が続いていたと思われます。しかしながら隣の2軒で連続殺人が起きれば、相当厳しく捜査されるのが予想される中で、よく夫人殺害という犯行に及んだと感心します。自分の現在の地位・名誉を全て失うだけの価値がある殺人だったということです。ズバリ財産目当てですね。

隣人のヒュー・コールドウェル

マイケル・マクガイア隣人のヒュー・コールドウェル(マイケル・マクガイア)が奥さんを死なせてしまったことが、事の発端になりますが、それを知った直後に、ハルプリン次長は自分の妻もついでに殺して、二人の共犯で罪を闇に葬る計画をしたということです。このコールドウェルのキャラクターが良いですね。お坊っちゃま風で、私は大好きです。

見どころが満載の作品

ローズマリー・マーフィ捜査の過程で、自分に都合の良いようにコロンボに指示を出すハルプリン次長の傲慢さに、いかにも官僚的な体質が見えます。また、巧みとは言い難いですが「妻(ローズマリー・マーフィ)が犯人を見てしまったかもしれない」ように仕立てるのもポイント。

邦題は「けんりょくのぼけつ」?

読みの問題。「はかあな」ではなく「ぼけつ」が正解だと思われます。NHKのアナウンサーが番組紹介でそのように読んでいました。この作品はWikipedia「刑事コロンボ」の代表的な画像としても登場しています。

シロとクロを嗅ぎ分ける嗅覚

他の作品でも感じますが、コロンボ警部の嗅覚は凄いです。このお話の場合、まず疑うべきは夫のコールドウェル。次に連続窃盗犯も有力に思えます。しかし、コールドウェルは証言の些細な部分からシロと判定。連続窃盗犯も「窃盗」の容疑者を狭めつつ、殺人ではシロと判定し、本題の事件解決の協力者へと導きます。このような鋭い嗅覚が身に付けば、我々の仕事にも役立つと思うのですが…。

「チャンスを得た」は、大きな勘違い

ハルプリン次長が署内でコロンボから前科者のリストを見せてもらうシーン。思いがけず決定的に有利な情報を得て、濡れ衣工作を思いつくのですが、それもコロンボ警部の仕組んだ罠だという展開は素晴らしいですね。あくまでも次長の命令に従っているだけの行動に見せています。まかれた餌にまんまと食いつかせたわけです。

シリーズ中、最も爽快なラストシーンの一つ

前科者アーティに殺人の罪をなすりつけ、その仕上げ工作の最中に自分が真犯人だということを「自らの行動で証明」してしまう場面。罪を被せられそうになるアーティの自宅(実はコロンボの部屋)で、「あなたが奥さんを殺したんです」とコロンボ警部に告げられるまで、一所懸命に証拠品を探しているハルプリン次長の必死の形相は傑作です。警察権力に対して、一石を投じたと言わんばかりの爽快なラストシーンでした。

リチャード・カイリーのハルプリン次長

リチャード・カイリーリチャード・カイリー(リチャード・キーリー)はハルプリン次長役を名演したと思います。見逃せないのは、妻マーガレット殺しのシーン。会話の際に見せる「優しそうな笑み」が本当に怖いです。そして「私の財産だ」という名台詞も必聴。

おそらくキャリア・エリートの設定で、現場バリバリのコロンボ警部の評判を良く知らなかったのでしょう。経験不足から、指紋の指摘に始まる失言を連発し、墓穴を掘ってしまいます。報告書を提出しろ!と、何度も催促するのも役人根性の表れで、笑えました。コロンボの「突っ込み」に、たじたじの様子が可愛く描かれています。

日本語版は北村和夫さん

北村和夫さんは俳優としてのお仕事がメインで、吹き替えは多くないようです。その中でも刑事コロンボではこの「権力の墓穴:リチャード・カイリー:ハルプリン次長」と「迷子の兵隊:ステファン・エリオット:パジェット将軍」を担当されました。

ヴァル・アヴェリー

ヴァル・アヴェリー前科者アーティ・ジェサップはこのエピソードの重要人物で、好きな人も多いことでしょう。演じた俳優の「ヴァル・アヴェリー」は12話「アリバイのダイヤル」で盗聴器をしかけた探偵:ダブス役や、34話「仮面の男」のバー:シンドバッドのオーナー役としても登場します。目立たない役では5話「ホリスター将軍のコレクション」の貸しヨット屋でも出演。

妻のテルマ

ヴァル・アヴェリーアーティの妻テルマは女優「エレノア・ズィー」。柄は悪いが、仲悪そうで‥そうでもないこの夫妻。妻殺しを犯したコールドウェルやハルプリン夫妻とは、対照的に描かれます。ローラーゲームのチケットのくだりは見どころ。

ダフィ警部

ダフィ警部ダフィ警部はお馴染みの、ジョン・フィネガン。警察官役で数回登場しますが「ダフィ警部」と特定できるのはこの一回のみ。(Wikiでは毒のある花もダフィ警部と記載)

高級住宅地「ベル・エア」地区

ベル・エア地区はハルプリン次長と友人ヒュー・コールドウェルらの家がある閑静な高級住宅街。コロンボ警部が「プジョー403」でバック運転していましたね。それに対しアーティの偽造アパートは、下町にあります。ロス市警からほど近く捜査しやすい‥という狙いもあったでしょうか。

野望の果てとの共通点

この「権力の墓穴」は20話の「野望の果て」と何か共通するテイストを感じます。その最大の理由は「音楽」でしょう。エピソードのテーマ曲とも呼べる「 不気味な雰囲気のホルンのメロディー」はとても印象的な音楽です。その他にもう1曲、隠し味の曲があります。ハルプリンとコードウェルが会うクラブのバーで流れるピアノ曲。これは「野望の果て」で夫人の誕生パーティで女性がピアノの生演奏をしている曲と同じ曲なんです。

クラブのマネージャー

ジャドソン・モーガンクラブで「ローレンス様がたいへんついていらっしゃいまして」と話すマネージャー風の男性チャールズ(写真左)は俳優ジャドソン・モーガン。この俳優さんは、2話「死者の身代金」の裁判長と同一人物。2024年の新発見でした。

クラブのバーテンダー

ベン・フロマーこのクラブのバーでバーテンダーを務めるなんとも印象的な太っちょの俳優さんはベン・フロマー。この人は34話「仮面の男」にも登場します。コロンボがCIAに後をつけられている遊園地のシーンです。

宝石商ウェクスラー

エリック・クリスマス宝石商のウェクスラーを演じたのはエリック・クリスマス、可愛い名前ですよね。こういう年配の俳優さんの存在はストーリーを落ち着かせてくれて、とても心地よいです。

ウェクスラー宝石店の女性

グロリア・ウエストウェクスラー宝石店「ナガサキですか‥」の女性は女優:アーリーン・マーテルです。この人は11話「悪の温室」で「グロリア・ウエスト」嬢を演じていました。ウェクスラー宝石店ではブルネット、グロリア・ウエストはブロンドですので少し印象が異なりますが、間違いなく同じ女優さんで大きな感動です。 

ジャニスのボーイフレンド

ジョン・カルビン亡くなったジャニス・コールドウェルのボーイフレンド「チャーリー・ショープ」は俳優ジョン・カルビン。彼はコロンボ警部の愛車プジョー403を「約28,000円」なら下取ると、申し出ました。

ランドール刑事

、ベン・モリノラストシーンで前科者アーティを連れてくるランドール刑事は、ベン・モリノ。刑事コロンボシリーズ屈指の名シーンに立ち会いました。こういった黒縁のメガネをかけたキャラクターは、良いです好きです。

ドイル刑事

ビクター・カンポスコールドウェル夫人やハルプリン夫人の現場検証で、指揮を振るうドイル刑事は俳優ビクター・カンポス。若いけど結構「やり手」っぽい刑事さんです。吹き替えの声優さんも良かったです。

マクマレイ検視官

ジョシュア・ブライアントハルプリン夫人の検視官として登場するマクマレイ先生は俳優ジョシュア・ブライアント。「言うに及ばずさ」や、無線194の「石鹸だよ、シャボンだ」はいずれも名セリフ。この人の吹き替えも良いです。このジョシュア・ブライアントは37話「さらば提督」のスワンソン造船所の所長ウェイン・テイラー(黄色いジャンパーの人)も演じています。

アルマ・ベルトラン

アルマ・ベルトランコールドウェル家のメイドを演じたのは女優:アルマ・ベルトラン。この人は21話「意識の下の映像」のノリス邸でもメイドとして働いていました。

バーニー・クビー

バーニー・クビージャニス・コールドウェルの葬儀屋「明朝8時半までは、閉めさせていただきます」の人は、俳優バーニー・クビー。風貌も名前も可愛いですね。この人は、3話「構想の死角」の生命保険屋マイク・タッカーと同一人物です。

監督:ベン・ギャザラ
脚本:ピーター・S・フィッシャー
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

マーク・ハルプリン:リチャード・カイリー(声:北村和夫
ヒュー・コールドウェル:マイケル・マクガイア(声:山本勝)
アーティ・ジェサップ:ヴァル・アヴェリー(声:金井大)
ダフィ警部ジョン・フィネガン
テルマ・ジェサップ:エレノア・ズィー
マーガレット・ハルプリン:ローズマリー・マーフィー(声:白坂道子)
ランドール刑事:ベン・モリノ(声:岡部政明)
ドイル刑事:ビクター・カンポス
マクマレイ検視官:ジョシュア・ブライアント
刑事:ロバート・バッキンガム
ウェクスラー:エリック・クリスマス(声:杉田俊也
宝石店の女性:アーリーン・マーテル
チャーリー・ショープ:ジョン・カルビン
クラブのバーテンダー:ベン・フロマー
クラブの客:ダイアン・ターレイ・トラヴィス
クラブの客:コスモ・サルド
コールドウェル家のメイド:アルマ・ベルトラン
葬儀屋:バーニー・クビー
下町のバーテンダー:マイク・ラリー

加筆:2024年9月3日

26話「自縛の紐」

An Exercise in Fatality / 1974
フィリップ・ブランズ健康クラブの経営者マイロ・ジャナスが加盟店のオーナーであるジーン・スタッフォード(フィリップ・ブランズ)氏を殺害。スタッフォードは憎まれっ子的なキャラだが、マイロを「お前、泥棒だな」と強烈に非難(笑)。日本語吹き替えは「バカボンのパパ」でお馴染みの雨森雅司(あめのもり まさし)さん。

悪人マイロに、コロンボ警部が激怒!

ロバート・コンラッドマイロ・ジャナス(ロバート・コンラッド)は不正な経営で私腹を肥やしていて大金を持ってスイスに高飛びする予定だったが、それをスタッフォードに見抜かれ、破滅が決定的になり殺してしまいます。かなりの悪人が迎えた結末ということですが、この作品では「激怒するコロンボ警部」を見ることもできます。マイロの声を担当したのは俳優:日下武史(くさかたけし)さん。
コリン・ウィルコックス激怒する直前の成り行きを何度も繰り返し見ましたが、必然性は感じませんでした。スタッフォード夫人のルース(コリン・ウィルコックス)に対する同情が引金となっていますが、その割には背景を描ききれていない気がします。コロンボ警部は15話「溶ける糸」でも激怒しますが、こちらは納得できました。

ほのぼの笑えるシーン

アン・コールマンルイス・レーシーの元勤務先トライコン工業社の女性社員(アン・コールマン)とのやりとりは笑えます。70年代のコンピュータはあんなに巨大だったのですね。これは「トータルデータ検索システム」だそうで…凄い。残念ながらこのシーンは短いバージョンではカットされたようです。
当初本記事ではこの女優を「スーザン・ジャコビー」だと記載しておりましたが、正しくは「アン・コールマン」でした。→トライコン工業社の女性社員
加筆訂正:2023年11月26日

ルイス・レーシー

ダレル・ツワーリング事件のカギを握るルイス・レーシー氏(ダレル・ツワーリング)。トライコン工業社のコンピュータを駆使して探しただけに、印象的な役柄に仕上がっています。

大草原の小さな家

コリン・ウィルコックスコリン・ウィルコックスは、大草原の小さな家の「ベイカー先生 休診」に、ベス・ノヴァック役で出演しています。自縛の紐から約3年後の作品です。ベスは妊娠中に夫を事故で亡くしたベスは高齢出産に臨む未亡人です。このお話には、若いローガン医師の役で、28話「祝砲の挽歌」のルーミス大尉(バー・デベニング)も出演しています。
ダレル・ツワーリングダレル・ツワーリングは、大草原の小さな家の「愛と祈り」に、メアリーの目の手術をする病院の経理担当「ベンソン」役で出演しています。インガルス家に高額な手術費用を請求する‥ちょっと融通の効かない人です。

エド・マクレディ

エド・マクレディトライコン工業社の警備員は「エド・マクレディ」で、その後の新シリーズで多数出演してる俳優さんです。ちょい役ばかりですがとても印象に残る素敵な俳優さんです。ちょっと見逃せませんよ〜ぜひチェックしてください。

少し納得しかねるシーンなど…

コロンボは病院で子どもとお母さんの会話を見た時に「自縛の紐」のトリックを暴きますが、「そうか、わかった!」的な描き方であまり好きではありません。もう少しさり気ない演出をしてくれたらな~って思いました。決め手の他に「着替えを知っているのは犯人である証拠」だと力説する場面は、かなり迫力あるシーンです。よく聞かないと意味が分かりませんが、それでも論理の筋立てや話し口調など、犯人を「落とす」パワーは並々ならぬものを感じました。

邦題「自縛の紐」考察

タイトル「自縛の紐」は、上手い邦題だと思いますが「決め手のまんま」。これも15話「溶ける糸」との共通点です。最初にこの作品を見た当時は小学生だったでしょうか、「自爆」だと思っていました。原題はAn Exercise in Fatalityで直訳は「死の中のエクササイズ」と出ました。他でも詳しく語りますが、コロンボシリーズの邦題には「△△の☆☆」というスタイルがたいへん多く、△△の部分にこのような普通に使われない名詞「自縛」を用いたことは、興味深いですね。

少し寂しげな表情が印象的な秘書ジェシカ

グレッチェン・コーベットマイロ・ジャナスの秘書で愛人のジェシカ・コンロイ(グレッチェン・コーベット)は20話「野望の果て」に出てくるヘイワード夫人の秘書のリンダ(ティシャ・スターリング)と雰囲気が似ていました。でもこのジェシカがマイロに「今日のあなたは元気がない」というシーン、割と元気だったと思ったが(笑)

怒りながらも、犯人を追い込んでゆく?

以前『美しいコロンボ劇にはなっていません。美しく感じないもっと大きな理由は「激怒するコロンボ警部」です。』と書きましたが、そうでもなかったです。もう一度見直すと『怒りながらも、犯人を追い込んでゆく』ように感じました。『スタッフォード夫人の緊急入院』で怒ったことも、不要なシチュエーションとまで言えませんね。また、冒頭からコロンボ警部は不機嫌な雰囲気で登場しているのも面白い(早朝に呼び出されてとのこと)です、このような登場シーンは多いですね。

清掃員のマーフィ

ジュード・フェアズ健康クラブの清掃員:マーフィ(ジュード・フェアズ)が素敵です。コロンボの捜査に迷惑そうに応対するが徐々に協力的に転じ、茶色の靴底の推理では「たいしたもんだわ」と感心していました。このジュード・フェアズは20話「野望の果て」コロンボ警部が運転中に検問される際に登場する若い方の警官の俳優と同一人物です。

現場検証のリッカー巡査

レイモンド・オキーフ健康クラブでの現場検証で中心的な役目を担っているのはリッカー巡査(俳優:レイモンド・オキーフ)。グリーン系のチェックのブレザーがよく似合ってました。

秘密組織が毒を盛った?

ビクター・イゼイ スタッフォードの死因について、秘密組織が毒を盛った‥なんてジョークを飛ばす検死官は、ビクター・イゼイ。この人は36話「魔術師の幻想」の鍵屋のオヤジさんと同一人物です。若い人はせっかちだとか説教する人です。38話「ルーサン警部の犯罪」では、ややこしいですが劇中劇の犯人役で出ています。

病院の待合室でとばっちり

ミッキー・ゴールデン15話「溶ける糸」以来、珍しく激怒したコロンボ警部。病院の待合室で居合わせた人たちは、とばっちりでえらい迷惑を被りました。そしてク警部は我慢していた葉巻を所望、隣の男性にマッチをもらいます。この男性は俳優:ミッキー・ゴールデンで、この回を始め、合計11回も刑事コロンボに出演しているエキストラ俳優です。

断たれた音の病院16

自縛の紐の病院26

さてこのスタッフォード夫人のルースが運び込まれた病院と、16話「断たれた音」でトムリン・デューディックが入院する病院は、廊下がほぼ同じです。この病院は天井の照明が印象的ですね。「断たれた音」の方はその青色が際立っています。

また「溶ける糸」の病院もよく似ています。詳しくは「皆さん同じ病院に入院?」をご覧ください。

溶ける糸のエレベーター15

断たれた音のエレベーター16

 
投稿日:2023年10月16日

口笛で、THIS OLD MAN♪

また、コロンボ警部が海岸を歩くシーンでは、ピーターフォークの「THIS OLD MAN」自身の鼻歌が吹き替え無しで披露されています。
「THIS OLD MAN」について

マリブビーチ
マイロ・ジャナスはLA北西部のマリブビーチに住んでいて、なんとご近所に「指輪の爪あと」の探偵のブリマー邸もあります。ジェシカがビキニで登場したり、マイロが海岸でトレーニングしたりで、とても印象に残ります。
マリブ周辺(マイロ・ジャナス邸)

マイロ・ジャナス健康クラブ
それに対しマイロ・ジャナス健康クラブはLA中心よりやや北側の「チャット・ワース(チャッツ・ワース)」にあります。
パサデナ地区
さらに、マイロがアリバイ工作に利用した「パーカーの店」はLA東部のパサデナ地区にあり、マイロの自宅から反対方向に位置します。この距離感はいかにもマイロがアリバイを主張したくなるほど遠いです。
パサデナ周辺(パーカーの店)*カーターは誤りです。

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事件解決の決め手(2020年9月加筆)

この一連の会話が重要だと思うのです。
マイロ:「電話でスタッフォードは、もうトレーニングシャツに着替えたから、30分ばかり(トレーニング)やってから、帰宅する」と確かに言ったんだ。
コロンボ:「そりゃ無茶ですな、そんなはずないです。」

その後の実演で「運動靴は第三者(犯人と断定)が履かせた」と実証しました。マイロもそれを認めています。
そして、その後の会話‥

マイロ:「靴を履かせたのが僕だっていう、証拠は何一つ上がっていないじゃないか!」
コロンボ:「アンタしかいないんだ。自分で認めてるでしょ?」

ここまでは、良い。
私は‥次の決め台詞が混乱の原因となっていると確信します。

コロンボ:「スタッフォードさんを第三者が最後に見たのは7時半で、その時は背広だった。翌朝死体が発見された時は、運動着を着ていた。その間、誰も彼を見ていない。ところがアンタは、前の晩午後9時に、いいかね、アンタ1人だけがあの人が着替えたのを知ってたんだ。あの時間アリバイのあるはずのアンタが、何故そのことを知っているんです?」「完全なアリバイを作ろうとしたんだが、そのアリバイが命取りでしたね。」

この際、反則かもしれませんが、ぼろんこがこの台詞を自分なりに書き直してみましょう。

マイロ:「靴を履かせたのが僕だっていう、証拠は何一つ上がっていないじゃないか!」
コロンボ:「アンタなんです。自分で認めてるでしょ?」
コロンボ:「犯人に履かされた運動靴、運動着も犯人が着せたんですよねぇ、よござんすね?マイロさん。それでは、9時過ぎに『運動着に着替えた』と電話してきたのは、一体誰でしょう?着替えたことを知っているのは、犯人だけ、そりゃあアンタですよ。」

ぼろんこ:「ニセ電話のスタッフォードの会話」と「自縛の運動靴の実証実験」。この2つだけで、マイロを犯人だと決定づけられたはずです。考えてみてください‥自分で着替えていないということは、気絶か、眠らされていたか、死んでいたか、どれかでしょう?それを、元気に自分で着替えました‥と電話してきた人が犯人なのです。

解決編がスッキリしなかった状況

しつこいコロンボに対しマイロが苛立ち、スタッフォード夫人が病院に担ぎ込まれ、コロンボも激怒(マイロの図太さに切れた)。このヒートした流れのまま、マイロの事務所で解決編をむかえます。この流れは劇的なのですが、結果的に混乱を招いています。(マイロが病院と、翌朝の事務所の服装が同じことも良くないです)
そして頭に血が上ったコロンボが、決定打ではない「力説」をするので、混乱したのです。

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刑事コロンボと魔法瓶

スタッフォードの殺害現場「マイロ・ジャナスの健康クラブ」で、コロンボ警部が持参した魔法瓶は新しいアイテムで「濃い緑で四角模様」に変わっていました!これは24話「白鳥の歌」で木っ端微塵になったのが原因か?
→刑事コロンボと魔法瓶

監督:バーナード・L・コワルスキー
脚本:ピーター・S・フィッシャー
原案:ラリー・コーエン
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

マイロ・ジャナス:ロバート・コンラッド(声:日下武史)
ジェシカ・コンロイ:グレッチェン・コルベルト(声:三田和代)
ジーン・スタッフォード:フィリップ・ブランズ(声:雨森雅司
ルース・スタッフォード:コリン・ウィルコックス(声:藤野節子)
検死官:ビクター・イゼイ
リッカー巡査:レイモンド・オキーフ
アル・マーフィ:ジュード・フェアズ
バディ・キャッスル:パット・ハリントンJr(声:寺島幹夫
ルイス・レーシー:ダレル・ツワーリング
トライコン工業社の女性社員:アン・コールマン
ローズ:スーザン・ジャコビー
警備員:エド・マクレディ
待合室の男性:ミッキー・ゴールデン
待合室の男性:トニー・レーガン

*作品のエンディングに関して:賛否の激しい解釈については記載を削除しましたが、2020年のBS一挙再放送で議論が再燃したため、加筆しました。
 
加筆:2024年8月29日

27話「逆転の構図」

Negative Reaction / 1974

傑作の一つ「逆転の構図」

ディック・ヴァン・ダイク著名な写真家ポール・ガレスコ(ディック・ヴァン・ダイク)が口うるさい妻を殺害し、誘拐殺人に見せかけるというお話です。この作品、「ポール・ガレスコ」という犯人の名前が非常に印象的で、小学生時代に見た頃から、コロンボシリーズ中、最も好きな作品として心に残っていました。そしてNHK BSの再放送で数十年ぶりに再会しました。色褪せていません、傑作のひとつだと思います。

殺意を抱き続ける夫、ポール・ガレスコ

まず、被害者にも非があること。計画的な殺害でありほぼ計画通りに実行できている。動機が十分である(と、思われる…。本当は殺してはいけません。)。状況証拠の揃え方も見事。コロンボ警部がしつこく犯人がいらだつ。結末が意外性を持っていて爽快。などなどです。

妻のフランシス

アントワネット・バウアー犯人のポール・ガレスコは「この世からお前が消えてくれれば良いのに‥と何度も願った」ほど、妻のフランシス(アントワネット・バウアー)を憎んでいました。会話の中で「15年間」と言っていますが、離婚できなかったのでしょうか?おそらく計画通りに事(殺人)が運べば離婚より幸せな将来が待っていると想像したのでしょう。

計画はほぼ思い通りに進みます。1点のみ、廃車置き場でトマス・ドーラン(ヴィトー・スコッティ)(浮浪者風の男)に殺害の様子を「聞かれた」こと以外でしょうか。それも決定的な証拠とはなりません。むしろ、計画通りに運んだのだが、数カ所の「落ち度」をコロンボ警部に見抜かれてしまうことが、命取りになります。

ガレスコ氏の緻密な殺害計画

ドン・ゴードンガレスコ氏の計画は、なかなかのものです。ガソリンスタンドでのアリバイ工作。メイドに誘拐をほのめかすこと。そして前科者のアルビン・ダシュラー(ドン・ゴードン)を誘拐殺人の犯人に見立てて、銃撃戦で殺して口封じをする。おそらく担当刑事がコロンボでなければ、完全犯罪として成立したと思われます。担当のホフマン刑事(マイケル・ストロング)はまんまと騙されていますね。まあ、よく考えてみれば「タクシーを使って誘拐の準備をする」ってことはあり得ないんですが。まるで自分の行動を運転手に教えているようなものです。

コロンボ警部の捜査のポイントは見どころ満載です。まず容疑者のダシュラーが相当の「お馬鹿さん」で無い限り、真犯人ではないことに気付く点です。それにガレスコ夫人を誘拐したダシュラーが脅迫状に添えた写真になぜ「時計」が必要であったか?普通に考えれば必要の無いアイテムです。日めくりやテレビ番組など、日付を特定したいものであれば別ですが、時間を特定する必要は無いと思われます。この2点で、単なる誘拐殺人ではないことは明白となります。

徐々に表情が曇るガレスコ氏

その他は、芋づる式に状況証拠が揃います。要するに、初期捜査の着眼点が他の手がかりを引き出してゆくのです。メイドに誘拐をほのめかす際に「脅迫電話のメモ」を書いた矛盾は最大の失敗のひとつです。さらには誘拐犯からの呼び出し時間のズレを、後になって解説したこと。ダシュラーのモーテルの部屋で、彼が犯人であることを分かりやすく演出しすぎたこと。これらの「甘さ」がコロンボ警部を「逆転の構図」作戦の実行に駆り立てたと感じます。つまり犯人は100%の確率でガレスコ氏と断定でき、あとはガレスコ氏自身に「私がやりました」と言わせれば良いのです。

そのために、状況証拠をちびちびとガレスコ氏に見せ、彼を追い込んでゆきます。その手法が凄いです。自分が撮影した下手な写真を見せガレスコ氏のプロカメラマンとしての誇りを引き出し「犯人像とダブる」ことを伝える。助手のローナ(ジョアンナ・キャメロン)を「奇麗な方ですね~」と、二人の男女関係を疑う。ホテルの部屋の件は「メイドが掃除をさぼったことで嘘をついた」という、苦し紛れのガレスコの証言を「復唱しながらメモ」しています。さらには、刑務所の写真集からガレスコ氏と前科者のダシュラーの関係を突き止める。そして最後に「脅迫状作成を実演」です。

コロンボ警部の得意技「大芝居」

エンディングは圧巻。注目すべき点は、コロンボ警部が「ここが重要です。あたし自身が采配をとり、全て落ち度なくやった」と自慢気に喋る場面。「頭脳明晰で手強い刑事」から「お間抜けデカ」に印象が変わるように演じています。そこで生まれた一瞬のスキが「崖っぷちまで追い込まれた」状況から「大逆転」のチャンスと錯覚させ、証拠品のカメラにを手に出させるのです。

よ~く考えてください。「証拠写真を複写して引き延ばした。その際にミスで裏焼きした。オリジナル写真は紛失した。」のですが「複写したネガ」は存在するわけで、そのネガを調べれば「裏焼き」は明白。それに気付かれれば、全てがフイになる「賭け」のような作戦だったと思います。まんまと自分の罠にハマるガレスコ氏。コロンボ警部は、彼の捨て台詞に対し一言も解答せず、無言のラストを向かえます。

ホフマン刑事もびっくり

マイケル・ストロング「残念でした」という印象的な台詞。ホフマン刑事(マイケル・ストロング)の表情もとても印象的です。現場タタキ上げのような刑事ですが、「あんた、自分で罪を認めたんだよ」って、コロンボ警部の補佐について「どえらい体験しちゃった」台詞でした。このマイケル・ストロングは、宇宙大作戦(スタートレック)「コンピューター人間」のコービー博士役で出演しています。

誰が見ても怪しい関係?

ジョアンナ・キャメロン助手のローナ(ジョアンナ・キャメロン)の美脚がカメラワークにより魅力的に表現されていました。またコロンボの「奇麗な方ですね~」に対し、仕事での有能ぶりを評価していると逃げたガレスコ氏の台詞に「うしろめたさ」を見ることができました。

成功者に美人秘書あり

英雄は色を好む…ですか、コロンボシリーズで頻繁に見られるシチュエーション「成功者に美人秘書(今回は助手)あり」。もしも、ガレスコ氏がローナとフィリピンに逃避行しなければ、もっとスッキリ逮捕したかったのでしょうね、コロンボ警部~。

家政婦さんも良い感じ

アリス・バックスガレスコ邸の家政婦さんは女優:アリス・バックス。口うるさい夫人は彼女の仕事ぶりが不満なようでした。確かに冴えない‥ような雰囲気もありますが、脅迫電話に聞き耳をたてたり、メモを見たりなど印象に残ります。

可愛い!ジョイス・ヴァン・パタン

ジョイス・ヴァン・パタンシスター役の女優「ジョイス・ヴァン・パタン」とのやりとりは何度見ても傑作です。ジョイス・ヴァン・パタンはこの後の作品39話「黄金のバックル」で美術館の館長ルース・リットンで犯人役を好演します。やはり素敵な女優さんは、脇役でも光るものです。

笑える場面が盛りだくさん、楽しい作品です

しかしこの作品は本題の完成度に加え楽しめる箇所も多いです。人間コロンボの魅力もいたる場面に盛り込まれています。警部がガレスコ宅で灰皿を見つけられず、ポケットにタバコの灰を捨てる仕草もかなり笑えました。一部始終を見ているガレスコ氏もあえて突っ込まないのがGOODでした。

名優「ヴィトー・スコッティ」

ヴィトー・スコッティ名優「ヴィトー・スコッティ」との知的な会話も面白いです。トマス・ドーランは酔っぱらいの浮浪者風の男ですが、供述の証言や食堂での会話からも知的なキャラクターに描かれていて、とても面白いです。供述書で自分を「余(よ)」と呼んでいました。コロンボ警部はこのドーランに対し優しく接していて、社会的弱者の味方であることが伺い知れます。

ハリー・ルイスにも注目!

ハーヴェイ・ゴールドカメラ店のハリー・ルイスを演じた「ハーヴェイ・ゴールド」も良かったです。ハーヴェイ・ゴールドは32話「忘れられたスター」と33話「ハッサン・サラーの反逆」「アンダーソン検死官」を演じます。日本語吹き替えは「ウイルソン刑事」「ドカベンで徳川監督役」の野本礼三さん。

 

解決編については疑問も残る

解決編があっさりしている(突然のクライマックスを向かえる)という解釈は少々違う気がしています。カメラ店でヒントを得た後、運転免許の試験官ウイークリー氏と会う場面で、すでに「逆転の構図」作戦を着々と実行していたわけです。ほぼ全ての場面で無駄の無い作り、それでいてユーモアもたっぷりです。

また、ポラロイドカメラの特性や裏焼きなどについて、不自然に感じたというご意見も多いのですが、私的には「証拠品を自分で選んでしまう」ことを狙ったことを評価しようと思います。

ラリー・ストーチ

ラリー・ストーチストーリー後半の短い出番でしたがウイークリー役のラリー・ストーチの演技も良かったです。神経質な性格で、仕事に嫌気がさしていて、かなりマイってました。公務員の気質丸出しで可愛かったです(笑)ウイークリー氏が「教習所の教官」と思っている人は間違いで正しくは運転免許試験場の試験官。ダシュラーは運転を習う必要はありません。

サンプソン警部

ビル・ザッカート警察署内でダシュラーの話で盛り上がっている場面です。この人は俳優ビル・ザッカートで、後の33話「ハッサン・サラーの反逆」のオーガスタ部長として再登場します。またこの俳優さんはぐぐ〜と年を経て55話「マリブビーチ殺人事件」にも登場します。

不動産屋マグルーダー

ジョン・アシュトン不動産屋マグルーダーは俳優ジョン・アシュトン。何となく19話「別れのワイン」のワインツアーのガイドに似ていると目をつけましたが‥別人でした。髪型が違うかあ~。でも印象に残る俳優さんでした。

モーテルのオヤジ

トーム・カーニーダシュラーが滞在していたモーテルのオヤジ「チャールズ・ビクター」は俳優:トーム・カーニー。ダシュラーとは折り合いが悪かったらしく、彼の文句ばっか言ってました。このモーテルでダシュラーはガレスコに電話をかけているが、「555」から始まる電話番号は架空のものとして多用されます。

証拠写真を撮るカメラマン

フレッド・ドレイパーガレスコ夫人の誘拐殺人現場で証拠写真を撮るカメラマンは、ご存知「フレッド・ドレイパー」。ですが今回は何か不自然さを感じます。まるで変装しているかのようですね。

解決シーンにも立ち会う署員

マイケル・エドワード・ラリーまぁ本当に執念のようなねちっこさで発見しました。警察署内で証拠品を保管している係の署員は「マイケル・エドワード・ラリー」で24話「白鳥の歌」で、セスナの墜落現場を撮影していたカメラマンと同じ俳優さんです。しかも有名エキストラ俳優「マイク・ラリー」の息子さんです!

刑事コロンボと魔法瓶

やはり前作「自縛の紐」で新しい魔法瓶を買ったようで、今回27話「逆転の構図」のロス市警のシーンでは新しい魔法瓶が大写しになっています。辻褄が合いますよね!
→刑事コロンボと魔法瓶

映画「タワーリング・インフェルノ」

ドン・ゴードン日本公開1975年の映画「タワーリング・インフェルノ」に前科者のアルビン・ダシュラーが出演しています。消防士のオハラハン(スティーブ・マックイーン)の部下の消防士(カピー)の役です。結構映ってますし、マックイーンとの2ショットなど、かなりカッコ良くて感激します。

監督:アルフ・ケリン
脚本:ピーター・S・フィッシャー

ポール・ガレスコ:ディック・ヴァン・ダイク(声:新田昌玄)
ホフマン刑事:マイケル・ストロング(声:緑川稔)
アルビン・ダシュラー:ドン・ゴードン
フランシス・ガレスコ:アントワネット・バウアー(声:阿部寿美子)
ローナ・マクグラス:ジョアンナ・キャメロン
トマス・ドーラン:ヴィトー・スコッティ(声:近石真介
シスター・マーシー:ジョイス・ヴァン・パタン(声:加藤道子)
ハリー・ルイス:ハーヴェイ・ゴールド(声:野本礼三
家政婦:アリス・バックス
サンプソン警部:ビル・ザッカート
モーテル主人:トーム・カーニー
不動産屋マグルーダー:ジョン・アシュトン
鑑識カメラマン:フレッド・ドレイパー
ウイークリー:ラリー・ストーチ(声:筈見純)
写真展の客:ダイアン・ ターレイ・トラヴィス
写真展の客:エセルレッド・レオポルド
ロス市警署員:マイケル・エドワード・ラリー

加筆:2023年9月17日

28話「祝砲の挽歌」

By Dawn’s Early Light / 1974

作品の持った雰囲気がとても好きです。絵的な美しさ、兵学校という閉鎖された特殊なシチュエーション。他にも軍隊ものの作品はありますが、この「祝砲の挽歌」には及びません。

事件が起こる背景

陸軍幼年学校の劣等生にその罪をきせる行動と相反し擁護するような言葉も…。厳しいが故に学校で孤立してしまう立場も…。生徒たちの「自供」により殺人を暴かれてしまう下りも…。流れるようにつながっています。また、学校の平面図から「陸軍幼年学校」が「男女共学のキャンパス」に改築される計画があったことを見破るあたり、コロンボ警部の着眼は流石です。

冒頭の演出も見事

廊下をこそこそと進んで行くと、砲弾の工作をしている背中が見えてくる。予め準備した材料を丁寧に加工する手元。冷静ながらも…汗がしたたる表情。丁寧に指紋を拭き取る。火薬を流すために蛇口を振り回す。外に出た時、初めてタイトルクレジットの文字が表示され、微かなドラムロールでBGMが始まる。砲台での準備を終え、後に大きな意味を持つ「りんご酒」を見つける。6分30秒を過ぎた頃、軍隊ラッパの音と共に台詞付きのドラマがスタートします。始まりから6分30秒まで台詞は一切なし、音楽もごく小さい。この冒頭シーンを見ただけでこの作品がどれほど凄いかを直感します。

パトリック・マッグーハンの存在感

パトリック・マッグーハン犯人役のパトリック・マッグーハンの存在感は抜群です。ヘインズ陸軍幼年学校の理事長ヘインズを殺害した後も「厳しい校長先生:ライル・C・ラムフォード大佐」が、正義(?)を貫いて生きる様を、美しく演じています。

ラムフォード大佐

ラムフォード大佐は、自分の保身のために殺人を犯したとは思えません。むしろ間違った方向を向き始めたアメリカに対し「NO」と言いたかったのでは?私は戦争擁護の立場ではありません。ただ大佐の気持ちを考えただけです。

日本語吹き替え:佐野浅夫さん

ラムフォード大佐の吹き替え「佐野浅夫」さんは素敵でしたが、ミラー当番兵(靴が汚れていた生徒)を再度呼び出して説教するシーンからしばらくの間、別の声優になっていました。佐野浅夫さんとは似ていない声で、この部分がとても残念でした。初期放送版ではカットされていたのでしょうね。重要な場面だと思いますが放送時間の関係でしょうね。

スプリンガー候補生

マーク・ホイーラー落第生のスプリンガー候補生(マーク・ホイーラー)の反抗的な態度やエピソードも上手く描かれています。彼が「大砲の誤爆は自分の責任であるはずがない」「不可能だもん*」と語る場面も印象的です。俳優マーク・ホイーラーは、その後の映画「アポロ13」にニール・アームストロング役で出ているらしいです。あの月面着陸の船長さんですよね。
*=実は掃除当番をさぼっている。

シロとクロを見分ける着眼点

コロンボ警部が容疑者を「ラムフォード大佐」に絞る場面は、大佐がボロ布を最初に見た時に言及を避けたのに対し、スプリンガー候補生はためらうこと無く「大砲の清掃用の布」と答えたことにあるでしょうか。ラムフォード大佐は事故の原因をスプリンガーの不始末として片付けることを前提として、この犯行計画を始めたわけであり、自分の計画どおりに進む捜査に対し、すこしだけためらいの感情が出たのでしょうか。

自ら祝砲を撃つ役目を引き受けた

トム・シムコックスまた、ラムフォード大佐は凛とした振る舞いの中でも、沈着冷静に計画を実行しています。被害者ヘインズ(トム・シムコックス)との口論の最中に、少しだけドアを開けておき、ヘインズが自ら「式典で祝砲を撃つ役目を引き受けた」成り行きを秘書に聞かせるよう工夫しています。本来なら大佐が爆死していた可能性もあることで、自分が容疑者のラインから外れるという計算です。

一癖ありそうな秘書

マデレーン・シャーウッド秘書ブレイディの役はマデレーン・シャーウッド。メガネの上から覗き見るような表情が印象的な女優さんでした。ちょっと気が強そうな感じ。美人秘書という観点ではなくても、とても楽しいキャラクターだと思います。

とばっちりを食らうルーミス大尉

バー・デベニング注目すべき場面は、食堂でふざけている生徒を「突然のように声を荒げて叱る」大佐の態度。スプリンガー候補生についての会話中に、コロンボ警部はスプリンガーを犯人ではないと確信している。むしろ自分が疑われている‥と気付くのです。ご機嫌斜めな大佐の「リンゴ酒密造犯捜査命令」を受けるルーミス大尉(バー・デベニング)のリアクションは、少し不本意そうで興味深いです。

大草原の小さな家

バー・デベニングこのバー・デベニングは大草原の小さな家の「ベイカー先生 休診」に、若いローガン医師の役で出演しています。失意の中で廃業を決意するベイカー先生の代わりに赴任した、身勝手なお医者さんです。またこのお話には、26話「自縛の紐」のスタッフォード夫人(コリン・ウィルコックス)がベス・ノヴァック役で出演しています。

祝砲の挽歌

原題は「By Dawn’s Early Light」で直訳は「夜明けの明りで」という感じ。「挽歌」とは中国で葬送の時に柩(ひつぎ)をひく者が歌った歌で、エンディングに歌とともに訓練する響きも通じて、納得の邦題です。これについては、ブログゲストさんが詳しく解説してくれていますので、ぜひお読みください。

クレーマー刑事が登場

クレーマー刑事後の作品でも活躍する「クレーマー刑事」が初登場。やる気があるんだか…どうだか…わかんない感じがとても良いですね。コロンボ警部の部下は総じて「早く家に帰りたい」人が多いです。その後は「ジョージ」が定着しますが、この時は同僚刑事のマイク・ラリーから「デーブ」と呼ばれています。

モーガン候補生はクレーマー刑事の息子!

ブルーノ・カービーヘインズ陸軍幼年学校のトイレで、高校時代の彼女の思い出話をする相手「モーガン候補生」は「ブルーノ・カービー」で、クレーマー刑事を演じる「ブルース・カービー」の息子。父ブルースは2012年現在存命だが、息子ブルーノは2006年に57歳の若さでこの世を去っています。

ヘインズ陸軍幼年学校

「ヘインズ陸軍幼年学校」はサウスカロライナ州チャールストンがロケ地だということです。ですので海外ロケに匹敵するほどの作品スケールが感じられるわけです。

監督:ハーヴェイ・ハート
脚本:ハワード・バーク

ライル・C・ラムフォード大佐:パトリック・マクグーハン(声:佐野浅夫)
スプリンガ―候補生:マーク・ホイーラー
ミラー候補生:ロバート・クロットワーシー
モーガン候補生:ブルーノ・カービー
秘書ブレイディ:マデレーン・シャーウッド(声:高橋和枝)
クレイマー刑事:ブルース・カービー
ルーミス大尉:バー・デベニング(声:徳丸完)
ウィリアム・ヘインズ:トム・シムコックス(声:堀勝之祐)

加筆:2020年7月26日

29話「歌声の消えた海」

Troubled Waters / 1975

お馴染みの俳優、ロバート・ヴォーンが登場。

ロバート・ヴォーン中古車販売会社社長ヘイドン・ダンジガー(ロバート・ヴォーン)が登場。この俳優ロバート・ヴォーンは、0011ナポレオン・ソロというテレビ番組をよく見ていたので、最初にこの作品を見た当時(おそらく私は小学生)は、最も好きな作品のひとつでした。

人の弱みに付け込むことは「命取り」

動機は自分の浮気相手から脅迫されたというもの。今回の犯人ダンジガー氏は、コロンボシリーズの犯人の中でも抜群の「セレブ度」ではない感じ。苦労して中古車販売会社を育ててきた印象です。だから、それを失うことをとても恐れたし、脅迫には屈しないという感情も出たのでしょう。人の弱みに付け込むことは「命取り」に なりかねませんね。18話「毒のある花」21話「意識の下の映像」でも、犯人を脅迫した人が、返り討ちにあってますね。

今回のテーマが「船旅での殺人事件」ということで、まぁ壮大なスケールの中で娯楽性もたっぷりの推理モノテレビ番組~みたいになりがちですが、そんなことそっちのけで「最高傑作クラス」の充実感がありました。コロンボ夫人はアカプルコまでの客船内で一度も登場しません。しかもコロンボ警部はいつも通りのレインコート姿。この設定は疑問を持たずに受け入れるべし…ですね。

濡れ衣工作はほとんどの場合、命取りになっちゃう

29作品目ということで、コロンボ警部の貫禄具合もちょうど良い感じです。医務室で「鳥のはね」を発見したことが、ダンジガーを容疑者として絞ることの決定的な理由ですが、その他にも犯人を被害者のバンドのメンバーロイドに見せかけたい「工作」が、すべてコロンボの「引っかかり」の対象になってしまうという皮肉。
コロンボ作品で犯人が「被害者の自殺にみせかける」「第三者に濡れ衣を着せる」という行動を起こすと、ほとんど「命取り」になります。この作品では顕著ですね。

どんどん手袋が減っちゃいますよね(笑)

事件解決の道筋は大疑問。ダンジガーはコロンボ警部から「犯人は医務室から使い捨てのゴム手袋を拝借して犯行に使った。それは数を数えたから確かだ。」と、説明されているのに、同じ場所から「決め手の証拠を作るための手袋」を、もう一回拝借して濡れ衣工作をした。

ダンジガー役の声優さん

ヘイドン・ダンジガーの声を演じたのは「西沢利明」さんで、刑事物や時代劇で活躍された俳優さんです。今回は少し声が「裏返りそう」になる場面があり、それも私は好きです。(笑)ロバート・ヴォーンの吹き替えは西沢さんの他、矢島正明さんも担われています。

ダンジガー夫人は手袋を忘れた…

バーナード・フォックスダンジガーのゴルフ用の手袋を妻のシルビア(ジェーン・グリア)が忘れたのが、そもそもの原因。「アカプルコで買えばすむことよ」に「船中での殺人に使うつもりだったんだ」と言い返せるわけもなかったですね。

鼻歌で犯人を追いつめる珍しいシーン。

ラストシーンでは、コロンボ警部の得意技「犯人の行動から『自分が犯人でございます』と本人に言わせる」という、最もスカっとする手法が見られます。しかも、警部は鼻歌で例の「THIS OLD MAN」を歌いながら、犯人ダンジガーを追いつめます。この時の表情が最高ですね。実際のピーターフォークの鼻歌では「ダンジガーさ~ん♪」は、確認できませんでした。

客船パーサーのワトキンズ

バーナード・フォックス客船パーサーのワトキンズはバーナード・フォックス。ボートと汽船の違いにこだわる男でした笑。この人はご存知と思いますが、13話「ロンドンの傘」でロンドン警視庁のダーク刑事部長を演じたバーナード・フォックス。

奥様は魔女の「ドクター・ボンベイ」

ドクター・ボンベイこのバーナード・フォックスは、ほぼ同時代のTVドラマ「奥様は魔女」の魔女専門の医者である「ドクター・ボンベイ」を演じています。

ギボンズ船長

パトリック・マクニーギボンズ船長はイギリス出身の俳優パトリック・マクニー。母方は男爵家の血筋、イートン校にも通ったというお坊っちゃま。テレビシリーズ「アベンジャーズ」で活躍したそうです。またこの人は「レスリー・ニールセン」主演の「レスリー・ニールセンの裸の宇宙銃を持つ男」にも出演しています。

スーザン・ダマンテ

スーザン・ダマンテ脇役ですが、看護婦メリッサ役の女優は「スーザン・ダマンテ」で、アドベンチャーファミリーにも出演。さりげない優しさが演技に出ていました。死体の検査をする場面では少し緊張した表情でしたね。とても人気が高いキャラクターです。(2020年、スーザン・ダマンテ・ショウより一般的だと思われる、スーザン・ダマンテの表記に直しました。)

ロイド・ハリントンはエリック・ワグナー(笑)

ディーン・ストックウェル濡れ衣を着せられるバンドのピアノマン「ロイド・ハリントン」役はディーン・ストックウェルで、12話の「アリバイのダイヤル」で殺害される御曹司エリック・ワグナーと同一人物です。素敵な俳優さんでした。

ロザンナ・ウエルズ

プーピー・ボッカー殺害される歌手のロザンナ・ウエルズは女優プーピー・ボッカーで、日本語吹き替えの中村晃子さんは、60年代後半〜70年代に活躍した歌手・女優さんです。

バンマスのアーティ

ピーター・マローニー楽団のバンマス:アーティ・ポデルを演じたのはピーター・マローニー。ぎょろっとした目とメガネが印象的で、どことなく40話「殺しの序曲」のジェイスン・ダンジガーさんに似ている気も‥笑。

ダンジガーの非常階段のテーマ

YouTube「ダンジガーの非常階段のテーマ」をパソコン演奏で再現しています。ヘイトン・ダンジガーがロザンナ殺害後に非常階段で医務室に戻る際のBGMです。緊迫感が伝わってくる素敵な音楽です。刑事コロンボはこのような音楽に関しても、素晴らしいですね。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

監督:ベン・ギャザラ
脚本:ウィリアム・ドリスキル

ヘイドン・ダンジガー:ロバート・ヴォーン(声:西沢利明
ロイド・ハリントン:ディーン・ストックウェル(声:上田忠好)
客船パーサーのワトキンズ:バーナード・フォックス(声:西田昭市)
看護婦メリッサ:スーザン・ダマンテ(声:沢田敏子
医師フランク・ピアース:ロバート・ダグラス(声:塩見竜介)
ロザンナ・ウエルズ:プーピー・ボッカー(声:中村晃子)
アーティ・ポデル:ピーター・マローニー(声:肝付兼太)
シルビア・ダンジガー:ジェーン・グリア(声:寺島伸枝)
ギボンズ船長:パトリック・マクニー(声:柳生博)
ウエイター:マイク・ラリー

加筆:2022年8月13日

30話「ビデオテープの証言」

Playback / 1975

ある意味、すごい豪邸

電子工業の社長ハロルド・ヴァンウィックが義母を殺害。手を叩いたら「ドアが開く家」なども含め、数十年前に見た当時を懐かしく思い出しました。今であれば簡単なことかもしれませんが、当時の個人宅でビデオ監視システムを使って家を警備しているなど、恐ろしいほど生活経費をかけていたものです。

オスカー・ウェルナー

オスカー・ウェルナーまずは何と言っても犯人役のハロルド(オスカー・ウェルナー:山田吾一)はGOODです。新しモノ好きで、子供のような性格に描かれています。それでいて、少し女好きでもありますね。私だけが感じるのかも知れませんが、顔がちょっとロック歌手のロッド・スチュアートとダブりました。

今回の再放送で彼の顔を見たとたん、「そうそう、この人、この顔!」って感じで、大はしゃぎしました。それくらい深いインパクトを与える俳優さんだと思います。

ジーナ・ローランズ

ジーナ・ローランズ犯人の妻エリザベス役ジーナ・ローランズも流石の存在感で、とても美しく見えました。哀愁の漂う素敵な奥様を演じていたと思います。彼女は10話「黒のエチュード」で犯人の指揮者アレックス・ベネディクトを演じた大物「ジョン・カサヴェテス」の奥様。「愛犬ドッグ」を可愛がってくれるシーンも良いですね。

映画「きみに読む物語」

きみに読む物語のジーナ・ローランズ「きみに読む物語」はAmazonプライムで見ました。とても良い映画です。監督はニック・カサヴェテスであの「ジョン・カサヴェテス」の息子。そして助演女優として74歳の「ジーナ・ローランズ」に会うことができます。とても素敵な役です。よろしかったらご覧ください。

マーサ・スコット

マーサ・スコット被害者となるマーガレット夫人は女優マーサ・スコット。日本語吹き替えは、このちょっと意地悪そうな夫人役のイメージにぴったりの女優「佐々木すみ江」さん。

凄い解決編、本当に文字まで読めるの?

解決編で、ビデオの映像を拡大して、そこに画廊の招待状が映っていた。というのは、どうも…。当時の解像度でそこまで読み取れますかね?オープンリールのようなかなり大きな記録メディアなので、そうなのかもしれませんが…ちょっと疑問です。(これについては後日、業界の方から「識別可能だ」とのご指摘を頂きました)

開けゴマ?

それに対し、銃声でドアが開いてしまったことを発見する着眼点は素晴らしかったですね。実際にピストルを発射して実験していますが、よく考えたら家中のドアが全部開くはずで、もっと大げさな状況になっていたのでは?とも…。ドアごとに感知のON/OFFをしていたのでしょうか? いずれにせよ、これらは足の不自由な奥様への愛情の証として考えられた装置であると思われます。

画廊の美人受付嬢に興味

トリシャ・ノーブルハロルドは知り合いのブラント画廊に採用された新人受付嬢「マーシー」に興味を抱いていました(笑)この女優さんはトリシャ・ノーブル(Trisha Noble)さんです。

画廊を訪問するコロンボ

パトリシア・バリー計算された「笑えるシーン」もありました。それはコロンボ警部がブラント画廊を訪問する場面。店主のフランシーヌ(パトリシア・バリー:曽我町子)とアート作品の価格について問答します。換気口をアート作品と勘違いするコロンボ警部の表情は「思わずにんやり」してますよね。日本語吹き替えの曽我町子さんは、オバケのQ太郎の声や主題歌を担当した方です。

はじめっから、顔が笑ってます

この時警部は自分でも、ちょっと笑っちゃっているでしょう、きっと。帰り際に照れながら「誰にも言わないでくれ」と、受付嬢マーシーに自分から失敗談を語ってしまうのも、コロンボ警部の人柄を上手に表現しています。

日本語吹き替え版のラストは少し残念…

母親殺害の犯人が実の夫だったとわかり、妻のエリザベスが泣き叫ぶシーンでエンディングを迎えますが…少し残念。美しいコロンボ作品を好む私としては、声は不要だった…です。

ブロンソン巡査への疑惑

フランク・エメット・バクスターこれもどうでも良い話なのですが、解決編で登場するブロンソン巡査。誰かに似ているな~と思ったら、気になってしまって。6話「もう一つの鍵」で新社長に就任したベス・チャドウィックが「自分の方針に逆らうなら再就職を考えなさい」と脅される役員の俳優さんと似ています。

この俳優さんは38話「ルーサン警部の犯罪」でウォードのギャラをさらに上げることに反対するテレビ局の役員でも出演しています。
これがもし同一人物だとすると…「フランク・エメット・バクスター」という俳優です。2011年の12月に名前が判明いたしました。

監督:バーナード・L・コワルスキー
脚本:デビッド・P・ルイス、ブッカー・T・ブラッドショー

ハロルド・バン・ウィック:オスカー・ウェルナー(声:山田吾一)
妻エリザベス:ジーナ・ローランズ(声:二階堂有希子)
マーガレット・ミダス:マーサ・スコット(声:佐々木すみ江)
アーサー・ミダス:ロバート・ブラウン(声:佐々木功)
バクスター:ハーバート・ジェファーソンJr.(声:伊武雅之
フランシーヌ:パトリシア・バリー(声:曽我町子)
受付嬢マーシー:トリシャ・ノーブル(声:沢田敏子
バーンズ巡査:スティーブン・マルロ
トンプソン:バート・バーンズ
ブロンソン巡査:フランク・エメット・バクスター
レストランの客:マイク・ラリー

加筆:2024年8月29日

31話「5時30分の目撃者」

A Deadly State of Mind / 1975

精神科医のマーク・コリアーが愛人ナディアの夫カール・ドナーを殺害。計画殺人ではなく、妻との愛人関係に気付いたカールが二人の密会現場に居合わせてしまったためです。このような展開上、私の好きな刑事コロンボのストーリー(計画殺人)は望めませんでした。

ジョージ・ハミルトン

ジョージ・ハミルトン犯人役のゲストスター「ジョージ・ハミルトン」は日本でも有名な俳優さんですね。後の57話「犯罪警報」にも犯人役として出演しています。独特な色気を持った俳優さんです。「女たらし」がごく自然に見えますね(笑)

愛人のナディアは決壊寸前

犯行を愛人のナディア(レスリー・アン・ウォーレン)に目撃されているので、コリアーにとってはかなり不利な状況でした。強盗による犯行に見せようと努力しますが、状況証拠やナディアの曖昧な供述による矛盾をコロンボ警部に見抜かれて、どんどん追いつめられてゆきます。女優レスリー・アン・ウォーレンは「スパイ大作戦」にも出演しています。

また出た、コロンボ警部の大芝居

状況証拠は十分でも、決め手が無い。コロンボ警部は「偽の目撃者」を仕立てます。コリアーは「自分は5時30分にドナー邸に居なかった」と跳ね返せば、良かったのでしょうが、人の心理を読むコロンボ作戦はまんまと成功します。不利な状況にある人間は「正当な部分は主張したがる」ということです。これは27話「逆転の構図」でポール・ガレスコが犯したミスと似ていますね。

おぉ、マーチソン博士!

フレッド・ドレイパー「偽の目撃者」であるデビッド・モリス(兄)は、18話「毒のある花」でマーチソン博士を演じたフレッド・ドレイパー。兄弟が並んだ場面で、眼鏡を外した瞬間に「おぉ、マーチソン博士」と叫んでしまいました。日本語版は「永井一郎さん(サザエさんの磯野波平役で有名)」

おぉ、パジェット将軍!

スティーブン・エリオットまた被害者のカール・ドナーはスティーブン・エリオットで、この作品より14年後、49話「迷子の兵隊」でパジェット将軍(ほぼ別人!)を演じています。カール・ドナーの日本語版は「大平透さん(ハクション大魔王)」

犯罪警報のウェイド・アンダースで復帰

ゲストスターのジョージ・ハミルトンはこの16年後(1991年)の57話「犯罪警報」に再登場します。エリオット(パジェット将軍)の変貌ぶりを考えると、「犯罪警報」のハミルトンは「流石、若作り!」と拍手を贈りたくなります。

ボーデン博士のカレン・マッコーン

カレン・マッコーン脇役としてはアニタ・ボーデン博士のカレン・マッコーンも素敵でした。コリアーから「勤勉に働け」と叱咤された場面では不機嫌そうでした。コロンボ警部から「殺人事件について質問しているんですよ!」と叱られた場面など印象的です。

コロンボ警部、またまた大ショック

クレーマー刑事クレーマー刑事「ブルース・カービー」も光っていました。愛人ナディアの飛び降り自殺(実際には殺害された)の現場でカール・ドナーの所持品を発見した際の「コロンボ警部、またまた大ショック」は最高です。しかも、別の着眼点に夢中のコロンボ警部に無視されていました。

コリアーの友人アーノルド

マーク・コリアーの友人アーノルド(ホームパーティの一人)はレドモンド・グリーソン。彼は36話「魔術師の幻想」のジェロームの店でアナウンスなど裏方で活躍するジョージ。サンティーニに「ジェロームさんを消しちゃってください」とジョークを言う男性です。

ランズバーグ先生とコリアー先生は同僚だ!

キャシー・スピアーズ31話「5時30分の目撃者」の精神科医コリアー先生と、32話「忘れられたスター」の外科医ランズバーグ先生の病院は同じでした!詳しくは「廊下に色ラインが描いてある病院」をご覧ください。それとは関係ないですが、病院の受付の女性(キャシー・スピアーズ)が必要以上に色気ムンムンでした。そしてここは、殺人講義の大学のロケ地でもあります。
刑事コロンボマップ
刑事コロンボマップマーク・コリアーのヨットハーバーは、悪の温室のキャッシーのそれと同じ場所「 マリーナ・デル・レイ
」です。海岸沿いに南下しますと、ナディア・ドナーのマンションがあります。かなり眺望が良いと思われます。

犯行直後に車を門にぶつけた件

ブログゲストさんからのご指摘があり、加筆します。コリアーは犯行現場にブルーのベンツのクーペで来ていました。そして犯行後に逃げる際、目が不自由なダニエル・モリスさんが飛び出したため、避けるために白い門に激しく車をぶつけています。その衝撃で門の角度が変わったほどです。

そしてその夜、コリアーが呼び出されて現場に駆けつける時は、ボーデン先生のシルバーの大きな車で来ていました。ブルーのベンツはバンパーに傷がついたはずなので、自分の車で来れなかったのか?日が変わり、コロンボがコリアーの病院を訪れた時、駐車場のコリアーの車を調べています。この時には、コリアーはすでにベンツを修理に出した後なのでしょう。コロンボはタイヤのトレッド(模様)に着目していますが、バンパーの傷は無さそうでした。
本編では兄のデビッド・モリスは「急ブレーキを踏んで止まった」と証言していて、衝突したことには触れていません。そうでなく、「5時30分に出て来た車は、自分を避けるために何かに激しく衝突した」と証言し、コリアーが直後にフロントバンパーを修理したことも証拠にすれば良かったが…。

しかしここはやはり目撃者に「ブルーのクーペに乗っていた」と証言させ、「目撃者は目が見えないはずだ」とコリアーに反論させたことで、十分面白いのでしょう。
 
監督:ハーヴェイ・ハート
脚本:ピーター・S・フィッシャー
マーク・コリアー:ジョージ・ハミルトン(声:小林勝彦)
ナディア・ドナー:レスリー・アン・ウォーレン(声:渋沢詩子)
アニタ・ボーデン:カレン・マッコーン(声:村昌子)
カール・ドナー:スティーブン・エリオット(声:大平透)
クレイマー刑事:ブルース・カービー(声:杉田俊也)
ハント医師:ウイリアム・ウインターソール
チャック・ホイーラン:ライアン・マクドナルド
病院の受付:キャシー・スピアーズ
看護師:プリシラ・バーンズ
アーノルド:レドモンド・グリーソン
デヴィッド・モリス:フレッド・ドレイパー(声:永井一郎)
ダニエル・モリス:ジャック・マニング
ヘンドリックス刑事:バンス・デイビス

加筆:2024年8月29日

32話「忘れられたスター」

Forgotten Lady / 1975

泣けるコロンボ作品…

「忘れられたスター」は私が最も好きな刑事コロンボ作品のひとつ。解決編では、この作品ならではの結末を迎えます。それはコロンボ作品中、最も涙を誘うものです。

永遠のスター「ジャネット・リー」

ジャネット・リー往年の大女優グレース・ウィラー(ジャネット・リー)は輝きを放っていました。14話「偶像のレクイエム」のアン・バクスターの大女優も悪くはないのですが、私の好みも加味すると「格別」の感があります。

ジャネット・リーの代表作のひとつ映画「サイコ」では、名匠ヒッチコックが彼女の肉体的な魅力をも引き出していると感じられます。

「ウォーキング・マイ・ベイビー」のジャネット・リー

ウォーキング・マイ・ベイビー「Walking My Baby Back Home」は1953年のミュージカル映画。これより22年前(26歳)の作品だということです。ジャネットの役名は「クリス・ホール」で、ローズメリー・ランドル(ロージー)ではありません。主役の男性はダイヤモンドではなく「ドナルド・オコーナー」。

殺しの序曲のウエイトレス

また40話「殺しの序曲」に登場するウエイトレスは「ジェイミー・リー・カーティス」で、ジャネット・リーの娘です。

コロンボシリーズで最も重要な「犯人ではない登場人物」

ジョン・ペインかつての名優ネッド・ダイヤモンド役ジョン・ペインの存在も際立っています。スターでありながらジェントルマンでもありましたね。犯人でも被害者でもない登場人物として、ピカイチの存在感ですね。大好きです。日本語吹き替えはウルトラマンのムラマツ隊長(キャップ)で知られる「小林昭二(あきじ)」さん。

コロンボはネッドに何を託したか

コロンボ警部がネッド・ダイヤモンドに事件の全てを説明するのは、意味深いです。グレースが執拗な捜査にいらだちつつも、好意的な態度に変わっていくことから、「通常の殺人犯人とは違う」ことには気付いていたでしょう。そのような(病状の)グレースに対し「自白に導く」というコロンボ特有の「落としの手法」が不可能となりました。ラストシーンでコロンボ警部はおそらくグレースを逮捕しようとしますが、それはネッドの偽りの自白により阻止されます。もしもそのまま犯行を覚えていないグレースの逮捕という結末では‥後味が悪いですね。

エンディングシーンは警部のセリフ「それがいいね」と、自らを納得させるような表情。そして直前のネッドの自白すらも忘れ映画に見入るグレース。別れのあいさつをせず、ドアを閉めるコロンボ。この結末は最高に美しいです。(加筆:書きかけ2022年12月30日)

忘れられたスターの魅力

原題と邦題はほぼ同意味で、この作品を端的に表すグッドなネーミングです。「ファンは自分を決して忘れていない」と、女優復帰に並々ならぬ意欲をみせるグレースですが、当人は記憶を失う病気で、余命幾ばく。それを知っている夫ヘンリーは復帰に反対するが、愛情とは理解されず妻に殺されてしまう…。グレースを心から愛する元パートナーの俳優ネッドは、身代わりとなり逮捕される。

憎しみを感じさせない、悲しい殺人事件

アーミー・アーチャードもはやコロンボの名前すら覚えられないグレース。財産をはたいてまで復帰を目指しますが、プロデュースを買って出たネッドでさえ、復帰の難しさを感じていたでしょう。生きているうちに…と世界旅行を提案する夫の優しさも虚しい。幸せとは何であるか?を考えさせられました。(写真は冒頭の番組の司会者:アーミー・アーチャード本人役)

名作にふさわしい演出

ウォーキング・マイ・ベイビーウィリス邸での映画鑑賞会で、殺人は自分の犯行だと告白するネッド。それを知って驚くグレース。この二人の表情を、上映中の「ウォーキング・マイ・ベイビー」が照らし、際立たせる演出。会話の最中だけ映画音楽がカットされ、光と陰のみで表現されています。何回見ても感動するわけです。静止画にすると怖いけど綺麗なシーンです。これを意識して、もう一度このシーンを見てください!

覚えていないという主題

グレースは記憶を失う病気で、シーン各所にその伏線が見えています。ブログゲストさんのコメントにもありますが、何を覚えていて…何を忘れてしまったのか…その焦点もこの作品に不思議な魅力を加味しています。

夫ヘンリーはこの時84歳!

サム・ジャッフェ夫のヘンリー・ウィリスは俳優「サム・ジャッフェ」で、この時なんと84歳(1891年生まれ)。妻のグレースが48歳ですので、36歳の年の差婚なわけです。ちなみに23話「愛情の計算」、ニコルソン博士(66歳)妻マーガレット(33歳)、33歳の年の差婚なのでこっちの勝ちです!

サム・ジャッフェの実際の奥さま

ベティー・アッカーマン2021年にこれまたビックリ情報(コメンテーターさん情報)を得ました。この俳優サム・ジャッフェは、10話「パイルD-3の壁」で秘書のシャーマンさんを演じたベティー・アッカーマンが実の奥さまだということです。彼女は1924年生まれで、実際にも33歳差という、年の差婚だったのです!

人気ランキングで常に上位を獲得

コロンボ作品の「人気ランキング」では、確実に「5位以内の座を獲得する作品」だと断言しておきましょう。(笑)1位は、やはり「別れのワイン」の指定席。32話ということで、決して傑作ぞろいの初期作品‥ではないのですが、まだこのような斬新なストーリーがあったのだと、びっくりします。

これもひとつのスタイル

私は刑事コロンボの王道的なスタイルとして「成功者の転落劇」にこだわっています。もちろん、そこに刑事コロンボの醍醐味が存在するのですが、この「忘れられたスター」のような「決して悪人とは思えない」犯人によるストーリーも感慨深いですね。19話「別れのワイン」、41話「死者のメッセージ」などに同じ雰囲気を感じます。

執事レイモンドはモーリス・エヴァンス

モーリス・エヴァンスウィリス(グレース・ウィラー)家の執事レイモンドは、その可愛い風貌も含めとても素敵でした。奥様のアルマさんはとても若かったですね。これらの登場人物が、すべて良い味を出してると思います。コロンボ作品で名作と呼べるものには、このように脇役が作品の魅力を高めているものが多い気がします。

猿の惑星や奥さまは魔女などで活躍

モーリス・エヴァンス執事レイモンド役はモーリス・エヴァンスで、映画「猿の惑星」の「ザイアス博士」でもお馴染みの俳優。またテレビドラマ「奥さまは魔女」では、主人公サマンサのお父さま「モリース」を演じています。

バーク刑事Bではない!

ジェローム・グアルディノ後の作品、41話「死者のメッセージ」、43話「秒読みの殺人」、47話「狂ったシナリオ」に登場するバーク刑事Bの「ジェローム・グアルディノ」ですが、今回はまだバークではなくハリス刑事としてちょい役で出演しています。

ランズバーグ先生とコリアー先生は同僚だ!

ロス・エリオット31話「5時30分の目撃者」の精神科医コリアー先生と、32話「忘れられたスター」の外科医ランズバーグ先生(ロス・エリオット)の病院は同じでした!詳しくは「廊下に色ラインが描いてある病院」をご覧ください。

この病院で登場する女性警察官

レフコウィッツ巡査部長この女性警察官レフコウィッツ巡査部長は、フランシーヌ・ヨーク。制服がよく似合う素敵な女性でしたね。これをきっかけに、ラティ警部など数人の警察署員が顔をだして賑やかになります。

本屋の店員

本屋の店員自殺した(ようにみえる)夫のヘンリー・ウィリスが読んでいた本「マクトウィグ夫人の変身」について、詳しく教えてくれる店員(ダニー・ウェルズ)さんは、31話「5時30分の目撃者」のコリアー先生の友人の一人です。

アンダーソン検死官

ハーヴェイ・ゴールド「アンダーソン検死官」「ハーヴェイ・ゴールド」。33話「ハッサン・サラーの反逆」でも検死官、27話「逆転の構図」ではカメラ店のハリー・ルイスを演じています。日本語吹き替えは「ウイルソン刑事」「ドカベンで徳川監督役」の野本礼三さん。

階段の吹き抜けと壁紙が印象的な豪邸

このウィリス邸は、玄関脇から2階に上る階段がとても印象的で、見上げたり、見下ろしたり、いろいろなアングルから撮影されています。また、花柄を基調とした壁紙も素敵です。グレースのお部屋などは白地にに明るい配色の花柄。それに対しご主人のお部屋などはブルーの花柄になっていて、シックな印象を受けます。邸宅が高台にあることから、窓越しの景色にハイウェイが見えたりして、とても素敵です。

一枚のドガの絵

一枚のドガの絵ゲスト・コメンテーターさんの発見です。後半の「ネッド・ダイアモンド・スタジオ」の廊下に飾られている絵は、あの「二枚のドガの絵」の中の一枚です!オリジナルとは‥考えにくい(複製の可能性)ですけど、楽しい発見。ドア越しにずっとこの絵が映っており確信犯だと思われます。
刑事コロンボのウィリス邸

監督:ハーヴェイ・ハート
脚本:ウィリアム・ドリスキル
音楽:ジェフ・アレギザンダー

グレース・ウィラー:ジャネット・リー(声:鳳八千代)
ネッド・ダイヤモンド:ジョン・ペイン(声:小林昭二)
執事レイモンド:モーリス・エヴァンス(声:巖金四郎)
アルマ:リンダ・ゲイ・スコット
アーミー・アーチャード:アーミー・アーチャード
アンダーソン検死官ハーヴェイ・ゴールド(声:野本礼三
ランズバーグ医師:ロス・エリオット
ウエストラム医師:ロバート・サイモン
レフコウィッツ巡査部長:フランシーヌ・ヨーク
ハリス刑事:ジェローム・グアルディノ
ランズバーグ医師:ロス・エリオット
本屋の店員:ダニー・ウェルズ
フレッド・ローリング(ダンサー):スコット・サーモン
パーティの客:マイク・ラリー
 
加筆:2024年8月29日

33話「ハッサン・サラーの反逆」

A Case of Immunity / 1975
アンドレ・ローレンスとある中近東の国のLA総領事館の総領事代理である「ハッサン・サラー」が権力争いの邪魔者である警備隊長ユセフ・アラファ(アンドレ・ローレンス)を殺害。その後、部下であり共犯者のハビブ青年も口封じのために殺害。

大きなスケールで描かれる刑事ドラマ・コロンボは、作品としての完成度が低く感じられるものが多いが、この「ハッサン・サラーの反逆」は好きな作品です。邦題が少々残念ですが、印象に残るタイトルと言えます。直訳は「免責の事例」で、最後に外交官特権を放棄するというエンディングをさしています。

ヘクター・エリゾンド

ヘクター・エリゾンドハッサン・サラー役:ヘクター・エリゾンド(プエルトリコ系らしい)は凛とし存在感たっぷり。歴代の刑事コロンボの犯人でもかなり憎たらしいキャラクターで、特に記憶に残る俳優です。

かなりの悪人…ハッサン・サラーという男

背景の説明で、犯人のハッサン・サラーとライバルのユセフ警備隊長との関係が見えづらい(過激派と通じていたらしいが)ことが少し残念な気がしますが、このハッサン・サラーなる総領事代理、お国のためを第一と考えているように映りますが、実はそれよりも権力を掌握したい野望の方が遥かに上回る悪人と言えます。

ユーモラスなシーン

今回は事件が発覚する前にコロンボ警部が登場。偉い人の集まる重要会議に「コリモ部長との人違い」で呼ばれたという面白い設定。サラーの服の裾を踏んで、いきなり「間抜けさ」を披露しているところが絶妙でした。その後もう一回踏んづけてます。

損と得が逆転して、爽快なラスト

このお話の結末は、かなり大胆な発想によるもので、「損得の逆転」を上手く利用しました。単にスケールの大きな作品であるだけでなく、その壮大さを利用した結末でもあり私は高く評価しました。エンディングでコロンボ警部にお茶を振る舞うサラー。コロンボが「人間あきらめが肝心だ」と完全敗北を認め、サラーを油断させます。しかも、お互いを尊敬しあえる関係を作ろうとしているようにも見えます。

理解者である国王の協力も得て

バリー・ロビンズその直後に大逆転を迎えるわけですが、アームド・カマロ国王(バリー・ロビンズ)の帰国を引き延ばしていることからも、このサラーのようなスキの無い悪党に対し、「勝ち試合」と見抜いていることが凄いのですね警部。サラーに「外交官特権を放棄する書類にサインするよう」伝える小池朝雄さんの口調は、爽快〜。

ロッホマン・ハビブはサル・ミネオ

サル・ミネオ共犯の青年ハビブを演じたのはサル・ミネオ。映画「理由なき反抗」を皮切りに、数々の名作に出演した俳優。刑事コロンボでハビブを演じた後、暴漢に襲われ37歳でこの世を去りました。

オーガスト部長が本領発揮!

ビル・ザッカート会議の席でコロンボ警部に「さっさと失せろ」と冷たくあたるのはオーガスト部長(ビル・ザッカート)。27話「逆転の構図」にも登場していますが、あまり重要な場面ではなかったようで、TV版ではカットされました。またこの俳優さんは55話「マリブビーチ殺人事件」にも再登場します。

優しい女性秘書

ブリオニ・ファレル赤い洋服が印象に残る優しい女性秘書を演じるのはクセーニャ・グラチョス(ブリオニ・ファレル)さん。捜査の過程で被害者の警備隊長ユセフと名前で呼ぶが、深意は分らない。(ノベライズ版では恋人の設定らしい)
この時は35歳だと思われますが、20代のように若く見えます。また、クセーニャ・グラチョスは後に、ブリオニ・ファレルと改名したようです。

領事館のおじさん

ジョージ・スカフ領事館に勤務するアラブ人「クラ」を演じたの「ジョージ・スカフ」。この人は後の43話「秒読みの殺人」の、テレビ局のプロデューサーと同一人物です!これを発見したときた、本当に嬉しかったです。

検死官はハーヴェイ・ゴールド

ハーヴェイ・ゴールド検死官はハーヴェイ・ゴールド。前作「忘れられたスター」でアンダーソンと名乗っている。ハーヴェイ・ゴールドは27話「逆転の構図」ではカメラ店の店主ハリー・ルイスを演じています。日本語吹き替えは「ウイルソン刑事」「ドカベンで徳川監督」の野本礼三さん。

オルテガ警部

ジェイ・バレラ領事館の事件現場を仕切るのは「オルテガ警部」。この人を演じている俳優「ジェイ・バレラ」は、20話「野望の果て」のロハス巡査と同一人物です。かなり出世したようで、堂々とした仕事ぶりでしたね(笑)

国務省のお役人モーガン

ディック・ディンマン国務省のお役人カーミット・モーガンを演じたのは、俳優ディック・ディンマン。頭のキレそうなエリートの役側で、シャキッとカッコ良い感じです。俳優としては、それほど目立ったキャリアはないようです。

やけに目立つカメラマン

マイク・ラリー事件現場で写真を撮る警察のカメラマンはお馴染みの「マイク・ラリー」今回は度アップなカットからのスタートでした。ラリーは警察の現場検証のカメラマンに扮することが多いです。

デモ隊の男性

バート・ブレイヴァーマン領事館の門の外で毎日のように抗議デモが行われている。その中でコロンボ警部を会話していた男性はバート・ブレイヴァーマン。そこそこ名の知れた俳優さんです。

もう一人のデモ隊の男性

ジェフ・ゴールドブラム台詞もない長身のエキストラ俳優は「ジェフ・ゴールドブラム」。こっちはもっと名の知れた俳優さんで、後に出世し映画「ザ・フライ」「ジュラシック・パーク」「インデペンデンス・デイ」などに出演しています。

客貧夫妻

アーサー・ウォンとノエル・トイ国王主催パーティでキーウイン大使と令夫人「マオ・リン」夫妻と紹介された二人。アーサー・ウォンとノエル・トイというクレジットがありました。

総領事館の厨房で、小さな発見

ベン・フロマー総領事館の厨房で警部が国王陛下からの差し入れ料理をいただシーン。そこに太っちょの料理人がちらっと登場します。この俳優さんは「ベン・フロマー」で、25話「権力の墓穴」の前半のシーン、高級クラブのバーでバーテンダー、34話「仮面の男」ではホットドッグ屋のオヤジで登場します。

監督:テッド・ポスト
脚本:ルー・シャウ

ハッサン・サラー:ヘクター・エリゾンド(声:井上孝雄)
ロッホマン・ハビブ:サル・ミネオ(声:宗近晴見)
スアリ国王(アームド・カマロ):バリー・ロビンス(声:坂部文昭)
ユセフ・アラファ警備隊長:アンドレ・ローレンス
秘書:クセーニャ・グラチョス(ブリオニ・ファレル)(声:三浦真弓)
オーガスト部長:ビル・ザッカート
本部長:ケネス・トビー(声:松下達雄)
国務省モーガン:ディック・ディンマン
検死官(アンダーソン)ハーヴェイ・ゴールド(声:野本礼三)
オルテガ警部:ジェイ・バレラ
デモ隊員:ジェフ・ゴールドブラム
デモ隊員:バート・ブレイヴァーマン
写真係:マイク・ラリー
領事館員クラ:ジョージ・スカフ
領事館員ハキム:ネイト・エスフォルムズ
領事館員警備員:ジョージ・サワヤ
領事館員警備員:ニック・ペレグリーノ
国王訪問警備班の部長の一人:ゲーリー・ライト
総領事館のコック:ベン・フロマー
客貧夫妻:アーサー・ワン、ノエル・トイ
パーティ客:レオダ・リチャーズ

加筆:2024年9月4日

34話「仮面の男」

Identity Crisis / 1975

パトリック・マクグーハン

パトリック・マクグーハン28話「祝砲の挽歌」に続き、パトリック・マクグーハンが犯人:ネルソン・ブレナー役で再登場しました。この後の新シリーズでも登場しますが、この作品「仮面の男」での顔が最もマクグーハン本人らしいかもしれません。

壮大なスケールの作品が続く

壮大なスケールで描かれた二作品、33話「ハッサン・サラーの反逆」と35話「闘牛士の栄光」に挟まれたこのお話も、犯人がCIAの情報部員であるという意味で、凄く大げさな背景でした。

「もう一つの鍵」のレスリー・ニールセン

レスリー・ニールセン殺されるジェロニモ(A.J.ヘンダーソン)は、7話「もう一つの鍵」で、ベス・チャドウィック(スーザン・クラーク)の婚約者ピーター・ハミルトンを演じたレスリー・ニールセンです。宿泊先(ビルトモアホテル)は後の52話「完全犯罪の誤算」のマッキー上院議員が滞在場所と同じかもしれません。(要検証)

裸の銃を持つ男

レスリー・ニールセンレスリー・ニールセンはコメディ映画「裸の銃を持つ男」(三部作・1988-1994年)の主役を演じていることは有名です。2023年にこの映画がテレビで放送され、私も観ることができました。レスリー・ニールセンが演じるのは、間抜けな警部補フランク・ドレビン。「警部補でフランク」ってコロンボへのオマージュでしょうね。

ヴァル・アヴェリー

ヴァル・アヴェリー海岸のバー「シンドバッド」のバーテンは、12話「アリバイのダイヤル」25話「権力の墓穴」などに出演している、ピーター・フォークの「盟友」で「名優」のヴァル・アヴェリーです。

ヴィトー・スコッティ

ヴィトー・スコッティ演説している男性:サルヴァトーレ・デフォンテは、19話「別れのワイン」20話「野望の果て」など、たびたび刑事コロンボシリーズに出演している名脇役のヴィトー・スコッティです。

アンダーソン検死官

追いはぎ天国で、初動捜査にあたる検死官の一人:アンダーソンは、バーク刑事Bの「ジェローム・グアルディノ」と良く似ていますが、おそらく別人で「カーメン・アルジェンツィアノ」という俳優さんです。

CIAのコリガン部長

デヴィッド・ホワイトCIAのコリガン部長役は、デヴィッド・ホワイト。大柄で白い髪が何とも目立ち、印象に残ったことでしょう。

「奥様は魔女」のラリー

デヴィッド・ホワイトこのデヴィッド・ホワイトはテレビドラマ「奥様は魔女」のダーリンが勤める広告代理店の社長「ラリー」でお馴染みです。仮面の男では、シリアスな役でしたが「奥様は魔女」のコミカルなラリーの印象が強く、見ていて笑ってしまいました。。

エキストラ俳優ゲーリー・ライト

ゲーリー・ライト交通公園でコロンボ警部をつけ回すCIAの一員はエキストラ俳優ゲーリー・ライト。この人は刑事コロンボに6回も出演している常連さんです。

バーバラ・ローデス

バーバラ・ローデス遊園地の女性カメラマン:ジョイス役のバーバラ・ローデスは、7話「もう一つの鍵」にも出演しています。(加筆2010年7月27日)調べてみました。また、この遊園地のロケ先はロサンゼルス動物園ではないかと思われます。→バーバラ・ローデス

クリフ・カーネル

クリフ・カーネル同じく遊園地の写真屋のオヤジ:ドン役の「クリフ・カーネル」は、9話「パイルD-3の壁」でウイルソン巡査、12話「アリバイのダイヤル」でクレメンス刑事役で出演しています。

遊園地での二人の行動は不可解

ウイリアム・マイムズコロンボ警部の捜査上で大きな手がかりとなる遊園地での写真。犯人のブレナーと被害者のジェロニモが再会し、秘密の打ち合わせをする場所が遊園地なのですが、ここでのブレナーの行動が大疑問。射的ではしゃいで店主に印象づけたり、ジョイスに記念写真を撮られたり、少女にぬいぐるみをプレゼントしたり、やりたい放題でしたね。名調子・名キャラクターの射的屋の親父はウイリアム・マイムズ。

クレーマー刑事

クレーマー刑事補佐役の刑事は、コロンボシリーズ中で最もなじみ深いクレーマー刑事「ブルース・カービー」。今回も可愛い演技を見せてくれました。

広告会社の人の証言で身元がバレる

コロンボ警部とクレーマー刑事は、ヘンダーソンの成りすましを暴き、パイクのロングビーチ遊園地を手がかりに、写真に写っているサングラスの男を見つけた。そこからブレナーの身元がなぜ分かったか?
エドワードバック遊園地から広告会社にとんぼ返りし、社員に写真を見せたのでしょう。コロンボは「広告会社の人(エドワードバック)が、サングラスの男はブレナーだと教えてくれた」と説明しています。ブレナーは広告会社と面識があったのです。(加筆:2013年1月16日)

CIAの情報部員が超大金持ち

戦歴も誉れ高く、経営コンサルタントとしても有名。それにしても、半端でなく家が豪華!もの凄いプールで十人近いゲストが泳いでいるし。こりゃ、悪いことして蓄財してますって、自分で言っているようなもので、「二重スパイで荒稼ぎ」って、CIAは見抜けなかったんでしょうかね?

変装した老人の顔がエリック・プリンスに似てるか?

スタインメッツメルビルを事故に遭わせる「スタインメッツ」はブレナーが変装したものですが、その顔が後にマクグーハンが演じる67話「復讐を抱いて眠れ」のエリック・プリンスに雰囲気が凄く似ています。これは実際に、マクグーハンが老けたということもあるのでしょうが、比較してみると面白いです。

ブレナーの秘書

アンジェラ・メイブレナーの秘書の女性は女優はアンジェラ・メイ。40話「殺しの序曲」の会計事務所の受付の女性(ミッチー・ロジャース)と顔立ちが似ていますが別人です。

ブレナー邸で人生を語る二人。

後半のシーンで、ブレナーはコロンボを自宅に誘います。署に戻る必要があると一旦は断わりますが、日を改めて邸に出向くことになります。ここでブレナーはお酒を振る舞いますが「百薬の長としては、何が望みか?」とコロンボに尋ねます。シンドバッドのオーナーが「毒は何にします?」と言い回したのと対照的で面白いです。
中国の麻雀セットを見せてもらったコロンボから「ギャンブルがお好きなんですね?」と尋ねられ「それ以外、何がある?」と答えるブレナー。コロンボ作品の中には、ギャンブル好きの登場人物が多く出てきます。
ブレナーは数々の成功を収め名誉も富も手に入れたのに、退屈な人生だと評しシラけた口調です。コロンボ警部がブレナーの部屋で珍しいものを見てハシャイでいるので、何とも不思議な会話になっています。

超重要な豪邸なのです!

ブレナー邸17話「二つの顔」のクリフォード・パリス邸、34話「仮面の男」のネルソン・ブレナー邸、38話「ルーサン警部の犯罪」のウォード・ファウラー邸は同じ家です。車の入り口〜ロータリー型の車寄せ、アーチ型の白い装飾の門扉、大きな暖炉が特徴です。
アンジェロドライブの豪邸
刑事コロンボマップ
遊園地は前半でジェロニモとブレナーが待ちあわせをする場所で、交通公園は後半にCIAに尾行される舞台になります。以外にもこの2箇所は同じロサンゼルス動物園の敷地内にあります。

シンドバッドはどこにあるか?

刑事コロンボのシンドバッド
「シンドバッド(追いはぎ天国)」は西海岸の「サンタモニカ埠頭」という設定ですが、実際には南の外れ「ロングビーチ」がロケ現場だということです。

タクシーの運転手

マイク・ラリー前半、殺されたジェロニモを乗せたと話すタクシーの運転手として、伝説的エキストラ俳優マイク・ラリーが登場します。今回は貴重な「セリフ付きの役」です。

ホットドッグ屋のオヤジ

ベン・フロマーコロンボがCIAに後をつけられている交通公園のホットドッグ屋のオヤジ:太っちょの俳優さんはベン・フロマー。は25話「権力の墓穴」の前半のシーン、高級クラブのバーでバーテンダー、33話「ハッサン・サラーの反逆」で総領事館の料理人の役でもお目にかかれます。印象的な俳優さんです。12話「アリバイのダイヤル」でもカメラマン役で出ています。

ラストシーンのジョークについて

ラストシーンのジョークの意味が不明であるというコメントを頂くことがあります。これはぼろんこの私的解釈ですが、ポーカーは「ポーカーフェイスなブレナー」を比喩しています。マージャンは中国発祥のゲーム。「ポーカー(ブレナー)がマージャン(中国)と賭けをして、はじめはポーカーが優勢、ところが後半…逆転。」これはブレナーの完全犯罪は、中国のオリンピック不参加報道によって阻まれた…という感じでしょうか。

コメンテーターさんの調べで原文は

Columbo “Would you like to hear something funny?”
Brenner “I’d love to.”
Columbo “Today, Chinese…they changed their minds.”
Brenner “Did they, again?”
Columbo “They’re back in the games…”
Brenner “in the games….Mah-Jong.”

だそうです。

監督:パトリック・マクグーハン
脚本:ウィリアム・ドリスキル

ネルソン・ブレナー:パトリック・マクグーハン(声:佐野浅夫
ジェロニモ:レスリー・ニールセン(声:家弓家正
クレーマー刑事:ブルース・カービー(声:杉田俊也
コリガン部長:デヴィット・ホワイト(声:早野寿郎)
サルヴァトーレ・デフォンテ:ヴィトー・スコッティ(声:相模太郎)
ローレンス・メルビル:オティス・ヤング
シンドバッドのバーテン:ヴァル・アヴェリー(声:金井大)
アンダーソン検視官:カーメン・アルジェンツィアノ
射的屋:ウイリアム・マイムズ
写真屋ドン:クリフ・カーネル
ジョイス:バーバラ・ローデス
遊園地の女の子:アリシア・チャンバース
ホテルのボーイ:ケリー・フリン
ホットドッグ屋:ベン・フロマー
タクシーの運転手:マイク・ラリー
広告会社の若手重役:エドワード・バック
ブレナーの秘書:アンジェラ・メイ
ブレナーの使用人:ビクター・トヨダ

加筆:2023年12月17日

35話「闘牛士の栄光」

A Matter of Honor / 1975
エクトールメキシコの元闘牛士である英雄ルイス・モントーヤが、自分の経営する牧場の長年の相棒エクトール(ロバート・カリカート)を殺害。解決編では「メキシコの英雄的闘牛士の心情が理解できなければ納得できない」オチだったですね。コロンボ作品中では「かなりきれいな殺害動機」と言えるかも知れませんが、私のようなコロンボファンには、すこし物足りなかったです。

海外ロケ作品

海外ロケ「メキシコ旅行」で展開され、29話「歌声の消えた海」の続編のような位置づけの作品。モントーヤがエクトールを殺害するシーンと、コロンボ警部が登場する交通事故シーンをうまく関連づけています。このシーンでは、メキシコという土地で、全く言葉が通じないシチュエーションをとても楽しく描いていました。

英雄ルイス・モントーヤ

リカルド・モンタルバンルイス・モントーヤ役のリカルド・モンタルバンは風格たっぷりで良かったですね。モントーヤが足に大けがをし、闘牛士を引退したいきさつを話すシーンでは、彼の顔が徐々にクローズアップされ、かつての栄光をいかに誇らしく思っているかが伝わってきます。

リカルド・モンタルバン

リカルド・モンタルバンリカルド・モンタルバンは、映画「猿の惑星」シリーズでサーカスの団長「アーマンド」を演じています。また、テレビドラマ「宇宙大作戦」・映画「スタートレックII カーンの逆襲」でカーン(写真)を演じています。どちらもぼろんこの大好物的な作品です。

裸の銃を持つ男

リカルド・モンタルバンレスリー・ニールセン主演の映画「裸の銃を持つ男」の第一作では敵役の実業家(ヴィンセント・ラドウィッグ)役で、リカルド・モンタルバンも登場します。これはコロンボ出演から約13年後にあたる1988年の作品で、ニールセンは62歳、モンタルバンは68歳。二人の名演技は必見かもしれません。

雰囲気重視でも、スッキリしないラスト

ラストシーンも、決定的な証拠を突きつける、または犯人に「自分が犯人と認めざるを得ない」言動に誘導するというタイプではなく、スッキリしたものではありません。しかも、解決後の「解説」シーンが、いかにもそれらしくて残念でした。それでも、この感覚(誇りを大切にする)は名作の呼び声高き19話「別れのワイン」に通じるかもしれません。

サンチェス警部

サンチェス警部捜査に同行した地元警察のサンチェス警部「ペドロ・アルメンディス・ジュニア」は、日本の俳優:目黒祐樹さんに似ていないですか?本作品「闘牛士の栄光」のエスコート役として大変重要な役柄でした。

牧童ミゲルが可愛い

牧童ミゲル本筋ではない話題に触れますと、牧場で働くミゲル「エミリオ・フェルナンデス」は、とても可愛いかったです。茶目っ気たっぷりで、笑顔が素敵な俳優さんでしたね。メスカル もらってご機嫌でした。日本語吹き替えはバカボンのパパの雨森雅司さん。

メキシコ人の国民性をかいま見る

農場監督のデルガド農場監督のデルガド(エンリケ・ルセロ)との会話で「仕事に頑張りすぎるヤツは間抜けだ」という主旨の会話があり、とても興味深いものでした。日本人なんか、ほぼ国民全員が「間抜け」呼ばわりされると確信します。

監督:テッド・ポスト
脚本:ブラッド・ラドニッツ

ルイス・モントーヤ:リカルド・モンタルバン(声:庄司永建)
サンチェス警部:ペドロ・アルメンダリス・ジュニア(声:新克利)
クーロ:A・マルティネス(声:立沢雅人)
エクトール:ロバート・カリカート
ミゲル:エミリオ・フェルナンデス(声:雨森雅司
デルガド:エンリケ・ルセロ
ニナ・モントーヤ:マリア・グリム

加筆:2023年6月24日

36話「魔術師の幻想」

Now You See Him / 1976

ジャック・キャシディ

ジャック・キャシディ大魔術師のサンティーニは、自分の隠された過去をネタに恐喝する魔術クラブのオーナーを殺害。サンティーニ役は、刑事コロンボの犯人役の巨匠「ジャック・キャシディ」が三度目の登場です。過去の作品、3話「構想の死角」、22話「第三の終章」と比べても、今回はもっとも良い味を出していたように思えました。

魔術王サンティーニ

ジャック・キャシディの手品の腕前がなかなかのモノです。場面がつなげてある箇所もありますし、仕掛けが見えそうになっているシーンも確かにありますが、それにしてもお見事。スターとしての風格が漂うサンティーニ。ユーモアもたっぷりで、ジャック・キャシディのハマり役だたっと言えます。

娘のデラはシンシア・サイクス

シンシア・サイクスサンティーニの魔術のアシスアントで娘のデラは女優「シンシア・サイクス」。パッと目をひくような美女で、コロンボファンの男性陣に人気のようです。

ボブ・ディシー

ボブ・ディシー強力な脇役として、ウイルソン刑事「ボブ・ディシー」も再登場しました。11話「悪の温室」とほぼ同じテイストで、抜群の存在感でした。刑事役としてこのように、印象深く配置されることは稀で、やはり別格ということでしょう。

文明の利器が決め手になるパターン。

リボン式タイプライターが証拠になりました。これは犯人の大きな見落としですが、最新式なので気づかなかったか‥。また、小さなスピーカーから聴こえる声を実際の人間の声と間違えるだろうか?とか、いくつかの疑問が残りましたが、とても楽しめる作品に仕上がっています。

裏方のジョージ

レドモンド・グリーソンジェロームの店でアナウンスなど裏方で活躍するジョージは俳優:レドモンド・グリーソン。サンティーニに「ジェロームさんを消しちゃってください」とジョークを言う男性です。彼は31話「5時30分の目撃者」でマーク・コリアーの友人(ホームパーティの一人)です。

ロバート・ロジア

ロバート・ロジアブランドフォード役のロバート・ロジアも、素敵でした。大忙しの厨房で「おふくろが来てキスしても気付きませんぜ」は金言。ラストシーンの直前ではサンティーニが殺人犯人だと知らされていたのでしょう、少し冷ややかな態度でした。

悪人オーナーのジェローム

ネヘミア・パーソフ暖炉で薪を炊き、顔にびっしょり汗をかきながら、食事をしながら、サンティーニを恐喝するジェローム。なかなかのど悪人のようで、店の従業員たちからも嫌われています。演じるネヘミア・パーソフはイスラエル出身の俳優というのも隠し味か。

気のいいやつ、サッカリー

ジョージ・スパーダコスお店の従業員、サッカリー役はジョージ・スパーダコス。魔術王サンティーニとも仲の良い彼は、この後の40話「殺しの序曲」でシグマクラブ員のワグナー役でも出演しています。

手品ショップの店主

セイヤー・デヴィッドその他、意外と効いていた役者さんが、手品ショップの店主「セイヤー・デヴィッド:Thayer David」。吹き替えの声優さんの良さもありますが、良い味でした。

警察署の研究員

ロバート・ギボンズロス市警の署内で鍵や凶器の拳銃などについて分析して語るおじさんは、俳優:ロバート・ギボンズ。どっかで見たことある?そうそう、9話「パイルD-3の壁」で長蛇の列ができた役所のオヤジさんです!

大草原の小さな家

ロバート・ギボンズこのロバート・ギボンズは、テレビドラマ「大草原の小さな家」のシーズン3の7話「春の別れ(後編)*」で、駅員役を演じています。ちょっとした端役なのですが、良い味を出しています。*他の回でも駅員役を演じています。

ビクター・イゼイ

ビクター・イゼイ「若い人はせっかちだ」とかコロンボに説教する鍵屋の主人は、ビクター・イゼイ。この人は26話「自縛の紐」でスタッフォードの死因について語る検死官と同一人物なんです!両者とも、なかなか良い味を出してくれていますよ。それと38話「ルーサン警部の犯罪」では、ややこしいですが劇中劇の犯人役で出ています。

伝説のちょい役俳優「マイク・ラリー」

マイク・ラリー刑事コロンボシリーズに何十回もちょい役で出演している「マイク・ラリー」。今回は「マイケル・ラリー」として出演しています。サンティーニの友人で、元ヨーロッパ随一の綱渡りの名人の老人の役です。

レストランでサンティーニに誘われる女性

キャサラン・スキレンレストランでサンティーニに巡業の新しい助手に誘われる女性(ミス・マッカーシー)は、女優キャサラン・スキレン。プロフィールを調べますと、この人は女優だけでなく近年はドラマ「AVA」のプロデューサーなどでも活躍しているようです。

ハッ、ホッ という奇妙な台詞

サンティーニのショウを見に来たコロンボ警部は、こっそり控え室に忍び込み水槽の幻想の仕掛けを見破ります。その場面で「あの手錠外しはお見事でした、流石、名人ですな~ハッ」という、妙な台詞がありますが、これは英語バージョンも同じでした。
ブログのゲストさんのお話:「英語の表現としては、さほど奇妙なものではありません」とのことでした。参考にさせて頂きます。

新調されたコートが、何とも…

新調されたコロンボのコート新調されたコロンボのコートが滑稽。まるで銀河鉄道999に出てくる、車掌さんのようにも見えました。この1回きりで、またもとのヨレヨレのコートに戻りますが、素晴らしい味付けだと感心します。

マジックショーのライト夫妻

ゲーリー・ライト1回目のマジックショーの舞台に登場するお客さんの男性は俳優「ゲーリー・ライト」です。サンティーニから「ライト夫妻に拍手をどうぞ」と本名で紹介されていますね。ゲーリー・ライトは今計7回目の刑事コロンボ出演で、有終の美を飾りました。

ジェロームの秘書

ドロシー・デルスこのショーが始まる前に、>ジェロームに金庫を渡しながら「今夜も大入りですか?」と話しかける秘書は、ドロシー・デルス。この金髪女性は38話「ルーサン警部の犯罪」で、コロンボ警部が映り込んじゃうシーンのスタッフです。

ほんの些細な発見ですが‥

ベンジー・バンクロフトラストでサンティーニを連行する際に、肩に手をかけ睨まれる警察官は、俳優ベンジー・バンクロフト。この人‥印象薄いのですが、17話「断たれた音」のチェスの試合の立会人の一人です。向かって左に座っている男性。また13話「ロンドンの傘」の芝居の打ち上げパーティにも居ます(笑)

どうでも良いような発見ですが‥

ボブ・ホークスさらにどうでも良い発見ですが、ジェロームの店のウエイターの一人は俳優ボブ・ホークスで、名作19話「別れのワイン」のバーで「先週の火曜に雨が降らなかったか?」と尋ねられ「さぁ覚えていないね」と答える男性のお客さんです。

これは、すごい発見ですが!

今回出てくるジェロームの店(少なくともその外観)は、24話「白鳥の歌」で、エドナとメアリーアンの葬儀が行われた教会と同じです!これはブログのゲストさんがコメントで教えてくれました。すごい発見です。
教会ジェロームの店2436
コロンボマップ
コロンボマップ

監督:ハーヴェイ・ハート
脚本:マイケル・スローン

グレート・サンティーニ:ジャック・キャシディ(声:田口計
デラ(サンティーニの娘):シンシア・サイクス
フレデリック・ウィルソン刑事:ボブ・ディシー(声:野本礼三
ジェシー・ジェローム:ネヘミア・パーソフ(声:立川勇三)
ハリー・ブランドフォード:ロバート・ロジア(声:草薙幸二郎)
サッカリー:ジョージ・スパーダコス
裏方のジョージ:レドモンド・グリーソン
歌手のダニー:パトリック・カリトン
Mr.ライトライト:ゲーリー・ライト
手品ショップの店主:セイヤー・デヴィッド
警察署の研究員:ロバート・ギボンズ
ジェロームの秘書:ドロシー・デルス
ミス・マッカーシー:キャサラン・スキレン
ラシター:ビクター・イゼイ
マイケル・ラリー:マイク・ラリー
ウエイター:ジョン・フランシス
ウエイター:ボブ・ホークス
巡査:ベンジー・バンクロフト
店の客:レオダ・リチャーズ
店の客:トニー・レーガン

加筆:2024年8月29日

37話「さらば提督」

Last Salute to the Commodore / 1976

完全に倒叙でない刑事コロンボ作品です。私のような保守的な刑事コロンボファンの場合、受け入れ難いのですが、普通に考えれば面白い作品なのだと思えます。

提督はジョン・デナー

ジョン・デナー提督(オーティス・スワンソン)役の俳優さんはジョン・デナーで、24話「白鳥の歌」のパング・ボーンも演じています。今回は帽子をかぶっているので、パング・ボーンとはまた別の印象が強いですね。このように作品をまたいで出演している俳優さんの発見は、とても楽しいです。

ロバート・ヴォーン

ロバート・ヴォーン死体遺棄の犯人(チャーリー・クレイ)として、29話「歌声の消えた海」のロバート・ヴォーンが再登板。今回は、いつもに増して馴れ馴れしく接近してくるコロンボ警部にタジタジな感じでした。私としては‥ロバート・ヴォーン=ダンジガーさんがお気に入りですが。

フレッド・ドレイパー

フレッド・ドレイパー18話「毒のある花」31話「5時30分の目撃者」等、数々のコロンボ作品に出演のフレッド・ドレイパーがスワニー・スワンソン役で登場。また、お馴染みの「クレーマー刑事:ブルース・カービー」が重要な役を務めるなど、華やかでした。

シオドア・アルビンスキー刑事

デニス・デューガンでも、事件解決編で新米エリート刑事のシオドア・アルビンスキー:デニス・デューガン(なぜか通称マック)と一緒に、声高に説明をし出すシーンは、日本のサスペンス劇場顔負けの演出で楽しめました(笑)。

ブログ訪問者さんからの情報(1)

この「デニス・デューガン」は、その後の作品63話「4時02分の銃声」で監督をつとめています。さらには(1973年 – 1987年の間)「ジョイス・ヴァン・パタン」の夫だったそうです。彼女は27話「逆転の構図」、39話「黄金のバックル」に出演している重鎮女優ですね。

執事のタナーを発見!

ウィルフリッド・ハイド=ホワイト弁護士の老紳士ケタリングは。13話「ロンドンの傘」でサー・ロジャーの執事タナーを演じた俳優「ウィルフリッド・ハイド=ホワイト」でした。アリバイの証言内容など、ちょっと一癖ある人物を好演しています。

金太郎あめのような俳優

ジョン・フィネガンそれは「ジョン・フィネガン」。今回はガードマンの役で出てました。調べてみたら合計12回出演しているようです。おそらくコロンボシリーズ最多出演(セリフあり&クレジット)の俳優と考えて間違いないでしょう。

最終回的な匂いの漂う作品

ジョン・フィネガンラストシーンのクレーマー刑事との会話「やめたんじゃないですか?」「まだまだ。まだやめられませんよ。もうちょい、やらせてもらうよ」。と煙草の話に引っ掛けた台詞があります。これは本作品が最終回になる予定であったと伝えられるが「ピーターフォークはやる気満々」という意思表示に映ります。「カミさんも乗せてやろうと思って…せめてこのボートに」と海に去って行くコロンボ警部でした。しかし…残念なことに、BGMの「THIS OLD MAN」のメロディが間違っているんです!

ジョシュア・ブライアント

ジョシュア・ブライアントスワンソン造船所の所長ウェイン・テイラー(黄色いジャンパーの人)は俳優ジョシュア・ブライアント。この人は25話「権力の墓穴」でマクマレイ検視官を演じていました。

特に第7シーズンに秀作が続く!

しかし本作が意外に好評だったのか? 第6シーズン以降の8作品が制作されることになりました。その中には41話「死者のメッセージ」43話「秒読みの殺人」など私の好きな作品も含まれています。

ブログ訪問者さんから情報(2)

37話「さらば提督」のチャーリー・クレイ邸と、55話「マリブビーチ殺人事件」のテレサ・ゴーレン邸は同じでした。これには両作とも脚本が「ジャクソン・ギリス」であったことも関係しているのでしょうか。

クレイ邸テレサ邸

左:チャーリー・クレイ邸 右:テレサ・ゴーレン邸

周囲が車寄せの道に囲まれた円形の花壇が印象的な豪邸です。マリブビーチというロサンゼルス中心から北西に位置します。おそらく近くには「マイロ・ジャナス」「ブリマー」「マックス・バーシーニ」「フィールディング・チェイス」などの有名人が住んでいました。実在の「ピーター・フォーク」の家も近かったようです。
それに対しヨットハーバー「 バルボア・ベイ・リゾート」は、ロス中心からずっと南の方で、家とはぜんぜん近くないのです。

監督:パトリック・マクグーハン
脚本:ジャクソン・ギリス

オーティス・スワンソン提督:ジョンデナー(声:小林修
チャーリー・クレイ:ロバート・ヴォーン(声:西沢利明
ジョアンナ・クレイ:ダイアン・ベイカー(声:水野久美)
スワニー・スワンソン:フレッド・ドレイパー(声:佐藤英夫)
リザ・キング:スーザン・フォスター(声:松金よね子)
ケタリング:ウィルフリッド・ハイド=ホワイト(声:松村彦次郎)
クレーマー刑事:ブルース・カービー(声:杉田俊也
シオドア・アルビンスキー刑事:デニス・デューガン(声:玄田哲章)
ガードマン:ジョン・フィネガン
ウェイン・テイラー:ジョシュア・ブライアント(声:鈴木泰明)
オコーナー少尉:ロッド・マッケリー(声:納谷六朗

加筆:2022年8月14日 

38話「ルーサン警部の犯罪」

Fade in to Murder / 1976

2010年4月2日の放送を不覚にも見逃し、7月1日のNHK BSでの再放送を慎重に録画し無事に見ることができました。これで刑事コロンボシリーズ全69話を全て見たことになります。

カーク船長

ウィリアム・シャトナー犯人ルーサン警部こと俳優ウォード・ファウラーは、ウィリアム・シャトナー:スタートレック(宇宙大作戦)のジェームズ・カーク船長。シャトナーはその後63話「4時02分の銃声」にも出演。2010年のバンクーバーオリンピックの閉会式でも、その健在ぶりを拝見しました。

パベル・チェコフ

ウォルター・ケーニッグトニーの店での初期捜査に参加するジョンソン刑事はウォルター・ケーニッグで宇宙大作戦スタートレックのロシア人将校「チェコフ」でした。コロンボ警部との共演で、すごく楽しそうに演技しています。

ティモシー・ケリー

ティモシー・ケリーデリカテッセンの主人トニーは、2話「死者の身代金」5話「ホリスター将軍のコレクション」などで毎回レストランのオヤジを演じる「ティモシー・ケリー」。いつも存在感のある演技ですね!大好きな俳優さんです。

ジョン・フィネガン

ジョン・フィネガンテレビ局のアシスタント・ディレクター(セットの裏でコロンボ警部と遭遇する男性)は、他の刑事役やバーニーの店の主人を演じる、言わば準レギュラー級の俳優「ジョン・フィネガン」

フレッド・ドレイパー

フレッド・ドレイパーさらに冒頭シーンで大根役者を演じるのは、18話「毒のある花」31話「5時30分の目撃者」37話「さらば提督」と多数出演のフレッド・ドレイパー。こちらもコロンボファンなら見逃せない俳優です。

ビクター・イゼイ

ビクター・イゼイそしてそのテレビドラマ収録(劇中劇)の犯人コンロイ役は、26話「自縛の紐」で検死官、36話「魔術師の幻想」では鍵屋の主人と、本作を含め3作に出演したビクター・イゼイです。今回はメガネなしで少しイメージが違いましたね。

シェラ・デニス(シーラ・ダニーズ)

シェラ・デニスそして、殺害されたクレア・デイリーの旦那(シド)の秘書(愛人)モリーはシェラ・デニス(ピーターフォークの嫁)でした。彼女は42話「美食の報酬」50話「殺意のキャンバス」58話「影なき殺人者」66話「殺意の斬れ味」64話「死を呼ぶジグソー」にも出演。

テレビ局長「ウォルター・グレイ」

フランク・エメット・バクスター撮影を中断して、ウォードのギャラについて議論をしているテレビ局長(ウォルター・グレイ)は、「フランク・エメット・バクスター」。7話「もう一つの鍵」で、犯人ベス・チャドウィックに「自分の方針に逆らうなら再就職を考えなさい」と脅される広告代理店の役員(フレッド)と同一人物。30話「ビデオテープの証言」でもブロンソン巡査にも酷似しているが確証はありません。

同じくテレビ局の重役

マイケル・ラリー同じシーンで登場するテレビ局の重役は俳優「マイケル・ラリー」。この人は、24話「白鳥の歌」で墜落現場のテレビカメラマン、27話「逆転の構図」で、証拠置き場のガードマンとして出演しています。

ちょっと難解なストリーの序盤

ストーリーは面白いと思いました。が、作品の時間が短いので少しヒントが省略されすぎていて、見逃し易いエピソードだった気がします。「クレアがトニーの店でサンドイッチを買う」という電話での話も、聞き逃しそうでしたし、二人の会話を良く聞かないと「クレアがウォードを恐喝している」ヒントには気付きませんでした。

クレアがもう少し悪人に見えたら…

ローラ・オルブライト実際にはクレアはウォードのギャラの半分を奪い取っていました。でも何となく…クレア(ローラ・オルブライト)のキャラクターがそれほどの悪人に見えません。素敵な女優さんですが…すこし残念。

決定的な証拠は不完全燃焼

洋服の弾痕のずれ、マスクの化粧など、捜査段階でのコロンボ警部の「着眼」は見事です。それに対し「証拠」とされた空砲の指紋は、残念です。もっとストーリーの流れの中で「証拠」を引き出したかったですね。例えば11話「悪の温室」のように。

マークはウォードが歳をとったみたい?

バート・レムゼンウォードの家で一緒に野球を見る男性「マーク」はバート・レムゼンです。この男性、なんとなくウォード(ウィリアム・シャトナー)と似てますよね?実際のウィリアム・シャトナーは、この歳になってもこのように老けませんでしたが。

ウォード・ファウラーの身長は?

ウォード・ファウラーの身長が話題になるシーン。演じたウィリアム・シャトナーは公式発表で177cmだということですが、少し…サバを読んでいるかな?

コロンボ警部がテレビ番組に特別出演

ジョン・フィネガンこの時にとばっちりを食い「お陰でNGですぜ」と言うアシスタントスタッフ、白いシャツを着たおじさんは俳優ジョン・フィネガン。ご存知ですね、重鎮脇役です。

そのNGのシーンのスタッフの女性

ドロシー・デルス同じシーンのテレビ局のスタッフで、コロンボの存在にいち早く気づき仲間に教える、黒いセーターの金髪女性は、女優ドロシー・デルス。この人は36話「魔術師の幻想」のジェロームの秘書で、「今夜も大入りですか?」と話しかけると話しかける人です。

超重要な豪邸なのです!

アンジェロドライブの豪邸17話「二つの顔」のクリフォード・パリス邸、34話「仮面の男」のネルソン・ブレナー邸、38話「ルーサン警部の犯罪」のウォード・ファウラー邸は同じ家です。車の入り口〜ロータリー型の車寄せ、アーチ型の白い装飾の門扉(今回改装され白い板の扉に変わっていた!)、大きな暖炉が特徴です。 アンジェロドライブの豪邸
ウォード・ファウラー邸

監督:バーナード・L・コワルスキー
脚本:ルー・シャウ、ピーター・S・フェイブルマン(黄金のバックルで警備員シェイファー)

ウォード・ファウラー:ウィリアム・シャトナー(声:山城新伍)
クレア・デイリー:ローラ・オルブライト(声:岩崎加根子)
マーク:バート・レムゼン
シド・デイリー:アラン・マンソン(声:稲垣昭三)
ジョンソン刑事:ウォルター・ケーニッグ
トニー:ティモシー・ケリー
モリー:シェラ・デニス
役者ジョセフ:フレッド・ドレイパー
役者コンロイ:ビクター・イゼイ
テレビ局長ウォルター・グレイ:フランク・エメット・バクスター
テレビ局の重役:マイケル・ラリー
テレビ局ディレクター:ダニー・デイトン
アシスタントディレクター:ジョン・フィネガン
テレビ局スタッフ:ドロシー・デルス
舞台係:ジョン・ギルグリーン
舞台係:ジャック・バール
舞台係:デビッド・アームストロング
カメラクルー:ジミー・ジョイス

加筆:2024年8月29日

39話「黄金のバックル」

Old Fashioned Murder / 1976

美術館の館長ルース・リットンが、大切にしている博物館の売却を企む理事(弟)のエドワード・リットンを、警備員ミルトン・シェイファーとの同時発射の相撃ちに見せかけて殺害します。

ジョイス・ヴァン・パタンが可愛い

ジョイス・ヴァン・パタン女系ファミリーを楽しく描いた作品です。女性らしさを捨てた犯人ルース・リットン[ジョイス・ヴァン・パタン]が、かえって美しく感じられる作品でした。ジョイス・ヴァン・パタンは27話「逆転の構図」にもシスター役として出演しています。

ブログ訪問者さんからの情報

37話「さらば提督」で、シオドア・アルビンスキー刑事を演じた「デニス・デューガン」は、(1973年 – 1987年の間)「ジョイス・ヴァン・パタン」の夫だったそうです。彼は63話「4時02分の銃声」で監督をつとめています!

トリックには疑問が続出

犯行の仕掛けとしては、疑問点が多く残ります。男性二人、弟エドワード(ティム・オコナー) vs 警備員シェイファーで、ほぼ同時に拳銃を発射して相撃ちとなり両者が死にました。シェイファーはその時、兄に電話していて留守電には銃撃音が一発録音されています。現場の電話は、シェイファーが撃たれたので受話器がぶら下がったまま。どう考えても不自然。コンマ数秒発射がずれれば、どちらか生き残るはずだし、2丁の拳銃の音が1音に聴こえるはずがない。

誰が灯を消したんでしょう?

そこを大目に見たとして、「二人が同時に死んだ後、誰が灯を消したんでしょう?」という、コロンボ警部の大疑問は、他の作品と比較しても「かなり明瞭ですっきりした着眼点」です!これは、エドワードの書斎で、誤って灯を消してしまうルースの「倹約癖」のシーンとも連動しています。犯行現場で電話のトリックを忘れずに実行した後に、これで完璧…とばかりに灯を消してしまうのです。

邦題は「黄金のバックル」

ややもすると、全体のストーリーとはあまり深く関係しない証拠品にスポットが当たった邦題。「黄金のバックル」は後半で殺人容疑がかかる姪のジェニーが、このお宝を「灰皿」として扱ったことから容疑が晴れること。そしてこの証拠品は、自分を最も愛してくれたはずの叔母ルースが「自分に罪を着せる」ための小道具であった…というかなり悲しい事実が背景にあり、まぁ納得できる邦題とも思えました。

原題の「Old Fashioned Murder」は「古風な殺人」とでも直訳できそうです。ルースは今回の二重殺人のずっと以前にもう一人殺していたようにほのめかされますが、もしそれが明るみになれば、家族を守ってきた気丈な叔母さまから「父親殺し」へと転落してしまう…。その駆け引きがラストシーンの数分間にありました。

ジェニーは誰が産んだ子であったか…

ジーニー・バーリン壁にかかった絵を見て、ルースが「姉にピーターブラント夫人の座を奪われた」と過去を振り返るシーン。姪のジェニー(ジーニー・バーリン)について…「私が産んだかもしれない娘です」「そう、それで我が子ののように可愛いのでしょう」と語っています。

この「そう」という言い方で、私はジェニーがルースの子ではない…と想像しています。その他には決定的なシーンがありませんので、見る人の想像にお任せします…ということで良いのかな(笑)

過去を暴いて、犯人を落とす作戦

それにしてもコロンボ警部の凄さはこのように「今担当している事件の解決」はもちろん、犯人の過去の秘密をも暴いてしまうことです。そして犯人にほのめかし、犯行を自供させる。これは多くの作品で見られますね。14話「偶像のレクイエム」は過去の秘密そのものがテーマになった作品です。

悲しい物語に、滑稽なキャラクター

セレステ・ホルム逆に姉のフィリス(セレステ・ホルム)は自分を「美しい」と讃えますが、画面には美しさよりむしろ「滑稽さ(気絶・裾踏まれ)」が漂っています。この「裾踏まれ」のギャグは33話「ハッサン・サラーの反逆」でも炸裂しています。

アン・バクスターとセレステ・ホルム

セレステ・ホルムこのセレステ・ホルムは、映画「イヴの総て」で14話「偶像のレクイエム」のアン・バクスターと共演しています。これから約26年前、セレステは33歳です。若き日のアン・バクスターは、輝いています。セレステも気高く描かれています。往年の大女優「ベティ・デイヴィス」にも会えます。ベティは22話「第三の終章」でコロンボ警部が、カミさんと一緒に夜中までテレビ見て寝不足になった人です。

ピーター・S・フェイブルマン

ピーター・S・フェイブルマン警備員のミルトン・シェイファーを演じたのはピーター・S・フェイブルマン。この人は俳優だけでなく、本作の脚本家でもあります。珍しいケースですね。また38話「ルーサン警部の犯罪」でも脚本を手がけています。

ティム・オコナー

ティム・オコナー被害者の一人エドワード・リットンの俳優はティム・オコナーで、17話「二つの顔」では弁護士マイケル・ハザウェイを演じていました。どちらも、なかなか印象に残る演技でした。ただしルースとの会話「ヴィクトル・ユーゴー」「オスカー・ワイルド」のくだりは、劇文学に精通していないと笑えないかも。ちなみに、オスカー・ワイルドは「幸福な王子」、ヴィクトル・ユーゴーは「レ・ミゼラブル」などの著者。

ミラー刑事

ジョン・ミラー一匹狼で捜査を進めることが多かったコロンボだが、エピソードによっては特別な相棒が登場することもあります。今回は「ミラー刑事(ジョン・ミラー)」がその人です。ちょっとクールなイメージが漂うミラー刑事。でも仕事が出来そうなタイプの部下です。

髪をカットしてもらうハメに

髪型が整ったコロンボ警部美容院のオーナーがヘソを曲げそうなったので、髪をカットしてもらうことに。こういった細かいシチュエーションが凄く楽しいですね。髪型が整ったコロンボ警部は初回から数えて38作ぶり。しかしその髪型は徐々に崩れ、後半ジェニーの留置場の場面では、普段以上にボッサボサになっています。

美容院のオーナー「ダリル」

アンソニー・ホランドブログゲストさんからもコメントをいただきました。美容院のダリルは俳優:アンソニー・ホランドで、とてもコミカルなキャラクターですね。そして気になるのが日本語吹き替えの声優「八奈見乗児」さん。アニメを中心に数々の仕事をされています。ざっと挙げますと、巨人の星の伴宙太、もーれつア太郎のココロの親分、タイムボカンのグロッキー などなど。

時計屋の店員も面白い

ゲイリー・クローフォードコロンボが美容院の後に訪れた時計店の店員は、俳優:ゲイリー・クローフォード。この時、ショーケースカウンターの上に置いてある、鏡に映った自分の髪型を確認するコロンボ警部が可愛いです。だから店員はコロンボの髪型を褒めてくれたのです。こういうちょっとしたユーモアが素敵ですね。

リットン博物館

リットン博物館(39a)はL.A.市内の「ドヒニー・マンション(Doheny Mansion)」の一部です。ネットで写真検索すると、黄金のバックルのタイトルバックと同じ建物(39b)だと確認できます。テレビや映画のロケ地として有名なようです。*正式名称:グレース・トーン・マンション(Graystone Mansion)。
リットン博物館ドヒニー・マンション39a39b

リットン博物館のテーマ曲?

YouTube この「リットン博物館のテーマ」と名付けた印象的な曲をパソコン演奏で再現しています。昭和のメロドラマのような主旋律で、親しみが湧きますね。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

リットン博物館

監督:ロバート・ダグラス
脚本:ピーター・S・フェイブルマン

ルース・リットン:ジョイス・ヴァン・パタン(声:加藤道子)
エドワード・リットン:ティム・オコナー(声:加藤和夫)
ミルトン・シェイファー:ピーター・S・フェイブルマン
ティム・シェイファー:ジェフ・オズーナ
フィリス・ブランド:セレステ・ホルム(声:堀越節子)
ジェニー・ブランド:ジェーニー・バーリン(声:中島葵)
ミラー刑事:ジョン・ミラー
ダリル美容師:アンソニー・ホランド(声:八奈見乗児
カーター刑事:マイク・ラリー
時計店の店員:ゲイリー・クロフォード(声:伊武雅之
メイドのキャシー:エロイーズ・ハート
博物館の客:レオダ・リチャーズ

加筆:2024年8月29日

刑事ぼろんこチャンネル

40話「殺しの序曲」

The Bye-Bye Sky High IQ Murder Case / 1977

刑事コロンボの中では、第6シーズンに属する後期的作品。背景は世界でトップレベルのIQを持つ人が集まる「シグマクラブ」で起こる殺人事件。クラブのメンバーである会計事務所の経営者オリバー・ブラントが友人で共同経営者、しかもシグマクラブのメンバーでもあるバーティを殺害。動機は、オリバーの横領を知ったバーティが、世間に公表すると脅したためです。

動機は十分。バーティはかねてより友人オリバーの言動に対し、強い不快感を抱いていて、その腹いせに彼の身辺を探ったため、不正が発覚します。常日頃から周囲にバカにされている人は、たとえそれに悪意が薄かったとしても、いつか許せなくなるものなのでしょう。

トリックは緻密だが、天才集団を感じさせない

この作品の特長は他の作品と比較し「殺害のトリックが異常に緻密」であること。それが大きな要素となりすぎて、「世界でトップレベルのIQを持つ人が集まるクラブ」の存在感は逆に薄くなっている点が惜しいです。一部の登場人物を除いて、あまり頭の良い人の集団と思わせてくれません。

また原題の「The Bye-Bye Sky High I.Q. Murder Case」は「空高いIQの殺人事件」のようなイメージですが、邦題ではむしろ音楽にスポットを当てたようですね、残念でした。

トリックに凝りすぎて、現実味がないとも感じます。傘の中で破裂した爆竹の音が果たして銃声に聞こえるだろうか?音楽のボリュームを絞り、犯行後にプレーヤーのカバーを閉めておけば、もっと怪しまれなかったはず。犯人が頭脳明晰のわりには短気で、容疑をかけられる素性を持っているなど。また、これは微妙な判断ですが、解決シーンで「赤いペンが落ちるほんの一瞬前に辞書が傾き始める気がする」点も‥。ただ、そのようなことを差し引いても、楽しめる作品であることは確かです。

天才オリバー・ブラントは可愛い

セオドア・バイケル犯人の天才オリバー・ブラント「セオドア・バイケル(ビケル)」も、まさかコロンボ警部のような「計り知れない程の頭脳の持ち主」が担当刑事として自分の前に現れるとは予測もしていなかったことでしょう。異常とも思えるほど緻密な殺害トリックを仕掛けるシーンで「満面の笑み」を浮かべ作業するオリバーの顔が印象的に描かれています。犯罪工作の王者「パトリック・マクグーハン」も顔負けです。

大草原の小さな家

セオドア・バイケルセオドア・バイケルは、大草原の小さな家の「自由よ永遠に」で、ロシアからの移民ユーリー役で出演しています。刑事コロンボより約1年くらい前の作品です。

奥さんからは「オリバーちゃん」呼ばわり

サマンサ・エッガーオリバー・ブラントは、頭が良い割には「子供のような性格」な人ですね。公園で拳銃をゴミカゴに捨てるシーンで、コロンボに気付かれる不安が消えた直後に、嬉しそうな顔に一変して傘の説明をし出す場面など、興味深いです。彼の性格は妻のビビアン(サマンサ・エッガー)との会話「オリバーちゃん呼ばわり」でも伺え知れます。

脇役ソレル・ブークが良い

ソレル・ブーク犯人オリバー・ブラント役のセオドアバイケルも良いのですが、被害者のバーティ・ヘイスティング役のソレル・ブークも深く印象に残りました。撃たれて倒れるシーンが可愛い(不謹慎ですが)です。このソレル・ブークは24話「白鳥の歌」で、音楽プロデューサーのJ.J.ストリンガー役で出演しています。

ウエイトレスのお姉さんが怖い

ジェイミー・リー・カーティスレストランのウエイトレスの女優は「ジェイミー・リー・カーティス」で、有名な俳優の「トニー・カーティス」と刑事コロンボ32話「忘れられたスター」のジャネット・リーを両親に持ちます。ちょい役でも流石に存在感のある演技です。睨みつける顔がめちゃ怖いですよね。

女優ジェイミー・リー・カーティス

彼女はこの後、女優としての才能を開花させます。まず翌年の映画「ハロウィン」シリーズ(主演:ドナルド・プレザンス)で評判を博します。数々のキャリアを経て1994年には、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画「トゥルーライズ」でゴールデングローブ賞を受賞しています。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

ジェイミー・リー・カーティスは2022年公開の映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」では、第95回アカデミー賞「助演女優賞」を受賞しました。ウエイトレスのお姉さんから、なんと45〜6年。快挙ですよね皆さん。

ハワード・マクギリン

ハワード・マクギリン出世願望の強い若手会計士のジョージ・カンパネラを演じたのはハワード・マクギリン。目鼻立ちがはっきりした二枚目で、とても印象に残りました。やはりコロンボにはパンチの効いた脇役さんがいますよね。オリバーさんにとても気に入られています。

こっちは浮かばれないアルビン

ピーター・ランパートジョージ・カンパネラのライバル、アルビン・メッツラーは俳優:ピーター・ランパート。バーティの部下だっただけに、オリバーからは忌み嫌われ、この事務所での出世はおろか、業界で生きていくことさえ困難な状況に陥っています。可哀想すぎる。

会計事務所の受付女性

ミッチー・ロジャース会計事務所の受付の女性はミッチー・ロジャース。34話「仮面の男」のブレナーの秘書(アンジェラ・メイ)と顔立ちが似ていますが別人です。

天才少女キャロライン

キャロル・ジョーンズキャロラインを演じるのはキャロル・ジョーンズ。この天才少女と、2話「死者の身代金」に登場する娘マーガレットのイメージがダブるという方もいます。比べてみてください。よく見るとあまり似ていません。

支部長のダンジガーさん

ジェイスン・ダンジガーシグマクラブ支部長のジェイスン・ダンジガーさん(バジル・ホフマン)は、あの手この手で殺人事件の推理をしますが、ことごとく空振り。この人のキャラクターが…天才集団のイメージを落としているような(笑)‥いやいや、それでも良い役柄でした!

シグマクラブ会員のワグナー

ジョージ・スパーダコスプログラム委員長のバーティに注文をつけるシグマクラブ会員のワグナー役はジョージ・スパーダコス。彼は36話「魔術師の幻想」で舞台となったマジックショーのお店で働く「サッカリー」と同一人物です。さすが俳優さんですね、別人みたいです。

アイゼンバックさん

ドリー・トムソンシグマクラブの美人会員アイゼンバックさんは女優ドリー・トムソン。コンタクトレンズを飲みそうになる直前、オリバーとバーティをきょろきょろ見ていて芸が細かいです。どうでもいいシーンだけど(笑)

メルビル夫人の肖像画

メルビル夫人の肖像画シグマクラブの1階には何と「メルビル夫人の肖像画」が飾ってあります。メルビル夫人は3話「構想の死角」の小説の主人公ですね。

チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」

この作品、邦題「殺しの序曲」で、作品中に登場するクラシック音楽はロシアの作曲家チャイコフスキーによる幻想序曲「ロメオとジュリエット」。私の持っている音源はシャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団によるもので、20分33秒という長い演奏時間の14分12秒に、オリバー・ブラントが再生位置を設定した「第二主題による美しいメロディ」を向かえます。おそらくオリバーは特にお気に入りだったのでしょう。当時のステレオでこの位置から自動再生するには「一度手動で記憶」させる必要があると思われ、ここでも彼の無邪気な性格が伺えます。

人間コロンボを感じられる会話で、自分を見つめ直す

シグマ協会で向かえるラストシーンの一場面で、天才オリバーの苦悩や、コロンボ警部の人間哲学に触れることができます。オリバーは神童と呼ばれ苦しんだ幼少期を語ります。私は神童と呼ばれた経験はありませんが、子供の頃から「わざと頭が悪く見られるように振る舞っていました」。その方が周囲と楽しく過ごせるからです。一方コロンボは、自分は決して秀才とは言えない素材だが、粘り強くしつこく頑張ればきっとモノになる。と答えています。今の私はこの心境です。全力を尽くさず人生を終えることなんてあり得ないですね。コロンボにとって、天職とも言える刑事。その姿に自分の生きる指針を見つけ出すことができました。

「殺しの序曲」は意外と深い作品かも

先述のオリバーとコロンボの会話。それ以外にも、「いじめっ子、いじめられっ子」「天才と凡才」「気持ちの通じない夫婦」「出世を競う二人の秘書」など、殺人事件の周囲で見られる人間関係が面白く描かれています。
なかでもオリバーとバーティの関係は特に興味深いです。バーティのことが好きなオリバーは行き過ぎた愛情表現から逆にバーティから嫌われ、それが横領を暴露される危険を増大させます。本当に頭が良ければ「相手から嫌われない工夫」をもって世を渡れるはずなのですが、最も短絡的な解決方法「殺人」を実行するのも皮肉に感じます。

ラファイエット・パーク
ラファイエット・パークは、例のオリバーが拳銃を捨てるシーンでもあり、公園内にはウエイトレスに睨まれるドーナツのカフェもあります。会計事務所の所在地もこの近辺でしょう。

監督:サム・ワナメイカー
脚本:ロバート・M・ヤング

オリバー・ブラント:セオドア・バイケル(ビケル)(声:田中明夫)
ビビアン・ブラント:サマンサ・エッガー(声:横山道代)
バーティ・ヘイスティング:ソレル・ブーク(声:高木均)
ジェイスン・ダンジガー:バジル・ホフマン(声:田中明夫)
キャロライン:キャロル・ジョーンズ
ワグナー:ジョージ・スパーダコス
アイゼンバック:ドリー・トムソン
マイク:ケネス・マース
アンジェラ:フェイ・デ・ウィット
ウエイトレス:ジェイミー・リー・カーティス
ジョージ・カンパネラ:ハワード・マクギリン(声:納谷六朗
アルビン・メッツラー:ピーター・ランパート
会計事務所の秘書:ミッチ・ロジャース
バーの女性スージー:キャスリーン・キング
バーク刑事:トッド・マーティン
シグマクラブ会員:マイク・ラリー

加筆:2024年8月29日 

41話「死者のメッセージ」

Try and Catch Me / 1977
チャールズ・フランク人気女流ミステリー作家の「アビゲイル・ミッチェル」が「ヨットの事故で亡くなった姪」の夫エドモンド(チャールズ・フランク)を殺害。今回は金銭的な利害ではなく、姪のが死んだ責任はエドモンドにあると推理したアビゲイルが、その復讐を企んだもの。

エドモンドはフィリスを殺したか?

被害者のエドモンドは、それほど悪人には描かれていません。彼がフィリスを殺した証拠もありません。しかしエドモンドがアビーさんの部屋で、妻フィリスの写真を手にとって「薄笑い」をするシーンがあります。この表情は気にかかりますね。

この作品がベスト!と推すファンも多い。

ファンが選ぶベスト作品としては、やはり19話「別れのワイン」が最も多くの票を集めるのですが、この41話「死者のメッセージ」が一番好きだというコアなファンも多いのです。それくらい人気の高い作品。

ゲストスターのルース・ゴードンが素敵!

ルース・ゴードンこの作品も過去に見たときの印象がとても強かったです。まずゲストスターのアビゲイル・ミッチェル役:「ルース・ゴードン」が、素晴らしかったです。小柄な女性ですが、その小柄さと独特の仕草があいまってとても可愛らしく描かれていたと思います。
アビゲイル・ミッチェルはミステリーの女王「アガサ・クリスティ」がそのモデルになっているという説があります。
コロンボ警部が講演会のスピーチでも語っていますが「時には殺人犯を尊敬し、好意を抱くこともある」とは、まさにこの話のアビゲイル・ミッチェルを指しているのではと思われる程、お互いに敬意を表しながらストーリーは進みます。どこか19話「別れのワイン」に共通する雰囲気を持っている作品だと思いました。飛行機での旅行や、窒息死などの類似点もあります。

マリエット・ハートレイも魅力的

マリエット・ハートレイ22話「第三の終章」にも出演のマリエット・ハートレイが演じた秘書のベロニカもとても良かったと思います。ゲストスターの犯行を見抜いて恐喝する脇役はたくさんいますが、「殺されなかった」ことも、この作品を美しく感じさせる要因となっています。この点も「別れのワイン」に通じますね。この作品でベロニカは老眼鏡をかけるシーンがあります。でも実年齢は37歳。老眼にはまだ早すぎる気も‥。

秘書のベロニカは「聡い娘」

冒頭シーンでアビゲイルは秘書のベロニカを「聡(さと)い娘(こ)」だと評しています。聡いとは、感覚に優れ、聡明だという意味。ベロニカはエドモンドが金庫で死んだ時、すでにアビーさんの計画だと気づいていました。ベロニカはこの秘密をアビーさんの「遺産(財産)」と引き換えにするつもりだった。それを旅行中に提案しようと考えていた。(ぼろんこの妄想です)

大草原の小さな家「父さんの秘密」

マリエット・ハートレイ大草原の小さな家のシーズン2・19話「父さんの秘密」(1976年)。魅力的な未亡人「エリザベス・サーモンド」役でマリエット・ハートレイを見ることができます。本作の1年ほど前だと思われ、ほぼ同年齢。美しく優しい女性として描かれています。2020年の4K再放送でこれを見られたことは、とても嬉しいことです。

宇宙大作戦(スタートレック)

マリエット・ハートレイまたマリエット・ハートレイは、宇宙大作戦(スタートレック)の「タイムマシンの危機」の回のザラベス役で出演しています。あのスポックが彼女に恋愛感情を抱くエピソードです。1969年放送で、彼女が29歳の時です。

計画殺人モノとしての醍醐味

シリーズ中最も人気の高い「別れのワイン」は計画殺人ではありません。その点、この作品ならではの楽しめる点も多いのです。冒頭のベロニカとの会話のシーンでは、エドモンドが金庫から大声を出しても外に聞こえないテスト。そして、ストップウォッチを覗き見する時の表情も見逃せません。

弁護士のマーチンは鋭い

G・D・スプラッドリンまた、遺書にサインした直後に「不審な死をとげた」エドモンドですが、抜群のタイミングで起きたこの事件に対し、弁護士のマーチン(G・D・スプラッドリン)は「最初からアビゲイルが怪しい」と睨んでいたと思われます。旅立つ直前(犯行直後)に、金庫の前に立っている彼女と遭遇していますし…。船で口走った意味深な言葉はダメ押し的でしょう。

エドモンドの車のキー

ベロニカが「エドモンドの車のキー」の入手後、しばらくはアビゲイルの様子を伺っているのも、上手いな〜と思います。そして自ら恐喝に打って出ました。予期せぬ出来事「エドモンドの車のキー」の処理について、アビゲイルは2回キーを捨てるチャンスがありました。最初は犯行直後、2回目は警部の犬の散歩で出会った埠頭。推理小説の巨匠でも、生身の人間の行動においては、冷血な判断ができなかったのでしょう。キーは捨ててしまった方が良かったのです。

コロンボ警部の刑事哲学を感じました。

事件解決のエピソードはここでは語りませんが、ラストシーンで「特別扱いしてもらうわけではないが、この年だし、害のない人間だし…」と、見逃して欲しい…とすがるような態度を示すアビゲイルでした。ここでコロンボ警部が「先生も私も立派なプロですから」と諭した場面は、深く心に残るものです。コロンボにしてみれば、その動機から考えても同情したい気持ちは大きいのだが、「プロとして見逃すことはできない」ということでしょう。それはまた「殺人を扱う作家の完全殺人計画」が失敗に終わったことを認めた今、責任から逃避しないことを彼女に求めたのだと思われます。

ナイチンゲールはサヨナキドリ。

犯行の準備をするシーンで「何か聞こえる?ナイチンゲール?」のくだりがありますが、ナイチンゲールはサヨナキドリで鳴き声が美しい小鳥。「墓場鳥」とも呼ばれるそうで、コロンボ警部と初対面の日「警部がピアノでThis Old Man」を弾いた後、バーク刑事がドアを開けたシーンなどで庭から聞こえてくる鳥の鳴き声が、そのナイチンゲールなのでしょうか。

アビゲイル・ミッチェル邸。

ネットで調べたら「アビゲイル・ミッチェル邸」らしき場所の地図が見つりました。おぉ、ベロニカから恐喝をほのめかされた庭らしき形状がわかります。本当だろうか…。個人宅かもしれないので、いたずら行為等は厳禁です。しかし劇中では近所らしき海岸を散歩しますので、マリブ近辺に住んでいる設定です。

コロンボマップ
コロンボマップ

バーク刑事B

ジェローム・グアルディノバーク刑事Bは「ジェローム・グアルディノ」。この41話を皮切りに、43話「秒読みの殺人」や、47話「狂ったシナリオ」と多用されています。

32話「忘れられたスター」で射撃テストの身代わりになる俳優です。この人の他にもトッド・マーティンの演じる「バーク刑事A」が存在します!

 

「死者のメッセージ」は、音楽も素敵なんです。

音楽は、パトリック・ウィリアムズが担当しています。この他でも合計9作品に関わっているそうです。刑事コロンボ第7シーズンは音楽が素敵です。この「死者のメッセージは特に音楽が素敵」もその一つです。

「アビゲイル・ミッチェルのテーマ」

YouTube「アビゲイル・ミッチェルのテーマ」をパソコン演奏で再現しています。この作品が持つ「上品さ」はそのBGMの音楽性も大きく影響していると感じます。「アビゲイル・ミッチェルのテーマ」とは、私が名付けた呼び名です。音楽もお好きな方は、こちらもご覧ください。(*ご注意:YouTubeへのリンクは音が出ます!)

ダンスのインストラクター

マリー・シルバ・アレクサンダーベリー・ダンス教室の先生は、マリー・シルバ・アレクサンダー。「ストリップとは違うんですからね」って言ってました。このシーンの音楽も、上記とは別の意味ですごく素敵です。

犬の散歩で出くわす海沿いのデッキ

Ocean Side East Cafe12

Ocean Side East Cafe41

コロンボ警部が犬の散歩中にアビゲイル・ミッチェルに出くわす海岸沿いのデッキは、12話「アリバイのダイヤル」で探偵ダブスとコロンボ警部が会う店と同じ(あるいは近い)場所です。ちなみにこの階段の下には「オーシャン・サイド・イースト・カフェ」があります(12話当時)。手すりの色が違いますが、5年経っているので、取り替えられたのかな。

三谷幸喜さんの大河ドラマ

三谷幸喜さんが脚本を手掛けられた2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、北条義時は妻に毒殺されたと描かれます。実際にそのように書かれた歴史資料も見つかっています。「鎌倉殿の13人」の最終回では、はは〜、アビゲイル・ミッチェルの講演会の言葉通りだな‥と頷きました。

監督:ジェームズ・フローリー
脚本:ジーン・トンプソン、ポール・タッカホー
音楽:パトリック・ウィリアムズ

アビゲイル・ミッチェル:ルース・ゴードン(声:南美江)
秘書ベロニカ・ブライス:マリエット・ハートレイ(声:桧よしえ)
エドモンド:チャールズ・フランク(声:松橋登)
マーチン弁護士:G・D・スプラッドリン(声:内藤武敏)
バーク刑事:ジェローム・グアルディノ
家政婦アニー:マリー・ジャクソン
インストラクター:マリー・シルバ・アレクサンダー
講演会の客:レオダ・リチャーズ

加筆:2024年8月29日

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